【徹底解説】「30までにとうるさくて」に救われた私たち。

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“30”という年齢に怯えを覚えるようになったのは、いつからだろう。
30までには結婚しなくちゃ。結婚はしてなくとも、結婚を考えられるような彼氏と付き合っておかなくちゃ。

なぜ“30”が基準になっているのかだなんて考える隙もなく迫りくる、名前のつけられない類の不安。
これは「同級生、見渡してみたらみんな結婚してるし」「女性としての賞味期限、もしかしてそろそろやばい?」「子供は欲しいけど、キャリアのタイミング的に今は微妙かも……」「子供を産むなら35までが限界だよね」など、無意識に周囲と比較したり世間一般論に囚われていることから生じる焦燥感からくるものだろう。

ーーこんな考え方は、バカバカしいと感じる。
30だからなに?実りある人生経験とそこから得た引き算が最大限に活きてくるのでは。むしろ、30からが女の本番ですよ。

……と思っている、30になったばかりの著者にとって「30までにとうるさくて」はそれを肯定してくれる、世の中の女性の背中を後押ししてくれる、そんなドラマだった。

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「30までにとうるさくて」後半戦ダイジェスト

ABEMAオリジナルドラマ「30までにとうるさくて」が、世のアラサー女性に波紋を呼んでいる。

遥、花音、詩、恭子。女4人、全員土壇場だった前半戦から、どのような結末に至ったのか。後半戦の物語に沿って振り返っていきたい。

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セックスのせいでキャリアも結婚も失いかけた、遥の場合

例の一件により異動、そして奏多(堀井新太)との別れとドン底まで堕ち、適応障害と診断された(さとうほなみ)は、しばらく休職する事態に。

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この絶妙なタイミングで出会うのが、謎めいた年下トランペッター・悠斗(中川大輔)。公園で落とした本に自身のジャズバーでの演奏会のチケットを挟んで返すという、トレンディドラマのような展開にキュンキュンしてしまう遥。懲りないなぁこの人。まぁ、こんなん誰でもキュンキュンするよね。

しかしある夜、帰宅すると奏多の姿が……!遥の体調を心配して帰ってきたようだ。奏多、いい男すぎる。
トントン拍子で進む関係修復、レス解消、そして結婚までの道のり。あんなに待ち望んでいたはずの結婚、喜ばしいはずなのに、どこか上の空な遥。それは、「本当に結婚していいのか?」という不安からだった。

そして、ウェディングドレスの試着会場で「私やっぱり奏多と結婚できない」と泣き崩れる遥。……ここにきて!と思った方も多いかもしれないが、この状況じゃないとわからないことがある。
ずっと感じていた違和感。その正体に気づくキッカケとなったキーパーソンが、3人いる。

1人目に、年下トランペッター・悠斗
とにかく自分のやりたいことをやり続ける彼。その目には希望しか映っておらず、怖いものなどなにもない。

「自分がどうしたいかが大事なんじゃないですか?」「どうしてそんなに年齢を気にするんですか?」
年下男子にこんなこと言われたらもうタジタジ。はい、仰るとおりですとしか言えない。

2人目に、総務課の上司・コウサカ(安藤聖)。
産後に興味を持った分野で起業することを決意した彼女は、「困ったことがあったときに“もっとこうだったらいいのに”って思うでしょ?そこからヒントを得たんだよね」と意気揚々に語る。仕事と家庭を両立しながら、起業準備までするパワフルさ、並大抵じゃない。

3人目に、岡本家具の担当者・松島(霧島れいか)。
「ニューヨーク支社にいたころから定期的にカウンセリングを受けてるの。いいパフォーマンスのためにメンタルケアをしておくのが向こうでは普通だから」と、メンタルクリニックに通っていることを明かした松島。

精神的な病気は自覚してからだと回復に時間がかかるし、自分自身のサインにも気づきにくい。だからこそ、なにもなくとも通うべきだよね。

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「30までに結婚しなきゃとか、諦めずにキャリアも頑張んなきゃとか、いつも周りに合わせてばっかりで、自分の気持ちにちゃんと向き合えてなかった」

「なにがしたいとか、どうしたいとか、そういうの自分で見つけない限り幸せになれない、奏多のことだって幸せにできない」

心の叫びにようやく気づいた遥は、もっと日本でもメンタルケアが気軽に受けられるようにしたいという思いから、心理学を学ぶためにデンマークへの留学を決心するのであった。

なんとしてでも年収2,000万円の男と結婚したい、花音の場合

年収2,000万円の男と出会うべく奮闘する花音(佐藤玲)の目の前に突如として現れた、上場企業の社長・高村(渋江譲二)。

条件はもちろんのこと彼の穏やかな人柄にも惹かれる花音は、徐々に距離を詰めはじめる。高村も花音に対して気がありそう……と思いきや、「話がある」と花音を食事に誘った理由は「僕と付き合ってくれませんか」ではなく「うちの会社にきませんか」だった。

拍子抜けするも、これ以上のチャンスはないと二つ返事で転職を決める花音。花音に対して恋愛感情はないのかも?と思っていた高村だが、入社後もなにかと構うその姿を見て、やはり下心があるんだと感じる。

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だが、高村には中学三年生の娘・愛梨(豊嶋花)がいた。奥さんは亡くなってしまっているらしい。愛梨、めちゃくちゃいい子だし、訳ありバツイチなわけでもないし全然いいじゃん!……と思いきや、高村と結婚する=自身が中学生の母親になるということに現実味が沸かない様子の花音。

そんな矢先に、高村の社長解任が決定してしまう。「新しく起業する会社についてきてほしい」と高村から誘われるも、同時に後任の新社長・齋藤(佐藤祐基)からも「引き続き秘書を続けてもらいたいと思っています」と声をかけられる花音。しかも齋藤も恋愛対象として花音のことを見ている模様。花音、なんだかんだモテモテじゃん。

「いやいやここは迷わず高村を選ぶでしょう」と思いきや、涙ながらに会社に残る決断をする花音。この展開には正直「えーーーーー!」となった。だが、花音も花音で苦渋の選択だったのだ。

一文無しというわけではないが、社長を退任して理想像ではなくなってしまった高村と“母親になる”というオプション付きで一緒にいられる覚悟まで、花音にはまだなかった。

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しかし、どうしても高村のことが忘れられない花音。最終的には「年収高い男を捕まえるより、年収高い男に育てる方がはやいよね」と、高村と一緒になることを決意するのであった。

同性パートナーシップを結ぶことに決めた、詩の場合

同性パートナー・真琴(中田クルミ)と穏やかな暮らしを送るも、世間体により別れという道を選ばざるを得なくなってしまった(石橋菜津美)。

同意のうえであれば、誰を好きになろうといいじゃん。どうしてLGBT=社会的弱者になってしまうのか、本当にわからない。

「なんで私ばっかり?」「幸せになりたい」……沸々と込み上げる悔しさから、恭子と手掛けるウェディングイベントのコンセプト変更を思い立つ詩。レズビアンというセクシャリティに悩む詩が提案した新コンセプトは、「すべての人が当たり前にウェディングウェアを楽しめる時代へ」という、詩の想いそのものだった。

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イベントにこっそり真琴を招待する恭子たち。時間としてはそんなに経っていないものの、その再会に大いに喜び、詩と真琴の距離は磁石のようにピタッと戻ったのであった。

また、詩パートでほっこりするシーンは、詩と真琴の仲睦まじさだけではない。詩の母(石野真子)との関係性にも注目だ。

その後、本格的に同棲生活をスタートするために物件探しをはじめる2人。だが、ルームシェア前提で探されてしまい、なかなか希望通りの物件が見つからず、またしても普通のカップルとの差を目の当たりにすることに。

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困り果てた2人に手を差し伸べてくれたのは、同じく同性パートナーを持つ不動産屋の室井(前原滉)だった。まるで同志のような室井とすっかり意気投合し、新居では室井カップル含めパーティをするなどして仲が深まっていく。

まだまだ一筋縄ではいかないLGBT事情。多くの壁にぶつかった2人だが、障壁があったからこそお互いの気持ちを再確認することができたのではないかと思う。

妥協ゼロな妊活に励む、恭子の場合

恋愛に興味がない恭子(山崎紘菜)は、子宮腺筋症の発症をキッカケに選択式シングルマザーという生き方を心に決め、妊活をはじめる。

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妊活と言えど、仮にも父親となる男の素性は明確にしておきたい。最も信頼できそうな精子ドナーに依頼するも、なんと経歴詐称が発覚。幸い妊娠はしていなかったものの、騙された心の傷はすぐには癒えない。

一方で、さすがはバリキャリ社長。女性が安全に精子ドナーを見つけられる社会を作るという目標を持ち、新しく事業をはじめることを決意する。いやー、かっこいい。これでこそ恭子!

また、裏でこっそり遥、花音、詩が例の精子ドナーに仕返しをするシーンも胸アツだった。この4人を見ていると、友情の素晴らしさを心底感じるよね。

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選択式シングルマザーという生き方を決心した恭子だが、仲のいい姉・美香子(松本若菜)にはなかなか打ち明けられずにいた。家族だからこそ言い出しにくいことって、ある。

でもやっぱり、家族に隠し事はしたくない。意を決して自身の病気と決意を打ち明けると、美香子は「ひとりじゃないよ」と全方位で包容。Yogiboばりの優しさ……泣ける。

その後、なかなかいい精子ドナーに巡り合えず悶々とする恭子だが、なんと詩の不動産担当者の室井からドナーの申し出が。同性愛者である室井は、「子供を持てないつらさがよくわかるからこそ寄り添いたい、いい関係を築いていきたい」と告白。やっぱり、神様は見てる。恭子の日頃の努力が報われた瞬間だった。

そして月日は流れ…

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個人的に推しなみちる(菊池亜希子)が、なにやらパーティー的なものを開催。遥も無事帰国し、久しぶりに4人での集結。

何事だろうと思って見進めていると、まさかの「離婚式」だった。え、なに離婚式って。みちる、どうやら3回目の結婚生活も終焉となった模様。いよいよ大豆田とわ子じゃん。

「自分の気持ちに正直に生きないとさ、結局相手を不幸にするからね。でもその度に誰かを傷つけてるってことは忘れないようにしないと」

これ、遥が婚約破棄後に言ってたみちるの助言。説得力ありすぎる。

奔放なみちるの姿を見て、「30までにって悩んでた私たちって、なんだったんだろうね」とボソリ。全視聴者「ほんまそれ」。

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自身を救ってくれたセックスセラピストになると決めた、お金が全てじゃないということに気づき愛する人と結ばれた花音、同性パートナーシップを結び真琴と共に歩む、無事妊活が成功しいよいよ選択式シングルマザーとして生きていく恭子

これからも様々な激動や苦難が待ち受けていることは間違いないが、とりあえずは女4人、全員ハッピーエンドだ。

–{周囲に流されず、いつだって自分の気持ちに正直に。}–

周囲に流されず、いつだって自分の気持ちに正直に。

もうね、本当、これに尽きるんです。

女性の悩みの種の90%は「周りを気にしすぎる、比較しすぎる」ことだと思う。もちろん、気持ちよく共存していくための配慮は必要。でも、無理に自分の気持ちを押し殺したり、嘘をつく必要なんてない。一度きりの人生、自分らしく生きていこうよ。

「30までにとうるさくて」は、生きづらい女性たちにとっての希望の光となる、そんな作品だった。

知也の心の声、ダダ漏れ。スピンオフ「結婚してとうるさくて」


「30までにとうるさくて」
が終わってしまった……と、心にポッカリ穴が空いている方も多いはず。
いいえ、まだ終わっていません。スピンオフ「結婚してとうるさくて」を観てこそ完結なのです。

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このスピンオフは、遥、いや、あらゆる女の元凶となった知也(栁俊太郎)目線で描かれた物語。
これを観ればいかに知也がクズ野郎なのかがわかると共に、振り回されているようでいて実は振り回している女性の力強さにも圧倒される。

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1話に登場するお相手は、元欅坂46の今泉佑唯演じる料理上手で家庭的な女・西野まりえ
いかにも男ウケ、といった感じのまりえが仕掛ける結婚アタック、非常に見ものである。

また、これはずーみんが演じることに意味があるのでは?と変に勘ぐってしまったのは内緒。しかし、本作品同様、ずーみんには幸せになってほしい。

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2話に登場するお相手は、山本千尋演じる弁護士として働きながらインフルエンサー業もこなすバリキャリ女子・白石梨沙子
まりえとは180°異なるタイプ。論破王の知也が太刀打ちできなくなるほどの聡明さは非常に爽快だ。

知也みたいな男って、女に困ることはないからと余裕をこいて30代半ばで盛大にこじらせるタイプ。そして気づいたときにはもう遅い、いい女はみーんな結婚してる。知也にもそういう未来が待ってるんだろうな……アーメン。

恋愛リアリティーショーでも、ファンタジーでもないドラマを待ってた。

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「30までにとうるさくて」を企画・プロデュースした藤野良太氏は「20代女性の心に届くドラマをつくろう」と思ったことから制作に至ったと語っている。

もしお会いできる機会があれば、「グサグサ刺さりすぎて窒息死するかと思いました。そして、救われました。(30歳・女性・東京)」とお伝えしたい。

(文:桐本絵梨花)

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