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毎年、4月中旬となると映画ファンにお馴染みのシリーズが劇場公開されます。
それが“劇場版名探偵コナン”シリーズ。
しかし、新型コロナウィルスの感染拡大の影響は“劇場版のコナン”にも大きく影を落とし、2020年は公開延期、2021年は公開こそあったものの公開2週間後に緊急事態宣言が発令され首都圏の映画館の営業が休止されるということに…。
そして2022年の4月15日、3年ぶりのフルスペックの“劇場版のコナン”が映画館に、映画ファンのもとに、名探偵コナンファンのもとに、そして安室透ファン(=安室の女)のもとに帰ってきました。
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フルスペックの“劇場名探偵コナン”復活への道
“劇場版名探偵コナン”はすっかり東宝のドル箱シリーズとなりましたが、そこにはいくつかの大きな転換点がありました。
1997年の『時計じかけの摩天楼』でスタートした“劇場版コナン”は、春映画の定番タイトルとなり、興行収入11億円から始まって、平均20~30億円台を確実に稼ぎだすように。
この流れが大きく変わった最初の一歩が2016年の20作目『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』。
『純黒の悪夢』で興行収入が前作比で20億円以上ジャンプアップして、50億円台を突破。最終興行収入63.3億円を稼ぎ出しました。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』の日本の興行収入が61.3億円だったので、この数字がどれだけの大きさか伝わるかと思います。
そして、さらに“劇場版”のコナンを1つ上の次元のヒットに導いたのが2018年の22作目の劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』。
本作は、興行収入は91.8億円を記録しました。もはや、ピクサー映画やのスタジオジブリ作品級のヒットと言え、その年を代表する数字と言えます。
興行収入が前作比で1.5倍ということはない話ではないのですが、60億円台の映画を90億円台に引き上げるというのは、かなりレアなパターンかと思います。
シリーズ系作品は回を重ねるごとに数字は右肩下がりになりやすい中で、シリーズ20作目でジャンプアップして、さらに22作目で大きな数字を叩き出すことは日本映画史を遡ってもないのではないでしょうか?
しかも、その後の23作目『紺青の拳』は93.7億円を記録、あとはもう100億円の大台を超えるだけという状態にまでになりました。
–{ 新型コロナによる雌伏の2年間}–
新型コロナによる雌伏の2年間
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
興行収入100億円に向けて24作目の“劇場版コナン”『緋色の弾丸』の公開が2020年4月17日公開されることがアナウンスされ、メインゲストに『純黒の悪夢』以来の登場となる赤井秀一が登場することも決まりました。
ところが、そこに新型コロナウィルスの感染拡大が立ちはだかります。
映画に限らず、多くのエンターテインメントに暗い影を落とした新型コロナウィルスの感染拡大ですが、“劇場版コナン”もまたその真っ只中に身を置くことになります。
すでにプロモーションの一部は走り出していましたが、東宝は『緋色の弾丸』の公開を丸々1年延期することが発表されました。
1997年から毎年欠かさず(時に特別編も)公開されてきた“劇場版コナン”が途絶えてしまうことになりました。その結果『緋色の弾丸』は新たに2021年4月16日に公開することに。
そして迎えた2021年。新型コロナの感染拡大は収束に至らず、エンターテインメントを囲む状況は変わりませんでした。
4月17日に公開を迎えた『緋色の弾丸』は『鬼滅の刃 無限列車編』以降、大ヒット作品のロケットスタートの爆心地となっているTOHOシネマズ新宿で40回以上の上映回数を確保、IMAXや4DX劇場などの特殊フォーマットでの上映を行われました。
結果、公開3日間で興行収入22.1億円、動員153万人を記録するシリーズ最高となる大ヒットスタートを切りました。
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
これを『ゼロの執行人』(最終興行収入91.8億円、スタート3日間興行収入16.7億円、観客動員128万人)と『紺青の拳』(最終興行収入93.7億円、スタート3日間興行収入18.8億円、観客動員18.8億円)と比較してみると、対『ゼロの執行人』では興行収入で132%、観客動員で119%となり、さらに『紺青の拳』と比較すると興行収入では117%、観客動員では105%となります。
このスタートを見れば、興行収入100億円はもう目の前と言い切ってもいい状況でした。
ところが、公開2週目の週末となる2021年の2月25日から緊急事態宣言が発令され、対象地区となった東京都と京阪神地区の映画館は休館を強いられました。
(C)2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
人流抑制を目指していたものの、皮肉にも東京近郊の神奈川・埼玉・千葉などの映画館の客足は増えるといった混乱も起きる中での『緋色の弾丸』の興行は急ブレーキをかけられることに。
状況的に仕方がないこととはいえ、シリーズ初の興行収入100億円は持ち越しになってしまいました。それでも『緋色の弾丸』は最終的にシリーズ歴代3位となる76.5億円を稼ぎ出しています。
これだけのハンデがある状況でも、ここまでヒットするということは逆に“劇場版コナン”の凄みを感じさせる数字と言えるでしょう。
–{降谷零(安室透)とともに新たな次元のヒットへ}–
降谷零(安室透)とともに新たな次元のヒットへ
(C)2016 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
“劇場版コナン”の大きなジャンプアップとなった『純黒の悪夢』で話題になったのは、“劇場版コナン”に2人の人気キャラクターがメインゲストとして登場すること。
それがFBIの凄腕スナイパーの赤井秀一と黒の組織と公安部のダブルエージェント安室透でした。
原作ファンからも人気の高かった2人が“劇場版コナン”に本格参戦。黒の組織との戦いも絡まり、結果として『純黒の悪夢』はシリーズ初の興行収入50億円を突破する大ヒットを記録しました。
以降、安室透・赤井秀一の2人は服部平次、怪盗キッド(&京極真)などと並んで“劇場版コナン”を支える重要な人気キャラクターになっていきます。
(C)2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
そして、安室透が単独でメインゲストを務めたのが、さらに超ヒット作となった『ゼロの執行人』でした。
『ゼロの執行人』は“安室の女”と表された根強いファンの熱烈な支持もあって、シリーズの興行収入の記録を更新し続けていきます。ちなみに、今回は劇中の結婚式にかけて“参列者”という表現が新たに広がっているとか……。
近年『鬼滅の刃 無限列車編』で「煉獄さんを400億の男」にや『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で「碇シンジを100億の男に」と言った言葉やムーブメントがSNSを中心に広がりましたが、このムーブメントの最初が『ゼロの執行人』の「安室透を100億の男に」だったと言われています。
結果として100億円の大台には届かなかったものの『ゼロの執行人』は『ボヘミアン・ラプソディ』『劇場版コード・ブルー』に続く2018年第3位のヒット作品となりました。
–{そして2022年、『ハロウィンの花嫁』公開}–
そして2022年、『ハロウィンの花嫁』公開
(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
製作サイドが狙っていたのか?はたまた偶然の産物なのか?
雌伏の時を経てフルスペックでの公開体制が整った状況で降谷零(安室透)が“劇場版コナン”に三度、登場します。
メインゲストの中でも怪盗キッドと赤井秀一と降谷零(安室透)は興行的に大きな武器にはなりますが、それでもこのタイミングに降谷零(安室透)が登場するのはただの予定調和以上の巡りあわせを感じさせます。
そして、最初の公開週末が終わり、その数字が明らかになりました。
(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
『ハロウィンの花嫁』は公開から3日間で興行収入19.7億円、観客動員132万人を記録しました。
これはシリーズ最大のヒット作『紺青の拳』を上回る数字で、シリーズ最高の出足だった前作『緋色の弾丸』に続く、ロケットスタートです。
よほどことが起きない限り「降谷零(安室透)が100億の男」なることが確実視できる状況になりました。
もちろん、1週目の数字だけですべてが決まるわけではありません。その後も、勢いを保つためには同等の公開規模が確保されなくてはいけません。
ここでいう公開規模は「1日の上映回数と上映される劇場のキャパシティ」を意味します(同じ上映回数でも100人しか入らない劇場と300人以上入る劇場とでは、当然数字が違います)。
このことに関しては作品本体の興行力と同時や前後に公開される大作・話題作の動向も大きく関わってきます。要はライバル作品の動向です。
(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
これに関しても実は『ハロウィンの花嫁』には条件が揃っています。
というのも最大のライバルである『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』はすでに公開済み。
そして喜べることではありませんが、『ハロウィンの花嫁』の翌週に公開予定だった『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が諸般のトラブルから公開延期になりました。
“ファンタビ”も“ドラゴンボール”も、大きな数字が見込める作品です。
(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
“劇場版コナン”が右肩上がりにヒットする要因に、「ファンが卒業しない」「コナンを楽しめる下の世代が新たに参入してくる」というものがありますが、“ドラゴンボール”も上の世代も下の世代も満遍なく呼び込めるタイトルです。
もし『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が順当に公開されていたとしたら、『ハロウィンの花嫁』と”喰い合い”が起きていた可能性もあります。
さまざまな状況が噛み合い、『ハロウィンの花嫁』は100億円の大台が見えてきていると言えるでしょう。
(C)2022 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
新型コロナの影響で映画は苦戦が続いていますが、それでも『鬼滅の刃 無限列車編』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『劇場版 呪術廻線 0』と100億円映画が出てきては映画館を必死に盛り上げてくれています。
2022年は11月に新海誠監督の『すずめの戸締り』も公開を控えているため、映画館が少しずつ盛り上がりを取り戻し始めてくれそうです。
(文:村松健太郎)
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–{『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』作品情報}–
『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』作品情報
ストーリー
佐藤刑事と高木刑事の結婚式で乱入した暴漢から佐藤刑事を守ろうとした高木刑事。高木は無事だったが、事態をきっかけに佐藤の瞳には、3年前に松田刑事が殉職した際に見えた死神のイメージが高木と重なって見えていた。
時を同じくして、3年前の事件の犯人が脱獄した。公安警察の降谷零が犯人を追い詰めたものの、謎の仮想人物に首輪爆弾をつけられてしまう……。
予告編
基本情報
声の出演:高山みなみ/山崎和佳奈/小山力也/古谷徹/高木渉/湯屋敦子/白石麻衣 ほか
監督:満仲勧
公開日:2022年4月15日(金)
製作国:日本