<新作レビュー>『マークスマン』リーアム・ニーソン、イーストウッド映画の魂を踏襲したアクション・ロードムービー!

ニューシネマ・アナリティクス

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■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT

いつのまにかタフガイなオヤジと化して数々のハード・アクション映画に主演し続けるリーアム・ニーソンですが、ここにまた1本、新たな魅力ある快作が登場!

メキシコ国境付近の牧場からシカゴまで、麻薬カルテルの魔手から逃れながらメキシコ人の子ども(母親は麻薬カルテルの凶弾で死亡)を送り届ける羽目になる牧場主が今回の彼の役柄です。

『96時間』3部作あたりからすると年々枯れオヤジ的な味わい深さを好ましく醸し出しつつ、元狙撃兵としての凄みを巧まずして身体全体で発してしまう主人公のリアリティは、やはりリーアム・ニーソンならではの賜物といっても過言ではないでしょう。

初老の男と少年のぎこちない交流と友情、ロード・ムービーの韻を踏んだ展開の妙味、元狙撃兵という設定を活かしたクライマックス、伏線の張り方も絶妙です。さらに嬉しいのは、監督が数々のクリント・イーストウッド映画のプロデューサーで、彼が主演した『人生の特等席』(12)で監督デビューも果たしたロバート・ロレンツであること!

それゆえか、どこかしらイーストウッド映画の空気感がそこはかとなく漂っていると感じてしまうのは、贔屓の引き倒しでしょうか?

(劇中、少年がテレビで見ている映画が1968年度テッド・ポスト監督のイーストウッド主演『奴らを高く吊るせ!』なのも渋すぎる!)

いずれにしても、かつてサム・ペキンパーをはじめとする錚々たる映画監督たちが愛し、その舞台にし続けてきたメキシコ国境系映画の魂を踏襲する新作を、2022年の正月から見られる快感よ!

(そういえば1月14日より公開されるロレンツ監督の師匠イーストウッド監督・主演映画『クライ・マッチョ』もまた、メキシコを舞台にしたロード・ムービーの快作です)

ふと、クリント・イーストウッド監督映画にリーアム・ニーソンが出演したら、さぞ面白かろうと思わず想像してしまいました!

(文:増當竜也)

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–{『マークスマン』作品情報}–

『マークスマン』作品情報

ストーリー
愛妻に先立たれ、メキシコ国境付近の町で牧場を営みながら愛犬と暮らす元海兵隊の腕利き狙撃兵、ジム・ハンソン。ある日、メキシコの麻薬カルテルの魔の手を逃れ、越境してきた母子を助けたことから、彼の運命は大きく変わり始める。カルテルに撃たれた母親は、ジムに11歳の息子ミゲルを託して絶命した。ミゲルをシカゴに住む親類のもとに送り届けてほしい――日々の生活に手いっぱいのジムだったが、仕方なくこれを引き受ける。一方、米国に侵入したカルテルは執拗に彼らを追撃。迫りくる危機に、ジムは必死に抵抗する。果たして彼は、ミゲルを守り、シカゴにたどり着くことができるのか?

予告編

基本情報
出演:リーアム・ニーソン/キャサリン・ウィニック/フアン・パブロ・ラバ/テレサ・ルイス/ジェイコブ・ペレス

監督:ロバート・ローレンツ

公開日:2022年1月7日(金)

製作国:アメリカ