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明野照葉の同名小説を原作に、山崎紘菜と北乃きいがW主演と務める「汝の名」が4月5日より放送開始。
山崎演じる姉の陶子と北乃演じる妹の久恵は、「女王様」と「奴隷」のような関係を築き上げ、憎しみ合いながらも心の奥底で依存し合う。女の感情の「負」が惜しげもなく散りばめられた新感覚ホラーサスペンスだ。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
美貌と才能を兼ね揃えた若き社長・麻生陶子(山崎紘菜)。一方、妹の久恵(北乃きい)は姉とは真逆の性格で、失恋を機に陶子の家で引きこもっていた。陶子は久恵のことを都合のいい存在として扱うが、久恵は陶子の役に立てることに喜びを感じ、お互い奇妙な共存関係を築いていた。しかし壱岐亮介(EXILE NAOTO)と陶子が出会ったことで、二人の隠していた過去が明らかになり、姉妹の立場も逆転していく……。
第1話のレビュー
冒頭、よろめきながらフラフラと歩く女性。口元からは血が流れているが、誰なのかはわからない。
立ち止まる彼女の先にいたのは、いいものを身につけメイクもきちんとし、電話をしている女性。彼女に向かって手を伸ばす。
次の瞬間、舞台は5年後へ。
いきなりベッドシーン、裸で男にまたがっているのは陶子(山崎紘菜)。激しいな。
どうやら相手・河島(眞島秀和)は恋人ではなく、仕事で援助してくれた人らしい。陶子は会社の社長のようだ。
帰宅すると別の男・恭平(京典和玖)が待っていたが、妹がいるのを理由に帰ってもらうように言い、キスをする。目的のために複数の男と関係を持つタイプなんだろうか。
家には妹の久恵(北乃きい)が。以前いた会社で恋人にひどい振られ方をしてから、陶子の家に居候しつつ家事をしているらしい。恭平には「たった一人の妹なんだから、面倒見るのは当たり前でしょう」と言っており、面倒見のよい姉に見えたが、それにしては久恵はずっとおどおどし、陶子の顔色を伺っては「ごめんね」と言っている。「お姉ちゃん」ではなく「陶子ちゃん」と呼んでいるのも、なくはないが珍しい。本当に姉妹なのだろうか?
陶子の会社のビジネスは、依頼者が陥れたい人を騙すため、その周りの人物になりきる人を派遣するというもの。夫から慰謝料を取って離婚したいから不倫をでっちあげたり、会社から厄介払いしたい人を追い出すため、嘘の転職を持ちかけたり……。限りなくグレーというかもはやアウトだと思うが、大丈夫なのだろうか……。めちゃくちゃいい部屋に住んで豪華な暮らしをしているが、この仕事でそんなに儲かるのだろうか。
しかも、陶子は騙した人たちのことを楽しそうに食卓で話す。「騙されるほうが悪いんだから」と、罪の意識はないようだ。
機嫌よく久恵に話しかけたと思ったら、ちょっとしたことでキレて「ご飯いらない」「ジメジメが私にもうつる」と言う。さらには、頼んだクリーニングを忘れていた久恵をひっぱたき、頭からワインをまるまる一本かける。確かに久恵は陶子が働いている間引きこもっているだけなので、腹が立つのもわからなくはないが、いくらなんでもやりすぎである。
夜、古いアパートにきて「また逃げてきちゃった……」という久恵。元住んでた家なのだろうか? ここの家賃を払い続けられるなら居候しなくてもいいのでは……? という気がしなくもないが。
久恵にとって、陶子はいつも優しくてかっこいい、憧れの人らしい。さっきあなたにワインかけてましたけどマジ? と思うが、久恵が思い出したのは「うちに来る? そんな男きれいさっぱり忘れて、うちでのんびり暮らせばいい。行きたくもない会社なんか、今すぐ辞めれば? 久恵一人ぐらい、どうってことないから」と声をかけてくれた陶子の姿だった。確かに優しい。久恵も久恵で、陶子に執着がありそうだ。
陶子、いいところもあるのかな……? 家の前で心配そうに待っているかと思えば「朝イチでスーツ取ってこさせないと」と電話する。心配してるのか利用したいのか、どっちだ……?
するとその前に現れたのは、見た目からしてあきらかにヤバそうな女(長井短)。しかも、陶子のことを「りやこさん」と呼んだ。ど、どういうこと……?
陶子と久恵の関係、陶子の会社、陶子と謎の女の関係、名前の秘密など、気になりすぎることばかりで終わった初回。次回、少しは謎がわかるのだろうか?
※この記事は「汝の名」の各話を1つにまとめたものです。
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–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
麻生陶子(山崎紘菜)の家にやってきた謎の女(長井短)。彼女は陶子のことを“里矢子”と呼び、金に困っていると伝える。この謎の女こそが本物の麻生陶子であり、3年前、河島(眞島秀和)に借金を肩代わりしてもらう代わりに、名義と戸籍を渡していた。その名義を譲り受けたのが、負け犬からの脱却を目指していた当時の三上里矢子であった。里矢子改め現在の陶子は、女に金を渡し、住所を書いたメモを受け取る。
女がやってきたことを聞いた久恵(北乃きい)は不安がるが、陶子は一笑に付し、人生は勝つか負けるかしかないと説く。久恵は後日、女の住所のメモを辿っている最中、道端に蹲る松谷継子(茅島成美)と出会う。一方、陶子は仕事で訪れたカフェで、オーナーの壱岐亮介(EXILE NAOTO)と運命の出会いを果たす。
第2話のレビュー
陶子(山崎紘菜)の前に現れ、「お久しぶり、利矢子さん」と呼んだ謎のヤバそうな女(長井短)。なんと、この女こそが麻生陶子で、陶子はもともと三上利矢子という名前だったのだ。河島(眞島秀和)がこの女の借金を肩代わりすることを条件に名義と戸籍を得、リスクのある今の会社の社長となる際に、利矢子がその名義を引き受けたのだった。久恵にも「あんたも麻生久恵になるの」と言っている。
いきなり主人公の名前が偽名だったとわかって戸惑いを隠せない。いくらリスクがある仕事とはいえ、利矢子はちゃんと名義と戸籍を持っているのに人の名義をもらう必要があるの……? いま利矢子は例えば保険証とかも「麻生陶子」のほうを使っているの……? 謎がいっぱいだが、とりあえず先に進もう。
本物の陶子は金をたかりにきたのだった。本当は目の前に現れないという約束だったようだが、こういうことも初めてではないようだ。陶子はお金を貸す(実質渡す)代わりに、住所を書いたメモを書かせる。
一方久恵は、一次退避先のアパートの更新の通知を見ておびえていた。この場所がなくなるのは嫌らしい。無職で居候先もあるのに贅沢では? という気もするが……。
帰宅し、本物の陶子が家にきたと聞いて「陶子ちゃんに何かあったらどうしよう」と泣き出す久恵。情緒が不安定だ。
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そんな久恵に陶子は「いい? 久恵。人生は勝つか負けるか、そのどちらかしかないの。つまり、弱者は強者に搾取されるしかないの。この世の中は……」と言う。第1話の冒頭でボロボロになっていたのは、当時の陶子=利矢子だった。男に貢ぎ、暴力まで振るわれていたのだ。勝つことにこだわるのは、そんな過去に戻りたくないからというのが大きいらしい。
陶子の部屋に忍び込み、本物の麻生陶子の住所を見つけ出し、スマホで撮る久恵。一体何をするつもりなのか。
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複数の男に身体を差し出して見返りを得ている陶子は「やってることは結婚詐欺師かヒモみたい」と言う。その後も「自分も搾取されている弱者」「金も、地位も、必要な男も手に入れた。でも、あてがわれた仕事と、役柄をこなしているだけの、マリオネット」と思っているシーンがあり、今の自分に満足しているわけではなさそうだ。
そんなときに出会ったのはクラウン系列グループのオーナー、壱岐亮介(EXILE NAOTO)だった。二人はお互い惹かれ合っているようで、何やらいい雰囲気だ。
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一方久恵は、本物の陶子の家に向かう途中、苦しんでいる年配の女性を助ける。女性の家でお茶をしつつ楽しく話すが、女性の薬を見て効用などを言い当てる。元の会社の関係もあり、引きこもっている間に薬のことを調べているのもあり、かなり詳しそうだ。
途中から、久恵は女性の通帳をしきりに見ている。よからぬことを考えていそうで不安すぎる。さらに、アパートの更新通知を送ってきた不動産会社から電話がかかってきて「弱者は強者に搾取されるしかないの」という言葉がよぎる。頼むからこんな人の良さそうなおばあさんを騙すようなことはやめてほしい。
夜、路上に倒れている本物の麻生陶子。予告では「あの女が死んだ」と言っていたが、死んだのだろうか……? だとしたら、死因はなんだろう。薬物なのか、それとも……? 来週も目が離せない。
※この記事は「汝の名」の各話を1つにまとめたものです。
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–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
ホテルグループ経営の御曹司・壱岐亮介(EXILE NAOTO)と出会い、ご機嫌で帰宅する陶子(山崎紘菜)。その日の夕刊に、名義を譲り受けた本物の麻生陶子(長井短)が薬物による急性中毒で死亡した記事を見つける。不安がる陶子を久恵(北乃きい)は、これは良いことだと勇気づける。後日、亮介は紫の薔薇の花束を持って陶子のオフィスに訪れる。人に夢を与える仕事をする自分と陶子は似ていると告げ、強引に口説いていく。花束を抱えて帰宅する陶子。普段と異なり嬉しそうな様子に、久恵は陶子との関係性が壊れ、捨てられてしまうのではないかと恐れる。さらに、元同僚からの手紙で元カレの結婚と子供が生まれることや、自分を馬鹿にしていた元同僚も結婚することを知った久恵は、不安に苛まれて陶子と亮介のデート現場に向かうが、陶子に無視されてしまう。
第3話のレビュー
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本物の麻生陶子(長井短)が死んだ。路上で死んでいたらしい。動揺する陶子(山崎紘菜)に、久恵(北乃きい)はついてると喜ぶ。序盤は大人しかったが、久恵もなかなか感覚がおかしい。
前回出会ったホテルグループを経営者の亮介(EXILE NAOTO)に惹かれる陶子。亮介は紫のバラを持って会社にやってきて花言葉を伝えてきたり、「人は遊ぶために生まれてきた、全部楽しもう」と言ったり、積極的にアプローチしてくる。ややクサかったりたまに「この人は何を言っているんだ……?」という気持ちになるが、裏のないいい人ではありそうだ。
演じている自分に飽きはじめていた陶子には、彼の言葉や言動がより魅力的に見えたのかもしれない。前回までより心なしか機嫌がいい時間が長そうで、こちらもほっとする。
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一方久恵は、このあいだ助けたおばあさんの家に出入りするようになり、銀行にお金を下ろしにいくのを頼まれるまでになっていた。駄目だって~!! 頼むから変な気を起こさないでほしい。
亮介からもらったバラを嬉しそうに持って帰ってきて、その後電話している陶子の様子を見て、クライアントではなく好きな男だと確信する久恵は、「私、彼と住むから出て行ってね」と言われる妄想をふくらませ、危機感を覚える。被害妄想が激しいし、そもそもずっと居候し続ける気なのか? というツッコミを入れたくなる。
逃げ場のアパートにきていた手紙は元同僚からのもので、久恵を捨てた元彼が乗り換えた女と結婚し子どもが生まれるという内容だった。さらに、手紙の主である同僚も結婚する予定で、相手がいかに素敵な人かということまで書いてある。どちらもそんなことわざわざ知らせてくる必要ある……? という内容だ。
元彼を奪った女の勝ち誇った目や、手紙を送ってきた同僚が陰で「ああいう子(久恵)の相手をしてると優しい子だと思ってもらえるんだよね」と言っていたことを思い出し、「どうしてあの子が結婚出来て私が一人なの」と泣く久恵。このドラマ、性格悪い人多すぎんか。
亮介と出かける陶子は久恵と目が合うが、無視して行ってしまった。
この後久恵がどんな行動に出るか、かなり心配だ。
※この記事は「汝の名」の各話を1つにまとめたものです。
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–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
亮介(EXILE NAOTO)とのデート後、陶子(山崎紘菜)は帰宅したところを伊庭(植木祥平)に襲われる。伊庭は、自分を騙して家族を崩壊させた陶子に復讐しようとしていた。間一髪のところで亮介が現れ、伊庭を追い払う。怪我をした陶子を亮介が手当てしていると、久恵(北乃きい)が帰宅する。初対面の亮介に、陶子の妹だと自己紹介する久恵。しかし亮介が去ると、陶子は久恵を平手打ちし、妹のふりをするなと叫ぶ。 実は陶子と久恵は姉妹ではなく、高校の同級生だった。亮介とは麻生陶子ではなく本名の三上里矢子として向き合いたいという陶子。高校生のころから強い陶子に心酔していた久恵は、陶子のことを理解しているのは自分だけと独り言つ。一方、継子(茅島成美)は貯金が抜き取られているのではないかと久恵を疑うようになり……。
第4話のレビュー
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帰宅したところを後ろから男に襲われた陶子(山崎紘菜)。彼女が会社の依頼でおとしいれた男だった。ほら言わんこっちゃない……! そこに助けにきたのはさっき別れたはずの亮介(EXILE NAOTO)。かっこいいな! 他の男性たちが男性たちなので、はじめ「何か裏があるのでは?」と思ってしまったが、どうやら普通にいい人みたいだ。
警察に行った方がいいのではという亮介だったが、陶子は落ち着きたいと断った。いろいろなことがバレると困るからだろうが、やはり他人の名前を使うのは本人にとってもあまりいいことではなさそう。妹だと挨拶した久恵(北乃きい)を「何で妹なんて言うのよ!」とひっぱたく陶子、ご乱心がすぎる。普段は妹と名乗れと言っているらしいのに、これに関しては久恵が気の毒だ。
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久恵は亮介が家にきたことと、後日機嫌のいい陶子に「ずっと一緒ってわけにはいかないよ」「本当の姉妹でも何でもないんだから、久恵もいつか自分の幸せを見つけて旅立たなくちゃ」と言われたことで戦慄する。陶子は悪い気持ちで言ったわけではないが、久恵は裏切りに感じたらしい。
二人は姉妹ではなく、高校の同級生だった。演劇部と運動部をかけもちし、両方で活躍していた陶子(当時は本来の名である利矢子)と、彼女に崇拝に近い気持ちで親しくしていた友人が久恵だったのだ。
「亮介さん、許してくれるの? 本当の名前は陶子じゃなくて利矢子ですなんてふつう受け入れられないよ」と言ってくる久恵。必死だ。
「陶子ちゃんをわかってあげられるのは私だけ……」とつぶやく久恵、めっちゃ怖い。そもそも友人といえど他人の好意で生活させてもらっているのに、真面目に働こうという発想にならずその状態にしがみつこうとしているのが異常だ。
危機感を強めた久恵は、親しくなったおばあさん・継子(茅島成美)の家でとんでもない行動に出る。通帳の金額が合わないのか、言葉には出さないものの疑われているような気がする。やはり通帳に手を出してしまっていたのか……。バレているのではとあせりだす久恵。
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陶子は亮介に真実を話そうとするが、言えなかった。でも言おうとすること、嘘をついていることを悪いと思うこと自体、陶子にとっては珍しいことだ。
「犯罪がバレたら陶子ちゃんに捨てられる」とうとう継子さんの湯飲みに液体を入れる久恵。継子さん、疑っている相手の用意した飲み物飲んじゃ駄目だよ……。来週一緒に行こうという話をしながら平然と液体を入れる久恵、相手がお茶を飲んだ瞬間に、静かな表情で口元をうっすら歪めるように笑っていて怖い。
ことを終え、何でもないように隠れ家のアパートでおばあさんの家に持って行った大福を捨てる久恵。継子さんはどうなってしまったのか……。陶子より久恵のほうが怖いかもしれない。
※この記事は「汝の名」の各話を1つにまとめたものです。
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–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
継子(茅島成美)が亡くなったと聞き、涙する久恵(北乃きい)。しかし、実は久恵が継子の飲み物に薬を投与し、意図的に心臓に負担をかけていたのだった。久恵が家に戻ると、陶子(山崎紘菜)は本名の三上里矢子に戻ると言い出す。亮介(EXILE NAOTO)と出会い、麻生陶子を演じることに飽きたという陶子に戸惑う久恵。陶子から近況を聞かれた久恵は、とっさにハローワークに行っていると嘘をついてしまう。 久恵が前向きになっていることを喜び、明日祝おうという陶子だが、久恵は表情を曇らせる。翌日、亮介に誘われて彼の家を訪れた陶子は、これまで嘘をついていたことを謝り、本名や、久恵が妹ではなく同級生であることを伝える。一方、陶子のお祝いしようという言葉を信じ、豪勢な料理を作って待っていた久恵だったが、陶子が帰ってこず自棄を起こして……。
第5話のレビュー
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久恵が飲み物に何かを入れたおばあさん・継子さん(茅島成美)はやはり亡くなった。自分がアパートを更新したいという身勝手な理由のために、たった十数万のために人を殺してしまうなんて。アパートのお金以外に手にしたお金があったとしても、もちろん殺していい理由にはならない。
さらに近所の人たちの前では取り乱して泣き、一人になったときは「もったいなかったかな」と何でもないようにつぶやく様子はまともな神経を持っているようには思えない。思った以上にやばい人間だったようだ。
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一方陶子(山崎紘菜)は、河島(眞島秀和)のキスを避けるように。確かに仕事中にキスはどうかとは思うが、恋人ができたとはいえなかなかわかりやすい。一応この人に出資してもらってるけどいいのだろうか。眞島秀和のねちっこい中年男性役はなかなか新鮮だ。
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そして亮介(EXILE NAOTO)にすべてを打ち明け、身も心も結ばれる陶子。秘密を聞いても大したことないと言い、里矢子という名前も久恵との関係も伝えたがむしろ面白がるくらいの亮介、さすが器が広い。あんなに激しい性格だった陶子がかなり穏やかになっていて、よかったなと思った。
だが久恵は心が穏やかでない。ハローワークに通っていると嘘を伝えたら喜んだ陶子に「もう自分のことはいらないんだ」と危機感を募らせる(単に友人の前向きな一歩に喜んだだけではと思うが……)。さらに「明日お祝いしよう」と言ったのに、亮介と一緒にいて帰らなかった陶子(これは陶子がひどい)。久恵が自分で作った食事をぶちまけ、涙を流しながら不気味に笑うシーンは本当に怖い。北乃きいの演技、すごい……。
亮介に「里矢子」という名前を伝えたと知った久恵はさらにおかしくなった。なんと、誰にも知られてはいけないと思った久恵は本物の麻生陶子(長井短)のことも殺していたのだ。つまり亮介の出現に関係なく、自分の身を守るために人を殺してしまえる人間だったということか。
「裏切り者」と低い声でつぶやく久恵が恐ろしい。
陶子、逃げて~!!!
※この記事は「汝の名」の各話を1つにまとめたものです。
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–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
亮介(EXILE NAOTO)が週末に家にやってくると知った久恵(北乃きい)は、張り切って毎日豪華な料理を作るようになる。一方、陶子(山崎紘菜)は疲労のせいか体調を崩しがちだった。心配してオフィスに訪れた亮介に、陶子は本名に戻ることと、本物の麻生陶子は亡くなっていることを伝える。亮介は警察からの連絡はあったのかと尋ねるが、陶子には覚えがない。
実は久恵が本物の陶子の身元確認をしており、そのことを陶子に伝えずにいたのだった。大したことじゃないという久恵に、これまでの久恵と違和感を覚える陶子。そして週末、亮介が訪れて豪華な食卓を囲み、和やかなひと時を過ごす。亮介を送り出した後、陶子の体調が悪化。ベッドに倒れこむとそのまま気を失ってしまう。目を覚ますと声も出ず、体も動かない。そこに久恵が現れ、陶子ちゃんは病気になった、とにこやかに告げる。
第6話のレビュー
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亮介(EXILE NAOTO)と仲を深め、秘密も打ち明けた陶子(山崎紘菜)に対し、本人のいないところで「裏切者」と怒った様子だった久恵(北乃きい)。
陶子は本来の自分である里矢子に戻る決意をする。亮介と心が通じ、表情も穏やかだ。亮介との出会いをきっかけに少しずつ浮上していく陶子と、すでに2人も手にかけ、人間として落ちるところまで落ちた久恵。それぞれ難があった2人だが、ずいぶんと進む方向が分かれた気がする。
亮介に「妹さんの戸籍を使っていたもともとの陶子が亡くなったなら、陶子の戸籍で生活している里矢子に連絡が来たはずでは? 死亡確認したの?」と聞かれ、おかしいことに気づく陶子(気づくの遅い気がする)。久恵を問い詰めると、悪びれない態度で謝りもしない。今までの久恵だったら、ビクビクして陶子に謝ってきたのに。話し方もすっかり変わり、別の人を見ているようだ。はじけた陰キャの怖さよ……。
陶子はこのところ具合が悪く、記憶力も落ちている。久恵の様子から、陶子の飲食物に何か薬を入れているのだろうと想像がつく。ほら言わんこっちゃない~!!
危険な薬ってそんなにホイホイ手に入るものなの……? 陶子、相当様子がおかしいのに病院では何ともないと言われるなんて、そんなことある……?
自宅に亮介を呼んでの食事。亮介のオープンな性格は、見ていて気持ちがいい。仲良さげな2人を複雑な表情で見る久恵。亮介を見送った後、身体の異変を感じた陶子はベッドルームに倒れ込む。かすむ視界の奥で、久恵がしきりに話しかけてくるような気がするが……。
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陶子が目を覚ますと、身体が動かず声も出ない。亮介と食事をした日から、3日経っているのだという。「陶子ちゃんは病気になっちゃったの」不気味に笑う久恵。人の笑顔がこんなに怖いなんて、北乃きいさん、不気味な笑いのバリエーションがたくさんあってすごい。笑顔からいきなり真顔になるシーンも怖い。
しかしいくら気性が荒くて当たることも多かったとはいえ、好意で住まわせてくれた陶子にここまでの仕打ちができる久恵、ほんとやばいな。次回、どうなってしまうのか不安だ。どのドラマの次回予告冒頭で流れる低いピアノの音(多分)、シンプルだけど不気味さが倍増されて怖い。
※この記事は「汝の名」の各話を1つにまとめたものです。
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–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
ベッドから動けない陶子(山崎紘菜)に、嬉しそうに食事を持ってくる久恵(北乃きい)。意識が朦朧としている陶子に、久恵は自分が薬を盛って陶子を病気にさせたこと、陶子のために本物の陶子(長井短)や継子(茅島成美)を殺めたことを語りだす。陶子が三上里矢子に戻ろうとしたから二人の関係性が壊れたとする久恵は、何もできない陶子の世話をする新しい関係性に喜びを見出していた。 一方で、久恵は陶子の服を着てエステに行くなど、陶子に成りすまして派手な生活をするようになる。次第に久恵は自らを勝ち組、陶子は負け組といい、陶子に対してきつく当たるようになる。ある日、街行く人や店員から嘲笑われているように感じた久恵は、陶子の下の世話をしている時に、陶子との関係がこれまでと何も変わらないことを悟る。そしてエステから自宅に帰ってきた久恵は、驚きの光景を目にする。
第7話のレビュー
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久恵(北乃きい)に薬を盛られ、身体がほとんど動かなくなってしまった陶子=里矢子(山崎紘菜)。おそらく薬の入った食事をとるよう強要されるが、拒否できない。自分の言いなりになる陶子に、なぜ亮介(EXILE NAOTO)に名前を教えたのかという久恵。自分が人々を殺したことを嬉々として語る。陶子が、自分がいないと生きていけない状態なのが嬉しいようだ。
陶子の服を着て、陶子のお金を使って好き放題する久恵。元々陶子が選んだものを無理して着ているからか、あまり似合っていない。いきなり派手になったメイクもなんだか滑稽だ。河島(眞島秀和)から自宅への電話を切って「ざーんねーんでした~」と言う顔、怖すぎ。陶子のいる部屋には外から鍵をかけ、亮介にも知らないと言い通しているようだ。
しかし本当に、陶子への恩を仇で返しすぎている……以前の陶子のような高飛車な物言いになっている。粗相をしてしまった陶子に「おしっこを漏らすなんて最低よ!」とひっぱたく。陶子をこんな状態にしたのは久恵なのに理不尽な……。
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だが久恵は陶子のようにいい服を着たり買ったりしても、周りの人に悪口を言われたり馬鹿にされたりしている気がして部屋で発狂する。逆に以前の陶子と自分を思い出してこれじゃ一緒じゃないと叫ぶ。忙しい。
ある日、エステにいくと自慢して出て行った久恵。家に帰ると、家はもぬけの殻だった。
今週の北野きいも怖かった……。
※この記事は「汝の名」の各話を1つにまとめたものです。
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–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
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久恵(北乃きい)は洗面所の鏡に口紅で書かれた「お馬鹿さん(ハートマーク)」の文字を見て膝から崩れ落ちる。その頃、陶子(山崎紘菜)はホテルの一室で、久恵の無様な姿を思い、笑いが止まらなくなっていた。食事の中に薬を盛られていることに気づいた陶子は、久恵への反撃と亮介(EXILE NAOTO)への想いを胸に、薬の摂取量を減らして体力を回復させ、逃げ出す機会を探っていたのだ。
偶然、恭平(京典和玖)からの電話に出た陶子は、恭平に指示して久恵を出し抜くことに成功する。それから三か月後、元の美貌を取り戻した陶子は、“思い出の場所”に久恵を呼び出す。恐る恐る現れた久恵に、陶子は邪魔者扱いしたことを詫び、今後は関りを持たないことを伝え、亮介の元に帰っていく。久恵もまた自らの人生を歩きだし、婚約者と共に幸せな生活を送るようになるのだが……。
第8話のレビュー
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久恵(北乃きい)から逃げ、高笑いをする陶子(山崎紘菜)。すっかり復活だ。実は陶子は逃げるため、着々と準備していたのだった。久恵が「薬の量間違えたかな~」と言ったのを聞き逃さなかった陶子は、朦朧としながらも「食事は駄目、最低限だけにする」と少ししか食べないようにし、少しずつ頭がはっきりしてきた。
話せないながらも、自分の服を着ていい気になっている久恵に対して心の中で思っている批判の切れ味が「似合っていない、センスのかけらもない、私の真似しかできない」となかなか辛辣でよかった。それでこそ陶子。
意外にも、脱出を手伝ってくれたのは恭平(京典和玖)だった。久恵の留守中に家に電話がかかってきたところ、何とか出た陶子はうまく話せなかったが、彼は気づいてくれた。久恵が陶子の食事に入れていたと思われる薬を捨てて水と替え、一緒に機会をうかがっていたのだ。陶子、恭平のことを陰ではけむたがっていたのに助けられたな……。
逃げる前、久恵が着た自分の服を切り刻み、鏡に「お馬鹿さん」と書いた後は腹を抱えて笑っていた。性悪~! と思うが向こうが向こうだし、やはり陶子はこうでなくては。
「どうしてるかな、陶子ちゃん」「一緒にいたかっただけなの」と空を見上げる久恵、執着が怖い……。
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脱出後にすぐに亮介(EXILE NAOTO)のところに行かず、やることがあるという陶子は、久恵を呼び出す。自分の家で一緒に住もうと言った場所で自分がもともと家政婦扱いするつもりで誘ったこと、亮介が現れて邪魔になったことを告げて謝る。お互い謝り「私たちは離れたほうがいいと思う」といい、二人は別れ、陶子は亮介のもとへ帰るのだった……。
めでたしめでたし……
いやいやいや。陶子はともかく、二人殺したうえに薬物を使って陶子を監禁した久恵のやったことは犯罪でしかない。いくら陶子が他人の名前を使ってたとはいえ、さすがに警察を呼んだほうがいいのではと思うが。そもそも殺人2件については、病院や警察が気づかないのはどうなのだろう……。
半年がたち、久恵は新しい彼氏と一緒に住んでいた。クリスマスケーキを作るねと笑う久恵は幸せそうだ。だが夜になっても彼は帰ってこず、彼のもののはずの番号からかかってきた電話の向こうでは、陶子が笑って「お馬鹿さん」と言った。えええーーー!
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泣き崩れる久恵。上機嫌の陶子に亮介がパリの物件が契約できたというが、「違う。これじゃない、私の幸せは」と気づく。
「戦うこと、戦って勝つこと。それが人真似でも何でもない、私の幸せ」
自分もしょせん、いつか見た女性の真似をしていただけかもしれない。亮介のもとに戻ったときそう言っていた陶子は、半年間ずっと葛藤していたのかもしれない。
笑顔で「他に好きな人ができたの、あなたではなくて、彼と結ばれる運命みたい。さよなら」と突然亮介に別れを告げ、去っていく。「誰なのその男」と言われ「そうね、戦いの神、アレスってとこかな」と謎のモノローグが流れた。
ひとしきり泣き終わった久恵は起き上がり、「今度は私の番だからね、陶子ちゃん」と涙にぬれた目をかっぴらいて言う。久恵が作ったクリスマスの食事をバッグに、女たちの高笑いが響いた。
……ええ~~~。いや、幸せは人それぞれとは言えど、二人ともそのままいけばそれぞれの幸せを手に入れられたのでは……? なぜ……と思わずにはいられないが(もっとも久恵はその前に罪を償うべきだが)、これがこの二人の幸せなのならば何もいえない。しかし亮介、かわいそう……。
欲しいものを手に入れるためならなんだってする、激しい女を演じた山崎紘菜。「笑ってるのにこんなに怖いんだ」という体験を何度も味合わせてくれた北乃きい。二人の演技に何度も恐怖した。あらためて、拍手を送りたい。
(文:シネマズ編集部)
※この記事は「汝の名」の各話を1つにまとめたものです。
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–{「汝の名」作品情報}–
「汝の名」作品情報
放送日時
2022年4月5日スタート 毎週火曜深夜0時30分放送
原作
明野照葉『新装版 汝の名』(中公文庫)
出演
山崎紘菜、北乃きい
EXILE NAOTO、京典和玖、長井短、眞島秀和
脚本
鈴木裕那、丸山智、河原瑶
監督
河原瑶
主題歌
みゆな「秘密」(A.S.A.B)
プロデューサー
森田昇(テレビ東京)、滝山直史(テレビ東京)、河原瑶(テレパック)、近見哲平(テレパック)
制作協力
テレパック
製作著作
テレビ東京
公式HP
@tx_nanjinona