<となりのチカラ>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

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松本潤主演、木曜ドラマ「となりのチカラ」が2022年1月20日より放送スタート。

東京のとあるマンションに引っ越してきた家族。夫のチカラ(松本潤)、妻の灯(上戸彩)、娘の愛理(鎌田英怜奈)、息子の高太郎(大平洋介)が、ちょっと不思議な隣人が住むマンションにおいて、さまざまなドタバタ劇に巻き込まれていく。

cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・「となりのチカラ」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

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東京のとある郊外に建つマンション。そこに、中越チカラ(松本潤)と妻の灯(上戸彩)、そして娘の愛理(鎌田英怜奈)と息子の高太郎(大平洋介)という1組の家族が移り住んでくる。優柔不断で困っている人を放っておけない性格の夫とテキパキしっかり者の妻に、ちょっぴり大人びた姉と無邪気な弟――そんな一家がやってきたマンションには、とても個性豊かな住人たちが暮らしていた。

さっそくチカラが遭遇したのは、全身を”今日のラッキーカラー”でまとめた隣人・道尾頼子(松嶋菜々子)。階下には複数の男性が出入りする謎の女性(ソニン)の部屋があり、さらには、ワケありそうな管理人の星譲(浅野和之)から「601には連続幼児殺人事件の犯人・少年Aが住んでいる」と聞かされ、いろいろと思いを巡らすチカラに、灯は「ご近所のことに首を突っ込まないように」と諭すのだった…。

引っ越しから数日経ったある日、隣の部屋から悲鳴が!灯の忠告を思い出し、やや躊躇するチカラだったが、”引っ越しのご挨拶”を口実に、意を決して部屋を訪れてみる!

そこは、エリート会社員の木次学(小澤征悦)と妻・達代(映美くらら)、娘・好美(古川凛)が仲良く暮らす家なのだが…チカラは、知ってはいけない木次家に隠された秘密を覗いてしまい…!?

第1話のレビュー

お隣に新しい人が引っ越してくると、やっぱりどんな人かな? と考える。でも、考えるだけで、大半の場合は「どんな人か」知らずに終わることのほうが多いんじゃないだろうか。

しかし、中越チカラは違う。
東京郊外にあるマンションに引っ越してきた中越一家。優柔不断なところがある夫のチカラに、しっかり者の妻の灯、娘の愛理と息子の高太郎。いわゆるごく“普通”の家族だ。
ひとつ変わっているところがあるとすれば、チカラは周りの人が気になって仕方がない。すぐ、他人の事情に首を突っ込みたくなる。困っている人がいたら放っておけないという、今どきある意味珍しいタイプだ。

そしてそんな中越家が引っ越してきたマンションは、チカラが首をツッコミたくなるような住民ばかりだ。「今日のラッキーカラー」で身を包む隣人・404号室の道尾頼子、303号室には女性同士でルームシェアをしているようだが、男性が入れ替わり立ち替わり訪れているよう……? 601号室には連続用事殺人事件の犯人・少年Aが住んでいる、らしい。
更に、ある日突然、402号室から悲鳴が! 最初は母と娘がクモに怯えていただけだったが、2回目は夫の声らしき怒鳴り声も混ざっている。もうこうなるとチカラは気になって仕方がない。
児童虐待では? 助けに行ったほうがいいのでは? 最初は止めていた灯も、結局チカラの背中を押す。

402号室の問題は根が深そうだ。実際に娘の好美に虐待は行われているのだろう。事態を察したチカラは必死に好美に語り掛ける。チカラが少し介入したところで状況が変わるわけでもない。
しかし、好美が少しでも心を開いてくれたことにチカラはご満悦だ。
ニコニコしていたのもつかの間、今度は上の階の503号室から悲鳴が……。

チカラが現れたことによって、それぞれの部屋の状況が変わるわけではない。ほんのちょっと関わるだけだ(今のところは)。もしかすると、更に悪化させる可能性だってある。
ただ、近所との付き合いが希薄になりがちな現代で、そんなご近所のことに首をつっこむのは珍しい。でも、ちょっとだけ関わって、何かした気になられるのは相手からしたら迷惑ではないだろうか……? と思ったりもする。でも、誰かが介入することによって、自体が変わる可能性だって大いにあり得る。その辺りが今後、どんなふうに描かれていくのか。

もうひとつ気になったのが、チカラがあまり父親っぽくないところだ。なんというのだろう、母と父、子ども2人の家族ではなく、母と子ども3人の家族のようにも見える。ご近所さんのことや、周りの他人のことは気になって仕方がないチカラだけれど、きちんと自分の家族のことは見ているのか……。灯の言葉の端々からもチカラが気がついていない問題をはらんでいそう。

各部屋、家庭で抱えている問題が、どれも心が痛くなりそうで心して観なければ! という気持ちになる。
そんな中で、猫さんの語りがちょっとほっこりする。それに語り手がチカラ本人ではなく、第三者目線というところがイイ。
第2話のチカラはどうやら503号室に関わっていくようだ。少しでも力になれると良いのだけれど。

※この記事は「となりのチカラ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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ある朝、のんびり朝食をとっていた中越チカラ(松本潤)一家は、上の部屋から「助けて!」という声を聞く。

様子を見に行こうかどうしようか…とチカラが中腰になって悩んでいたところ、「どうせ行くんでしょ」と灯(上戸彩)に背中を押され、チカラは上の階へ駆けつける。すると、廊下に出てきた503号室の柏木清江(風吹ジュン)が「うちに知らない男がいるの。きっと強盗よ」と訴えてくる。恐る恐る部屋に入ったチカラだったが、そこにいたのは清江の孫の託也(長尾謙杜)のみ…。チカラがその状況に戸惑っていると、託也は突然強盗のフリをし始め、そのまま部屋を出ていってしまう!

その後、託也から清江が認知症であることを聞き、ようやく腑に落ちたチカラ。託也が受験を控えた高校生でありながら1人で清江の面倒を見ていることに感心しつつ、同時に手の震えを必死で抑えようとしている様子が、チカラは気になっていた…。

託也から「祖母には今日起きたことは言わないでください」と言われていたものの、「孫に何かしてしまったのでしょうか」と思い悩む清江を見かけたチカラは、またしても放っておくことができず、週末にホームパーティーを開き、清江と託也を招待することを灯に提案する。その提案は即刻却下されるが、買い物を忘れてしまった清江と灯が偶然会い、そのまま中越家で夕食をとることに…。その席で、清江の介護に関する資料を手渡そうとしたチカラだったが、清江にも託也にも「余計なお世話」だと言われてしまう!

もう清江たちのことに首を突っ込むのはやめようと、チカラが心に決めた矢先、清江が姿を消してしまい…!?

第2話のレビュー

今回、チカラが首を突っ込むのは中越家の上の部屋に住む柏木家。柏木家は祖母の清江と高校生の託也のふたり暮らしだ。託也の両親が震災で亡くなって以来、ずっとふたりで協力してがんばってきた。

しかし、実は清江が認知症に……。託也を強盗だと思って助けを求めたり(この声がきっかけでチカラは柏木家に関わることになる)、スリッパを天ぷらにしようとしたり。そんな清江の面倒を託也はひとりで見ていた。
……これはまたいろいろ課題をはらんでいそうだ。

チカラは、託也が強盗だと間違えられた騒動について、清江に黙っていてくれ、と頼み込みこまれる。
清江からは「自分が何かしてしまったのではないか」と相談される。
となってくると、チカラが放っておけるはずがない。何か力になれないか、そうだ、うちでホームパーティーを開いてふたりを招待しよう! と思いつく。結局、灯に頼って灯が大変なやつ! 灯はもちろん却下するが、偶然清江と会ってしまい、家にお招きする流れに……。

チカラは何かアドバイスするときや声をかけるときにさんざん悩む割に、意外と大胆なことをする。
今回は、清江たちに介護施設のパンフレットを差し出してしまう。うーん、踏み込みすぎだよ、チカラ……。ただ、今回はそんなチカラのおせっかいが功を奏したとも言えるかもしれない。

迷惑をかけないように、ふたりで寄り添って生きてきたというと聞こえは良い。
一方で、問題を抱え込んでしまい、逃げ場がなくなることもある。実際、託也は清江の面倒を見るために大学受験をやめようとしていた。

しっかりしているけれど、まだ高校生。わからないことだってたくさんある。そんな中で、頼りなくても手を差し伸べようとしてくれる、それも必要以上に親身になって話を聞いてくれる大人がいることは託也にとっては心強いはずだ。

託也はいい子だ。ラスト、自分の想いをチカラに向かって吐露するシーンがある。
中越家の家族団らんを見て腹が立ったこと、子どもたちが当たり前のようにこの日常が続くと思っていること、どうしておばあちゃんが認知症に? なんで俺ばっかり……おばあちゃんが死んでくれたら俺は自由になれるのに。

そんなふうに思うことだってあるだろう。人間なんだから、綺麗な心のままでずっといられるわけがない。むしろ、そんな気持ちを吐露できる託也はやっぱりいい子だ。

「僕が悪い子だからお父さんとお母さんは流されちゃったの?これからいい子になるからばあちゃんいなくならないでね」

そう言っていい子であり続けようとした託也は、やっぱりおばあちゃんのことが大切で、かけがえのない家族なのだ。今の託也の在り方が証明している。

そんなにグイグイとよそさまの事情に首を突っ込むのはどうなの? と思うが、第三者が介入したことで、よい方向に進む場合もある。
毎回、うまくいくとは限らない。それもチカラっぽい。
何より、柏木家が「困ったときにはチカラさんに連絡する」ことにしたのが嬉しい。
とは言え、カフェからマンションの住人たちを覗き見るのはどうかと思うぞ!

※この記事は「となりのチカラ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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ある夜、突然中越家にやってきた303号室のマリア(ソニン)。「アブない男におそわれたので、かくまってほしい」という彼女を中越チカラ(松本潤)と灯(上戸彩)が部屋に招き入れたところに、「マリアの客だ」と名乗る男が乗り込んでくる! どうやらマリアは303号室でベトナム式のエステ店を営んでいるようで、男はそこを“いやらしいサービスをする店”と勘違いしてやってきた上、何もサービスされないことに逆上した様子…。

灯の機転でどうにか男を追い払い、マリアの話を聞いたチカラは、彼女が外国人技能実習生として介護関係の会社に勤めていたものの、妊娠を理由に解雇されたことを知る。マリアから、「お腹の子どもの父親でもあるその会社の課長は、子どもが出来た途端会ってもくれなくなった」と聞き、灯は怒り心頭。「日本と日本の男性はいつからこんなに冷たくなったの?」という問いに、やっぱり《中腰》になってしまったチカラに、マリアは愛想を尽かし出ていってしまう!

どうにかマリアの力になってあげたいチカラだったが、あの夜以来“日本の男性代表”としてすっかりマリアには嫌われてしまったよう。 そんな中、マリアが部屋の退去を命じられる!

お腹の子どものことも誰にも相談できず、部屋まで追い出されそうなマリアのために、子どもの父親・芝田(渡辺大)に会ったチカラは、その最低とも言える物言いを目の当たりにしてしまう。「子どもは堕ろす」と宣言するマリアに、チカラはどう声をかけてあげればいいかわからず…?

第3話のレビュー

「たすけてください」と突然、中越家にやってきた303号室に暮らすマリア(ソニン)。直後に男が怒鳴り込んでくる。

実はマリア、部屋でベトナム式エステ店を運営していたが、客である男は「いやらしいサービスをする店」と思っていたらしい。サービスをしてもらえず、金だけとられた、騙された、と腹を立てていたのだ。

灯(上戸彩)が機転を利かせて男を追い返し、詳しくマリアの事情を聞き出す。

マリアがベトナム出身で、外国人技能実習生として介護関係の会社に勤めていたこと。
しかし、妊娠を理由に解雇されていたこと。
部屋も会社が借りたもので、解雇されたことで出ていくように言われていたこと。
おまけに、おなかの子どもの父親である会社の課長・芝田は会ってくれなくなってしまったこと……。

最悪である。

灯はマリアの話に「オーマイガーッ!」と怒り、マリアもまた、日本と日本の男性はいつからこんなに冷たくなってしまったのか、と怒る。

その間でオロオロするチカラ(松本潤)……しかしそんな話を聞かされて、チカラがマリアを放っておけるはずがない。

マリアと一緒に会社に行き、芝田と面会したり、「子どもは堕ろす」というマリアの説得を試みたり……。ただ、チカラの言葉はあまり通じない。

日本で生きていけるかどうか。きれいごとだけではどうしようもできない。それに、彼女にとって、チカラと話をしている瞬間には日本はアウェイで、周りには敵しかいない。結局、チカラはマリアに子どもを堕ろすために父親のフリをして病院に付き添うことになる。

もちろん、父親のフリをしたことに灯は大激怒。「それって詐欺罪にあたるんだからね!」と眉を吊り上げる。

詐欺罪もあるかもしれないが、イチ他人がそこまでするのはどうなんだろうか。人間として、親として、同じマンションで暮らす住人として。困っている人は放っておけない、その心意気はすばらしい。

でも、解決する術を持たずに飛び込むのは迷惑ではないか? ……と考えてしまうから、困っている他人を見て見ぬフリをすることになるのだろう。

しかし、チカラには灯がいた。チカラがやったことを聞き、怒っていた灯だが、マリアと一緒に勤めていた会社に話をしに行く。主張できる権利を主張し、保障はきちんと受ける。それでマリアの状況は大きく変化した。

知らないと損することは多い。きちんと権利や保障が説明されるシステム、システムがわからないときに頼れないような状況になっているのも問題だ。

マリアの相手・芝田の態度は最悪なものだった。そんな人ばかりじゃない、と言いたいけれど、マリアにとっては芝田が日本人男性のすべてになってしまう。そんな人が男性日本代表になってしまわないよう、そもそもの考え方の改善が必要なのかもしれない……と思ってしまうのだった。

次回は中越家のお隣さん・道尾頼子の事情が明らかに。……なるが、来週はお休み! 再来週を楽しみにすることにしよう。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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お隣の道尾頼子(松嶋菜々子)に「とっても困ってるの。助けてくれる?」と相談された中越チカラ(松本潤)が部屋を訪ねると、そこには灯(上戸彩)と娘の愛理(鎌田英怜奈)、さらには柏木清江(風吹ジュン)やマリア(ソニン)、木次達代(映美くらら)の姿も。戸惑う一同に、黒ずくめの服を着た頼子はこう告げる。

――「今日は皆さんをお救いするために集まっていただきました」

達代は夫・学(小澤征悦)のこと、マリアはこれからの日本での暮らしのこと、愛理は恋愛のこと、とそれぞれが悩んでいることを次々と言い当てていく頼子。すっかり頼子の能力を信用した清江が、孫の託也(長尾謙杜)の合格祈願と自身の病気のために、勧められるがままにペットボトルに入った謎の水と数珠を買ってしまいそうになったその時…! 頼子を「おかあさん」と呼ぶ男性が現れ、住人たちはひとまずその危機を回避する。

夕食を食べながら、「これからはあまり関わらないようにしないと」と話す灯とチカラ。だがチカラは、頼子と訪ねてきた男性の関係、そして食卓についてからまったく目を合わせようとしない灯と愛理の様子も気になっていた…。

やがて男性の正体は、頼子の娘・美園(成海璃子)の別れた夫・吉井(稲葉友)だと判明。「結婚を機に縁を切っていた頼子と美園を仲直りさせたい」と話す吉井に感心するチカラだったが、頼子によると事態はそう単純でもなさそうで…。吉井に言いくるめられ、美園に会いに行ってしまったチカラは、頼子の過去に隠された辛い出来事を知ることとなるが、頼子には「地獄に落ちる!」と宣言されてしまい……!?

第4話のレビュー

隣の家族の事情に首をつっこんだところから始まり、上の階の孫とおばあちゃんの拠り所になり、日本で暮らすベトナム人女性を助け……。怪しまれたり、失敗することもありながらも、少しずつマンションの住人たちとの交流を深めていく中越チカラ(松本潤)。

今回は中越家のお隣に暮らす道尾頼子(松嶋菜々子)の事情に首を突っ込む。占いにハマッているという頼子は、とうとう怪しげな水をマンションの住民たちに売りつけ始め、不審がられることに。

チカラたちも頼子の部屋に招かれて水を勧められるが、偶然、頼子の息子という人物が訊ねてきたこともあり、難を逃れる。しかし、チカラはその息子のことが気になって……。

実は、頼子は娘の美園(成海璃子)と絶縁状態だとわかる。ふたりとも「絶対に会わない!」と断言。チカラはふたりをうまい具合に引き合わせるが、怒鳴り合ってケンカ別れの状態に。事態は最悪……だが、灯(上戸彩)のアシストもあり、再びふたりは話をすることになる。

すでに両親を亡くしているチカラ。もっと話したいこともあったし、してあげたいこともあった。両親もきっとそうだろう。なのに、互いに生きているにも関わらず、絶縁しているなんて贅沢な話だとチカラは頼子たちに向かって訴える。

頼子の家も複雑だ。頼子の息子はいじめを苦にして自殺。意気消沈する頼子を美園も不憫に思ったのだろう。頼子の期待に応えようと頑張るが、しまいには自己主張ができなくなってしまう。頼子は良かれと思ってやっているのだろうが、過干渉気味なところがある。そんな親にストレスを感じる子どもは少なくない。

美園としては、そんな頼子を嫌いになれず、どこかで慕う気持ちがあったし、頼子も改善しようという気持ちが芽生えた。だから、今回は丸く収まったのだろう。似たようなケースでも、更に状況が悪い可能性はある。詳しく知らないのにおせっかいを焼くのは危険だけど、仲直りに第三者が作るきっかけは大切で……。毎度、チカラは危うい橋を渡っているような状態なのかもしれない。

今回、チカラが「世界中の人が隣にいる人を家族のように思える時代が来たらどんなに良いだろう」と言っていた。チカラはおせっかいなどではなく、本当にその気持ちだけで行動しているのだろう(その分、娘と妻のケンカの理由には気づかないけど!)。

ただの理想論かもしれない。でも、隣の人だけにでも優しくできれば、きっと変わっていくものもあるのだろう、と思わずにはいられない。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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 中越チカラ(松本潤)、灯(上戸彩)、道尾頼子(松嶋菜々子)らが集まり、柏木託也(長尾謙杜)の大学合格祝いをしている中、管理人の星譲(浅野和之)が現れ、衝撃的な事実を告げる。SNSに上げられた、「連続幼児殺人事件の容疑者・少年Aを発見」という情報――そこにはチカラたちが住むマンションの写真まで付いており、星は「やはり601号室の上条(清水尋也)さんが少年Aだったんですよ」と声を潜める。

星から、“マンションのリーダー”として上条に直接確認してみてほしい、と頼まれてしまったチカラ。タイミングを窺ううち、無表情で感情を表に出さない上条が本当に連続殺人犯に見えてきてしまい…? あれこれ考えを巡らせ、心ここにあらずなチカラに灯と娘の愛理(鎌田英怜奈)は呆れ顔。「ご近所のことに首突っ込んでいい気になってると痛い目見るよ」と忠告されてしまう。

いい考えが浮かばないまま迎えたある日、ついに上条と2人きりになるチャンスが巡ってくる!「少年院に入っていたという噂があるんだけど…」というチカラの問いに、上条から返ってきたのは、なんと「入ってました、少年院」という答えだった!

「少年院に入っていたのは本当だったんだ…」「でもまだ少年Aと決まったわけではないし…」と逡巡しながらも、ひとまずは星に報告をするチカラ。すると、星は明らかに顔色を変え、上条の部屋のゴミから何かしらの証拠をつかもうと躍起になり始める。

星の思いつめた表情が気になるチカラだったが、危惧した通り、上条の噂はあっという間にマンション中に広まってしまう。せっかく決まった就職先にまで誰かが噂を吹き込み、クビになってしまったと聞いたチカラがなんとかできないかと考えていた矢先、ついに星が上条に殴りかかるという事態が起きてしまい…!?

第5話のレビュー

マンション内の問題を次々と解決(?)してきたチカラが今回取り組むのは601号室の上条問題。
管理人の星(浅野和之)は上条(清水尋也)が連続幼児殺人事件の容疑者・少年Aではないかと言い、チカラ(松本潤)に確かめてほしいと頼む。

だんだんと取り組む問題が大きくなっているように思うが、これまでもその人の人生に関わるようなことばかりだ。灯(上戸彩)が首を突っ込むな、というのもわかる。責任が重すぎる。

しかし、チカラにそんなことを言ってみたところで納得はしない。今回もズンズンと踏み込んでいく。上条が少年院に入っていたと確認したところで、事態はますます大ごとに。

就職が決まっていた上条だったが、少年Aだという電話がかかってきたせいでクビに。SNSではウワサも広がる。更には星が上条に殴りかかってしまう。実は、星の息子は連続幼児殺人事件の被害者だったのだ。未成年だからと言って名前も顔も分からない犯人を、星は復讐のために探していたという。

SNSでの炎上、未成年による事件。それだけでも十分すぎるほどなのに、上条の状況も苦しく悲しいものだった。

上条の母親は子どもの病気をさせたり、怪我を負わせ、けなげに看病する親を演じて周囲の同情や注目を集めようとする、おそらく「代理ミュンヒハウゼン症候群」というものだ。その影響で上条は自分の感情を表に出せなくなっていた。上条自身も病気を抱えていたのだ。さらにそれが原因となっていじめに遭い、その中で相手を死に追いやってしまうことになった。

さすがのチカラも今回の件は荷が重すぎると思われたが、マンションの住人の力を借りて問題を解決。出ていこうとしていた星や上条を引き留めることに成功したのだ。

最初のころのチカラだったら絶対に無理だっただろう。今までの努力が実を結んだのか、それとも、やはり灯の力が大きいのか……。

「となりのチカラ」は社会派ホームコメディということだけれど、考えさせられる部分が多すぎる。今回の件などは、刑事事件に発展する可能性もあるような事柄だし、それぞれが抱えている問題があまりに苦しい。

しかし、実際、世の中の多くの人は何かしらそういった問題を抱えているのかもしれない。と、思うと、もう少し隣人に気遣おう、という気持ちにもなる。

さて、ひと通りの問題は解決したか、と思っていたが、お隣の木次家では根本的な問題は何も解決していない。娘の好美(古川凛)とはコミュニケーションをとるようになっていたけれど、父親の学(小澤正悦)は頑ななまま。そんな木次家に異変が起こる。そして、中越家も?

中越家、灯はいつも怒りながらもチカラの味方になっている。でも、実は火種はくすぶっているような感じがする。次回、どのような展開を見せるだろうか。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

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いつものように中越チカラ(松本潤)が向かいのカフェから何気なくマンションを見ていると、お隣の木次家に異変が…。チカラが好美(古川凛)に渡した連絡用の手旗が、ついに学(小澤征悦)に見つかってしまったのだ!

好美が激しく叱責され、また虐待を受けるのではないかと、チカラは慌てて木次家に駆けつけるが、逆に学から「人が虐待してるって決めつけやがって」と声を荒らげられてしまう。チカラは怯える達代(映美くらら)と好美の様子に、このままでは2人に被害が及んでしまうと、ひとまずは引き上げるが…。その日から木次家のカーテンは固く閉ざされてしまい…?

そんなある日、いつものカフェに学がやってくる。いい機会だから…と腹を割って会話をしてみようとするチカラだったが、逆に学に言いくるめられてしまった上、「二度とうちの家族と関わるな」と釘を差されてしまう。困ったチカラは道尾頼子(松嶋菜々子)、柏木清江(風吹ジュン)、マリア(ソニン)らマンションの女性陣に協力を依頼。頼子たちは「警察に相談してみては」と達代に提案するが、「好美を犯罪者の子にしたくない」と言われ、拒絶されてしまう!

それでも諦めきれないチカラは、妻のアカリ(上戸彩)の知恵も借り、ついにはマンションの住人総出で木次家に“ピンポン攻撃”を仕掛けることに! 

しかしそれすら学の怒りを買う材料にしかならず、絶望した達代はついにある決断を…。

そして、マンションの住人たちの問題を数々解決してきたチカラ一家にもある衝撃的な出来事が起きる!その時、アカリは…!?

第6話のレビュー

中越家のお隣さん、木次家。チカラ(松本潤)が好美(古川凛)に渡していた手旗が父親の学(小澤征悦)に見つかってしまう。母親の達代(映美くらら)にマンションの住人、特にチカラと関わらないように告げ、監視を強める。

達代は昔から、出来が悪い娘だと言われ続けていたのだろう。結婚するまでは親の、結婚してからは学のいうことを聞かなければならない、と思い続けていたのだろう。それで縮こまってしまっていた心。せめて好美を守らなければとふんばり続けていた。

しかし、学は達代のことだけではなく、好美にまで「出来の悪い娘」と言い放つ。本当になんなんだ、このクソ親父は……!

学は妻と娘の出来が悪いから躾をしなければならない、と言っていたが、単なる八つ当たりだ。憂さ晴らしだ。チカラも指摘していたが、会社での立場はそれほど強くないのだろう。ペコペコして、周りの機嫌をとって。そのストレスを達代たちにぶつけているだけだ。

そして、とうとう達代は好美と一緒に命を絶つ決断をとろうとし……。

偶然、アカリ(上戸彩)が早めに家に帰ってきていたこともあり、達代を止められた。管理人さんの「私は子どもを殺された親だから、そんなこと絶対に許さない」が悲しすぎる。あまりに説得力のある言葉。

子どもを守りたい。でも守れない。これ以上、娘に辛い想いをさせないためにはどうすればいいのか、と考えた末なのだろう。経済的弱みを握られ、自由がきかない。閉じ込められた状態で、思考が停止すると、助けてもらう術も考えられなくなる。

達代たちが幸運だったのは、本当にチカラたちがいたことだろう。

「中途半端に助けてもらっても辛いだけなんです」

チカラだけだったら中途半端だっただろう。が、マンションの住人たちの力を借りて、徹底的に戦えたのだ。

達代が最後に学に向かって放った「その汚い手を放せ、くそ野郎!」は爽快だった。大変なのはこれからだが、自分の人生は自分の手で変えていくしかないと気がついた達代は今よりもきっと強くなるだろう。

そして、これから大変なことになるのは中越家だ。

「もうチカラくんと一緒にいたくない」と荷物をまとめて出ていってしまったアカリ。大きな問題はないように思えるだろう。チカラから見ても、子どもたちから見ても。

ただ、今回の話を観ているだけでも、アカリの中に小さな澱のようなものが溜まっていっているのがわかる。これまでさまざまなマンションの問題を解決してきたチカラだが、アカリの力もあったからこそ。チカラひとり(いや、子どもたちの力も借りられるのか?)で自分の家の問題を解決できるのだろうか。

※この記事は「となりのチカラ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー


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「これ以上、チカラくんといたくないの」――そう告げて実家に戻ってしまった妻の灯(上戸彩)を呆然と見送るしかなかった中越チカラ(松本潤)。お隣さんや他の住人にはあっても、我が家には何の問題もないと思っていたチカラは、なぜ灯が出ていってしまったのか、見当もつかないのだった。

子どもたちにも「これからどうなるの?」と問い詰められて困り果てる中、娘の美園(成海璃子)と孫の教育方針を巡って対立した道尾頼子(松嶋菜々子)が「今夜、泊めて」と現れたり、祖母の清江(風吹ジュン)の認知症進行が心配な柏木託也(長尾謙杜)が「大学行くのやめようかと思って」と相談に来たり…と、相変わらず騒がしい住人たち。その相手をするのに精一杯で、チカラはなかなか自分の家庭の問題に向き合えずにいた。

ふと、自分がゴーストライターばかりやって、ちゃんと小説を書かないのが気に入らなかったのではないか、と考えたチカラは、編集者の本間奏人(勝地涼)から依頼された仕事を勢いで断り、それを意気揚々と灯に電話で伝えてみる! しかし無残にも電話は無言で切られ…?

愛理(鎌田英怜奈)から「明日の朝イチで浜松(灯の実家)に行き、ちゃんと誠意を伝えてきたら?」と言われ、浜松へと向かったチカラは、灯の両親、そして兄から「離婚」をチラつかされる。さらには灯の気持ちまで逆撫でする結果となり、万策尽きてしまう!

おまけにマンションではこんな時に限ってトラブルが頻発! しかし自分の問題でいっぱいいっぱいのチカラは住人たちの問題に目を向ける余裕もない。そんなチカラの姿に、住人たちも冷ややかな反応を…。

はじめて語られるアカリの想い―。

日本中の全主婦代表・アカリの言葉をチカラはどう受け止めるのか…!?

第7話のレビュー

灯(上戸彩)が出て行った。理由も言わずに。チカラ(松本潤)に与えられた宿題は、灯が出て行った理由に気がつくことだ。

子どもの愛理(鎌田英怜奈)と高太郎(太平洋介)たちからも急き立てられ、確固たる答えを見つけられないまま、浜松のアカリの実家を訪れる。そこで待っていたのは離婚を勧める義両親と義兄。さらに愛理たちは痺れを切らし、灯のもとへと行ってしまう。

自分の家のことで手一杯、頭いっぱいのチカラはマンションの住人たちからの相談にも上の空。全く力になれずに総スカンを食らう。数ヶ月かけて築いた信頼はあっという間に崩れ去ってしまったのだ。

チカラが困っているんだから、住人たちも少しは気遣ってあければいい。しかし、住人たちにとってチカラは、いらないと言っているのに勝手に家の事情に首をツッコみ、解決・アドバイスをしてきただけの人なのだ。好き勝手に首を突っ込んできたくせに、自分の都合が悪いときには知らんぷりするなんて勝手ではないか、と言えなくもない。

でも、今回、明らかになったのは、チカラには心に余裕があったから住人たちの力になれていたということだ。自分のことで精いっぱいだったら、周りのことなんてどうでもいい。というか、目に入ってこない。チカラの余裕は灯がいたからなのだ。

そして、灯が出て行った理由。視聴者の中にも、その理由に気がついていた人は多いのではないだろうか。多忙な仕事。手のかかる子ども、何かあると全部自分の責任。そして頼りにしたいはずの夫はいつもよその家のことばかり。灯はずいぶん心が広いし、冷静だと思う。我慢して、我慢して、なんだかんだでチカラにも協力してきた。それは灯の性格のせいもあるんだろうけれど。

そんな妻に向かって、出て行ったことを「母親としてどうかと思う」というチカラの発言は「アチャー!」でしかない。アチャー!

灯はただ、自分が持っている悩みを、荷物をチカラに一緒に持ってほしかったのだ。

これまでの鬱憤をぶちまけて、スッキリとした表情を見せる灯。しかし問題は何も解決していない。いま家に帰れば、また同じように荷物を抱えることになる。そしてチカラに向かって、悩みの解決法を考えるよう、新たな宿題を出す。

灯はおそらく、チカラのことが大好きだ。そして、チカラが自分のことを好きなのも知っている。だから、宿題を出した。これからも一緒に生きていくために。チカラは宿題をやり遂げられるのだろうか。

※この記事は「となりのチカラ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー

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家出中の妻・灯(上戸彩)から出された3つの課題――「仕事を辞めていいのか」「愛理(鎌田英怜奈)を怒鳴ったり叩いたりしていいのか」「高太郎(大平洋介)を塾に行かせていもいいのか」――が両肩に重くのしかかり、まったく仕事に集中できない中越チカラ(松本潤)。子どもたちに学校での様子などをさり気なく聞いてみるが、どちらの問題も解決には時間がかかりそうな上、道尾頼子(松嶋菜々子)やマリア(ソニン)らマンションの住人たちからも総スカンを食らっていることを思い出し、ますます落ち込んでしまうのだった。

そんな中、認知症を患う柏木清江(風吹ジュン)が、孫の託也(長尾謙杜)が介護のために大学進学を諦めようとしていることを知り、「介護施設に入る」と言い出す。

震災後に引き取って以来、懸命に育ててきた託也と離れたくはないという気持ちと、徐々に進行する症状によっていつか託也の顔までわからなくなってしまうのではないかという不安の狭間に立たされる清江に、何もしてあげられないチカラ。その矢先、清江がマンションからいなくなってしまう! 住人たちが総出で清江を探す中、なんと清江を見つけたのはマリアから連絡をもらっていた灯だった…!

マンションに戻った清江だったが、住人たちはおろか、託也のこともわからないほど混乱してしまっており…。それでも施設への入所をためらう託也に、チカラはある思いを伝え始める。

そして灯から出された課題とあらためて真剣に向き合ったチカラ。家族の問題に、ついに答えを出すときが来て…?

第8話のレビュー

灯(上戸彩)と対話ができたチカラ(松本潤)。
しかし、灯からは宿題を出されてしまう。

・灯は仕事をやめていい? その場合の収入は?

・愛理を怒鳴ったり叩いたりしていいの?

・高太郎を塾に行かせたい場合、お金は捻出できるの?

すぐに答えが出せれば苦労はしないチカラである。

とりあえず、オリジナルの小説を書き出すチカラ。これが売れに売れて……と妄想を膨らませるが、まあ……ゴーストライターを堅実に続けたほうがいいことは、チカラだってわかっている。

そして、愛理(鎌田英怜奈)や高太郎(太平洋介)と話をする中でチカラは灯の苦労を実感する。
確かに愛理は生意気だし、高太郎の成績は低い。しかし、当の高太郎は、将来はヒーローになるので問題ないと思っている。普段の仕事と家事をこなしながら、灯は対応していたのかと思うとめまいがする。

当然、チカラも答えが出ず、頭を抱える。

一方、マンションの住人たちからは総スカン状態が続く。かわいそう。

隣人の学(小澤征悦)からは離婚届の保証人になってやろうか? などとからかわれる。学は自分とチカラが同じ状況だと思っているけど、全然違うからなっ。

更に問題なのが柏木家だ。清江(風吹ジュン)の認知症が進行。託也(長尾謙杜)は大学進学をやめて、介護をしたほうがよいのではないか、と悩む。

どの部屋の悩みも、多くはその場の解決だけであって、根本的な解決に至っていたわけではないのかもしれない。

そんな矢先、清江がマンションから姿を消してしまい……。

後半はチカラの怒涛の語りが展開される。託也への説得、そして灯たちか家族への宿題の答え。

チカラは愛理や高太郎に向かってこれからのことを語り、今の子どもたちがどれだけ素敵で素晴らしい存在なのかと伝える。そう、灯の抱えている悩みは、そのまま子どもたちが抱えている問題なのだ。チカラは、隣人たちの問題に首を突っ込むばかりで見ようとしていなかったのだ。

灯はきっと、チカラなら答えを導きだしてくれると思っていたのだろう。

そしてチカラの「もう出ていかないでよ……」が心に刺さりすぎた。本当にチカラは灯が大好きなんだよなあ。

そして、清江の介護施設入所を決意した託也。別れ間際、託也を認識し、「ハグしようか」という清江。清江へのこれまでの想いがあふれ出す託也に、観ている側の涙もあふれ出す。

再び、清江は託也に向かって「あなた誰だったかしら?」というけれど、もしかしたらわざとなのかもしれない。別れ間際の清江の優しさ。託也がとても優しい子に育ったのは、厳しくも優しい清江がいたからだろう。

次週、いよいよ最終回。チカラはもうお隣さんの事情に首を突っ込まないと心に決めていたが、一体どのような関係性に落ち着くのだろうか。
(文:シネマズ編集部)

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–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー

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マンション内で火事が起きたとの連絡が入り、表に避難した中越チカラ(松本潤)たち。幸いボヤで済むが、管理人の星譲(浅野和之)によると、どうやら火元となった603号室の住人・小日向(藤本隆宏)は自分で火をつけたとのこと…。ここのところマンション内のトラブルメーカーとして名前が挙がっていただけに、道尾頼子(松嶋菜々子)は「理事会を開いて即刻出ていってもらいましょう」と息巻く。

いつもなら真っ先に603号室を訪ねてもおかしくないはずのチカラだったが、これまでいろいろなことに首を突っ込みすぎていたことへの反省から、もう余計なおせっかいはしないと宣言。そんなチカラとは対照的に、今度は灯(上戸彩)が「これ以上トラブルになる前に話をしに行ったほうがいいんじゃないか」「でもいきなり出ていけっていうのは違うし…」と、チカラ顔負けの中腰っぷりを見せ始め…?

小日向への対処法やご近所との付き合い方にチカラが思い悩んでいた矢先、頼子の宣言通り理事会が開催され、半ば無理やりの「全会一致」で退去勧告をすることが決定してしまう! なんとか早まらないよう頼子を説得しようとするチカラだったが、その声は届くことはなく…。

やがて、これまでのボヤや水漏れなどは、すべて小日向が自ら命を絶とうとしていたことが原因だったとわかる。なんとか小日向を救いたいチカラに、ついにある案が! それはチカラ自身の過去とも向き合うこととなるのだが…。

一方、仕事も見つからず在留資格も切れてしまうマリア(ソニン)はベトナムに帰ることを決意。マリアに密かに思いを寄せるものの、ためらってばかりの上条知樹(清水尋也)に、チカラはしっかりと思いを伝えるようアドバイスを…。

そして祖母の清江(風吹ジュン)が施設に入り寂しさを抱える託也(長尾謙杜)、夫の学(小澤征悦)の元を去った達代(映美くらら)らも自らの思いに区切りをつけるときが来て…?

人間関係が希薄になり、みんなが自分の事ばかり考える世の中で、ただただ隣人の平和を願い続けたチカラ。

そのチカラが、たどり着いた衝撃のラストとは…!?そしてその時、一番の隣人、妻・アカリは何を思うのか…?

第9話のレビュー

灯(上戸彩)も帰ってきたし、子どもたちの問題もひと段落……と思ったら、なんと今度はマンション内で火事が!

火元となったのは603号室に引っ越してきた小日向(藤本隆宏)だった。最近、マンション内ではトラブルメーカーとなっている男性だ。頼子(松嶋菜々子)は鼻息荒く、理事会を開き、小日向を追い出そうとする。

確かに、小日向が纏う空気は尋常ならざるものだ。追い出すだなんて後味が悪いが、マンションの住人たちだって火事が起きたらたまらない。全会一致で小日向への退去勧告が決まりそうになるが、反対したのはチカラ(松本潤)で……。

完全な悪人はいない。悪と善の揺れ動いている、と言うチカラ。確かにこの作品を観ていると実感する。

小日向に対して何かが引っ掛かるチカラ。そして、小日向の背中を見てひらめく。亡くなった母を追いかけて自殺した父。自殺を考えていた父の背中と重なったのだ。

チカラは小日向を刺激しないように手紙でコミュニケーションを取ろうとする。応じた小日向から語られたのは、マンションに引っ越してきた矢先の妻の死。これから、楽しい夫婦の生活が待っていると思っていたのに、全て消えてしまった。自暴自棄になった彼は、まさに自殺を考えていたのだ。

自分の両親の境遇と似ている小日向と出会ったことで、チカラは自身の過去と向かい合うことになる。そう、最終回はチカラ自身の問題解決だったのだ。高校生だった自分を残して自殺した父をずっと許せずにいた。たびたび作中に両親の話題が出てきていたのは、チカラの心の中にずっとわだかまりとして残っていたのだろう。

マンションの住民たちの問題、中越家の問題を乗り越えて、ようやく、チカラは自分の問題と向き合うことができたのだ。

チカラが関わってきた住人たちもそれぞれにとりあえずのハッピーエンドを迎える。日本を離れるつもりだったマリア(ソニン)は上条(清水尋也)からの告白とプロポーズを受けることに。頼子のもとにも娘親子が戻ってくる。清江(風吹ジュン)が施設に入り、寂しさを抱えていた託也(長尾謙杜)も前を向き始めた。そして、学(小澤征悦)と達代(映美くらら)も離婚へと話が進み、新たな一歩を踏み出そうとしている。

いまは幸せだけれど、それぞれの人生は長い。これからだって辛いことはある。でも、きっと大丈夫。話を聞いてくれる人がいるから。それだけで、生きる上で安心できる。

最初は「ちょっとおせっかいすぎやしないか」と思えたチカラの存在。

そんなチカラだからこそ、マンションの住人にとっての心の拠り所になれたのかもしれない。

(文:シネマズ編集部)

※この記事は「となりのチカラ」の各話を1つにまとめたものです。

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–{「となりのチカラ」作品情報}–

「となりのチカラ」作品情報

出演:
松本潤
上戸彩
小澤征悦
映美くらら
古川凛
ソニン
清水尋也
長尾謙杜(なにわ男子)
鎌田英怜奈
大平洋介
浅野和之
夙川アトム
勝地涼(友情出演)
風吹ジュン
松嶋菜々子

脚本:
遊川和彦

音楽:
平井真美子

主題歌:
上原ひろみ

ゼネラルプロデューサー:
三輪祐見子(テレビ朝日)
服部宣之(テレビ朝日)

チーフプロデューサー:
黒田徹也(テレビ朝日)

プロデューサー:
秋山貴人(テレビ朝日)
松野千鶴子(アズバーズ)

演出:
遊川和彦
本橋圭太
竹園 元
松川嵩史

制作協力:
アズバーズ

制作:
テレビ朝日