渡部秀の“欲望”がこの作品を生んだと監督も絶賛『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』初日舞台挨拶詳細レポート

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3月12日(土)、『仮面ライダーオーズ』の完全新作となるVシネクスト『仮面ライダーオーズ10th復活のコアメダル』が公開初日を迎え、東京・新宿バルト9にて初日舞台挨拶が行われた。

本作では 800年の眠りからよみがえった古代オーズによって人類が滅亡の危機に瀕する中、旅に出ていた火野映司が帰還し、レジスタンスとして戦う後藤慎太郎や伊達明、それをサポートする泉比奈や白石知世子と共に戦いを繰り広げるも人類の劣勢は揺るがない。そんな中、あの「割れたコアメダル」に異変が起こり…というテレビシリーズ最終話から10年後の世界が描かれる。

舞台挨拶には主要キャストの渡部秀(仮面ライダーオーズ/火野映司役)、三浦涼介(アンク役)、高田里穂(泉比奈役)、君嶋麻耶(仮面ライダーバース/後藤慎太郎役)、岩永洋昭(仮面ライダーバース/伊達明役)、本作のメガホンを取った田崎竜太監督(崎は「たつさき」が正式表記)が登壇し、本作への思いを語った。

10年で変わったもの、変わらないもの

冒頭の挨拶で「皆さん、お久しぶりです!」と明るく会場のファンに呼びかけた渡部は「ここまで来るのに長い時間がかかったんですが、ようやく、こうして皆さんの元にお届けできる日が来て感無量でございます。待ちに待ってくださった皆様のお顔を生で拝見することができて本当にうれしいです。ありがとうございます!」と、公開初日を迎えた喜びと、劇場に駆けつけたファンへの感謝を伝えた。

本作での自身の見どころについては、上映前なので内容に触れるのは難しいとしつつ、「とにかく映司という男は終始一貫しているというのはテレビ放映当時から思っていたので、映画を観て、パンフレットに書かれていることも含めていろいろと考えていただけたらうれしいです」と、テレビシリーズから一貫して変わらない映司が迎える結末について映画を見終わったあとにも考えてほしいとファンに呼びかけた。

本作撮影中の思い出深いエピソードについて渡部は「キャスト全員が集結する重要なシーンの撮影後に田崎監督が駆け寄ってきて『10年あったからできるお芝居、物語だね』って言ってくださった。その一言が今でも残っていますし、一生忘れない出来事ですね。その言葉だけで僕たちは色々なことを受け止めましたし、この映画がさらにブラッシュアップされていったんだなということで思い出に残っています」と、田崎監督からかけられた言葉を挙げた。

渡部から「監督、覚えてますか?」と問われた田崎監督は「もちろん覚えてます。テレビシリーズの第1話の撮影のときに現場で変身ポーズを一生懸命練習してたなぁとか、そんなことを思い出しながらそのシーンを撮りました。大事なシーンは、そのシーンが撮りたいからこそのストーリーだったりするし、それこそがお客さんに届けたいものだったりします。10年という月日を経て、『オーズ』というカンパニーがこれだけ成長したんですよというところを見ていただきたいと思っているので、あのシーンを撮れたのはうれしかった。監督冥利に尽きます。みなさんのおかげです」と、渡部にかけた言葉の真意を打ち明けた。

三浦は「皆様とお会いできるのをすごく楽しみに今日もやってまいりました。公開初日を迎えられて本当にうれしく思っています」と挨拶。「こういったご時世なので、こうして皆さんとお会いできるのも奇跡に近いことだと思います。こんなにたくさんの方たちにお会いできたことがうれしいです」と、大勢のファンの前で舞台挨拶に立てた喜びを伝えた。

自身の見どころについて聞かれると「う〜ん、ちょっと難しいな」と、上映前ということで言葉選びに苦慮しながらも「とにかく、心込めて演じさせていただきましたので、思う存分アンクを感じていただければと思っています」と、久々に演じたアンクに自信をのぞかせていた。

高田は、公開初日を迎えたことについて「やっと、遂に、この日が来たんだなという気持ちでいっぱいです。ずっとずっと、この日が来るのを楽しみにしていました。撮影は9月だったので、まだ半年しか経ってないんですが、(公開されるのは)まだかな、まだかなとずっと思っていました。こうして皆さんのお顔が見られて、私もうれしいです」と、ファンと同じように心待ちにしていたことを明かした。

本作での見どころについて高田は「この10年、比奈はどうしていたんだろう、何を考えていたんだろうと考えたときに、やっぱり『映司くん、元気かな?』とか『アンクに会いたいなぁ』という気持ちがずっとあったと思う。だから、この 2人ととのシーンは気持ちを込めて演じたいと思ったんです。(劇中で)アンクと比奈ふたりのシーンがあるんですが、雨が降って2回も撮影が飛んでしまって、やっと撮れたシーンということもあって個人的に観てもそのシーンが際立っているというか、比奈の内面の強さであったり、寄り添う力であったり、色々なものが出ているシーンだと思うのでそこが見どころです」と、10年後の姿を演じるにあたっての思いを振り返り、比奈の内面を表現したシーンに自信を見せた。

君嶋は「この話を初めて聞いたときに『それ、本当に実現するのかな?』というところから始まったので、(本当に作品が完成したことが)不思議な気持ちもありますが、公開初日を迎えられてうれしいです」と、10年という歳月を経てオリジナルキャスト・スタッフで作る新作という不可能と思えた作品が公開されたことへの複雑な心境を明かした。

本作の見どころについて君嶋は「10年前にやっていた作品なので、10年後に撮るにあたってテレビシリーズとは違う見え方や空気感が出たりするのかと思っていたんですが、10年前と変わらない『オーズ』が持つ空気感がそのままこの映画でも現れています。そこが見どころなんじゃないかなと思っています」と、10年経っても色褪せない『オーズ』らしさを挙げた。

完成披露舞台挨拶でもジョークで会場を和ませていた岩永は「ニッポンのみなさん、こんにちは。アイアンマン/トニー・スターク役のロバート・ダウニーJr.です」と自己紹介し、今回も冒頭の挨拶から会場を盛り上げる。

公開初日を迎えた思いについても「この作品を撮影するにあたり 2本ぐらいハリウッドの映画をお断りをして…、ギャラでいうと4〜5億円ぐらいなんですけど、それよりもやっぱり『オーズ』の方が大事なので参加しました。今日(ファンの)皆さんの笑顔を見ることができてうれしい限りです」と、ハリウッドスターネタを続けるも、渡部から「手、震えてるけど大丈夫なの?」とツッコミが入り、笑いをこらえていたことを打ち明ける。この劇中のコメディーパートのようなやり取りに会場は笑顔と大きな拍手に包まれていた。

本作の見どころについて岩永は「伊達は(10年前と比べても)そんなに変わってないかな。でも、バースチームの後藤ちゃんとはずっと一緒にいたわけじゃないんですが、当時よりも信頼感が増したのかなと思いながら演じていました。そこが伝わるか皆さんに観ていただいて判断してもらえたらと思います」と、10年経ってバディ感の増した伊達と後藤のコンビを注目ポイントとして挙げた。

田崎監督は公開初日を迎えた気持ちを「まさに感無量」と表しつつ、「さっき、きみじー(君嶋)が言ってましたが、本当に実現するのかっていうところからこの作品は始まりました。10周年の企画って他の作品でもありますけど、やっぱり俳優部さんの合意とやる気が伴わないと絶対成立しない企画なんです。今回に関しては秀くん(渡部)が第2?第3?のプロデューサーとして尽力してくれました」と、オリジナルキャスト再集結の立役者として渡部を称賛。

これに対して高田から「影のプロデューサーって言われてますよね」と合いの手が入ると、田崎監督も「影のプロデューサーっていうか、日なたのプロデューサーでもあるんだけどね」と返して会場の笑いを誘いつつ、「でも、本当だと思っています。秀くんのやる気、『オーズ』的に言えば“欲望”がこの作品を生んだと言っても過言ではありません。今日、皆さんのお顔を拝見して、現実に公開したんだなあと思うと共に、秀くんの思いの強さ、欲望の強さを感じました」と、テレビシリーズの終了から長い歳月を経て、それぞれの道を歩んでいるキャストを再び同じ作品に集めるという難題を実現へと導いた渡部の“欲望”の強さ称えた。

田崎監督の絶賛の言葉を受けて渡部は「僕はこんなに欲深かったんだなと思います(笑)」と照れながら、「でも、僕ひとりの力では成し遂げられなかったことです。この作品のお話をいただいた時点で、(キャストの)みんなに声をかけて意思確認をする中ですごく悩んで、みんなで『やろう!』と一致団結しました。今日、皆様のお顔を見て、進んでよかったなあと思っています」と、キャストみんなで決めたことだと謙遜しつつ、公開初日を迎え多くのファンが駆けつけてくれたことに胸をなでおろしているといった様子だった。

これに対し高田が「私は、秀くんがいなかったら、この映画はできていないと思っているので、ありがとうございます」と、渡部に感謝の言葉をかけると、田崎監督も「みんな、秀くんがやるなら自分もやる、っていう気持ちで集結してできた映画だと思っている」と、渡部が中心となっていたことを改めて称えた。

そこに岩永が「秀がいなかったら、ほんとにもう…。すみません、さっきここに出る前に(渡部から)ひとり五千円づつもらったんで褒めちぎります(笑)」と、オチをつけてまたしても会場を和ませる。

–{監督の目に映った本作の見どころとは…}–

自分の目で見て、それぞれに感じてほしい

MCから『監督が思う見どころ』を聞かれた田崎監督は、映司とアンクに関しては「ここで僕がとやかく言うものではないと思います。皆さんも楽しみにして来ていると思いますので、ここでは何も言いません。皆さんに観ていただくしかないかなと思っています」と、待ち続けていたファンの気持ちに寄り添い、敢えて語ることはしなかった。

比奈の見どころについては「比奈ちゃんを要とした映司とアンクというカットがテレビシリーズの最終回にありましたが、そういった構図がこの映画にもあります。比奈が、ちゃんと“比奈の居場所”にいて、待つことによって『オーズ』のカンパニーが成り立って、みんなが集結できるんだということが映画を観ていただければわかると思います。さっき(高田が)言った『2度撮り直した、アンクとの3度目の正直のシーン』も非常にいいシーンだなあと思って、編集も丁寧にやらせていただきました。あ、別に他のシーンが雑ってことじゃないですよ(笑)」と、笑いを交えながら比奈の存在がこの映画でも重要であることをアピール。

伊達と後藤に関しては「本当に10年経ったのかよっていうぐらい、いきなりバディな感じが復活していて現場でびっくりしたのを思い出します。それと、後藤ちゃん手が震えすぎだなって思いましたのでぜひそこも観ていただきたいです(笑)」とジョークを交えながら、10年のブランクを感じさせない名コンビの活躍と、力の入った君嶋の演技を見どころとして挙げた。

締めの挨拶で田崎監督は「10年前のみなさんと今のみなさん、多分いろんなことが変わっているかと思います。僕らもいろいろ変わりまして、その結果がこういう形の映画になっていますので、ぜひお楽しみに!」と、10年経ったからこそ出来上がった映画であることをアピール。

続く岩永は「10年経って、また同じ作品の同じ役をやるというのは、俳優業をやっていてもそうそうあるものではありません。今までずっと待ってくださって、愛し続けてくださった皆さまへの感謝の気持ちでいっぱいです。結末がどうであろうと、皆さん自分のフィルターを通して、この映画が少しでも、ずっと生きていく上での活力になればいいなと、心から思っています!」と、10年変わらず『オーズ』を愛し続けてくれたファンへ感謝の言葉を送り、会場は大きな拍手に包まれていた。

君嶋は「10年間待っていただいて、ファンの皆さんがもう一度観たいという声も上げていただいた結果、僕たちはこの場所に立てているので、とても感謝しています。映画についてどういう感想を持たれるのかは人それぞれだと思いますが、最後まで楽しんでいただけたらと思います」と、新作を待ち望んだファンに最後まで楽しんでほしいという願いを込めて挨拶。

高田は「こんなに愛される作品、10年間もずっと愛され続ける作品に出られたことが私の誇りであり、芸能人生における核であり、もう逃れられない宿命。この素敵なキャスト、スタッフの方たちや監督とご一緒できたことを本当に誇りに思っています。そして、今後は“ヒナ”から白鳥になれるように…って、これは秀くんから『言ってね』って言われたんですけど(笑)、本当にそうなれるように俳優業を頑張っていきたいたいと思います。感謝の気持ちを忘れずに今後も頑張って活動していきます!」と、自分の俳優人生において大きな存在である『オーズ』を大切にしつつ、今後の更なる飛躍への決意を言葉にした。

三浦は「いろいろな思いの中、心を込めて精一杯演じました。何か皆さまの心に残って、これからの生活のなかで力になってくれればいいなと思います。僕自身もこの映画にたくさんの勇気と力をもらいました。これからも精一杯生きていきたいと思います。頑張ります!」と、高まる感情に目を潤ませながらも力強く挨拶。

最後に渡部が「実は先日、『仮面ライダーオーズ/OOO』の主題歌を担当してくださった大黒摩季さんから『10周年の映画公開、おめでとうございます。この作品に出会えて、『Anything Goes!』に出会えて幸せでした』と、ご連絡をいただきました。この『仮面ライダーオーズ/OOO』と言う作品は、大黒さんをはじめ、スタッフやキャスト、たくさんの方々に支えられて、ここまで成し遂げられた作品なんだなあと、皆さまのお顔を見て改めて実感しました。この作品は、今日公開して、まだ上映期間は続きますので、何度でもこの“仮面ライダーオーズ10周年の物語”を楽しんでいただけたらと思っています。本日はまことにありがとうございました!」と、直接撮影に携わる人たちだけでなく、支えてくれた多くのキャスト、スタッフ、ファンに向けて感謝の気持ちを込めて挨拶し、大きな拍手に包まれる中、イベントを締めくくった。

Vシネクスト『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』は2022年3月12日(土)より新宿バルト9ほかにて期間限定上映中、8月24日(水)に東映ビデオから Blu-ray&DVD が発売される。

(写真・取材・文:いぢま)