2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第45回をライター・木俣冬が紐解いていく。
[※本記事は広告リンクを含みます。]
「ちむどんどん」をU-NEXTで見る
>>>【関連記事】<ちむどんどん・沖縄編>1回~25回までの解説/考察/感想まとめ
>>>【関連記事】『明け方の若者たち』デリケートでどこか諦念に満ちた若い男女の恋
>>>【関連記事】「着飾る恋には理由があって」全10話のネタバレ感想
暢子、料理の基本に立ち返る
おでん屋台の立て直しを図って1か月、暢子(黒島結菜)が基本に立ち返ったおでんは、我孫子ヨシ(大島蓉子)にも客にも好評を得ます。
嘘のように大繁盛しています。
様子を見に来た大城房子(原田美枝子)もぶたを使っただしとオリジナルのネタ・豚足を評価してくれました。
こうして暢子はアッラ・フォンターナに復帰を許されます。
暢子「10年前オーナーに引き取られるはずだった子供はうちなんです」
房子「知ってる」
暢子「えっ 知ってたんですか?」
この会話……。離れていたとはいえ親戚で、引き取る際に房子が優子に手紙を出しているのだからまったく知らない(気づかない)わけもないと思うのですが……。いやいや、こういうことも成立するのだとおわかりのかたもいるのかもしれません。そういうかたからしたらなぜ理解できないのかお腹立ちかと思いますが、ここは誰でもわかるような描写にしてほしいものです。もしくはもう全然描かないか。
余計なノイズは要りません。すきっとしたいのです。暢子は手ぬぐいで髪をすきっと覆った姿が似合います。テキパキと片付けものをしたりする動作も自然なので、黒島さん本人はとても利発なかたなのでしょう。つるっとした額が聡明さの証のようで美しいです。
そんな暢子のお母さん・優子(仲間由紀恵)はすぐに瞳をきょろきょろさせて、物事をあやふやにさせようとします。
賢秀(竜星涼)がお金の代わりに送ってきた大量の紅茶豆腐を目の前にして、
「困ってる時はお互い様 家族ならなおさらでしょう」と主張します。
この瞳をそらしながらあやふやなことを言う仕草を見て、仲間さんの出世作「トリック」の山田奈緒子を思い出す視聴者もいるのではないでしょうか。
山田奈緒子は貧乏なマジシャンで、「ちむどん」でヨシを演じた大島蓉子さん演じる大家さんの家賃の取り立てからしょっちゅう逃げ回っていました。
山田はインチキマジックをやり、家賃は払わず、でも悪びれない。賢秀に似ているといえば似ているし、賢秀よりも悪知恵が働き意地汚いところもあってけっこうクセモノですが、憎めないキャラでした。それは仲間さんのお力でありましょう。あと、堤幸彦監督のセンス。
「ちむどんどん」に堤幸彦的センスがあれば……。
いろいろ書いていますが、第45回は、おでんからちゃんと湯気が出ていたので良かったです。朝ドラの屋台ってたいてい冷えた感じがするので。
さて、賢秀です。
また、養豚所に戻って働き始めた賢秀。これからどうなるんでしょうか。
朝ドラはじまって以来の困ったお兄さんとしてニーニーが注目されているところ、第45回放送終了後、「あさイチ」のプレミアムトークのゲストに竜星涼さんが登場しました。矢沢永吉さんが好きな話もされました。「成り上がり」が愛読書ってなんかすごい。
現在の注目度「役者冥利に尽きる」と語った竜星さん。全国区で顔と名前を印象づける意味ではひじょうにいい役でもあります。
先日、TBS で放送していた即興劇「スジナシ」に出たときも、笑福亭鶴瓶さんに「おもしろいですよ、だらしない役は」と肯定的に言われてました。
鶴瓶さんは昔、悪い役をやったとき見た人にいろいろ言われたと「CMもこなくなりました」と不吉なことも言ってましたが……。
鶴瓶さんは山田洋次監督の映画「おとうと」(10年)で姉(吉永小百合)を困らせる弟役を演じていたことがあります。山田監督が自作の寅さんをさらに現代に置き換えて苦い方向に進化させたような役でした。
集団にはひとり異質な人物がいたほうが硬直化を防げていいんですよね。
(文:木俣冬)
>>>【関連記事】<ちむどんどん・沖縄編>1回~25回までの解説/考察/感想まとめ
>>>【関連記事】『明け方の若者たち』デリケートでどこか諦念に満ちた若い男女の恋
>>>【関連記事】「着飾る恋には理由があって」全10話のネタバレ感想
–{「ちむどんどん」第9週目のあらすじ}–
「ちむどんどん」第9週目のあらすじ
暢子(黒島結菜)が銀座の西洋料理店「アッラ・フォンターナ」に勤めて2年ほどが過ぎた。徐々に仕事は慣れてきていたが、ある日オーナーの房子(原田美枝子)から、とある店舗の経営立て直しを命じられる。意気揚々と出向いた先とは…。 そのころ、賢秀(竜星 涼)は東京でとあるビジネスに手を染め始める。沖縄やんばるの実家では、優子(仲間由紀恵)の元に良子(川口春奈)がやってきて、衝撃の告白をする。
–{「ちむどんどん」作品情報}–
「ちむどんどん」作品情報
大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――
ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。
放送予定
2022年4月11日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人
作:
羽原大介
語り:
ジョン・カビラ
音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)
主題歌:
三浦大知「燦燦」
沖縄ことば指導:
藤木勇人
フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子
制作統括:
小林大児 藤並英樹
プロデューサー:
松田恭典
展開プロデューサー:
川口俊介
演出:
木村隆 松園武大 中野亮平 ほか