2022年のNHK大河ドラマは「鎌倉殿の13人」。三谷幸喜 脚本×小栗旬 主演で描く北条義時の物語。三谷幸喜曰く「吾妻鏡」を原作としており、そこに記されきれていない部分を想像と創作で補い、唯一無二のエンターテイメント大作に仕上げているという。
本記事では、第16話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「鎌倉殿の13人」第16話レビュー
北条時政(坂東彌十郎)が鎌倉に戻ってきた。
上総広常(佐藤浩市)が斬られ、鎌倉の様子は変わった。
御家人は、明日は我が身と恐れて何か事を起こすことはできない。さらに誰かに落ち度があれば、その所領が自分のものになる、ということが分かった。誰かを陥れて、自分が得をする。そんなことがまかり通ってしまう時代が始まってしまった。
義経、イキイキする。
御家人たちがまとまったことで、ようやく頼朝は義仲(青木崇高)討伐の兵を出せるようになった。
義仲攻めが本格化し、義経(菅田将暉)は実に楽しそうだ。次々と策を出し、義仲討伐、更には平家攻めを目論む。
攻め方だけではない。相手をだますことも厭わない。「ともに平家を討とう」と文をよこした義仲。そんな義仲の使者を斬り、更に義経の軍勢は少ないと噂を流す。
策に嵌った義仲は京を捨てる決意をする。
更に平家討伐では後白河法皇に偽りの和議の文を出すように頼む。油断した平家、その隙に攻め込むという寸法だ。それも、平家の意表を突き、断崖絶壁を駆け降りる、という方法で。
誰しもが、「無理だ」と思うことを義経は可能性があるならばやってみせる。己にできぬはずがない、と思い込んでいる部分があるのかもしれない。攻め込めたのは、坂東武者たちの軍勢の力も大きいのだけれど、義経はそんなことは考えてもいないのかもしれない。
無邪気で、あっさりと人の心を傷つける残酷さも持ち合わせている。
中でも悔しさをにじませているのは梶原景時(中村獅童)だ。戦に長けている景時だが、義経は景時の一歩前を行く。その事実に景時は顔を歪ませながらも、義経の作戦が優れているとわかってしまうから、何も言えない。「生意気だ、黙れ」と言えてしまうような武者であれば、もっと生きやすかっただろう。
義経のような天才はどの時代にもいるだろう。でも、なんとなく、この世界では真面目に、コツコツと努力を重ねている人間が辛い目に遭っているような気がして複雑だ。
義仲、逝く。
これほどまでに、見惚れてしまう義仲が今まで描かれてきただろうか。
義経の策に嵌り、京を退くことを決めた義仲。最後、義仲は後白河法皇の御所に赴く。会うことはできなかったが、自分の声が聞こえていると信じて思いを伝える。
後白河法皇の悲願成就を祈る、と言ったあと、
「最後に一目、法皇様にお目通りしとうござったが、それも叶わぬはこの義仲の不徳のいたすところ」
罠に嵌り、いわば敗走するというときに、この言葉を発せられることが、義仲の器の大きさを物語っているというか……。
更に、逃げた先には範頼(迫田孝也)が待ち構えていた。ここで義仲は巴(秋元才加)に義高(市川染五郎)への文を預けて、逃げるよう伝える。凛々しく映しい巴の姿も相まってたまらない。
言葉を紡いでいる途中で額に矢が刺さり、こと切れる最期もやるせない。義理と人情に厚く、優しい素直な男がまた逝ってしまった。
こうなってくると気になるのが、鎌倉にいる義高の処遇だ。すでに来週の鎌倉殿は気が重い。
次々と人が死んでいく。一方で、八重(新垣結衣)は義時(小栗旬)の子を産んだことで「あの子のおかげでもう一度誰かのために生きようという気持ちになりました」と言うシーンがあった。生きたいと思うこと、誰かを助けたいと思うこと、誰かを殺すこと。さまざまな想いが行き交い、物語は混沌とした時代を進んでいく。
(文:ふくだりょうこ)
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–{「鎌倉殿の13人」第16話ストーリー}–
「鎌倉殿の13人」第15話ストーリー
御家人たちをまとめ上げた源頼朝(大泉洋)は、弟・範頼(迫田孝也)を総大将、梶原景時(中村獅童)を軍奉行とした本軍を派兵。八重(新垣結衣)に見送られた義時(小栗旬)も従軍し先発した義経(菅田将暉)と合流する。後白河法皇(西田敏行)を捕らえて京に籠もる木曽義仲(青木崇高)、福原を拠点に復権を伺う平宗盛(小泉孝太郎)に対し、鎌倉方は義経の天才的な軍略に導かれて奮戦。畠山重忠(中川大志)らが華々しく駆ける……