2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第37回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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暢子と和彦、10年ぶりの再会
第8週「再会のマルゲリータ」(演出:中野亮平)では、オーナー大城房子(原田美枝子)が暢子(黒島結菜)の教養のなさに業を煮やし、東洋新聞社に送り込みます。
そこはアッラ・フォンターナの厨房とはまた全然違う喧騒が……。目の回る忙しさのなか、新聞記者になった和彦と再会!
喜んでいると、和彦は暢子の下宿にまで引っ越してきて、一気に10年の空白が埋まったようでした。
ひよわそうだった和彦がしゅっとかっこよくなって、記者としても優秀そうな雰囲気を漂わせ、もうそれだけで気分のいい第37回。
彼がなぜ鶴見に住んでいるのか、その理由なども述べられている、和彦役の宮沢氷魚さんのインタビューも合わせてお読みください。
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和彦にはどうやらおつきあいしている女性・大野愛(飯豊まりえ)がいて……。
暢子は一般常識もないうえ、恋の概念もなさそうで、いまのところ、愛の存在を気にしてはいないようですが、それ意外に気になることはいくつもあります。
”朝ドラあるある”ではありますが、まず、和彦は10年前東京に帰るとき手紙を書くと言っていたのに、いつの間にか連絡をとりあわなくなってしまったのはなぜなのでしょうか。
長い人生、そういうこともよくあるとはいえ、朝ドラでは縁がぷっつり切れることが多過ぎるのです。
狙いとしてはいつか再会するサプライズのためと推測します。裏設定では連絡をとりあっていたとしても、そこはあえて描写しないことが多々あります。
直近の例としては「カムカムエヴリバディ」。ヒロインるい(深津絵里)がお世話になった親代わりのような大阪の竹村夫妻(村田雄浩、濱田マリ)と連絡をとっていないように見えるのはなぜ? と視聴者はやきもきしました。
後々になって、最初はやりとりしていたが平助(村田)が病気で故郷に引っ越したことで少し縁遠くなったという説明がされました。
「ちむどんどん」の和彦は真面目でまめに連絡をとりそうなキャラですし、また、愛に暢子ややんばるの話をよくしていたようなのに、連絡をとってないのもちょっと不思議であります。お父さん(戸次重幸)が亡くなったら一報入れてもよさそうですが比嘉家に心配かけたくなくて連絡しなかったのかもしれません。
ドラマで描かれない時間について真剣に考えてはいけません。それが朝ドラの常識。
朝ドラを楽しむ秘訣:不自然なまでに描かれないことは、あとで出番がある印。そういうルールと思っていると気が楽になります。
もうひとつ気になったことがありました。暢子が新聞社でしきりにメモしていました。そういえば暢子はなんでもメモするメモ魔でした。フォンターナの1年半、様々な経験をメモしていなかったのだろうか。ちょっとした会話に出てくる地理や歴史や仕事の常識などなんでもメモしていそうだけれど……と思ってもいけません。暢子は料理を覚えることで精一杯だったのですたぶん。
よくある新卒教育では、専門職を学ぶ前に一般常識を学ばせるものですが、房子はそうせず、暢子の個性を伸ばすことを優先したのでしょう。それはそれで常識にとらわれない教育方法として興味深いです。
考えてみたら、一般常識に秀でても肝心の料理に意外と才能がなかったらそこにいることが無駄になってしまいますから合理的ともいえます。
もうひとつは、智(前田公輝)。和彦登場で最強ライバルと警戒しないのでしょうか。単純に歓迎してましたが、むむっという顔をワンカット入れてもいいような気もしましたが、それもまたあとでゆっくりということなのでしょう。
以上、好意的に捉えてみました。あえて描かない。それは代々受け継がれる朝ドラ秘伝なのかもしれません。
ただ、暢子と再会したらすぐに社食の美味しいものを紹介している和彦に、暢子との約束をちゃんと覚えている優しさを感じました。こどもに優しいお兄ちゃんなのもいい感じでした。
(文:木俣冬)
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–{「ちむどんどん」第8週目のあらすじ}–
「ちむどんどん」第8週目のあらすじ
暢子(黒島結菜)が沖縄を出てから1年が経った。右も左も分からない新人だった暢子も、ある程度仕事ができるようになっていたが、オーナーの房子(原田美枝子)から突然衝撃の通告を受ける。その内容は…。沖縄の実家では良子(川口春奈)が妊娠して間もなく出産を迎えそう。そして母・優子(仲間由紀恵)と暮らす歌子(上白石萌歌)は、誰にも言えないある秘密の思いを抱えていた。
–{「ちむどんどん」作品情報}–
「ちむどんどん」作品情報
大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――
ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。
放送予定
2022年4月11日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人
作:
羽原大介
語り:
ジョン・カビラ
音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)
主題歌:
三浦大知「燦燦」
沖縄ことば指導:
藤木勇人
フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子
制作統括:
小林大児 藤並英樹
プロデューサー:
松田恭典
展開プロデューサー:
川口俊介
演出:
木村隆 松園武大 中野亮平 ほか