島崎遥香主演のドラマ「ハレ婚。」が、2022年1月16日放送スタートした。
「ヤングマガジン」(講談社)で2014年から2019年にかけて連載されたNON原作の同名漫画をドラマ化した本作は、日本で唯一の「一夫多妻制(ハーレム婚、通称ハレ婚)」が認められた街を舞台にした異色ラブコメディ。実家へ帰郷して“3人目の妻”となる主人公・小春を島崎遥香、すでに二人の妻を持ちながら小春にプロポーズする「ハレ婚夫」伊達龍之介を稲葉友、1人目の妻・ゆずを柳ゆり菜、2人目の妻・まどかを浅川梨奈が演じる。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
東京暮らしで付き合った男性はすべて既婚者…。東京での恋と生活に疲れ切った前園小春(島崎遥香)は、故郷・北つばめ市へと帰郷する。そこで知らされたのは、父・哲郎(渡辺いっけい)が病に倒れ、実家で経営している喫茶店「ルパン」が、多額の借金を抱え閉店に追い込まれていることだった!
なんとしても喫茶店を守りたい小春の前に現れたのが伊達龍之介(稲葉友)という謎の男。「ルパン」の常連客という龍之介は、借金の肩代わりを申し出ると「幸せにするよ。結婚しよう」といきなりプロポーズ!しかし、彼にはすでに1人目の妻・ゆず(柳ゆり菜)と2人目の妻・まどか(浅川梨奈)がいた!?
実は、少子高齢化や過疎化の対策として、日本で唯一の一夫多妻制(通称・ハレ婚)」が認められた特区となっていた北つばめ市。町には複数の妻を持つ男性の姿も…。
「既婚者ハンター」と称されるほど、既婚者に苦しめられ続けた小春にとって理解のできないハレ婚制度。しかし、実家と店を守るために小春は3人目の妻となる決意をするのだが…!?
第1話のレビュー
累計発行部数260万部を突破する大人気コミック『ハレ婚。』が、ついに待望の実写ドラマ化。初回の放送からドキドキと笑いに満ち溢れたストーリーが超特急で進行していった。
日本で唯一、一夫多妻制度=ハーレム婚(通称“ハレ婚”)が認められた架空の田舎町・茨城県北つばめ市を舞台とした本作。既婚者に騙され続けた東京での暮らしに疲れた主人公・小春が伊達龍之介という謎の男にいきなり求婚され、あれよあれよという間にハレ婚に巻き込まれていく展開が面白い。
一方で、いかにも漫画的な設定だと思う人もいるかもしれない。しかし、そんな視聴者を置いてけぼりにしないのが小春を演じる島崎遥香の“コメディエンヌ”としての才能だ。
帰郷して早々、父・哲郎(渡辺いっけい)の経営する喫茶店「ルパン」が多額の借金を抱え閉店に追い込まれていることを知った小春。そんな時、喫茶店の常連客である龍之介(稲葉友)から借金を肩代わりする代わりに結婚してほしいとプロポーズされる。しかし、彼はハレ婚の利用者で、既に二人の妻がいたのだ。
一夫一婦制が当たり前となっているこの国では、多くの女性がハレ婚なんてとんでもない!と思うだろう。そんなの男性が得するだけで、女性には一切メリットがないじゃないかと怒りすら覚えるかもしれない。
小春も例に漏れず、全力で龍之介からの申し出を拒否。ただ、実家であるお店は何が何でも守りたい。そんな小春の揺れ動く様を島崎遥香はあくまでもコミカルに演じていた。みんな何故かハレ婚を受け入れている中で、小春のオーバーリアクションが理解できない人たちの気持ちに寄り添ってくれる。
また、「お金だけもらっちゃえばよくない?」と小狡い一面を惜しみなく見せてくれる小春はヒロインとしてとても親しみやすい。しかし、そんな小春の甘い考えをすぐさま見抜いてしまうのが龍之介だ。
龍之介はそのビジュアルだけでなく中身も相当変わり者だが、誰よりも頭が切れる。ふとした瞬間に見せる不敵な笑みがミステリアスな魅力を放っており、他に妻がいてもいいと思う女性がいても不思議ではない。行動も大胆不敵で、小春の両親が抱える借金を返すため、すぐさま豪邸を売り払ってしまうところも潔くてかっこいいと思ってしまう。
小春は責任を取って龍之介との結婚を決意し、あれほど嫌がっていたハレ婚に身を投じていくわけだが……第1夫人と第2夫人がこれまた個性的で行く末が案じられる。
感情的になると茨城弁が出る、見た目がギャルのゆず(柳ゆり菜)はこざっぱりとした性格で小春とも分かり合えそうだが、問題は2人目の妻・まどか(浅川梨菜)だ。妖艶な雰囲気を放つまどかは心酔している龍之介に忠実だが、本当は第3夫人として小春を迎えることにどう思っているのかがイマイチ掴めない。
タイプが大きく異なる4人がどのように共同生活を営んでいくのか。また、なぜ龍之介は「可愛いだけの女」と思っている小春に執着するのか。異色のラブコメディから目が離せない。
※この記事は「ハレ婚。」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
小春(島崎遥香)の実家が抱えていた借金は3000万円。だが、龍之介(稲葉友)は二人の妻であるゆず(柳ゆり菜)、まどか(浅川梨奈)と“夫婦3人”で暮らしていた豪邸をあっさりと売却して工面したことで、小春は3人目の妻となることを決意する。
結婚式当日、夫1人、妻3人による式が執り行われるが、ハレ婚に反対する小春の父・哲郎(渡辺いっけい)の姿はなかった…。
晴れて“4人夫婦”となった小春たちは、市が助成として用意した古い一軒家で結婚生活をスタートさせることに。そこで明らかになったのは龍之介が“無職”だったこと!さらに、ゆずから聞かされたのは“夫の言うことは絶対!”、“寝床は問答無用でローテーション!”という伊達家ルール!ゆずとまどかにとっては当たり前の夫婦生活のようすだが、小春はハレ婚生活を認めることができない。数日後、“ローテーション”による龍之介との夜を迎えた小春だが、龍之介を受け入れることに我慢ができず実家に帰ってしまう。
実家の喫茶店「ルパン」では、高校3年生のうらら(なえなの)がバイトとして働いていた。そして、母の直子(宮地雅子)から龍之介が有名な作曲家であることを聞かされる小春。そんな中、龍之介が「ルパン」に訪れるのだが…。
第2話のレビュー
夫1人、妻3人による前代未聞の新婚生活が始まった。すでに定められていたあくまでも夫・龍之介(稲葉友)ファーストな家庭のルールに、小春(島崎遥香)は驚くばかり。
特に理解し難いのは、「寝床は問答無用でローテーション!」というもの。初日の夜には隣からゆず(柳ゆり菜)と龍之介が営む声が聞こえ、小春は思わず部屋を飛び出す。
そこで目撃してしまったのが、物置小屋に置かれたピアノを泣きながら弾くまどか(浅川梨奈)だ。正義感の強い小春は自分の気持ちを押し殺すまどかに説教するが、「ハレ婚なんてやりたくないのはあなたでしょ」「嫌なら出ていけばいい」と突き放されてしまうのだった。
確かにまどかの言い分もわかる。本作が一夫多妻制度が認められた架空の街を舞台としたフィクションでありながら、妙にリアルなのは何故か。それはあくまでも国民に与えられた一つの選択肢であり、“強制されていない”という点にある。だからどんなに小春が理解できないものだったとしても、それを好んで選び取った3人を否定する権利などない。
特に龍之介が呟いた「決まってるの?こうしたら愛ですよ、なんて。学校では教えてくれない。変なの。だいたい、その普通の夫婦だってどの程度まともに夫婦やれてるんだろうね」という言葉がじんわり響いた。
夫婦は1対1じゃなきゃダメ。男女じゃなきゃダメ。結婚したら、どちらかが改姓しなきゃダメ……。今でも多くの人が捉われている「こうしなきゃダメ」という結婚にまつわる既成概念に揺さぶりをかける。ああ、やっぱり小春は私たち視聴者の分身なのだ。
もちろん小春にもハレ婚を受け入れがたい理由があって、そこもちゃんと描いてくれる。東京で既婚者に騙され続けたからこそ、自分だけを愛してくれる人を求めている小春。
お互いを完全に理解し合うことは難しいかもしれない。でも、ラストでなぜハレ婚が必要なのか理由を問われ、龍之介が人生を旅に例えて「仲間に僧侶と魔法使いがいたら武闘家もほしい」と語った時に小春が「なにそれ」と笑うシーンは、違った価値観を持つ者たちが共存する一つの道を提示してくれた。
ただ小春の場合はまだ龍之介に恋愛感情を抱いていないからこそ、彼が他の妻とイチャイチャしていても耐えられるわけで……。一方、十数年龍之介から思われていた小春に対する態度はゆずとまどかで大きく違う。
全く気にしておらず、むしろ龍之介を煽っているようにも見えるゆずに対し、嫉妬心を剥き出しにするまどか。ここまでは龍之介と小春の関係性にスポットが当てられてきたが、二人の現在に至るまでのエピソードも気になるところだ。
※この記事は「ハレ婚。」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
「明日、ハワイに行こう!」
家出から帰ってきた小春(島崎遥香)の「ハネムーン、行こうよ!」という提案をすんなりと受け入れた龍之介(稲葉友)の即断で、ハネムーンへと向かった伊達家一行。到着したのは、日本にある常夏の楽園『スパリゾート ハワイアンズ』だった!
常夏の島“ハワイ”を思い浮かべていた小春は愕然とするばかりだったが、施設内にある大きなプールへと繰り出すと水着姿で思わずはしゃぎだす。しかし、新婚といえども“特別扱い”はルール違反の伊達家。龍之介を独り占めしてハネムーンを思い切り楽しみたい小春だが、どんなときでも龍之介が3人の妻と平等に接するという伊達家の“日常”にフクザツな気分にさいなまれる…。
4人でのハネムーンの中で、龍之介の誠実さを心底信じているゆず(柳ゆり菜)、一途に龍之介のことを愛しているまどか(浅川梨奈)、それぞれの妻としての考え方も徐々にわかりはじめる中、小春は龍之介と真剣に向き合うほどに不安になってしまうことに気づく…。そして、思い描いていた結婚とはまるで違うハレ婚の在り方。二人の妻へのヘンな嫉妬と、龍之介に対する不安が駆け巡る小春の新婚旅行はどうなってしまうのか!?
第3話のレビュー
小春(島崎遥香)と龍之介(稲葉友)がついに両思いとなった。
現代では珍しく、恋愛よりも結婚が先だった二人。龍之介は幼い頃から小春のことが好きだったというが、小春の方は複数の妻を持つ龍之介に対してずっと嫌悪感を抱いていた。しかし、「ハレ婚。」第3話でのハネムーン旅行で小春は自分の中に芽生えた思いを実感することに。
「ハワイに行こう!」という龍之介の提案で、伊達家が向かったのは日本のスパリゾート・ハワイアンズ。一瞬落ち込む小春だったが、せっかく来たのだからと全力でプールを楽しもうとする。しかし、新妻といえども“抜け駆け”は厳禁。龍之介を独り占めすることは叶わず、ゆず(柳ゆり菜)やまどか(浅川梨奈)とイチャつく姿を見て小春はモヤモヤ……。
「彼女は今が辛い時です」とまどかが言うように、おそらく一夫多妻制を選択した妻の誰もが味わうであろう嫉妬を経験することとなる。考えただけでも切ない!
そこで小春に手を差し伸べるのが、口は悪いけど何だかんだ面倒見の良いゆず。彼女は龍之介のことを、「幸せにすると言った以上、約束は守る誠実な人」と信じ込んでいる。理由は妻だからの一言。それでも嫉妬や独占欲にどう折り合いをつけていいかわからない小春だったが、自分の気持ちにまずは正直になってみることにした。
「私、龍のことが好きみたい」
そんな小春の言葉を聞いて、12年も片思いしていた龍之介は涙を流して喜ぶ。そして、夜のプールで初めてのキスを交わす二人。とにかく第3話はさりげなく龍之介の気を引こうとしたり、ヘアゴムをプレゼントされて喜んだりと子どものような小春が可愛かったが、特に「もっと早くこうすれば良かった」と言って龍之介に甘える姿に胸キュン。つい意地を張っちゃうところはありつつも、気持ちがダダ漏れな小春の魅力はきっと、“あざと可愛い”が一つの代名詞となっている島崎遥香だからこそ引き出せたものだろう。
そんなこんなでハネムーン旅行は伊達家の素晴らしい思い出となり、4人はようやく家族らしくなってきた。そんな矢先にハレ婚を反対していた父・哲郎(渡辺いっけい)が現れ、小春に離婚届を渡す。「お前、自分が3番目の女だってのは幸せか?」という父の問いに、ハレ婚も悪くないと思い始めた小春はどう答えるのか。
※この記事は「ハレ婚。」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
「離婚しないなら二度と家には入れねぇ!」
小春(島崎遥香)は、退院してきた父・哲郎(渡辺いっけい)から、いきなり怒鳴られてしまった。しかし、哲郎の病状はかなり悪く、延命治療を断り退院したものの、余命もあとわずかということを母・直子(宮地雅子)から聞かされ、小春は混乱したまま伊達家へと向かう。
いつもの4人での伊達家の食卓だが小春の心は放心状態。その日、龍之介(稲葉友)とゆず(柳ゆり菜)が夜を過ごす間、小春はまどか(浅川梨奈)の部屋へと赴き、「父からハレ婚を反対されたらどうする?」と遠回しに相談を持ちかける。まどかは、「くだらない」と超クールに一蹴しつつも、小春に優しくアドバイスを送る。
父を元気づけたいと考えた小春は、龍之介らに哲郎の病状を打ち明ける決心を。実は、哲郎の病状をかねてより知っていた龍之介は「安心させてあげなくちゃね」と優しい笑顔をみせ、みんなで楽しめることをしようと提案するのだった。
小春は幼い日に、楽しそうに釣りを教えてくれた哲郎の笑顔を思い出していた。女好きで珈琲が好き、そしてずっと釣りに行きたいと話していた父…。
小春は哲郎を釣りに誘い出した。久々の父娘での外出…しかし、そこにいたのは伊達家の面々だった。二人の妻とともに、にこやかに哲郎に声をかける龍之介。その姿をにらみつける哲郎だったが…。
第4話のレビュー
龍之介(稲葉友)への恋心を実感し、前途多難なハレ婚を続けていく覚悟が決まった小春(島崎遥香)。そんな彼女の元に結婚を反対していた父・哲郎(渡辺いっけい)が現れ、龍之介との離婚を迫る。
「ハレ婚。」第4話は、父親として娘の幸せを願う哲郎や、そんな哲郎に小春が幸せであることを示そうとする龍之介や二人の妻・ゆず(柳ゆり菜)とまどか(浅川梨菜)の優しさが心に沁みる回となった。
小春は哲郎の余命があとわずかであることを母・直子(宮地雅子)から聞かされる。延命治療を断り退院したのは、ずっと小春のことが気がかりだったからだろう。
にわかに現実を受け入れられない小春はその夜、まどかの部屋に赴いて「父からハレ婚を反対されたらどうする?」と相談を持ちかけた。まどかは「したいようにすればいいわ。いずれ死に別れるんだから」と一度は突き放すも、その言葉を聞いて落ち込む小春にそんな暇があるなら行動しなさいと背中を押す。
しかし、小春が考えたのは「ゆずにナース服を着せて父を元気づける」というあまりにも突飛な作戦で頭をかかえる一同。みんなに協力してもらうため、意を決して父の病状を打ち明けようとする小春だったが、龍之介だけはとっくに哲郎本人からそのことを聞かされていた。
そして後日、作戦決行のため哲郎を趣味の釣りに連れ出し、伊達家の面々を紹介する小春。最初は乗り気じゃなかった哲郎も、龍之介が上手くその気にさせたおかげで釣りを楽しむのだった。
一方で才色兼備な小春以外の妻を知り、娘は何か役に立っているのかと心配する哲郎に、まどかは「今の龍之介さんが一番安定しているんです。穏やかで楽しそうで。それは彼女たちのおかげです」と悔しさを滲ませながらも小春が家族として必要とされていることを伝える。
ハレ婚家族は世間から“金持ちの好色亭主とそれに群がる金目当ての女たち”という印象を持たれているのかもしれないが、実際は違う。みんな心から龍之介のことを愛し、また龍之介も全員を本気で幸せにしようとしている。文句を言いながらも、ゆずとまどかも意地っ張りで少し抜けている妹のような小春を支えてきた。「ライバルというよりもお姉ちゃんが二人できた感じ」。そう小春が哲郎に語ったように、伊達家はオリジナルな家族の形を築いてきたのだ。
そんな少し変わった伊達家の中で小春が幸せに暮らしていることを知った哲郎は、最後にあることを龍之介に託す。それは自分亡き後、周りに心配をかけないように感情を押し込めてしまいがちな小春をちゃんと泣かせてあげてほしいというもの。
第3話でゆずが「幸せにすると言った以上、約束は守る誠実な人」と言った通り、龍之介は哲郎から病状を打ち明けられた時に、自分が代わりとなって小春を守ると心に決めたのだろう。娘を愛する父親の願いは、もうピアノは弾かないと決めていた龍之介の心をも動かす。小春は哲郎が好きだった曲を演奏する龍之介のピアノの音色でちゃんと悲しむことができた。
感動的なシーンだが、気になるのは龍之介をずっとそばで支えてきたまどかのこと。自分にはないものをたくさん持っている小春に対し、彼女は劣等感を隠しきれない様子だ。ラストではそんなまどかが何やら病院に通院していることを匂わせる場面も。これまでは小春と龍之介の関係に焦点が当てられてきたが、ようやくまどかやゆずの過去や思いも明らかになりそうだ。
※この記事は「ハレ婚。」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
クリスマスシーズンで華やぐ東京の街へとバースデーデートへ繰り出した小春(島崎遥香)と龍之介(稲葉友)。だが、この日は伊達家においては3日に一度のまどか(浅川梨奈)の日。龍之介は夜までには家に帰り、まどかと夜を過ごす約束の上でのデートだった。
二人きりのデートも終電の時間が近づいてきた。名残惜しさを押し殺してお土産を買って帰ろうと心に決める小春…しかし龍之介は「今日は帰らない!」と小春を抱きしめ、そのまま東京で一夜を過ごすことに。
その頃、伊達家ではゆず(柳ゆり菜)とまどか(浅川梨奈)が、小春のバースデーケーキとシャンパンを用意して二人の帰りを待っていた。まどかは「龍之介さんは嘘をついたことがないもの」と、龍之介を信じて待ち続けるのだが、やがて時計の針は12時を過ぎる…。
翌日、小春と龍之介が家へと帰ってくると、まどかは家を出ていってしまった後だった。「まどかに謝らなきゃ」と慌てて家を飛び出す小春。その姿に「まどかの意思を尊重する」と話していた龍之介は、「六本木にアテがある」と真剣な表情をみせるのだった。
龍之介が小春とゆずを連れてやってきたのは、六本木にあるピアノバーだった。そこで明かされたのは、龍之介とまどかの出会いのエピソード、そして、まどかの壮絶な過去だった…。
第5話のレビュー
クリスマスシーズンで華やぐ東京の街へとバースデーデートへ繰り出した小春(島崎遥香)と龍之介(稲葉友)。だが、この日は伊達家においては3日に一度のまどか(浅川梨奈)の日。龍之介は夜までには家に帰り、まどかと夜を過ごす約束の上でのデートだった。
二人きりのデートも終電の時間が近づいてきた。名残惜しさを押し殺してお土産を買って帰ろうと心に決める小春…しかし龍之介は「今日は帰らない!」と小春を抱きしめ、そのまま東京で一夜を過ごすことに。
その頃、伊達家ではゆず(柳ゆり菜)とまどか(浅川梨奈)が、小春のバースデーケーキとシャンパンを用意して二人の帰りを待っていた。まどかは「龍之介さんは嘘をついたことがないもの」と、龍之介を信じて待ち続けるのだが、やがて時計の針は12時を過ぎる…。
翌日、小春と龍之介が家へと帰ってくると、まどかは家を出ていってしまった後だった。「まどかに謝らなきゃ」と慌てて家を飛び出す小春。その姿に「まどかの意思を尊重する」と話していた龍之介は、「六本木にアテがある」と真剣な表情をみせるのだった。
龍之介が小春とゆずを連れてやってきたのは、六本木にあるピアノバーだった。そこで明かされたのは、龍之介とまどかの出会いのエピソード、そして、まどかの壮絶な過去だった…。
小春と龍之介が初めて結ばれた頃、小春のために用意したケーキの前にして二人の帰りを待つまどかの姿が切ない。翌朝、ゆず(柳ゆり菜)はまどかが結婚指輪を置いて家から消えていることに気づく。自分のせいだと責任を感じる小春。再び東京に戻り、龍之介とまどかが以前働いていた六本木のBAR「BURROW」を訪ねることに。しかし、ある事情で龍之介は店長から恨みを買っていた。
二人がこのお店で出会った頃、まどかは家族にお金を渡すために売春を行っており、父親もわからない子どもを妊娠。似たような孤独を抱えるまどかを龍之介はかばい、店長に自分が子供の父親だと名乗り出てお店を解雇されたのだ。その時から龍之介に忠誠を誓い、茨城までついてきたまどか。家出した彼女に対して龍之介が何もフォローしようとしなかったのは、最初から「僕のことを信じられなくなったら、その時は自ら消える」と約束を交わしていたからだった。
「まどかには幸せになってほしい」と語る龍之介に、小春は諦めずに「龍はどうしたいのか」を問いかける。まどかが伊達家からいなくなれば、小春は今よりも龍之介を独占できるはず。だけど彼女にとって今や龍之介だけではなく、まどかやゆずも大切な“家族”だった。こんな形で終わっていいはずがない。小春は「BURROW」の店長に頼み込み、龍之介のピアニスト復帰コンサートを開いてまどかをおびき寄せる作戦に出た。
龍之介が弾くピアノの優しい音色を、お店の外で聴きながら涙するまどか。実は一度子どもを中絶したことで不妊に悩んでいた彼女は、龍之介に黙って子宮の摘出手術を受けていたのだ。もしかしたら小春の誕生日の夜、まどかは龍之介に自分が抱えている不安を相談しようとしていたのかもしれない。でも自分との約束を破り、小春との時間を選んだ龍之介をまどかは信じられなくなってしまったのだろう。
今回の出来事でまどかの大切さを実感した龍之介だったが、彼女から「もう楽にしてほしい」と離婚届を突きつけられる。
“金持ちの好色亭主とそれに群がる金目当ての女たち”。そんな世間からのイメージ通りだったら上手くいくのかもしれないが、そこに愛がある限り、やはりハレ婚は成立しないのか。次週はゆずの過去も明らかになり、少しずつ龍之介が普通の結婚ではなくハレ婚を選んだ本当の理由に近づいていく。
※この記事は「ハレ婚。」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
まどか(浅川梨奈)から離婚を告げられた龍之介(稲葉友)。2人の過去を知った小春(島崎遥香)は、なんとか離婚をやめさせようとするが、まどかの決意は固く、まどかがひとり去っていくのをただ見守ることしかできなかった。
まどかがいなくなり、3人でのハレ婚生活がはじまった。龍之介の元にはHYDE(HYDE)のバックバンドへの参加など、ミュージシャンとしての仕事が舞い込みはじめていたが「働きたくないなあ」と嘆くばかり。その一方で、龍之介が子宝に恵まれることを楽しみにしていると知る小春。
そんな中、ゆず(柳ゆり菜)の妊娠が判明!新しい家族の誕生を喜ぶ小春だったが、なぜかゆずの表情は晴れない。翌日、ゆずが向かったのはタトゥーをいれた男・ジョー(小野塚勇人)の家だった。実は、ジョーはゆずのかつての恋人で、一度は結婚の約束までした婚約者!そのジョーからゆずを奪ったのが龍之介だった。妊娠を知り「間違いねえ。俺の子だ」と確信するジョーは「すぐに迎えに行く」とゆずに告げる。ジョーの家から飛び出したものの、伊達家に戻れないゆず。行き場をなくしたゆずが向かった先は…。
第6話のレビュー
子どもができないという理由で伊達家を去ることにしたまどか(浅川梨奈)。龍之介(稲葉友)とまどかの過去を知った小春(島崎遥香)はどうにか二人の離婚を止めようとするが、まどかの意思は固く、家族4人が揃った最後の時間を過ごして去っていく。
「ハレ婚。」第6話では、そんなまどかに続いて、第一夫人・ゆず(柳ゆり菜)にも転機が訪れた。
生理が来ていないため、妊娠を疑った小春は検査薬を使うも結果は陰性。一方、ゆずのお腹には新しい命が宿っていた。家族が増えることに戸惑いながらも喜ぶ小春と龍之介。しかし、お母さんになるゆずはどこか心ここに在らず……。
翌日、ゆずが向かったのは見るからに悪そうな男の家だった。ジョー(小野塚勇人)と呼ばれるその男は、実はゆずの元カレ。今も頻繁にあっているようで、ジョーがゆずの妊娠を知り、「間違いなく俺の子どもだ」と断言していることからも二人は只ならぬ関係であることが分かる。きっとゆずが純粋に妊娠を喜べないのも、子どもの父親がジョーか龍之介か判断できないからだろう。
でも、何も考えていないようで、実は鋭い観察眼を持つ龍之介にはお見通しだった。ゆずの様子が気になって仕方がない小春に、龍之介は「ある男からゆずを奪った」と話す。その男こそ、ゆずが一度は結婚の約束までしたジョーだった。
高校生の頃から、口先ばかりでまともな仕事にもつかないジョーと喧嘩しながらも仲良く交際していたゆず。そんなある日、二人は鼻血を出して倒れている龍之介に出会い、ジョーは自らボディガードを買って出た。その代わりにと言って、ジョーはゆずと共に龍之介がまどかと暮らしていた家に転がり込んだという。
その後のことはまだ明らかになっていないが、何らかの理由でジョーが警察に捕まったことでボロボロになったゆずを龍之介は妻として迎え入れたのかもしれない。ゆずはそんな龍之介に恩義を感じているが、心の底ではジョーを忘れられなくて“不倫”に走ったということなのか。
サバサバとした性格でいつも気高く生きているゆずは、すっかりやつれた様子でまどかを頼る。それほどまでに彼女の心をかき乱してしまうジョーはどんな人物なのか。
一見どこがいいのかさっぱりわからない男だが、確かに妊娠中のゆずに「あったかくしろ」と着るものを渡したり、伊達家に突然現れてびっくりさせてしまった小春に素直に誤ったり、至るところで心根の優しさが見え隠れする。刑務所に入っていたのも、単純に悪いことをしてというわけではなさそうだ。
さて、第6話は本作の主題歌を担当しているHYDEの友情出演も見どころの一つだった。HYDEは今回、本人役で出演。龍之介の曲を気に入り、ツアーでのピアノ演奏を依頼するという設定だ。スマホの画面越しに登場したシーンは一瞬だったが、それでも圧倒的なオーラを漂わせる。
そんな一流も一流のアーティストと仕事ができるなんて、龍之介はきっとかなりの才能の持ち主なのだろう。でも一方で、過去に龍之介の元に届いていたという脅迫状が気になるところ。ジョーが警察に捕まったこととも何か関係があるのかもしれない。
※この記事は「ハレ婚。」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
ゆず(柳ゆり菜)の妊娠を知ったジョー(小野塚勇人)が伊達家に乗り込んできた!一触即発の龍之介(稲葉友)と強面のタトゥー男・ジョーに危機感を察知した小春(島崎遥香)だったが、実は仲が良い2人。その姿を目の当たりにした小春は“龍之介とジョーを引き離したくない”というゆずの思いをおもんぱかるのだった。
そこへ、まどか(浅川梨奈)から小春の元に連絡が入る。ゆずはまどかの元に来ており、今は具合が悪く入院しているという。居ても立っても居られない小春は、一人でゆずが入院する病院へと向かうのだった。
病院でゆずとまどかを見つけた小春は、こっそりと隠れて二人の様子を伺うことに。しかし、「一人で産んで育てようと思う」というゆずの言葉に動揺を隠せない。タクシーに一人で乗り込んだゆずを、別のタクシーで追跡する小春。しかし、小春の追跡はゆずにバレていた。
ゆずと小春が向かったのは水族館。ゆずは吹っ切れた表情で「伊達家を抜ける」と小春に明かすのだった。龍之介とジョーが待つ伊達家へ小春とともに帰ってきたゆず。産まれてくる子どもを一人で育てることを龍之介とジョーに伝えるのだが…!
第7話のレビュー
まどか(浅川梨奈)に続き、妊娠をきっかけに伊達家を去る決意をしたゆず(柳ゆり菜)。一方、龍之介(稲葉友)の前にゆずの元婚約者・ジョー(小野塚勇人)が現れ、一色触発!と思いきや、親友のように仲が良い二人の様子に小春(島崎遥香)は驚く。
そして、ゆずの二人を引き離したくないという気持ちを察するのだった。
そんな小春の元に、まどかからゆずが具合が悪く入院しているという連絡が入る。退院の日にこっそりと様子を見に行った小春は、そこで「一人で産んで育てようと思う」というゆずの言葉を聞いてしまい、動揺を隠せない。しかし、その後二人で行った水族館でゆずの固い決意を知り、その意志を尊重することにした。
「ハレ婚。」第7話は、小春とゆずの間に芽生えた友情が印象的だった。最初から小春に喧嘩腰だったが、何だかんだ母親のように世話を焼いてくれたゆず。そんな彼女に恩返しするかのように、小春は全力でゆずの気持ちに寄り添う。
何より感動的だったのは、密かに小春が生まれてくるゆずの子供のためにベビーベットを買っていたことがわかる場面。まどかもそうだが、愛している人と別の人との間に生まれてくる子供をそこまで愛情を持って受け入れるのは容易いことじゃない。伊達家は一見、1人の夫が3人の妻と契約しているような関係性に思えるが、役割はそれぞれにあって、ちゃんと「4人で1つの家族」なのだ。夫と妻だけではなく、妻と妻も友情に似た唯一無二の関係性を築いてきた。
ゆずが最終的に選んだのは、龍之介でもジョーでもない。何の見返りもなく自分と子供を受け入れてくれた小春だ。ゆずは伊達家で子育てすることを決め、なんとそこから4年の歳月が経過する。
龍之介はテレビで紹介されるほどすっかり有名な作曲家・ピアニストとなっており、忙しくてなかなか家には帰れていない。代わりに小春がゆずと共に生まれてきた子供・麟之介(佐藤一和)を育てていた。そんな“1夫2妻1子”の穏やかな日々を送る中、小春はマネージャーとして伊達家を出て行ったまどかが龍之介に付き添っていることを知る。
しかも、何やら離婚したはずの二人の間には怪しげな空気が漂っていて……。「不倫」といえるのかは謎だが、またもや伊達家にピンチが訪れそうだ。
そして、もう一つ気になるのが“世間の風”。麟之介が生まれてから4年後、ハレ婚に反対する声も挙がっているようで、街には「一夫多妻制度を必ずや撤廃いたします!」と宣言する選挙カーの音も流れている。
もし、ゆずの父である大津一基(喜矢武豊)が次の市長選で負けたら伊達家は解散の危機に追い込まれるだろう。そんな逆風に小春たちがどう立ち向かっていくかも見ものである。
※この記事は「ハレ婚。」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
ゆず(柳ゆり菜)の出産から4年が経ち、小春(島崎遥香)は伊達家の息子・麟之介(佐藤一和)をゆずとともに育てていた。夫婦3人と麟之介の家族4人での暮らし、そして子育ての喜びを感じる日々を送っていた。
龍之介(稲葉友)は作曲家・ピアニストとして大きな成功をおさめていたが、多忙で家に帰れない日も増えていた。そんな龍之介のマネージャーとして付き添っていたのはまどか(浅川梨奈)。4年前に離婚したことへの後悔と3番目の妻として再婚したいという思いを明かす。
まどかと再婚したいという気持ちを小春とゆずに伝えた龍之介。驚きを隠せない小春は、龍之介が自分の知らない所でまどかと会っていたことに対して、こみ上げる悔しさを抑えられないでいた。
これまでのように1夫3妻の4人の夫婦で仲良く暮らそうと考えていた龍之介。しかし、まどかは龍之介を独占したい強い思いに駆られていた。そして、伊達家を崩壊に追い込む恐るべき画策を実行に移すのだった…。
第8話のレビュー
最終回まで残すところわずか2話となったドラマ「ハレ婚。」。ゆず(柳ゆり菜)の息子・麟之介(佐藤一和)が生まれ、穏やかな日々を過ごしていた伊達家に暗い影が忍び寄る。
作曲家・ピアニストとして多忙な毎日を送り、なかなか家に帰ってこれない龍之介(稲葉友)にマネージャーとして付き添っていたのは、なんと離婚して家を出ていったまどか(浅川梨菜)。第8話では、彼女の抑えていた龍之介への愛が暴走してしまう。
一夫多妻制と聞いて、まず脳裏に浮かぶのは「妻たちは他の妻にヤキモチを妬かないのだろうか?」という疑問。お金のためと割り切っているならともかく、愛している人が他の誰かと甘い雰囲気になっていたら誰だって嫌な気持ちになる
そんな嫉妬心を小春(島崎遥香)たちは他の妻たちと深く関わり、理解し、一つの家族になることで乗り越えてきたはず。でも龍之介が外でまどかと会うようになり、小春は再びモヤモヤした感情と向き合うことになった。
龍之介は4年前に離婚したことへの後悔と再婚したいという気持ちをまどかに伝える。もちろん不倫のようにコソコソしているわけではなく、小春とゆずにも本音を明かしているのだが、今回ばかりは龍之介の行動にイライラしてしまった。家には麟之介がいて龍之介の帰りを待っているのに、少ないプライベートな時間をまどかを口説き落とすために使うのはどうなんだろう……。
何よりまどか自身、龍之介の絶対的な一番になれないことに苦しみ、決死の覚悟をしたのに、そんな気持ちはお構い無しに再婚を申し出るなんて身勝手だ。
そして、再び心に火をつけられたまどかがハレ婚制度の危機に乗じて驚くべき行動に出る。自分がたった一人の妻になるため、小春やゆずを排除しようとしたのだ。
DNA鑑定で麟之介の父親を特定しようとしたり、龍之介との密会現場に小春をおびき寄せたり、その行動は不倫相手を手に入れようとする身勝手な愛人そのもの。どんどん闇落ちしていくまどかの姿は哀れとしか言いようがなかった。でも、そこまで彼女を追い詰めたのは、まどかだけを選ぶことも、解放してあげることもしなかった龍之介だ。
そんなまどかの暴走を止めたのは、ゆずの息子・麟之介だった。まどかの中には理性が残っていて、純粋無垢な子どもを前にしてようやく我に返る。
ただただ、お父さんの龍之介とお母さんのゆずを求めている麟之介。親子三人が並ぶ幸せな家族の原風景に、まどかだけではなく小春の心も揺さぶられる。そして、小春は伊達家を出ていく決意をするのだった。
「ハレ婚。」は次週、最終回。一夫多妻制度をテーマに当たり前とされている今の結婚のあり方に切り込んだ本作は、最後にどのような答えを我々に提示するのだろうか。
※この記事は「ハレ婚。」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
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龍之介(稲葉友)からの突然のプロポーズで始まった小春(島崎遥香)のハレ婚生活。まどか(浅川梨奈)の離婚、ゆず(柳ゆり菜)の出産、そして、麟之介(佐藤一和)の子育てに追われる中、龍之介が音楽家として成功…家族の環境が変化する中で、まどかの復讐劇(!)もあった。これまで数々の苦難を持ち前の明るさで乗り越えてきた小春だったが、すべての出来事は小春にとって結婚と家族のあり方を考えさせられるものばかりだった。そして、小春がたどり着いた答えは「離婚」――。
小春の気持ちを汲み取った母・直子(宮地雅子)。優しく励ましの言葉を投げかけられると、小春は涙が止まらなくなる。
サインの書かれた離婚届と、外した結婚指輪を龍之介に差し出した小春。納得できない龍之介とゆずだったが、小春の決意は変わることがなかった。そして迎えた最後の日、小春が一人で向かったのは幼い日に龍之介と初めて出会った神社の境内だった。
懐かしい思い出に包まれた小春が思わず「龍…」とこぼれてしまう。するとそこには龍之介の姿が…。小春と龍之介は二人が出会った場所で、夫婦で最後の会話を交わす。そして、小春は伊達家にさよならを告げて家を出ていくのだった。
2ヶ月後、小春は焼肉店でバイトをしながら東京暮らしを始めていた。新しい人生を歩み始めた小春。北つばめ市では、一夫多妻制度の廃止が決定していた。そんなある日、バイト先の焼肉店にやってきたのは…ゆずとまどかだった!?
第9話のレビュー
「僕が本当にほしいもの、それは未来だ。目に見えないもので繋がった僕たちを子供という存在が照明してくれる。そして、僕たちには作れない未来を子供やその子供が作って、どこまでも続いていく。僕たち家族の愛は永遠だ」
一夫多妻制をテーマに、現代の結婚のあり方に切り込んだドラマ「ハレ婚。」がついに最終回を迎えた。
夫の龍之介(稲葉友)、第一夫人のゆず(柳ゆり菜)、第二夫人のまどか(浅川梨奈)、そして第三夫人となった主人公の小春(島崎遥香)の4人で結婚生活がスタートした伊達家。まどかが離婚して出て行った後、伊達家にはゆずの子ども・麟之介(佐藤一和)が増えた。しかし、そのことで小春は自分の存在意義がわからなくなり、ついには離婚を決意。
果たして、伊達家がたどり着いた答えとは?
離婚届に判を押し、土下座して家を出て行くことの許しを請う小春。しかし、龍之介やゆずは到底納得できない。二人にとってみれば、小春も伊達家に必要な家族だから。
でも小春はまどかとの不倫疑惑から龍之介のことを疑ってしまったり、なかなか子供ができないことから龍之介、まどか、麟之介の幸せそうな姿に心を痛めてしまったり……。モヤモヤとした感情におどらされる自分のことが嫌になってしまった。
逆に言えば、それだけ龍之介のことを愛してしまったということ。それなのに、気持ちとは裏腹に「大っ嫌い」と言ってしまう小春が切ない。
そんな小春に、龍之介は「僕が君だけを愛すると言ったら、ずっとそばにいてくれる?」と問いかける。龍之介もまた、幼い頃に神社で小春に出会った時から本気で彼女のことを愛していたのだ。
ここでイエスと言えば、龍之介はずっと望んでいたように自分だけのものになる。だけど、小春の頭にはお父さんとお母さんが大好きな麟之介のことが離れられない。
「私たちはもう大人なんだよ。あんたはもうおっさん。そんで、何がなんでも守らなきゃいけない人がいる」
子供のまま大人になった龍之介にそう語りかける小春は“お母さん”の顔をしていた。恋に疲れて帰郷したばかりの小春は甘ったれで、みんなの妹的存在だったが、波乱万丈な結婚生活の中で少しずつ守られる側から守る側に成長していったのだろう。次第に頼もしくなっていく、島崎遥香の表情が印象的だった。
小春が家を出て行った2ヶ月後、ついに北つばめ市の市長が変わり、ハレ婚制度は廃止に。これで本当にすべてが終わったかのように思えた。
しかし、そんな矢先、東京の居酒屋で働き始めた小春の前にゆずとまどかが現れる。さらにそのタイミングで小春の妊娠が発覚。離婚前日に愛を育んだ龍之介の子供だった。
不安でいっぱいの小春に「私はあんたの味方でいたい」とゆず。小春と同様に不妊に悩んでいたまどかも、複雑な感情を昇華して祝福する。同じ人を愛する故にぶつかることもあったが、だからこそ分かり合えることも多く、次第に不思議な友情が芽生えていた。
小春もまどかも再び伊達家に戻る決意をし、新たな生活が始まる。4人が家族であることの証明はできなくとも、龍之介が言ったように麟之介やこれから生まれているもう一人の子供がみんなを繋いでくれるはず。
未来は前途多難だし、もしかしたら「お前たちの家族は変だ」と誰かに笑われる日が来るかもしれない。それでも世間の正しさに流されることなく、小春のように「幸せだよ」と笑い返してほしい。「ハレ婚。」のラストはそんな未来への願いが込められているように感じた。
(文:シネマズ編集部)
※この記事は「ハレ婚。」の各話を1つにまとめたものです。
–{「ハレ婚。」作品情報}–
「ハレ婚。」作品情報
イントロダクション
愛は永遠。
そして、3つある!?
これは、条例により一夫多妻制=「ハレ婚」が認められた町で、
“3人目の妻”となった主人公・小春の
夫・1人目の妻・2人目の妻との
フクザツで不思議な結婚生活を描いたラブコメディである―――。
あらすじ
東京で付き合った男性は全て既婚者。
騙され続け、恋に疲れた前園小春は帰郷するが、父が病に倒れ、経営する喫茶店は借金が返せずに閉店することになってしまった。
しかし、なんとしても店を守りたい小春の前に、伊達龍之介と名乗る謎の男性が現れる。
小春は龍之介から借金を肩代わりする代わりに結婚してほしいと求婚されるが、彼には既に2人の妻がいた!?
なんと故郷の北つばめ市は少子高齢化や過疎化の対策として、日本で唯一の「一夫多妻制(ハーレム婚、通称ハレ婚)」が認められた特区となっていた。
いつか愛する人との結婚を夢見ていた小春は、店を守るために龍之介の“3人目の妻”となることを決意する。 こうして、龍之介、“1人目の妻”のゆず、“2人目の妻”のまどか、そして、小春によるフクザツな結婚生活が始まった―――。
放送日時
ABCテレビ 毎週日曜 23:55~
テレビ神奈川 毎週火曜 23:00~
出演
島崎遥香/稲葉友/浅川梨奈/柳ゆり菜/喜矢武豊/なえなの/宮地雅子/渡辺いっけい
主題歌
『FINAL PIECE』/HYDE(Virgin Music)
原作
NON(構成 手塚だい)
『ハレ婚。』
(講談社「ヤンマガKC」刊)
脚本
山田佳奈
演出
二宮崇
山田佳奈
松嵜由衣
音楽
羽深由理
プロデューサー
中田陽子
松本太一
矢ノ口真実(The icon)
制作協力
The icon
制作著作
ABC