タイカ・ワイティティの魅力とは?無邪気な天才&奇才な人物像

俳優・映画人コラム

2022年7月8日(金)より、映画『ソー:ラブ&サンダー』が公開された。

本作のメガホンを担当したのが監督・脚本のみならず、俳優としても活躍する人物「タイカ・ワイティティ」だ。

インディーズ映画界からマーベル映画に抜擢され、『ジョジョ・ラビット』ではアカデミー賞6部門にノミネート!

ソー役 クリス・ヘムズワースが「無邪気な天才」と称し、クリスチャン・ベールが「奇才」と絶賛する男とは何者なのか。

本記事では、大躍進を続ける彼を特集する。

過去に公開された映像を交え、監督作・出演作を振り返りながら、その魅力の秘密に迫っていきたい!!

<目次>
・タイカ・ワイティティとは
・監督作品
    ■長編
    ■短編・ドラマ・待機作
・出演作品
・まとめ

–{タイカ・ワイティティとは}–

タイカ・ワイティティとは

人物像

(C)Marvel Studios 2017 All rights reserved.

タイカ・ワイティティは、ニュージーランド出身の映画監督である。

低予算映画から『マイティ・ソー バトルロイヤル』に大抜擢された彼は、やや硬派だったヒーロー映画“ソー”シリーズをコメデイ路線へと変更。

ファンから高い評価を受け、有名監督の仲間入りを果たした。

撮影現場ではコメディアンのように場を和ませることでも知られており、仕事を共にしたスタッフやキャストからも絶大な支持を受けている。

来歴

(C)Whenua Films 2006

1975年タイカ・ワイティティは、マオリとフランス系カナダ人の家系の父とロシア系ユダヤ人の家系の母との間に生まれた。

両親の離婚を経て、ウェリントンで母に育てられた経験は、のちの監督作品に強い影響を与えることとなる。(後述)

大学では演劇を学びながら、コメディグループに所属。映画制作のパートナーとなる俳優ジェマイン・クレメントと出会う。

地道な俳優活動と映画制作を始め、2005年には短編映画『夜の車/トゥー・カーズ、ワン・ナイト』で第77回アカデミー賞短編映画賞にノミネート。

2007年の『イーグルVSシャーク』では長編デビューを果たした。

2017年の『マイティ・ソー バトルロイヤル』の成功により、人気監督のスターダムを駆けあがった彼は、2019年の『ジョジョ・ラビット』でアカデミー脚色賞を受賞。

マーベル映画のみならず、ディズニーの実写映画やスターウォーズ新作、『AKIRA』の実写化などにも声がかかり、さらなる活躍が期待されている。

役者に寄り添った演出

キャリア当初から、監督のみならず脚本家や俳優としても活躍したタイカ・ワイティティは、自身の作品では3役全てをこなすことも多い。

彼の演技経験を活かした演出は、俳優陣からも高く評価されている。

ソーの弟・ロキ役で知られるトム・ヒドルストンは「演技を俳優目線で考えてくれる」と述べ、スカーレット・ヨハンソンも「気まずい空間でさえ(監督とキャストの)両者が同じ空間にいる」と役者に寄り添う姿勢を絶賛する。

さらに、名優アンソニー・ホプキンスは「仕切りながらも柔軟さがあり、意見を取り入れてくれるため、奇抜なことも試せる」と即興性に富んだ演出法を称賛しているのだ。

ちなみに、このインタビューはディズニープラスでも配信中の『マイティ・ソー バトルロイヤル』特典映像「監督そしてコーグ」から確認することが出来る。

制約から生まれるオリジナリティ

(C)Shadow Pictures Ltd MMXIV

彼の原点には、インディーズ映画やTVドラマなど、課せられた制約の中での創意工夫が挙げられるだろう。

初期作ではアニメーションや作り込まれたセット・小道具を活用することで独特な世界観を表現。
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』でも「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの小道具を借り、ヴァンパイアの暮らしに説得力を与えた。

また、過去数年には、48時間映画祭(日本でも例年行われている2日間の映画制作イベント)に繰り返し参加。1人芝居の低予算ショートフィルムを多数発表している。

この経験は、のちのアドリブ演出の基礎になったと言えるだろう。

作品の特徴

(C)2019 Twentieth Century Fox

タイカ・ワイティティの作品は、コミカルな作風が高く評価されている。

ヴァンパイアたちの愉快な日常『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』から、第二次世界大戦を子供目線で切り取った『ジョジョ・ラビット』まで、コメディとはかけ離れた題材選びも人気の理由だろう。

また、ユーモアの裏側にシビアな一面が見え隠れしているのも監督作の魅力である。
人間の命を奪うヴァンパイアや残酷な戦争。監督が描く「笑い」は厳しい現実の裏返しでもあり、その独特なバランス感覚にこそオリジナリティが垣間見えるのだ。

–{タイカ・ワイティティの監督作}–

タイカ・ワイティティ監督作品:長編

ここからは、タイカ・ワイティティ監督が手がけた長編7作品と、短編(CMも含む)・ドラマ・今後の待機作を紹介する。

■イーグル VS シャーク(2007)

監督の長編デビュー作『イーグル VS シャーク』は、変わり者の男女によるロマンティックコメディだ。

ファストフード店で働くリリーと常連客・ジャロッドとの不器用な恋愛模様を中心に、おかしくも愛おしい人々の物語が描かれている。

ジャロッドの家族とリリーの交流や、ジャロッドといじめっ子の因縁の戦い。意外な事実が明らかになるクライマックス以降は、人生のほろ苦さも感じられる。

時折挟まれるストップモーションアニメや某有名アーケードゲームのパロディ映像など、遊び心の溢れる映像も並び、監督のセンスが光る名作となっている。

■ボーイ(2010)

『ボーイ』は監督の短編『夜の車/トゥー・カーズ、ワン・ナイト』(後述)を基にした長編映画だ。

祖母の家で暮らす少年・ボーイが出所した父・アラメインとの交流を通して成長する物語。

主人公が自己紹介をする冒頭や手書きアニメーションなど、前作に引き続き、監督の才気溢れる演出は健在だ。

理想の父親と現実のギャップに直面するボーイ。その姿は、まさしく『ジョジョ・ラビット』の主人公・ジョジョの原型とも言える。両作ともに主人公の手本となる大人(今回は父親)を監督本人が演じているのも共通だ。

また、物語には監督自身の父への思いが感じられる。マオリ文化や主人公と父との関係性などは彼のルーツそのものであり、自伝的な一作とも言えるのだ。

マーベル映画ファンにとっては、『ソー:ラブ&サンダー』を彷彿とさせるヤギや町の看板にも注目してほしい一作だ。

■シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア(2014)

『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』は、監督によるヴァンパイア映画のパロディ短編『What We Do In the Shadows: Interviews with some Vampires』を基にした長編映画だ。

ニュージーランドの首都・ウェリントンでシェアハウス生活をするヴァンパイアたち。彼らによるユルいブラックユーモアが見所のフェイクドキュメンタリーとなっている。

コメディタッチの本作では、ダークな展開にこそ監督のカラーが光る。

生き残るためには容赦なく人間を犠牲にするヴァンパイアたちや無残な最期を迎える登場人物、さらに、クライマックスには予想外のシリアス展開が待ち受けている。

全編を通してライトな作風ではあるが、どことなく切なさを感じさせるバランスが絶妙な一作だ。

>>>【関連記事】<解説>『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』モキュメンタリーの魅力

■ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル(2016)

『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』は、孤児・リッキーと里親・ヘクターが思わぬ出来事により、警察に追われることになるロードムービーだ。

過去作に続いて、個性的なキャラクターたちの魅力はもちろん、ニュージーランドの大自然を活かした豊かなロケーションには圧倒される。

ヒューマンドラマからサバイバルもの、ロードムービーや逃走劇といった複数のジャンルを横断しつつ、10章構成にまとまった脚本に惹きこまれる一作だ。

ぶつかりあいながらも信頼関係を築くリッキーとヘクターのコンビは、『マイティ・ソー バトルロイヤル』におけるソーとロキの関係性にも通じている。

■マイティ・ソー バトルロイヤル(2017)

『マイティ・ソー バトルロイヤル』は、監督の出世作となった記念すべき一本だ。

過去にマーベルアニメを多数手がけた脚本家・クレイグ・カイルとクリストファー・ヨストによるシナリオに、コメディやアドリブ演出を得意とするタイカ・ワイティティの作家性が見事に融合。

ファンにはたまらないサプライズ要素や、シリーズのキャラクターたちに待ち受けるドラマティックな展開が印象深い一作となった。

特に主人公のソーには壮絶な運命が待ち受けており、このダークさにこそ、タイカ・ワイティティ作品の真骨頂が感じられるのではないだろうか。

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■ジョジョ・ラビット(2019)

『ジョジョ・ラビット』はアカデミー賞6部門にノミネートされ、脚色賞を受賞したタイカ・ワイティティ監督の代表作である。

ヒトラーそっくりのイマジナリーフレンド(空想上の友達)がいる気弱な少年・ジョジョを主人公に、第二次世界大戦に翻弄される人々や親子愛を描いた感動のヒューマンドラマとなっている。

「父と子」を描いた『ボーイ』とは対になる「母と子」をテーマにした本作で、監督は自身の思いを反映させた。

実は本作の元ネタである小説「Caging Skies」(原題)は、監督がユダヤ系ロシア人の母から与えられたもの。

過去のインタビューで「(幼少期には)まるでピエロのように世界を明るくしてくれた」と母への感謝も述べており、普遍的な戦争ドラマでありながら、監督自身のドラマにもなっているのだ。

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■ソー:ラブ&サンダー(2022)

『ソー:ラブ&サンダー』は前作に引き続き、タイカ・ワイティティがメガホンをとった「マイティ・ソー」シリーズの第4弾。

第3作と異なり、脚本も担当することになった本作では、よりタイカ・ワイティティ節が炸裂する内容となった。

他のマーベル作品と繋がるサプライズは控えめに、あくまで雷神“ソー”の物語にフォーカスした物語では、シリーズの人気キャラクターも復活。

特に過去2作のヒロイン“ジェーン・フォスター”が、新ヒーロー“マイティ・ソー”として登場したことは多くのファンを驚かせた。

子供たちの描写や切なさが残る結末には監督作に共通するテーマも浮き彫りになっており、シリーズ史上最もパーソナルな魅力が感じられる一作となっている。

–{タイカ・ワイティティ監督作品の短編}–

タイカ・ワイティティ監督作品:短編

■夜の車/トゥー・カーズ、ワン・ナイト(2003)

『夜の車/トゥー・カーズ、ワン・ナイト』は、『ボーイ』の基となった短編映画。
駐車場というワンシュチュエーションを舞台に、少年少女の交流が白黒で描かれている。『ボーイ』の劇中では、同様の場面が再現されている。

■Tama Tū (2004)

Tama Tū

『Tama Tū』(原題)は、第二次世界大戦のヨーロッパを舞台に、戦いに備えて銃を構えるマオリの軍隊を描いた短編映画。

実在の軍隊に敬意を表した本作では「過酷な状況下におけるユーモア」という監督作品の根幹ともいえるテーマが確認できる。

■What We Do In the Shadows: Interviews with some Vampires(2005)

『What We Do In the Shadows: Interviews with some Vampires』(原題)は、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』の基になった短編映画。

長編版のメインキャストはそのままに、予算の都合からより自主制作という趣を感じる作品となっている。

多くの場面が長編版でセルフリメイクされているが、インタビュー要素が強い本作では質問のテロップが画面に映し出される場面が登場する。

■Last Night(2010)

本作は「夢」をテーマにしたオムニバス作品『42 One Dream Rush』(2010)の1編。

42秒の作品が集まった本作では、ある夜、睡眠中に幽体離脱をする男の様子をCGなしのアナログ演出で表現している。

デイヴィッド・リンチやレオス・カラックスといった名だたる監督陣の中でも、確かな存在感を発揮した。

■Coca-Cola: The Letter(2020)

2020年には、コカ・コーラ社のCMを制作したことでも話題になった。

クリスマスを舞台にした本作では、愛する娘のためにサンタクロースを探す父親の大冒険を描いている。

2分30秒という制限の中で壮大なスケールかつ心温まる「父と娘」のドラマを完成させた点には、監督の職人技を感じることが出来るだろう。

■Lucid Odyssey(2020)

同年には人気ゲーム機・XboxのCMも手掛けている。
実在のゲーマー“MoonLiteWolf”が見た夢を映像化した本作では、ファンタジックな世界観を表現。
ゲームファンには嬉しいサプライズゲストの登場を経て、監督らしいコミカルなオチへと辿りつく内容が魅力的だ。

また、このほかにも『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを再現した『壮大すぎる機内安全ビデオ』(2014)や、『マイティ・ソー』シリーズのフェイクドキュメンタリー『“チーム・ソー”結成』(2016)などを監督している。

これらの作品は、以下の記事で紹介しているので、是非チェックしていただきたい。

>>>【関連記事】<解説>『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』モキュメンタリーの魅力

>>>【関連記事】幻のスピンオフシリーズ「マーベル・ワンショット」の魅力

タイカ・ワイティティ監督作品:ドラマ

タイカ・ワイティティが初めてドラマのメガホンをとったのは「Flight of the Conchords」(原題)だった。

本作は盟友・ジェマイン・クレメントが所属するミュージカルコメディデュオを主演にしたシットコムで、監督は4エピソードを担当。

担当回の第10話に登場する「Broadway Musical」という楽曲では、「マイティ・ソー」シリーズにも繋がる“茶番演劇”の原点を垣間見ることが出来る(その他の楽曲も公式チャンネルから鑑賞することが可能)。

続いて、とある街に住む愉快な5人を描いた群像劇「Super City」では、シーズン1の全6話を監督。

その後「思春期まっただ中」では、シーズン1の5エピソードを担当した。

また、ドラマ版「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」では、3エピソードを監督。
シリーズ初回と最終回でドラマの方向性を定めつつ、第7話ではヴァンパイア作品への愛を詰め込んだサプライズ要素を盛り込み、映画版とのクロスオーバーも実現させた。

ドラマ作品における彼の手腕が発揮されたのが「マンダロリアン」最終回であろう。
劇中でドロイドIG-11の声優も担当した彼は、お得意のユーモアで人間らしいアンドロイドを熱演。
最終回ではキャラクターにドラマティックな展開を与え、見事なシーズンフィナーレを演出した。

そして、彼のドラマ最新作が「海賊になった貴族」である。
監督を務めたのは第1話のみであり、タイカ節は薄いのかと思いきや、3話以降は重要キャラクター“黒ひげ”として登場。

物語の中核を担う人物として、必要不可欠な存在となっている。

タイカ・ワイティティ監督作品:待機作

タイカ・ワイティティには、現時点(2022年7月)で公開が期待される多数の監督作が発表されている。

『Next Goal Wins』(原題)は、同名タイトルのサッカードキュメンタリーが基となったスポーツコメディで公開待機中。

ビッグプロジェクトとしては、『スター・ウォーズ』の最新作やハリウッド実写版『AKIRA』、スカーレット・ ヨハンソンが主演する人気ディズニーアトラクションの映画化『タワー・オブ・テラー』などが予定されている。

また、ホドロフスキーとフランスコミック界の巨匠・メビウスとのコラボ作品「L’INCAL アンカル」の実写化なども控えており、まさに多忙を極めている。

そのほか映画以外では、『バンデットQ』のドラマ版、『チャーリーとチョコレート工場』を基にしたアニメシリーズなどの制作も予定しているとのことだ。

–{タイカ・ワイティティの出演作}–

タイカ・ワイティティ出演作品

キャリア初期

『イーグルVSシャーク』(C)Whenua Films 2006

キャリア初期には『Scarfies』(原題)、『Snakeskin』(原題)、『Futile Attraction』(原題)といった低予算映画の脇役にタイカ・コーエン名義で出演していたタイカ・ワイティティ。
彼は自身の監督作で俳優としての頭角を表すこととなる。

主人公の兄としてカメオ出演した『イーグルVSシャーク』以降、『ボーイ』では主人公の父親、『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』で吸血鬼・ヴィアゴ、『ジョジョ・ラビット』で主人公のイマジナリーフレンドと、メインキャラクターを続投している(ちなみに『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』では、ブラックユーモア溢れる牧師役として出演)。

マーベル映画での出演

(C)Marvel Studios 2017 All rights reserved.

また、マーベル映画では『マイティ・ソー バトルロイヤル』から、岩石の巨人・コーグをコミカルに演じている。

コーグは、コミックでは“ソー”初登場時の悪役として、「Planet Hulk」(『マイティ・ソー バトルロイヤル』の原作)の脇役として登場したマニアックなキャラクター。

しかし、映画ではソーの愛すべき友人として『アベンジャーズ/エンドゲーム』、『ソー:ラブ&サンダー』にも続けて登場し、シリーズの人気キャラクターとなった。

近年の活躍

近年では『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)と『フリー・ガイ』(2021)にも出演。

『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』では、わずか数秒の出演ながらも物語の根幹を支える重要キャラとして登場。脇役ながらも豪華キャストに負けず劣らずの圧倒的な存在感を放っていた。

『フリー・ガイ』では、主人公に立ちはだかるゲーム会社の社長アント・ワンを快演。唯一無二のコメディセンスで憎めない悪役を演じきっている。

ちなみに、本作で主演を務めたライアン・レイノルズとは、『グリーン・ランタン』(タイカ・ワイティティは主人公の親友役として登場)で共演して以来の友人。
コミカルでサービス精神が旺盛な2人は、本作のプローモーションでもユニークな映像を多数発表した。

この他、日本未公開作では2018年に『Seven Stages to Achieve Eternal Bliss』(原題)にも出演している。本作は、いわくつきのアパートに引っ越した1組のカップルによるブラックコメディ。
劇中で謎の男・Storsh役を演じた彼は、歌唱シーンも披露している。

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声優としての活動

© 2021 Marvel

マーベルのアニメシリーズ「ホワット・イフ…?」の第7話「もしもソーがひとりっ子だったら?」でコーグを続投しているほか、ディズニー・ピクサーが手掛けるアニメ映画『バズ・ライトイヤー』では、モー・モリソン役の声を担当。

『トイ・ストーリー』シリーズのスピンオフとなった本作では、主人公・バズを手助けするへっぽこ分隊の一員として、物語を盛り上げている。

また、動物実験廃止を求めるコマ撮り短編アニメーション『Save Ralph』では、主人公・ラルフの声も担当。

トラウマ必須な過激描写が登場するため、鑑賞時にはくれぐれも注意してほしいが「過酷な状況下におけるユーモア」という要素は監督作のテーマにも通じている。

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–{まとめ}–

まとめ

『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(C)Shadow Pictures Ltd MMXIV

本記事では、タイカ・ワイティティ作品の魅力を解説した。

独特のユーモアによって多くの人々の支持を集める人物・タイカ・ワイティティ。しかし、その根底には過酷な現実に立ち向かう意志が感じられるのではないだろうか。

複雑な家庭環境や登場人物に待ち受ける悲劇、戦争の恐ろしさや大切な者との別れ。タイカ作品で描かれる主人公たちは、残酷な現実をユーモアによって乗り越えていくのだ。

また、タイカ・ワイティティの作品からは“さまざまな愛”を感じることができる。
友情や愛情、人と人との信頼関係。それは複雑な少年時代を経験し、紆余曲折の人生を通して、「愛」に向き合った彼だからこそ描けるテーマなのかもしれない。

仕事のオファーが絶えず、今後も多数の映画制作を控えている人気監督・タイカ・ワイティティ。
彼がこれからの作品でどのようなメッセージを導きだしていくのか。

1人のファンとして、これからの活躍にも注目していきたい。

(文:TETSU)