2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第38回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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和彦の取材、歌子のオーディション
東洋新聞社でボーイ(お手伝い)をはじめ半月が経った暢子(黒島結菜)ですがなかなか新聞に親しめません。
デスクの田良島(山中崇)が「取材も料理も同じ」と説きます。料理は食べてもらう人のことを思ってつくる。取材も読んでもらう人のことを思って書く。
田良島の話を聞いた暢子は、オーディションであがって歌えなくなった歌子(上白石萌歌)に「取材」を
「歌」に置き換えてアドバイスします。
「うちも東京で揉まれて大人になったわけさあ」
こんなふうに言う暢子の調子の良さは、ニーニー(竜星涼)に似ている気がしました。
たちまち歌子はリラックスして、家族のことを想って、得意の「翼をください」を透明感のある声で歌います。
「あさイチ」の博多華丸が、このシーンでは意地悪だった審査員の表情が変わるところを映したほうがよかったのではないかと意見していました。確かにそういうのがあったほうが盛り上がるようにも思いますね。
ただ、審査員の顔は映ってなかったですが、背後のオーディションを受ける人の表情がみるみる変わっているのは見てとれました。そのひとは、審査員の表情もちらっと確認して自信をなくしたような顔もしています。
歌子を中心にしたワンカットでこのオーディション会場の空気が歌子の歌で変わったことが表現されています。無駄のないいい場面です。
ヤング大会のときも感じてレビューに書きましたが、「ちむどんどん」はエキストラの芝居がしっかりしています。エキストラ自身が優秀なのもあるでしょうし、おそらくエキストラを担当して指示を出す助監督がしっかりしているのだと思います。
表情をワンカット入れたらいいのでは感想は、第37回で筆者も智(前田公輝)が和彦(宮沢氷魚)を見て
ライバル?と意識する顔を入れたほうがいいのではないかと書きましたが、智はシンプルな性格でしょうから、大野愛(飯豊まりえ)も一緒に来ていたので安心しているのかもしれません。
さて、和彦です。東洋新聞の人気企画「最後の晩餐」の取材をすることになりました。
ミラノの料理人・タルデッリ(パンツェッタ・ジローラモ)は「最後の晩餐」に食べたいものはピッツァ・マルゲリータでしたが、記事を読んだ田良島はイタリア北部・ミラノ出身のタルデッリが南部のピザを好むのは食文化的におかしいと指摘します。
なぜピザなのか理由を聞いても答えてもらえず時間がなかったと言い訳する和彦ですが、取材の予定時間を過ぎてから、記事のテーマをおまけのように聞くのはミスですよねえ。最近の「最後の晩餐」に不満があり、自分なりの切り口で取材して書いてみたいという気持ちもわかりますが……。
”最後の晩餐”という形骸化されたものがつまらないと感じて、もっと深い食文化に切り込みたいと勇んでしまった。要するに、朝ドラよりも土曜ドラマのような社会派のドラマをやりたいというような感覚でしょう。でも朝ドラなら朝ドラ、最後の晩餐なら最後の晩餐のルールに則ったうえでいいものにしないといけません。
文化部に配属になったばかりの和彦のやる気の空回り。彼もまた読者のことを考えずにひとりよがりになってしまっているようです。
タルデッリの謎は、暢子がフォンターナで、淀川先生(本田博太郎)にフォンターナではピザを置くはずがないと言われた謎ともつながりそうですね。
(文:木俣冬)
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–{「ちむどんどん」第8週目のあらすじ}–
「ちむどんどん」第8週目のあらすじ
暢子(黒島結菜)が沖縄を出てから1年が経った。右も左も分からない新人だった暢子も、ある程度仕事ができるようになっていたが、オーナーの房子(原田美枝子)から突然衝撃の通告を受ける。その内容は…。沖縄の実家では良子(川口春奈)が妊娠して間もなく出産を迎えそう。そして母・優子(仲間由紀恵)と暮らす歌子(上白石萌歌)は、誰にも言えないある秘密の思いを抱えていた。
–{「ちむどんどん」作品情報}–
「ちむどんどん」作品情報
大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――
ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。
放送予定
2022年4月11日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人
作:
羽原大介
語り:
ジョン・カビラ
音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)
主題歌:
三浦大知「燦燦」
沖縄ことば指導:
藤木勇人
フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子
制作統括:
小林大児 藤並英樹
プロデューサー:
松田恭典
展開プロデューサー:
川口俊介
演出:
木村隆 松園武大 中野亮平 ほか