<鎌倉殿の13人・源平合戦編>第1話~10話までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

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2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。

cinemas PLUSでは毎話公式ライターが記事を執筆しているが、本記事では源頼朝の挙兵から源平合戦幕開けを中心に描いた1話~10話までの記事を集約。1記事で解説を読むことができる。

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  1. もくじ
  2. 第1話ストーリー&解説
    1. 第1話のストーリー
    2. 第1話・超簡潔ストーリー解説 
    3. 第1話・歴史事象を交えた解説
    4. 伊東祐清は、なぜ監視役だったのか
    5. 源頼朝は、なぜ人々を魅了したのか
    6. その後、源頼朝や八重、子供はどうなったのか
    7. 第2話へ向けてどういう動きとなったのか
  3. 第2話ストーリー&解説
    1. 第2話のストーリー
    2. 第2話・超簡潔ストーリー解説 
    3. 佐殿の本音が現れるまで
  4. 第3話ストーリー&解説
    1. 第3話のストーリー
    2. 第3話・超簡潔ストーリー解説 
    3. 二度目の挙兵検討(Go! ) 
  5. 第4話ストーリー&解説
    1. 第4話のストーリー
    2. 第4話・超簡潔ストーリー解説 
    3. その1:まずは「いつ」「誰に」戦を挑むか、から
    4. その2:人が集まらない!そこで佐殿は…
    5. その3:ターゲットは本当に館にいるのか?
  6. 第5話ストーリー&解説
    1. 第5話のストーリー
    2. 第5話・超簡潔ストーリー解説 
    3. その1:山木と堤を討つ事に成功!
    4. その2:次なる敵は大庭景親、戦の地は石橋山!
    5. その3:挟み撃ちを挟み撃ちされそうになる!?
    6. その4:挑発合戦の末に戦闘開始も…
    7. その5:ご本尊を取りに行く北条宗時…そこで約束が交わされた
  7. 第6話ストーリー&解説
    1. 第6話のストーリー
    2. 第6話・超簡潔ストーリー解説 
    3. その1:勢いづく大庭勢
    4. その2:佐殿危機一髪!パート1
    5. その3:武田信義に頼るも…
    6. その4:佐殿危機一髪!パート2
    7. その5:政子VS八重→そして真実を知る八重
    8. その6:佐殿危機一髪!パート3からの重なる「悪い知らせ」
    9. その7:佐殿再び立つ!
  8. 第7話ストーリー&解説 
    1. 第7話のストーリー
    2. 第7話・超簡潔ストーリー解説
    3. その1:上総広常がキーとなる
    4. その2:上総広常に交渉、意味深な梶原景時
    5. その3:伊豆山権現での一騒動
    6. その4:苛立つ佐殿
    7. その5:運試しされる佐殿
    8. その6:わざと遅刻する上総広常
  9. 第8話ストーリー&解説
    1. 第8話のストーリー
    2. 第8話・超簡潔ストーリー解説 
    3. その1:佐殿軍は3万に膨れ上がる
    4. その2:武田信義協力、畠山重忠寝返る
    5. その3:梶原景時、見切りをつける
    6. その4:上総広常、教養の無さが露呈
    7. その5:源義経完全にヤバい奴
    8. その6:鎌倉入り、しかし…
  10. 第9話ストーリー&解説
    1. 第9話のストーリー
    2. 第9話・徹底解説
    3. 伊東祐親と八重の処遇
    4. 平維盛、進軍
    5. 黄瀬川の戦いはまさかの結末に
    6. しんの援軍
    7. 義経との出会いが頼朝に勇気を与える
  11. 第10話ストーリー&解説
    1. 第10話ストーリー
    2. 第10話・徹底解説
    3. 源頼朝の思惑・藤原秀衡の思惑
    4. 後白河法皇の企み
    5. 大庭景親の処刑
    6. 八重と義時:1
    7. 4兄弟が揃う
    8. 江口のりこ劇場
    9. 常陸攻め
    10. 八重と義時:2
    11. 兄弟も揃い機運も高まる

もくじ

・第1話ストーリー&解説

・第2話ストーリー&解説

・第3話ストーリー&解説

・第4話ストーリー&解説

・第5話ストーリー&解説

・第6話ストーリー&解説

・第7話ストーリー&解説

・第8話ストーリー&解説

・第9話ストーリー&解説

・第10話ストーリー&解説

第1話ストーリー&解説

第1話のストーリー

1175年、平清盛(松平健)が大権力者として君臨していた日本。伊豆の地では、北条義時(小栗旬)が兄・宗時(片岡愛之助)、姉・政子(小池栄子)らとのんびり暮らしていた。しかし、流罪人・源頼朝(大泉洋)が義時の幼なじみ八重(新垣結衣)と恋仲になり、男児が生まれたことで状況は一変。清盛から頼朝の監視を任されていた八重の父・伊東祐親(浅野和之)は激怒する。頼朝が姿をくらます中、北条家にも捜索命令がくだり……

第1話・超簡潔ストーリー解説 

第1話「大いなる小競り合い」の物語を一言で表すならば、以下のような物語である。

役者名で表現すると
→大泉洋をとっ捕まえる事を巡って、おっさんたちが小競り合い。それに意図せず巻き込まれる小栗旬。

歴史的に表現すると
→源頼朝を巡り、伊東祐親らと北条宗時らが対立。何の意思もなく、宗時の弟で主人公の北条義時は巻き込まれていく。

本作の主人公は北条義時だが、源頼朝を巡る物語から始まる

事の発端は、源頼朝が八重との間に子を授かったことから。八重は新垣結衣が演じる。

それにブチギレたのが、伊東祐親という人物。八重の父親である。

実は源頼朝は、流刑によってこの地に流れてきた罪人である。しかもその罪人の監視役が伊東祐親だったのだ。

つまり、自分の娘と、自分が監視する罪人が、自分が留守にした3年の間に(=上洛してお仕えしていた間に)子を授かっていたわけである。

うん、私でもこれはブチ切れる。

で、どうなったかと言うと、源頼朝の所在が不明に!北条宗時ら、源頼朝を密かに慕う人物たちが匿っていたのだ。

ここで初めて「北条」が出てきたわけだが。

北条宗時は、主人公北条義時の兄である。彼らの父、北条時政は伊東祐親の娘と結婚し、生まれたのが、北条宗時、北条政子、北条義時(=主人公)、北条実衣である。

つまり、主人公のお祖父ちゃんは源頼朝を追い、主人公のお兄ちゃんが源頼朝を匿っているのである。しかも伊東祐親の次男である伊東祐清は、源頼朝を匿うことに協力している。

伊東家と北条家という親戚関係にあるふたつのお家が、源頼朝を巡って「大いなる小競り合い」をする。そんな状況などつゆ知らず、主人公の北条義時は、兄の宗時に半ば命令されて源頼朝の保護に駆り出される。

これが「鎌倉殿の13人」の超簡潔ストーリーである。地獄絵図とはこの事かと言わんばかりである。

第1話・歴史事象を交えた解説

超簡潔ストーリー解説である程度の概要は理解頂けたと思うが、少しばかり歴史的な事象も肉付けしていきたい。

伊東祐清は、なぜ監視役だったのか

第1話の「大いなる小競り合い」は、1175年(安元元年)の話である。この頃、京の都では朝廷の治天の君・後白河法皇と良好な関係を築いた平家(平清盛)が全盛期と言っても過言ではない勢いで世を支配していた。

その平清盛の嫡男(息子)・重盛の家人であったのが伊東祐親なのだ。つまり、平清盛には忖度どころか何でも従う。それが伊東祐親である。

1159年(平治元年)の平治の乱で源頼朝は捉えられ、伊東の地へ流刑となった。それを行ったのは平清盛。つまり、平清盛が、自分の息子に仕えていた伊東祐親に「監視せよ」と命じたため監視役となったのだ。

なお、当時の流刑は牢獄に捕らえるというものではなく、制限下で生活をさせるというもの。そのため、源頼朝には生活をある程度自由にする権利は与えられていた。ただ、まさか自分の娘と子を作るようなことは想像していなかったはず。

ブチギレたのも無理はない。

源頼朝は、なぜ人々を魅了したのか

源頼朝は、八重だけでなく人々を魅了させるだけの華があった。実際この後、主人公・北条義時の姉の政子と結婚する運びともなった。北条政子は一目惚れで「ぞっっっっっこん」となっていた。

また男女の中に限らず、北条宗時や北条時政らも、源頼朝に心酔。第1話ではまだイマイチ魅力に気付いていない、北条義時も結果として仕えていく流れとなる。

これはやはり源氏の血を引いているその厳かさが要因と考えられ、実際第1話の映像を見ても、ギャグ要素を挟みつつも北条家や伊東家にはない魅力を感じた。「祐親を殺せ」というシーンなどでの威厳は相当なものであった。

おそらくこの魅力は第1話のみではまだ説得力を完全には持たない。今後の積み重ねで我々視聴者にも説得力を持って示されるはずだ。

その後、源頼朝や八重、子供はどうなったのか

源頼朝と八重は、第2話以降複合的な要因で離れる事となる。問題はその子供の千鶴丸、彼は殺されてしまった。八重には出家させたと嘘がつかれているのはせめてもの救いか。

ただ、主人公・北条義時は八重の事を好いていたが、源頼朝にぞっこんな一面を見せつけられ不憫だなと思った次第だ。

第2話へ向けてどういう動きとなったのか

第1話の最後は、源頼朝を逃すところで終了した。物語的には主人公・北条義時が予期せぬ出来事に巻き込まれる序章が描かれた格好だ。それはもちろん、今後の「鎌倉殿の13人」の主人公に達していく序章という意味合いだが、世の中的にも大きな渦が巻き起ころうとしていた。

第1話では、平清盛と後白河法皇は蜜月の関係だったが、この関係も後に悪化する。

また、奥州では藤原秀衡の保護のもと、頼朝の異母兄弟である源義経が暮らしていた。

全てはここから動き始める。

そんな期待を感じさせる第1話であった。

※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&解説}–

第2話ストーリー&解説

第2話のストーリー

罪人・源頼朝(大泉洋)を処断しようと兵を率いて迫る伊東祐親(浅野和之)。しかし、北条義時(小栗旬)の父・時政(坂東彌十郎)が頼朝をかばって対立。両勢力が一触即発の状態となる中、平清盛(松平健)を後ろ盾に相模の武士団を束ねる大庭景親(國村隼)が現れる。一方、目まぐるしい展開に振り回される義時は、姉・政子(小池栄子)らの助けを受けて頼朝と富士の山すそにいた。だがそれもつかの間、弓矢が放たれ緊張が走る……

第2話・超簡潔ストーリー解説 

第2話「佐殿の腹」の物語を一言で表すならば、

役者名で表現すると
→小栗旬、今度は板挟みの受難!再会を巡る「大泉洋⇔新垣結衣」、挙兵を巡る「大泉洋⇔片岡愛之助」の意見相違に翻弄される!

歴史的に表現すると
→北条義時、巻き込まれの次は板挟み!再会を巡る「源頼朝⇔八重」、挙兵を巡る「源頼朝⇔兄・宗時」の意見相違に翻弄される!一方で普段本音を言わない佐殿=源頼朝だが、その腹の中では、「打倒平家」を考えていたことが明らかになる。

そんな物語である。

そもそも論だが、第1話の最後は何も決着が付いていなかった。

北条の館では伊東祐親率いる伊東家と、北条時政、北条宗時ら北条家がにらみ合いをしたままだった。

このままどうなるのか。そんなところに、(都合よくと言うと失礼だが)両家とも「この人の話なら頭を下げてちゃんと訊く」有力者が現れた。

その名は大庭景親。

大庭景親は相模の有力者であり、伊豆半島の有力者である伊東祐親でさえ全然太刀打ちできぬ人物である。彼により仲裁が行われることとなった。

その場で大庭景親は、伊東祐親にもさまざまな落ち度があったのでは無いかと指摘する。言われてみれば当然だが、監視役がちゃんと監視をしていなかったから源頼朝と愛娘・八重との間に子供が生まれる事態となったわけだ。

そうなると、喧嘩両成敗ではないが、条件を付けて和解をするしかない。

条件はそれぞれ痛み分けとなるよう2つ。

(1) 源頼朝は、北条家で預かる(=伊東はもう源頼朝と関わらない・追わない)

(2) 八重と源頼朝は二度と合わない(=伊東はもう2人の仲を心配する必要はない)

これが取り決められた。

一方、富士の麓まで逃げた北条義時と源頼朝

そこで、源頼朝の乳母をしていた人物を母に持つ、山内首藤経俊と出会い、今後のサポートなどが取り交わされた。

夜遅くになり、北条家へ帰還した2人であったが、大庭景親の仲裁により源頼朝は客人扱いとなった。

これで「晴れて挙兵じゃ!」などとなるわけではなく、この源頼朝の客人扱い=自由の身であることを一番喜んだのは間違いなく北条政子であった。

第1話でもそうだったが、はしゃぐ政子も面白いが、それを冷めた目で見る妹の実衣が個人的にはツボだったりもする。

ひとまず、第1話から続いてきた小競り合いはこれにて終了である。

ここからは、第2話のタイトルである「佐殿の腹」=源頼朝の本音が表に出るまでの話を振り返っていこう

佐殿の本音が現れるまで

その後の物語だが、前述の通りで主人公・北条義時は板挟みとなる。

まずは「源頼朝⇔八重」の板挟みについて。

八重は、大庭景親の仲裁により源頼朝との仲を引き裂かれ、別の者(江間次郎)の元へ嫁ぐこととなった。しかし、八重は最後にひと目源頼朝に会いたいとのことで、兄・宗時に頼まれその密会の場を義時がセッティングした。

しかし、肝心の源頼朝は行かない・会わないと言ったのだ。

「今更、会ってどうなる。時の流れに逆らうものではない。わしは行かぬ」

結果この密会は実現せず。兄に頼まれ仕方なくセッティングしたのに、板挟みとなった上に、プランすら崩壊する。義時相変わらずかわいそうである。

義時の受難はそれでは終わらない。兄・宗時は、源頼朝に挙兵してもらい平家討伐への第一歩を期待していた。源頼朝はそんな宗時の願いを把握しており、義時経由でその気はないと伝言を頼んだ。

「そなたの兄に伝えてほしい。わしに多くを望むな。わしは、兵など挙げん。戦は苦手じゃ」

第1話と合わせての話になるが、義時はここまで完全に巻き込まれているだけである。自分の意思で密会の場を作ったわけでもなく、挙兵なんて1ミリも願っていない。

なのに全部義時に負荷がかかっている。「佐殿の腹」とのタイトルの第2話だが、「義時またしても受難」でもいける内容だと文章を紡ぎながら思った次第である。

その後、源頼朝は心変わり早く、北条政子と三島へデートへ出かけた。

そこで源頼朝は心の内を少し明かした。

源頼朝「父が戦で死んだ後、14で流罪となった。八重だけが支えてくれたが、結局は苦しめてしまった」

北条政子「あの方の代りはできませぬ。でも、佐殿を私なりにお支えしとうございます」

2人の気持ちが通い合った瞬間と言っても過言ではないだろう。

改めて義時に戻ろう。義時は気が進まぬも、兄・宗時に伝言を伝えた。しかし、宗時は落胆することもなくこう言った。

「武家の棟梁になるお方は、本心を明かさぬな」

一見楽観主義の兄に映るが、これは完全に伏線であった。

その後、義時が北条の館へ戻ると、父・時政の新しい妻・りくが到着していた。

りくは今後存在感を増していくことになるだろう。

一方で、北条政子は伊東の館へ出向いていた。八重と対面し、完全なる宣戦布告というか通達を行った。

北条政子「佐殿が必要としてるのは、私であり八重殿ではない」

八重「思いを断ち切ることはできない。だが思いを断ち切る努力はする」

北条政子の気の強さ、八重の悲しき境遇、双方の人物像が掘り下げられた緊張感のあるシーンであった。

・伊東家と北条家の和解

・源頼朝が自由になる

・二重で板挟みになる義時

・源頼朝と北条政子が結ばれる

・北条政子が八重に一種の勝利宣言

様々なことが起きた第2話であったが、その最後の締めは緊張感のあるものであった。

源頼朝「伊東家は期待外れに終わり、幸い北条家が現れた。わしは挙兵して清盛を倒し、この世をただし、法皇さまの役に立つことだ。そのためには、政子が北条が欠かせぬのだ」

第1話でも源頼朝の恐ろしい一面は垣間見えたが、義時が直面したのは初めてである。

義時の心が初めて大きく揺れた瞬間であったことは間違いないであろう。

まだ伊豆半島を中心とした小さな物語であるが、世を動かす平清盛と後白河法皇は蜜月の関係も終焉が見え始めた。

大きな物語と小さな物語が徐々に結びついていく。それが結びついた後、平家の世が滅びるカウントダウンが始まり、鎌倉殿へのカウントダウンも同時に始まるのだ。

コメディ要素を中心に否定意見も垣間見られるが、映画もドラマも好きな人が好きに楽しむべき娯楽だ。楽しんでいる身からすればワクワクが止まらない。来週も楽しく視聴したい次第だ。

※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&解説}–

第3話ストーリー&解説

第3話のストーリー

治承4年(1180)4月、源頼朝(大泉洋)と引き離された八重(新垣結衣)は伊東祐親(浅野和之)の家人・江間次郎(芹澤興人)の元へ嫁がされていた。対岸の江間館を見つめる北条義時(小栗旬)。そんな折、頼朝の叔父・行家(杉本哲太)が北条館を訪ねてくる。怪しがる政子(小池栄子)。しぶしぶ対面する頼朝だが、行家は平清盛(松平健)へ反旗を翻した後白河法皇(西田敏行)の御子・以仁王(木村昴)の令旨を携えていた……

第3話・超簡潔ストーリー解説 

第3話「挙兵は慎重に」の物語を一言で表すならば、

役者名で表現すると
→ジャイアンの声優でもある木村昴から大泉洋へ挙兵のお誘い。でもこれはうまくいかないと思って大泉洋は却下!その後、「釣りバカ日誌」ハマちゃんこと西田敏行からのお誘いには大義名分があるとそれを受諾!第4話はいよいよ戦に突入していく。※「釣りバカ日誌」で西田敏行さんは、往年の三國連太郎さんとのタッグではハマちゃん役。その後の濱田岳さんとのタッグではスーさん役です。

歴史的に表現すると
→以仁王と源頼政からの挙兵の誘いに、佐殿(源頼朝)は乗らず。その後、後白河法皇直々の誘い(お助け願い=密旨)には乗ることに。タイトル通り慎重に挙兵を検討する回となった。

今回の第3話は伊豆半島ではなく京での動乱がきっかけとなる。

蜜月関係を築いていた平清盛と後白河法皇との間に隙間風どころか突風が吹き荒れ、後白河法皇は幽閉されることに。

これを契機に、後白河法皇の子である以仁王の挙兵が起きるなど世が不安定になっていくことに。

以仁王の挙兵には源頼政がサポートに入っていた。源氏の中でも平家寄りの人物ではあったが寝返る形に。こうなると当然佐殿(源頼朝)に挙兵の誘いが来るのは自然なことである。

ちなみに、なぜ蜜月だった平清盛と後白河法皇との見解が悪化したかと言うと、一日〜二日で悪化したとかそういう話ではない。

実は、平清盛の妻と後白河法皇の妻は姉妹であった。

こうなると、お互いがお互いを不満に思っていてもなかなか手出しはできないものである。

しかし、ある日後白河法皇の妻である平滋子が亡くなる。そして後白河法皇側の人間たちが平家の横暴を抑制させねばと集まった「鹿ヶ谷の陰謀」も明らかとなり、平清盛側からすると後白河法皇を丁重に扱う意義が無くなった。

歴史的にはここを数万字で語っても面白いのだが、「鎌倉殿の13人」ではサイドストーリーではあるため超要約で恐縮だが、こういった一連の流れで幽閉へと話が進んだわけである。

そんな平家の横暴と実の父を幽閉されたことから挙兵したのが以仁王である。以仁王は下記の家系図の通り天皇になれなかった人物だ。それ故に挙兵で自らの地位の向上も考えていたと推測がされる。結果は後ほど改めて記すが失敗に終わり悲劇の人物と言っても過言ではない。

そんな以仁王からの挙兵の誘いを受けた佐殿だが、慎重に検討した結果挙兵には応じないことに。

理由は大きく2つ。

(1)源頼政では人はついてこない(以仁王をサポートしている源氏方)

(2)挙兵するなら棟梁として自ら率いる(第2話で義時に伝えた通り)

その後、この挙兵は平家方に早々にバレてしまい鎮圧。源頼政は自害、以仁王も命を落とすこととなってしまった。

佐殿からすると自らの判断が正しかったということで胸をなでおろす展開となった。

二度目の挙兵検討(Go! ) 

そんなある日、佐殿はその後正夢となるような夢を見た。

後白河法皇が「一日も早く、わしを救い出せ。   清盛の首をとって、平家を京から追い出すのだ」と自らに助けを求める夢である。

当時の夢は神からのお告げとも考えられており、この夢を見た佐殿は自らの叫び声で飛び起きることに。
(今回はコミカルなシーンが少なそうだと思っていたが、ここは完全に三谷作品のアレだった)

その頃、三浦義澄が後白河法皇からの密旨を携えて京から北条の館へ。佐殿に仕えている安達盛長にその密旨を渡す。

しかし、三浦義澄も安達盛長も、その場にいた北条時政もこの密旨には懐疑的。とりあえずは安達盛長がそのまま所持することとなった。

そんなある日、街で平家の横暴を説く僧侶が。名前は文覚。宗時が北条の館へ連れていき、佐殿に会わせることになった。

文覚からの挙兵の誘いもあったが佐殿は応じなかった。彼は今回はちょい出しであったが今後幾度となく登場する人物なので頭の片隅に記憶しておくと良いだろう。

ここまで「挙兵は慎重に」の姿勢を崩さない佐殿だが、義時も政子も「で、どうするの?」という疑問を抱く事態に。

政子に「座して死を待つおつもりですか」に言われるほど。

義時は、木簡に記されている内容から米の量をはかり、民の人数を割り出し挙兵に協力してくれる人数を割り出そうと打診。概算では、伊東と大庭の軍勢に勝る勢力を築けるとも説いた。

※このシーンは今後の義時の頭脳明晰な立ち回りの片鱗としての演出と考えられる。

しかし、それでも佐殿は慎重だった。

「そんなの絵に描いた餅だ」と言い、大切なのは大義名分だと説いた。後白河法皇から直々の密旨でもあれば…ともこぼし、これに安達盛長は驚愕!

所持していた密旨を渡し、それにより佐殿は遂に挙兵を決意するのだった。

今回は慎重に慎重に挙兵が検討された回であった。それ故に「これで一気に平家討伐!鎌倉幕府へ進むのか!」と思われる方もいらっしゃると思うが、ここからが大変だ。

今後負け戦も挟み、様々な思案と尽力の元で世が動いていく。第1話と第2話ではあくまでも伊豆半島の小さな話と京を中心とした世は別の話であった。しかし、この第3話を契機に一つのうねりとなっていく。

今後の展開に期待が高まる第3話であった。

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–{第4話ストーリー&解説}–

第4話ストーリー&解説

第4話のストーリー

治承4年(1180)8月、ついに挙兵を決断した源頼朝(大泉洋)の一党は、伊豆国の目代・山木兼隆を討って初戦を飾るべく戦支度いくさじたくを始める。しかし、頼朝の乳母子である山内首藤経俊(山口馬木也)に助力を断られるなど、強大な平家の威光の前に思うように兵が集まらない。強気な兄・宗時(片岡愛之助)とは対照的に、自身の浅慮を後悔する北条義時(小栗旬)。そんな中、対岸の江間館で暮らす八重(新垣結衣)が義時に声をかけ……

第4話・超簡潔ストーリー解説 

第4話「矢のゆくえ」の物語を一言で表すならば、

平家支配の世が滅ぶまでの4年7ヶ月にも及ぶ「源平合戦」の火蓋が切って落とされるまで。一番最初の敵(ターゲット)を襲撃する、その直前までのプロセスが描かれた。

その1:まずは「いつ」「誰に」戦を挑むか、から

今回の第4話で挙兵を決意した佐殿(源頼朝)や主人公の北条義時ら。

最終的には平家の世を滅ぼす=平清盛の首を取ることだが、いきなりそこをターゲットにするわけではない。

「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」などのRPGゲームで、いきなりラスボスに戦いは挑まない。まずはLevel1の敵から倒し、最後に最強の敵を倒すのが一般的だ。

今回でいうと、Level1の敵は、山木兼隆と堤信遠だ。

既に物語には登場している2人だが、乱暴に例えるなら佐殿や北条義時らの住む伊豆の国を任されている知事とその後見人である。当時の国(今で例えると都道府県的な)を治める人物のことを知行国主という。その知行国主から実務を任されていたのが目代という職。山木はそれである。

まずはLevel1ということで、近場から足固めをするということである。

日付はおみくじで8月17日に決まった。おみくじというのが、何とも当時らしい決め方である。

その2:人が集まらない!そこで佐殿は…

佐殿は、平家を滅ぼした後で鎌倉を拠点にしたいという夢を語る。その理由は非常に明快で、父・義朝の拠点であったからである。源氏復興の象徴である地ということだ。

そんな夢を語った後でいよいよ挙兵前日に。しかし、200人どころか20人程度しか集まらず。少数精鋭と言えどもさすがに無理のある数で、精神論で「これでいける!」という数でもない。

仕方なく主人公の義時らは、ここから何とか200人へ向けて動員交渉をしていくことになる。その過程で八重と話すことになったが、敵方(伊東祐親)の娘でありながらも義時は信頼して戦の件を話してしまう。しかも八重はそれを父・伊東祐親に伝えてしまうのだ。この辺り、主人公・義時の残念感も垣間見られるが、今後承久の乱等でビシバシと権力を掌握していく人物でもあるので小さなミスと今回は割り切ろう。

少しずつ動員が増えていく中で、せっかく動員するからにはモチベーション全開で戦ってもらいたい。ここで佐殿は大嘘をつくことにした。

「今まで黙っていたが、実は一番頼りにしてるのはお前じゃ。 力を貸してくれ」

ということを複数人に伝えていったのだ。複数人出ている時点で「一番必要」は大嘘だ。しかし佐殿は誠心誠意嘘をつき、陣営のモチベーションを最大限引き上げた。大泉洋が演じることでコミカルな一面もある佐殿だが、やはり所々で恐ろしい面が垣間見られる。その恐ろしさは今後増長し、視聴者から憎まれるような事案が(歴史的には)起きていくことになる。

その3:ターゲットは本当に館にいるのか?

そうして戦の日になったが、不安なことがあった。そう、山木が館にいるかどうかがわからない。雲隠れしてるとかそういう話ではなく、当時は当たり前だがインターネットも電話も無いので、情報網が無く、目で見ての情報の伝達もリアルタイムではない。陣営は不安に思っていた。

そんな中、先ほどは余計なことをした八重がキーとなる。

八重の夫である次郎経由で、山木が館にいるという情報が入ったのだ。八重の家は北条の館の対岸にある。八重は、矢に白い布を付けそれを北条の館へ放った。「今夜出陣せよ」、つまり山木が館にいるという合図である。

こうして予定通り戦の火蓋が切って落とされることとなった。

しかし、前述の通り源平合戦はここから4年7ヶ月にも及ぶ。順調に勝ち進むなどそんな簡単な話ではいかないのだ。

そのプロセスが今後10話以上をかけて描かれることであろう。まだまだ物語は序盤。今後のワクワクが止まらない。


※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第5話ストーリー&解説}–

第5話ストーリー&解説

第5話のストーリー

土御門通親(関智一)から源頼朝(大泉洋)の死を知らされ、思案する後鳥羽上皇(尾上松也)。鎌倉では宿老たちが居並ぶ中、新たに鎌倉殿となった源頼家(金子大地)が自身の方針を表明。これに北条時政(坂東彌十郎)と比企能員(佐藤二朗)は共に困惑し、梶原景時(中村獅童)は賛辞を贈る。その様子を政子(小池栄子)に報告した義時(小栗旬)は、弟・北条時連(瀬戸康史)と愛息・頼時(坂口健太郎)を頼家のもとへ送り出し……

第5話・超簡潔ストーリー解説 

第5話「兄との約束」の物語を一言で表すならば、

山木と堤を討って勢い付いた頼朝軍だったが、次なる大庭軍との「石橋山の戦い」でボロ負け。その後の行動の中で、義時の兄・宗時が落命した。

その1:山木と堤を討つ事に成功!

山木兼隆と堤信遠を最初のターゲットとした頼朝軍。まず堤邸へ出向き、矢を放ったところで第4話は終了した。頼朝軍は少人数ではあったが、今回の山木と堤への挙兵は言うならば戦ではなく急襲だ。相手方が同等の準備を行えていなかったため、この戦には勝利することができた。

山木兼隆は伊豆国司の代官(目代)、つまり伊豆国を取り仕切る実力者である。そんな彼を討ったことから佐殿(頼朝)は、伊豆はもちろんのこと、坂東(関東)全体の政を取り仕切ると高らかに宣言した。

もちろんまだレベル1の相手を討ったに過ぎず、坂東を掌握したわけではない。

「ここから我々は進軍し、坂東を真に掌握し、憎き平家を滅ぼす」という一種の宣言という事である。

その2:次なる敵は大庭景親、戦の地は石橋山!

頼朝軍の次なる敵は大庭景親の軍である。場所は石橋山。今でいうと小田原と熱海の間、少し小田原寄りの地である。

頼朝軍300人に対して3000人と10倍の勢力であり、普通に考えて勝てっこない相手であった。

しかし、頼朝軍には秘策があった。大庭軍の後方から三浦軍1000人が加勢することで挟み撃ちにし、一気に抑え込むというものだ。

下の図はイメージである。赤の大庭軍を緑の頼朝軍と三浦軍が挟み撃ちにする格好だ。

その3:挟み撃ちを挟み撃ちされそうになる!?

しかし、大庭景親ほどの人物が簡単に挟み撃ちされるなんてことはない。大庭軍には伊東祐親の軍が加勢することとなり、頼朝軍は逆に挟み撃ちされそうになる。

下の図の下方から出てきた赤の矢印が伊東軍300人である。

結論として、三浦軍側は川の増水で川を渡れず。伊東軍は遅れこそあれど、頼朝軍の背後から迫るという絶体絶命のピンチで戦いの火蓋が切って落とされることとなった。

その4:挑発合戦の末に戦闘開始も…

頼朝軍300人と大庭軍3000人の戦は、北条時政と大庭景親の挑発合戦から始まった。

双方が言葉を発し合う中で、いよいよ戦いの時。しかし、人数比を改めて見ればどちらが勝つかは一目瞭然。しかも背後には伊東軍が。

ギリシアにおけるテルモピュライの戦いのような少数が勝利する奇跡も起こらず頼朝軍はすぐに劣勢となり、敗走することとなってしまった。

佐殿(頼朝)は生き延びたが、「こんなことなら、御本尊(大きな観音像)を持ってくればよかった」とそのくらいは神頼みをしっかりしとくべきだったと思わず嘆いた。

その5:ご本尊を取りに行く北条宗時…そこで約束が交わされた

そんな佐殿(頼朝)の嘆きに対して、主人公北条義時の兄・北条宗時は「私が参りましょう」とご本尊を取りに行くと宣言。

その流れの中で、宗時は義時にだけ本音を明かした。
「平家につくか、源氏につくかはさほど重要ではない。坂東武者の世をつくる。そのてっぺんに、北条がたつ。そのため、源氏の力がいるんだ。頼朝の力がどうしてもな」と本音をこぼした。

そう、宗時は源氏の世を作りたいのではなく、自らの北条家が権力の中枢に上り詰めることを夢見ていたのだ。その夢を叶えるために、佐殿の挙兵に乗ったということであった。

義時はこの事を決して口外しないと誓った(=兄との約束!)。これが宗時が殺された後の回想シーンとして最後に流れる演出が何とも憎い(褒め言葉)。

結果として北条家は権力の中枢に上り詰めていくわけなので、一歩引いた目で見れば「兄との約束」は歴史において果たされることとなる。大河ドラマとしては、一種の伏線がここに張られたと言っても過言ではないだろう。

その後、ご本尊を取りに行く中で、伊東祐親の命で宗時の命を狙っていた善児により首を後ろから刺され落命してしまった。なお、義時や父の時政が宗時の死を知るのはまだ少し先となる。

本記事はBSでの放送(18時〜)を元に執筆しているが、通常放送(20時〜)を過ぎると、SNSは宗時の死を悲しむ言葉で埋め尽くされるであろう。


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–{第6話ストーリー&解説}–

第6話ストーリー&解説

第6話のストーリー

大庭景親(國村隼)率いる平家方の前に大敗を喫した源頼朝(大泉洋)の一党。この合戦で、北条家を引っ張ってきた宗時(片岡愛之助)ら有力な坂東武者が戦死。敵の追撃から必死に逃れる頼朝は、信頼する従者・安達盛長(野添義弘)らとともに石橋山山中に身を潜める。一方、兄・宗時の熱い想に決意を新たにした義時(小栗旬)は、再起を図るべく父・時政(坂東彌十郎)とともに甲斐を治める武田信義(八嶋智人)のもとへ向かった……

第6話・超簡潔ストーリー解説 

第6話「悪い知らせ」の物語を簡潔に整理するならば、

・再起をかけて安房へ逃げる一行

・悪い知らせが重なるも絶体絶命からの再起を誓う

・再起の鍵は千葉常胤と上総広常、義時動く

このような話であった。石橋山の戦いでの惨敗からより悪化する戦況であるが、今回が底辺。第7話からの起死回生の逆転劇へ向けた準備体操とも言える回となっていた。

その1:勢いづく大庭勢

視聴者からするととても悲しいシーンであったが、石橋山の戦いで大勝した大庭景親の館に北条宗時の首が届き実検された。

勢い付く大庭は、北条だけでなく三浦勢も叩くべきと主張し、畠山重忠に三浦の本拠・衣笠城攻めを命じた。義理もあるため畠山は三浦と対峙した際に「ここは会わなかったことにしましょう」と解決案を提示する。

しかし、その会話を聞いていなかった和田義盛が奇襲攻撃をしかけてしまい、結果的に戦の構図となってしまったのはとても皮肉が効いていた。

その2:佐殿危機一髪!パート1

佐殿を探す大庭軍であったが、梶原景時が洞窟で発見する事態に。大庭方でも名将である梶原であるため、佐殿ここまでかと思われた。しかし、雷鳴がなり、その後梶原景時は無言でその場を去っていった。

なお、その理由については第7話で明かされる。

その3:武田信義に頼るも…

北条時政と義時が、甲斐源氏の武田信義に力を貸してほしいとお願いしに出向いた。
武田は佐殿と同じ源氏であるため、下記のように主張した。

「真の源氏の棟梁は自分だ。頼朝への援軍は断る。しかし、北条家への援軍なら出す。その代わり、手土産が欲しい。法皇さまの院宣を」

時政は北条家を守るために承諾する意向を示すも、義時の説得や再考により結果として佐殿を取ることとなった。

その4:佐殿危機一髪!パート2

三浦軍が居場所がわからない佐殿を浜辺で待っていて、そこに義時と時政が遭遇した。

舟で安房へ渡り、佐殿の幼馴染でもある安西景益の元で態勢を立て直すのが三浦の算段であるし、義時も時政もそれに賛同した。

佐殿を見つけた義時は「岩浦の浜で、船が待っています」と伝えるが、同時に浜辺では時政と三浦義村が伊東軍に襲われ急遽先に逃げることになってしまった。

義時と頼朝が岩浦にたどり着いた時に、船も義村も時政もいないという状況で「悪い知らせ」が重なり続ける象徴的なシーンであった。

その5:政子VS八重→そして真実を知る八重

伊豆山権現に八重が出向き、政子らに挨拶をすることに。八重は夢枕に佐殿が出てきたと言うも、政子はそれに嫉妬。「私も出てきた」と意地を張っていたが、それは詭弁。終いにはバケツを蹴り倒し、妹に呆れられる始末であった。毎回思うが、妹の実衣のキャラクターが絶妙で面白い。歴史の中で阿波局と呼ばれる人物へなっていくその伏線でもあるため、これまた楽しみである。

その後八重は、僧侶に「千鶴丸に一目会わせていただけないでしょうか」と自分の息子がここに来たはずだと交渉をする。

しかし、我々視聴者は第1話で千鶴丸が川岸で善児に殺されたのを知っている。

渋々僧侶は墓地へ案内し、八重は真実を知ることに。唖然とする様から泣き崩れていく過程、つまるとこころ現実を受け入れられない様から現実を感じ取っていく様が胸に響くものがあった。

その6:佐殿危機一髪!パート3からの重なる「悪い知らせ」

佐殿と義時は土肥の手配した小船で何とか安房へ到着。

しかし、安堵したのも束の間、北条時政は宗時がいないことに気付く。

同時に三浦の本拠である衣笠が落ちた知らせが届く。

それと同時に仁田忠常が北条の館から難を逃れて到着し、宗時が取りに行ったはずの御本尊(観音像)を義時に手渡した。

義時「これが、館に残っていたということは…」

時政「これからは、お前が北条を引っ張るんだ」

義時からすると大切な兄、時政からすると大切な息子。その死を受け入れざるを得ない二人。「悪い知らせ」の極めつけがこのシーンであったと言えるだろう。言うならば、「鎌倉殿13人」の中での最底辺の状況と言っても過言ではないはずだ。

その7:佐殿再び立つ!

佐殿「もう、戦はやらぬ」

佐殿は完全に戦意喪失していた。しかし、ここまで(第5話まで)比較的頼りなく見えていた義時が佐殿に言い放つ。

義時「兄上や石橋山で戦死した兵士たちの無念を汲んでください。平家の横暴に耐えてきた者たちの不満が、今一つの塊になろうとしています。佐殿がおられなくても、我らは戦いを続けます。そして、必ずや平家一味を坂東から追い出します」

この言葉が佐殿の心に火を付けた。

佐殿「戯言を。お前たちだけでなにができる。この戦を率いるのは、わしだ。武田でも他でもない、わしが率いるのだ」

そして佐殿は面前へ出向いた。

佐殿「わが方の再起の目途は?」

三浦義澄「千葉常胤殿と上総広常殿に書状を送りました。必ずや味方になってくれるはずです」

上総広常の軍勢は2万人である。この上総広常が味方に付けば形勢が一気に逆転する。しかし、大庭方(平家方)に付かれてしまっては万事休すだ。

第7話ではこの上総広常を巡るスカウト合戦が繰り広げられる。この男、一癖も二癖もある難敵だ。そして第7話ではまた梶原景時が意味深な振る舞いを行う。こちらも楽しみである。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&解説 

第7話のストーリー

平家に幽閉された我が身を嘆く後白河法皇(西田敏行)。丹後局(鈴木京香)へ救出に名乗りを上げない源氏への不満をもらす中、平清盛(松平健)から挙兵した源頼朝(大泉洋)が石橋山で大敗したと知らされ悔しさで顔がゆがむ。その頃、房総半島で再起を図る頼朝は有力豪族を味方に付けようと、千葉常胤(岡本信人)のもとへ安達盛長(野添義弘)を、上総広常(佐藤浩市)のもとへ和田義盛(横田栄司)と北条義時(小栗旬)を送り込む……

第7話・超簡潔ストーリー解説

第7話「敵か、あるいは」の物語を簡潔に整理するならば、

・佐殿勢も大庭勢も上総広常を引き入れたい

・上総広常は佐殿の運試しをする

・亀とイチャイチャしてた事でなぜか敵の刺客を回避

=上総広常が佐殿側に付き、軍勢が一気に2万以上に膨れ上がる

このような話であった。石橋山の戦いでの惨敗した佐殿勢であったが、上総広常を引き入れたことで一気に形勢が逆転し、次週の「いざ、鎌倉」で話が進んでいくこととなった。

その1:上総広常がキーとなる

「上総広常はどちらに付くか」が第7話のキーとなっていた。これは兵力を見れば一目瞭然。

佐殿軍(源頼朝軍)=300人(※石橋山の戦い前)

三浦義澄軍=1000人(※安房へ渡る前)

大庭景親軍=3000人

上総広常軍=20000人

大庭景親側から見るとわかりやすく、仮に上総広常がどちらにも付かなければ大庭の優勢は変わらず。しかし、佐殿軍に付いてしまえば一気に形勢逆転となってしまう。

つまり、大庭景親からすると「上総広常は味方に付かなくても良いが、佐殿にだけは付かれると困る」ということである。

上総広常が「この戦、俺が付いたほうが勝ちだ」と発言していたが、自惚れでも何でも無く事実なのである。

その2:上総広常に交渉、意味深な梶原景時

そうなると、佐殿軍に限らず、大庭軍も上総広常を引き入れるために交渉する事となる。

佐殿軍の交渉役は主人公・北条義時と和田義盛。大庭軍の交渉役は梶原景時である。

この交渉シーンで、上総広常は態度を保留にした。しかし、その後のシーンで梶原景時は「敵か味方か」どちらとも取れる態度を示した。義時は思わず「佐殿の元にきませんか」とスカウトする始末であった。しかし、史実ではこの後本当にそうなり、梶原景時は13人の合議制の13人に入るのである。

その3:伊豆山権現での一騒動

一方で素性を明かさず伊豆山権現に匿われている北条政子ら。政子の元に佐殿が無事であるという文が届き、同時に佐殿の異母兄弟である阿野全成も初登場となった。

しかし、平穏な時間は束の間で刺客が登場し、政子らを連れ去ろうとした。ここは仁田忠常の抵抗で難を逃れたが、やはりまだ劣勢下に佐殿がいることを象徴するシーンとなっていた。

その4:苛立つ佐殿

話の舞台は改めて安房へ。上総広常は未だに返事を出さない。NoならNoと言ってほしい佐殿は苛立ちを隠せず、兵を前に進めることとした。そしてそんな中で漁師の一妻に過ぎない亀と出会った。

なお、史実では佐殿が伊豆にいる時から仕えていた侍女との説もあるが、今回は安房の一漁師の妻という形で登場。シナリオブック等を参照すると、政子VS亀の女の争いの後の「焼き討ち」はしっかり描かれそうである。有名な歴史的事象であるため、今後期待したいシーンだ。

その5:運試しされる佐殿

上総広常は義時が発した「あのお方(佐殿)は天に守られている」という言葉が引っかかっていた。そうであるなら運試しをしようではないかとなった。

上総広常の元には平家側の動きが逐一伝えられている。その晩、大庭方の人間が佐殿を襲撃する計画であり、「もしも天に守られているのであれば助かるだろう」と義時の言い放った。

結果として本当に運に味方された。

大庭方の刺客が襲撃する前に、前述の亀の夫が「うちの妻と寝てんじゃねえ!」と言わんばかりで殴り込みに来たのだ。それを佐殿の側近安達盛長が事前に察知し部屋を脱出。

亀の夫らが佐殿を探しているところに、大庭方の襲撃部隊も到着し、その2グループで交戦となったのだ。佐殿のやってることは最低だが、真に強運である面を見せつけた一件であった。

その6:わざと遅刻する上総広常

佐殿が運に味方されているというのであれば、と上総広常は佐殿軍への参陣を決めた。しかし、上総広常はわざと遅刻し、佐殿の出方を探った。

結果として佐殿は上総広常にブチギレた。その堂々とした立ち振舞に上総広常は感動し頭を下げた。

こうして上総広常を引き入れた佐殿軍は鎌倉を目指すこととなったのであった。

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–{第8話ストーリー&解説}–

第8話ストーリー&解説

第8話のストーリー

挙兵した源頼朝(大泉洋)を討つため、追討軍を送る平清盛(松平健)。後白河法皇(西田敏行)は地図を広げ、丹後局(鈴木京香)らと戦況を占う。一方、奥州をたった源義経(菅田将暉)は、兄・頼朝との対面を夢見て歩みを進めていた。そのころ坂東では、上総広常(佐藤浩市)らを加え勢いを増す頼朝が、鎌倉を目指して進軍。頼朝の命を受けた北条義時(小栗旬)は、武田信義(八嶋智人)を味方に引き入れるため、再び甲斐へと向かう……

第8話・超簡潔ストーリー解説 

第8話「いざ、鎌倉殿」の物語を簡潔に整理するならば、

・上総広常を引き入れたことで佐殿軍は優勢に

・武田信義も畠山重忠も梶原景時も味方になっていく

・鎌倉入りした佐殿だったが亀とのイチャコラのため政子を一日待たせる

・その頃完全にヤバい奴で描かれる源義経が鎌倉を目指していた

このような話であった。今後の本格的な源平合戦への布石となる話であり戦シーンはほぼ無しであったがそれでも見応え充分の三谷節全開の第8話であった。

その1:佐殿軍は3万に膨れ上がる

上総広常を味方に付けた佐殿軍は、他にも平家へ不満を持っていた武士たちが参陣し3万もの兵へ膨れ上がった。目指す先鎌倉まで大きな敵もなく順調に歩みを進めていた。

しかし、こんな大きな軍勢ともなると「誰が先頭を行くか」「誰がどこに泊まるか、部屋割は?」など厄介な調整が必要ともなる。これを担当したのは他でもない主人公の北条義時。

完全に中間管理職として立ち振る舞っている状態ではあるが、この男が後に執権と呼ばれ、承久の乱で後鳥羽上皇を蹴散らしていくわけなので人の成長とは面白いものである。

その2:武田信義協力、畠山重忠寝返る

北条義時は、父の北条時政と共に、再び甲斐の武田信義の元を訪れた。一度は佐殿軍への参陣を断った武田信義であったがなぜか今回はあっさりと承諾。

そう甲斐のその先、西から平家の討伐軍が近づいてきていたのである。内輪もめしている状況ではなく、甲斐と鎌倉という地理関係だと甲斐の武田が先に対峙することとなる。武田としては一刻も早く佐殿軍と共闘する道筋を立てたかったわけである。

しかも佐殿はそれを完全に見抜いており、それもあって義時が派遣された。時に女癖が悪かったり、抜けていたりする佐殿だが、決めるところは決める恐ろしい男である。

また畠山重忠が大庭側から降伏してきた。佐殿の移行で処分はされず軍に加わることとなった。

その3:梶原景時、見切りをつける

一方で大軍勢となった佐殿軍に恐れおののいていたのが大庭景親らである。大庭景親は焦り、伊東祐親は討ち死に覚悟。そして梶原景時は冷静に事態を見極め「ここまで」と言い放ち大庭景親の元を去って行った。

物語の中ではこの後少し間が空くが、この後北条義時と会うこととなり、義時自身が佐殿に梶原景時が入れるように交渉・調整することとなった。先ほどの中間管理職的な役割は面倒事ではなく、こういったより重要な決定へのプロセスとなっていたわけである。恐るべし三谷脚本。

その4:上総広常、教養の無さが露呈

鎌倉へ進軍する佐殿軍であったが、武将たちとコミュニケーションが最小限の佐殿に対して小さな不満が溜まっていた。それを予期した義時らは佐殿を宴席へ呼ぶ事に。

しかし酔った上総広常は「俺は佐殿なんて呼ばねえぞ」と悪態を付く。そこでハイレベルな駆け引きを仕掛けたのが三浦義村だ。三浦義村は「佐殿じゃなくて、武衛という呼び方もある。親しい間柄で使う」と上総広常へ進言。

武衛は佐殿よりもより尊敬を増した呼称である。完全に三浦義村が一枚上手な知識比べのシーンで、意味もわからない上総広常は「武衛!武衛!」と連呼する始末。

このシーンであるが、上総広常を演じる佐藤浩市がインタビューで、「今回の上総広常は読み書きが苦手という設定にした。今後義時とはそれがきっかけで仲が深まる」と説明している。ちなみに、義時は木簡へ文字を書いてもおり読み書きはできる。

どのようなシーンとなるか今から楽しみである。

その5:源義経完全にヤバい奴

今回はサイドストーリーとして描かれたが、話題を掻っ攫ったのは他の誰でもなく数分登場しただけの源義経であった。

源義経といえば、悲劇のヒーロー、天才軍略家などとも呼ばれる歴史上の人物でも人気者の1人である。しかし、今回の義経は天才感よりも完全にヤバい感が全開となっている。

これは義経という人物の新解釈ではなく、主人公でないからであろう。主人公は北条義時、つまり源義経と対峙することとなる源頼朝の側近である。つまり最終的には主人公の敵となる人物だ。

現代の世界でもそうだが、敵か味方から見る視点によって異なる。今回は義経視点ではないということだ。だからこそ新鮮味もあり、今後どう転げ落ちていくのか興味津々である。

その6:鎌倉入り、しかし…

佐殿軍は何の障害もなく鎌倉入りをした。安全な状態であるのですぐに北条政子らを呼ぶ手はずを立てるが、なぜか佐殿は一日待ってくれという。結論として疲れているというのは詭弁で、亀とのふしだらな時間を過ごすことが目的であった。

北条政子VS亀、それだけでなく今後は八重VS亀も描かれるようである。女たちの戦いからも目が話せない「鎌倉殿の13人」である。

その後政子らも鎌倉入り。いったんめでたしめでたしと思いきや、佐殿の命令で和田義盛と畠山重忠が伊東祐親の討伐へと向かったことが判明。伊東祐親は佐殿からしたらもちろん敵方だが、北条義時や三浦義村からしたら祖父でもある。しかもそこに八重もいるとのこと。命だけは助けるべく、義時と義村は伊東の館へ向かうのであった。

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–{第9話ストーリー&解説}–

第9話ストーリー&解説

第9話のストーリー

ついに鎌倉入りを果たした源頼朝(大泉洋)の一党。敵対した平家方を捕らえるため、頼朝は競わせるように和田義盛(横田栄司)と畠山重忠(中川大志)を派遣。これを知った北条義時(小栗旬)と三浦義村(山本耕史)は、祖父・伊東祐親(浅野和之)と八重(新垣結衣)を救うため急ぎ伊東へと向かう。そのころ、都を出た平家の追討軍が東海道を進軍。甲斐では、出陣を約束した武田信義(八嶋智人)が義時の父・時政(坂東彌十郎)に……

第9話・徹底解説

伊東祐親と八重の処遇

第9話は、頼りになる援軍と頼りにならない援軍の対比が際立った回でした。

源頼朝(大泉洋)と伊東祐親(浅野和之)の関係は、複雑です。監視されていたことから恨みの大きい相手でもあり、最初の妻・八重(新垣結衣)の父親=舅でもあります。

一方、北条義時(小栗旬)と祐親は孫と祖父という関係であり、祐親を攻める頼朝軍としては祐親を倒したい、しかし頼朝の片腕とも言える義時は祐親を助けたい、と心が異なります。

大軍を率いて伊東祐親を攻めた頼朝軍。しかし頼朝軍の義時と三浦義村(山本耕史)は祐親の救出に向かいました。このときの義村の態度が実に武士らしく、強く美しい姿を見せてくれました。

捕らえられる祐親と八重ですが、義時と北条政子(小池栄子)は頼朝に二人の助命を嘆願します。

その結果、祐親は

「よき孫たちに恵まれましたな。命は取らぬ。身柄はしばし三浦に預ける」(頼朝)

と三浦家に預けられ、八重は

「八重どのも三浦で預かります」(義村)

とそれぞれ助けられることに。八重は三浦家ではなく、頼朝に存在を知られぬよう影ながら仕えることとなったのです。

いま頼朝の正妻である政子は八重の処遇に異を唱えるものの

姉上の懐の深さを見せつける機会です」(義時)

という進言を文句をタレながら最後には受け入れ、懐の深い所を見せるのでした。

平維盛、進軍

1180年10月13日。

平家は、平維盛(たいらのこれもり:濱正悟)を総大将として頼朝の討伐軍を派遣し、駿河に入ります。

追悼軍が自軍からほど近い駿河の地にたどり着いたことを、義時は頼朝に報告しました。その兵数は5万とも7万ともいわれていました。

ここで頼朝が頼りにしていたのは甲斐源氏の武田信義(八嶋智人)です。

西から攻める頼朝軍と北から攻める武田軍が力を合わせれば、大きな戦果を得られそうです。同じ源氏の出身でもある信義を頼る頼朝は、北条時政を使者として信義に参戦を依頼しました。

何かひょうひょうとしている田舎侍の時政は成果を報告しに戻ります。時政、何をしてもなんだか憎めないんですよね。

「武田殿をお連れしました!しかしここには連れてきませんでした。武田は駿河に行ってしまいました」

ともに戦うのであれば、頼朝は信義のいる駿河に後追いで行かなければなりません。これでは、どちらが主でどちらが従だか分らなくなってしまいます。

「あべこべではないか!」

と怒る頼朝ですが、板東武者と頼朝のかすがいになるのは信義しかいない、という現実もあり、悩んだ結果駿河へ向かうことに。

維盛軍とは黄瀬川を挟んで対峙することになりました。ほぼ南に流れる黄瀬川に対して、西側に維盛軍、東側に頼朝と信義軍。頼朝と信義は、翌々日に戦おうと約束します。

そのころ鎌倉に、源義経(菅田将暉)が到着します。頼朝が黄瀬川に向かっていることをきき、義経も後を追いました。このときに櫓からひょいと飛び降りるシーンを見せた義経。後の八艘飛びを予感させる身の軽さを見せていましたよ。

黄瀬川の戦いはまさかの結末に

黄瀬川の戦いは、まさかの結末を迎えることになります。

頼朝・信義の連合軍はいまいちしっくりとしません。頼朝が信義の接待を受けた際に、頼朝軍の将たちからの不平を時政が伝えに行くものの、酒を飲まされて酔い潰れてしまいます。ミイラ取りがミイラです。

頼朝側の将に酒を飲ませた信義は酔っておらず、その夜のうちに抜け駆けを決行してしまうのです。この上の画像、他の作品だとニコニココミカルな演技が印象的な八嶋さんらしからぬ良い表情をしています。

しかし、約束を違えて最初に攻撃をしかける抜け駆けは褒められたものではありません。

頼朝軍も翌朝に攻撃を仕掛けるなどしますが戦況は膠着します。しかし、維盛軍は水鳥の羽音を敵襲と勘違いして勝手に乱れ、自滅してしまいます。

結果的に戦わずして勝つことができた頼朝は追討を検討しますが、同行していた上総広常(佐藤浩市)は

「常陸(今の茨城県)の佐竹の動きが不穏になってきたから上総に戻る」

また時政は

「所領と一族を守るためなら死に物狂いに戦うが西には行かない。戦で命を張るのは(頼朝ではなく)わしらなのだ」

と、軍に西進の機運を感じられません。当時の武士にとって、自分の土地を守ることがとても大切で、土地を攻め取ることにはあまり興味がなかったようです。

仕方なく頼朝も、ここで「鎌倉へ帰ろう」と諦めました。

「小四郎、おまえはわしと板東(の土地や武者)ならどちらを取る?」

と頼朝は義時に尋ねますが、義時は即座に答えることができません。

「もうよい、つまるところわしは一人ということじゃ。流人の時も、今も……

頼朝は肩を落とすのでした。

しんの援軍

そんなとき、頼朝の元へ来客があります。義経でした。

本当に弟の義経なのか?と疑う義時でしたが、当時、第三の勢力とも言える奥州藤原氏の首領・藤原秀衡の手紙を義経が持ってきていたことから、兄弟であることが分りました。

「父上を殺し母上を奪った(平)清盛への恨みを忘れたことはありませぬ。兄上と一緒に、必ずやお父上の敵を討ちとうございます!」

その直前まで激しい孤独感にさいなまれていた頼朝は、真の・心の援軍を得られました。二人が抱き合って涙を流すところで第9話の終了です。

義経との出会いが頼朝に勇気を与える

源義経は、

・幼名の「牛若丸
・従者の「弁慶
一の谷の戦い
・壇ノ浦の戦いでの「八艘飛び
・モンゴルに逃れて「チンギス・ハーン」になった説(おそらく事実は違います)

などなど、歴史ファンであればどれか(あるいはすべて)の逸話を聞いたことのある、この時代の人気武将です。

義経は過去回では非情な面も見せていましたが、今話では快活で情にもろく、身体能力の高い動きを見せています。これからの活躍が楽しみですね。

頼朝は維盛を撃退したものの西進の夢を閉ざされた、と思いきや、義経の登場で明るい展望が見えてきたのではないでしょうか。

※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第10話ストーリー&解説}–

第10話ストーリー&解説

第10話ストーリー

平家の追討軍を見事に退けた源頼朝(大泉洋)。これを聞いた後白河法皇(西田敏行)はほくそ笑み、平家の総帥・清盛(松平健)は都を京へ戻すことを決断。奥州の覇者・藤原秀衡(田中泯)は義経(菅田将暉)の文を一読し、静かに源平の様子をうかがう。そんな中、鎌倉では八重(新垣結衣)が侍女として頼朝のそばで働き始めるが、北条義時(小栗旬)の気づかいに亀(江口のりこ)が疑念を抱くなどそれぞれの思惑が入り乱れていた……

第10話・徹底解説

第10話。今回、具体的には何も成果を残していないけれど、源義経の印象が強く残った回でした。なにか別の作品で義経の印象を持っている人と、本作で初めて義経を知った人では、義経の人物像は大きく異なるだろうなあ。

源頼朝の思惑・藤原秀衡の思惑

源頼朝(大泉洋)は源義経(菅田将暉)を仮御所に招き入れて会話をします。

義経は平泉は良いところでした!と元気に話しますが

「鎌倉を平泉(義経を育てた藤原秀衡(田中泯)が作った)のように豊かにしたい」

という頼朝に対しては

「難しいんじゃないですか」

とあっさり。

複雑な表情の頼朝でしたが、義経は秀衡に3000の兵を送るよう依頼していました。

頼朝は「心強い」

義経は「一刻も早く清盛入道を討ち果たしましょう!」と鼻息荒く語ります。

場面は変わって奥州・平泉。秀衡は義経と平清盛(松平健)から、それぞれ兵を挙げる手紙を受け取っていました。

義経の援軍要請を受けるか、清盛の源氏討伐の命令を受けるか。並の器量の武士であれば大いに頭を悩ませるところです。

しかし策士の秀衡は

「両方に承知したと返信しよう。ただし『いつまでに』とは言わずにな」。

と依頼の手紙を焼いてしまいます。

そして

「九郎ほどの才があれば、己一人で大願を成し遂げよう」

とぽつり。秀衡の元で義経が何をしていたかは語られていませんが、その将器は認められていたようです。

後白河法皇の企み

第9話で戦わずして頼朝軍に敗れた平維盛(濱正悟)は、平清盛(松平健)とともに福原(兵庫県神戸市)にいる後白河法皇(西田敏行)・丹後局(鈴木京香)の所へ戦の報告に訪れます。

清盛に担がれていながらも平家の世を嫌っている後白河法皇は

「維盛、私も力を貸そう。祈祷じゃ。祈祷をしよう」

と語り清盛らに感謝されます。二人が去ったあとに後白河法皇が呼んだのは、謎の僧・文覚(もんがく=市川猿之助)でした。

後白河法皇は文覚に

「人を呪い殺すことはできる?」

と聞きます。

浅黒い顔をした文覚は

「さて、誰に死んでもらいましょうかの?」

それに

「へへへへへ」

と答える後白河法皇。なんとも危険な表情をしています。東から攻められ、獅子身中の虫までいる平家、かなりピンチだと言えるのではないでしょうか。

大庭景親の処刑

平家を攻めたい頼朝に付き従う北条家ですが、所領は大切にするものの外へ打って出る気がない板東武者をどう乗せていけば良いのか、悩ませています。

そんな折、平家側で相模国の武将であった大庭景親(國村隼)が処刑されます。

景親は後ろ手に縛られながら、北条時政(坂東彌十郎)に

「頼朝ごときにたぶらかされおって、情けない」

刀を持つ上総広常(佐藤浩市)に対して

あのとき頼朝を殺しておけばと、おまえもそう思うときが来るかもしれんぞ」

と言葉を残して、広常の手で処刑され、さらし首となりました。

頼朝の命を救った景親は、結局は頼朝勢の手によって命を落とすことになりました。

八重と義時:1

鎌倉では、八重が一生懸命働いています。そういえば一生懸命という言葉は元は「一所懸命」。鎌倉時代に生まれた言葉とされていますね。

八重(新垣結衣)の働きぶりを遠くから見る北条政子(小池栄子)。

よく働いている八重に感心していますが、そんな八重に義時が近づき、そっと草餅を渡し応援し、笑顔で去るところを見てしまいます。

「ファイト!」なんて言いそうなポーズです。

女性関係で、どうにもスマートにできない義時、どうやら草餅を渡すことを相談していたであろう三浦義村(山本耕史)にこっそり報告していました。

義時「うけとってくれた」
義村「まだ惚れているのか?」
義時「(八重には)幸せになってもらえれば」
義村「じゃあ俺が(八重を)もらってもいいのか?いいんだな?」
義時「いいとも。八重が幸せになってもらえれば」
義村「言ったな(にやり)」

現代劇風な会話です。これが吾妻鏡に出ていたら衝撃ですね。

夜になって八重は義村に

「こういうものをもらってしまいました。困ります」

と草餅を渡してしまいます。義時、残念。

義村は

「佐(すけ)どの(=源頼朝)が忘れられませんか。先に進んだらいかがか。生きることができるのに、もったいない。力になります」

暗に自分をアピールしますが

八重は「そういうおつもりなら出て行きます!」

とけんもほろろ。

義村は諦めてあっさり言葉を翻し

「ここにいなさい」

と話します。義時も義村も、八重の心を開くことはできなかったようでした。

悔しかった義村、義時の草餅をかじっていました。

一方、政子は源氏の棟梁の妻としてふさわしい立ち居振る舞いを義母・りく(宮沢りえ)や兄・牧宗親(山崎一)から学んでいます。

稽古の合間にやってきたのは義経でした。

義経、柵をぴょんと跳び越えて政子の前へ。

「姉上に思い切り甘えてもよいでしょうか?」

無邪気風な表情を見せる義経。

「かまいませんよ」

という政子。夫の弟ですからね。優しくもするでしょう。

そうしたらなんと。いきなり膝枕をしてもらう義経……!

「夢でした・・・・・・」

何かしら人恋しかったのでしょうか? 膝枕を堪能した後はぱっと飛び起きて

「兄上のところに行って参ります」

とどこかに行ってしまいました。義経、なかなかつかみ所がありません。

4兄弟が揃う

頼朝が立ち上がった報を聞き、離れていた兄弟も集まってきた鎌倉。

頼朝は異母弟の義経・範頼・阿野全成(新納慎也)とともに酒を酌み交わしていました。頼朝は4人が勢揃いでお酒を飲める幸せをかみしめているようではありますが、話題に困ってもいるようでもあります。

義経に思い出話をする頼朝ですが、その思い出は私です、と全成。そんな筋違いの会話を何度かした後、側にいる義時を

「小四郎は5番目の弟と思ってくれ」

と紹介しつつ

「おまえたち、世を正すため力をつくしてくれるな!」

と檄を飛ばします。

元気が良かったのは

「京へ攻め上りましょう!」

と語った義経。

しかし、板東の地盤を固める務めもあるため、まずは常陸へ向かうことになりました。

江口のりこ劇場

ファンに好評な本作の江口のりこ(亀役)。今週の『江口のりこ劇場』はここでやってきました。

八重の素性を知った亀は、さっそく嫌がらせを始めます。

まずは八重に

「佐どのに、酒と肴を」

と頼みます。

酒肴を用意して持ってきた八重を出迎えたのはなんと、亀!部屋の中にまで運ばせようとします。そこで八重が見たのは亀と肩を寄せ合っている頼朝でした。

頼朝は苦虫をかみつぶしたような顔です。正妻は政子、手を出してしまった女性が亀で、心を寄せているもののそうした関係になれないのが八重であるため、頼朝としてはなんとも複雑な表情になってしまっているのです。

息が詰まる八重。部屋を出て大きなため息を吐きました。八重もまた、辛いのですね。

シーンが変わり、政子が作法の稽古に励んでいる合間に亀がやってきます。

「新しい侍女は元気にやっていますか?」

と政子。亀は

「八重ですか?このところ伏せっております」

と返します。だれが伏せる原因をつくったんだか。

常陸攻め

頼朝は常陸(茨城県)の佐竹氏攻略のため出陣しました。佐竹は平氏に通じており関東では最大の敵です。板東の基盤を固めるためには倒さなければならない相手です。

自分の領土を守ることに懸命な板東武者も、佐竹討伐のためには積極的に兵を出しました。

本陣では、佐竹と長年の付き合いである上総広常に、まず使者に立ってもらうことに決まります。

そこで元気いっぱいの義経。

「兵を500ください。3日で敵大将の首を挙げます!」

威勢が良くて結構、結構。

戦の経験が無いのに自信満々だなという冷やかしに対して義経は

経験もないのに自信もなかったら何もできない!

と返します。ドラマ的にはその元気、買いだ!となるのですが、

広常は

「小僧!戦は自分勝手にやるんじゃない。決められたことに従えないならとっとと奥州に帰れ!

それまで自分が決められたことに従い続けてきたような説教をします。

頼朝も

「ここは控えておれ」

と諭し、しぶしぶ義経は引き下がります。

佐竹家の軍と対峙した上総広常軍。広常は見知った佐竹の将と1対1でまず会話……と見せかけて抜き打ちます。それをきっかけに戦闘が始まってしまいました。

佐竹家の本陣は金砂城(茨城県常陸太田市にある西金砂山)。広常の奇襲をきっかけに戦況は有利になりました。

そうとは知らない本陣の頼朝。義経の、正面におとりの兵を置いて敵兵を引きつけ、背後から急襲する案を聞き、その案を実行しようとしたときに、金砂城が落城した報を聞きます。

義経の案は後に伝説となる一ノ谷の戦いでの奇襲を彷彿とさせる、戦の才能を十分に示す内容だったので、ここで見られず残念!といったところでしょうか。

頼朝、何もすることなくがっくりです。

なおこの時、必ず参戦していた三浦義村がいませんでした。それは

腐った餅を食べておなかを壊したから

だそうなのです。え、腐った餅って、もしかして……。

八重と義時:2

戦も終わり、義時は常陸の山で採れたきのこを八重にプレゼントします。

体調が優れない八重を心配し声をかけていましたが、そのとき、怪しい人影を見つけました。義時が捕らえると、それは頼朝でした……。

八重を頼朝の近くで働かせることは内緒だったのに、亀から聞いてしまったという頼朝。ここで、八重を頂点とした三角関係が明らかになってしまいました。

男・源頼朝はイケメンな一言。

「しかし……、おまえが八重に惚れていたとはなあ。そういうことならわしは諦めよう!」

常陸攻略の際に捕まえたヒヨドリを八重に渡してやれ、という頼朝。しかし、その場にいた僧侶が

「これはヒヨドリではなくツグミです。鳴かないことから口をつぐむ=つぐみと呼ばれているのです」

急に出てきて誰だこの僧侶?と思っていましたら自己紹介がありました。

なんとこの僧侶も頼朝の異母弟。京都からかけつけた義円(成河)でした。

兄弟も揃い機運も高まる

頼朝の元には兄弟が続々と集まります。板東武者にとって東の脅威となる、関東最大の敵・佐竹家を退け、頼朝の西進計画は着々と進んでいるようです。いよいよ、京へ向かって進行するのでしょうか?義時の気苦労は減っていくのでしょうか?

※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。

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