「科捜研の女」第12話レビュー:女優コートを手にしたマリコがとんでもない行動に? “ニーキュッパの女”にも注目!(※ストーリーネタバレあり)

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沢口靖子主演の木曜ミステリー「科捜研の女 season21」が、2021年10月14日(木)より放送スタート。

画像分析やDNA鑑定などの科学技術を駆使し、難解な犯罪捜査に立ち向かう様を描いた本シリーズ。榊マリコ(沢口靖子)の活躍もさることながら、ともに捜査に精を出す刑事・土門薫(内藤剛志)の熱血ぶりも魅力だ。

本記事では、その第12話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。

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「科捜研の女 season21」第12話レビュー

百貨店のオフィスで見つかった女性の遺体。被害者は商品企画部の三宅由莉(篠原真衣)だ。

洋服を定額で借り放題できるサブスク(サブスクリプション)の責任者だったという由莉。これを聞いて「サブの責任者とは?」と聞き返したのは土門(内藤剛志)。以前、「映える=ばえる」だと蒲原(石井一彰)に教えてもらっていたこともあったが、彼はどうにも流行りに疎いらしい。

由莉は、一流ブランド「ミサヤマモト」の48万円の“女優コート”のサブスク利用を可能にした功労者。事件発覚後、この女優コートが一枚現場からなくなっていたのがわかる。殺した犯人が盗んだのだろうか。

遺体から繊維片とベトベトする付着物を見つけたマリコ。鑑定した結果、付着物は接着剤に使われるポリアミド、繊維片は女優コートのものらしいと判明する。

その後、女優コートをめぐるトラブルを抱える女性たちが次々登場。コートを置き引きされ、買取料金の問題で由莉と揉めていた借主の一人・島田茜(大久保桜子)や自身のブランドのサブスク展開に反対していたデザイナーの山本ミサ(藤真利子)らにマリコたちは話を聞く。

さらに、サブスクサービスのポスターモデルである女優・川久保純(桃月なしこ)にも接触するマリコ。しかし、川久保もまた車上荒らしにコートを盗まれていた。

川久保が着ていたものとサブスク用の3着の計4着しかない女優コート。3枚が既に盗まれ、次に狙われるのは残る1枚を着た人物に違いないと気づくマリコたち。土門と蒲原は街中で赤いコートを着た女性(納言・薄幸)を見つけて、もしや?と声をかけるが、女性いわく「いや、女優コートじゃねんだよなあ、これが」。ネットで買ったという彼女のコートは2980円の安物だった。


結局、土門たちは百貨店に調べてもらって借主を見つけ出す。女優コートを借りた顧客は、なんと風丘早月(若村麻由美)だった。案の定、コートを着た風丘はヘルメットをかぶった何者かにコートを奪われそうになる。

風丘が襲われたと知って駆けつけるマリコ。風丘は犯人の足に爪を立てた手を洗いもせず待っていた(手にはおそらく犯人の痕跡が残っている)。このあたり、さすがマリコの長年の盟友だ。

風丘のコートは娘の亜矢(染野有来)がサブスクで選んでくれたもの。その現物を前にしたマリコの口から出た言葉は、もちろん「鑑定させていただけますか?」

その後、マリコは、鑑定=女優コートの縫製をほどいてバラバラにするというとんでもないことをやってのけてしまう。


ほどいてみた結果、コートから遺体に付着していたのと同じポリアミドを含む接着芯が見つかる。そこには山本ミサの筆跡で銀行の口座情報が書かれていた。

弟とお金の件で揉めた際に隠し口座の情報をコートの接着芯に書き込んでいたミサ。相次いだコート盗難は口座情報目当てのものだった。そして、コートを盗んだ犯人はミサが弟と争うのを見ていた一人・川久保のスタイリストの稲葉(奥田ワレタ)。犯人逮捕に役立ったのは風丘の爪から採取した犯人の皮膚組織だ。ただ、稲葉はコートを盗んだことは認めるも殺人については否定した。

稲葉が自供した後、京都府警にやってきたのは茜。まだサブスクの権利があるのでコートを返してほしい……と蒲原に詰め寄るが、コートは既に引き裂かれたと聞かされショックを受ける。

そんな茜を見かねた風丘は一緒にミサの元へ行き、「コートを元に戻してほしい」と頼む。彼との初デートに女優コートを着ていきたい……という茜の想いに心動かされたのか、承諾するミサ。しかし、風丘たちが持ち込んだうちの一着を見た彼女は「うちで仕立てたものじゃない」と気づく。

調べた結果、女優コート以外にも同じミシンをかけた衣装が見つかる。つまり、誰かがサブスクで借りた衣装をほどいて縫いなおしたのだ。おそらくパターンを盗んでコピー用品を作るために。

由莉を殺した犯人は、女優コートのもう一人の借主・菊池江梨花(しまずい花奈)だった。

仲間とブランド物にそっくりな服を作って売っていたという彼女。ブランドの服のラインがなかなか再現できなかったためサブスクで本物を借りてばらしていた。あの日、縫い直しに気づいた由莉から「一流には一流の理由がある」と言われて、怒りのあまりにハンガーで殴ってしまったのだった。

事件解決後、茜は女優コートを着て彼とデート。恋がうまくいきそうな彼女を見守りつつ、「サブスクも悪くないわね」とつぶやくミサとともにマリコと風丘は祝杯をあげた。

今回は、「魔進戦隊キラメイジャー」の敵幹部・ヨドンナ役で知られる桃月なしこや「宇宙戦隊キュウレンジャー」のハミィ/カメレオングリーンを演じた大久保桜子、「ドクターX」の蛭間華子役などでおなじみのベテラン女優・藤真利子など、女性ゲストが多数出演。真っ赤なコートをまとっていつになく艶やかな風丘の姿も見られて、非常に華やかな回となった。

そして、個人的に、激安コートで土門と蒲原を見事に翻弄した“ニーキュッパの女”こと納言・薄幸に今回の着こなし大賞を贈りたいと思う。

(文:田下愛)

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–{「科捜研の女season21」第12話ストーリー}–

「科捜研の女season21」第12話ストーリー

 とある百貨店の商品企画部オフィスで、側頭部を殴打され絶命した女性の遺体が発見される。臨場した榊マリコ(沢口靖子)は被害者の右手から、握られていた繊維片と、なにかベトベトとする謎の付着物を採取。早速、鑑定を始めるのだった。

 一方で、第一発見者である企画部のスタッフに聞き込み捜査をする土門薫刑事(内藤剛志)。被害者は百貨店が推し進める、定額料金で服を借り放題できる“サブスクリプション(=サブスク)”の責任者・三宅由莉(篠原真衣)で、一流ブランド「ミサヤマモト」の《女優コート》なる、3着限定の目玉商品を手掛けた功労者だった。やがて、3着のうちの1着が紛失していることが判明。犯人が奪っていったのだろうか…。

 後日、マリコは、被害者の手についていたベトベトの付着物は接着剤によく使われる成分であること、そして、握っていた繊維片は《女優コート》のものである可能性が高いと分析。彼女はコートの現物を見たがるが、実は被害者と借主・島田茜(大久保桜子)との間で、《女優コート》の置引きをめぐるトラブルが生じていて…。マリコたちは《女優コート》のサンプルがあるかもしれないと、世界的なデザイナーの山本ミサ(藤真利子)のもとを訪れるのだが、彼女もまた、自身の手掛けるブランドをサブスクで手軽に展開されることに猛反対し、被害者とひと悶着があった張本人だった…。

 その後、サブスクサービスのポスターにも登場する女優・川久保純(桃月なしこ)の私物である《女優コート》も窃盗被害に遭っていることを知るマリコたち。連続するコートの窃盗事件に、犯人の次のターゲットも《女優コート》の借主だと予測を立てるが、その“借主”が意外な人物で…!?

–{「科捜研の女 season21」作品情報}–

「科捜研の女 season21」作品情報

出演
沢口靖子/内藤剛志/若村麻由美/風間トオル/金田明夫/齋藤暁/西田健/渡部秀/山本ひかる/石井一彰

脚本
戸田山雅司、櫻井武晴 ほか

主題歌
Tielle『花火』(TL RECORDS)

プロデュース
関 拓也(テレビ朝日)
藤崎絵三(テレビ朝日)、中尾亜由子(東映)、谷中寿成(東映)

監督
田﨑竜太、兼﨑涼介 ほか

制作著作
テレビ朝日