映画『99.9』、ドラマからのファン必見「7つ」の理由

映画コラム

2021年最後の大作映画と言っても過言ではない、『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』。

筆者はドラマのSEASON ⅠもSEASON Ⅱも常にリアルタイム放送で見ていた本ドラマのファンである。コミカルさとシリアスさの融合が絶妙で、またいつか出会えたらと思っていたので、映画として鑑賞できてとても嬉しい。

そんなドラマファンの目線として「ドラマからのファンは楽しめるのか」という疑問に応えていきたい。もちろん答えはYESだ。

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理由1:ドラマキャスト総出演!

ドラマ「99.9」のファンの方であれば、松本潤や香川照之に限らず、「あのキャストは登場するのか」という部分が気になるはず。

これに関してはただ一言「ほぼ全員出るよ!」と伝えたい。

既に公式で発表されている通り、片桐仁や岸部一徳、榮倉奈々、木村文乃らが安定の登場。ドラマにおいて東京地方裁判所の裁判官・川上憲一郎を演じた笑福亭鶴瓶も登場し、物語の本題に絡んでいく。池田貴史、岸井ゆきの、映美くらら、畑芽育らお馴染みのメンバーも登場し、「あの感じ」を映画版でも踏襲していく。

理由2:変わらない雰囲気=「コミカルとシリアスの融合」

理由1で「あの感じ」を映画版でも踏襲と記してしまったが。コミカルとシリアスの融合という「99.9」らしさが、今回の映画でも溢れ出ている。

ドラマの映画化においては、ドラマと異なるテイストで攻める作品も時折ある。それはそれで新たな境地への開拓となるが『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』はそちらに舵を切っていない。

深山のキャラクターや事務所メンバーのコミカルなやり取りはもちろん、音楽や素早いカット割りなどもそのまま健在。それは言うまでもなく本映画の長所となっている。ドラマファンならば「ああ、帰ってきた」という安心や喜びを感じるだろう。

–{事件に隠された事実を探るミステリー}–

理由3:事件に隠された事実を探るミステリー

理由2では「99.9」らしさのコミカルな部分を炙り出したが、シリアス面(つまるところ事件の事実)に関しても「99.9」らしさから脱線することなく、そこに存在している。

「99.9」ではトリックというわけではないが、隠された事実を深山の洞察力や事務所メンバーの執念で炙り出していく展開が多かった。

今回の『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』においては、15年前に起きた「天華村毒物ワイン殺人事件」の事実に迫っていく。ただ事実に迫ったり、真犯人的な人物が炙り出されて終わりではない。

その事件の裏で悲劇の渦に巻き込まれた人物たちの人間ドラマもしっかりと描かれる。シリアスな事件の事実と人間ドラマが、コミカルさと融合し「99.9」でしか表現できない独特の空気感を醸成している。

理由4:深山の洞察力を活かす

「99.9」の魅力の一面として「深山の魅力×演じる松本潤の魅力」は大きな比重を占める。

ドラマで描かれた深山が弁護士になった過去の事実には悲しさもあったが、深山という人物自体は至って明るくポジティブだ。今回も深山のパーソナリティには一点の曇りもなく、時にお寒いギャグを挟みながら類稀な洞察力で事件の事実へ迫っていく。

事件の事実には容易に辿り着けず、事務所自体がピンチに陥るような展開もあったが深山は至って冷静。そのピンチも糧として事件の事実に迫る執念に、ドラマファンあらばハラハラドキドキ感よりも絶対的な安心感と信頼感を持って応援する気持ちとなるはずだ。

理由5:佐田が相変わらず佐田

「99.9」においてもう一つ大きな魅力として君臨するのは、間違いなくて「佐田の魅力×演じる香川照之の魅力」である。

特に「99.9」はTBS日曜劇場の枠で放送されていたこともあり、香川照之はこの枠の常連だ。「半沢直樹」「ルーズベルトゲーム」「小さな巨人」「日本沈没」と、印象的な演技を我々視聴者に残してきた。

どの演技もコミカルさとシリアスさの融合であったが、「99.9」の佐田はドラマの時からどう見てもコミカルよりのシーンが目立つ。それが佐田の佐田らしさたる所以であり、『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』においても健在だ。

「佐田が相変わらず佐田」という表現については、きちんと言語化しろと思われるかもしれないが、ドラマファンであれば、言おうとしていることは伝わるはずだ。

–{理由6:笑えないギャグ}–

理由6:笑えないギャグ

深山が繰り出すお寒いギャグは今回も健在だ。ネタバレしない程度にいくつか紹介しようとしたが、こんな極寒の年の瀬にスマホやPCを通して、みなさまをより寒くするなど申し訳がない。

劇場には防寒をして挑むことを進める。本当にしょうもないギャグが連発される。

※言うまでもないがこれは全て褒め言葉である。

書いていて寒くなってきたので、この理由についてはこれ以上何も語らない。思い出したくもない。

※繰り返すがこれは全て褒め言葉である。

理由7:ファンでも初見でも楽しめる親切設計

映画を鑑賞するに際して「家族や友人・恋人と楽しめるか否か」は一つ気になる点であると思う。

特に、『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』は、ドラマの映画化であるため「私、ドラマ見ていないんだよね」と言われた際に押し切るか悩む方もいるだろう。

しかし、そこは心配ご無用。ドラマから地続きのキャラクターたちではあるが、事件は本作完結型である。よって物語も本筋で混乱をきたしたり、理解に支障が出たりはしない。

それでありながら、ドラマファンは地続きの人間関係をプラスで楽しめる。文字通り「親切設計」の映画となっているので、安心して映画館へ足を運んで頂きたい。

ただし、初見の友人に「あのギャグ、何?」と言われた時の回答くらいは用意していくことを勧める。

※繰り返すがこれは褒め言葉である。

このように『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』は、ドラマからのファン必見の映画となっている。

ドラマの良さに杉咲花が演じる新米弁護士・河野穂乃果というぶっ飛んだキャラクターなどが新しいスパイスとなっているのも心地良い。

また少し閉塞感の出てきた社会情勢ではあるが、『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』で心に爽快な風を吹かせる年末年始とすることを是非ともオススメする。

(文:柳下修平)

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–{『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』作品情報}–

『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』作品情報

予告編

基本情報
出演
松本潤 香川照之 杉咲花
片桐仁 マギー 馬場園梓 馬場徹 映美くらら 池田貴史 岸井ゆきの
西島秀俊 道枝駿佑(なにわ男子) 蒔田彩珠
榮倉奈々 木村文乃 青木崇高/高橋克実 石橋蓮司
奥田瑛二 笑福亭鶴瓶/岸部一徳

監督:木村ひさし

公開日:2021年12月30日(木)

製作国:日本