<悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

国内ドラマ

>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

深見じゅん原作の人気コミック「悪女(わる)」が、30年の時を経て再びドラマ化。
今作がドラマ初主演となる今田美桜が三流の大学を四流の成績で卒業した、ポンコツだけどポジティブな新入社員・田中麻理鈴を演じる。共演に江口のりこほか。

cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・第10話ストーリー&レビュー

・「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

田中麻理鈴(今田美桜)は、超ポジティブだけど少々ポンコツな新社会人。大きな夢を抱いて大手IT企業「オウミ」に就職した彼女は、会社の地下にある「備品管理課」に配属される。

そこは、会社のお荷物社員が集められた“うば捨て山”。麻理鈴は、クールな先輩社員・峰岸(江口のりこ)から「あなたは何も期待されていない」と切り捨てられる。備品を届けた花形部署の小野忠(鈴木伸之)や他の社員たちからも邪険にされる。しかし、そんな悪意にもまったくメゲないのが、田中麻理鈴。それもそのはず、彼女が一生懸命働きたい理由には、“運命の出会い”が絡んでいたのだ。

麻理鈴は峰岸に「もっと仕事がほしい!」と付きまとう。根負けした峰岸は「ビルの清掃スタッフの顔と名前を覚えなさい」と謎の指示を出し、麻理鈴は言われた通りに、山瀬(高橋文哉)をはじめとする清掃スタッフとコミュニケーションを取るようになる。

一方、営業部で働く若手社員・美加(志田未来)も麻理鈴を疎ましく思う一人。「コロナ年入社組」と呼ばれ会社に馴染めずにいた美加は、入社早々皆に名前を覚えられている麻理鈴のことが気に入らない。そんな中、美加のピンチにまったく関係ない麻理鈴がしゃしゃり出て――。オトナたちの常識をぶっ壊し、こずるく楽しく出世していく…規格外の新入社員・田中麻理鈴の会社員生活が今スタートする。

第1話のレビュー

俳優の今田美桜が満を持して主演を務めるドラマ「悪女(わる」〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜」(日テレ系)がついに始まった!本作は深見じゅんによる不朽の名作コミックを原作としたドラマ。1992年に石田ひかり主演でテレビドラマ版が放送され、今回は実に30年ぶりのリメイクとなる。

今田美桜が演じる主人公・田中麻理鈴は、三流の大学を四流の成績で卒業し、運よく大手IT企業に就職したポンコツだけどポジティブな新入社員。しかし、備品管理課という窓際部署に配属され、謎多きクールな先輩社員・峰岸雪(江口のりこ)の助言を借りながらステップアップを目指していく。

これまで「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」(TBS系)、「親バカ青春白書」や「恋はDeepに」(日本テレビ系)、連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK総合)など、勝気で打算的な女の子を演じることが多かった今田美桜。そんな彼女がポンコツな新入社員?と驚いたかもしれないが、これがかなりハマっている。空気なんて一切読まずに先輩たちに体当たりし、仕事に全力で取り組む姿は気持ちが良くて応援せずにはいられない。

特に、江口のりこが演じる峰岸との掛け合いも最高だった。どんなに無視されても峰岸からあらゆる手で仕事をもらおうとする麻理鈴も、そんな彼女の押しに負けず無表情を決めていたが、一人で飲んでいる途中に思い出し笑いをしてしまう峰岸も微笑ましくて、第1話からすでに良いコンビが出来上がっている。

二人はこれから共に会社を変えていこうとするのだろうが、元々1980年代から90年代にかけて連載されていた原作から現代的に大きくアレンジされた設定も視聴者からの共感を呼んでいた。素早くここ数年続くコロナの影響を取り入れ、入社まもなくリモート出社となった新人の気持ちに寄り添った初回の放送。つい最近になってようやく出社できるようになった営業一課の大井美加(志田未来)がクローズアップされ、入社3年目なのに会社の戦力になれないことへの苦悩と苛立ちが描かれた。

「レンタルなんもしない人」 (テレビ東京系)や「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ系)、「SUPER RICH」(フジテレビ系)など、近年は何かと心にモヤモヤを抱えた役を演じることが多い志田未来。今回もあと一歩を踏み出せない大井の葛藤を映し出していたが、やっぱり志田未来が感情を爆発させるシーンは胸に迫る。自身が持つ華やかさを消して、どこにでもいそうな普通の女の子を演じさせたら彼女の右に出るものはいない。

そんな志田演じる大井の突破口は「バカになること」だった。それは上司に媚びへつらうことではない。麻理鈴のようにプライドを捨て、失敗を恐れずに自分が思うままに行動した結果、大井は初めて契約を成立させる。もちろん現実はそんな簡単にいかないが、大事なのは楽しむこと。人生の大半を仕事に費やすのなら、せめて楽しいほうがいいし、自分の心次第でつまらない仕事も楽しいものに変えられる。メッセージが非常に明確で、“仕事の後の一杯”のように疲れた身体に染み入るドラマだった。

そして、個性豊かな男性キャストの魅力的なこと!

麻理鈴が一目惚れしたT.Oさんを演じる向井理(爽やかで素敵すぎる)から、清掃スタッフの山瀬くんを演じる高橋文哉(人懐こい笑顔にキュン!)、最初の印象は最悪だけど、どうせ麻理鈴の魅力に気づいていくんでしょ?なエリート社員の小野を演じる鈴木伸之(嫌な奴を演じてもかっこいい)、今回の一件で美加の良き理解者になってくれそうな営業一課の白田を演じる荒牧慶彦(さすが2.5次元界のスター、華がある)など、「みんな素敵で選べなーい!」状態だ。

女性陣も初代麻理鈴役の石田ひかりに石橋静河や、芸人の近藤春菜(ハリセンボン)や渡辺江里子(阿佐ヶ谷姉妹)など配役が豪華で、あのジェジュン&ジュンスが久しぶりに日本で発表した新曲が主題歌になっていたりと、これから毎週の放送が楽しみで仕方がない。

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

「出世したら何でも好きなことができる」という峰岸(江口のりこ)にそそのかされた麻理鈴(今田美桜)は、出世すれば憧れの“T・Oさん”(向井理)に会えるかもしれないと期待し、「出世します!」と宣言。峰岸が何かを企む中、麻理鈴は突然、「人事部」に配属されることになった。

「人事部」で麻理鈴を待ち受けていたのは、課長の夏目(石田ひかり)。男性優位の社内で出世するために「女は男の2倍頑張らないといけない」と考える夏目は、他の女性社員を徹底的に支配&攻撃する態度から“女王蜂症候群”と陰口を叩かれていた。

早速、夏目は麻理鈴にも厳しく接するが、前向きな麻理鈴には厳しい彼女のシゴキも通用せず、それどころか「女王蜂、カッコいい!」と懐かれてしまう。そんな麻理鈴に、ほんの少しだけ心を開き始める夏目。しかし、夏目と峰岸の間にあった過去の確執が、麻理鈴の行く手に大きな影を落とすことになり…!?
 
人事部で社員名簿を調べた麻理鈴は、ある作戦を使って“T・Oさん”探しに励む中で、小野忠(鈴木伸之)が“T・Oさん”ではないかと目星をつける。時を同じくして、夏目が仕切るリーダー研修を手伝うことになり、部の極秘資料である早期退職候補者リストに名前が載っていた三瓶花子(渡辺江里子)と、小野と共に研修を受けることに! 遂に“T・Oさん”と再会できると胸を弾ませる麻理鈴だったが、その直後に大失敗をしでかしてしまう!

第2話のレビュー

「バリキャリ」と聞いて、どんな女性を想像する?

恋愛や結婚には興味がない仕事に生きる女?
周りを蹴落としてでも会社でのし上がっていこうとするしたたかな女?
自分にも他人にも厳しくて絶対に涙を見せない女?
……おそらく、キリッとした強そうな女性を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。

ドラマや映画で描かれてきたキャリアウーマンがそういう女性として描かれてきたというのもあるが、何より”強くあらねば”男性優位社会で生き残っていけなかったからだ。「悪女(わる)」第2話でフューチャーされた、人事部課長の夏目聡子(石田ひかり)もそう。

新たに人事部に配属となり、持ち前の明るさとやる気で、みんなから“女王蜂”として恐れられている夏目課長の懐にもスッと入り込んだ麻理鈴(今田美桜)。ひょんなことから会社の男性役員たちと一緒に飲むことになった麻理鈴は、そこで夏目が若い頃は飲みの場で誰よりも気を利かせ、翌朝も誰より早く出社し、いつも綺麗な格好でバリバリ働いていたことを知る。

「女が男と肩を並べるにはね。2倍頑張らなきゃいけないの」

それなのに「オウミ初の女性役員は夏目さんかな?」と会社は期待ばかりさせて、結局は課長止まり。ダイバーシティを謳っていながら、男性役員はサラッと「女性がいると場が華やかになる」と役割を押し付けてきたり、少しでも女性同士がぶつかり合うと、「女の敵は女」「女の修羅場(笑)」と勝手に盛り上がったりする。

そんな中で夏目は自分が先頭に立ち、女性も活躍できる職場に変えていこうとしてきたのだ。しかし、それが仇となって周りから“女王蜂症候群”なんて言われてしまう。

女王蜂症候群とは、男性優位社会で成功した女性が、女性の部下の活躍をよく思わず、必要以上に厳しくしてキャリアを妨害することらしい。男性同士の潰し合い、蹴落とし合いなんていくらでもあるのに、女性というだけでその現象に名前までつけられるなんて納得がいかない。

一方で、夏目は女性の活躍の場を積極的に作ろうとはしてきたが、結婚して会社を辞める部下に「今ドキ寿退社?」と嫌味を言ったり、昔対立して袂を分かった峰岸(江口のりこ)に可愛がっていた麻理鈴が自分より懐いているからといって、大事な書類を隠して懲らしめようとしたり、単純に良い上司とは言えないところもある。

職場で泣く女なんか嫌いと言う夏目。そこには、「自分はこんなに頑張ったのに」という自負があるからだろう。でも嫌がらせした自分を100%信じ、「夏目課長が好きなんです」と子どものように泣きじゃくる麻理鈴の姿を見て、初めて夏目は会社で涙を流す。

女の敵は女なんかじゃない。本当の敵は、古い価値観や偏見と戦い、不妊治療・妊娠・出産・育児・介護、その他諸々の事情がある中で仕事との両立を目指す女性たちを側から見て笑ったり、茶化したり、妨害しようとしてくる存在だ。

リストラ候補に挙がっていたカスタマーセンターの三瓶(渡辺江里子/阿佐ヶ谷姉妹)が一見頼りなくも、実は精神的なサポートで派遣社員から慕われる存在だったように、みんなの上に立つ上司は強くて厳しい人ばかりじゃなくていい。

「夏目課長も、三瓶リーダーも、田中の憧れです!」

色んなタイプのキャリアウーマンが伸び伸び活躍できて、正当に評価される日がきたらいい。夏目が「将来的になくなった方がいい」と言いながら女性社員にスポットを当てた“ウーマンビジネス賞”を新設したように、まだまだ一人ひとりが意識を変えていく必要があるのだ。

1992年の「悪女(わる)」で石田ひかりが麻理鈴を演じてから30年。もしも今から30年後に本作が再ドラマ化されて、今度は今田美桜が夏目を演じたとしたらどんな役になるのだろう。その頃にはわざわざ“女性”役員とか、“女性だから”とか言われない時代になっていたらいいなと願わずにはいられない。

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

入社前に運命の出会いを果たした“T・Oさん”(向井理)の正体を知った麻理鈴(今田美桜)は、大喜びで峰岸(江口のりこ)に報告。麻理鈴はこれ以上出世する必要はないと気を緩めるが、何事かを目論む峰岸から「今のまま彼に会って思い通りになるの?」と焚きつけられ、新たな部署「マーケティング部」で働くことになった。

「マーケティング部」で麻理鈴の指導をすることになったのは、誰にでもできる仕事だからと部署で“おまけ”扱いされている“リサーチチーム”に所属する梨田(石橋静河)。彼女は高いデータ分析力を持っているものの、「仕事はお金を稼ぐ作業」と割り切り、不透明な将来に備え倹約することをモットーとしていた。

彼女が「オウミ」のECサイトのトップページに掲載する商品を決めていると聞いた麻理鈴は張り切るが、堅実と安定を愛する梨田は麻理鈴からペースを乱されまいと、彼女と距離を置こうとする。麻理鈴は、なぜこの部署が邪険にされるのか?と悩んでいると、峰岸は、「アピールの方法が間違っているのか、本当に能力がないのか…」と出世100箇条として麻理鈴に告げる。
 
そんな中、企画開発部の小野(鈴木伸之)が「スッポンスープ」をトップページに掲載して欲しいとやってきた。“社長の息子案件”だと聞かされた梨田は、いつものことだと承諾。麻理鈴は憤慨するが、峰岸から仕事の上での「貸し借り」の重要性を説かれ、トップページに掲載する商品の選択に着手する。しかし、麻理鈴が「スッポンスープ」を競合商品と並べて掲載したため、事態は大問題に発展! 風前の灯火だった“リサーチチーム”は、解散の危機に陥ってしまう!! しかし、梨田は「どうせいつかなくなる部署でしょ」と割り切っていて……! 果たして麻理鈴は、“リサーチチーム”のピンチを救うことができるのか?

第3話のレビュー

麻理鈴(今田美桜)が入社前に一目惚れした“T・Oさん”は“O・T”さんだった。

ついに正体が明らかになった海外事業部で働く田村収(向井理)に近づくため、ステップアップを目指す麻理鈴が次に挑むのはマーケティング部。辞令に次ぐ辞令で、麻理鈴は社内の有名人なのでは?と思ったが、そうではないらしい。

おきまりの自己紹介を叫ぶ麻理鈴だが、誰も笑ってくれる人はおらず、やはりアウェイ。しかも、麻理鈴が配属されることになったのは「誰にでもできる仕事だから」と部署でおまけ扱いされているリサーチチーム、通称“おまケ”だった。

麻理鈴の指導を担当することになった梨田(石橋静河)も、やりがいなんてとっくに諦めていて、仕事は老後資金を稼ぐための作業と割り切っている。やる気のある子が大好きだった夏目(石田ひかり)とは正反対で、波を立てずに仕事したい梨田は麻理鈴と非常に相性が悪い。

しかも、麻理鈴は「オウミ」のECサイトのトップページに掲載する商品を決める際、企画開発部の小野(鈴木伸之)から「“社長の息子案件”だからトップページに掲載してほしい」と頼まれた取引先のスッポンスープを競合商品と並べてしまい、リサーチチームは解散の危機に陥る。

T・Oさんの顔を見て少しでも元気を出そうと、海外事業部に行ってみるが、逆に身分の差をつけられて麻理鈴史上一番の落ち込みに。そんな麻理鈴を元気づけたのは、みんなが口にしたがらないあのスッポンスープだった。

「正当な評価を受けられないのは、アピールする方法を間違えているか、そもそも本当に能力がないか」

麻理鈴がそう峰岸にアドバイスされ、スッポンの美味しさを社員にアピールしていることを知り、小野は強く反発する。実は小野も新入社員の時、自分の指導を担当してくれた峰岸に密かに憧れていたのだ。

あんな落ちこぼれになぜ目をかけるのかと問われた峰岸は、「女性社員はみんな田中麻理鈴。あなたに彼女たちを活かせるかな?」と小野を挑発。この言葉で、峰岸が何をやろうとしているのか少し見えてきた気がする。

営業一課の大井(志田未来)も、人事部の夏目も、梨田も。みんなどこか男性社員の“おまけ”扱いされていた。それは能力がないからじゃない。女性である、という時点で最初から男性社員よりスタート地点が低いのだ。峰岸はその現状を変えるために、会社で底辺の扱いをされている備品管理部で逆襲の時を待っていたのだろう。そこにタイミングよく麻理鈴が現れた。

短所も多いが、バイアスなしに人の良さを見つけられる麻理鈴。彼女が色んな部署を横断して上に行けば、きっと今はまだ眠ったままの才能を発掘してくれる。そう峰岸は確信したのではないだろうか。

今回も麻理鈴は、梨田が本当は仕事にやりがいを持って取り組んでいることに気づいた。頑張っても認められなかった過去から心を閉ざしていた梨田も、麻理鈴の姿に心動かされ、二人は共にスッポンスープの売上向上を成功させる。スッポンの名前を敢えて隠し、“冒険スープ”という商品名で売り出す作戦が功を奏した。

そんな二人の頑張りをこれまで女性蔑視と捉えられる言動が多かった小野がついに認め、リサーチチームは存続が決定する。もっと、もっと、社内には理不尽な理由で正当に評価されない人たちの才能が眠っているかもしれない。麻理鈴と関わった人たちが結託し、今回のように少しずつ周囲を動かしていく展開が痛快だ。

麻理鈴のよき先輩となってくれるキャストは毎回魅力的で、特に石橋静河は安心感がある。「この恋あたためますか」(TBS系)では森七菜演じるヒロインのライバルでありながら、さっぱりとした理想の先輩、「前科者 -新米保護司・阿川佳代-」(WOWOW)では保護司と保護対象という関係でありながら、有村架純演じる主人公の良き理解者となった。

誰と並んでも、たちまち良いコンビになる。意志の強そうな瞳とキリッとした佇まいで、同性が憧れる存在だ。そんな石橋が演じる梨田をはじめ、他の女性社員もみんなで笑えるようなラストを迎えてほしい。

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

麻理鈴(今田美桜)がマーケティング部に異動してから3ヵ月。そろそろ出世したい…と目論む麻理鈴は、峰岸(江口のりこ)の差し金で、「125周年プロジェクト」に参加することになった。プロジェクトのリーダーが小野忠(鈴木伸之)だと聞いた麻理鈴は表情を曇らせるが、周年プロジェクトが出世の登竜門だと知り、一気にやる気になる。

「125周年プロジェクト」では、小野の同期でエンジニア部の川端光(近藤春菜)が発案した企画が進行していた。世界的に有名なゲームデザイナー・鬼丸(冨永愛)とのコラボという川端の念願の企画なのに、小野がリーダーを務めることに違和感を抱く麻理鈴。しかし川端は、「男性がリーダーのほうが上手くいく」と麻理鈴を制する。

川端から、性別や年齢を設定しないアバターが自由に買い物をする空間を作成したいと説明を受けた鬼丸は、企画に前向きな姿勢を示す。そんな時、峰岸が地下の備品管理室から姿を消した…!
峰岸が役員フロアにいたと山瀬(高橋文哉)から聞かされ、「田中を置いていってしまったのか」とショックを受ける麻理鈴。
 
一方、小野は川端の企画意図を理解しないまま、アバターに性別や年齢を設けた“使いやすい”サイトに軌道修正してしまう。それを知った鬼丸は「つまらない」と企画を降板。それでも、「女性らしさ」「男性らしさ」という価値観にとらわれ続ける小野に限界を迎えた光も、プロジェクトから降りてしまい…! 頼みの綱である峰岸には、無視されてしまう始末。麻理鈴は「男性らしさ」「女性らしさ」という壁を乗り越えて、プロジェクトを成功に導くことができるのか!?

第4話のレビュー

日本の職場で女性がハイヒールやパンプスを履くことを義務づけられていることに抗議する「#KuToo」をはじめ、女性蔑視や性暴力を助長しかねない広告・CM等への反対運動など、近年、Twitterを中心に巻き起こっている「フェミニズム論争」。

性別や年齢に関係なく、誰もがひとりの人間として尊重される世の中になってほしい。その一心で声を上げた人たちが攻撃を受け、そこに色んな人が加わってむやみやたらに互いを傷つけ合ったり、側からその様子を見ていた人たちは巻き込まれたくなくて口をつぐむ。

そんな行き詰った現状に胸を痛めながらも、仕方ないと諦めていたところに喝を入れられた気がした「悪女(わる)」第4話。出世を目指す麻理鈴(今田美桜)が次に立ち向かうのは、社内の男女格差だ。

マーケティング部に異動してから3ヵ月、麻理鈴は出世の登竜門と呼ばれる「125周年プロジェクト」に参加することになる。“T.Oさん”(向井理)にまた一歩近づけると喜ぶも、プロジェクトのリーダーが小野(鈴木伸之)だと知って急にテンションが下がる。

小野といえば、第1話から嫌な感じを醸し出していた。入社式の時に心の中で「男女同じ数の雇用とかいう方針のせいで、あんな馬鹿女が」と麻理鈴に悪態をついていたが、とにかく無自覚に女性を下に見る発言が多い。

そんな彼は、前話で憧れの先輩・峰岸(江口のりこ)から投げかけられた「女性社員はみんな田中麻理鈴。あなたに彼女たちを活かせるかな?」という問いに真正面からぶつかることになる。

今回のプロジェクトでは、エンジニアを務める川端(近藤春菜)の発案で世界的に有名なゲームデザイナー・鬼丸(冨永愛)とのコラボ企画が持ち上がった。しかし、なぜか川端ではなくプロジェクトのリーダーになった小野は「女なのに」「女だから」を連発。当初「性別や年齢を設定しないアバターが自由に買い物をする空間をつくる」という方向性でみんなが納得し、動いていたコラボ企画も、性別や年齢にとらわれた設定に変えてしまう。

「小野さん、あなたの感覚は古すぎる」

揉め事を起こしたくなくて、誰もが目をつぶってきた小野の傍若無人ぶりに鬼丸は鋭い一言でぶった斬る。それでもなお、“フェミニストはテロリスト”と言わんばかりに自分の中にある性差別意識を認めようとしない小野。コラボ企画は白紙になり、鬼丸に感化された川端もプロジェクトから降りてしまうのだ。

どうすれば、男女で分裂したプロジェクトを成功に導けるのか。悩む麻理鈴に気づきを与えたのは、山瀬(高橋文哉)の何気ない一言だった。麻理鈴と道を歩くときに自然と車道側に立った山瀬は、その行動の訳を「田中さんだから」と語る。

“女だから”ではなく、“男だから”でもなく、“あなただから”。そうやって尊重し、認め合える関係性になれるように、麻理鈴は力や体格差のある小野に手押し相撲で挑む。何度も川端と戦略を練り、特訓してもやっぱり負けてしまったが、ちゃんとその思いは小野に届いた。小野は川端をプロジェクトのリーダーに据え、また一からメンバーと共に鬼丸とのコラボ企画を成功に導いていく。

小野自身もまた「男らしくあれ」と言われ、行動を制限されてきた性差別の被害者でもある。そして、峰岸すらもかつては小野に「男なら泣くな」と言った加害者でもあった。

今、その罪を省みた峰岸の「あなたが一言を呑み込むだけで、傷つかない人がいるかもしれない。それに、損なことだけでもないと思うよ。ちょっとした気遣いですむなら、すればいい。気遣いはタダだよ」という言葉が胸に刺さる。

誰の心にも自分では気づけない“差別意識や偏見”が眠っている。でもそれは恥ずかしいことでもなんでもない。本当に恥ずかしいのは、指摘されたことを攻撃とみなし、反発してしまうこと。ちゃんと自分の中に“それら”があることを認め、無意識に傷つけてしまっていた相手と向き合えたらいい。

「今はなんでもセクハラとか言われて生きづらい世の中だ」と笑う人がいる。だけど、本当にそうだろうか。峰岸の言う、“ちょっとした気遣い”はそんなに難しいことじゃない。

小野が会議で飲んだコーヒーの後片付けをしたことで、いつもその役割を押し付けられていた女性社員から喜んでもらえて不思議と清々しい気持ちになったように。ちょっとした気遣いで誰かの笑顔が生まれるならお安い御用!と思える人が増えたら、今より息がしやすい世の中になるはずだ。

さて今回は“T.Oさん”こと、田村収だけではなく、小野や山瀬の3人と麻理鈴の恋愛フラグが立った。第5話のテーマは「社内恋愛」。

憧れの人である田村か、反発し合いながらも良いコンビになってきた小野か、いつもそっと支えてくれる山瀬か。麻理鈴が最終的に誰をパートナーに選ぶのか、または誰も選ばないのか、いよいよ分からなくなってきたが、お仕事ドラマでもあり恋愛ドラマでもある本作から目が離せない。

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

年の瀬、麻理鈴(今田美桜)の営業四課への異動が決定した。女性課長が男性の部下相手にセクハラ事件を起こした影響で、空きが出たのだ。課長の三島(山口智充)が率いる営業四課は、効率化重視のため残業禁止。それどころか、仕事に支障が出るからと課内恋愛も禁止しているという。

文句たらたらの麻理鈴に、峰岸(江口のりこ)は「社内恋愛は身を滅ぼす」と出世100か条を授けたが、T・Oさん(向井理)一筋の麻理鈴は聞く耳を持たない。一方、麻理鈴から抱きつかれて以来、小野(鈴木伸之)は麻理鈴のことを妙に意識してしまう…。

営業成績抜群で和気あいあいとした雰囲気のチーム三島だが、バレンタインの目玉企画でトラブルが発生した。代わりの企画に向けて動き出した一同は、オフィスで残業はしないが24時間臨戦態勢。休日もクリスマスも関係なく連絡を取り合い、抜群のチームワークを見せるチーム三島の勢いに飲まれた麻理鈴は、仕事に没頭しすぎて、全ての原動力であったT・Oさんのことを忘れてしまう…。
 
その事実に気づいた時、峰岸がT・Oさんと一緒にいるところを目撃してしまった麻理鈴は疑心暗鬼に。2人の関係を邪推して峰岸から失望されてしまうが、チーム三島のリアルな恋愛事情と峰岸の思いがけない過去を知り…。

職場の人間関係の火種になりかねないとわかっているのに、なぜ社内の人と恋せざるを得ない状況に陥ってしまうのか。麻理鈴とチーム三島の面々がたどり着いた答えは?

第5話のレビュー

夫婦の約3組に1組が「職場結婚」という、世界でも稀に見る”オフィスラブ大国”の日本。一昔前は女性が会社に稼ぐ男性を探しにきていたと言われていたが、共働きが増えた今も社内恋愛は減らない。それは何故か?が問われた「悪女(わる)」第5話。

「社内恋愛は身を滅ぼす」。峰岸(江口のりこ)から新たな出世100か条を聞いた麻理鈴(今田美桜)が次に異動することになったのは、社内恋愛禁止の部署だった。

課長の三島(山口智充)率いる営業四課。そこは社内恋愛禁止だけではなく、生産性を上げるために夜8時以降の残業禁止、週休2日は絶対!のルールが設けられていた。表向きは働き方改革により、ワークライフバランスが整った職場。しかし、実は退社後も休日も24時間臨戦態勢で連絡を取り合う“仕事大好き人間”の集まりだった。

バレンタインの目玉企画に参加することになった麻理鈴も、最初は恋をパワーに頑張っていたが、次第にチーム三島の勢いに飲まれ、ついにはT・Oさん(向井理)のことを忘れてしまう。

そんな中、チームのメンバーが隠していた秘密が次々と明らかに。営業四課はカップルだらけで、家での残業・休日出勤も当たり前。何より課長の三島自身が、身体を壊してしまうほど働き詰めだった。

所詮、仕事は仕事。人生の一部でしかない。なのに、日本ではどうしても“仕事が全て”になってしまいがちだ。オフィスラブが減らない理由は「仕事が楽しすぎるから」という結論に至った麻理鈴。

楽しいから、寝る間も休む間も惜しんで働いてしまう。だから倒れることもあるし、外で恋する余裕もない。だけど、本当にそれでいいのか?という麻理鈴の問いかけは、私たち一人ひとりに向けられている。

峰岸が上司との不倫疑惑で備品管理室に飛ばされたように「社員間でのトラブルを避けるため」とか、「安心して働ける職場にするため」とか、社内恋愛が禁止される理由は色々とある。だけど一番重要なのは、「“仕事が全て”と社員に思わせないため」なのかもしれない。

三島課長が料理教室にハマり、プライベートも大事にするようになってから営業四課は変わった。社内恋愛禁止のルールは撤廃されたが、みんなが職場の外に目を向けるようになり、自然と課内カップルは破局。社内で恋愛することは決して悪いことではないが、そうせざるを得ない状況はなくなった方がいい。

一方、麻理鈴を中心とした社内恋愛はますます盛り上がりを見せる。小野(鈴木伸之)が麻理鈴に少しずつ惹かれ始めている中、なんと第6話では清掃バイトの山瀬くん(高橋文哉)がオウミに入社。麻理鈴の後輩となる。

「悪女(わる)」第二章では、四角関係に決着がつくのだろうか。

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

入社2年目を迎えた麻理鈴(今田美桜)に、初めての後輩ができた。清掃アルバイトとして「オウミ」で働いていた山瀬(高橋文哉)が、営業四課に配属されたのだ。山瀬はオウミの良いところも悪いところも知るためにバイトをしていたという。

先輩になったと張り切る麻理鈴の最初の仕事は、老舗アパレルメーカーから、出店料を回収すること。しかし、麻理鈴は先輩としての務めを果たそうとするが、自分の仕事が後回しになるどころか増えていき空回り…。小野(鈴木伸之)に助けを求めた麻理鈴は、小野と山瀬、新入社員の板倉(石井杏奈)と共に、売上を回復させるための企画を考えることになった。

回り道でも「過程」を大事にする、王道の営業手法を「正解」と考える小野。しかし、キャリアアップのための転職を前提とする板倉と起業を目指す山瀬は、小野のやり方は古い&効率が悪いと批判し、小野と新人2人の間に亀裂が! それぞれの仕事のやり方に長所も短所もあると感じる麻理鈴だが、そんな中、峰岸(江口のりこ)から呼び出され、T・Oさん(向井理)と食事をすることに。峰岸とT・Oさんは、「オウミ」を根本から変えようと、密かに計画を進めていた。一方、山瀬は麻理鈴への恋心を小野から指摘され…。
 
その翌日、小野が体調を崩した。山瀬と板倉の企画内容は評価しつつも、時期尚早と判断した小野は打ち合わせの延期を命じるが、山瀬と板倉は自分たちの企画書を手に取引先へ。後輩たちが何の相談もしてくれなかったと麻理鈴が落ち込む中、板倉は「先輩」「後輩」という考え方自体が古いと小野に言い放つ。一方、山瀬は峰岸から「先輩とは何か」を諭され…。
「仕事」に対してまったく異なる価値観を持つ小野vs山瀬&板倉の2つの世代は、お互いを理解し合うことができるのか? そして麻理鈴は、無事に「先輩」になることができるのか!? 

第6話のレビュー

ドラマ「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」が第二章に突入!オウミ入社2年目を迎えた麻理鈴(今田美桜)も、晴れて“先輩”となった。

“後輩”はなんと、麻理鈴が仲良しの山瀬くん(高橋文哉)。会社の情報収集するため、清掃アルバイトとして働いていた山瀬だったが、麻理鈴に恋したことが決め手となり、この度オウミに新入社員として入社した。

そんな麻理鈴に、今回も峰岸(江口のりこ)が出世100カ条を捧げる。「先輩とは、×××」。果たして「×××」に入る言葉とは何だろうか。

山瀬に良いところを見せようと張り切る麻理鈴の最初の仕事は、老舗アパレルメーカー「エディット」から出店料を回収すること。「エディット」はここ数年、売り上げが減少傾向にあった。

秘策を考える麻理鈴が頼ったのは、企画開発部の小野(鈴木伸之)。小野とその後輩である新入社員の板倉(石井杏奈)、そして麻理鈴と山瀬で企画を考えることに。

だが、板倉と山瀬はいわゆる“Z世代”。彼らは生まれた時からすでにインターネットが普及しており、SNS等で幅広い世界と触れていることから「多様性」を当たり前のものとして受け入れる傾向が強い。だから、良い意味で自分を持っているし、個性を大事にする。

ということは、会社の古い体制や価値観を押し付けられるなんて真っ平御免だ。板倉も山瀬も上下関係を重んじたり、良い企画があるのにクライアントのご機嫌ばかり伺っている小野にうんざり。一方で、小野の方も効率重視で相手の心と対話しようとしない2人にイライラを募らせていく。

そんな折、板倉と山瀬はそれぞれの先輩である小野と麻理鈴に相談もなく、自分たちだけで先方との打ち合わせに臨んでしまう。営業部長・国安(升毅)は2人から一方的に企画を押し付けられて激怒。前日に峰岸からご褒美として連れて行ってもらったT・Oさん(向井理)との食事会で浮かれ気分だった麻理鈴も後からその事情を知り、後輩に頼ってもらえなかったことに落ち込む。

好きな人であり、先輩である麻理鈴の顔に泥を塗ってしまった……。そう反省する山瀬に峰岸が贈ったのは、冒頭の出世100カ条。

「先輩とは、先に入った仲間。後輩とは、後から入った仲間」

おそらく、多くの人は山瀬と同じように驚いた反応を示すだろう。先輩・後輩の間柄には見えない壁が存在している気がして、どうしても「仲間」とは形容しがたい。でも、本来向かうべき先は同じはず。麻理鈴手作りの組織図にこれまで出会った社員の名前がびっしり書き込まれているのを見て、T・Oさんが「仲間の地図みたいだね」と言ったように、入ってきた順番が違うだけでみんな同じ「仲間」だ。

だから、“先輩”だからって偉いわけじゃない。無理に尊敬する必要もない。だけど、“先に入った仲間”を頼ったり、その経験と知識を時には借りてもいいんじゃないだろうか。

板倉は先方の懐にスッと入り込み、企画を成立させる小野の腕前、山瀬はその素直な性格により広がった、社内のネットワークをどんどん活用していく麻理鈴の強みを知る。そして、最後にはみんなで企画を成功させた4人。先輩も後輩も話が通じないエイリアンではない。目的を一にする仲間なのだから、いくらでも歩み寄ることはできる。

第6話では、峰岸とT・Oさんが影で進めていた計画も明らかになった。その計画とは、「3年以内に社内の女性管理職の割合を5割に上げる」というもの。T・Oさん、小野、山瀬との四角関係も含め、麻理鈴の環境は大荒れの予感だ。

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー



>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

「オウミ」の社長が倒れた。次期社長候補と目されているのは、実績的に文句なしの専務・島田(小木茂光)と、社長の息子の伝弥(野間口徹)。島田から女性管理職を5割に増やす計画、通称「JK5」の内諾を受けた峰岸(江口のりこ)は、これを機に一気に「オウミ」が変わると期待を寄せていた。

そんな中、麻理鈴(今田美桜)は、会社の10年後を考える伝弥主導の「未来プロジェクト」に応募。“伝弥派”だと思われたら厄介だと小野(鈴木伸之)は心配するが、人望も過去の実績もない伝弥のプロジェクトに参加する人材は少なく…。
山瀬(高橋文哉)の集めた情報をもとに社内の派閥について学ぶことになった麻理鈴は、島田派と伝弥派で揺れている取締役がいることを知り、伝弥の誕生日にBBQパーティーを企画。

島田派の命令でスパイとしてプロジェクトに参加した根津(北乃きい)は、伝弥のパワハラやセクハラの証拠を作る絶好のチャンスだと罠を仕掛けようとする。麻理鈴も張り切ってBBQの準備を進めるが、峰岸は島田にもパーティーを行うよう進言し…。麻理鈴のためにと渋々BBQにやってきた小野も、早々に島田のパーティーに向かってしまい、BBQは大失敗。落ち込んだ伝弥は、父である社長への複雑な思いを語る中で、「未来プロジェクト」が扱うべき本当のテーマに気付く。

地に足のついたビジネスに初めて前向きに取り組み、周囲を驚かせる伝弥。一方、峰岸は取締役の反発を恐れる島田から、「JK5」を白紙に戻すと宣言される。T・Oさん(向井理)と共に、伝弥を社長にする方向への切り替えを決意した峰岸。すると社内に、思いがけないウワサが流れ始め…!
劣勢の伝弥派として、初めての社内政治に挑んだ麻理鈴。様々な人の思惑が渦巻く中、彼女は「悪女」になりきって社内の荒波を泳ぎ切ることができるのか?

第7話のレビュー

現社長が突然倒れ、「オウミ」は大荒れの予感。社内は専務の島田(小木茂光)派と、社長の息子・伝弥(野間口徹)派に分かれる。島田から3年以内に女性管理職を5割に増やす計画、通称「JK5」に賛同してもらった峰岸(江口のりこ)も会社が一気に変わると期待十分だ。

「女は政治ができない。だから出世できないなんて言われたこともある」

社内政治とは、自分のやりたいことを組織で実行するための力。つまり“根回し”とも言えるが、それに一番向いてなさそうなのがまっすぐすぎる性格の麻理鈴(今田美桜)だ。しかし、そんな麻理鈴は第7話で「悪女」としての頭角を現し、ある偉業を成し遂げる。

島田専務とは違い、人望も商材もない伝弥主導の「未来プロジェクト」に参加を決めた麻理鈴。伝弥は突拍子もなくテーマを“宇宙”と掲げ、多くのメンバーは理由をつけてどんどんプロジェクトを去っていった。

残されたのは、麻理鈴と専業主婦になることを夢見る婚活女子の根津(北乃きい)だけ。しかも、根津は企画開発部に所属する島田派の如月(味方良介)から、「結婚を考えてもいい」という条件で伝弥へのハニートラップを命じられていた。

だが、麻理鈴と根津はプロジェクトを進めていくうちに意外な伝弥の一面を知る。彼は頼りなくて空気が読めないところもあるけど、思いやりがある。それに、倒れた父親の介護についてもひとしれず真剣に頭を悩ませていた。

根津にも祖母の介護経験があり、ふたりは意気投合。麻理鈴も含めた3人で“介護”をテーマにプロジェクトを進めていく。嫌な奴だと思っていたのに、いつの間にか伝弥のことを応援していた人も多いのではないだろうか。彼もまた社内政治には向いていないが、会社の上に立つのはこういう尊敬できる人がいい。

一方、今回で株が急降下したのは、島田専務の方。島田は次期社長の座を射止めると確信した途端、現役員の反発を恐れて「JK5」を白紙に戻したのだ。彼を慕っていた峰岸からすると、とんでもない裏切りだ。

そんな峰岸のピンチを救うべく、麻理鈴はかつてない悪女の顔を見せる。未来プロジェクトを取材した番組の生放送で、伝弥が島田を次期社長に推薦した後、「JK5」の概要をすべて明かしたのだ。これによって、島田は完全に逃げ場がなくなり、目標を達成せざるを得なくなった。派閥争いの結果、今回は麻理鈴に軍杯が上がったといえよう。

ただ一生懸命でまっすぐなだけではなく、悪女としての力をつけて成長を遂げていく麻理鈴。「オウミ」内でもどんどん”麻理鈴派”が増えてきている。そんな状況に危機感を覚えたのか、島田から麻理鈴に窓際部署である備品管理課への異動命令が。階段を転げ落ちるように出世から遠ざかった麻理鈴の反撃を期待したい。

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー


>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

社内政治で発揮した“悪女”ぶりで次期社長の島田(小木茂光)を怒らせた麻理鈴(今田美桜)は、再び「備品管理課」に逆戻り。小野(鈴木伸之)や山瀬(高橋文哉)が心配する中、麻理鈴は明るく振る舞おうとするが、「備品管理課」の仕事は減る一方で、先輩社員も早期退職で職場を去ってしまった。

残ったのは、課長の竹内(佐戸井けん太)と、企画開発部から異動してきたばかりのマミコ(桜井ユキ)だけ。立て続けに2人の子の育休と産休を取ったマミコは、復帰後も時短勤務が続いて企画開発部に居づらくなり、「備品管理課」に自ら異動してきたのだ。
育児で思うように仕事ができず、人にも迷惑をかけているのでは?と「すみません」と口にしてばかりのマミコ。それでもマミコが「未来」に備えて企画を書き溜めているのを見た麻理鈴は、「備品管理課」で新しい仕事を始めようと思いつく。

早速、放置されている“備品”をリスト化し、必要な部署に配り始める麻理鈴。その思いつきは話題となり「備品管理課」に人が殺到するが、仕事が増えたせいでマミコの私生活に影響が出てしまい…。峰岸(江口のりこ)の力を借りてなんとかマミコのピンチを乗り切った麻理鈴は、働く母が直面している厳しい現実を知る。
そんな中、空室が出た13階に「備品管理課」を移動させるべく、次々にアイデアを出す麻理鈴。しかし「社内規定に反している」と計画は頓挫してしまう。
 
麻理鈴に背中を押される形で仕事にやりがいを求め始めたマミコも、次第に疲弊していき…。自分がマミコを追い詰めているのか? 悩む麻理鈴に、竹内は「企画管理課」で働き続ける思いがけない理由を打ち明ける。
時短勤務も育休も「社内規定」で定められているのに、肩身の狭い思いをして苦しむマミコ。彼女は育児と「自分の人生」を両立する道を見つけることができるのか? そして「社内規定」に縛られて身動きが取れなくなってしまった麻理鈴が、自分の未来を切り開くために取った行動は…?

第8話のレビュー

次期社長の島田(小木茂光)に目をつけられ、また備品管理課に飛ばされてしまった麻理鈴(今田美桜)。周りの人に心配をかけないように明るく振る舞う麻理鈴だったが、備品管理課はやる事もなく、先輩たちも続々と早期退職していく。

一方、新しい仲間も増えていた。企画開発部から異動してきた、ワーキングマザーのマミコ(桜井ユキ)だ。立て続けに二児の産休・育休を取った後、仕事に復帰。しかし、子どもの急な発熱や保育園のお迎えで時短勤務が続き、企画開発部に居づらくなって自ら異動願を出したという。

それでも“いつか”のために企画を書き溜めていたマミコ。仕事は好き。働き甲斐もほしい。だけど、育児で思うように仕事ができないし、周りにも迷惑をかけてしまう。そんな葛藤を抱えるマミコのために麻理鈴は立ち上がる。彼女が考えたのは、備品管理課を社内一働き甲斐のある部署に改革することだった。

これまでも色んな社員にスポットを当てることで日本の働き方に異議を唱え、「そうそう、そうなんだよ」と私たちを唸らせてきた本作。特に麻理鈴の逆襲が描かれた第8話は、思わず涙が出るほどに温かい眼差しを持っていた。

二兎追う者は一兎も得ず。そんな言葉で、これまで「ワークライフバランス」の実現を目指す人たちは押さえつけられていた。だけど、どうだ。仕事は人生の一部でしかない、だけどそれが人生の8割を占めているのも事実。どちらも充実させたいと願うことは何もわがままなんかじゃない。

それなのに、マミコの口癖はいつの間にか「ごめんなさい」になっていた。同僚には早く帰る度に「また?」という顔をされ、子どもを抱えながらスマホで仕事の連絡を取っているだけで「子どもが可哀想」と見知らぬ人から野次を飛ばされる。きっと多くのワーキングマザーが経験していることだ。

一方、備品管理課の課長・竹内(佐戸井けん太)にも妻との生活を守るために地方転勤を断り、出世の道を閉ざされた過去があった。そういえば、前話でも親の介護で早期退職した社員が登場していたことを思い出す。仕事と生活の両立の難しさ。それは何も女性だけの問題ではないことを教えてくれる。

「何かを選んだら何かをあきらめなきゃいけないなんて誰が決めた?あなたは他の人とは違う。全部手に入れなさい」

そんな峰岸(江口のりこ)の言葉に励まされた麻理鈴は、総務部会議に参加。他部署と交流を深めるために、備品管理課の13階フロアへの移動を提案する。「ちょっと図々しいんじゃないですか?」という社員に、「そうです。私、図々しいんです!」とすかさず言い返す麻理鈴。マミコもそんな彼女の姿に勇気をもらい、企画開発部への再異動を上司に希望した。

図々しくていい。胸を張って、やりたいことをどんどん主張していこう。つい周りを気にして、“いい子ちゃん”になってしまいがちな日本人の心に刺さる回だったのではないだろうか。

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー


>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

峰岸(江口のりこ)が「女性の管理職五割計画」(通称:JK5)の推進室室長に就任し、「JK5」計画が本格的に始動した。麻理鈴(今田美桜)は、管理職を目指す20人の女性のための育成プログラムを担当することになった。

時を同じくして、T・Oさん(向井理)がシリコンバレーから引き抜いてきた笹沼(ソニン)は、「企画開発部」の課長に就任。笹沼は早速「企画開発部」で敏腕ぶりを発揮するが、小野(鈴木伸之)は周囲の男性社員が不満を抱えているのを見抜き、心配する。
麻理鈴が担当する「女性の管理職育成プログラム」は、ワーキングマザーのマミコ(桜井ユキ)やエンジニア部の川端(近藤春菜)らが参加し、大盛況。講師の言葉に背中を押されたマミコは、あるプロジェクトのリーダーを引き受けることを決意する。

母としての視点を活かすことができる企画に、張り切るマミコ。一方、麻理鈴に思いを伝えることができずにいた山瀬(高橋文哉)は、T・Oさんが女性管理職の数を増やすために、密かに男性管理職の肩たたきを進めていることを知ってしまう。
順調に仕事を進めていたマミコだが、熱を出した息子よりもプレゼンを優先してしまい、自己嫌悪。それでも、病児保育のスタッフに励まされ、前に進もうとするが…。笹沼も自分の企画がクライアントに受け入れられず、男性社員たちから“お飾り”のような扱いを受けるようになってしまう。
 
そして半年後。生まれ変わったはずの「オウミ」で働く、女性たちの現実を突きつけられた麻理鈴は…。
峰岸を信じて、ひたすら突き進んできた麻理鈴。彼らが先導する改革は会社にとって「薬」となるのか、それとも「毒」になってしまうのか? そして麻理鈴は、峰岸の望む「悪女」になりきることができるのか?

第9話のレビュー

「上に行く気のない人間はあなたが切り捨てるのよ、田中さん」

島田(小木茂光)が新社長に就任し、オウミが新たなスタートを切った「悪女(わる)」第9話。

峰岸(江口のりこ)も「女性の管理職五割計画」(通称:JK5)の推進室室長に就任。「JK5計画」も本格的に始動し、麻理鈴(今田美桜)は、管理職を目指す20人の女性のための育成プログラムを担当することになった。

参加者の中には、ワーキングマザーのマミコ(桜井ユキ)やエンジニア部に所属する川端(近藤春菜)の姿も。マミコは母親としての視点を活かせるプロジェクトリーダーを任され、最初は乗り気じゃなかった川端も、峰岸と麻理鈴に背中を押される形で管理職を目指すことになった。

さらに、T・Oさん(向井理)がシリコンバレーから引き抜いてきた笹沼(ソニン)が企画開発部の課長に就任。第8話で謎の女性として登場した彼女は、T・Oさんの元恋人だった。企画能力にも優れ、判断も迅速で取引先との付き合い方も上手い。まさに峰岸が理想とする女性リーダーのロールモデルだ。

女性社員たちが仕事で必要とされる喜びを手に入れ、今よりもっと輝けるように。そんな理想を抱えた「JK5計画」は順調に思えたが、彼女たちを待ち構えていたのは、あまりに現実的で暗澹たる未来だった。

子育てより仕事を優先することに葛藤を抱えながらも、前向きに頑張っていたマミコは夫から離婚を突きつけられる。川端は管理職になったらエンジニア職を離れなきゃいけないことに悩み続け、ついには「上を目指さない自分のような人間はオウミに必要ない」と退職を決意。笹沼も周りの男性社員たちから反感を買い、“お飾り”のような扱いを受けるようになってしまう。

がむしゃらに頑張ってきた彼女たちに向けられる数々の冷たい視線。それは「3年以内に社内の女性管理職の割合を5割に上げる」という目標を達成するため、大勢の社員を切り捨てる独裁的な改革を進めてきた結果だった。

麻理鈴は山瀬(高橋文哉)から、T・Oさんが女性管理職を増やすため、男性管理職を早期退職に追い込んでいることを聞かされる。夏目(石田ひかり)が人事部の新課長に選ばれたのも、江上課長(林泰文)の不倫や経費の不正利用をT・Oさんがリークしたから。他にも、備品管理課課長の竹内(佐戸井けん太)やマーケティング部部長の清水(おかやまはじめ)など、多くの男性社員が早期退職を促されていた。

大きな改革には多少なりとも犠牲がつきまとう。そう言ってしまえば、簡単だ。しかし、彼らにもこれまで頑張ってきた経歴と生活がある。峰岸とT・Oさんがやっていることは、女性社員と男性社員との間に対立構造を生みかねない。

一方で、強引にでも計画を進めなければ、女性管理職の割合を増やすことなんてできないという気持ちも理解できる。実際、「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする」という政府が出した計画「202030」は未達成に終わった。

女性が活躍できる社会的環境を整えた上で、女性も男性も個々の能力によって対等に評価される世の中に。ただそれだけのことが、如何に困難かを本作は真正面から突きつけてくる。不条理な世の中をまざまざと映し出す、コメディの皮を被ったホラーだ。

今回の癒しは、ミラー効果を狙って麻理鈴の言動を必死に真似た山瀬くんだけ。そんな彼もついに麻理鈴に告白して、玉砕してしまった。どうか彼に運命の相手が現れますように……。次週は最終回。JK5改革を巡り、対立してしまった麻理鈴と峰岸の関係が修復されるかどうかはもちろんのこと、麻理鈴が最終的に誰と結ばれるのかも気になるところ。

T・Oさんの裏の顔が明らかになってきたことで、今のところオウミの現状を客観的に見つめている小野(鈴木伸之)が優勢。だけど、T・Oさんのことを信じたい気持ちも正直ある。とにかく願わくば、最後に麻理鈴の満面の笑みが見られますように。そこにいるだけで周りを照らす麻理鈴のパワーがオウミを良い方向に導いてくれることを期待する。

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{第10話ストーリー&レビュー}–

第10話ストーリー&レビュー

第10話のストーリー


>>>「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の画像をすべて見る

「女性の管理職五割計画」(通称:JK5)が、「オウミ」に不協和音を生んでいる…!初めて峰岸(江口のりこ)に反発した麻理鈴(今田美桜)は、「JK5」から出ていくよう命じられた。落ち込む麻理鈴だったが、小野(鈴木伸之)に励まされ、担当中の「女性の管理職育成研修」で峰岸が認めるだけの結果を出そうと決意。

早速「JK5」に「分室」を作った麻理鈴は、企画開発部で孤立してしまった笹沼(ソニン)や、仕事と育児を巡って離婚の危機に陥ったマミコ(桜井ユキ)の問題を解決しようと奔走し始める。一方、T・Oさん(向井理)が影でリストラを進めていると疑っていた小野と山瀬(高橋文哉)は、彼の目論見を知り…。

社長の島田(小木茂光)から「JK5」の打ち切りをチラつかされ、焦る峰岸。一方、麻理鈴は、笹沼やマミコが直面している問題を解決するためには、働く男性が抱えている課題にも向き合う必要があると気付くが、「管理職研修」からは人がどんどん離れていき…。それでもメゲることなく、梨田(石橋静河)や川端(近藤春菜)の協力のもと、社員が匿名で悩みを相談しあえる場所=「雑談ルーム」をウェブ上に開設した麻理鈴。すると、相手を否定しないというルールが課せられた「雑談ルーム」には、社員たちの様々な本音が集まり始め…。
 
そんな中、「JK5」を巡って思いがけない事件が発生!峰岸は責任を問われる立場に陥ってしまった。麻理鈴は、峰岸と共に仕事を続けるために、そして「オウミ」の未来のために、最後の賭けに出る!

第10話のレビュー

ポンコツだけど型破りな新入社員・田中麻理鈴(今田美桜)。できない、でもめげない。そんな彼女が憧れの人に近づくため、会社の最下層からステップアップを目指してきたドラマ「悪女(わる)」がついに最終回を迎えた。

「女性の管理職五割計画」(通称:JK5)を巡り、ギスギスした空気が流れ始める「オウミ」。男性社員の中には早期退職を迫られる者もいれば、新しく管理職の座についた女性社員の足を引っ張ろうとする者も。

一方、女性社員の中には管理職を目指しながらも、理想と現実の狭間で思い悩む者。さらには、上を目指さなければ、会社から必要とされなくなると怯える者まで出てきた。そこには、どうやら「ガラスの天井」「ガラスの地下室」があるらしい。

「ガラスの天井」とは、女性やマイノリティが組織内で十分な素質や実績を持っているにもかかわらず、昇進が制限されている現状。かたや、「ガラスの地下室」とは、男性が収入と引き換えの危険な職種や長時間労働につき、自殺・事故・病気による死亡率が高く、過酷な状況に置かれている現状を表す言葉だ。

これまで女性の働き方について問題提起してきた本作だが、ここにきて男性の“地獄”を突きつけてきた。じゃあ、なぜ彼らは自ら問題提起しようとはしないのか、弱音を吐けばいいのに、と思うかもしれない。

その理由は第10話の冒頭で麻理鈴の想い人であるT・Oさん(向井理)が語っている。「話したところで解決にはならないと、話す前から諦めてしまうからだ」

峰岸と袂を分かち、独自に「JK5推進室・分室」を開設した麻理鈴はそんな現状を変えるため、だれでも匿名で悩みを打ち明けられるチャットをつくる。

そこには、続々と男性と思われる社員から色んな書き込みがあった。妻から家事育児のプレッシャーがすごい、PCの電源を入れると涙が出てくる、などなど。一つひとつの相談内容から男性が置かれている現状が透けて見える。

家事や育児に参加できない、仕事を休みたいと言い出せない。色んな「できない」がそこにある。JK5推進室はこれまで、女性社員の「できない」には真摯に向き合っていた。だけど、男性社員の「できない」には見て見ぬ振りをしてしまったから、不公平が不協和音を生んでしまったのかもしれない。

結果的に不倫と経費の不正利用を暴かれて退職に追い込まれてしまった社員に恨みを買い、週刊誌にオウミの現状をリークされてしまった。峰岸が責任を問われ、会社を辞めてしまうかもしれない。そこで立ち上がるのが、麻理鈴だ。

麻理鈴は緊急全社説明会の場で、峰岸の頑張りに救われた人たちの声を紹介する。男性社員からは育休を普通に取れるようになって嬉しい、管理職を目指さなくてもいいことが分かってホッとした、女性からは管理職を目指してみたいという意見も。一旦世間の常識が覆されたことで、色んな人が声をあげられるようになったのかもしれない。

「そして、この人たちの最大の悩みはロールモデルがいないこと」

「峰岸さんが険しい道を切り開いてくれたら、田中がその後を楽々と続きます。世界一ハードルの低いロールモデルになってみせます」

「ガラスの天井、みんなで破れば怖くないです!」

そんな麻理鈴の言葉が、どんなに頑張っても現状は変わらないと諦めかけていた峰岸の心を動かす。

「何も変わらないって諦めるのは楽です。でも、信じましょうよ。私たちだけでも。信じましょう、一歩ずつ前に進めるって」

性別や年齢にかかわらず、一人ひとりに人生がある。事情がある。困難がある。できませんって言うことは怖い。できないから助けてくださいって言うのはもっと勇気がいる。わがままだと思ってしまうから。

でも、もし誰かが口にしてくれれば、それに会社が対応してくれれば。後に続く人たちはもっともっと楽になる。できない、でもめげない。諦めず、時には図々しい悪女(わる)になって、自分の権利を主張できる麻理鈴みたいな人が増えたら、みんなが働きやすい会社に変わっていくのではないだろうか。

ポンコツ社員・田中麻理鈴の成長物語を描いたお仕事コメディかと思いきや、とてつもなく丁寧に男性と女性の両方からの視点で日本の働き方問題に向き合った社会派ドラマ「悪女(わる)」。

笑って、泣けて、最後に心が温まる。明日からまた頑張ろうと思わせてくれる。そんな作品だったと思う。最後に、このドラマを第1話から彩った主題歌「六等星」(J-JUN with XIA(JUNSU))のフレーズを一部だけ紹介したい。

〈暗闇の中で光れ 誰かを照らせるように/零れそうな 涙を堪えて わたしは生きてる〉

綺麗な星空や夜景の下で、誰かが今日も涙を堪えながら生きている。それぞれの人生に“地獄”があって、孤独や悲しみを胸に抱えて一日、一日を過ごしている。その事実を理解するところから始めればいい。みんな辛いんだからと、突き放すのではなく、隣に座って一緒にどうすればいいかを考える――本作はそんな優しいドラマだった。

(文:シネマズ編集部)

※この記事は「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」をHuluで無料視聴する

–{「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」作品情報}–

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」作品情報

放送日時

2022年4月13日スタート 毎週水曜夜10時~

原作

深見じゅん「悪女(わる)」(講談社「BE・LOVE」)

脚本

後藤法子、松島瑠璃子

演出

南雲聖一、内田秀実、山田信義

プロデューサー

諸田景子、小田玲奈、大塚英治、平井十和子

チーフプロデューサー

田中宏史

制作協力

ケイファクトリー

製作著作

日本テレビ