<解説&考察>「ムーンナイト」第4話:脚本家、ついに暴走を始める。

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マーベル・スタジオが送るドラマシリーズの最新作「ムーンナイト」が2022年3月30日より配信された。

『スター・ウォーズ』シリーズのオスカー・アイザック主演、マーベル作品としては異例のサイコスリラー調で描かれる本作は、まさしく、シリーズの新機軸である。睡眠障害を持つ冴えない博物館のギフトショップ店員・スティーヴン・グラントが遭遇する不可解な出来事。彼に秘められた才能と、「エジプト」「多重人格」というキーワードに隠された思わぬ秘密とは……。

本記事では、「ムーンナイト」第4話の魅力をマーベル好きのライターが紐解いていく。

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ジャンル測定不能のストーリー

第4話は、過去のエピソード史上もっとも先が予想できないジェットコースター展開がてんこ盛りだった。

砂漠の遺跡を舞台に『インディ・ジョーンズ』シリーズや『ハムナプトラ』シリーズを彷彿とさせる宝探し映画的要素。「多重人格」という題材だけでなく、「入れ替わり」や「転生」系映画にも通ずる嫉妬が渦巻く恋愛要素。ヒロインの親に隠された死の真相から浮かび上がるミステリー要素。

1つのジャンルにとらわれない予想不可能な展開には目が離せず、情報量の多さからも一瞬で時間が過ぎてしまう内容だった。

しかし、何といっても、気になるのは終盤の衝撃展開である。

今回は、このラストを考察しつつ、今後の「ムーンナイト」の展開を予想していきたい。

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※以降からは「ムーンナイト」第4話の結末における衝撃展開に触れています。未鑑賞の方は、観賞後に記事をご覧ください。

–{第4話のラストは一体……?}–

第4話のラストは一体?

今回のクライマックスには、驚きのあまり、理解が追い付かない視聴者の方も多かったのではないか。

強敵・アーサーの襲撃に倒れた主人公は、瀕死の状態で深い水の底へ。

しかし、その後の場面で彼は精神病棟と思しき場所で目覚め、これまでの物語は全て彼の妄想だったことが明らかになった。

彼が大好きだという映画『トゥーム・バスター』(架空の映画ではあるが、そのヴィジュアルには『インディ・ジョーンズ』シリーズを、タイトルには『トゥームレイダー』シリーズを彷彿とさせられる)に自分を投影し、物語を創造していたというのだ。

この展開に関しては、原作のムーンナイトが精神病を患ったキャラクターだったということ、過去に製作者の1人が「本作が“メンタルヘルス”という題材に向き合っていた内容である」と言及していたことなどからも素直に受け入れるべき展開なのであろう。

また、今回のエピソードを担当した脚本家の1人・ピーター・キャメロンは、過去のマーベルドラマ「ワンダヴィジョン」でも脚本を執筆していた。

こちらの作品では、冒頭数話の展開が主人公・ワンダの作り出す虚構の世界だということが中盤で明かされる内容となっていた。

物語を読み解く、もうひとつのマーベルドラマ

一方、この超展開にMCUのファンは「ワンダヴィジョン」を思い出したであろうが、熱心なマーベル作品のファンは、X-MENのスピンオフドラマシリーズ「レギオン」を思い出しただろう。

本作はX-MEN初の公式TVシリーズでありながら、『ファーゴ』のノア・ホーリーが原案と脚本を手掛けた独創的な内容で批評家からも高い評価を受けた一作。

統合失調症に悩まされ、精神病院に通う主人公のドラマを彼の妄想と現実を織り交ぜながら、進んでいく展開はまさしく「ムーンナイト」にも通ずるもの。

ホラーテイストで大人向けな描写が多い点も共通しており、本作を観ておくと、今後の「ムーンナイト」の展開により理解が深まるかもしれない。

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今後の展開を大胆予想!!

さて、今回の衝撃のラストを踏まえ、今後の「ムーンナイト」はどうなっていくのか。

筆者が考えうる展開は3つだ。

1:妄想の世界に立ち向かい、現実を克服する
2:実は精神病棟の世界が妄想である
3:マルチバースへと繋がる

(C) 2002 Warner Bros. All Rights Reserved. (C) 2002 Village Roadshow Films (BVI) Limited.

1は、いわゆる映画『マトリックス』に通ずる展開ともいえる。

『マトリックス』シリーズでは、主人公が生きていた世界が、実はコンピュータによって作られた仮想現実であることが第1作で判明する。

シリーズを重ねた末、主人公は最終的に再び仮想現実の世界に戻り、宿敵・スミスと戦うことになるのだ。

「自らを救わぬものは救えない」

これは本作の悪役とされるアーサーが幾度か口にした言葉だ。

このセリフが強調されていることからも、主人公が再びこれまでの世界に戻り、悪に打ち勝つことで自分を克服するという展開はありうるのかもしれない。

2は、さらなるどんでん返し展開が起こるという可能性だ。

これまでにも述べた通り、「ムーンナイト」が精神病患者であるという設定は原作ファンにとっては、自明の事実である。

また、主人公の妄想を描いたドラマは、過去のマーベル作品でも「レギオン」と「ワンダヴィジョン」がすでに扱っていることから、ここから、さらにひっくり返すという展開もあり得る。

悪役・アーサーの能力が詳しく明らかになっていないという点から、彼が主人公に見せている妄想の世界という場合もあり得るのだ。

3に関しては、今回のメタ構造を認めたうえで、さらに残された謎から予想される展開だ。

本エピソードのラストでは、マークと呼ばれている主人公とスティーヴンが遭遇する。

(C)2021 Marvel

全く同じ顔で姿かたちが同じ人物というと、双子やクローンというパターンもあるが、近年のマーベル作品の展開を考えると“変異体”である可能性も否めないではないか。

変異体とは、ドラマ「ロキ」で提示された設定である。

異なる宇宙が存在し、さまざまな世界が存在する”マルチバース”というMCUの設定では、同一人物が複数人いると考えられる。

「ロキ」では、主人公・ロキの前に女性・ワニ・子供の姿をした別世界のロキが登場していたが、今回のラストで遭遇した主人公とマークは、別世界の同一人物という可能性もあるのだ。


「ロキ」、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』、さらに、5/4に公開を控える『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』と、マルチバースの要素が強まっていくマーベル作品。

果たして、本作の超展開の真相はいかに。

ここまで、1週間が待ち遠しいことはないかもしれない……。

(文:大矢哲紀)

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–{「ムーンナイト」第4話ストーリー}–

「ムーンナイト」第4話ストーリー

“ムーンナイト”の能力を失ってしまったスティーヴンは、レイラの力を借り、探し求めていた遺跡・アメミットの墓へと辿り着く。幾多の困難を乗り越え、彼女との距離が縮まったスティーヴンに、別人格・マークは嫉妬する。

一方、遺跡でスティーヴンとはぐれたレイラは、謎の男・アーサーに遭遇。彼から「マークが彼女の父を殺した」という衝撃の事実を知らされる。彼女に問い詰められるマークだが、曖昧な記憶から真実を断定することが出来ない。そうこうするうち彼らに追いついたアーサーたち。なんとかレイラを逃がすスティーヴンだったが、アーサーの凶弾に倒れ、深い水の底へと吸い込まれてしまう。

舞台は変わり、無機質な精神病棟。マークとして意識を取り戻した主人公だが、そこでは知り合いが精神病患者に、アーサーが医師になっていた。彼曰く、主人公は映画の世界に自分を投影していたのだという。困惑の末、逃走を図る彼。しかし、その前に現れたのは、実体を持ったスティーヴンと、黄金を身にまとった謎のカバだった??

「ムーンナイト」作品情報

作品概要
「現実か夢か、区別がつかない――」意味深なセリフを放つ彼の名はスティーヴン・グラント。国立博物館のギフトショップで働く温厚で、うだつの上がらない主人公。睡眠障害を持ち、夢の中で度々白いスーツを着た男と対峙するが、それが現実で起こっていることか、ただの夢か区別がつかない。

夜通し悪夢にうなされては、仕事場で「役立たず」と罵られ、スティーヴンはいつも幻覚に怯える日々を過ごしていた。 ある日、自室の見知らぬ携帯電話が鳴り響き、“マーク”と知らない名前を呼ばれ困惑する― 自分は誰なのか、何に怯えているのか。やがて自分の中に“自分以外の誰か”が潜んでいることに気づき始める。

コントロールできない“もう一人の自分”― それは、冷酷な暗殺者 マーク・スペクターだった。
マークに狂気が宿る時、ダーク・ヒーロー<ムーンナイト>が誕生する――。

予告編

出演

オスカー・アイザック(スティーヴン・グラント/マーク・スペクター)、イーサン・ホーク(アーサー・ハロウ)、メイ・キャラマウィ(レイラ)

ディズニープラスにて独占配信中

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