自分のブログでもない、ニュースサイトにも配信される場所で「俺のベスト」を書くことにいまだ抵抗がある。どこぞの得体のしれないライターが選んだアニメベスト10なんて興味ないだろうな、と。
ただありがたいことにシネマズプラスは「まあそういうの気にせず、好きにやっちゃって」という、ライターにとってはありがたい頭のねじが外れたメディアだ。だから自由に、感情のままに書かせてもらおうと思う。筆者が今年ハマりすぎてどうにかなりそうだったTVアニメBEST10を。
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第10位「吸血鬼すぐ死ぬ」
吸血鬼とそれを退治するハンターのバトルを描く……。あ、間違えた。ちょっとの衝撃で塵となってしまう吸血鬼・ドラルクと、本来対峙するはずの彼となぜかコンビで活動していくこととなったバンパイアハンター・ロナルドの日常を描いたギャグアニメが「吸血鬼すぐ死ぬ」だ。
吸血鬼のイメージといえば、鋭い牙、黒ずくめの衣装、そして血。しかし同作に出てくる吸血鬼たちは、これらのイメージとはかけ離れたものばかり。しかも「内に秘めた自分の性癖を吐露させるのが趣味」とか「野球拳をこよなく愛する」とか「マイクロビキニで人類を支配する」とか、基本的にわけのわからない、救いようのない変態ばかりなのだ。血なんてほぼ流れないし、緊張感のカケラもない。
またロナルドの仲間であるハンターたちも、超がつくほど個性的なメンツばかりだ。一度見たら忘れられない濃さなのだが、テンポの良い展開が胃もたれ、胸やけを起こさせない。
もう何も考えたくない、原稿に煮詰まって現実逃避したい。そんなときにけっして褒められた存在ではない変態たちと個性豊かな仲間たちが届けてくれる笑いに、なにかが狂い始めているかもと思いつつも救われた。
人生において、わっかりやすいくだらなさが必要なときもあると改めて実感させてくれたアニメだ。
第9位「Vivy-FluoriteEye’sSong-」
AI(人工知能)は、アニメでよく取り上げられる題材だ。社会を便利に豊かにしてくれるAIがいる世界観は、希望にあふれている。その反面、その便利さに甘んじた人間たちが自分で考えることをやめたり、有能さに危機感を覚えたりと、共存の難しさもたびたび描かれてきた。「Vivy -Fluorite Eye’s Song-(以下、Vivy)」も、AIと人の共存に真摯に向き合った作品だったと思う。
物語は、AIが人類を抹殺している100年後の未来から始まる。この絶望を防ぐためにその未来からやってきたというAI・マツモトと主人公のAI・ヴィヴィが、AIと人間の関係を大きく転換させる出来事を変えていくというSFストーリーだ。
この作品の大きな特徴として、「歌」が挙げられる。その理由は感情を理解できないと言われるAIに「歌でみんなを幸せにする」という使命を与えているからだ。単に人を感動させるだけなら、プログラム通りに実行すれば叶いそうなものである。しかしプログラム通りに歌うヴィヴィは、人の心に響くパフォーマンスをするには至っていない。「心をこめて歌う」という目標を持たせ、プログラムに頼らない選択をAIに課したところに、この作品の体温を感じた。
一方でヴィヴィは、あくまでAIなのだと実感させられるシーンも多々ある。不自然なほどになめらかな質感の肌やガラスのような瞳が、彼女が人間とは異なる存在だと印象づけていた。
「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」が描く世界は、どこかまだ遠いもののように思える。しかしAIとの共存はすでに、私たちの身近なところで始まっている。いま以上に便利になったとき、私たち人間はどうあるべきなのかを考えさせられた作品だった。
第8位「ブルーピリオド」
痛いのに、どうしようもなく熱かった。
「ブルーピリオド」は、絵を描くことに目覚めた高校生が美大合格を目指す物語だ。おそらく山口つばさ氏の原作漫画を読んでいるファンからしたら、少しもの足りなさを感じるアニメ化だったと思う。原作未読の筆者ですら、展開の深掘りに少し疑問を感じる部分があったくらいだ。しかしそういう気になる部分を吹き飛ばす、痛みとパワーが同作にはあった。
自信のなさを隠すために虚栄を張る。目指すべきところが見えない、何を信じたらいいかわからない不安を抱く。そんな主人公の八虎を通して、自分を見ている感覚があった。
しかしこの共感が、徐々に嫉妬へと変わっていく。八虎は凡庸で未熟な自分から目を背けない「努力の天才」だった。今の自分にできることを地道に重ねながら、絵の力を磨き続けていく。周囲を圧倒する勢いで絵を描くことにのめり込んでいく八虎を見て、いかに自分の「好きを仕事に」がペラペラなのかを突きつけられた。そして自分の未熟さを思い知らされる痛みは、話数を重ねるごとに増していく。
しかしこの痛みを味わえている自分がいることにも気づかされる。「まだやれることはある」と前を向かせてくれる。
「背中を押す」どころか「全力で煽ってくる」、ブルーピリオド。その熱さの先にある世界を見届けたいと思える作品だった。
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第7位「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」
登場人物が言っている内容の8割がたを理解できていないのに、「おっっっんもしろ!!」となったのが、「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」だ。
まず映像にぶん殴られる。「僕のヒーローアカデミア」「文豪ストレイドッグス」「ノラガミ」などアクションに定評のあるボンズと、「宝石の国」「BEASTARS」などCGアニメの新時代を更新し続けているオレンジがタッグを組んだだけあって、絵が画面から飛び出てきそうなほどの迫力を放っていた。
また往年のゴジラを知らず、かつ話の展開を8割がた理解できていない筆者でも、「なんかとんでもないことが起こる」と直感できる演出が物語の端々に感じられた。ちなみに筆者が受けてきた教育を無駄にしている説もなくはなかったため、念のため理系の賢い知り合いに「内容理解できてる?」と確認したところ、「あれは物理超えてるのでわからん」「質量保存の法則の世界の住人から抜け出さない限り理解は無理」という解説が返ってきた。たぶん分かってなくて大丈夫ということだろう。
第10話で共通言語ともいえるゴジラのテーマがかかった瞬間は、もはや理解できるかうんぬんの話ではなかった。最悪が迫っているのに、猛烈な高揚感が全身を駆け巡る。
それからオープニング映像も、筆者がこのアニメにどっぷりハマった大きな理由だった。アニメのシーンのコラージュ的活用。その中にデザインとして溶け込むスタッフクレジット。このカッコいいオープニング見たさに毎週テレビにくぎ付けになっていたところもある。
話の展開がわからなくたっておもしろいものはおもしろい。本来のアニメの楽しみ方に立ち返らせてくれた作品だった。
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–{BEST6位から4位を発表}–
第6位「東京リベンジャーズ」
現実に存在しながら、自分とは無縁、どこか遠い存在……。これまでの人生で、あまり興味がそそられなかったジャンルが「不良モノ」だ。それがこんなにもハマるなんて思ってもみなかった。異常に盛り上がっているという情報をキャッチして、放送開始から少し経って観始めたのだが、気づいたときには「東京リベンジャーズ」に落ちていた。
ノーヘルでバイクをガンガン乗り回し、血まみれになりながらボッコボコに殴り合う不良中学生たち。これらの描写に「警察働け~~~!」「大人たち~~~!」という気持ち(ツッコミ)もなくはなかったが、それ以上に信念に生き背中を預け合って闘う彼らの青さがあまりにも愛おしかった。
ただ唯一、受け入れられていないことがある。場地圭介という宝に、ハロウィンの日に起こった出来事のことだ。
同作は、2期制作も決まっている。しかしいまだ、21話のニカっと笑う年相応の幼い笑顔が頭に焼き付いている。気持ちの整理なんて、つくわけない。つくわけないじゃないか。場地ぁぁぁぁぁぁぁああああああああん!!!!!
でもやっぱり、2期「聖夜決戦編」めちゃくちゃ楽しみにしてまぁぁぁぁぁぁぁあああす!
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第5位「ゾンビランドサガリベンジ」
第1話で主人公の人生がTHE ENDするという衝撃のスタートを切った「ゾンビランドサガ」。1期が放送された2018年の予告で全く予想不可能だった得体のしれないアニメが、「ゾンビアイドルもの」だったという蓋を開けてみても得体のしれない、そしてジャンルに捉われない作品として伝説に残ったことは記憶に新しい。その2期として、2021年に放送されたのが「ゾンビランドサガリベンジ(以下、リベンジ)」である。
満を持しての2期。しかしこれまで、2期で勢いを失ってしまうアニメも見てきた。だからこそ、最高のアルピノライブで終わったほうがよかったのではないかと思ってしまうことを恐れている自分もいた。
そんな不安は杞憂に終わった。リベンジ、第1話からフルスロットル。え? 何? 「イカの魂無駄にはしない~小島食品工場株式会社社歌~」って?
リベンジは、フランシュシュがプロデューサー・巽幸太郎の無計画さに振り回され、多額の負債を抱える身となったところから始まる。どんなハードなゾンビ生なのだろう。ゾンビってだけでもなかなかハードなのに。
そんな突飛でハードな設定に引きずられてもおかしくないアニメにもかかわらず、そうならないのが同作のすごいところだと思う。
1期で絆を確かなものにした彼女たちが、借金をはじめとするお先真っ暗な逆境を跳ね除け、新たなステージを目指す過程はあまりにも熱かった。各話を象徴するライブシーンはもちろん、ラストの駅前不動産スタジアムでのライブは涙なくして観られなかった。家でペンライトを何度振っただろうか。
そしてフランシュシュは、復讐のその先へと銘打ち、スクリーンへと歩みを進める。予告でわからせる気が毛頭ないところも、相変わらずだ。
何が起こるかわからない。蓋を開ける楽しみを味わわせ続けてくれる。そんなフランシュシュそしてゾンビランドサガが大好きだ。
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第4位「Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~」
制作陣の皆さんには本当に申し訳ない。観る作品をあらかた決める事前チェックからも漏れるくらい、全く観る予定のないアニメがこの「Fairy蘭丸」だった。
筆者の心を鷲掴みにしたのは、夜にたまたまテレビをつけていたら始まった口上だ。トランペットの音色をバッグに紡がれる必〇仕事人を彷彿とさせるそれのせいで、気づけば締め切りが迫っている原稿を放置してテレビに喰らいついていた。
もうそこからは一瞬。5人の夭聖(ようせい)が愛著(あいじゃく)なるものを集めるために人間界へ派遣され、虐げられている人を救う物語なのだが、途中にぶち込まれる情報が多すぎて、頭の整理が終わらぬまま1話が終わった。
なかでも人間から夭聖の姿への変身シーンは、まるでどこかの美少女戦士だった。かつて少女だった頃の記憶がよみがえる。
そしてこの追い打ちだ。敵のもとへ出陣するたびに流れる夭聖たちの昭和歌謡風テーマソングのクセがすごい。艶やかな歌と書いて“艶歌(えんか)”と呼ぶらしい。もうすでに情報過多なのだが??
そして駆け抜けるように物語が終わったかと思えば、このエンディングである。今が令和であることを忘れてしまいかねない、ムーディーな楽曲が脳にこびりつく。そろそろ勘弁してほしい。
と、あまりの情報量に話の内容がすっ飛びかねない同作なのだが、ストーリーもクセもすごい。いじめや労働搾取、浮気など、虐げられている人を夭聖たちは必死に救おうとする。しかし、救った先に必ずしもハッピーエンドが待っていないのだ。人の業の深さや情けなさが、物語をきれいサッパリ勧善懲悪モノとして終わらせない。ここに、どうしようもなく現実を生きる大人の悲哀が感じられる。
同作の指揮をとった菱田正和監督によると、「Fairy蘭丸」はレモンサワーを片手に観るのを想定した作品だという。たしかにその通りだと思った。
さあ、大人のアニメの時間だ。レモンサワーの準備はできているだろうか?
–{BEST3位と2位を発表}–
第3位「バクテン!!」
は?? 予告編になんかすっごいシーン混ざってなかった??
と、もうアニメが始まる前からワクワクが大気圏を突破していた「バクテン!!」。男子新体操という、正直それまで馴染みがなかったスポーツに一瞬で引き込まれた作品だ。
新旧の男子新体操選手たちによる実際の演技をモーションキャプチャーでアニメ化するにとどまらず、指先つま先など細かな部分を作画で表現するその丁寧さ。実際に筆者は、築館先輩の花が開くような美しさを放つ指先までの演技に、予告段階で落ちた。
そしてアニメ第1話、約3分間の衝撃。キャラクターたちがただただ演技をするシーンだけが流れた。そこには解説もなければ、競技を見ている観客の姿も描かれていない。
1人ひとり異なる、腕を振り下ろす速度や空中技からの着地タイミングからは、その選手が何が得意なのかが見えてくるようだった。この試技シーンを見たときに「ああ、なんて男子新体操に真摯なアニメなのだろうか」と感じた。
また舞台となった宮城の空気感やキャラクターたちの日常の描き方も丁寧だった。なかでもご飯描写は、すっからかんのの胃を刺激されるに違いない。主人公・翔太郎の実家ご飯に出てきた餃子なんて、噛んだら口の中をやけどする、肉汁がふきだすタイプのやつだった。これらの日常描写は、競技をしている瞬間だけがスポーツ選手をつくるのではないという事実を改めて示してくれたと思う。
ここまで真面目に丁寧にスポーツとそれに打ち込む若者たちを描いたアニメ作品はあっただろうか。そう思わずにいられない、個人的スポーツアニメの傑作だった。2022年には劇場版も公開予定だ。アオ校の演技が大きなスクリーンで観られるなんて……。ああ、なんという贅沢だろうか。
第2位「Sonny Boy」
突然謎の世界に飛ばされ漂流することを余儀なくされた、中学3年生たちのサバイバルを描いた「Sonny Boy(以下、サニボ)」。同作は、おそらく繰り返し観ても「答えが定まらない」「わからない」作品だと思う。
登場人物の言動がわからないという点では、7位に選んだ「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」と共通している。しかしサニボは、あえて「わからせない」ようにしているかとすら思えるアニメだった。なぜなら説明が本当にないからだ。
登場人物の人となりや出来事の背景を深く知るきっかけとしてよく使われるモノローグ。サニボは、これがほぼない。しかもキャラクターの心情をものがたる劇伴音楽も必要最低限。登場人物の個性や背景を紐解くには、そのときのキャラクターの言動や目の前で起こった出来事を見逃さないようにする必要がある。
キャラクターたちに芽生えた超能力。彼らを縛るルールらしきもの。サバイバルをする世界もころころ変わる。考察のしどころは満載だ。気合を入れて考察するしようとするのだが、あまりにもピースが少ない、いやむしろ多すぎるため、頭が混乱する。ただこの混乱がとても楽しいのだと、サニボは気づかせてくれた。
丁寧に説明してくれるアニメは、その世界にすんなりと没入できるから好きだ。しかしそれ以上の思考が生まれるかと言われたら、難しい。サニボはその思考を巡らす時間を楽しんで、と呼びかけてくれる作品だったと思う。
「あなたが青く見えるなら、りんごもウサギの体も青くていいんだよ」
これは8位に選んだ「ブルーピリオド」で、主人公の八虎が尊敬する森先輩からかけられた言葉だ。この作品の受け止め方も、きっとこれに通ずる。この作品をどう考察するか、どんなメッセージを受け取るか、それは観たその人だけのものなのだと。
逮捕者も出たファスト映画の風潮からも感じ取れるように、昨今の世の中は、結論への最短ルートが求められがちだ。そんな世の中においてサニボは、アニメを通して自分の考えと向き合う時間を届けてくれた。
–{第1位……の発表の前に「2021年アニメHOTトピックス」}–
第1位……の発表の前に「2021年アニメHOTトピックス」
第1位の発表の前に、ランキングには入らなかったものの2021年を象徴すると筆者が思っている作品についても紹介したい。
何度だって観るよ、大好きだもん! 2021年に2回の再放送「よりもい」
2020年のコロナパニックのおかげで、昨年から過去作の再放送も盛んなアニメ界。とはいえ、年に2回も再放送がある作品はそうない。2018年1月期に放送された「よりもい」こと「宇宙よりも遠い場所」は2021年、1月期と10月期に再びテレビの電波にのった。
再放送は、他の新作アニメよりも存在がかすんでしまう。しかし「よりもい」は、何度だって観たいと思わせる引力がある。4人の女子高生が自分で選んだ新たな一歩に、何度だって胸が熱くなる。
2022年2月には同作の制作陣が手掛ける劇場アニメ『グッバイ、ドン・グリーズ』の上映もある。ムビチケ特典のクリアファイル裏を見て泣いたのはここだけの話だ。
こんな再放送、あってたまるか!あったけど 「ポプテピピック」
2021年の再放送作品として、このクソアニメにも触れておこう。「ポプテピピック」だ。
そもそもこの作品は、2018年の初回放送から再放送の形をとっていた。CMを挟んだAパートとBパートで同じ内容を放送していたからだ。とはいえ、ただの再放送でもなかった。A、Bパートで声優を変え、毎週それを繰り返していたからだ。そのため「声優の無駄遣い」という声がSNSで多数見受けられた。あと、「声優の蒼井翔太さんは、大切な人が人質にでもとられているのか」といった声も。
そして、2021年10月の再放送。やつらが大人しく再放送するとは思えなかったとはいえ、また声優を入れ替えてくるなんて誰が想像できただろうか? 「ポプテピピック 再放送(リミックス版)」として深夜のテレビにやつらは戻ってきた。再放送をリミックスすな。
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ポプテピピック
TVアニメーション作品
第二シリーズ制作決定!
\2022年、
クソみたいに放送予定!▶︎特報映像も公開中https://t.co/JhL66hlgMv#ポプテピピック #PPTP pic.twitter.com/y4JJkVPjuk
— アニメ「ポプテピピック」公式 (@hoshiiro_anime) December 25, 2021
ちなみにこの記事を書いている12月26日の深夜に、第2シリーズの制作が発表された。は?
できることなら派手にスタートしたかった……「鬼滅の刃」
2021年2月に新シリーズ「遊郭編」がスタートするという発表がなされた「鬼滅の刃」。9月の「竈門炭治郎 立志編」の特別編集版+劇場版の「無限列車編」ときて、「もう10月放送しかないじゃん!」と思った人も多いのではないだろうか。
蓋を開けてみたら、確かに10月には始まったものの、それは「無限列車編」だった。煉獄さんが無限列車に向かうオリジナル前日譚。ストーリーやキャラクターの個性をより補完する追加カット。とても贅沢なTVアニメとなっていた。
ただ筆者は、できることなら「遊郭編」がすんなり始まってほしかったという本音を抱えている。もちろん「無限列車編」がTVアニメとして放送されたことで、LiSAの主題歌とこれまた目が飛び出るほどのクオリティを放ったオープニングとエンディングと出会えた。ただ12月に始まった「遊郭編」の鮮やかな色彩やコメディと不穏な空気のバランス感が光る映像を観ていると、どうしてもこれを10月から観たかったと思わずにいられない。
なにより映画館で何度も涙した煉獄さんとの別れを、劇場版のテレビ放送という形で再び味わい、さらにTVアニメでも突きつけられたのだ。シンプルにしんどい。自分でも思う。なんてめんどくさいファンなのだろうか、と。
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第1位「SK∞ エスケーエイト」
ンッッッパッッッッッッッッッッッッッッッッション!!!!!!!!
「SK∞ エスケーエイト」は、この一言に尽きる作品だった。
たださすがにこの一言で1位の作品紹介を締めくくるとライターとして問題ありなので、少し冷静になろうと思う。
この作品は、「スケボー×バトル×青春」という3つの要素をかけあわせた、一見理解できそうでできない絶妙なアニメだった。始まってからも、その絶妙なラインは保たれたまま。まずスケートボードでのバトルが、イメージしていた世界とあまりにもかけ離れていた。夜な夜な危険な鉱山を舞台に、Sと呼ばれるレースで「大切なモノ」を賭けて闘うなんて、想像しろと言われても無理だ。
ただそのレースがあまりにも刺激的だった。ストリートカルチャーとしてしか認識していなかったスケートボードの新たな一面を目撃した気持ちが味わえたからだ。実際に同作を指揮した内海紘子監督は、Web Febriのインタビューで「スケボーで新しいレースバトルを描きたかった」「スケートボードの可能性を無限に感じられるようなレースバトルにした」と語っている。まんまと内海監督の戦略にハマった筆者だ。
同作の魅力は、登場人物の関係性にもある。スケートボードを「楽しい」と共感できる喜び。夢中になるからこそ、周囲が見えなくなってしまう人の鈍感さ。初心を忘れ目的を見失ったときの人の脆さ。これらが、スケートボートでつながったキャラクターたちの関係性の変化を通して描かれる。純粋に「楽しい」でつながったキャラクターたちが、スケートボードを極めるなかで感情をかき乱し合う様子も刺激的だった。
内海監督は過去に手掛けた「Free!」や「BANANA FISH」でも、関係性の変化の部分でその手腕を発揮している。内海監督の手中で踊らされていることがうれしくなるくらい、エスケーエイトに夢中になっていた。
また同作のすごいところは、オリンピックで答え合わせができた点にもある。筆者はオリンピック開催には反対派で、今も運営体制や資金の使い方に疑問を抱いている。しかし、スケートボードだけはどうしても我慢できずに観戦した。そこで見たのは互いの技をたたえ合う選手たち。レキやランガが体現していた「スケボー、サイコー、楽しい!」は脚色ではなく現実なのだと、なんだかうれしくなった。
?新作アニメプロジェクト始動?
皆様からの沢山の愛で「SK∞ エスケーエイト」新作アニメプロジェクトが始動することが決定しました!!
続報は公式サイト、公式Twitterにて発表いたしますので、
楽しみにお待ちくださいね✨#sk_8#エスケーエイト pic.twitter.com/6gQbw8OkGU— TVアニメ「SK∞ エスケーエイト」 (@sk8_project) July 4, 2021
さらに嬉しすぎることに、同作は新作アニメプロジェクトが始動している。筆者はあまりの嬉しさに、発表で泣くという初めての体験をしてしまった。サイコーの向こう側って、まだあったんだ……。またしばらく生きる理由ができた。ありがとう、エスケーエイト。ラブアゲイン。
2021年オリジナルアニメから伝わってくる、作り手の「これ、やりたい!」
自分の中のランキングを振り返ってみると、オリジナルアニメが上位5位までを占めるという結果だった。オリジナルアニメは始まってみないとわからない怖さがある。楽しみにしていたけれども、残念ながら波長が合わずという作品も少なくないし、その逆もしかりだ。
ただ2021年に放送されたこのBESTに入ったオリジナルアニメのほとんどに筆者は、第1話で心を鷲掴みにされた。そして最初から最後まで、子どもの頃に戻ったかのようにテレビに張り付いて観ていた。
なぜそんなにも夢中になれたのか。それは作り手の「これ、やりたい!」が伝わってくる作品だったからだ。どんな作品にだって、作り手の想いはつまっている。ただ今回挙げた作品の多くは、あらゆる要素が含まれる、一歩間違えれば情報過多で収集がつかなくなる恐れのあるものだった。しかし、作品としてのまとまりが素晴らしかった。その背景には「このメッセージを伝えたい」「自分たちがいいと信じるものを作ろう」と同じ方向を向き制作に臨むアニメの作り手たちの姿がある気がしてならない。
そんな作り手の「やりたい!」を受け止めた瞬間に、筆者もそのアニメを作る一員になれた気が味わえた。そういう時間を届けてくれる作り手の皆さんに、筆者はただただ感謝したい。
2022年も、コロナの現状を考えると日常は取り戻せないかもしれない。でもそんな元通りにはならない日常に落ち込んだときにきっと、作り手の「やりたい!」に巻き込まれる感覚が気持ちを前向きにさせてくれると思っている。来年もたくさんのアニメに巻き込まれていきたい。
(文:クリス)
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