沢口靖子主演の木曜ミステリー「科捜研の女 season21」が、2021年10月14日(木)より放送スタート。
画像分析やDNA鑑定などの科学技術を駆使し、難解な犯罪捜査に立ち向かう様を描いた本シリーズ。榊マリコ(沢口靖子)の活躍もさることながら、ともに捜査に精を出す刑事・土門薫(内藤剛志)の熱血ぶりも魅力だ。
本記事では、最終話となる第18話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。
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「科捜研の女 season21」第18話レビュー
「科捜研の女」シリーズ23年の集大成となる「season21」の最終回。同回は本作を愛するファンたちの心を揺さぶり、そして、心に残るストーリーとなった。
この18話でマリコ(沢口靖子)の前に立ちはだかった最強の敵。それは、8話に登場した天才AI研究者・宮越優真(美村里江)だ。
前回の事件の際、ネットを使って犯罪へと仕向ける「負のインフルエンサー」ではと疑われていた優真。今回も彼女はAI“UMAⅡ”(ユマ・ツー)とともにネットで人の心を巧みにあやつってマリコたちを翻弄する。
相次ぐ殺人事件に絡むネット情報で見覚えのあるハッシュタグを目にしたマリコ。事件の裏に優真がいるのでは……?と睨んで、彼女に会いに行く。そして、“UMAⅡ”の出す答えは完璧だという優真に対して、「仮にAIがそんな答えを出したとしたら、そのAIは壊れている、ただの不良品だと判断します」と言い放つ。
その後、第三の事件が起こる。社会学者の山神芳彦(久保田悠来)が遺体で見つかったのだ。
この事件の捜査で、マリコたちはまさかの誤認逮捕を進めてしまうことに。現場にあったペットボトルをDNA鑑定して犯人だと思われたのは深野拓実(柾木玲弥)。ところが、彼のアリバイを証明する動画がネットに流出する。
釈放された深野はマスコミの前でマリコについて言及。そのため、マリコに関する醜聞が一気にネットで広がってしまう。事態を重く受け止めた藤倉刑事部長(金田明夫)と佐伯本部長(西田健)は、マリコに異動を視野に入れた休職を言い渡した。
天職である科捜研の仕事を取り上げられたマリコ。いつになく弱気な姿も見せる。
だが、盟友・風丘早月(若村麻由美)から「20年以上も科捜研を続けてきたあなたなら、何があっても絶対に勝てる」と言われていた彼女は、結局あきらめはしなかった。仲間たちの協力を得て再び白衣に袖を通すマリコ。鑑定を行って証拠をつかんだ彼女は、山神を殺し、マリコを罠にかけようとした真犯人・優真を土門(内藤剛志)とともに追い詰めていった。
山神を殺した優真の動機は復讐。かつて山神は優真と一緒に大学でAIの研究をしていたが、当時山神の不注意で完成目前のAIがウイルス感染。自らの分身で友人でもあったAIを殺し、さらに「また作ればいい」と機械呼ばわりした山神を彼女は許せなかったのだ。マリコを罠にはめたのもAIを「不良品」と言われたからだった。
AIとネットを駆使して自らの手を汚さず罪を重ねてきた優真。しかし、山神だけは自身で手を下さないと気が済まず、自ら犯行に及んだ。そんな彼女に「あなたも人間だからだと思います」と声をかけるマリコだった。
この最終回スペシャルでは、マリコの仲間たちが犯罪に立ち向かう姿もいつにもまして心を打たれるものだった。
休職でマリコがいなくなって、定時に退社する面々。だが、皆心中穏やかではない。街中のテレビでマリコのニュースに見入る人たちに「これ、嘘だからね!」と訴える呂太(渡部秀)。大好きなパソコンを見たくなくなってしまった亜美(山本ひかる)。家で母と過ごしながらもどこか浮かない様子の宇佐見(風間トオル)。心配してやってきた妻の恵津子(宮地雅子)に「ようやくの肩の荷が降りた」と言いながらも寂しそうな日野所長(斉藤暁)。
自分たちの中にはマリコがいる。そう気づいた彼らは立ち上がった。日野、宇佐見、呂太、亜美は職場に戻って鑑定を再開。解剖結果を届けに来た風丘は「マリコさんが4人もいる」とびっくりしていたが、できるかぎりの鑑定を行い、最後にそれをマリコに託す研究員たちの姿は本当に胸熱だった。
マリコの仲間と言えば、土門(内藤剛志)や蒲原(石井一彰)も忘れてはならない。彼らもまたあきらめず優真の元を訪れるなど捜査に奔走。なお、ストーリー中盤で、気落ちしたマリコの肩を掴み「俺が送っていく」と言った土門の男前っぷりはかなりぐっと来た。
最後、事件を見事解決して科捜研に戻ることができたマリコは、京都府警の屋上で仲間たちと向き合う。一人一人がマリコに思い思いの言葉を伝え、マリコもまた心をこめた言葉を返す。最後に土門が「お前じゃなきゃ、ここまでやってこられなかった」と賛辞を贈った。
「科学は嘘をつかない」と信じて仕事を続けてきたマリコ。彼女の使命感はいつしか周りのみんなに伝染していたみたいだ。マリコがいたからやってこれた……と語る仲間たちにマリコもまた「今まで本当にありがとう」と感謝して、「科捜研の女 season21」は幕を閉じた。
マリコたちの活躍、また見ることができるのだろうか。先のことは現時点ではわからないが、いつか再び会えることを願って極上の科学捜査ドラマを届けてくれた皆に拍手と感謝を贈りたい。
今まで本当にありがとう、マリコ、土門、そして、科捜研。
科学とともに戦い続けた京都の戦士たちに愛をこめて。
(文:田下愛)
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–{「科捜研の女 season21」第18話ストーリー}–
「科捜研の女」第18話ストーリー
とある池で女性の溺死体が見つかり、榊マリコ(沢口靖子)ら科捜研メンバーが現場に臨場する。被害者は、ある町の前町長で、背中の圧迫痕から誰かに突き飛ばされた可能性があることなどが判明。さらに捜査を進めると、インターネット上には、前町長が推し進めた堤防工事の計画の凍結にまつわる黒いウワサが書き込まれた《フェイクニュース》であふれ、すごい勢いで拡散されていた。実は、数年前にこの町で起こった水害で多数の被害者が出ており、堤防工事が中止にならなければ悲劇は起きなかったと非難されていたのだ。水害が犯行の動機だとしたら、その遺族が犯人の可能性も…!?
人気コメンテーターでもある社会学者の山神芳彦(久保田悠来)は、この前町長の事件はネット上の《フェイクニュース》によって誘発されたものだとテレビでコメントするが…。
やがて、マリコはSNSに書き込まれた見覚えのあるハッシュタグから、AI“UMAⅡ(ユマ・ツー)”を操った殺人事件の疑惑が残る研究者・宮越優真(美村里江)を思い出し、土門刑事(内藤剛志)に報告するのだった。
しばらくすると、ある大学の学長が、学内で転落死する事件が発生。それが、前町長殺害の経緯と類似しており…。事件は連鎖し、さらなる被害者が…!現場から採取されたDNAから前科のある若者・深野拓実(柾木玲弥)が浮上するが…!?
事件の背後に見え隠れするAI“UMAⅡ”の存在…優真の真の狙いとは…!?やがて、マリコの身に、史上最悪の危機が迫って…!?
–{「科捜研の女 season21」作品情報}–
「科捜研の女 season21」作品情報
出演
沢口靖子/内藤剛志/若村麻由美/風間トオル/金田明夫/齋藤暁/西田健/渡部秀/山本ひかる/石井一彰
脚本
戸田山雅司、櫻井武晴 ほか
主題歌
Tielle『花火』(TL RECORDS)
プロデュース
関 拓也(テレビ朝日)
藤崎絵三(テレビ朝日)、中尾亜由子(東映)、谷中寿成(東映)
監督
田﨑竜太、兼﨑涼介 ほか
制作著作
テレビ朝日