「ちむどんどん」第52回:暢子がシェフ代行に選ばれた理由は房子の身内びいきなのか

続・朝ドライフ

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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第52回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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労働者諸君!

暢子(黒島結菜)が土日の2日のみシェフ代行に選ばれはりきるも、同僚たちからは矢作(井之脇海)のみならず、全員、身内びいきと否定的に捉えられてしまいます。

孤立する暢子をカメラがどんどん引いていくことで表現。これはよくある手法ですがうまく使っていますね。

暢子、さてどうする? と思ったところーー話は一旦、沖縄の良子(川口春奈)のターンへ。良いか悪いかは別として斬新な構成だなと感じます。暢子がどうなるか早く続きが見たいのに、違う人の話しがはじまってしまうのですから……。流行りの早送りを無意識にやってしまった?と思うほどであります。

その良子ですが、博夫(山田裕貴)が迎えに来て、うちは封建的な家で長男でと同じことを繰り返し、でも腹をくくって説得すると言いますが、良子は信用していません。

「理想主義者って案外芯が弱いんだよね」(良子)

あー、これは確かにそのとおりかもしれません。この当時、社会運動をやっていた人は単に流行に乗っていただけで、時代が変わったらすっかり思想も変わってしまっている人はたくさんいます。

理想とはそれを真実にすることに意義があるものですが、声高に語るだけのものになってしまいがち。

これを「ちむどんどん」に結びつけて考えると、比嘉家は理想(自分のほんとうにやりたいこと)を実現することを模索しています。

目下、暢子だけはお父さんにもそのままでいいと言われているので、思い通りに生きていますが、良子や歌子はそれができずに迷っています。良子の場合、夫・博夫が壁になっています。賢秀(竜星涼)も自分の好きにやっていますがうまくはいっていません。ただ、意に沿わないことはやってないので、あとはそれがうまくいくだけです。

自分の理想を貫けるか問題は和彦(宮沢氷魚)にも及びます。

暢子がシェフ代行をやっている店に和彦が愛(飯豊まりえ)と田良島(山中崇)と編集局長・笹森哲也(阪田マサノブ)の4人で訪れますが、編集局長と揉めてしまいます。新聞広告が批判されたので、それに対する意見の記事を書こうとして叱られるのです。

「議論することを止めたら新聞は」(和彦)

「俺はサラリーマンである前にひとりの人間だ」(和彦)

和彦は若き日の博夫的な理想を語ります。和彦は博夫とは違う、言うだけではなく行動が伴うでしょうか。暢子のターンに良子のターンがさし挟まった構成の意味は、博夫と和彦の対比のためでしょう。

問題になった「おいしいごはんをつくるのはお母さんの仕事」という広告は、2021年にあった、ファミマの「お母さん食堂」のネーミングにジェンダーバイアスが助長されると高校生が抗議した問題を思い出させます。ちょっと時代を先取りし過ぎ……な気もしませんが、70年代は女性問題が盛んに語られていた時代なので、こういう意見が出たこともあったかもしれません。

ここで興味深いのは、料理は女性だけが作るわけじゃないことに関して議論しているときに、暢子がシェフ代行で「この店の責任者です」と言って出てくると局長が「生意気な」と言うのです。家庭ではお母さんが料理するものと思い込んでいるけれど、社会というレストランでは男性が料理の中心になっています。矛盾ですよねえ。

(文:木俣冬)

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–{「ちむどんどん」第11週目のあらすじ}–

「ちむどんどん」第11週目のあらすじ

暢子(黒島結菜)は、房子(原田美枝子)のレストラン「アッラ・フォンターナ」でシェフの二ツ橋(髙嶋政伸)に見守られながら修業を続け、厨房ちゅうぼうの花形「ストーブ前」をこなせるまでに成長していた。そんなある日、二ツ橋が大けがをして入院するという大事件が起こる。二ツ橋を失った厨房は大混乱。退院までの1か月、厨房の司令塔・シェフの役割を誰が代わりに担うのか。房子が二ツ橋と相談して選んだ「シェフ代行」は…。

–{「ちむどんどん」作品情報}–

「ちむどんどん」作品情報

大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――

ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。

放送予定
2022年4月11日(月)~

<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。

日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。

<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。

出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人

作:
羽原大介

語り:
ジョン・カビラ

音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)

主題歌:
三浦大知「燦燦」

沖縄ことば指導:
藤木勇人

フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子

制作統括:
小林大児 藤並英樹

プロデューサー:
松田恭典

展開プロデューサー:
川口俊介

演出:
木村隆  松園武大 中野亮平 ほか