2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第13回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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「ちむどんどん」第13回レビュー
歌子(上白石萌歌)が清らかな声で歌う「翼をください」の歌詞が染みます。
悲しみのない大空に飛び立ちたいという切実な想いを込めた70年代のフォークソングです。
そこまではっきり描かれていませんが比嘉家は切迫しているのでしょう。働き手である父が亡くなって7年。優子(仲間由紀恵)は朝、昼、晩と働いています。さとうきび畑は売ってお金に替えたようで今では小さな畑しかありません。それでも優子ひとりでやるのは大変だと思います。
長男にもかかわらず賢秀(竜星涼)は働かずにフラフラしているだけ。風呂に入って呑気に歌ってる兄を暢子(黒島結菜)は咎めます。第12回で職場に兄の代わりに謝りに行ったときは、朗らかに振る舞っていましたが、内心、釈然としない思いを抱えていたようです。怒りは風呂の火を熱くすることで発散します。
貧しさの極地は、良子(川口春奈)の服。第12回で、友達から指摘されるほど服がぼろぼろ。穴が空いたシャツを繕って着ています。良子が堂々と美しいのと、シャツが真っ白で美しいのと繕い方も上手なので、気になりにくいですが、おしゃれしたい年頃に、新しい服が買えないのは辛いでしょう。時代は昭和。今よりは服を繕って着ている人もまだ存在していたのではないかと推測しますが……。
それにしても、小学校の頃からなぜ良子だけが体操服や私服が繕われているのだろうかと疑問に思ったとき、気づきました。本来、主人公ひとりが引き受ける不運を4人のきょうだいに分散しているのではないでしょうか。
賢秀と暢子はやりがい探し、良子は貧しさ、そして歌子は片思い。こうして悩みを分散することで、ひとりが受けるストレスを減らし、視聴者のストレスも軽くしようという工夫なのかなあと思いました。
歌子はとうふ店の砂川智(前田公輝)に小学生の頃からほのかな想いを抱きながら、彼が暢子を好きなことを感じています。
熱を出して寝ていても、ちょっと身支度して智の前に現れる歌子の乙女ごころが切ない。
歌子が熱を出したとき優子が「(医者は)日曜でも来てくれるよね」とべろんべろんに酔って帰って来た賢秀に訊ねます。子どものときから病弱なのだから、日曜日に医者が来てくれるかどうか今更心配するのもおかしな感じです。もしや、じょじょに話題になってきている、時々出てくるセリフのない、オーバーオールの人物は何者なのか? というような視聴者のツッコミどころとして作られたセリフなのでしょうか。あるいは、賢秀にも簡単に答えられるような質問を、優子が気を使ってしているのかもしれません。
ほんとうは比嘉家は和やかそうに見えて、いつ家庭崩壊してもおかしくない切羽詰まった状況なのでしょう。
畑で芋をもって立ち尽くす暢子が絵になっていました。
(文:木俣冬)
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–{「ちむどんどん」第3週目のあらすじ}–
「ちむどんどん」第3週目のあらすじ
時は1971年。比嘉家の母・優子(仲間由紀恵)は、今は村の共同売店で働いている。そして四兄妹はそれぞれに成長している。暢子(黒島結菜)はやんばるの高校生。相変わらず足が速く活発な人柄だ。そして、暢子は今、卒業後の進路、就職をどうするかを考える季節。兄・賢秀(竜星 涼)、姉・良子(川口春奈)、妹・歌子(上白石萌歌)もそれぞれに大きくなり、やんばるを舞台に兄妹の新たな物語が始まる。
–{「ちむどんどん」作品情報}–
「ちむどんどん」作品情報
大好きな人と、おいしいものを食べると、誰でも笑顔になる―――
ふるさと沖縄の料理に夢をかけたヒロインと、支えあう兄妹たち。
“朝ドラ”第106作は個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く
笑って泣ける朗らかな、50年の物語。
放送予定
2022年4月11日(月)~
<総合テレビ>
月曜~土曜: 午前8時~8時15分 午後0時45分~1時(再放送)
※土曜は一週間を振り返ります。
日曜: 午前11時~11時15分(再放送)翌・月曜: 午前4時45分~5時(再放送)
※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送です。
<BSプレミアム・BS4K>
月曜~金曜: 午前7時30分~7時45分
土曜: 午前9時45分~11時(再放送)※月曜~金曜分を一挙放送。
出演
黒島結菜
仲間由紀恵
大森南朋
竜星涼
川口春奈
上白石萌歌
宮沢氷魚
山田裕貴
前田公輝
山路和弘
片桐はいり
石丸謙二郎
渡辺大知
きゃんひとみ
あめくみちこ
川田広樹
戸次重幸
原田美枝子
高嶋政伸
井之脇海
飯豊まりえ
山中崇
中原丈雄
佐津川愛美
片岡鶴太郎
長野里美
藤木勇人
作:
羽原大介
語り:
ジョン・カビラ
音楽:
岡部啓一 (MONACA)
高田龍一 (MONACA)
帆足圭吾 (MONACA)
主題歌:
三浦大知「燦燦」
沖縄ことば指導:
藤木勇人
フードコーディネート:
吉岡秀治 吉岡知子
制作統括:
小林大児 藤並英樹
プロデューサー:
松田恭典
展開プロデューサー:
川口俊介
演出:
木村隆 松園武大 中野亮平 ほか