秋元康が企画・原作を務める「ユーチューバーに娘はやらん!」で、佐々木希がテレ東初主演を飾る。
人生最高で最悪な日を過ごしたヒロインはテレビ局員とユーチューバー、どちらを選ぶのか!? 金子ノブアキ、戸塚純貴ら豪華キャストで送るラブコメディ。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
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平千紗(佐々木希)の結婚式当日。父・総一郎(遠藤憲一)の手に引かれながら歩くバージンロード…永遠の愛を誓おうとしたその時、人生最大の悲劇が巻き起こる!?一世一代の晴れ舞台での出来事に母・美恵子(斉藤由貴)、妹・風花(若月佑美)、参列者も大混乱…
全員が呆然とする中、突然2人の男が現れる!1人はハイスペックで安定志向のテレビ局員・榎本信(金子ノブアキ)。もう1人は”好き”を貫く登録者数100万人超えの人気ユーチューバー・タックタック(戸塚純貴)。2人も巻き込んだ前代未聞のありえない披露宴は予想外の結末を、迎えることに―!?
第1話のレビュー
佐々木希を主演に迎えた本作、ユーチューバーとかも出てくるということでドタバタ劇かと推測していたが、初回からまんまと泣かされてしまった。
はじまりはチャペルのシーン。
純白のウエディングドレスに身を包んだ千紗(佐々木希)が、とんでもなくかわいい。ヴァージンロードを歩く前から号泣している父・総一郎(遠藤憲一)も含めて、まるっとかわいい。
千紗や家族にとって、今日が人生で最高の日……
と、なるはずが、新郎新婦が誓いのキスをしようとしたその瞬間、1人の男性が勢いよく入って来る。なんだなんだとざわつく参列者たち。
なんとその男性、千紗ではなく、新郎の竜二(細田善彦)を迎えに来たらしい。ほとんど躊躇う素振りもなく、男性と手を取り合ってチャペルを出て行く竜二。映画やドラマで観たことはあるものの、ここでこの展開か……と、開いた口が塞がらない。
取り残されてしまった千紗は、この後に控えている披露宴を、やるのか? やらないのか? 選択を迫られる。家族会議では結構みんながマイペースだ。
個人的には「進行表を食べても何も解決しないわよ」と落ち着き払ってお茶を飲んでいる母・美恵子(斉藤由貴)がツボ。これくらい肝の据わった人間に、わたしもなりたい。
結局、わたしは何も悪いことしてないのだから、と1人で披露宴に臨むことを決めた千紗。かっこよすぎる。
娘だけを矢面に立たせられない、と司会を買って出る総一郎、今井美樹の「PRIDE」を歌うと言い出す美恵子。
さらに、妹・風花(若月佑美)の思いつきで、人気ユーチューバーのタックタック(戸塚純貴)に動画を作ってもらうことを依頼。タックタックは引き受ける条件として、制作した動画を自身のチャンネルで流すと言いはじめる。竜二の上司であるテレビ局員の榎本(金子ノブアキ)もフロア回しをすると名乗り出て……もう、なんでもござれ状態だ。
かくしてはじまった披露宴、最初こそ花嫁のみという前代未聞の光景に戸惑いも見られたが、なんだか空気があったかい。
その理由が分かったのが、最後の締めとしてタックタックの編集した動画が流れたときだ。
動画は2人の馴れ初めにはじまり(竜二のコメントに対する千紗のツッコミがいい)、チャペルでの衝撃シーンへ。なぜ新郎がいないのか知らされていなかった披露宴からの列席者たちがどよめく。
最後は、結婚する千紗へ向けた家族からのコメント。「竜二の罪深さが分かるはず」としつつも、途中ツッコミを入れるタックタックの編集スキルが素晴らしく、これが泣けるのだ。千紗がどれほど家族に愛されているのかがよく分かる。そして、だからこそこの披露宴は空気があったかかったのだと気付かされる。
千紗の締めの挨拶もよかった。
「裏切られた悲しみよりも、世間体というか皆さんのほうが気になってしまいました」
「こんなダメダメな披露宴でも、こんなにも大勢の方が一緒のときを過ごしてくださったことに感謝しかありません」
「皆さんのような世間なら、これからずーっと気にしていたいと思いました」
例え披露宴がそれなりに上手く行ったとて、この状況でこの言葉が言えるヒロイン、めちゃくちゃ推せる。
お開きとなった後、やっぱりそれなりに傷ついている千紗(当たり前だ)。
ウエディングプランナーから、「3ヶ月後の仏滅の日なら、無料で式を挙げられますよ」と提案を受けるも、千紗は「竜二と戻ることはないから」と辞退する(もっと当たり前だ)。
すると、その場に居合わせ、なぜかナチュラルに高砂の新郎席に座っている榎本が、「それは別の相手でもいいんですよね?」と問う。そういう目標があったほうが、明日からがんばれるのではないか、と。
続けて、「もう次の相手に出会っているかも」とつぶやく榎本。なんだなんだ、完全に千紗のこと狙いに来てるじゃないか……!
そんな空気に割って入ってきたのがタックタック。動画を回しながらやってきた彼は、「僕と付き合ってください!」と千紗にまっすぐに告白をする。榎本も勢い余って、千紗に告白をしてしまう。
空気作りをして“好き”をほのめかすというトレンディドラマみたいな手法を駆使するテレビ局員=榎本と、全部の段階をすっ飛ばして“好き”をぶつけるというドッキリみたいなことをするユーチューバー=タックタックの対比が面白い。
一生を懸けられる愛をなくしたと思ったら、突如2人から言い寄られた千紗。果たして、これからどうなるのか!? 皆さん、これは見逃せないドラマが始まりましたよ……!
※この記事は「ユーチューバーに娘はやらん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
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衝撃的な”ソロ披露宴”を終えた翌日。タックタック(戸塚純貴)と榎本信(金子ノブアキ)から告白を受け、”式場が無料で使える90日後までに新たな相手を見つける”という目標を掲げる千紗(佐々木希)は、新婚旅行に行くはずだったこの日もいつも通り会社へ行くことに。だがそれを知った同僚たちは、どうリアクションするべきか困惑。出社した千紗は自虐的に立ち振る舞うが、逆に周囲に気を使わせる状況に陥ってしまう。
一方、式の映像をYouTubeで公開すると宣言していたタックタックのチャンネルには、まだ動画がアップされていない。既に編集は終わっているのに、理由をつけては手直ししようとするタックタック。千紗のことを思い、公開をためらい始めているのだ。ライバルの榎本はというと、YouTubeの企画をマネようとするADたちに激怒。「まだまだオワコンじゃねぇぞ!」…そんなユーチューバーへの敵意は明らかにタックタックに向けられていて――。
奇妙な三角関係が徐々に熱を帯びる中、千紗が企画した「ご褒美ブラ」が全く売れず、店から商品を撤去したとの連絡が入るが…
第2話のレビュー
新郎に逃げられた花嫁として腫れ物のように扱われたくないからと、前代未聞のソロ披露宴を決行した千紗(佐々木希)。
ところが一夜明けて出社してみると、千紗の同僚たちはずいぶんと気まずそうだ。
そんな状況の中で、例え自虐だとしても「新郎の次はスマホに逃げられたかと思ったわ~」と言えちゃう千紗がちょっと異常なのだ。いや、頼もしいんだけど。
この頼もしさは、千紗の両親由来のものだった。
千紗が仕事を終えて帰宅すると、ハワイアンな服装に身を包んだ家族が迎えてくれる。食卓にもたくさんのハワイ料理が並ぶ。本来だったらハネムーンでハワイに行っていたはずの千紗のためにと用意したものらしい。
いや、なんか違くない? 傷えぐらない?? とツッコんだものの、千紗も別に腹を立てる風でもない。
そうか、もしかしたら、これくらいゆるく、軽く、空気を読まずにいるほうがお互いにとって楽なのかもしれない。わたしは色んなことを深刻にとらえすぎているのかも……。
そんな学びを得たとき、今度は仕事で受難が。どうやら千紗が企画した“ご褒美ブラ”という商品の売り上げが芳しくないらしい。
店頭から回収した商品やポップを抱えて落ち込む千紗の前に、ユーチューバーのタックタック(戸塚純貴)が偶然現れる。彼は千紗のソロ披露宴のために急遽作った動画を、自身のチャンネルに上げていなかった。
披露宴の後、半ば勢い任せに見える告白をかましたタックタック。どうやらその気持ちは本物らしく、動画を公開することを躊躇していた。
そして、「やっぱりあなたのこと好きになっちゃいました」と2度目の告白をする。素直に言葉をぶつけられたことで、満更でもなさそうな千紗。
一方、ライバルのTV屋・榎本(金子ノブアキ)も黙っちゃいない。千紗に電話をし、皿割りバーへと誘う。
逃げて行った新郎への暴言を吐きながら、皿を投げ、割っていく。こんなお店があるのか。ちょっと行ってみたい。
ストレスを発散させてあげて、仕事の話も聞いてあげる榎本。
タックタックは“ご褒美ブラ”の件を知り、「いい企画だと思うなら諦めちゃダメ」「やりたいことをやるべき」と言っていたが、千紗と同じく会社員である榎本は「会社勤めの人間がやりたいことをやるのは難しい」と理解を示す。
ここでの共感って、慰めの言葉よりもうれしいときがある。これは榎本、1歩リードか……?
帰り道、千紗をつける怪しい影。一瞬タックタックかと思ったが、なんと相手は元新郎の竜二(細田善彦)だった。正直、どのツラ下げてきたの? である。しかも、この期に及んで千紗に「大丈夫?」などと宣う。正気の沙汰じゃない。
それでも会話を重ね、2人の間のわだかまりは溶けていったようだ。披露宴の挨拶でも言っていたが、千紗は竜二本人にも「幸せを願ってる」と伝えることができた。最高にいい女では……?
さらに別れ際、「最後にぎゅっとして」と竜二に近づく。いじらしくて、かわいい。この作品の佐々木希、いつも以上にかわいく見える。
竜二とのことも落ち着き、榎本優勢で2話が終わる……
かと思いきや、翌朝、千紗は1本の電話で起こされる。なんと、“ご褒美ブラ”に注文が殺到しているという。
きっかけは、タックタックが紹介動画を上げたこと。その動画の中で、この商品の営業担当の女性に恋をしていると勝手に公言したタックタック。
商品が売れるのはうれしいけど、この動画での公開告白は、正直ちょっと迷惑だ……。
千紗はこれをどう受け止めるのか? そして、千紗、タックタック、榎本の三角関係はどんな展開を見せていくのか?
個人的には、落ち着いているし押しつけがましくないし、今のところは榎本推しだが……予想のできない攻撃を仕掛けてくるタックタックに、心を鷲掴みにされる日がきそうな気もしている。これからはじまるだろう金子ノブアキ vs 戸塚純貴によるキュン対決、期待したい。
※この記事は「ユーチューバーに娘はやらん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
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平千紗(佐々木希)は占いで「水色のカードが未来を左右する」と告げられ驚く。それは同窓会の招待状が水色だったからだ。総一郎(遠藤憲一)が不安になる中、風花(若月佑美)の後押しもあり同窓会へ向かう千紗。
待っていたのは運命の人ではなく、女性同士のマウンティングや自分だけ取り残されている現実であった。疲弊して家に帰るとなぜか食卓にタックタック(戸塚純貴)の姿が!?
総一郎VSタックタックの戦いが今、始まる!
第3話のレビュー
動画がきっかけで自分の手掛ける商品がバカ売れしたからだろう、タックタックチャンネルを夜な夜な見ちゃう千紗(佐々木希)。布団にくるまって、深夜になっても止まらなくなるの、めちゃくちゃ分かる……。
しかも千紗は、動画に影響されて“肉まんワッフル”まで作ってしまう。ぶっ倒れるくらい美味しいみたいだから、わたしも今度やってみようと思った。
そんな折、千紗は妹の風花(若月佑美)に連れられて占い師のもとへ。そこで、「水色のカード」「小さくて丸くてとげとげしたもの」が鍵だというお告げをもらう。同窓会の招待状が、まさに水色のカードだった。
そのことを知った平家は、同窓会に向けたファッションショーを開催する。今日も張り切って平和だ。美恵子(斉藤由貴)プロデュースによるジュリアナ東京風、風花によるキャバ嬢風、総一郎(遠藤憲一)によるパスポートセンター職員風、大吾(白石絃馬)による名探偵コナン風。仮装大会やハロウィンと勘違いしていない……? しかし、それなりに全部着こなしちゃう佐々木希がさすが。なんだか貴重なものを見た気分だった。
同窓会には淡いイエローのシャツワンピースを着て行った千紗(とても似合っていた)。
仕事で海外にいると嘘のテレビ電話をしてくる奴がいたり、陰キャからキャラ変してちょっとめんどくさくなっている奴がいたり。結婚している・していないで見えない境界線ができていたり、お土産によるマウント合戦をしたり。分かる分かる、同窓会って、こういうのが儀式みたいに存在するんだよね……。
その場の“可哀想な子”代表と化していた千紗。トイレから戻ろうとすると、店内に別件できていた榎本(金子ノブアキ)の姿を見つける。千紗に声を掛けられたときの榎本の顔がとろけきっていて、感情がダダ洩れている。金子ノブアキって一見すると強面なのに、こういうところがずるい。
榎本は同窓会について話す千紗を、それとなく励ます。「根性がある」と褒められた千紗は、「家族や皆さんのお陰です」と謙遜。すると、謙虚さについても褒める。大人の対応だなぁと染みた。
千紗が同窓会から帰宅すると、なぜか家族とともに食卓を囲むタックタック(戸塚純貴)。大吾が誘ったらしい。総一郎は頑なに「ユーチューバーに娘はやらん!」を繰り返していた。
それでも食卓は大盛り上がりで(タックタック、月1000万も稼いでるとは。夢がある……)、途中、切れてしまったビールを買い足しに行くことになった千紗とタックタック。机の上に置かれた瓶ビールの蓋を見て、千紗は「小さくて丸くてとげとげしたもの」を思い出していた。
話題はタックタックがユーチューバーになった理由へ。彼は就職のために雪国からたった1人で上京してきたらしい。最初のころは動画を投稿しても再生回数は振るわなかったが、「どこかで誰かが見てくれる、それだけでうれしかった」という。
そこから、気付けば100万人以上のチャンネル登録者数を誇る人気ユーチューバーにまで登り詰めたタックタック。「挑戦した人だけが最高の人生を送れるって思うんです」という言葉は、千紗のみならず、多くの視聴者の胸にも突き刺さったのではないだろうか。
千紗は、そんな風になれて羨ましい、と口にするが、「自分が最高だって思えたら、それはもう最高の人生」「じたばたすればいい」「千紗さんの未来も絶対変えられます」とタックタック。その瞳は、びっくりするくらいまっすぐで力強い。これには千紗も心を動かされているはず。
その夜もまたタックタックの動画を見る千紗。探していたのは、タックタックが初期のころに投稿していたという“弾き語り動画”。本人は黒歴史だからすべて消したと言っていたが、動画が見つかる。下手くそな歌の背後には「目指せ100万人」の文字が……。よくも悪くも背景や人となりが見えづらかったタックタックだったが、目標を持ってひたむきにユーチューブに取り組んできたことがうかがい知れる。このギャップ、めちゃくちゃいい。千紗・タックタックの恋が急発進しちゃうのか!?
……と、思いきや、どうやら千紗が昔、落ち込んでいたときに救われたというテレビ番組を作ったのが榎本らしいことを匂わせる演出が。
水色のカードに導かれて励ましの言葉をくれた榎本か、小さくて丸くてとげとげしたものに導かれて意外な一面を知ったタックタックか。千紗の運命を左右するのは、果たしてどっちだ。
※この記事は「ユーチューバーに娘はやらん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
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平千紗(佐々木希)が企画した商品に大口契約の依頼が。早速行なわれた打ち合わせで、千紗の思いを知った担当者・野口洋之(平原テツ)は正式契約を決める。一方、自宅ではひょんなことから総一郎(遠藤憲一)、風花(若月佑美)らが勝手に榎本信(金子ノブアキ)タックタック(戸塚純貴)、それぞれと同じ日に食事をする約束を取り付け、千紗はハシゴデートをすることに。
こうして仕事も恋も動き始めたかのように見えたのだが…。
第4話のレビュー
千紗(佐々木希)の企画した商品に、藤松屋から大口契約の話が舞い込む。早速先方へ赴き、商品についての思いを語る千紗。向こうの専務がほとんど口を開かなかったのが気になったが、話はまとまり、無事契約にこぎつける。
そんな折、タックタック(戸塚純貴)から千紗へ、ランチのお誘いが。家族の計らい(?)で、千紗はタックタック→榎本(金子ノブアキ)と連続デートをすることになった。このデートが、対照的でちょっと面白い。
先攻はランチの部・タックタック。
河川敷のような場所で集合すると、タックタックはおもむろにレジャーシートを敷きはじめる。するとそこへ、デリバリーで牛丼が届く。寒空の下ではあるけれど、並んで外で食べる牛丼、これはこれでアリかも。ただ、食べながら新しい動画の企画が浮かび仲間に連絡するなど忙しないし、食べ終わったら即解散というのも味気ない。
後攻、ディナーの部・榎本。
こちらはドレスコードがありそうな高級レストランで、1番高い3万円のコースをオーダー。食事を楽しみつつ、フォアグラの産地にまつわるうんちくなんかも披露してくれる。実はこれ、スマホを使ってカンニングしていたわけだけど、その背伸びをしている感じが逆にいいかも、と思った。お会計でがっつり値切ろうとしてたのはあまり見たくなかったけど。
徹底的に合理的なユーチューバーと、もてなしてくれるけどちょっと残念なTVマン。極端に異なるデートに「どっちもどっち」となる千紗と平家の面々。
結論は出ないながらも、千紗、仕事も恋も順調では……? と思ったのも束の間、藤松屋から契約破棄の連絡が入る。理由は、「その下着が、女を強くする」というキャッチコピーと、あえて下着を見せないビジュアルが、炎上の恐れアリと判断されたためだった。
「がんばってればいいことある」と捉えていた千紗にとって、これは結構堪えたようだ。家の近所で遭遇したタックタックが、すぐに「何かありましたか?」と気付くほどには落ち込んでいた。
事の顛末を話す千紗に、「それがいいと思ったなら変えちゃダメ」「炎上を恐れてたら何もできなくなる」「炎上してもそれだけの人が見てくれてるってこと」……と、力強い言葉を送るタックタック。だが、千紗にはその言葉があまり刺さっていないようだった。
その夜、千紗は榎本に電話で相談を持ち掛ける(「千紗さんから電話いただけるなんてびっくりですよ」と膝を曲げる金子ノブアキがかわいかった)。榎本は会社員として、これまで吞み込まざるを得なかった数々の理不尽を、冗談めかして話す。傷の舐め合いをしたいわけではもちろんないけれど、こういう共感って、落ち込んでいるときには励みになるものだ。実際、千紗の顔も少しだが明るくなったように見えた。
さらに榎本は「いろんな人の意見を聞いてもいいけど、核だけは譲らない」「クリエイターが核までぶらしたら、作品は死ぬ」と、アドバイスを送ることも忘れなかった。
この言葉にヒントを得た千紗は、こだわってつけたキャッチコピーはそのままに、ポスターのビジュアルを大幅に変更、再び藤松屋へ乗り込む。これが千紗の思いをより強く訴えかけることへと繋がり、ここまで無口だった専務の心を動かすことに成功した。規模こそ縮小したものの、契約破棄は免れた。
お仕事ドラマとしても見応え十分、これだけでも満足かに思われたが、最後に急展開。なんと、千紗の通勤路で榎本が待ち伏せしており、突然「僕の婚約者になってください」と申し出たのだ。この決意の背景には、かつて榎本が担当し、千紗を救ったという番組が関わっていそうだが……。
来週は特別編ということなので、物語は1週空きとなる。急なプロポーズを受けて千紗がどんな反応を見せるのか……、うーん、気になる!!!
※この記事は「ユーチューバーに娘はやらん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
「僕の婚約者になって下さい!」榎本信(金子ノブアキ)からの告白に驚く平千紗(佐々木希)。真相は「結婚相手がいる」と嘘をついてしまい、1日だけ婚約者のフリをして母に会って欲しいというお願いだった。
思わぬ依頼を引き受けるべきか悩むが、風花(若月佑美)らに勧められ協力することに。ところがクセの強い母・優子(鷲尾真知子)がなかなか手強い相手で…。果たして最後まで嘘をつき通すことはできるのか?タックタック(戸塚純貴)は憧れの人気ユーチューバーとSPコラボ!
第5話のレビュー
前回、榎本(金子ノブアキ)が言った「僕の婚約者になってください」……
あれはプロポーズではなく、婚約者のフリをして欲しいということだった。榎本は、早く結婚しろと急かす母に辟易し、思わず婚約者がいると嘘をついてしまったらしい。それを聞いた母が、相手に会うべく急遽上京することになったのだった。
急展開!? と期待していただけに拍子抜けではあったが、思わぬ形で心揺さぶられる回となった。
親を騙すことに加担していいのだろうかと悩む千紗(佐々木希)に対し、風花(若月佑美)と母(斉藤由貴)はなんだか楽しそう。
余談だが、これまで個人的にクールビューティーなイメージの強かった若月佑美が、元ヤンのシンママ役がハマっていて感動している。ノリがいい、なのに上滑りしている感じは全くない。この人、めちゃくちゃ演技上手い……。改めて他の出演作も見返したいと思った。
話を戻して。
「普段よくしてもらってるんだから」という風花の後押しもあり、結局榎本に協力することにした千紗。ミスターフォアグラテレビマン(=榎本)、想像以上の豪邸に住んでいてちょっとびっくり。
2人の出会いは……なんて設定を決めようかというタイミングで、予定よりも早く母・優子(鷲尾真知子)が登場。この人、家に入るや否や身体が冷えたからとお風呂に入るなど、初っ端から飛ばしまくる。そんな母を置いて、榎本はトラブルのため仕事へ行ってしまう。
普通に考えて、婚約者のフリをしている相手の母と2人きりにさせられるなんて地獄だ。
挙句の果てに優子は、榎本の職場であるテレビ局にまで乗り込んできた。こっちもこっちで地獄。これでもかと目を見開いて驚愕するコミカルな金子ノブアキ、めちゃくちゃいい。
ここまではコメディ間満載の展開だったが、優子が働く榎本を見たあたりから、急に空気が変わり始める。
榎本が現場を回している様子に、誇らしげな表情を浮かべる優子。さらに、「信(榎本)がいないと現場が困る」とうれしそうだ。
これを見ていてこみ上げてくるものがあった。自分も、親にそんな風に思ってもらえる仕事ができているだろうか……。できていたらいいな。
千紗と優子が作った料理を、いい雰囲気のままつつく3人。すっかり打ち解けた様子が微笑ましい。だが、楽しい時間はあっという間で、優子が帰宅する時間になってしまった。
別れ際、優子は千紗が嘘の婚約者だと見抜いていたことを明かし、それでも「あんたの人生だもんね」と理解を示す。やり甲斐のある仕事に打ち込む榎本を見て、“仕事ばかりじゃなく結婚してほしい”という思いも変化したようだ。
さらに千紗にも、「白馬の王子様なんて来ない。育てればいいんだよ、自分なりの王子様を」と名言を残した優子。結婚式で新郎に逃げられ、ユーチューバーとテレビマンから好意を寄せられている千紗、そして、恋とか結婚って何なんだろう? と思い悩む人にとっても、とっかかりになりそうな言葉だ。
優子を見送り、家に戻った千紗と榎本。婚約者同士のフリをすることで、結婚がどんなものなのかを疑似体験したようだった。それは決して特別なことではなく、例えば通販で何を買ったのかを報告するような取るに足らないもの、そばにいていいよと認められる安心感。
最後に「安心のために結婚する人の気持ちがちょっとだけ分かった」という千紗の心の声があったが……果たして、この一件は千紗の今後に何か影響を与えるのだろうか。
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–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
平千紗(佐々木希)のもとに「大吾(白石絃馬)が帰ってこない」との連絡が。風花(若月佑美)と駆け付けたタックタック(戸塚純貴)は大吾を探し始めるが…。
そんな中、平家では手作りチョコの出来栄えやシチュエーションで勝負する「バレンタイン選手権」が開催される。榎本(金子ノブアキ)?タックタック?千紗はどちらにバレンタインチョコを渡すのか!?
さらに”お菓子の家”で突然のキス?恋の三角関係に急展開…!
第6話のレビュー
千紗(佐々木希)のところに、大吾(白石絃馬)がいなくなったと連絡が入る。平家総出で探すが、大吾の姿はどこにもない。風花(若月佑美)は、大吾の行きそうな場所に心当たりもないようだった。大吾の友達……ということで、千紗からの電話を受けたタックタック(戸塚純貴)は、動画撮影の真っ最中にもかかわらず、捜索に駆け付ける。
すると、あっさり公園で発見された大吾。彼女のリコーダーの練習に付き合っていただけだったらしい。なんとも人騒がせだが、無事で何より。
大吾のお父さんについてタックタックが尋ねると、学生時代に妊娠が発覚し、それを知って逃げてしまった、と風花。大吾がいつもかけている眼鏡は伊達眼鏡で、父親のものだということも明らかになった。
逃げてしまった父親、女手一つで子育てをする風花。「女だから、できないこともある」と言った表情はたしかに少し影があったように感じたのだが、タックタックが「風花さんだけこんな(大変な思い)……」と言いかけると、「こんなに幸せでいいのか」と風花は食い気味に言った。
風花にとって、今の状況は大変な場面もあろうが、愛おしい我が子を独り占めしている状態でもあるのだ。まさに、母は強しといったところか。
タックタックはその後、積極的に大吾と過ごすようになる。大吾を持ち上げたり、追いかけっこをしたり。親子のような兄弟のような2人のやりとりに、心が温かくなった。
そんな中で迎えたバレンタイン。千紗は榎本(金子ノブアキ)とタックタックに義理チョコを贈る。その際、手紙を反対にするというまさかのミスにより、榎本とタックタックは千紗と相手が今どんな状況なのかを知ることとなる。
タックタックが受け取った榎本宛ての手紙には「お邪魔しました」「婚約者ごっこ」と、なかなかのパワーワードが記されていた。焦ったタックタックは、千紗と風花、大吾をお菓子の家作りに誘い出す。
みんなで顔にクリームやチョコをつけながら、デコレーションする様子はものすごく楽しそう。無邪気なタックタック、いい。
大吾と2人きりになった折、「お父さんに会いたいって思う?」と尋ねるタックタック。「ちょっと会ってみたい気もするけど……」と言いよどむ大吾に、タックタックは「大吾は幸せだと思うよ。みんなの愛情を独り占めにしてんだから」と優しく諭す。
それを聞いた大吾は、笑顔で「あと果乃ちゃんもね」と付け足す。風花や千紗をはじめとする平家のみんなからの愛情が、大吾にはちゃんと伝わっている。「お父さんも幸せだといいな」と呟く大吾が、このままどうか幸せであれと願わずにはいられない。
片づけを終え、温かいコーヒーを持ってタックタックのもとへやって来る千紗。するとタックタックは、自身も母子家庭で育ったこと、母親の人生の負担になっていたんじゃないかと思っていたことを語りはじめる。大吾に、自分の過去を重ねて見ていたのだ。
「でも千紗さんの家族見てたら、子どもの頃の自分が救われた気がした」
自由で無邪気でちょっと何を考えてるか分からないところがあったタックタックだが、今回でぐっと内側が垣間見えたような気がした。ちょっと物事を俯瞰しているところがあるから冷たく感じることもあるが、基本的にこの人は優しい。大事な人に対しては、特に。
平家の家族愛にほっこりし、タックタックが千紗に惹かれるのは必然なのかも……なんてことを考えていたら、お菓子の家を食べていた2人が急に見つめ合い、無言のままキス!? これは急展開。その後、放心状態のままぎこちなくお菓子を食べ続ける2人がとんでもなくかわいかった。
これはもう、ユーチューバーに娘をやることになるのか? と思っていたところで、次週予告に黒船=竹財輝之助が登場。ああ、まだまだひとつふたつ、いや、それ以上の波乱が待っていそうだ。
※この記事は「ユーチューバーに娘はやらん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
榎本信(金子ノブアキ)は、ある男に「社会人の先輩から色々教えて欲しい」と声を掛けられる。上機嫌に先輩風を吹かせるが、正体は世界的動画配信会社「ゲットフリック」の日本統括・上条修(竹財輝之助)だった。しかも榎本の番組を自社制作で配信したいと提案してきて…。
一方タックタック(戸塚純貴)の行動にモヤモヤしていた平千紗(佐々木希)は、なぜか上条とデートをすることに!? 榎本とタックタックは愛する人を守れるか!?
第7話のレビュー
「社会人の先輩からいろいろと教えていただきたくて」。
信じられないくらいのキラキラ笑顔で現れる上条、もとい竹財輝之助…
そんな上条にノセられ、榎本(金子ノブアキ)は先輩面して仕事論を語り、羽振りまでよくなっている。こういう酔っ払いって面倒ではあるけど、これもストレス発散なのかなと思うと、ちょっとかわいく見えてきた。いや、金子ノブアキだからかも。
後日分かったことだが、実は上条は「GETFLICK」の日本統括だった(某Netflixのことで、つまるところめちゃくちゃお仕事がデキる)。
そんな上条、ひょんなことから千紗と出会い、平家へ。愛想がいいと言おうか、お世辞が上手いと言おうか、とにかく家族みんなを褒めちぎる上条に気をよくする平家の人々(この調子のよさ、大好きだ)。
もてなしを受ける中で、上条は千紗が1人でウエディングをあげたことを知り、デートに誘う。迷っていた千紗だったが、母に背中を押されてデートへ行くことに(黄色いニットかわいい)。
大吾(白石絃馬)から連絡を受けたタックタック(戸塚純貴)は、榎本と共にデートを偵察。停戦協定を結び、1つの新聞に仲良く隠れるの、なんかすごくよかった。
予想に違わず、水族館で完璧なエスコートを見せる上条。ショーの時間とかも調べてくれるし、近くの人の写真をさりげなく撮り自分達も撮ってもらう。知識もある。出来過ぎで、もはや千紗は上条を世界の珍獣扱いする始末。
でも千紗は、端々でタックタックや榎本とのデートを思い出していた。何で今こんなことを……? と思っているようだったけど、でも、もうきっとそれが答えだよ、と耳打ちしたくなった。
デートの終盤、上条は千紗にプロポーズをする。一瞬、逡巡する千紗だったが……
「千紗さんにはもう素敵な人がいるようですね」と上条。千紗の気持ちにも、デートをずっと監視している人たちがいることも気付かれていた。物事を俯瞰で見られる余裕、視野の広さまであっぱれだ。
テンプレートとして完璧なデートというものは、たしかにある。でも、それはあくまでテンプレであって、自分サイズの“楽しい”があるのだということが、千紗と上条のデートを見ていてよく分かる。
千紗にとってはつまり、原っぱで突然牛丼を食べだしたり、高級店で領収書をもらったりするような、ちょっと欠陥があるデートのほうが楽しく、愛おしかった。
それにしても、完璧な男を演じるのに、竹財輝之助ほどぴったりの俳優はいない。ともすれば白々しくすらなってしまいそうなお世辞も、竹財が言うと好感しかない。
シンガポールで、上条にいい人が見つかりますように。
※この記事は「ユーチューバーに娘はやらん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
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「僕と正式にお付き合いして下さい」とタックタック(戸塚純貴)に再び告白された千紗(佐々木希)。だが「付き合うためには情報が欲しい」と答えを濁す。
そこでタックタックは千紗を撮影部屋に招くが、考え方の違いが浮き彫りに。さらに千紗は風花(若月佑美)から「恋愛から逃げてるだけだ」と指摘される。
そして、榎本(金子ノブアキ)にも衝撃の事実が発覚し…。結婚とは?自分はどうしたいのか?千紗がたどり着いた答えとは――
第8話のレビュー
タックタック(戸塚純貴)から改めて告白された千紗(佐々木希)は、タックタックのことを知るべく撮影部屋へ。タピオカを流しそうめんで流してみるという企画を撮影する中、企画をぶっ潰す提案をしちゃうところが千紗らしい。
タックタックへの恋愛感情を自覚していたわけではなかったのに、ミカジャン(上原実矩)との距離の近さに妬き、おや? となる千紗。
ところが、タックタックが千紗との将来プランを描いていないという壁にぶち当たる。
お互いが思い描く未来がどの程度交わるのか考えちゃう千紗と、いま一緒にいたいから付き合いたいタックタック。だったら千紗から自分の描いている未来を話してもいいのに。今の言い方じゃ、タックタックに未来を丸投げしてないかな……?
プロフィールも提出しないし、未来のこともプレゼンしない人とは付き合えないと千紗は言うが、それはタックタックにしてみれば“逃げ”だった。
千紗が帰宅すると幼馴染の佐藤(栗山英宜)が婚活パーティーに参加したことで話題が持ちきりに。今更だけど、この人本当にずっとこの家にいるな。
この人はここがよくなかった、この人にはこう言ったら嫌われてしまった……と話す佐藤と、それに共感する千紗を見た風花(若月佑美)は、「結局2人とも選びたくなさそう。逃げてるだけ」と言われる。
たしかに、こういうときって、どうしても欠点や自分と合わなそうなポイントばかりを見てしまいがちだ。佐藤のコメントに筆者も千紗と一緒になって共感してしまっていたので、風花の言葉にはっと我に返った。「100点の人間なんていない、人間なんて結局みんな50点」、なるほど、自分にぴったり合った人を探そうなんて、土台無理な話なのだ。
ある日、平家の人々は千紗の会社で開催された家族交流のためのアフタヌーンティーパーティーに参加。
そこで、千紗は色んな形の夫婦を目にすることになる。
どこにいても仲睦まじい美恵子(斉藤由貴)と総一郎(遠藤憲一)は一旦置いておいて、そろって参加しているものの一切目を合わさない部長(陽月華)夫婦、ほかの参加者と会話しつつLINEで言い合いをしているあかり(三戸なつめ)夫婦……。こういう場面に出くわすと、この人たち何で結婚したんだろう? きっとこうなるとは思ってなかったはずだよね、とたしかに筆者もいつも思う。
さっきまで仲がいいとは言い難かったそれぞれの夫婦だが、妻は夫のことをよく理解しているし、結局最後は連れ立って楽しそうに帰っていく。
ひと口に夫婦と言っても、色んな形があって、それぞれの距離感がある。傍目からは分からない、それぞれなりの”フィット感”があるのだろう。
結婚しようと思ったとき、この人となら一生一緒にいられるという確信を持つのはきっと難しい。だからこそ、「勢いじゃないと決められない」とあかりは言った。
なんやかんや理由をつけて選ぼうとしていなかっただけだと気付いた千紗は、勢いをつけてタックタックをデートに誘う。無邪気に喜んでいるタックタックがかわいかった。
そんな折、榎本(金子ノブアキ)が過労で倒れてしまう。たまたま連絡を取っていた千紗は、看病しに行くことに。
忙しすぎて荒れ放題の部屋をせっせと片付ける千紗。中身の入ったままのスーツケースは、できればまだ棚には入れて欲しくないな……なんて思っていたら、雪崩を起こした荷物の中から、好きな番組のDVDが発見される。
「これ作ったの榎本さんなんですか!?」と大きな目をキラッキラに輝かせる千紗(佐々木希さん、本当に目がくりくりしてて素敵)。
……が、「その話はしたくない」と榎本。なんと、ドキュメンタリーの撮影中に、取材をしていたランナーは病気に負けて走るのを辞めてしまったものの、編集して放送したらしい。
嘘っぱちのドキュメンタリーだと言い、榎本はDVDを割ってしまう。千紗には忘れてくださいと言い、自身には「忘れちゃいけない」と言い聞かせるように泣く榎本は見たことがないくらい弱々しい。そんな榎本を、千紗は「わたしがこれで救われたのは本当」と、思わず抱き締める。
その頃、タックタックはデートをすべく、千紗を待っていた……。
さて、これは難しい局面だ……!
そもそも、わりとすんなりタックタックとの距離を縮めにいった千紗に対し、ちょっともう1回だけタックタックか榎本か吟味しようか? と思っていた。
どちらも千紗にとって完璧ではないかもしれないが、魅力的であることはたしかだ。千紗がどういう選択をするのか、その理由も含めて、独身アラサーである筆者にとって、ますます目が離せない。
※この記事は「ユーチューバーに娘はやらん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
千紗(佐々木希)は、榎本(金子ノブアキ)とタックタック(戸塚純貴)どちらを選ぶべきか悩んでいた。そんな千紗を見た父・総一郎(遠藤憲一)は、2人を呼び出し、どちらが千紗にふさわしい男か見極めることに!
“総一郎の虎”という謎の面談ゲームがスタートし、2人は千紗への想い、子育ての考え方、貯金額や将来性などを語る。果たして、総一郎が語る結婚相手の条件とは?
ラスト!衝撃の真実が明らかに…
第9話のレビュー
「ユーチューバーに娘はやらん!」第9話レビュー
急遽榎本(金子ノブアキ)の看病をすることになった千紗(佐々木希)。デートの約束をしていてタックタック(戸塚純貴)は2時間も待ち続けていた。しかし、千紗が合流すると「電池切れちゃったみたい」と帰ってしまう。
タックタックか? 榎本か? 悩む千紗。
そんな千紗を見兼ねて、総一郎(遠藤憲一)は2人を呼び出し、「総一郎の虎」という謎企画がスタート。どちらが千紗にふさわしいか、虎たちが見極めるという。
モニターで見守る千紗、風花(若月佑美)、美恵子(斉藤由貴)。
それにしてもサングラスをかけた遠藤憲一、どの虎よりも迫力があるな。
千紗のどこを好きになったのか、貯金額、子育てについて……様々な角度から切り込む虎たち。
「千紗さんといると人生が面白い」と答えるタックタック、彼なりの“好き”は伝わってきた。「この年まで独身だったのは千紗さんに会うため」と真摯に語る榎本だが、どこかで聞いたことがある感じは否めない。
結果、どちらも千紗をゲットすることはできず。
その理由を、総一郎は「気ままな人に千紗は任せられない」「耳障りはいいが中身がないから響かない」と述べる。なんだかちょっとわかるな……と思っていたところに千紗がやってきて、「これはわたしの問題」とぶちギレる。
た、たしかに。うっかり「総一郎の虎」を楽しんでしまっていたけど、これは千紗が考えるべきことで、総一郎が介入することではない。例えどんなに娘が悩んでいたとしても、さすがにやりすぎだ。
だが、実は総一郎も千紗が新郎に逃げられたことに責任の一端を感じていたらしい。父親として、今度こそちゃんとした相手を、との思いが先走ってしまったという。千紗に怒られてしゅんとする総一郎がいつもよりも随分と小さく見えた。
今回は少々やりすぎだったとしても、なんと娘想いの父なのだろう、と、思ってしまった。
そして、その想いは千紗にも伝わったようで、しっかり和解。千紗がいくつになっても自分にとっては子どもだと語る総一郎の優しい表情からは、少し前の虎の片鱗は微塵も見つけられなかった。この家族には、ずっと笑顔で、仲良くいて欲しいなと切実に思う。
榎本は総一郎の言葉に自分を顧みて「どうせフラれるなら、ダサくても本当の自分を見て欲しい」と千紗に本気の告白をする。千紗の心も揺れ動いたかに見えた。
同じ頃、タックタックも千紗へ電話をかけようとしていたが、千紗のスマートフォンを鳴らしたのはタッチの差で美恵子。その内容は、総一郎が倒れたというもので……。
次回、最終回。千紗が1話とは違うウエディングドレスに身を包んでいたようなので、どちらかとの結婚を決意したということだろうか? どういう経緯で決断したのか、楽しみだ。
※この記事は「ユーチューバーに娘はやらん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第10話ストーリー&レビュー}–
第10話ストーリー&レビュー
第10話のストーリー
総一郎(遠藤憲一)が倒れたとの連絡が入り、千紗(佐々木希)は病院へ向かう。吐血した総一郎はベッドの上で苦しそうに呻いていた。父の死を予感してしまう千紗に、榎本(金子ノブアキ)やタックタック(戸塚純貴)は励ましの言葉を掛ける。
そんな2人に心が揺らぐ千紗……テレビマンとユーチューバー、最後にどっちを選ぶのか?”悲劇の花嫁”が迎える90日後の結婚式!対極的な2人との恋に揺れるラブコメドラマついに完結!
第10話のレビュー
総一郎(遠藤憲一)が倒れた。慌てて病院へ向かう千紗(佐々木希)、総一郎のベッドを心配そうな表情で囲む平家の人々。
やっとのことで総一郎が呟いた言葉は、「アイルービーバック」だった。
おいおい、これ、どうなっちゃうの……。
そんな折、GETFLICKの上条(竹財輝之助)から榎本(金子ノブアキ)に引き抜きの電話が掛かってくる。ちょうどテレビ局のやり方に、反発を感じていたタイミングだった。
平家の一大事と榎本に訪れた岐路に、最終回の匂いを感じる。
仕事を終えて千紗が家に帰ると、美恵子(斉藤由貴)がハイテンションにメキシコ料理を用意していた。総一郎の席にゴリラと思しきぬいぐるみを置いて話しかける。いや、総一郎生きてるから!
メキシコは総一郎と美恵子が新婚旅行に訪れた地らしいが、明るく死者を弔う“死者の日”を連想してしまった。決して湿った感じにしないその空気は、平家にピッタリなのだけど。
気付けば、「お父さんの物まねが聞きたい」と泣き出す美恵子。すべて空元気だったのだ。あああ、なんてかわいいお母さん。こんな人を悲しませないでよ、総一郎。いやいや、ところで病状は……?
総一郎のことを知った榎本とタックタック(戸塚純貴)は、それぞれに千紗を励ます。
榎本は「あなたは本当に強くて優しい人です」と言い、タックタックは「しょげてるのは千紗さんらしくない、いつでも全力なのが千紗さん」と言う。
これらの言葉に、違和感を募らせる千紗。本当の自分と、2人の目に映る自分にギャップを感じていた。
それを決定付けたのが、見舞いに行ったときに総一郎が話した、千紗の幼い頃のエピソードだった。
妹の風花(若月佑美)が生まれたとき、周囲に「お姉ちゃん」と呼ばれ、必死にお姉ちゃんになろうとしていた千紗。それを見た総一郎は、このままではこの子が壊れてしまうと思い、お姉ちゃんと呼ぶのを辞めたという。
「いつまで背伸びする気なんだ」と優しく語る父の言葉が、じんわり沁みる。
誰しも、割り振られた(と思い込んでいる)役割を演じてしまっていることがあるはず。そこに無理はないのか? それは本当に自分なのか? 改めて見つめ直そうと思った。
結局、ただの胃潰瘍だった総一郎。そんなことだろうと思ってたけど、でも、本当によかった。
腹を決めた千紗は、榎本とタックタックを呼び出す。
2人を抱き締め、「2人が肯定してくれたから、どん底に落ちずに済んだ」と感謝を述べる。たしかに、前代未聞の披露宴以降、千紗の身に起きた色んな出来事を楽しいものに変えてくれていたのは、他でもないこの2人だ。
だが、千紗は「おふたりとは一緒になれません」ときっぱりと言った。背伸びしちゃう、強がっちゃう、ふさわしい人になろうとしてしまう、それは自分ではない、と。これから少しずつ素直になればいい、と榎本は食い下がったが、「努力しないと素直になれないって違う気がする」と言い切った。
もったいない、と思う気持ちもあった。千紗自身も、いくらでも好きになれたと言っていたように。でも、千紗の表情を見れば分かる。これでよかったのだ。
ここでふと、これはもしや佐藤(栗山英宜)とくっついたりするか……? という疑問がふと脳裏をよぎる。
そして、ついに事態は急展開を見せた。
総一郎が入院生活を終えて帰還。「アイルビーバック」とキメ顔をする総一郎、見事な伏線回収だ。
みんなで食事を楽しみ、ダイニングに残っていた千紗と佐藤。榎本とタックタックを振り、総一郎が帰ってきて……と激動の1日を過ごした千紗は少々疲れているようだった。
でも、佐藤の前では憚らず疲れたと言えるし、泣くこともできる。「こうくんは人間と思ってない」と千紗は冗談めかして言うが、これこそがもう答えなんじゃないか。
何しても今更嫌われないと思っているんだろうな、と結論付けた千紗に、「舐めてない?」と言う佐藤はもちろん満更でもなさそう。
結婚したいわけじゃないけど、佐藤となら家族にはなれるという千紗。待って待って、結婚って家族になることだよな? と思っていたら、ちゃんと佐藤がツッコんでくれて一安心。
そして、「なってみる? 家族」という、プロポーズらしくはないけれど、日常の延長にある感じがなんともたまらん会話の末、千紗は佐藤との結婚を決めるのだった。
ユーチューバーか? テレビマンか? この2人のどちらかが千紗と結婚するのか、はたまた千紗はしばらく独身を謳歌するかの2択と思っていたが、なんだか収まるところに収まった感じ。
でも、忘れてはいけないのは、千紗は決して妥協をしたわけではないということ。ここまでの日々を一生懸命悩んだり傷ついたりしたからこそ、辿り着いた答えだ。
人生には大変なことがたくさんあるから、一緒に生きる相手くらい大変じゃない人がいい、という千紗の言葉通り、佐藤の前でなら、千紗はきっと背伸びをせずにいられるはず。日常の中にある幸せって、こういうことなんだろうな。
(文:シネマズ編集部)
※この記事は「ユーチューバーに娘はやらん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{「ユーチューバーに娘はやらん!」作品情報}–
「ユーチューバーに娘はやらん!」作品情報
放送日時
2022年1月17日(月)スタート 毎週月曜 23:06~
出演
佐々木希、金子ノブアキ、戸塚純貴、若月佑美
栗山英宜、白石絃馬、猫背椿、細田善彦
斉藤由貴、遠藤憲一
企画・原作
秋元康
脚本
舘そらみ、川﨑いづみ、いとう菜のは、本田隆朗
監督・演出
西浦正記、関野宗紀、松田祐輔
チーフプロデューサー
阿部真士(テレビ東京)
プロデューサー
田辺勇人(テレビ東京)、滝山直史(テレビ東京)、高田良平(リオネス)、鎌倉希(リオネス)
音楽
鈴木ヤスヨシ
主題歌
Da-iCE「SWITCH」(avex trax)
EDテーマ
Myuk「アイセタ」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
制作
テレビ東京 リオネス
製作著作
「ユーチューバーに娘はやらん!」製作委員会
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