2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第29回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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原田美枝子さんの堂々たる姿よ
すばらしいです。イタリアンレストランアッラ・フォンターナのオーナー・大城房子役の原田美枝子さんは「ちむどんどん」のコントのような雰囲気にいっさい流れることなく、上品で毅然とした王妃のように存在しています。
氷の女王のように冷たく見えますが、比嘉暢子(黒島結菜)が敗者復活テストで沖縄そばを作ると、ほんの少しだけ微笑んだように見えます。
それから、暢子が形見に持っているお父さん賢三(大森南朋)の包丁を見たときの意味深な表情。物語が立ち上ります。
俳優はセリフがなくてもその前後左右になる物語を感じさせるのも大切なお仕事です。料理長・二つ星じゃなくて二ツ橋光二役の高嶋政伸(たかははしごだか)さんも房子の忠実な理解者なのでしょう。房子が厳しい分、フォローに回る役割を担っているように感じます。
高島さんはエキセントリックな役もお似合いですが、”忠実”な役もバツグンです。
”ニーニーのことは置いといて…”「あさイチ」渾身のテロップ
お父さんの言葉を思い出して敗者復活テストでおいしい沖縄そばを作った暢子は無事合格。下宿は鶴見の沖縄料理店あまゆの2階に決まりました。
あまゆとは沖縄の言葉で「甘い世の中 苦しいことのない世界」という意味。
苦しいことのない世界。あったらいいですよね。
労働者の街・鶴見はリトルオキナワ。沖縄から来た人たちが集まって助け合って暮らしている場所で暢子も守られていくのでしょう。県人会会長の平良三郎(片岡鶴太郎)が保証人で安心。
同じ沖縄の人でも、本土で生まれて沖縄そのものを知らない二世もいるし、考え方の違う人がいて争ったりもするようです。それをとりまとめるのが三郎。弱い者が助け合う。その精神を持っています。
1階のお店・あまゆは沖縄ムード満点。三郎の弾く三線の伴奏でみんなが盛り上がると、暢子は賢三の幻影を見ます。
賢三は沖縄の心であり、暢子の人生の指針として包丁に宿り暢子を見守ってくれることでしょう。
ちょっとホッとしたのもつかの間、お店にニーニーこと賢秀(竜星涼)がやって来て……。
勘定払わず帰ったにもかかわらずまた飲みに来ているという相変わらずの調子の良さですが、暢子は「ニーニー」と抱きつきます。
感動の再会。でもニーニーは疫病神や貧乏神のような存在なので不安しかありません。
今日の一回くらいは暢子のいい話だけで終了しても良さそうなところ、ニーニーが出てきたため、また心がざわつきました。邪気がいっさいないので嫌いにはなれない人物なんですけどね……。
「あさイチ」では朝ドラ受けはなく、その代わり、冒頭のテロップに「ニーニーのことは置いといて…」と入っていました。テロップなので事前に用意したものでしょう。スタッフの人たちも協力的ですねー。新たな朝ドラ受けのスタイルが発明されて、今日も日本は平和です。
(文:木俣冬)
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–{「ちむどんどん」第6週目のあらすじ}–
「ちむどんどん」第6週目のあらすじ
1972年5月。高校を卒業した比嘉暢子(黒島結菜)は、復帰した沖縄から東京へ料理人になるためにやってきた。大都会の人ごみ、行き交う車に衝撃を受け、そして銀座のレストランの西洋料理にびっくり! レストランのオーナー・房子(原田美枝子)らの失笑を買う。そして、兄・賢秀(竜星 涼)がいるはずの場所を訪れたところ、衝撃の事実が待っていた。上京初日から、暢子に人生最大のピンチが訪れる。
–{「ちむどんどん」作品情報}–
「ちむどんどん」作品情報
大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――
ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。
放送予定
2022年4月11日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人
作:
羽原大介
語り:
ジョン・カビラ
音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)
主題歌:
三浦大知「燦燦」
沖縄ことば指導:
藤木勇人
フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子
制作統括:
小林大児 藤並英樹
プロデューサー:
松田恭典
展開プロデューサー:
川口俊介
演出:
木村隆 松園武大 中野亮平 ほか