2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第19回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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暢子に邪気がこれっぽちもなくて清々しい
産業まつりがはじまりました。暢子(黒島結菜)の発案のやんばるそばは大好評。ところが、ライバルの南山原高校の料理部・部長のお父さんがまつりのスポンサーで、役員に手を回して、山原高校のブースを
人通りのない場所に変更してしまいます。
いじわるする人、偏見に満ちた人、マウントする人、騙そうとする人、不公平な人、権力に依る人……次から次へと感じ悪い人が出てきます。
暢子は理不尽な出来事に怒らず、「南高もかわいそう」と味で勝負できないことを同情します。そんな暢子の態度に心が洗われる気持ちになりました。
さらにそこに、賢秀(竜星涼)がやって来て、バナナのたたき売りで身につけた口上でお客さんを集めます。賢秀の口上はなかなかうまくて、この人もだめなところばかりではないことを示しますが、すでに優子(仲間由紀恵)からお金を借りて、あやしい投資につぎ込んでいました。ひとくち1000ドルのところ、960ドルしか集まらなかったけれど、40ドル貸してもらいます。このへんがもうあやしすぎます。元出を奪われた挙げ句、40ドル返せと言われるんじゃないかと逆・ちむどんどんします。
あきらかにやばい空気が漂っていますが、これがほんとうに儲かる話であったら、参りましたとひれ伏しますが、はたして……。
暢子のほうは、調子が上向いてきたところ、宮城珠子(井上向日葵)が汁を床にぶちまけてしまい、料理が出せなくなりますが、歌子(上白石萌歌)からシークワサーをもらいかじって頭を回転させると、いいアイデアが……。
最初に汁の鍋に火をかけ忘れ、出足が遅れて、つぎは汁をこぼしてしまう。汁が鬼門であります。
汁がないなら汁なしそばとなるわけですが、暢子は料理ノートにメモしたあるメニューにインスパイアを受けます。賢秀とは逆に、暢子が大活躍しそうな気がしてちむどんどんしてきました。
南山原高校のメニュー・さんぴん茶の蒸しケーキを真っ先に食べて、美味しさを認めたうえに、アドバイスまでした暢子。食を愛し、人を憎まず蹴落とさない、おいしいもの至上主義です。彼女のこの清々しさを際立たせるために、いやな感じの人たちを続々登場させているのでしょうか。のんびりし過ぎの優子もどうかしている気がしますが、良子(川口春奈)に詰問されて、体ごと反らして応じる挙動不審なところにちょっとくすりとなりました。
暢子の清らかさがこれからどんどん発揮されて、世界の邪悪なものを浄化していけば、「ちむどんどん」確変していくと思います。
山原高校の料理部部長の早苗役の高田夏帆さん、部員の宮城珠子役の井上向日葵さん、料理部員の村田寛奈さん、南山原高校の料理部部長の屋良ひとみ役の池間夏海さん、部員ながら役名のない水島凛さん、工藤美桜さんと若い世代が眼福で、水島さんは斉藤由貴さんの娘さんであるとか、工藤さんは戦隊ヒロインであるとかSNS でも話題になっています。
若い世代の俳優たちが集まったドラマや映画では、そこから抜きん出ていく俳優が出てくるもので、この中から誰が……と楽しみです。そんな中で筆者は、ブースの引っ越しをさせられて、揉めるときに、中庭方向から心配そうに見ている、ピンクの服を着たエキストラの女性の演技がすばらしく感じました。このひとはその後も、賢秀たちが来たときは背後で、辺野古の農産物をもらってはしゃいだり、賢秀の口上に注目したりとじつにいい動きをしています。お名前はわかりませんがこれからもエンタメを支え続けてください。
(文:木俣冬)
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–{「ちむどんどん」第4週目のあらすじ}–
「ちむどんどん」第4週目のあらすじ
暢子(黒島結菜)は決まりかけていた就職を断り、気塞ぎな日々を過ごしていた。だが、料理の腕を見込まれて、料理部に助っ人を頼まれることに。長男・賢秀(竜星 涼)は、家族のために一攫千金を夢見ていてチャンスを探していた。長女・良子(川口春奈)は友人・石川(山田裕貴)への思いがなかなかうまくいかず、三女の歌子(上白石萌歌)は音楽教師・下地(片桐はいり)から逃げ回る毎日だった。
–{「ちむどんどん」作品情報}–
「ちむどんどん」作品情報
大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――
ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。
放送予定
2022年4月11日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人
作:
羽原大介
語り:
ジョン・カビラ
音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)
主題歌:
三浦大知「燦燦」
沖縄ことば指導:
藤木勇人
フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子
制作統括:
小林大児 藤並英樹
プロデューサー:
松田恭典
展開プロデューサー:
川口俊介
演出:
木村隆 松園武大 中野亮平 ほか