「ちむどんどん」:哀愁に満ちた中間管理職・田良島が「青春しちゃえよ」と言うけど「わじわじする」恋愛編

続・朝ドライフ

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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第57回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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このままでいいのかいけないのか

「まるで『この完璧な結婚話に対する僕の漠然とした焦燥感の根拠を言い当ててほしい』とでも言いたげだな」(田良島)

すごいです。第12週・恋愛編のすべてを田良島(山中崇)のこのセリフがまとめています。

交際6年ほど、完璧な恋人・愛(飯豊まりえ)との結婚話が和彦(宮沢氷魚)を悩ませます。でも彼は「問題のないことが問題」と悩んでいます。なんじゃそりゃ。

マリッジブルーーーこのままでいいのかいけないのか結婚前に悩むのはフィクションでは女性が多かったですが、男性のマリッジブルーは珍しいです。

このままなんの障害もない人生はつまらない。燃える障害がほしくて、突然、暢子(黒島結菜)を意識しはじめてしまうということなのでしょうか。

突然ではなくもともと子どもの頃、淡い恋心未満のようなものを和彦は暢子に感じていたことは確かです。

優等生だった和彦が人生の泥水を飲むを体験する。それが暢子との恋?ってことになりそうです。なにしろ『ちむどんどん』は”自分らしく生きる”がテーマのようなので、
和彦が30歳を前に、ほんとうの自分に向き合おうとしているわけですね。そのために、愛との穏やかな交際から結婚をぶっ壊す流れになりそうで、物語とはいえ、暢子的に言えば「わじわじ」します。

ただ、愛も、ほんとうは結婚よりも仕事がしたい、やりたい仕事があることを第56回で暢子に漏らしていました。予想としては、和彦も愛も、自分の進む道にこれでいいのかと問いかけて、ほんとうの自分に出会うことになるのでしょう。

田良島は、ラーメンを食べながら、和彦の悩みを無理やり聞き出し、「ちゃんと悶え苦しめ」「青春しちゃえよ」と焚き付けます。

田良島はいつもかっこいいですが、ラーメンを潔くすすらないで弄ぶように箸をつけるだけのことが残念。撮影のつながりがあるから食べられないのでしょうかね。美味しそうに食べるカットがあるドラマが好きです。

暢子は、沖縄の同級生の早苗(高田夏帆)まで結婚(しかも同郷)すると知って、びっくり。その早苗から智(前田公輝)の暢子への恋ごころを聞いてさらにびっくり。
ついに智を意識しはじめます。

智の誘いで、おやすみの日、フォンターナでランチすることになった暢子。智はスーツ、暢子はワンピース。たまにはお客さん目線で店の味を食べたいという理由で知ってる人たちに見守られてのデート。こういうときは「ありえん」を使えばいいでしょうか。

そこへ和彦と愛までランチを食べに来てーー。ふたりの視線を感じながら、智にプロポーズされそうになり「まずい!」と叫んでしまいます。

喜劇の舞台にフォンターナが必須。でも、フォンターナが銀座の高級レストランとは思えない、気軽に立ち寄れるバールみたいな扱いに見えるんですよね。東洋新聞社の人たちがしょっちゅう来ているし。文化人の集まる洒落た社交場という意味合いもあるのかなあとも思いますが、東洋新聞の一部の人しか来ないから、東洋新聞御用達の店という感じでしょうか。

平日も休みもフォンターナ、接待もフォンターナ。他にセットが作れない制作事情はわかります。だからたいてい朝ドラのたまり場は無難な喫茶店なんですよね。今回は、
高級レストランという設定なのが、いろいろ不自然さを醸してしまいます。

暢子と和彦の関係も”自分らしさ”のためという感じで、作り手がやりたいことを貫こうとするあまり、無理にやりたいことに話を寄せていっているように感じてわじわじします(わじわじ感じ過ぎ、もっとちむどんどんしたーい)。

強引ではなく、周囲にも配慮した上で、自分らしさを貫きたいものです。

(文:木俣冬)

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–{「ちむどんどん」第12週目のあらすじ}–

「ちむどんどん」第12週目のあらすじ

暢子(黒島結菜)は、房子(原田美枝子)と二ツ橋(髙嶋政伸)に見守られ順調に料理人として成長していた。沖縄のやんばる地域では、良子(川口春奈)と石川(山田裕貴)のふたりが、別居状態。夫婦の問題を抱えたまま和解することができずに過ごしていた。ある日、暢子はひょんなことから和彦(宮沢氷魚)と愛(飯豊まりえ)が、まもなく結婚するのでは、ということを知ってしまい、もやもやした今まで経験のない感情に襲われてしまう。

–{「ちむどんどん」作品情報}–

「ちむどんどん」作品情報

大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――

ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。

放送予定
2022年4月11日(月)~

<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。

日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。

<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。

出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人

作:
羽原大介

語り:
ジョン・カビラ

音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)

主題歌:
三浦大知「燦燦」

沖縄ことば指導:
藤木勇人

フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子

制作統括:
小林大児 藤並英樹

プロデューサー:
松田恭典

展開プロデューサー:
川口俊介

演出:
木村隆  松園武大 中野亮平 ほか