「明日カノ」第10話:“楓”高野洸がくれた、それなりの幸せとそれなりの地獄に溺れたい

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累計発行部数300万部突破したをのひなおの人気漫画「明日、私は誰かのカノジョ」(マンガアプリ「サイコミ」で連載中)がMBS/TBSドラマイズムにてドラマ化。2022年4月12日放送スタートした。

悩みを抱えて生きる5人の少女を描いた本作。一週間に一回レンタル彼女としてお金を稼ぐ「雪」や、孤独を抱えて寂しさを男で紛らわす「リナ」、見た目に固執して整形を繰り返す「彩」、周りに流されず、“自分”を持っていると語る「萌」、夜の街で“今”を生きる「ゆあ」らが各章で主人公となり物語が進む。

本記事では、その第10話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

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「明日、私は誰かのカノジョ」第10話レビュー

萌(箭内夢菜)と楓(高野洸)、優愛(齊藤なぎさ)とハルヒ(藤原樹)のダブルデートが描かれた「明日カノ」第10話。顔が緩むような微笑ましい光景をずっと息が詰まるような思いで見守った。

ホストの楓と少しでも長く一緒にいるため、ついに風俗で働き始めた萌。4人を相手にして、一日で稼いだ額は4万。この調子でいけば、親に借りたお金も返せるし、使ってしまった奨学金の分も戻せると萌は安心する。でも、仕事とはいえ、知らない男に身体中を触られて“本番”まで迫られた萌の心はボロボロだった。

こんな思いまでして楓に会いたいのか。一瞬、冷静になりかけた萌をすぐに夢の中へ引き戻すのが楓だ。萌がこれで最後にしようとかけた電話に応答して、「何かあったらすぐに連絡してね」と優しい言葉をかける。しかし、萌が泣いていることが分かっても、以前のように駆けつけてはくれない。そういう細かい変化が、視聴者の心にもグサグサと突き刺さる。

その後、萌は「風俗で働いている」という共通項が生まれたことでより仲良くなった優愛と“アイバン”することに(指名ホストの異なる客同士が一緒に来店し、相席すること)。優愛とハルヒの前でも、「萌ちゃん、今日の髪型かわいいね」「(僕のことを)いつもどんな風に惚気てるのか知りたいな……」と甘々な言葉をかけまくる楓。

あの、あなたは欲しい言葉をくれるBOTかなんかですか? もしくは乙女ゲームばりの台詞を吐く楓に、優愛が「すぐ雰囲気エロくするのやめて!」とつっこむ場面は思わず笑ってしまった。でもそんな楓に萌は心を奪われまくって、ついに“掛け”に手を出してしまう(客がその日にお店で支払うはずだった飲食代を、指名ホストが立て替えること)。つまりは借金なのだが、楓は心配するだけで止めてはくれない。

一方、後から味わうことになる地獄のような現実と代償に、萌が手に入れたのは夢のような一夜だった。4人でアフターを共にし、ボーリングで楽しい時間を過ごした後は楓とふたりきりで神社の境内を歩く。萌が泣いている時に楓が駆けつけてくれた思い出の場所だ。

そこで初めてのキスを交わす二人。ロマンチックだよね……ロマンチックなんだよ……彼らが本当の恋人同士ならば、の話だが。結局はその場所で楓に電話をかけなければ、そして楓が来なければ、萌は傷つかずに済んだかもしれない。だけど、少女漫画の主人公になったみたいな幸せも味わうことはできなかっただろう。

リナ(横田真悠)のようにキラキラとした女子にコンプレックスを心に抱きながらも、そのモヤモヤを打ち消すように、行きつけのバーで「恋愛だけがすべてじゃない」って持論を貫いていたはず。その未来と今の現実、どっちが良かったかなんて分からない。どっちにもそれなりの幸せと、それなりの地獄があるだけ。

こんなにも現実的で心を揺さぶられる物語は後にも先にもないかもしれない。そんな風に感じられるのも、箭内夢菜、高野洸、齊藤なぎさ、藤原樹というキャストたちの素晴らしい演技があってこそ。次週で「ホスト編」は幕を閉じるはずだが、彼らが演じるキャラクターとお別れするのが寂しくて堪らない。

(文:苫とり子)

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–{「明日、私は誰かのカノジョ」第10話ストーリー}–

「明日、私は誰かのカノジョ」第10話ストーリー

萌(箭内夢菜)は、楓(高野洸)に会いにホストクラブへ通うお金を稼ぐ為に、風俗で働き始めていた。実は優愛(齊藤なぎさ)も同じ仕事をしていることを知り、2人はさらに仲を深める。そして一緒にホストクラブへ行った2人は、ハルヒ(藤原樹)と楓との4人でアフターを共にし、ボーリングで楽しい時間を過ごす。満たされた気持ちになった萌は、さらに稼ぎを得るため、風俗の仕事に力を入れるようになる。そんな中、楓の誕生日が近付き、楓の売上に貢献できるよう高額なボトルを入れようと画策する萌。その反面、大学の仲間とは距離を感じ始め、萌の楓を思う行動はますますエスカレートしていく…。

–{「明日、私は誰かのカノジョ」作品情報}–

「明日、私は誰かのカノジョ」作品情報

イントロダクション

女子を中心に口コミで火がつき単行本は累計300万部突破、連載中のマンガアプリ「サイコミ」ではランキング一位をキープし続ける大人気作「明日、私は誰かのカノジョ」(作・をのひなお)の実写ドラマ化が決定!

レンタル彼女編、パパ活編、整形編、ホスト編。
一週間に一回誰かの彼女になるレンタル彼女として日々お金を稼ぐ「雪」。
埋められない孤独を抱え、寂しさを男で紛らわす「リナ」。
見た目に固執し、整形を繰り返す30代女子「彩」。
周りに流されず、“自分”を持っていると語る「萌」。
自由を求め上京し、夜の街で“今”を生きる「ゆあ」。

様々な思いを持つ5人の女性たちが各章で主人公となり物語が進む。それぞれにコンプレックスや悩みを抱え、もがきながらもそれを克服しようとした先にあるものとは─。
登場人物たちのリアルな心理描写は話題を呼び、同じ体験をしているわけではなくとも、「明日カノ」の世界観に共感する読者が続出、一度ハマったら抜け出せない超注目作!

放送日時

MBS(毎日放送)
2022.4.12(火)放送開始 毎週火曜深夜0:59~

TBS
2022.4.12(火)放送開始 毎週火曜深夜1:28~

出演
吉川愛/横田真悠/齊藤なぎさ(=LOVE)/箭内夢菜/楽駆/井上想良/ゆうたろう/福山翔大/藤原樹(THE RAMPAGE)/高野洸/宇垣美里 ほか

原作
「明日、私は誰かのカノジョ」 /をのひなお(サイコミ/Cygames)

監督
酒井麻衣(「美しい彼」「雨の日」「荒ぶる季節の乙女どもよ」ほか)
近藤幸子 菅原正登

脚本
三浦希紗 川原杏奈 イ・ナウォン

オープニング主題歌
Amber’s「Desire -欲情本能-」

エンディング主題歌
DUSTCELL「足りない」(KAMITSUBAKI RECORD)

制作プロダクション
MMJ

製作
「明日、私は誰かのカノジョ」製作委員会・MBS