2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第36回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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あれから1年半……再び、クビ宣言
1973年、10月、暢子(黒島結菜)がアッラ・フォンターナに勤めはじめて1年半が経ちました。
前菜の一部を任されるようになったものの、料理以外の知識がかなり不足している暢子。その日の新聞を野菜を包むのに使ってしまったり(新聞を読まないから気づけない)、大事なお客様で演劇評論家の淀川春夫(本田博太郎)相手にとんちんかんな会話をしてしまったり。
ここで淀川先生が”演劇評論家”設定なのが70年代だなあと感じます。この頃は演劇の文化的価値がいまより全然高かったのであります。
暢子は東京に来て1年半も働いていてもまだ全然洗練されていません……さすがにもうすぐ2年だったら、少しは常識も覚えるのではないかという気もしないではないですが、1年半って意外と過ぎるのは速いので暢子も前菜が作れるようになるまで大変だったと思うことにします。
オーナー大城房子(原田美枝子)は暢子の無教養が許容できません。再び「クビ」発言。とはいえ彼女は「クビ」と言うけれどすぐに取り下げて代わりの条件を出してくる。暢子を試しているのでしょう。
クビの代わりに、新聞社でバイト(ボーヤ)することになった暢子。全然違う環境であたふたがはじまりました。
ある程度の教養や知識をもった者から見たら、暢子や賢秀(竜星涼)は無知、無教養に思えて顔をしかめざるを得ませんが。少なくとも暢子には知識を与える人物(房子)が現れたのです。
房子自身、小学校しか出ていないにもかかわらず勉強して広い知識と視野を手に入れました。そういう先輩を見倣って暢子も立派な教養ある料理人に成長していくのでしょうか。
筆者が以前、とある人気占い師に取材したとき、多くの人の悩みは主として知識が不足しているから起こることで、知識を持ってほしいと語っていらっしゃいました。家庭のこと経済のこと、知識があれば自身で解決できることもあるのですが、それがないとたちまち迷路に入ってしまうのです。
比嘉家の混迷の要因はこの知識不足によるものでしょう。本来、比嘉家には教師をやっている知識ある良子(川口春奈)がいるわけですが、彼女が家族を導くわけにもいかず。ひとりひとりが勉強しないとならないのです。そして良子も結婚して妊娠し子育てのために教師を辞める選択をします。
その頃、歌子(上白石萌歌)が歌手のオーディションを受けようかと考えはじめていました。そこでラジオからかかっているのは南沙織の「17歳」。71年にデビューした沖縄出身のトップアイドル歌手であります。歌子はこんなふうになりたいと憧れているのでしょう。南沙織こそ、沖縄の一番星☆
一番星を目指す賢秀がビッグなビジネスを目指して働いている養豚場でも「17歳」がかかっています。おそらくですが、同じ曲をかけることで、同じ時期であることを表しているのではないかと思います。
何ひとつ長続きしない賢秀が長居するつもりはないと言いながら1年半も養豚場にいるとは珍しい。彼もいよいよ一番星になれるチャンスが来たのかもしれません?
淀川先生役の本田博太郎、東洋新聞社のデスク・田良島甚内役の山中崇が軽妙なせりふ回しでキャラを立たせて場面を弾ませます。新展開に期待。
(文:木俣冬)
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–{「ちむどんどん」第8週目のあらすじ}–
「ちむどんどん」第8週目のあらすじ
暢子(黒島結菜)が沖縄を出てから1年が経った。右も左も分からない新人だった暢子も、ある程度仕事ができるようになっていたが、オーナーの房子(原田美枝子)から突然衝撃の通告を受ける。その内容は…。沖縄の実家では良子(川口春奈)が妊娠して間もなく出産を迎えそう。そして母・優子(仲間由紀恵)と暮らす歌子(上白石萌歌)は、誰にも言えないある秘密の思いを抱えていた。
–{「ちむどんどん」作品情報}–
「ちむどんどん」作品情報
大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――
ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。
放送予定
2022年4月11日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人
作:
羽原大介
語り:
ジョン・カビラ
音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)
主題歌:
三浦大知「燦燦」
沖縄ことば指導:
藤木勇人
フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子
制作統括:
小林大児 藤並英樹
プロデューサー:
松田恭典
展開プロデューサー:
川口俊介
演出:
木村隆 松園武大 中野亮平 ほか