島崎遥香主演のドラマ「ハレ婚。」が、2022年1月16日放送スタートした。
「ヤングマガジン」(講談社)で2014年から2019年にかけて連載されたNON原作の同名漫画をドラマ化した本作は、日本で唯一の「一夫多妻制(ハーレム婚、通称ハレ婚)」が認められた街を舞台にした異色ラブコメディ。実家へ帰郷して“3人目の妻”となる主人公・小春を島崎遥香、すでに二人の妻を持ちながら小春にプロポーズする「ハレ婚夫」伊達龍之介を稲葉友、1人目の妻・ゆずを柳ゆり菜、2人目の妻・まどかを浅川梨奈が演じる。
本記事では、最終話となる第9話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
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「ハレ婚。」第9話レビュー
「僕が本当にほしいもの、それは未来だ。目に見えないもので繋がった僕たちを子供という存在が照明してくれる。そして、僕たちには作れない未来を子供やその子供が作って、どこまでも続いていく。僕たち家族の愛は永遠だ」
一夫多妻制をテーマに、現代の結婚のあり方に切り込んだドラマ「ハレ婚。」がついに最終回を迎えた。
夫の龍之介(稲葉友)、第一夫人のゆず(柳ゆり菜)、第二夫人のまどか(浅川梨奈)、そして第三夫人となった主人公の小春(島崎遥香)の4人で結婚生活がスタートした伊達家。まどかが離婚して出て行った後、伊達家にはゆずの子ども・麟之介(佐藤一和)が増えた。しかし、そのことで小春は自分の存在意義がわからなくなり、ついには離婚を決意。
果たして、伊達家がたどり着いた答えとは?
離婚届に判を押し、土下座して家を出て行くことの許しを請う小春。しかし、龍之介やゆずは到底納得できない。二人にとってみれば、小春も伊達家に必要な家族だから。
でも小春はまどかとの不倫疑惑から龍之介のことを疑ってしまったり、なかなか子供ができないことから龍之介、まどか、麟之介の幸せそうな姿に心を痛めてしまったり……。モヤモヤとした感情におどらされる自分のことが嫌になってしまった。
逆に言えば、それだけ龍之介のことを愛してしまったということ。それなのに、気持ちとは裏腹に「大っ嫌い」と言ってしまう小春が切ない。
そんな小春に、龍之介は「僕が君だけを愛すると言ったら、ずっとそばにいてくれる?」と問いかける。龍之介もまた、幼い頃に神社で小春に出会った時から本気で彼女のことを愛していたのだ。
ここでイエスと言えば、龍之介はずっと望んでいたように自分だけのものになる。だけど、小春の頭にはお父さんとお母さんが大好きな麟之介のことが離れられない。
「私たちはもう大人なんだよ。あんたはもうおっさん。そんで、何がなんでも守らなきゃいけない人がいる」
子供のまま大人になった龍之介にそう語りかける小春は“お母さん”の顔をしていた。恋に疲れて帰郷したばかりの小春は甘ったれで、みんなの妹的存在だったが、波乱万丈な結婚生活の中で少しずつ守られる側から守る側に成長していったのだろう。次第に頼もしくなっていく、島崎遥香の表情が印象的だった。
小春が家を出て行った2ヶ月後、ついに北つばめ市の市長が変わり、ハレ婚制度は廃止に。これで本当にすべてが終わったかのように思えた。
しかし、そんな矢先、東京の居酒屋で働き始めた小春の前にゆずとまどかが現れる。さらにそのタイミングで小春の妊娠が発覚。離婚前日に愛を育んだ龍之介の子供だった。
不安でいっぱいの小春に「私はあんたの味方でいたい」とゆず。小春と同様に不妊に悩んでいたまどかも、複雑な感情を昇華して祝福する。同じ人を愛する故にぶつかることもあったが、だからこそ分かり合えることも多く、次第に不思議な友情が芽生えていた。
小春もまどかも再び伊達家に戻る決意をし、新たな生活が始まる。4人が家族であることの証明はできなくとも、龍之介が言ったように麟之介やこれから生まれているもう一人の子供がみんなを繋いでくれるはず。
未来は前途多難だし、もしかしたら「お前たちの家族は変だ」と誰かに笑われる日が来るかもしれない。それでも世間の正しさに流されることなく、小春のように「幸せだよ」と笑い返してほしい。「ハレ婚。」のラストはそんな未来への願いが込められているように感じた。
(文:苫とり子)
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–{「ハレ婚。」第9話ストーリー}–
「ハレ婚。」第9話ストーリー
龍之介(稲葉友)からの突然のプロポーズで始まった小春(島崎遥香)のハレ婚生活。まどか(浅川梨奈)の離婚、ゆず(柳ゆり菜)の出産、そして、麟之介(佐藤一和)の子育てに追われる中、龍之介が音楽家として成功…家族の環境が変化する中で、まどかの復讐劇(!)もあった。これまで数々の苦難を持ち前の明るさで乗り越えてきた小春だったが、すべての出来事は小春にとって結婚と家族のあり方を考えさせられるものばかりだった。そして、小春がたどり着いた答えは「離婚」――。
小春の気持ちを汲み取った母・直子(宮地雅子)。優しく励ましの言葉を投げかけられると、小春は涙が止まらなくなる。
サインの書かれた離婚届と、外した結婚指輪を龍之介に差し出した小春。納得できない龍之介とゆずだったが、小春の決意は変わることがなかった。そして迎えた最後の日、小春が一人で向かったのは幼い日に龍之介と初めて出会った神社の境内だった。
懐かしい思い出に包まれた小春が思わず「龍…」とこぼれてしまう。するとそこには龍之介の姿が…。小春と龍之介は二人が出会った場所で、夫婦で最後の会話を交わす。そして、小春は伊達家にさよならを告げて家を出ていくのだった。
2ヶ月後、小春は焼肉店でバイトをしながら東京暮らしを始めていた。新しい人生を歩み始めた小春。北つばめ市では、一夫多妻制度の廃止が決定していた。そんなある日、バイト先の焼肉店にやってきたのは…ゆずとまどかだった!?
–{「ハレ婚。」作品情報}–
「ハレ婚。」作品情報
イントロダクション
愛は永遠。
そして、3つある!?
これは、条例により一夫多妻制=「ハレ婚」が認められた町で、
“3人目の妻”となった主人公・小春の
夫・1人目の妻・2人目の妻との
フクザツで不思議な結婚生活を描いたラブコメディである―――。
あらすじ
東京で付き合った男性は全て既婚者。
騙され続け、恋に疲れた前園小春は帰郷するが、父が病に倒れ、経営する喫茶店は借金が返せずに閉店することになってしまった。
しかし、なんとしても店を守りたい小春の前に、伊達龍之介と名乗る謎の男性が現れる。
小春は龍之介から借金を肩代わりする代わりに結婚してほしいと求婚されるが、彼には既に2人の妻がいた!?
なんと故郷の北つばめ市は少子高齢化や過疎化の対策として、日本で唯一の「一夫多妻制(ハーレム婚、通称ハレ婚)」が認められた特区となっていた。
いつか愛する人との結婚を夢見ていた小春は、店を守るために龍之介の“3人目の妻”となることを決意する。 こうして、龍之介、“1人目の妻”のゆず、“2人目の妻”のまどか、そして、小春によるフクザツな結婚生活が始まった―――。
放送日時
ABCテレビ 毎週日曜 23:55~
テレビ神奈川 毎週火曜 23:00~
出演
島崎遥香/稲葉友/浅川梨奈/柳ゆり菜/喜矢武豊/なえなの/宮地雅子/渡辺いっけい
主題歌
『FINAL PIECE』/HYDE(Virgin Music)
原作
NON(構成 手塚だい)
『ハレ婚。』
(講談社「ヤンマガKC」刊)
脚本
山田佳奈
演出
二宮崇
山田佳奈
松嵜由衣
音楽
羽深由理
プロデューサー
中田陽子
松本太一
矢ノ口真実(The icon)
制作協力
The icon
制作著作
ABC