先日発売され、発売日にハーフミリオンを達成したSnow Manの7枚目のシングル「オレンジkiss」のカップリング曲「僕に大切にされてね。」が話題だ。
2020年「君の彼氏になりたい。」2021年「僕の彼女になってよ。」の続編で、“君彼三部作”と呼ばれ「これで完結なのか?」と物議を醸している一方で「ハロプロっぽい」という声も挙がっている。
本記事では、3部作の魅力とストーリーを振り返りつつ、ハロヲタでもある目線から“ハロプロっぽさ”についても分析したい。
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Snow Man「君彼三部作」とは
“君彼三部作”とは、「君の彼氏になりたい。」「僕の彼女になってよ。」「僕に大切にされてね。」の3曲からなるシリーズである。本シリーズ曲では、親しいが付き合ってはいない微妙な関係の男女の駆け引きや、彼女の態度に一喜一憂する男性目線の気持ちが歌われている。
曲によってレコーディング動画やDance Practice、Lip Sync Videoが公開されており、メンバーのいつになく大人っぽい、色っぽい一面が見られるところもうれしい見どころ(聴きどころ)だ。さらに、一度聞いたら忘れられない、耳に残る独特な曲調も印象的だ。
第1作「君の彼女になりたい。」
主人公は好きな女の子を家に呼ぶ仲のようだが、告白する勇気はないらしい。いや、でも2人きりで家に上がって寄り添って夜中の12時までいて、連絡は返さない女性の心理は気になるが、いろんな関係があるし、こういった微妙な名前を付けられない関係も、ある意味恋愛の定番といえば定番だ。
主人公も主人公でもっと勇気をだせばいいのにとも思うが、頭の中では妄想爆発で強気なセリフを言えるのに本人の前では言えない一方で、彼女に会うのを楽しみにして服を買ったり髪を切ったりするいじらしさがかわいい。
ところで、気があるにしてもないにしても夜中の2時に帰るって遅くない? と思ってしまう。女性が1人で帰るのは危ないと思うし、おそらく交通機関もない。よっぽど徒歩圏なのだろうか。
「君の彼女になりたい。」Dance Practice
Dance Practiceも公開されて話題を呼んだ。Dance Practiceは私服で踊られることが多かったが、全員衣装を着ていたのが印象的だった。リーダー・岩本照の振り付けで、曲に負けないくらい独特で印象的なダンスに心躍った。サビのセンターが佐久間大介なところもとてもよかったと思う。
「君の彼氏になりたい。」振り付け講座
なんと、Dance Practiceだけではなく岩本照による振り付け講座動画も出た。サムネから何となくわかるかもしれないが、比較的冒頭から深澤辰哉の様子がおかしい。真面目にダンスのレクチャーをしつつも深澤くんがサビを踊る場面では再びとんでもないことに。ついには岩本くんまで……? というカオスな状況が繰り広げられている。
第2作「僕の彼女になってよ。」
主人公、勇気出してきたじゃん……! 何といってもLip Sync Videoの破壊力がやばい。全員のビジュが完璧だしサムネも最高。Lip Sync Videoの各個人の細かい魅力はこちらの記事で書いているので、ぜひあわせて読んでほしい。
第3作「僕に大切にされてね。」
「僕に大切にされてね。」は、9人のメンバーのパートが時間ごとに入れ替えで試聴できるという形で告知された。
前作の流れと「僕に大切にされてね。」というタイトルからハッピーエンドだと思っていたが、フラゲ日に歌詞カードを見た瞬間、頭の中が「?????」となった。
「何これ、振られたの? っていうか前回「僕の彼女になってよ。」のLip Sync Videoであんなに色気出してたのに、まだ告白するか悩んでるの?」と思ったのだが、あらためて考えてみると「僕の彼女になってよ。」歌詞は「心で言った」「心で叫んだ」だがら、実際には気持ちを伝えられていなかったのか……。つまりLip Sync Videoは理想の自分、だったのだろうか。
主人公ももっと頑張ってほしいが、さすがにこの女性、思わせぶりがすぎないだろうか。主人公のパジャマまで着て一緒に布団に入って手を握らせておいて振って帰るって何……? 帰るならなぜパジャマをたのか。めちゃくちゃ煮え切らない状況で終わるのか……。
それはそれとして、メンバーの色っぽい表情や、レコーディング中なのにコンサートばりに魅せる点は最高である。歌い出し、流し目でこちらを見る眼鏡の佐久間くんにやられて始まるこの曲。
「寒いよね。毛布かけようか。」の歌詞で本当に毛布かぶる阿部くんは確信犯だ。先日19歳になったラウールくんの「どうか握り返して。」の切ない表情がたまらない。「君の恋バナきかせて。」でヘッドホンを片耳外して聞こうとする眼鏡の深澤くんはリアコがすぎるし、宮舘くんがこっちを見て「目閉じて?」というのはギルティ……。
オールバック翔太くんの真剣な顔での「君を大事にする。」も顔がピクッとするところもかっこいい。目黒くんの「「明日も早いね」と、君はいった。」の高音と笑顔にほだされてしまう。一応セリフパートではないのだが、阿部くんの「あのね。耳かして。ねぇ。やっぱりさぁ。」がもはやセリフパートのような破壊力。さらに畳みかける康二くんのセリフ「一緒にいよ?」で完全にノックアウトである。岩本くんの終盤の高音が美しくて切なくてよい。
3作で全員コンプリート!9人のセリフ
セリフ担当が各曲3人ずつ、3作目にして9人のメンバーがコンプリートされたのも注目だ。あらためて彼らのセリフを振り返りたい。
またデビューツアーで披露された「君の彼氏になりたい。」はコロナ禍だったため全公演配信だったが、公演によってセリフをアレンジするメンバーもいて、そこもまた楽しみなポイントだった。
目黒蓮「大好き。」
直球の「大好き。」はすごく目黒くんらしいし、コンサートでも一切アレンジを入れなかったところもまた彼らしくていいと思った。
佐久間大介「チューして?」
佐久間くんは「チューして?」と言いそうなキャラではあるけれども、ウィスパーボイスで言うものだからドキッとしてしまう。コンサートでは「チューしよう?」バージョンもあった。
渡辺翔太「帰さない。」
ちょっと強引な俺様男っぽい感じの「帰さない。」が翔太くんに合っているのだが、何よりよかったのはコンサートのアレンジで「帰れ。」と言う回が結構あったこと。これこそ渡辺翔太という感じだし、むしろ「帰れ。」と言われたい、と思った人も多いのではなかろうか。
ラウール「おいで」
グループの末っ子、当時高校生のラウールくんの大人っぽい言い方にドキッとした人も多いのではなかろうか。Lip Sync Videoの衣装キメキメの状態で言うの、ずるいと思う(ずるいとは)。
阿部亮平「ギュってして、いい?」
あざとい阿部ちゃんにあざといセリフがきた。このセリフだけは公開されているYouTubeにはないのだが、気になる方はぜひシングル「Secret Touch」の初回盤Aか通常版をチェックしてほしい。
深澤辰哉「君の彼氏になりたい。」
最も衝撃を与えたセリフではないだろうか。「実はかっこいい」「実はリアコ枠」設定の深澤辰哉の本気はすごかった。これはもう3人中5人が好きになっちゃうやつ。
岩本照「どうしよっか?」
優しいけど真剣な「どうしよっか?」が刺さる。口元に手を当てる様子も色っぽい。
宮舘涼太「目閉じて?」
舘さん独特のスローなテンポで吐息まじりで言う「目、閉じて?」はやばい。Rec Verではセリフのみならずカメラ目線の瞬間が多いのも気になるし、手で視線をふさがれるのもアカン。
向井康二「一緒にいよ?」
普段明るくて優しいのにこのセリフを言うときは真剣な顔ですぐに目をそらしてしまう康二くんにドキッとする。
SHIROSE(from WHITE JAM)はオレンジkissの作詞も担当
君彼シリーズの作詞を(「僕に大切にされてね。」では作曲も)担当しているのが、WHITE JAMのSHIROSEさんだ。TwitterやYouTubeなどで作詞した曲について発信してくださっている。
ご本人も「いつかSnow Manさんの曲に関わらせていただけますように」とTwitterに書いていてくださったらしく、大変うれしい限りだ。また、SHIROSEさんは「オレンジkiss」の作詞・作曲もしている。次にSHIROSEさんが関わる曲はどんな曲なのか、今から楽しみだ。
「君彼三部作」は本当に完結なのか?
「僕に大切にされてね。」でシリーズ完結というのは、正直物足りない。主人公がこれ以上頑張るべきかというと「その女はもうやめとけ」という意見なのだが、この世界観の9人をもっと見ていたいし幸せになってほしい。だからこそ、続きの作品を観たい(聴きたい)ような観たくないような、複雑な気持ちだ。
それにしても9人にあれだけセリフをキメられて落ちない女さん、ある意味すごいな……。
–{君彼三部作が「ハロプロっぽい」と言われる理由}–
君彼三部作が「ハロプロっぽい」と言われる理由
「ハロプロ(ハロー!プロジェクト)っぽい」という声も多い君彼三部作のなかでも、特に第1作「君の彼氏になりたい」が初公開された日は、筆者は実際に聴く前に「Snow Manの新曲がハロプロっぽい」とTwitterに投稿されているのを見た。
25年ほどハロプロのファンでもあるので「本当に?」と思ったが、実際に聴いてみたら確かにハロプロっぽさを感じた。
タイトルに「。」がついている点と、曲中にセリフが入っているところはもちろん、なにより独特で印象的な曲調が大きな理由だろう。また歌もダンスも実力派という点も、Snow Manとハロプロの共通点であると思う。
せっかく話題になったので、どちらかのファンの方がもう一方に興味を持つきっかけになるかもしれないと思い、三部作を起点にハロプロ曲を紹介したい。
「君の彼氏になりたい。」っぽいハロプロ曲をまとめてみた
個人的な感覚にはなるが「この曲のこの要素が『君の彼氏になりたい。』っぽいかも?」と思ったポイントを紹介するので、「君の彼氏になりたい。」が好きな人が好きになりそうな要素があるハロプロ曲の参考として楽しんでほしい。
筆者が思い出し切れていない曲もきっとあるので、「この曲のほうが『君の彼氏になりたい。』っぽい!」というものがあればぜひ教えてほしい。
ワクテカ Take a chance/モーニング娘。(2012)
サビのところのダンスと、「8時9時10時11時……」のところのフォーメーションが大変似ている。「ハロプロっぽい」と思った人、真っ先にこの曲を思い出した人も多いのではないだろうか。
また「君の彼氏になりたい。」の「その手もその髪も。」のところと、ワクテカの「どれが本気で どれを信じる?」のところ、印象的なラップ(ラップと言っていいのかもわからないのだが……)のような耳に残るパートも近いかなと思っている。
愛の軍団/モーニング娘。(2013)
この曲もダンスで真っ先に思い浮かぶ曲かもしれない。「8時9時10時11時……」のところと「いつの間にやらふるさとのような……」のところの移動の仕方が似ている。どちらも人数の大きさを活かしたフォーメーションを美しく見せる実力があるからできることだと思う。
乙女の逆襲/アンジュルム (2015)
ストリングス(弦楽器)の音から始まって拍を取るリズムの音が目立ってくるところ、振り付け冒頭のカサカサした動きなどがちょっと似ている。
21時までのシンデレラ/Berryz工房(2005)
主人公の年代は違うものの、恋愛と帰る時間が曲のテーマになっている点から。こちらは21時と「君の彼氏になりたい。」よりは健全な時間だが、恋する者たちにとって帰る時間は永遠のテーマなのだな。年齢的には下なのだが、「21時までのシンデレラ」のほうはすでに付き合っている。
初恋サンライズ/つばきファクトリー(2017)
今年活動5周年を迎えたつばきファクトリーのメジャーデビュー曲。セリフからサビに入るところが似ている。同じく恋に立ち向かう主人公を描いた曲だが、「君の彼氏になりたい。」の主人公の男性が若干意気地なしなのに対し、この曲の主人公の女性は弱さを捨てて立ち向かおうとしているのが対照的でもある。
Help me!!/モーニング娘。(2013)
フォーメーションや振り付け、曲調から連想できるのがこの曲だ。「キラキラしてる女の子私は羽ばたくよ グズグズしてる男の子後悔しないでね」という歌詞があり、グズグズしてる男の子って「君の彼氏になりたい。」の主人公じゃん! と思った。
そうじゃない/モーニング娘。(2016)
曲自体は似ていないのだが、サビの畳み掛けてくる感じや、イントロ終わりのクラップ音と手を叩く振り、手をクロスさせる振り、から連想できるのがこの曲だ。
胸騒ぎスカーレット/Berryz工房(2006)
具体的に似ている振りがあるわけではないのだが、ダンスを見て連想したのがこの曲。中心が入れ替わり立ち代わりしつつフォーメーションが変わっていく気持ちよさが共通点かなと思う。
なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?/Berryz工房(2005)
大サビ前の間奏の、切なくてドラマティックな感じはこの曲を思い出す。
WANT!/Berryz工房(2012)
曲調などではないのだが、見た目がチャラめ&強めなのに歌っている内容がかわいい恋心という共通点。そして「無理無理無理やっぱ無理」「絶対言えない」という男心と「最後は強気で押し通してほしい」という女心。
“君彼三部作”はBerryz工房っぽさがあるという声もあった。身長もビジュアルの方向性も個性もバラバラだけどグループでパフォーマンスするとかっこよくて強い、というところはSnow Manとの共通点かもしれない。
もう活動を無期限活動停止したグループではあるが、デビューから10年以上走り続けたグループでもある。「普通、アイドル10年やってらんないでしょ!?」という曲は、一見タイトルはふざけているように見えるが10年やったからこその説得力もあり、アイドルのファンから見ると泣けてくる。
「青春全部捧げた事は誇りに思って生きていくわ」「デビューしてからも『山』『谷』あり」「それでもアイドル I love it!」という歌詞などは、デビューまで10年以上頑張ってきたSnow Manのファンにも刺さるかもしれない。
眼鏡の男の子/BEYOOOOONDS(2019)
曲調が似ているわけではないのだが、セリフが曲の中で重要な役割を締めているという点でBEYOOOOONDSのデビュー曲「眼鏡の男の子」も紹介したい。寸劇なども交えた新しいタイプのグループで、勢いの良さと何でもあり感はSnow Manに通ずるところがある。
GIRL ZONE/雨ノ森 川海(BEYOOOOONDS)
公式YouTubeに映像がないのだが、イントロの曲調が「君の彼氏になりたい。」のサビの曲調に似ているので機会があればチェックしてほしい。
「僕の彼女になってよ。」から連想するハロプロ曲
Fantasyが始まる/モーニング娘。
歌詞に「カボチャ(かぼちゃ)の馬車」「ガラスの靴」という、シンデレラを思い起こさせる言葉が入っていることから浮かぶのがこの曲。
ただ「僕の彼女になってよ。」では「カボチャの馬車をキャンセルして」「ガラスの靴をしまって」と主人公の男性が何とか相手を返さずとどまらようとしているのに対し、「Fantasyが始まる」の主人公の女性は「かぼちゃの馬車を正面にまわして!」「ガラスの靴はこの手の中にある」と自由を求めている。
他にも「すべてあなたの思い通りになるなんて思わないでよ」「束縛止めてよ 羽が傷つく」と自由になりたがっているので、まぁ合わなさそうというか男性が振られそうである。
愛の園 〜Touch My Heart!〜/モーニング娘。おとめ組(2003)
※公式にMVがないため、ハロプロの新グループ「OCHA NORMA」田代すみれの歌唱動画より
イントロでムーディーなフレーズが流れた後に激しいイントロに入っていくところと、主人公が愛のために背伸びした大人っぽい雰囲気漂う曲という点から取り上げた。聴いていて高まる感じやクセになって何度も聴きたくなるところも共通点だと思う。
笑顔YESヌード/モーニング娘。(2007)
「僕の彼女になってよ。」が好きな人は好きではないかなと思うのがこの曲。曲がまとう大人な雰囲気や、ベッドやソファーに倒れ込むなどメンバーの色気がただよう演出が近いかなと思っている。
「僕に大切にされてね。」から連想するハロプロ曲
青春バスガイド/Berryz工房(2009)
サビのコード進行と、相手への切実な思いが高まっていく点から思い浮かんだのがこの曲。女性アイドルの曲ながら、この曲の主人公は男性なのだ。(おそらく修学旅行の)バスガイドさんを好きになってしまって最終日に今日でサヨナラなのか……と気持ちが高まっている曲だ。
君彼三部作と作曲家が共通のハロプロ曲
“君彼三部作”の中でも「君の彼氏になりたい。」「僕の彼女になってよ。」の2曲を作曲しているJosef Melinは、ここ数年ハロプロの曲も作曲している。「ハロプロっぽい」と言われることにも関係があるかもしれない。
ちなみに発表の時系列は、次の通りである。
「君の彼氏になりたい。」→「涙のヒロイン降板劇」→「僕の彼女になってよ。」→「Future Smile」→「弱さじゃないよ、恋は」
涙のヒロイン降板劇/つばきファクトリー
振られてしまった女の子が、涙のヒロインでいるのはやめて前に進もうと頑張っている曲。
Future Smile/Juice=Juice
未来の笑顔のために、今を楽しんで真摯に生きよう! という力強い曲。
弱さじゃないよ、恋は/つばきファクトリー
新しい恋に踏み出した女の子の曲。「涙のヒロイン降板劇」と作詞・作曲ともに同じ人が担当し、歌詞を見ると続編であることがわかる。
その他にも、ハロプロ研修生(ジャニーズでいうところのジャニーズJr.)の曲で「彼女になりたい。」という曲がある。本曲と君彼三部作との共通点は完全にタイトルのみで、かわいい恋心の歌なのだが、タイトルを並べると同じシリーズに見えるのだ。
今後のシリーズ曲にも期待!
作詞を担当したSHIROSEさんもTwitterで言っていたが、この三部作は、ファンの考察や新たな作品が出るたびに新たに加わる情報により、作品たちが育っていったところも魅力だ。
今しばらくは三部作の余韻に浸っていたいが、またこういったシリーズ作品も出してほしいし、なんなら君彼シリーズ4作目も出してほしい。全力で待ってます……!
(文:ぐみ)
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