モーニング娘。の魅力を考える|女性ファンが多いワケは?

俳優・映画人コラム

1998年の結成から24年経ち、女性アイドルグループとして最長の活動年数を誇るモーニング娘。

近年女性ファンが急増しているとのことで、12月24日の日テレ「MUSIC BLOOD」のゲストで「なぜモーニング娘。は女性たちの心を掴んで離さないのか?」をテーマに歴史や楽曲をひもとき「ハマる理由」を解き明かすという。

筆者は結成時からモーニング娘。のファンで、初めてコンサートに行ったのは2007年なのだが、当時は本当に女性ファンが少なく、肌感ではあるが1割いるかいないかという印象だった。今では半分かそれ以上が女性なのではと思うほど増えた。

本記事では、女性ファン視点のモーニング娘。の魅力についてお伝えしたい。

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クオリティの高いパフォーマンスが最高にかっこいい

モーニング娘。の魅力といえば、ライブ。少しでもモーニング娘。に興味を持った人は、ぜひコンサートに足を運んで欲しいと思っている。以前は周囲に興味があるという人がいたらチケットを取って連れて行ったりしていたのだが、コロナ禍で以前行われていたような年2回開催される全国ツアーがない今、なかなかその機会がないのがもどかしい。

生歌と激しいダンスが両立するパフォーマンス、多少のMCは挟むが2時間以上ほぼ歌って踊っている彼女たちのスタミナに圧倒されると思う。ときには汗だくになりながら生き生きと躍動する彼女たちを見ると、こちらも気持ちが高まる。衣装を着てパフォーマンスする合間に笑顔を見せてくれる彼女たちは、かっこよくてかわいい、かわいいけど強い、私たちの人生を救ってくれる女戦士のようだ。

記憶に新しいのは「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」への出場だ。初登場の2018年、アウェーでの活躍機会が少なかった彼女たちは、MCを極力削って1曲でも多くパフォーマンスすることに賭けた。筆者は会場真ん中よりやや後ろにいたのだが、「LOVEマシーンしかわからないけど見ていくか」と言っていたファンではない方のテンションがどんどん上がっていくのを感じ、嬉しかった記憶がある。

この炎天下でのほぼ休みなしで行われたパフォーマンスは「体力お化け」などの誉め言葉とともに話題にのぼり、翌2019年は最も大きいステージでパフォーマンスできることになった。

–{女心をわかっている、つんく♂の楽曲}–

女心をわかっている、つんく♂の楽曲

モーニング娘。の大きな魅力のひとつは、楽曲の良さ。特にモーニング娘。やハロプロの生みの親である、つんく♂による作詞作曲の曲が多いことだ。

先日2021年12月13日にモーニング娘。を卒業した佐藤優樹が「笑顔の君は太陽さ」を歌いながら、間奏でメンバー・スタッフ・ファンに感謝を述べた後「つんく♂さん、私に素敵な楽曲と会わせてくれて本当にありがとうございました」と言って涙したのは記憶に新しい(思い出すと泣いてしまう)。

つんく♂は2014年に総合プロデューサーの座を退いたものの、今もモーニング娘。の楽曲はコンスタントに制作している。

ビートが効いたひと癖ある楽曲はもちろん、女性目線の歌詞は女性から見ても「なぜこんなに女心がわかるのだろうか」と驚くほど「男性が想像した女性像」感がない。「つんく♂さんの中には女子中学生が住んでいる」という言葉も生まれたくらいだ。

性別関係なしに沁みる歌詞が多い。発売当初は変わった歌詞だな~と思う程度だったのが、5年10年経って歌詞の深みがボディーブローのようにじわじわ効いてくることもある。つんく♂楽曲は人生を歌っているのだ。

女心に沁みる楽曲をいくつかご紹介したい。

1.誰よりも私が私を知ってるから……「I WISH」

2000年発売、昔のモーニング娘。しか知らないという方もこの曲なら知っているだろうか。「誰よりも私が 私を知っているから 誰よりも信じてあげなくちゃ!」という歌詞は人生で自信を失ったとき、勇気づけてくれる歌詞だ。

また「晴れの日があるから そのうち雨も降る 全ていつか納得できるさ!」は、いつか晴れるというのではなく、いいことがあるから悪いこともある、と歌っているのが印象的だ。「すべていつか納得できるのかな」と思ったりもする。

発売から20年以上経ってあらためてこの曲の深みに気づく。モーニング娘。には、そんな曲がたくさんある。

ちなみに「I WISH」は、2022年1月からテレビ東京で放送される、ハロー!プロジェクトを題材にし、メンバーが総出演するドラマ「真夜中にハロー!」のEDテーマとなった。モーニング娘。’21のメンバーによって新たに再録されるとのことで、聴けるのが楽しみだ。

2.不器用に生きるすべての女性に捧げたい「SONGS」


「生きるのが下手 笑うのが下手 上手に甘えたりも出来ない」「恋愛も下手 付き合いも下手 すごく大切にしたいのに」

かっこいい楽曲に載った、人生に恋に不器用な女性の歌詞に、歌い出しで心をつかまれてしまう人も多い。サビでは「この新しい星の下翼広げて 自由に羽ばたかなきゃ生きてく意味ない 夢見ることの出来る未来だから こんな歌を歌うよ さぁ 輝こう」と呼びかける。

3.失恋の心境を激しく歌った「シャボン玉」

「愛する人はあなただけ 誰も邪魔させない」から始まるこの曲。好きで好きでたまらなかった人に去られた女の心境を綴っており、狂気すら感じる。「泣いて済むなら 泣きやがれ 全ての恋は シャボン玉 恋をするなら この次はあんた名義の恋をしな」と、次への希望を残す歌詞がよい。途中「この世の中に 暮らす女の子で 私のランキング 何位だろうか?」と、自己肯定感ちっくな言葉が入っているのもよい。

4.自分で切り開いていくこの先の人生「浪漫~MY DEAR BOY~」

おそらく一般のかたにはあまり知られていない2004年のシングル曲。大サビの「MY DEAR BOY 全てはあなたが放つ イメージで決まるよ HEY! MY BOY 」は、この先の人生を決めるのはあなた自身だと呼びかけていて、歌詞ではBOYとなっているけどボーイもガールも勇気づけられる。

5.ヘンテコだけどかっこよくてたまらない「Are you Happy?」

「なんだこの曲」「なんだこの歌詞」「なんだこのダンス」みたいな驚きをくれるのもつんく♂曲。「Are you Happy?」は個人的にそう感じた曲のひとつだ。不思議なんだけど、中毒性があってMVを繰り返し観てしまう。さらに、ステージで披露されたときめちゃくちゃかっこいいのだ。誤解を恐れずにいうと「こんな変でかっこいい曲つんく♂さんしか作れない、たまらん!」となる。

不思議な曲に「自信もないけど私 幸せになりたい」「すっごい好きだから すっごい寂しい 一緒にいた後は 不安しかない」という、普遍的な女心を歌った歌詞が入っているのもよい。

ちなみに今回はご紹介していないが、つんく♂作詞作曲以外の曲ももちろんいい。

–{卒業・加入を繰り返して成長していく姿}–

卒業・加入を繰り返して成長していく姿

24年間、メンバーの卒業・加入を繰り返して続いてきたグループだ。最大でも10数人なので、メンバーが抜けると穴はそれなりに大きい。特に歌割がたくさんあるメンバーが卒業してしまった後は、次のライブがどうなるのか心配になることもある。でもそんな心配を杞憂に終わらせてくれるのがモーニング娘。なのだ。メンバーが卒業するたびに、残されたメンバーが成長し、今までとは違う姿を見せてくれる。卒業したメンバーの代名詞だったパートを、新しく引き継いだメンバーが自分のものにする。

卒業はさみしいけど、そんなメンバーの成長を見られるきっかけになったりする。観ている年数が長くなると、「このメンバーがこんなにすごいパフォーマンスを見せてくれるようになったんだ」とか、「このパートは発売時は〇〇ちゃんが歌っていたな」とか、思うところが増える。彼女たちへの愛おしさがより深まるのだ。

例えば「君の代わりは居やしない」のペアダンスは、発売当初は鞘師里保&石田亜佑美だった。鞘師卒業後は石田亜佑美&工藤遥になり、工藤遥卒業後は石田亜佑美&森戸知沙希が担当している。このペアダンスを見るたびに今までのメンバー、今のメンバー、相手が代わる中ずっと踊り続けている石田を思ってグッとくる。

同じ状態はいつまでも続かない。でも、そのたびに進歩していくモーニング娘。は昨日より今日、今年より来年のほうがきっともっとかっこよくなっている。そう思わせてくれる彼女たちだから、ずっと見ていたい。

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男女関係なく、モーニング娘。は人生を照らしてくれる

ここまで女性目線でご紹介してきたものの、ぶっちゃけ男女関係なく「モーニング娘。」はおすすめだ。素晴らしい楽曲をかっこいいパフォーマンスで魅せてくれ、成長とドラマを見せてくれる彼女たちの存在は、きっとあなたの人生を照らしてくれると思う。

(文:ぐみ)

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