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2022年5月4日(水・祝)より、マーベル・スタジオの最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が、ついに公開されました。
本記事では、本作の前日譚ともいえるドラマ「ワンダヴィジョン」について紹介します。
あらすじや本編の魅力、新作に繋がる重要な伏線などなど。新作が気になっているドラマ未見勢や、改めて予習したい方は必読です!
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「ワンダヴィジョン」とは?
「ワンダヴィジョン」はマーベル・スタジオが製作した初のドラマシリーズ。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』以降の世界を舞台に、マーベル映画の人気キャラ“ワンダ”と“ヴィジョン”の物語を描いた約30分×全9話のドラマ作品です。
コロナ禍の影響から約1年半の空白期間を経て公開された、ファン待望のシリーズ新作には見どころが盛り沢山。
ドラマシリーズならではの遊び心やオマージュ、サプライズ要素やメタフィクションを扱った展開などが幅広い層から支持されました。
「ワンダヴィジョン」の見どころ
■MCU初の正史ドラマ
これまでマーベル・スタジオでは、マーベル・テレビジョン製作のドラマシリーズを多数配信してきました。
米TV局やストリーミングサービス大手と協力した作品群では『アベンジャーズ』以降の世界を中心に、「エージェント・オブ・シールド」や「デアデビル」など、個性豊かな人間ドラマ&ヒーロー譚を展開。
しかしあくまでシリーズのスピンオフといった色合いは強く、ドラマが映画の展開に影響されることはあっても、干渉することはないという独特な立ち位置でした。
「ワンダヴィジョン」からは、マーベル・スタジオが直々に製作に乗り出したことで、この点が変化しています。
映画群の間を埋める役割は引き継ぎつつも、メインキャラクターの登場でシリーズとの繋がりがより強い内容になったのです。
ちなみに「ワンダヴィジョン」では、最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』や、『キャプテン・マーベル』続編に繋がる要素が登場します。
■さまざまな作品へのオマージュ
「ワンダヴィジョン」では、アメリカのドラマ史を代表する数多くの“シットコム”作品をオマージュした内容も高く評価されました。
シットコムとは、「奥様は魔女」や「フルハウス」などで知られるTVドラマのジャンルの1つで、登場人物やセットが変わらない作風や1話完結の物語が主な特徴。
本作では、各話で以下のような作品群がオマージュされていると言われています。
【第1話】
アイ・ラブ・ルーシー
ディック・ヴァン・ダイク・ショー
パティ・デューク・ショー【第2話】
奥さまは魔女
かわいい魔女ジニー【第3話】
ゆかいなブレディ一家
パートリッジファミリー【第4話】
パンキー・ブリュースター
愉快なシーバー家
アーノルド坊やは人気者
モーク&ミンディ【第5話】
ファミリータイズ
フルハウス
アイ・ラブ・ルーシー
マルコム in the Middle
【第6話】
ジ・オフィス
マンスターズ
アダムス・ファミリー
【第7話】
モダン・ファミリー
また、序盤の2話では「トワイライトゾーン」を連想させる場面が登場するほか、隣人・アグネスの家が「奥さまは魔女」で実際に使われた場所であったり、後半から登場するキャラクターには「フルハウス」のジェシーおじさんを思わせる部分もあります。
ちなみに、主演のエリザベス・オルセンは「フルハウス」のミシェル役で知られるアシュレー&メアリー=ケイト・オルセンの妹で、ロケ地に通っていたほか、同作ではカメオ出演も果たしています。
他にも劇中では、シットコムの存在も重要なキーワードになっています。
これ以外にも、本作ではさまざまな名作映画の小ネタが登場。
劇中に登場する映画館に注目すると『Mr.インクレディブル』や『ファミリー・ゲーム/双子の天使』というタイトル、『ブレードランナー』の小ネタが発見できるほか、『オズの魔法使』を思わせる場面や『キック・アス』を踏まえたジョークなども散りばめられています。
これらの内容は、マーベル作品のメイキングを収めたシリーズ『マーベル・スタジオ アッセンブル』でも確認することが出来ます。
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■楽曲の素晴らしさ
本作では幅広い年代のTV番組をオマージュした作風から、それぞれの時代を連想させるオリジナルソングが登場。
エピソード毎に変わるオープニングテーマは、『アナと雪の女王』や『リメンバー・ミー』のクリステン・アンダーソン=ロペスとロバート・ロペスの夫婦コンビが担当しています。
過去にグラミー賞ノミネート楽曲を手掛けた彼らは、本作でもその手腕をいかんなく発揮。劇中楽曲は、エミー賞における音楽賞の歌曲部門を受賞しました。
ちなみに、以下のプレイリストからも楽曲を確認できます。
WandaVision Official Playlist – playlist by Marvel Music | Spotify
■人気キャラクター・アガサの誕生
シリーズのクライマックスで、一気に視聴者の人気を集めた魔女・アガサも本作の魅力となりました。
劇中で彼女が披露した楽曲「Agatha All Alon」は、エミー賞における音楽賞の歌曲部門を受賞。
さらにミステリアスなキャラクターの魅力もあり、今後、彼女を主演にしたドラマ「アガサ:ハウス・オブ・ハークネス(原題)」が配信されることも決定しています。
#ディズニープラス で #マーベル の世界は広がる✨#マーベルスタジオ のドラマシリーズ近日配信?
3⃣『#ワンダヴィジョン』のあの人が…?
『アガサ:ハウス・オブ・ハークネス(原題)』4⃣ニック・フューリーと変幻自在なスクラル人・タロスが登場‼
『シークレット・インベージョン(原題)』 pic.twitter.com/ezbKo97KCL— ディズニープラス公式 (@DisneyPlusJP) November 13, 2021
–{「ワンダヴィジョン」のあらすじ}–
「ワンダヴィジョン」のあらすじ
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※ネタバレを含むため、「ワンダヴィジョン」を未鑑賞の方はご注意下さい。
アメリカの小さな町・ウエストビューで、かつてアベンジャーズとして活躍した魔女・ワンダと機械生命体・ヴィジョンの奇妙な結婚生活が始まった。
2人は愉快な隣人や職場の同僚など個性豊かな住民に囲まれ、幸せな日々を送っていた。しかし、その周囲で不可解な現象が起こり始める。(第1話)
ラジオから聞こえる不穏な声や防護服に身をつつんだ怪しい人影。どうやら、この街には大きな秘密が隠されているようだ。(第2話)
そんな中、ワンダが妊娠。急速なスピードで双子の息子トミーとビリーが誕生する。(第3話)
一方、町の外側では大規模な失踪事件が発生。米国の公的機関S.W.O.R.D.が調査を行っていた。
事態解決に向けて集められたのは、雷神ソーと知り合いの研究者・ダーシー、アントマンと面識のあるウー捜査官、キャプテン・マーベルの親友の娘・モニカと、いずれもアベンジャーズに縁のある面々だった。
謎に挑んだ彼らは町への潜入などを試みながら「街で起きている出来事は全てワンダが作り出した幻想であること」を明らかにする。(第4話)
その頃、ワンダの幻想世界では、死んだはずの弟・ピエトロが姿を変えて現れるなど、彼女も予期しない出来事が発生。(第5話)
街の不穏な空気を察したヴィジョンも、真実を求めて単独行動を開始する。(第6話)
幻想世界を都合の良いようにコントロールするワンダ。その暴走が過激さを増す中、住民のアグネスが現れる。
実は裏で糸を引いていたのは彼女であり、その正体がアガサ・ハークネスという魔女だったことを告げる。
数百年を生きぬいた彼女はワンダの魔力を奪うため、町に潜入していたのだ。(第7話)
真実を突きつけられたワンダは、事の経緯を思い出す。強大な敵との戦いの末、ヴィジョンを失った彼女は喪失感から秘められた能力を発動。
彼と住むはずだった町で能力が暴走してしまい、住民全員を洗脳状態に陥れ、自身の幻想世界に引き込んでしまったのだ。(第8話)
逃れられない罪に向き合い、住民を解放したワンダは、強敵・アガサに打ち勝つ。しかし、それは愛する家族との別れも意味していた。
魔術で作り出した幻影・ヴィジョン、トミー、ビリーを消し去った彼女は、1人忽然と姿を消す。
謎に包まれた禁断の書“ダークホールド”を手に入れ、新たな行動を開始するのであった。(第9話)
–{「ワンダヴィジョン」の伏線}–
「ワンダヴィジョン」の伏線
(C)2022 Marvel
ドラマ「ワンダヴィジョン」では、本編中で回収されなかった様々な伏線が存在します。
以下では、最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を含む今後に繋がる可能性がある4つの要素を解説します。
1:CMの謎とワンダの能力
「ワンダヴィジョン」では、劇中に登場する小ネタ満載のCMも話題になりました。
本編とリンクする内容も数多く存在しましたが、今回はワンダの能力に関係すると思われる2種類のCMを振り返ります。
第6話では、YO-MAGICというヨーグルトのCMが登場。
無人島で餓死寸前な少年のもとにサメが現れ、ヨーグルトを差し出します。
しかし、少年はヨーグルトを食べ損ね、ガイコツになってしまうという何ともブラックな内容。
「ヨーマジックで生き延びな」という言葉が印象に残るCMですが、これは「your magic(あなたの魔法)で生き延びな」という意味合いなのではとファンの間では考察されていました。
つまり、過酷な環境で生き延びるために、魔力を使わざるを得なかった主人公・ワンダが少年に投影されているというのです。
CMの最後には、少年がガイコツになってしまうというブラックな結末が用意されていましたが、これは何を意味しているのでしょうか……。
続く、第7話では、ネクサスという抗うつ剤のCMが登場。
主人公・ワンダを彷彿とさせるメランコリックな女性を軸に、「世界から取り残された気分?それとも一人になりたい?」「あなたを現実につなぎとめる」「どの現実かは選択可能」など、示唆的な単語が並びます。
実は原作におけるワンダは別次元のユニバースと交信できる数少ない人物であり、ネクサスビーイングと呼ばれる存在でもあります。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では、さまざまな別次元のユニバースを指す“マルチバース”が重要なキーワードになっており、この設定が大きな意味を持つことになります。
また「ワンダヴィジョン」のラストシーンでは、消えたはずの2人息子・トミーとビリーの声がこだましているほか、新作の予告編(以下の動画の15秒ごろ)に2人が登場していることからも、別次元の彼らの存在が大きなカギを握ることは明らかです。
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2:白いヴィジョン
「ワンダヴィジョン」では、S.W.O.R.Dの陰謀によって生み出された白いヴィジョンが登場。
戦闘用シンセゾイドとして生み出された彼は、主人公たちの脅威として立ちはだかりました。
しかし、クライマックスではヴィジョンの記憶を移植されたことで、物語の大きな希望となりました。劇中ではワンダと再会することなく行方をくらました彼ですが、再登場することはあるのでしょうか?
3:姿を消したワンダと謎の書“ダークホールド”
ドラマの最終回で行方をくらましたワンダ。
戦いの末、スカーレット・ウィッチとして覚醒し、さらなる力を手に入れた彼女のその後は最新作で明らかになります。
そこで大切なキーワードになると思われるのが、禁断の書“ダークホールド”。
過去のドラマシリーズ「エージェント・オブ・シールド」や「マーベル ランナウェイズ」にも登場し、マーベル作品ではお馴染みとなった書物ですが、その内容は謎に包まれたまま。
『ドクターストレンジ』に登場した魔法書の数々とも類似する本書は、最新作でも重要な役割を担っていくことになります。
4:『X-MEN』合流への兆し
ドラマ本編では、映画『X-MEN』シリーズを彷彿とさせる小ネタが多数散りばめられていたほか、同シリーズでクイックシルバー役を演じたエヴァン・ピーターズが再登場する展開が話題になりました。
実は「ワンダヴィジョン」で彼が演じたワンダの弟・ピエトロとX-MENに登場したクイックシルバーは、原作の同じキャラクターを基に生まれた人物。
これまでのマーベル・シネマティック・ユニバースとX-MENシリーズは別会社が作る異なる世界観の物語として製作されており、大人の事情でクイックシルバーが2人存在するという事態が発生していたのです。
しかし、のちに同シリーズは製作会社が統一され、キャラクターの合流が可能になったことで今回の展開が実現しました。
ドラマ本編では、エヴァン・ピーターズが演じた人物はクイックシルバーにそっくりな別人だったことが判明しましたが、この設定が視聴者への単純なフェイクと考えるのは早いのかもしれません。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では、予告編の“ある描写”からX-MENシリーズの合流が期待されています。
そのため、クイックシルバーに関しても、今後、何らかの形で再登場する可能性があると言えるのです。
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–{新作を踏まえて考える「ワンダヴィジョン」}–
新作を踏まえて考える「ワンダヴィジョン」
最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では、ドラマ「ワンダヴィジョン」のその後が描かれました。
以下では、この展開から気になった2つのポイントを振り返ります。
※ネタバレを含むため、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』を未鑑賞の方はご注意下さい。
■ワンダの顛末
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』では、ワンダに思いも寄らぬ展開が待ち受けていました。
禁断の書“ダークホールド”の力に支配された彼女は暴走。
カマータージに集まった魔術師たちを圧倒的な力で制圧し、主人公たちを追い込む人物になります。
「ワンダヴィジョン」のラストでは愛する者たちとの別れを経て、強大な力を得た彼女でしたが、その能力で闇落ちをしてしまうとは……。
この展開は原作の「ハウス・オブ・M」を踏襲したものといえますが、実写版のワンダの描き方という点では、少し唐突で悲しい印象を受けた方もいるかもしれません。
特に最新作の劇中では、彼女の心に善意が残されているという描写もあっただけに、迎える結末にはよりショックが大きかったはず。
近年のマーベル映画では各作品に連なる要素はありつつも、異なる監督や脚本家のコンビにより、リレー方式で物語が描かれています。
そのため、作り手によって、キャラクターの描写が大きく変わることが多々あり、最新作もその部分を強く意識させられる内容でした。
最新作は「ワンダヴィジョン」と同時進行で制作が進められ、当初の監督・脚本家も創造性の違いから降板をしたという経緯がありました。
そのため場合によっては、ワンダに全く異なる顛末が待ち受けていたという可能性もあったのかもしれません。
ちなみに、最新作の脚本家・マイケル・ウォルドロンは、撮影3か月前に参加が決定し、すでに作られていた脚本のリライト作業を担当。
彼は「リック・アンド・モーティ」や「ロキ」の脚本も担当しており、異なる世界を旅していく展開は、これらの作品に共通しています。
■ワンダの子供たちの今後
「ワンダヴィジョン」と『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に登場したワンダの子供たちは、原作ではヒーローとなるキャラクターです。
トミーは超高速の移動能力を持ったスピード、ビリーはエネルギー体の発言や現実改変能力を持ったウィッカンとして、ヤングアベンジャーズと呼ばれるチームのメンバーになるのです。(ちなみに、これらの能力はクイックシルバーことピエトロとワンダを踏襲しており、ドラマ内でもその一端を垣間見せていました。)
実は近年のマーベル作品では、ヤングアベンジャーズになることを期待されるメンバーが多数登場しています。
『ブラック・ウィドウ』に登場したエレーナ、『ホークアイ』に登場したケイト・ビショップ、2022年6月より配信される「ミズ・マーベル」、今後配信予定の「シーハルク」、「アイアンハート」の主人公などなど。
これらのキャラクターは、『アベンジャーズ』シリーズのメンバーを引き継いだ能力を持っており、今後の集結が期待されています。
そのためワンダの子供たちも、今後、何らかの形で再登場することがあるのかもしれません。
今回は配信ドラマ史上屈指の傑作『ワンダヴィジョン』の魅力について紹介しました。
シリーズ最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の予習・復習に本作を鑑賞すると、新たな発見もあるかもしれません。
ぜひ、何度でも、ワンダの生きる世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。
(文:TETSU)
>>>【関連】<解説&考察>『ドクター・ストレンジMoM』鑑賞後に確認したい“3つ”のポイント