まさか彼らが東京に来てこんなに人気者になるなんて。もはや“ゴイゴイスー!”と叫ぶしかない。
そこで、筆者が愛してやまないお笑いコンビ・ダイアンの魅力について語りたい。
なお、筆者は関東在住。ダイアンをきちんと知ったのは彼らが東京進出してからだ。そのため、関西の昔からのファンの方々と多少視点や感じ方が異なる部分もあるかもしれないが、そこは何卒ご容赦いただきたい。
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ダイアンの魅力は、温かみのある人間力
滋賀県出身の中学校の同級生同士・津田篤宏とユースケが組んだお笑いコンビ・ダイアン。
筆者が初めて彼らを認識したのは、「M-1グランプリ」。2007年、2008年と2年連続でファイナリストになった彼らを決勝の舞台で目にした。当時一番印象に残っているのは、2008年にトップバッターでネタ披露し、採点後に「1位です!」とはしゃぐ津田の姿だ(トップバッターだから、そりゃそうだ)。
その後も大阪を拠点に活動していたダイアン。同期のキングコングやNON STYLEらが東京で華々しく活躍する中、2018年にようやく東京進出。そのとき、津田もユースケも既に40歳を越えていた。
今だ快進撃を続ける千鳥ですら、東京進出したときは30代。40代になってのダイアンの挑戦に「成功するのか?」と危ぶむ声もあっただろう。実際、東京に来たばかりの頃、「ゴッドタン」の「腐り芸人セラピー」に相談に来たダイアンは、「今回の人生で東京進出は無理」とまで言われていた。
しかしである。東京進出したダイアンは、前述した「ゴッドタン」や「ロンドンハーツ」、「アメトーーク! 」など、徐々にテレビでの露出が増えていく。その中で、彼らのキャラを認知していくとともに、筆者は津田とユースケの二人に親しみを感じるようになり、そして、いつの間にか大好きになっていた。
よく見るようになってわかったダイアンの魅力、それは二人の温かみのある人間力だ。やはり「ゴッドタン」で、同期の南海キャンディーズ・山ちゃんに「面白いけれど、その才能を軽く消すぐらい華がないというので有名だった」とばらされていたダイアン。M-1決勝時のキャッチコピーは「お笑い月見草」で、確かにアイドル的な華やかなタイプとはいいがたい。
しかし、ダイアンをずっと見ていると、二人の中にある人間的な旨味がよくわかってくるのだ。津田のどこかズッコケたリアクションやツッコミ、ユースケのとぼけているのか本気なのかわからなくなるおっとりした語り口など、気づけばなんともほっこりした気持ちで見守るようになっていた筆者である。
「高校に落ちた」(津田)、「短大卒業してハウスマヌカンやってた」(ユースケ)など、それぞれの自己紹介的ネタもじわじわとツボに響くダイアン。コンビを組んでなかなか結果が出ない頃、「4月までに何の結果も出てなかったら解散しよう」と話していたが、実際に4月になったときにお互いそのことを忘れていた……というエピソードなども、二人のどこかのどかな人柄、キャラクターを物語っているようで実にいい。
また、ダイアンのよさの中には、若い芸人には決して出せないであろうものも混じっている。その一端が感じられるのが「アメトーーク! 」で津田が披露した、仕事でカッパの恰好をして川から海まで流された……というエピソード。40越えて東京で勝負しているおじさん芸人の奮闘ぶりや悲哀がひしひしと伝わってくる。こうした人間味あふれる感じもまた彼らの魅力なのだ。
絶妙な“間”が楽しいYouTube「ダイアン公式チャンネル」
筆者がダイアンを好きになったもう一つの大きな要因、それは彼らのYouTube「ダイアン公式チャンネル」だ。
津田とユースケがトークを繰り広げたりお菓子やごはんを食べたりゲームに挑戦してみたりする動画チャンネル。おっさん二人が中学生男子のように、ずっとしょうもないことでふざけている……といった感じだが、それがなんだかとても楽しいのだ。実際中学生の頃からの付き合いだという二人。きっと少年時代からこんな風に一緒にバカやって楽しんでいたんじゃないだろうか。
ダイアンのYouTubeでは、津田とユースケが歌うとびきり素敵なテーマソングも聴くことができる。クリープハイプの尾崎世界観がダイアンのために書き下ろした「二人の間」。二人の歌声、特に津田の伸びやかでクリアーなボーカルが耳にとても心地よく響く一曲だ。
「二人の間」を初めて聞いたとき、筆者はダイアンのよさを絶妙に表したその歌詞にぐっときた。津田とユースケが話しているときの、おかしくて、どこかしょうもない“間”。これを感じるだけでなんか楽しいし、なんか笑ってしまう。これこそがダイアンの言葉で言い表せない魅力なのだ。
なお、この公式YouTubeとは別に、津田の単独チャンネル「ダイアン津田のゴイゴイスーチャンネル」もとても楽しい。ゲーム実況や家族と過ごしている姿を撮った動画が並ぶ同チャンネルでは、相方ユースケといるときとはまた違う津田の顔を見ることができる。時折披露する料理の腕前も見事。手作りの寿司やエビチリなどが本当に美味しそうだ。
–{声優に挑戦した「オッドタクシー」はハマり役}–
声優に挑戦した「オッドタクシー」はまさにハマり役
ダイアンと言えば、彼らが声優に挑戦したアニメ「オッドタクシー」についても語っておきたい。
2021年に放送された「オッドタクシー」。タクシー運転手の小戸川(声:花江夏樹)と彼の車に乗るお客たちをめぐる物語で、一見かわいらしい動物アニメと思いきや、巧みに伏線を貼りめぐらした本格ミステリー作品だ。ダイアンはこちらの作品でお笑いコンビ・ホモサピエンスの柴垣(ユースケ)と馬場(津田)を演じた。
筆者はこの作品を見たとき、ホモサピエンスの二人にダイアンの声が恐ろしくハマっているのに驚いた。野心家でえらそうな柴垣にユースケの渋い声が、温和で優しい馬場に津田のソフトな声がぴったり。そして、何より二人の語り口が本当に役にしっくりきている。
本職の芸人が芸人を演じているから……というのはもちろんあるだろう。それでも、ここまでかっちりハマるケースは稀有な気がする。劇中のホモサピエンスのラジオや漫才、賞レースにきばったりコンビ間の格差に悩んだりする姿が、ダイアンの声と語りのおかげで非常に臨場感とリアリティあふれるものになっていた。
「オッドタクシー」は、現在劇場版『オッドタクシー・イン・ザ・ウッズ』が公開中。こちらの舞台挨拶でも、「プランニング」や薄~い感想でしっかりと笑わせてくれたダイアン二人である。
冠番組「ダイアンの絶対取材しない店」がついにスタート!
2022年、上京4年目を迎えたダイアンだが、1月にTBSラジオで「ダイアンのTOKYO STYLE」が開始。彼らにとって関東ローカル初の冠番組だ。
そして、2022年4月7日からテレビ東京で「ダイアンの絶対取材しない店」がスタート。このニュースを聞いたとき、筆者は思わず「おーっ!」と叫んで喜んでしまった。ついに民放キー局での初冠番組。もうとびきりのスーを二人に差しあげたい。
東京進出は無理と言われたこともあったダイアン。しかし、結局のところ、東京に来て彼らのよさがより全国区で知られることとなった。40越えての挑戦だったが、40越えてたからこそ円熟味にあふれた芸人としてブレイクして、見事冠番組もゲット。東京進出はひとまず成功といえるのではないだろうか。「ダイアンの絶対取材しない店」は、関西のロケ番組で培った彼らの本領が発揮されそうでとても楽しみだ。
ダイアン、東京に来てくれて本当にありがとう。おかげで関東のお笑いファンも“ゴイゴイスー!”な魅力を知ることができた。おかしくてしょうもない、でもなんか温かい。そんなダイアンの間が大好きだ。だから、ずっとこのままでいてほしい。そのままで、二人の間で。
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(文:田下愛)