映画『99.9』評、松本潤が魅せた「リスタート」

映画コラム

>>>『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』画像を全て見る

嵐が2020年末に活動休止してから1年、どこまで計算があったのか、それともまさに奇跡的な巡り会わせなのか、それから約1年となる2021年12月30日に松本潤の4年ぶりの単独主演映画『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』が公開となります。

公開前夜の12月29日には「99.9-刑事専門弁護士- 完全新作SP~新たな出会い篇~映画公開前夜祭~」も放映されます。

この映画&ドラマ出演に関して松本自ら“リスタート”宣言をするなどの、大きな節目を迎えつつあることがうかがえます。

【関連記事】映画『99.9』ドラマ未視聴でも楽しめる3つのポイント

【関連記事】映画『99.9』、ドラマからのファン必見「7つ」の理由

【関連記事】映画『99.9』松本潤が魅せる、深山大翔のキャラクター像

雌伏の時からの“リスタート”宣言

嵐が2020年いっぱいで活動休止になってから、松本潤は表舞台から一歩下がった立ち位置にいました。

ライブの演出も手掛ける松本潤にとっては活動休止を前にした「ARASHI Anniversary Tour 5×20」という大きな活動があり、また最終日と言える2020年の大晦日ライブもあり、裏方としてフル稼働していたと思われます。

実際に活動を見てみると嵐としてのレギュラーバラエティの出演があったりしたので、そこまで気になりませんでしたが、この大型ツアーの期間中の松本潤個人としての、特に俳優としての活動は非常に少ないものになっています。

他のメンバーがテレビ出演をこなす中でなかなか松本潤の姿を見ない日々が続きました。

やっとメディアの前に現れたのが10月25日の事。
 
日本外国特派員協会で行われた嵐のライブフィルム『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』の公開に合わせての記者会見でした。

【関連記事】松本潤 記者会見詳細レポート『ARASHI 5×20 FILM』
 
しかし、表舞台には出ていなかった間に松本潤は2022年の連続ドラマ「となりのチカラ」への主演が決まり、さらに2023年のNHK大河ドラマの「どうする家康」の主演も決めていました。
 
嵐のデビュー以前から俳優業を始めていた松本潤、そのデビューは1997年なので、来年2022年で俳優デビュー25周年という大きな節目の季節を迎えることになります。
 
そんな中で新作ドラマ、大河ドラマを前にして松本潤は『99.9-刑事専門弁護士-』の映画&ドラマを自ら“リスタート”の作品として掲げています。

–{『99.9-刑事専門弁護士-』について}–

『99.9-刑事専門弁護士-』について


 
松本潤はこれまでも映画・ドラマで多くの話題作・ヒット作に出演してきましたが、シリーズ化からさらに映画化までに至ったドラマは「花より男子」以外にはこの「99.9-刑事専門弁護士-」しかありません(「ラッキーセブン」「ごくせん」「僕らの勇気未満都市」がスペシャルドラマ化されています)。
 
「99.9」はもともとTBSの看板枠である日曜劇場の2016年の春ドラマとしてシリーズがスタート。
 2018年に冬ドラマとしてSEASONⅡが放映されました。
 
SEASON Ⅰの榮倉奈々、SEASON Ⅱの木村文乃(そして新作スペシャルと映画は杉咲花)という個性的なヒロインと香川照之などの頼りになるベテラン組との組み合わせがピタリとはまりました。
 
日曜劇場は、その代名詞となった「半沢直樹」などのように社会派作品が続くこの枠ですが、時折かなりトリッキーな作品も放映されています。

例えばこちらも映画化された(同じ木村ひさし監督)「ATARU」や2021年初頭にドラマウォッチャーの間を大いに賑わした「天国と地獄~サイコな2人~」などのSFサスペンスとでいうべき作品群がラインナップに並んでいます。
 
「99.9-刑事専門弁護士-」も刑事事件をめぐる法廷劇であり、主人公の過去の因縁が物語の縦軸としてあったりしますが、その一方で、寒すぎるオヤジギャグや“なぜ、そこまで?”と思わせるほど“新日本プロレスネタ”などをぶち込んでくるなどかなりトリッキーな作品でした。(試合の放送はテレ朝系なのです)TBSでここまで新日本プロレスネタ、しかもレスラーもどんどん出るのってかなり異例なことで、驚かされました。
 
本格派のドラマもそうですが、トリッキーな作品は設定がかなり翔んでいる分だけ、軸となる主役はかなりしっかりとしていないと、ドラマごと翔んでいってしまうものです。

しかし、そこはジャニーズの中でも“主役型”の俳優である松本潤。緩急をつけた演技で見事に“物語を地に足を着ける”ことに成功しています。
 
「99.9-刑事専門弁護士-」の成功と成長はやはりこの部分が大きかったと思います。
 
–{40代の“松本潤”を見据えて}–

40代の“松本潤”を見据えて

アイドルというカテゴライズの存在の人たちに“年齢”というものを持ち込むのは少し野暮な話だと思いますが、あえて触れると2023年には松本潤も40歳になります。
 
大河ドラマ「どうする家康」の家康役は40代に入った松本潤を見る最初の機会ということになるのですね。
 
さかのぼると、松本潤の20代にはあの「花より男子」があり、2シーズンのドラマもその後の映画も共に大ヒット。映画は興行収入77億円を突破し、公開された2008年の実写邦画ナンバーワンヒット作品となっています。
 
また、音楽の面でも嵐のドラマ版の「Love so sweet」と映画版の「One Love」も大ヒットし、松本潤としても嵐としても転機となった作品でした。
 
この作品の一連のヒットで松本潤は20代を代表する作品を得たことになります。
 
そして、30代になってからの代表作ともいえる作品が「99.9-刑事専門弁護士-」でしょう。
 
いよいよ公開される『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』はこちらもヒットが期待されている一本で、お正月邦画の本命の一本として『劇場版呪術廻戦0』や「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」などと競い合うことになるでしょう。
 
このように松本潤は各年代に映画版にまで上り詰めた作品を持つことになりました。

–{映画『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』に向けて}–

映画『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』に向けて

 
嵐の面々は俳優としても活躍していて、二宮和也の様に受賞歴も多い人もいます。

松本潤はどちらかというと賞レース型より娯楽映画を引っ張る大衆娯楽俳優型俳優なので、方向性が全く違っているのですが、主役型俳優としても娯楽映画の量産に期待したところです。
 
もちろん大河ドラマがあるので、2年以上は待たされることになると思いますが、40代という俳優として脂が乗ったタイミングで松本潤がどんなエンタメを魅せてくれるかが今から楽しみです。
 
まずはその前に映画『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』ということになるのですが、映画については新キャラクターや新作スペシャルドラマとのつながりもある作品になっており、何よりコメディ要素があるとは言え“謎解きサスペンス”なので、ちょっと触れると即ネタバレになるの言えないところが多くなっています。

それでも、敢えて言えば“「99.9」イズム健在”という部分もあれば、今までになかった展開・描写もあります。
 
特に、自己流を貫くがゆえに周囲を混乱させ、振り回すことが多かった深山=松本が思わぬ形で逆に翻弄される展開が出てきます。そこは映画版にした新たなスタイルを提示してきて、新鮮に感じました。
 
年の瀬が迫りに迫った12月30日(木)に公開される『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』で2021年の映画締めをしてみてはいかがでしょうか?
 
(文:村松健太郎)

【関連記事】映画『99.9』ドラマ未視聴でも楽しめる3つのポイント

【関連記事】映画『99.9』、ドラマからのファン必見「7つ」の理由

【関連記事】映画『99.9』松本潤が魅せる、深山大翔のキャラクター像

–{『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』作品情報}–

『99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE』作品情報

予告編

基本情報
出演
松本潤 香川照之 杉咲花
片桐仁 マギー 馬場園梓 馬場徹 映美くらら 池田貴史 岸井ゆきの
西島秀俊 道枝駿佑(なにわ男子) 蒔田彩珠
榮倉奈々 木村文乃 青木崇高/高橋克実 石橋蓮司
奥田瑛二 笑福亭鶴瓶/岸部一徳

監督:木村ひさし

公開日:2021年12月30日(木)

製作国:日本