清原果耶主演のTBSの火曜ドラマ「ファイトソング」が2022年1月11日(火)より放送スタート。
岡田惠和オリジナル脚本で送る本作は、夢破れたスポ根ヒロインを演じる清原と、一発屋ミュージシャン、万年片想いの一途な幼馴染の不器用な3人の恋と成長を描く。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
空手の日本代表をめざしていたが、突如としてその夢を絶たれてしまった木皿花枝(清原果耶)。全てを失い人生どん底…無気力でぐだぐだした毎日を送っていたが、幼馴染の夏川慎吾(菊池風磨)が経営するハウスクリーニングでバイトとして働くことになった。
そんなある日、かつて一曲だけヒットを出したが今や落ちぶれたミュージシャン・芦田春樹(間宮祥太朗)の家に客先として訪問することになる。
芦田は事務所から、残り2ヶ月でヒット曲を出さなければクビだと宣告され、窮地に立たされていた。
今まで空手一筋で恋もしたことがなかった花枝と、「人の心が分からないから良い曲が書けない」と追い込まれている芦田。そんな崖っぷちの2人がひょんなことから出会いを果たし…。
さらに、チャラいが長年花枝を一途に想っている慎吾は、花枝と芦田の急接近に焦りを感じ、やがて三角関係の恋に発展していく。
しかし花枝は誰にも言えない、ある“秘密”を抱えており、「これが人生最後の恋」と決めていて…。
第1話のレビュー
清原果耶にとって民放ドラマ初主演となる本作。岡田惠和オリジナル脚本とあって、大注目していた。
第1話を見終えた感想は……控えめに言って“最高”だ。
常に明るくチャラく、でも仕事には真剣で大事なところはきっちり締め、時折イケ散らかす夏川慎吾を演じる菊池風磨。
一発当てて以降ヒット曲に恵まれず、自暴自棄になっているミュージシャン・芦田春樹を演じる間宮祥太朗。
そして、夢半ばで道を絶たれてしまい、無気力な日々を過ごしている木皿花枝を演じる清原果耶。
この3人のキャスティングが完璧だった。
特に今回、清原果耶の魅力が爆発している。花枝が抱える秘密をシリアスに表現する繊細な演技は言わずもがな、ドラマ「俺の話は長い」や映画『まともじゃないのは君も一緒』でも垣間見えた会話劇の巧みさが光っていた。
幼い頃に母を亡くし、父にも捨てられ、児童養護施設へ預けられた花枝。“強くなってこの世界と戦いたい”という思いから空手に興味を持つ。
ところが施設のルール上、花枝は空手教室に通うことができない。仕方なく、晴れの日も雨の日も、教室を覗いていたら(誰も注意しないの優しい)、師範と思しき髙田延彦が顔を出し「入ってこいや」と招き入れる。
そこからめきめきと頭角を現した花枝は、スポーツ推薦で大学へ進学。日本代表も夢ではない位置までつけていた。
ところが、大会で優勝したその日に事故に遭ってしまう。やっとここまできたのに。「なんなん、これ」という花枝の心の声は、そのまま視聴者の声の代弁でもあった。夢に手が届きそうなところだったのに、あんまりだ。
これをきっかけに、花枝は大学も空手も辞め、自堕落な生活を送るようになってしまう。
施設で暮らすみんなにとって憧れの的だった花枝の姿は、今や見る影もない。見兼ねた養護施設長の直美(稲森いずみ)によって、花枝は慎吾が経営するハウスクリーニング会社で働くことに。
ところが、花枝は仕事中にぼーっとしていてミスをしてしまう。最初は花枝を元気づけようとフォローの言葉を並べる慎吾だったが、「やる気なくて」という花枝の言葉を聞き、「こっちは魂削ってやってんだ」としっかり注意する。
かと思えば、優しく花枝の気持ちを聞き出そうとするし、トップオブ陽キャみたいな方法で慰めようともする(菊池風磨のリア恋が爆発していた)。この手数の多さというか、軽さというか、くるくる変わっていく感じが筆者はとても好きだが、花枝にはちっとも響いていない。残念。
一方、一発屋ミュージシャンの芦田は、マネージャーの伊達(栗山千明)からあと2ヶ月で結果を出すように求められてしまう。
そんな折、たまたまポストに入っていた“運気があがる”というサンシャインクリーニングのチラシを見て、部屋の掃除を依頼。本当に運気があがるんですか? としつこく聞く芦田、ちょっと怖かった……。
芦田の部屋に掃除に来る花枝。家主と清掃員として出会った2人は、“あるもの”で繋がっていた。
それは、10年以上前に芦田が作ってヒットさせた唯一の曲「スタートライン」。
花枝にとって母親との思い出の曲であり、「世界にたった1つの音楽」「この曲があれば他に音楽はいらない」と言わしめるほど大切なものだった。現に花枝が持っているiPodには、その1曲しか曲が入っていない。
たまたま清掃を依頼した人が、生涯で1曲というくらい大事にしているのが自分の作った曲だなんて、もう絶対に運命だ。ちょっとずるい。
芦田はその曲をピアノの伴奏に乗せて歌い始める。
すると、これまで弱いところを見せなかった花枝がぽろぽろと大粒の涙をこぼした。そこで明らかになった、花枝の秘密。
彼女は事故に遭ったときの検査で、聴神経腫瘍が見つかっていた。最悪の場合、聴力を失うこともあるという。
亡き母との思い出を紐解く、彼女にとって唯一の音楽が、もしかしたら聴けなくなってしまうかもしれない。突如突きつけられる事実が、見る者に重くのしかかる。
だから、大学も空手も辞めたんだろう。誰にも打ち明けず、たった1人で抱えたまま。
そんな花枝に、大きなタオルを差し出す慎吾。優しいとこあるじゃん、と思っていたら、いきなり「俺と付き合ってくれない?」と言い出した……!?
幼馴染の陽キャと、弱り切ったミュージシャン、そして秘密を抱えたヒロイン。
芦田と慎吾、いわゆる“当て馬”はどちらなのか(ちなみに筆者は慎吾が“当て馬”だと踏んでいる)、すでに白熱している三角関係は、まだまだ始まったばかりだ。
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
「俺と付き合ってくれない…?」
ずっと聴いていた“勝負曲”の作者・芦田(間宮祥太朗)と、運命的な出会いをした花枝(清原果耶)。感動も束の間、花枝は芦田からのあまりに突然の申し出に大混乱!運命の出会いから一転、微妙な空気になってしまう……。
しかし、その話を聞いたあさひ学園の施設長・直美(稲森いずみ)は、「運命の人なんじゃないの?」と興味津々。その言葉を否定しながらも、どこか嬉しそうな花枝。そんな花枝を見て、慎吾(菊池風磨)はモヤモヤするばかりだった。
その頃芦田は、花枝に事情も話さず突然告白したことを猛反省していた。どうにかして花枝に会って謝ろうと考えた芦田は、思い切って再びサンシャインクリーニングに清掃を依頼!しかし、家にやってきたのは慎吾で…?
第2話のレビュー
冒頭、間宮祥太朗演じる芦田の歌声に酔いしれていたら、突如はじまった喧嘩。あぁ、芦田たちのバンドはこうやって終わってしまったんだな。未練しか残らない終わり方だった。
芦田から出た「続けたいなぁ……」が、いかに思いのこもった言葉かがよく分かる。
だからこそ、少しでも何かのきっかけになればと、弓子(栗山千明)からの本気で誰かと付き合ってみたら? というアドバイスを実践しようとしたんだろう。で、先週の「俺と付き合ってくれえない?」に繋がる。気持ちは分かるけど、やっぱちょっと唐突過ぎるよ、芦田さん。
芦田の言葉に、花枝(清原果耶)は顔をしかめて不信感を募らせる。「そう言えば女の子が喜ぶと思ってるんだったら、まじでいらないです」と花枝。きっぱりしていて気持ちがいい。
だけど、やっぱりずっと大事に聴いてきた曲を作った人に会えたことが嬉しいらしい花枝。そんな花枝の笑顔を見て、迎えに来た慎吾(菊池風磨)も嬉しそうだ。でもね、違うんだよ、慎吾……笑顔の理由を教えてあげたい……。
芦田、弓子、元バンドメンバーの烏丸(東啓介)の3人で食卓を囲む。どうやら、弓子は弓子で芦田のことが好きらしい。そんな相手に向かって、「まともに話せる女の人、弓子さんくらいしかいないよ」と芦田。もしやこの人、天然の人タラシなのか……?
一方の花枝は、あさひ学園で芦田との出会いを話す。花枝が芦田の歌を聴いて泣いたことを知り、もやもやしちゃう慎吾、それを横目で見ている凛(藤原さくら)。一方通行の好きが交錯し、お互いを思いやって見守っている感じが切ない。
すると、花枝の話を聞いていた直美(稲森いずみ)が口を開く。
「心が大きく動くっていうのはいいことだよ」「未来も動くよ、きっと」「そのきっかけとかチャンスを見逃すな」「いろんなものを奪われてここに来た」「だからいいことた~くさん起こるんだよ」……。
花枝や慎吾、凛のことも、小さい頃からよく見ていたことが分かる直美の言葉には信頼しかない。温かい言葉に、こちらの心も動いた。
やっぱり芦田のことが気になっちゃう慎吾、芦田の家に行く担当を自分に変えてしまう。けん制でもしに行くのかと思いきや、「ありがとうございました、あいつ泣かしてくれて」とお礼をする。えっと……、あなたすっごくいい奴だね??
しかもその後、凜が働く理髪店に行って、芦田のことを「いい奴っぽかった」という慎吾は、とことん真っ直ぐだ。
その頃、花枝は聴覚障がいのある葉子(石田ひかり)の家に掃除へ行く。読唇術で会話ができること、いざとなったらタブレットで筆談ができること、テレビの字幕を見て笑っていること、インターフォンが鳴ると光で知らせてくれること……そんな何気ない日常に触れる。この時、花枝の心が動いたようだった。
本来であれば花枝が家に来てくれると思っていた芦田は、何とかして花枝に謝罪をすべく、サンシャインクリーニングの問い合わせから連絡をしてくる。結構な長文だったが、たしかに誠意は伝わる内容だった。
でも、花枝との出会いを「運命だと思った」なんて、本当に恋愛をしていない人が書けちゃうんだろうか? むしろ恋愛をしていないから書けるのか?? ちょっと混乱。無意識だったら罪深すぎる……やっぱり芦田は天然の人タラシなのか……。
メールを読んだ泣かないはずの花枝はまたも涙を流し、芦田の家へ走る。ところが、ベタなすれ違いで会うことが叶わない。スマホがある時代にも、すれ違いが描けるのが運命の恋なのか、と勝手に唸ってしまった(岡田惠和脚本あっぱれです)。
花枝の残した手紙に気付き、花枝のもとを訪ねてくる芦田。2度目に掃除を頼んだ時同様、しっかりと花束を用意していた。謝罪だから花束なのか、好意ゆえの花束なのか、芦田の胸の内をぜひ聞きたい。
花束を受け取り、「わたしやっぱり付き合います」と花枝。2人は2か月という期限付きで付き合う(というか、“恋の取り組み”をする)ことになった。それはつまり、花枝が耳の手術を受ける前日まで。担当医(橋本じゅん)に「思い出を作っておいたほうがいい」と言われたのが後押しになったんだろう。
「2か月間、ときどきあの歌を聴かせてください、わたしの耳に。思い出にします」わたしの耳に、という表現が切ない。花枝は、芦田にも自身の耳のことは話す気はないようだ。
それでも心躍っている花枝。これも違う、あれも違うと洋服をとっかえひっかえして、部屋がぐちゃぐちゃなのが初々しくてかわいい。
芦田からの問い合わせメール(これ、誰か消しといて欲しかった……)を読んでしまった慎吾に追い打ちをかけるように、めかしこんだ花枝の登場。きっと、なになに、今日かわいいじゃん、なんて思っただろうに、秒で付き合うことになったと聞かされる。あんまりだ。そして、デートへ行く2人を見送り、「なんも言えねぇじゃねぇかよ」と呟く。引きつりながらも笑顔だったの、偉いぞ、と思わず褒めてあげたくなった。
当然このまま上手くいく、なんてことはないのだろうから、ここからどんな波乱が起きるのか、楽しみだ。
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
芦田(間宮祥太朗)と期間限定で”恋の取り組み”をすることにした花枝(清原果耶)。目一杯のおしゃれをして人生はじめてのデートにでかけるが行き先は、お世辞にも初デート向きとはいえない敷居の高い高級和食店……!自分たちの恋愛偏差値がかなり低いことを痛感しながらも、花枝はワクワクし心が動くのを感じていた。
鼻歌まじりに帰ってきた花枝は、直美(稲森いずみ)たちに、芦田と“恋の取り組み”を始めたことを報告!しかし慎吾(菊池風磨)は、突然の恋のライバル(?)登場に思わずイライラ……親友の凛(藤原さくら)は、花枝がそんなおかしな”取り組み”をするには何か理由があるのではと気になっていた。
その頃芦田も、マネージャーの弓子(栗山千明)と元バンド仲間の薫(東啓介)に、花枝とのことを打ち明けていた。良い曲を書くためとはいえ、芦田が本当に”恋の取り組み”を初めてしまったことに呆れる弓子。しかし、実は弓子もまた、芦田に抱く密かな想いを自覚して動揺していて…?
そんなまわりのやきもきを知る由もない花枝と芦田は、デートの仕切り直しで中華街デートを決行!いてもたってもいられない慎吾は、こっそりと2人のあとを付けるのだが…。
第3話のレビュー
花枝(清原果耶)は思い出を作るため、芦田(間宮祥太朗)は恋をして楽曲作りに活かすため。それぞれに思惑を持ち、付き合いはじめることになった。今回はそんな2人のデートがお話の中心。
観終わった1番の感想は……
慎吾(菊池風磨)&凜(藤原さくら)カップル、めちゃくちゃよくないですか……!
じっくり振り返っていきたい(情緒)。
急遽デートに出かけることになった花枝と芦田。恋の準備がまるでできていなかったため、初回のデートにはおよそふさわしくないお店へ行ってしまう。周りはスーツに身を包んだ大人ばかりで、フロアには鹿威しの音が響く。タイミングを見計らって「コンっ!」という花枝はかわいいが、デートの空気はゼロ。
だが、“恋の取り組み”と捉えている2人は、結構ちゃんとお互いの話をする。そして、自分たちに“恋愛の意識が低い”という共通点があることに気付く花枝。なんとも切ない共通点だ。ドラマみたいな経緯ではじまった恋だからこそ、しっかり向き合おうとしている姿勢は非常に好感が持てる。
印象的だったのは、鹿威しを知らなかった花枝に、芦田が名前を教えてあげたシーン。
「そういう風に答えてくれるの好きです」「良かった知ってて」
このやりとり、いい……いいぞ……! これは絶対にはじまるやつ……! と、思わず前のめりになってしまった。さらに、鹿威しをスマートフォンで調べて芦田に見せる花枝。距離がぐっと近づいて、ときめいているのがかわいい。
その後2人は芦田の家へ行き、「恋とは?」を議題に、しっかり反省会をする。心が動く瞬間を知りたいという芦田のために、心が動きそうな瞬間を挙げていく花枝。「嫉妬」、「幸せすぎ」、そして「別れ」。花枝のペンを持つ手が止まるが、芦田はその理由がいまいちピンときていないようだ。うーん、ちょっと温度差があるかも。花枝のこと絶対に傷付けないでくれよな、という思いが頭を過る。
一方、花枝に思いを寄せている慎吾は、付き合うことになったと聞かされてご乱心だ。その様子を見守る凜。彼女が一体なぜ慎吾を好きになったのか、そしてなぜ好意を隠す選択を取ったのかが明かされる。つまるところ、凜は施設にきて不安なときに元気づけてくれた慎吾に惹かれた。しかし、慎吾はあとからやって来た花枝に、完全に心を奪われてしまう。追い打ちをかけるように、凜は直美(稲森いずみ)から花枝の面倒を見るように頼まれてしまい、姉御キャラとして生きていくことを決めたようだった。「分かりにくい、わたし」と自分でも言っちゃう凛、めちゃくちゃ応援したくなる。
デートから帰ってきた花枝は、直美や迫(戸次重幸)に、芦田と付き合うに至った経緯を説明。直美の「ラブコメ!?」という言葉に、慎吾は「ハッピーエンドじゃん」と騒ぐ。だが、花枝はそれをきっぱり否定した。そんな花枝を不思議そうに見つめ、なんでハッピーエンドじゃないのかと気にする凜。す、鋭い……。
そんな折、花枝は再び葉子(石田ひかり)の家へ掃除をしに行くことに。仕事を終え、紅茶をご馳走になる。そして「葉子さんは聞こえなくなるの、怖かったですか?」と質問をする。「怖かったよ」と答える葉子。「だから、たくさん音を聴いて思い出にした」と。思案顔の花枝だったが、これからの道標となる、大事な言葉のように感じられた。
仕事を終え、花枝は凜が働く理髪店へ。
「なんかあるのは分かる」と言いつつ、聞かないけど、分かってるからそのつもりで、と包容力の塊みたいな言葉を口にする凜がかっこいい。凜にとって、花枝は恋敵でもあるはずなのに……。凜への好きがぐんと増した。
横浜中華街でデートをする花枝と芦田。初っ端から恋人繋ぎをする芦田に、恋を知らないんじゃなかったの……? と戸惑いを禁じ得ない。さらに、人とぶつかりそうになる花枝を自分のほうに引き寄せるやり方も手馴れていた。うん、でもかっこよかったからこの際なんでもいい。
そんなデートを見守る慎吾と凜。凜にとってはある意味、慎吾との2人きりの時間でもある。中華街で食べ物を買ってもらったり、花枝たちに見つかりそうになってとっさに慎吾に手を握られたり。慎吾はそんな気さらさらないのだろうが、行動がいちいち男前だ。さすがジャニーズ、さすが菊池風磨。罪深い。凜のドキドキがこっちまで伝染してくるようだった。
だが、慎吾の視線の先にはずっと花枝がいる。そして、慎吾はしんどそうだ。肉まんを買ってと凜がせがんだのは、もしやこれ以上慎吾に花枝たちを見せないためだったのだろうか。
見守りから逃れた花枝と芦田は、夕日をバックにいい雰囲気に。「俺、もっと好きになりたい」と、花枝との恋に真剣に向き合おうとする芦田。2人の気持ちに温度差があるのでは、と勘繰ってしまったが、案外大丈夫そう? そして、最後はまさかのキス……を、するのかしないのか。
恋の矢印が乱れ飛ぶ本作、現時点では慎吾&凜の組み合わせを1番に推したい。それぞれに違う人を思っているが、この人たち、付き合ったら絶対上手く行くし楽しいって……! そんなことを思いながら、次週も恋模様を楽しみたい。
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
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花枝(清原果耶)は中華街デートで、芦田(間宮祥太朗)からのいきなりのキスなど、いつもと違う芦田の雰囲気に戸惑っていた。そして、慣れない恋愛イベントが一気に押し寄せてきて大パニックに!
その頃、花枝たちを見失った慎吾(菊池風磨)と凛(藤原さくら)は、露店でムササビの人形が売られているのを発見。慎吾は花枝へのプレゼントとして買っていくことを提案するが、花枝のために楽しそうにお土産を選ぶ慎吾の姿に、凛はモヤモヤする一方で・・・。
そんなある日、花枝がハウスクリーニングの仕事で芦田のマンションを訪れると、そこには弓子(栗山千明)の姿が! 何故か敵意むき出しの弓子にビビる花枝・・・しかし弓子は、芦田にある大事なことを伝えに来ていた。それは「1週間後の新曲コンペに参加して通らなければ契約解除になる」というものだった!
2ヶ月後の曲の締切のために恋の“取り組み”をしていたはずが、いきなり1週間後に!? ということは、この関係もあと1週間で終わってしまうのか…? 曲作りに追われ恋の取り組みどころでは無くなってしまった芦田と、連絡が来ずに落ち込む花枝。そして、弱っている花枝を目の当たりにした慎吾は、何とかして花枝を励まそうと奮闘するが…!?
第4話のレビュー
キス、するのかしないのか、というところで幕を閉じた前回。キスできないどころか、まさか芦田(間宮祥太朗)が花枝(清原果耶)の空手を食らうとは思わなかった。
強引なのはキュンとしない、○〇らしさとか、決めつけはキライ……
ここまではっきりしているヒロインってなかなかいないし、気持ちがいいなと思った。「わたしのほうが先に曲作っちゃいますよ」という花枝に対し、「ん?」ととぼけた表情の芦田がかわいくて、ちょっと噛み合っていないところ含めて、この2人はお似合いだ。
花枝たちを見失った慎吾(菊池風磨)&凜(藤原さくら)は、露店でムササビのぬいぐるみを発見。芦田のことをムササビと呼んでいることから、花枝にぬいぐるみをプレゼントしようとるんるんの慎吾。凜は「恋する2人はこういうの絶対見つけるんだって」とけん制する。ラブコメのセオリーを全部解説していく凜、いいぞ。
そんな凜の予想通り、やって来た花枝と芦田はムササビを発見。ぬいぐるみを愛でている花枝を見、突然「ムササビ~」とジャンプする芦田……。しかもそれをスローモーションで繰り返す演出もあり、結構あっけにとられた。花枝の「頑張りましたね、芦田さん」は、そのまま視聴者の声でもあるだろう。本当に頑張っていた。
ぬいぐるみに声を繰り返す機能があることを知った花枝。「耳がいいんだね」と呟き、表情を曇らせる。陰から覗き見していた慎吾と凜が顔を見合わせた。花枝の異変に、きっと気付いただろう。
芦田の家に掃除に行く花枝。そこにはマネージャーの弓子(栗山千明)の姿があった。芦田に思いを寄せる弓子は、花枝のことを上から下までなめるように見るなど、敵意むき出しだ。
この日の弓子は、芦田に大事な話をしに来ていた。その内容は、「1週間後のコンペに新曲を出す、ダメなら契約解除」というもの。2ヶ月間の猶予があったはずなのに、いきなり1週間になってしまった。ちょっと急すぎる。
掃除をしながら話を聞いていた花枝は「何したらいいですか、できることないですか」と芦田に詰め寄る。必死な表情だったし、花枝、これはもう完全に好きじゃない……?
帰りの車の中で、慎吾は早々に花枝の異変に気付いたようだった。いつも通りのくだけたノリで、元気づけようとしているのが伝わってくる。それにしても、「告白された? まいったな~」「俺そういうところかわいいよね」の慎吾が、今日も今日とてパブリックイメージの菊池風磨と寸分違わなくていい。でも、その合間に見せる寂し気な表情の塩梅が絶妙だ。
その夜、花枝のためにBBQを企画する慎吾。芦田と何があったかあえて聞かない慎吾にしびれを切らした凜は、落ち込んでいる理由を聞き出そうとする。自分に不利になるかもしれないのに、くよくよしている慎吾を見ていられないのが凜なんだよなぁ……。
恋の取り組みが必要なくなるかもしれないことに落ち込む花枝、「それってもう……」で言えなくなっちゃう慎吾。どこもかしこも恋愛の矢印が全部切ないゾーンに突入している。
葉子(石田ひかり)の家へ掃除に行った帰り道、大学時代の部活仲間に遭遇する花枝。芦田からの連絡を待ち続けてモヤモヤしていた花枝は、発散のために練習に参加することに。しかも、たまたま通りがかった芦田も見に行くことになった。
見たことのないものでも見るような目で、芦田は花枝の試合を見守る。劣勢でもたのしくてたまらんという笑顔を浮かべる花枝を見ていると、この子からこんなにも大事なものを奪った病が憎くなる。
ブランクがたたってか、花枝は相手に完敗。汗だくになりながら、「だ~めだ、全然。でも気持ちいい!」と終始楽しそうだ。そんな花枝からインスピレーションを受けたらしい芦田は、走って体育館を後にする。
家に着くなり、花枝の涙とか、笑顔とか、汗とか、全部思い出して一心不乱に歌詞を書く。その中には“会いたい”の文字も。男の子アイドルに歌わせるにはいい曲が出来そうだと思ったのだが……。
練習を見に来て以来、連絡のない芦田。スマホばかり気にしている花枝の気を紛らわせようとトッポギをふるまう慎吾だったが、いざ食べようというタイミングで芦田から電話がくる。展開的には連絡がくるとしたら今しかないんだけど、心の底から今じゃない…!!!と叫びたくなった。
花枝の様子を見、「行けよ、呼ばれたんだろ」とあまりにも優しい声で言う慎吾。1人でご飯食べるの苦手って言ってたのに。
「出会って初めてできた曲だから、1番最初に聴いてほしい」と、花枝の耳にイヤフォンを入れてあげる芦田。曲を聴いた花枝は、「なんか元気出る」と笑顔だ。そんな花枝の肩を借り、芦田はぐっすり眠ってしまう(作中でおそらく初めて間宮祥太朗のまゆげが見えた)。1週間という短い期間の中で、頑張って作ったのだ。この努力はぜひ報われてほしい。
そして、ついに結果発表の日。花枝にとって人生でたった1曲だけの音楽「スタートライン」を聴いている時に電話が鳴る。電話口の芦田の声は暗く、「曲、ダメだった、今までありがとう……」と別れを告げる。
はじまったばかりの“恋の取り組み”が、唐突に終わりを迎えてしまった。芦田へと傾いていた花枝の気持ちはどこへ行くのか。作品も中盤、ここからの展開がますます楽しみだ。
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
今まで、ありがとう──」
コンペに落ちた芦田(間宮祥太朗)から、電話でそう告げられた花枝(清原果耶)。
翌日、何食わぬ顔で慎吾(菊池風磨)や直美(稲森いずみ)たちに恋の終わりを報告するも、花枝は芦田との別れに自分でも驚くほど落ち込んでいた。そして芦田への想いは募るばかり……
そんな花枝を見つめる慎吾は、花枝を元気付けるため、凛(藤原さくら)も誘って幼馴染3人でキャンプに行くことを提案!慎吾は密かにある決意を固めていた───
一方芦田は、コンペには落ちたものの、音楽への手応えを取り戻し始めていた。そして、それは花枝との出会いのおかげだったことに気付く芦田。そして衝動的にある行動に出る……
その頃、幼馴染み3人でのキャンプは大盛り上がり!笑顔を見せる花枝。その横で慎吾はどこか緊張気味。そして複雑な思いを抱えて二人を見守る凛。実は慎吾は、このキャンプでチャラい幼馴染の殻を破り、花枝に真剣に思いを伝えようとしていたのだ……!
しかし、いよいよ告白しようとしたその時、思いもよらぬ事件が起きて──!?
第5話のラストは怒涛の展開!ラスト1秒まで見逃すな!!
第5話のレビュー
楽曲がコンペに落ちてしまったことで、唐突に終わった花枝(清原果耶)と芦田(間宮祥太朗)の“恋の取り組み”。
バーバーサッコに集まる慎吾(菊池風磨)や凜(藤原さくら)にそのことを告げる花枝は、いつもと変わらない風に見えて、普通じゃない空気をびんびんに発していた。明らかに落ち込んでいる。清原果耶の繊細な表現力、おそろしや。
話を聞いていた直美(稲森いずみ)は、こんな展開になったらいいのに、と妄想を語りはじめる。ずっとツッコミ続ける慎吾はやや不憫だが、軽やかなテンポが心地よい。このメンバーのやりとりが、実は毎話の楽しみだったりする。
一方、花枝に別れ(?)を切り出した芦田は、コンペには落ちたものの「好きな曲ができた」とうれしそう。花枝との“取り組み”を経て、自分の中の何かが変化していることを実感しているらしい。思いもひとしおだろうから、その曲、いっそ芦田が歌って世に出してみるというのはどう? なんて思ってしまった。
芦田の家へ、また掃除をしに行く花枝。それは、「ときどきあの歌を聴かせてください、わたしの耳に」という2話で交わした約束を果たしてもらうためでもあった。
1話ではピアノ、今回はギターに乗せて、芦田、もとい間宮祥太朗の歌声を堪能する。時に飛び跳ねながら、時に芦田の隣に座りながら、終始笑顔で聴く花枝もかわいく、なんとも贅沢な時間だった。
そして、曲の終わり。それはすなわち2人の時間が終わる合図でもあった。芦田から差し出して握手をし、そのまま花枝を抱き寄せる。お互いに離れたくないと思っているはずなのに、このままサヨナラしてしまうのか。再び向き合ったとき、芦田のほうが泣きそうな顔をしているのが切なすぎた。
花枝がマンションの下へ行くと、芦田の歌声を聴いていた慎吾はすべてを察し、花枝に深く帽子をかぶせる。人の涙を、理由も聞かずに隠してくれる人に悪い人はいない。慎吾、最高!!!
さらに、数日経っても落ち込んでいる花枝を見かねて、慎吾はキャンプへと誘い出す。うれしそうな花枝を見る優しい目が印象的だった。
しかしこの後、慎吾は自らの言動で首を絞めることになる。
それはキャンプ道具を買いに行ったときのこと。偶然、芦田が事務所の社長に「もう1度チャンスをください」と直談判する場面を目撃してしまう。それを取り繕おうとしたのか、はたまた本当にただのいい奴なのか、わざわざ「花枝と土曜日に秩父でキャンプをする」と宣言する慎吾。しかもご丁寧にキャンプ場の名前まで添えて。これでもう、完全に芦田がやって来るフラグが立ってしまった。
そして、キャンプ当日。慎吾は花枝に自分の思いを伝えるつもりでいた。「家族より強い絆を持ってしまっているわけだから」と、自分たちの関係を語り弱音を吐く慎吾に、今日もしっかり喝を入れてくれる凜。いや、もう本当にこの人かっこいい。そんな凜のアシストもあり、なんとか2人で話すことになるが……
その頃、芦田は薫(東啓介)に「諦めたくないんじゃねーの、あの女の子との取り組み」とけしかけられていた。そこへ弓子(栗山千明)が、執行猶予延長のお知らせを携えてやって来る。芦田(と弓子)の熱意が社長に通じ、もう1度チャンスをもらえることになったのだ。
話を聞くや否や、芦田は家を飛び出し、秩父へ。
“取り組み”が唐突に終わってしまい傷付いているならば、自分が……と、慎吾がまさに切り出そうとしていたところだった。言いあぐねていたのは、告白が失敗して気まずくなる恐怖もあっただろうが、花枝の気持ちが芦田にあることを知っているからだろう。無理に自分のほうをむかせたいわけじゃないのだ。
結局、慎吾が言い切る前に、芦田が「あの……!」と飛び込んで来る。花枝との“取り組み”で自分の心が動いたこと、また音楽を好きになれたこと、とにかく会いたかったことを、不器用ながら伝える芦田。だが、今日も面と向かって花枝の名前は呼ばない(正直、これが結構“なんなん”ではある)。勢いのまま、もう1度“取り組み”をしたいと言う。これを目の前で見せられる慎吾の気持ちよ……。
ここから、衝撃の展開。
なんと慎吾が花枝と芦田の間に割って入り、「お断りします」と頭を下げたのだ。花枝にこれ以上傷付いてほしくないからこその行動、どこまでも花枝ファーストな慎吾に涙が出そうになる。
次週予告で、花枝をバックハグする慎吾の姿が写った。叶わなくてもいいから、せめて気持ちを伝えるチャンスだけでも巡ってくるといいのだが……。
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
芦田(間宮祥太朗)の突然の乱入で、慎吾(菊池風磨)の告白が中断された前回。
波乱に満ちた運命のキャンプはどうなってしまうのか――!?
キャンプ告白事件から数日後、秘めてきた思いに気付いてしまった花枝(清原果耶)、芦田、そして慎吾は、それぞれの本当の気持ちに向き合い動き出していた。
花枝への気持ちが「恋」だと自覚し、音楽の制作にも力が入る芦田。
今までもこれからもずっと花枝を守り続けると改めて心に誓う慎吾。
一方花枝は、近づいてくる手術という現実に向き合おうとする――。
3人の想いが交錯する中、訳あって花枝と芦田は遊園地に来ていた。芦田は花枝とのデートを満喫するが、花枝が「思い出づくり」の理由を決して明かしてくれないことが気になり始めていた。
しかしその裏で、慎吾はなんとキャバクラ通いをしていることが発覚!?そんな慎吾に凛(藤原さくら)は呆れ返るが、花枝はどこか慎吾の様子がおかしいことがひっかかっていた。
そんな最中、慎吾が突然倒れてしまい…?
芦田も慎吾も、花枝への想いが大爆発する第6話!受け止める花枝はどうなってしまうのか!?
第6話のレビュー
芦田(間宮祥太朗)から花枝(清原果耶)へ、“取り組み”再開の打診をすると、慎吾(菊池風磨)がそれを断るという衝撃展開で幕を閉じた前回。
どんな作用が生じるのかと思いきや、慎吾は「なーんちゃって」とおどける。この人ってばどこまでも……と、思わず拳を握ってしまった。
リスタートを祝し、2人は遊園地へ。これまで花枝の名前を呼ぶことを避けてきた芦田だったが、花枝に言われるがまま、ついに名前を呼ぶことになった。しかも、いきなり呼び捨てで。好きな人が自分の名前を呼ぶ、たったそれだけのことのようだけど、花枝にとっては重要な思い出だ。耳に焼き付けるような表情が印象的だった。
せっかく遊園地に来たものの、絶叫が苦手と言い、ジェットコースターには乗らない花枝。カップルだらけの中、まさかのシングルライダーとなる芦田がややシュールではあったが、それもこれも芦田の“動いていなかった筋肉”を動かすため。
絶叫なのに、さわやかに気持ちよさそうに揺られている間宮祥太朗がすごかった。普通、少しくらい顔が歪むものなのでは……?
一方の花枝は、手を繋いで芦田と一緒にジェットコースターに乗るイメージをしていた。これも、花枝にとっては重要な思い出の1ピースだ。
乗り終えた芦田は、放心状態で花枝のもとへやって来る。すると、「隣にいて欲しいなって思った」「世界で1番素敵な女の子は花枝」「どんなところにいても花枝を見つけられる」と熱烈な言葉が溢れて止まらない。ジェットコースター終わりに感情が有り余って泣く男を実際に見かけたらちょっと怖いけど、今は芦田の心が動いているのが実感できる。もともと、ものすごく感受性が豊かな人なんだろうな。
そんな芦田をよそに、花枝はせっせとデート、もといカリキュラムを進めていく。
“動いていなかった筋肉”が動き出し、表情豊かに未来へ向かっていく芦田に対し、あくまでも“思い出作り”というスタンスのまま今この瞬間だけを見ている花枝。
芦田も違和感を抱いたようで、「片思いしてるのかな」と呟く。耳のことも手術のことも話す気のない花枝にとって、これは期限付きの関係だから、どこかでストップを掛けているんだろう。そう考えると、ぐんと切なさが増した。
告白のチャンスすら得られなかった慎吾は、深夜に香水の匂いをさせながら帰宅したり、キャバクラで働く女性たちと親し気に話したり怪しい動き。「いい国作ろう、キャバクラ幕府♪」という名曲まで生み出してハイテンション……なんだけど、確実に裏があるようにしか見えない。
実は慎吾、夜な夜なキャバクラで清掃の仕事をしていたのだった。会社を守るために腐心する慎吾に、花枝は仕事を辞めようかと言い出す。すると慎吾は花枝の仕事ぶりを認め、だからいてくれなきゃ困る、と引き留めた。簡単なようだけど、その一言があるかないかで随分と感じ方が違うはずだ。花枝が素直に「ありがとう」というのも納得。
そして、なんでそんなに私のこと……と問われた慎吾は、「花枝のこと愛し続ける、守り続けるって決めてんの。だからお前がいらないっつってもそうすんの」と、花枝を後ろからハグする。本当に大事なものを扱う、優しい優しいハグだ。
こんなに無条件に愛され、甘やかされてしまったら、すごく弱くなってしまうんじゃないかと不安になった。でも、きっと花枝は、時間はかかっても人からもらった優しさを強さに変換できる人だろうし、慎吾もそれを分かっているのだろう。
なんかあるのは分かっている、聞かないけどそのつもりで、と言った凛(藤原さくら)。
なんか1人で抱えてることあんじゃねぇのか、俺はいつでも聞くぞ、と言う慎吾。
誰も無理に聞き出すことはしないのが、花枝が信頼されている証だ。
だが、手術のときは刻一刻と近づいている。あさひ学園に住む女子高生・穂香(莉子)が、病院で花枝を見かけたことを抱えきれなくなり直美(稲森いずみ)に話したことで、直美もまた、何かが起きていることを知った。
花枝が仕事から戻ると、いつものみんなが笑顔でそこにいた。これからきっと花枝は、自分の置かれている状況を話すのだろう。
第6話もすでに泣いてしまったが、次回は号泣必至の回となりそうだ。
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
ずっと抱えていた自身の病気のことを打ち明けようと決意した花枝(清原果耶)だったが、いざ帰ってくると皆が勢ぞろいで楽しそうに過ごしている姿に直面し、及び腰になってしまう。
しかし花枝の様子がいつもと違うことを察知した直美(稲森いずみ)は、花枝の話を聞き出そうとする。
逃げ回る花枝だが、とうとう観念して自ら抱えてきたことを語り出す。“家族”同然の皆の前で初めて涙を見せる花枝。そして直美も慎吾(菊池風磨)も、泣きながら花枝の告白を受け止める・・・。
一方、花枝の様子が心配だった芦田(間宮祥太朗)は、あさひ学園を訪れる。するとそこにはすっかり元気になって何故か鬼のコスプレをした花枝が!?一体どういうこと……?
慎吾と凛(藤原さくら)は、花枝の「思い出作りの恋」に少しでも協力しようと盛り上がり、芦田も巻き込み4人で花枝の部屋で鍋パーティをすることに!
初めての花枝の部屋に緊張する芦田と、楽しむ花枝。芦田へのライバル心に火がついた慎吾は、トランプや腕相撲などありとあらゆる勝負を仕掛ける。男同士のしょうもないバトルが勃発!?
楽しい時間を過ごす一方で芦田は、花枝・慎吾・凛の幼馴染3人の気心知れた雰囲気を羨ましく思う。しかしそんな芦田の嫉妬心が思わぬ展開に転がっていき――!?
第7話のレビュー
自分が置かれている状況を、あさひ学園のみんなに話そうと決めた花枝(清原果耶)。
ところが、いざ帰宅してみると、楽しそうに談笑する慎吾(菊池風磨)や凜(藤原さくら)たちを見て、その決意が揺らぐ。
みんなが心配そうに見守る中、花枝はああでもないこうでもないともごもごしている。取り繕おうとすればするほど、いつもの自分がどんな顔をして、どんな声で話しているのか分からなくなっちゃうあの感じ。困った挙句、涙よりも笑顔が出てきちゃうのが、痛々しいくらいリアルだった。
一旦は自室に引っ込んだ花枝だったが、もう誰も放っておいてなんかくれない。花枝の部屋に全員集合し、ついに事の次第を話し始めることになる。
両耳に聴神経腫瘍という腫瘍があること。
手術で摘出しないと命に関わること。
でも、それにより耳が聞こえなくなる可能性があること。
そして、黙ったままでいるのは間違いだと分かっていたこと。
どうせ自分にはいいことなんか起きないんだと思っていたこと。
でも、みんなに同情はされたくなくて、言い出せなかったこと。
花枝は黙っていたことを“間違ったこと”と表現したけれど、果たしてそうだろうか? ここに正解や不正解なんて、もはやない気がした。「正しいことばっかりじゃいられないよな」という迫(戸次重幸)の言葉の通り、大事なのは花枝の意思と気持ち、それでいいんじゃないかな。
花枝のこれまでの苦しみに寄り添うかのように涙を流す慎吾、直美(稲森いずみ)、迫に対し、凜はすべてを包み込むような表情で花枝を見守っていた。凜にとって、どこまでも花枝は“守るべき対象”なんだろう。
芦田(間宮祥太朗)には耳のことは言わない、わがままで間違ってるけど、協力お願いします、と頭を下げる花枝。
それを聞いた慎吾は涙をぬぐい、いつものノリで「すべて了解しました~!」と空気を一変させ、「応援するよ、お前のその思い出作り」と優しく微笑む。そうかと思えば、黙っていた罰ゲームとして、「俺と結婚するとか?」とおどけても見せる。花枝を笑顔にすることにかけて、慎吾は天才だ。
結局罰として、鬼のコスプレで掃除をさせられる花枝。そこへ、実家から送られてきた海鮮を持って芦田が登場。さすがの芦田も、かわいい赤鬼に見惚れていた。分かる、分かるよ、芦田さん……。
慎吾の提案により、4人は花枝の部屋で鍋パーティーをすることに。
みんなで鍋をつつく(ずっと慎吾がうるさい)のも、真剣にトランプをするのも、1つ1つのシーンすべてが微笑ましい。花枝の告白を聞いたのと同じ部屋が、今日は笑顔で埋め尽くされる。間違いなく大事な思い出のひとつになるだろう。
宴会がひと段落し、花枝と芦田が2人になったときのこと。花枝と慎吾、凛の関係に嫉妬し、「いいなぁ」と呟く芦田に、こみあげてくる愛おしさを隠しきれない花枝。そして「キスしてもいいですか? します」。2人の関係が、また少し前に進んだ。
一方、慎吾と凜にも変化が。自分のことをふざけて「捉えどころのないところが魅力」と表現する慎吾に、「そうかもね」と真顔で応じる凜。その様子に、慎吾も真顔になり、2人は無言で見つめ合う。万年幼馴染で終始するのかと思いきや……これはまさかの展開もあり得る? 期待せずに期待したい(?)。
そんな折、芦田のもとにラジオ出演の依頼が舞い込む。しかし、それは一発屋をネタにするコーナーだった。マネージャーの弓子(栗山千明)は、無理に出なくてもいいと言ったが、芦田は出演を決意。花枝との恋の取り組みにより、芦田の仕事への取り組み方にも変化が生じてきている。
芦田から「今日はラジオに出ます。生歌もある」という連絡をうけた花枝。「行きたかった」と送っても、返信はない。そこで、迎えに来た慎吾に頼み、芦田のもとへ連れて行ってもらうことに。「お前の恋に協力するって言っただろ」という慎吾、いい奴すぎないか……?
ところが、芦田が歌い出したタイミングで、花枝は耳鳴りに襲われる。倒れかけたところに走ってきて、すかさず支える慎吾。
そう、ここで花枝を受け止めるのは慎吾なのだ。
花枝の病の告白からの空気の変え方といい、思い出作りへの協力体制といい、今回は慎吾のいいところがぎゅっと凝縮されていた。残念ながらヒロインとは結ばれるには程遠い立ち位置にいながら、なんという存在感だろう。慎吾をここまで体温のあるキャラクターに昇華させている菊池風磨を絶賛したい。
花枝に何かあることは薄々勘づきながらも、芦田だけがまだ耳のことを知らない。刻一刻と手術の日が迫る中、芦田が事実を知る日はくるのだろうか。そしてそのとき、芦田はどんな行動を起こすのだろう。
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
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芦田(間宮祥太朗)が出演するラジオの公開収録中に、倒れてしまった花枝(清原果耶)。
それを機に花枝は手術の日、つまり芦田とのお別れの日が迫っていることを実感してしまう。
一方、日に日に花枝への思いが募る芦田は、なぜ花枝は取り組みの「期限」にこだわるのか、その理由が気になっていた。しかし、芦田がいくら尋ねても、花枝はその理由をはぐらかすばかり……芦田の思いとは裏腹に、花枝は笑顔で「取り組みの最終日にお別れ会をしよう」と芦田に提案するのだった。
そして、そんな花枝を見守る慎吾(菊池風磨)は、花枝が本気で芦田を思っていること誰よりもわかっていた。思い合う二人なのに、花枝は芦田に病のことを伝えないままで良いのかと思い悩む慎吾。そしていてもたってもいられず、芦田の家に向かってしまい…!?
それぞれの思いが交錯する中、ついにお別れの日がやってくる──
第8話のレビュー
芦田(間宮祥太朗)が出演中のラジオを見ているときに倒れてしまった花枝(清原果耶)。幸い大事には至らず、慎吾(菊池風磨)とともに車の中で最後まで聞き届けることができた。
久しぶりのメディア露出を祝し、マンションの屋上でグラスを傾ける芦田、弓子(栗山千明)、薫(東啓介)の3人。
マネージャーとして、芦田が楽しそうに仕事をしているのがうれしいと語る弓子、「愛している」とさらりと言う。間違いなく好意はあるはずだが、芦田の仕事が成功することも、この人にとっては思いが成就することの一部なのかも。そういう関係もいいな。
その頃、花枝はあさひ学園で、慎吾や凜(藤原さくら)たちと一緒にいた。いつもの見慣れた光景を「覚えとこう」と言ったことで、場は少しだけしんみりした空気に。すかさず、「耳聞こえなくなるって決まったわけじゃないんだろ?」と慎吾。
しかし花枝は、空手の試合に例えて、「絶対そんなの来ないでしょみたいなの備えないと、負ける」「勝ちたい、負けたくない、そのためにはきついことが起きるつもりでいる」と応じた。
これまで、何で花枝はこんなに頑固なんだろうと思うことが何度かあった。でもそれは、自分の経験に基づくルールがあったから。花枝にとっての負けないための予防線だったのだと思うと、共感できるような気がした。
少しだけ関係性に変化がありそうな兆しが見えてきた慎吾と凜。前回は凜がいつもと違った対応をしたからだったが、今回は慎吾の言葉がきっかけに。
自分は花枝が何と闘っているのか知らないのは嫌だから、知ってる側で良かったと話す慎吾。そしてそれは、花枝だけではなく、凜も同じだと言う。
「私もなんだ」と、ちょっと笑顔を浮かべる凜。これはうれしい! ただ、「当たり前だろ」と言う慎吾に、恋愛感情がないことは凜も分かっているはず。
だからこそ、思わず「私の“バーカ”は……」と言いかけて、言葉に詰まってしまった。テンション上がって余計なこと言って、気まずくなるやつを無事に回避。でも、調子を狂わされているのが伝わってきて、思わずムズムズしてしまった。
入院の日程を確認していた花枝は、芦田との取り組み終了を2日早めなければいけないことに気付く。電話をしようとしてところに、ちょうど芦田から着信が入る。
今から会いたいと積極的な芦田。電話しながら「どうしようかな~」と言いつつ洋服を選び始める花枝も、タクシーを降りるなりファミレスの中に花枝の姿を認めて手を振る芦田も、しっかり浮足立っている。さらに、テーブルをはさんでキスまで。どう考えても、恋をしている2人だ。しかし、別れの日は刻々と近づいている。
手術の前に、花枝は慎吾と凜と3人で父親がいるらしい土地を訪ねる。会う気はないけど、声だけ聴きたいという。
慎吾の捜索により見つかった花枝の父親は、海辺で釣りをしていた。傍らにはCDプレイヤー。奥さんと娘が好きだったから、という理由で「スタートライン」を聴いていた。この人にとってもやはり、家族との幸せを凝縮した歌なんだろう。
でも花枝、お父さんの声を聴くの、電話越しでよかったんだろうか……?
ラーメンを食べながら「親にも感謝、俺のこと放棄してくれたことにも感謝。そのおかげでお前らに会えた」と慎吾。
こんなこと言える人、本当にいるんだろうか……? それにしても、慎吾から2人への愛がどんどん重くなっているような気がする。
そんな慎吾、芦田との別れと手術が近づいてきて、花枝がいっぱいいっぱいになっていることもちゃんと見抜いていた。「花枝、お前大丈夫か」と言いながら、楽しそうに空手の型の練習をする。この光景は本当、何度だって見たいくらい微笑ましい。
だけど、慎吾は怒ってもいた。何で別れの理由を聞かないのか、芦田の気持ちはその程度なのか、と喧嘩を吹っ掛けにきた……というテイで、明らかに芦田をけしかけている。この期に及んで、ライバルの背中を押しまくるあたり、さすが慎吾。
そして、いよいよ別れの日。
お別れらしく相手の嫌だったところを言い合ったことをきっかけに、芦田は「別れたくない」(大事なことだから2回言ってた)と思いをぶつける。しかし花枝は「お断りします」「恋に負けるのは嫌」ときっぱり拒絶。
芦田との取り組みで前に進む力をもらった、と言える花枝は、たしかに芦田に恋をしている。でも、恋に恋するほどには自分を見失っていない。これもまた花枝の強さであるように感じた。
「さようなら」が辛くて、がっつり男泣きする芦田。花束を交換した時は、あんなに笑顔だったのに。そういえば、「ムササビ」やってもらってないな……。
そこから芦田は曲作りに専念。“お別れ”“秘密”“会えない”という言葉から連想し、ついた曲の名前は「ファイトソング」。予想通り、ドラマタイトルに繋がった。果たして、どんな曲なんだろう。
曲が完成し、あさひ学園に走る芦田。しかし迎えた慎吾は「花枝があなたに会うことはもうないです。もう2度と花枝に関わらないでください」と告げる。
そして、次回は2年後――。
まだあのマンションに芦田が暮らしているようだから、きっと「ファイトソング」は評価されたんだろう。
では、花枝は? この間、どんな月日を送ってきたのか、2人が再び出会うことはあるのか?
色々と想像しながら、放送を心待ちにしたい。
(文:シネマズ編集部)
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
花枝(清原果耶)と芦田(間宮祥太朗)の別れから2年が経過した。
聴神経腫瘍の手術を終えた花枝。
花枝を思い、「ファイトソング」という新曲を完成させた芦田。
そして、今までもこれからも花枝のそばにいると誓った慎吾(菊池風磨)。
2年の時を経た3人の現在は? そして想いは…!?
物語は新たなステージへ!
第9話のレビュー
第9話は、手術の2年後からスタート。
花枝(清原果耶)の耳は、聞こえていないようだ。
でも掃除の仕事は続けていて、お客さんたちとのコミュニケーションも問題なく取れている。優しいお客さんばかりなのは、社長である慎吾(菊池風磨)の人徳だろうか。
一方、芦田(間宮祥太朗)は花枝との“取り組み”の末に作った「ファイトソング」の成功により、音楽活動を続けていた。安定して楽曲制作の依頼も入ってきており、前より表情も明るく見える。
だが、約束通り、お別れをした日以降、2人が会うことはなかった。
花枝は、直美(稲森いずみ)に「まだ芦田くんのことが好きなの?」と尋ねられる。嫌いじゃない、と言葉を濁しながらも、改めて芦田に会うのは違うと思っているらしい。たしかに、2年ぶりに再会して、耳のことを話したらどんな反応をされるのか、きっと傷つけてしまうだろう、と想像して怖くなる気持ちは分かる。
そんな花枝を見た慎吾は、凛(藤原さくら)らに“見守り地蔵”と言われたことも手伝って、ついに思いを伝える決心をする。子どもの頃に花枝が描いた絵を大事に保管し、「(可能性は)ゼロじゃねーだろ」と独り言で自分に言い聞かせる、相変わらず健気な慎吾。
髪色がオレンジなのも、花枝の絵の中の慎吾の頭がたまたまオレンジで塗られたからだった。本当に、どこまでまっすぐに、花枝に一途なんだろう。
2人は思い出の神社へ。慎吾は花枝にも伝わりやすいように、すでにスケッチブックに気持ちを書いてきていた。1ページ1ページ、しっかりと音読しながら伝えていく。
「ずっと花枝に恋してる」
慎吾の一世一代のラブレターであり、告白。
いつもとは違う慎吾の空気に、花枝にも真剣さが伝わる。そして、だからこそ花枝は動揺していた。これまで家族や兄妹を超えた“何か”だったものが、少し違う形をしていたことに。
清原果耶の瞳の大きな揺らぎは、見ているこちら側まで揺さぶってくるようだった。
「世界で1番好きな人なのに、ごめんなさいって言うしかない」
切なくて愛情を感じる「ごめんなさい」だった。涙を流す花枝に、慎吾は感謝を伝える。
そして、用意してきたスケッチブックをさらにめくる。書いてあったのは「恋人になってください」だったが、さらにページをめくり、「これからも変わらずよろしくな」と伝える。
この人たちって、結構似た者同士だ。
耳を手術することになり、最悪のケースを想定して準備していた花枝。「可能性はゼロじゃない」と自分に言い聞かせながら、フラれる想定もした上でこの場に臨んでいた慎吾。
しかも慎吾は、そのときに花枝を困らせないように、フォローの言葉まで用意していた。いつだって、花枝が笑顔になること、苦しまないことを先回りして考えている。この愛情に、きっと敵う人はいない。
花枝を道で見かけ声を掛けたが、気付いてもらえなかったことが引っかかっていた芦田は、花枝の名前を検索。すると、葉子と花枝が一緒にインタビューを受ける動画を見つけてしまう。その中で花枝は、2年前から耳が聞こえなくなったことを話していた。
2人で過ごした期限付きの時間の中で、花枝が言っていた言葉を思い出し、色んなことが繋がっていく芦田。いてもたってもいられず、花枝に会った道で、花枝のことを待っていた。芦田と会うつもりのなかった花枝は、その姿を見て、逃げ出してしまう。
花枝の帰りを待っていた慎吾は、それを見て「走ったら危ねぇよ」と花枝を追いかける。
街中での追いかけっこの末、なぜか3人は雑居ビルのエレベーターに閉じ込められてしまった……。ちょっとだけ、ナンダコレ展開にびっくり。
今回、慎吾が母親と暮らしていた頃の回想が流れた。そのときも慎吾はお母さんを「守る」と頑なだった。慎吾にとってはきっと“大事な人=守るべき人”なんだろう。
そしてそれは、親戚と思しき人に「お前は捨てられたんだ、お荷物だったんだ」と吐き捨てるように言われてもなお、揺るがない。むしろ一層強固になっているのではないかとさえ感じた。
そんな慎吾の思いが、“恋人になる”という形では成就しなかったけれど、とにかく花枝に届いてよかった。ちゃんと慎吾のためだけの時間が与えられ、告白できてよかった。叶わなくても、十二分に思いは伝わっただろうから。
ところで、相変わらず筆者は慎吾の幸せを願っているのだけど、「守らなきゃ」という思いの強い慎吾を、さらに大きく包み込んで守ってくれる人がいいんじゃないかなと思った。やっぱり、それができるのは凜だけだと思うんだけど……。
最終回、こっちの関係性の変化もまだ少し期待して、楽しみに待ちたい。
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{第10話ストーリー&レビュー}–
第10話ストーリー&レビュー
第10話のストーリー
エレベーターに閉じ込められた花枝(清原果耶)と芦田(間宮祥太朗)、そして慎吾(菊池風磨)。
花枝が頑なに守ってきた秘密を知ってしまった芦田は、空白の2年を埋めるかのように必死に花枝に話しかける。ところが、芦田の突然のとある爆弾発言に、花枝は思わず反発!話は途中のまま、気まずい空気だけを残して花枝はその場を去ってしまう……。
花枝への変わらぬ想いを改めて自覚した芦田は、爆弾発言の真意を伝えたいと、あの手この手で花枝にアタックを開始!一方の花枝はなかなか素直に芦田に向き合えず、頑なに芦田を拒否し続けてしまう。
それでも芦田はめげずに、なんとか花枝の心を開くべく、ついに最終手段としてある男に力を貸して欲しいと願いでる。その男とは、あろうことか長年花枝を思い続け、芦田に「二度と関わるな」と言い放った慎吾だった……!?
ついに結末に向けて走り出す花枝、芦田、そして慎吾の運命は……。
家族や仲間たちのたくさんの優しさと愛に見守られながら、彼らはどんな幸せを掴むのか!?
不器用でもまっすぐな思いが起こす、恋の奇跡をお見逃しなく!
第10話のレビュー
ひょんなことからエレベーターに閉じ込められてしまった花枝(清原果耶)、芦田(間宮祥太朗)、慎吾(菊池風磨)の3人。
この状況で、芦田は花枝に思いを伝えようとする。が、花枝の頑なさを嫌だと言い、何かを続けようとした瞬間に、救助が来てしまった。多分、絶対、1番肝心なところを言えなかった芦田。花枝とは気まずいままになってしまう。
芦田は気になって花枝にLINEを送ろうとするも、当然のようにブロックされていた。
花枝との”取り組み”をする前の芦田だったら、きっとここでもう諦めてしまっていただろう。だけど、”取り組み”と2年の時を跨いだ芦田は違う。花枝が暮らすあさひ学園まで、ちゃんと行く。それでも話を聞いてもらえないとわかると、花枝のランニングコースで待ち伏せて、橋から垂れ幕を垂らしてメッセージ伝えようとする。いや、これはさすがにはずい。百年の恋も冷めてしまいそうだ。
でも、花枝の気持ちがリセットされているわけではない。花枝だってもちろん、芦田のことが好きなのだ。
だから耳が聞こえなくなったことを話して傷つけたくなかったのだし、突如道に現れたときには逃げ出した。
では、何がネックなのか? それをまず打ち明けたのは葉子(石田ひかり)にだった。
「音楽の人なのに、わたし芦田さんの作った曲がわからない」
わからなくても大丈夫だよ、と周りが言うのは簡単だけど、それじゃ何の解決にもならない。
2人の距離を近付けた音楽が、この局面で花枝を芦田から遠ざける理由になってしまった。この壁、どうやって乗り越えるのだろうか……。
花枝と話がしたいのに万策尽きた芦田は、こともあろうに慎吾を呼び出す。ちょっと高そうなお店。
状況から、芦田が相談したかったことを察して全部当てちゃう慎吾も、ちゃっかり時価のシャトーブリアンを注文しちゃう慎吾も、いつも通りで安心した。
花枝への思いが叶わなくても、慎吾は慎吾だ。
慎吾は社長命令ということで、花枝に芦田の家に掃除へ行くよう指示を出す。
渋々花枝が芦田の部屋へ行ってみると、“空手再デビュー激励パーティー”ということで、慎吾や凜(藤原さくら)、直美(稲森いずみ)や葉子までが勢ぞろいしていた。最終回にふさわしい主要キャスト大集合の図(薫=東啓介と並んでちょっと小さく見える慎吾がかわいい)。
みんなが見守る中で、花枝に話し始める芦田。自分が好きな人が自分を好きになってくれるのは奇跡だと語り、でもその道を選ぶかどうかは花枝が決めることだから、と続ける。
そして、「俺は待ちたい」「花枝が俺を必要だと思ってくれるまで」「いつまででも待ちます」と真摯な思いを伝える。
「今までで今日が1番好きです」という言葉を、芦田がこんなにもストレートに口にすることもまた、物語の最初の頃から比べると奇跡なんじゃないかと思う。
芦田の告白を聞き心を動かされた花枝も、素直に心情を吐露する。
「頑ななのはそれしか生き方を知らないから」「本当は弱いから、恋は怖い」
花枝の強さの裏側に隠された弱さ。でも、花枝は自分のその弱さを受け入れ、「芦田さんのことが好き、一緒にいたい」と涙ながらに思いを伝えた。
だが、花枝にはまだ引っかかっていることがある。それは、芦田の音楽がわからないこと。
まるでそう言われるのを予想していたかのように(もしかして葉子から聞いていたのかな、それともずっと考えていたのだろうか、後者だったらいいな)、「それなら大丈夫」とすべてを包み込むような優しい声をかけ、花枝の手を引く芦田。屋上で花枝をアンプの上に座らせ、ギターを弾いて歌う自分の背中に頭をつけるように促す。振動で音楽を届けようとしたのだ。花枝にとって壁だと感じていたものを軽々超えていった芦田、やるな……。
ファイトソングが、三三七拍子で伝わるのはすごくいい。無条件に、元気が湧いてくる。
ここからは、怒涛のハッピー連鎖が勃発。
迫(戸次重幸)も触発されて直美に告白し、見事に1歩前進。
さらに最高だったのは慎吾と凜だ。
花枝と芦田の復縁を成功させたことで「天使なんじゃね、俺」とおどける慎吾。しかし芦田は鈍感だ、と宣うものだから、痺れをきらした凜は思わず、鈍感なのはお前だ、と言ってしまう。
そこからはもう止まらない。自分の好意に気付かないこと、「バーカ」は「好ーき」であることをまくし立て、最終的には「絶対に好きにさせてやる」と言ってのける。告白まで戦闘モードな凜、本当にいじらしくてかわいくて、花枝と芦田の思いが通じたときよりも泣けてしまった。
そんな切実な凜を見て、戸惑いながらなんでそんな切ない生き方してんだとツッコむ慎吾だったが、最終的には「ありがとう、俺のこと好きになってくれて」とハグを返す。
あぁ、もう、本当に良かった……。この先どうなるのかはわからないけど、少なくとも凜の思いが伝わってよかった。
芦田が恋は奇跡と言っていたけど、これって凜のためにあるみたいな言葉だと思った。ここまで粘ったあなたの勝利。
慎吾は花枝への、凜は慎吾への長年の片思いで、きっと辛い思いもたくさんしただろうから、その分たくさんの幸せを噛み締めてほしい。
慎吾&凜、やっぱり間違いなく最高です!!
締めくくりはすっかりラブラブな花枝と芦田。お別れの日に見られなかった「ムササビっ!」が、最後の最後で見られるとは。花枝のはじけるような笑顔が、このドラマにはよく似合う。
10話とは思えないたくさんのエピソードが散りばめられ、あっという間の3ヶ月だった。様々な恋の矢印が乱れ飛んでいた本作、同時に登場人物たちみんなの優しさや思いやりが敷き詰められてもいた。その温かさに触れるたび、切なくなったりほっこりしたり、色々な気持ちにさせてもらった。
いい作品だったなと胸に留めつつ、どこかで慎吾と凜のその後を描いたスピンオフを観られることをこっそりお祈りしていようと思う。
(文:シネマズ編集部)
※この記事は「ファイトソング」の各話を1つにまとめたものです。
–{「ファイトソング」作品情報}–
「ファイトソング」作品情報
放送日時
2022年1月11日(火)スタート 毎週火曜 22:00~
出演
清原果耶、間宮祥太朗、菊池風磨(Sexy Zone)、東啓介、藤原さくら若林時英、窪塚愛流、莉子
栗山千明
橋本じゅん、戸次重幸
稲森いずみ
脚本
岡田惠和
音楽
大間々 昂
主題歌
Perfume 「Flow」 (UNIVERSAL MUSIC)
演出
岡本伸吾、石井康晴、村尾嘉昭
プロデューサー
武田梓、岩崎愛奈
編成
宮﨑真佐子、中西真央
製作
TBSスパークル、TBS