「ちむどんどん」第44回:ニーニーは邪魔者なんかじゃない?「ちむどんどん」の寛容な世界

続・朝ドライフ

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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第44回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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お父さんの思い出が出てくるとホッとする

暢子(黒島結菜)はおでん屋の我孫子ヨシ(大島蓉子)が戦後の闇市で房子(原田美枝子 過去:桜井ユキ)に助けられた話しを聞きます。

房子は戦争でたったひとりの妹を亡くしていました。親もすでに亡くなっていて房子がたったひとりで生きてきたことを暢子は知ってしんみりします。

ここで思い出してみましょう。
第8週はミラノの料理人のピザにまつわる戦争の思い出を暢子は知りました。
第9週はヨシのおでんと戦争の思い出を聞きました。

暢子は戦後の生まれで戦争のことを知りません。彼女の父母は戦争の話を娘にしていません。一度だけ
幼い暢子が母・優子(仲間由紀恵)が泣いている姿を目撃したことがあり、視聴者は優子が戦争体験を思い出していたことを知っています。

何も知らない暢子が食を通して、誰かの過去を知る。「最後の晩餐」的ないいコンセプトです。NHK のよるのドラマやBS ドラマの8〜10回シリーズだったら、大好評でありましょう。

ただそれを半年間、毎回やるわけにもいかないので途中にはさみこんでいるのだと思います。比嘉家のてんやわんやに心が疲れていた視聴者もいるでしょうから、ちょうどいい箸休め的な感じです。いや、戦争の記憶を箸休めにしたらいけないですね。たぶん、これから、何も知らない暢子は知らなかった世界を”食”を通して知っていくのでしょう。

賢秀(竜星涼)がまた我那覇(田久保宗稔)に騙されて「おれは疫病神」と凹んでいる(優子がまたお金を貸していたことに驚き。比嘉家はどんだけへそくってんだ)と、暢子は足てびちを差し出します。その味は比嘉家の思い出でした。

少年時代、賢秀がやんちゃして「おれは疫病神」とへそを曲げていたとき、みんなで食卓を囲んだこと。どんなときでも「家族」。おいしい食事を共にすれば仲直りです。

「邪魔者とかはいない。けんかしても仲直りできるのが家族。この先何があっても みんなおまえの家族」(賢三)

足てびちをお父さん・賢三(大森南朋)が作ってくれたこと、作り方を教えてくれたことを思い出す暢子。

「迷子になったときは一回入り口に戻る。それが人生の基本だ」

三郎(片岡鶴太郎)の助言がここで効いてきます。暢子は父の教えを思い出し、おでんを煮込み始めました。

喧嘩した和彦(宮沢氷魚)の気持ちも理解できて……。

暢子は頭で考えずまず感情が先走ってしまうタイプですが、料理の構造に置き換えれば物事の理屈が理解できます。人には得意分野があってそれを生かせばいい。ニーニーもそれに出会えればいいんですよね。

それにしても、お父さんが沖縄そばだけでなく暢子に料理を教えていたのがわかって、こういうのをもっと子ども編で見たかったなあと思ったのですが、そうすると子ども時代が長くなってしまう。主人公の子ども時代が長いと視聴率が取りにくい。という過去の例からの判断だったのでしょう。ちょっともったいなかったですね。子ども編をじっくりやる朝ドラがあってもいいような気がします。

それはともかく、戦争の思い出のみならず、食の思い出が「ちむどんどん」のコンセプトなんだろうと思います。

そして「邪魔者とかはいない」も。だから賢秀がどんなことをしても邪魔者にしてはいけないのです。

(文:木俣冬)

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–{「ちむどんどん」第9週目のあらすじ}–

「ちむどんどん」第9週目のあらすじ

暢子(黒島結菜)が銀座の西洋料理店「アッラ・フォンターナ」に勤めて2年ほどが過ぎた。徐々に仕事は慣れてきていたが、ある日オーナーの房子(原田美枝子)から、とある店舗の経営立て直しを命じられる。意気揚々と出向いた先とは…。 そのころ、賢秀(竜星 涼)は東京でとあるビジネスに手を染め始める。沖縄やんばるの実家では、優子(仲間由紀恵)の元に良子(川口春奈)がやってきて、衝撃の告白をする。

–{「ちむどんどん」作品情報}–

「ちむどんどん」作品情報

大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――

ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。

放送予定
2022年4月11日(月)~

<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。

日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。

<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。

出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人

作:
羽原大介

語り:
ジョン・カビラ

音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)

主題歌:
三浦大知「燦燦」

沖縄ことば指導:
藤木勇人

フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子

制作統括:
小林大児 藤並英樹

プロデューサー:
松田恭典

展開プロデューサー:
川口俊介

演出:
木村隆  松園武大 中野亮平 ほか