テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編が2021年12月5日(日)より放送スタート。
劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』、テレビアニメ「無限列車編」を経て、「遊郭編」が放送される。遊郭編は無限列車での任務を終えた炭治郎たちの次なる任務を描く。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
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もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話「音柱・宇髄天元」ストーリー
無限列車での任務を終えた炭治郎たちの次なる任務を描く遊郭編。
鬼殺隊最高位の剣士《柱》の一人、音柱の宇髄天元とともに炭治郎たちが向かうのは、鬼の棲む遊郭。
第1話「音柱・宇髄天元」レビュー
さあ、今週からは気持ちも新たに遊郭編! と思いきや、煉獄さんVS猗窩座戦の回想から始まった。鎹鴉(かすがいがらす)が煉獄さんの弟・千寿郎に訃報を告げるシーン、引きでセリフがないのに悲しみが伝わってきてつらい。
うおおおい! 煉獄さんは大好きだけど、7話かけてじっくり別れを味わったんだからもう前に進ませてくれ……とちょっと思ってしまった。
だが、無限列車編に入らなかった煉獄家訪問まで丁寧に描いていてとてもよかった。実質煉獄家訪問までがメイン、遊郭編のはじまりが少し、といった配分だった。
煉獄さん死後の炭治郎・善逸・伊之助の様子も丁寧に描かれていた。善逸のモノローグ、よかった。無限列車編では善逸だけが煉獄さんと一緒に行動する機会が少なく、最期にも立ち会わなかったため、ショックの大きい二人を気遣う第三者的な視点で語られる。
「どんな強そうな人だって、苦しいことや悲しいことがあるんだよな。だけどずーっと蹲ってたって仕方ないから、傷ついた心を叩いて叩いて立ち上がる。煉獄さんもきっとそういう人だったはず、そういう音の人だった。ちょっと風変わりだったけど、強くて優しい音だった」
善逸ならではの音に対する感じ方と優しさが伝わってくるモノローグだ。普段ギャーギャーうるさいけどいろんな人の気持ちをおもんぱかれるところ、いいなぁ。無限列車の戦いの後、3人がおぶられて運ばれるシーンはつらい。
炭治郎にどんなふうに声をかけるか迷った末、笑顔で話しかけようとした善逸、健気だったのに炭治郎が姿を消したことにパニックを起こした女の子の頭突きをくらって不憫。
傷が完治していないにも関わらず、蝶屋敷を抜け出した炭治郎。たどり着いた先は煉獄家だった。煉獄さんのことを悪く言い、炭治郎の耳飾りを見た途端殴りかかってくる煉獄父、無茶苦茶である。酒浸りしていても元柱、強い。炭治郎の顔色が悪いことに気づいていた千寿郎は止めるが、今度は千寿郎が殴られる。煉獄さんを悪く言われ、千寿郎を殴られてキレた炭治郎。煉獄父に頭突きしてしまう(まあやると思ったよね)。
千寿郎くんと炭治郎の会話のシーンがよかった。力及ばず煉獄さんを死なせてしまったと謝る炭治郎に泣きながら「気にしないでください。兄もきっと、そう言ってましたよね」と言う千寿郎の言葉、通じ合っていた兄弟だったんだな……と思った。泣いてしまう。
千寿郎は千寿郎で、剣士になれなかった自分を悔やんでいたようだ。日輪刀を持っても刀身の色が変わらなかった、剣をある程度極めないと色が変わらないが、いくら稽古をつけてもらっても駄目だったのだという。煉獄さんの「自分の心のまま正しいと思う道を進むよう伝えて欲しい」という言葉はそんな彼に向けていたのだ。
「炎柱の長い歴史に傷がつくけど、兄はきっと許してくれる」と言いながら思い出していた煉獄さんの笑顔が本当に優しくて、もう泣いてしまう。2週連続で煉獄さんの笑顔に泣かされているが、瑠火さんに向けたのとはまた違ってもう。
炭治郎が帰った後も千寿郎に邪険にあたる父。どうせ杏寿郎の最後の言葉は恨み言に決まっている、という父に「体を大切にして欲しい。兄上が父上へ遺した言葉はそれだけです」とだけ伝えて去る。煉獄父、口では憎まれ口を叩いているが、酒をあおろうとすると飲めない。身体を大切にして欲しいと言われたからだ。在りし日の杏寿郎を思い出して縁側で嗚咽するシーン、いちばん泣いちゃう。
徐々に傷も治り立ち直り、鍛錬を重ねる炭治郎たち。煉獄さんの死を経て、それぞれが成長した様子。そんな折、アオイたちが大男にさらわれそうになっていた。男は音柱の宇髄天元。炭治郎の頭突きを避けるの、さすが元忍。自分たちが代わりに行くといった炭治郎・善逸・伊之助。
ここでやっと流れたオープニング曲とインスト曲、かっこよかった……!
善逸のかっこいいシーンがことごとくひどい化粧バージョンなのが面白いけども……! 宇髄さんかっこいいなぁ、活躍が見られるのが楽しみだ。
※この記事は、鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話「遊郭潜入」ストーリー
煉?獄家を訪れ、煉?獄の弟・千寿郎に煉?獄の言葉を伝えた炭治郎。
その後、日々鍛錬を積みながら任務をこなす炭治郎だったが、ある日、蝶屋敷へ戻ると音柱・宇髄天元が嫌がるアオイとなほを任務へ連れていこうとしていた。
その様子を見た炭治郎は、代わりに任務へ行くと申し出る。
そうして炭治郎たちは次の任務地、遊郭へ——。
第2話「遊郭潜入」レビュー
第2話から本格的な遊郭編のはじまり!
遊郭編は街並みといい着物や帯の柄といい、色鮮やかでアニメの画面が本当に華やか! 今後も目を楽しませてくれそうだ。派手好きな宇髄さんもよりかっこよく、迫力が増している。目元のメイクはもちろん、アクセサリーの輝きも美しくていい。特に髪を下ろしたときがかっこよすぎる。
宇髄さんの「俺は神だ! お前らは塵(ごみ)だ!」の名(迷)ゼリフシーンもアニメで再現され、よりギャグ感が増していた。さらにボケを乗せる炭治郎、張り合う伊之助、冷静に辛辣にツッコミを入れる善逸。宇髄さんと3人の掛け合い(?)も楽しみだ。
そして宇髄さんの手によって生まれた3人のひどい化粧も、アニメになったことでより衝撃的だった。ブサイクすぎる……。善逸、化粧してなければ結構かわいい顔をしてるのに、化粧がひどすぎてかわいそう。オープニングのかっこいいシーンも善逸はことごとくこの化粧という(笑)。嘘をつけない炭治郎のやばい顔の迫力もすごかった。2人がひどい顔をさらしていた一方で、伊之助の美形さも素晴らしかった。
善逸が三味線を弾くシーン、「あの子三味線うまいわね」「すごい迫力」と言われた腕前を音と稲妻で感じられて嬉しかった。一人売れ残ってしまい、宇髄に対して「見返してやるあの男……!」と目的が変わってしまっているが……。
宇髄の3人の妻、雛鶴・まきを・須磨の活躍も楽しみだ。
※この記事は鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話「何者?」ストーリー
遊郭を訪れた炭治郎たちは、宇髄の嫁である須磨、まきを、雛鶴がそれぞれ潜んでいるという店に潜入することに。
店で見習いとして働くかたわら、嫁たちの行方を探る炭治郎たちだったが、そんななか伊之助は、まきをが部屋に閉じ籠もっているという話を聞きつけるのだった。
第3話「何者?」レビュー
第2話に引き続き、遊郭に潜入する炭治郎・善逸・伊之助。
今回は伊之助と善逸の回だった。
「萩乃屋」に潜入している伊之助は、まきをの部屋周辺があやしいことに気づく。一瞬どうするか悩むが「ここで考えて何もしねえのは俺じゃねえ!」と行動するのがよかった。伊之助は自分がどうあるべきかを大事にしている人なんだな。しかし本当に伊之助の素顔、美しい……。美しい顔に色がついた状態でずっと見ていられる遊郭編、眼福だ。
一方「京極屋」に潜入中の善逸は、前回三味線を極めていたが、やっと本来の目的(宇髄さんの嫁を探す)を思い出した様子。耳をすませているものの、いまいち音が聞こえない。女の子の泣き声に気づいて部屋に行きなぐさめていると、美しくて恐ろしい蕨姫(わらびひめ)に私の部屋で何をしているのかと声をかけられた。
善逸はすぐに「今、後ろにいるのは鬼だ、人間の音じゃない」と気づく。
声をかけられるまで存在に気づかなかったことから、上弦では? と想像する。原作を読んだときも思ったが、後ろに立たれただけでそこまでわかる善逸、すごいな……。
蕨姫は泣いていた女の子の耳をつかんでひねり上げ、女の子は流血。上弦かもしれないと気づいている相手なのに、善逸は蕨姫の腕をつかんだ。臆病なのに人のためならどこまでも自分を犠牲にできちゃう善逸、かっこいい。
善逸は殴られ、ぶっ飛ばされる。気を失うが、受け身を取って軽傷なことに気づき、鬼殺隊士だと勘づく蕨姫。彼女の正体は鬼・堕姫(だき)だった。なぜか無惨も彼女の元にやってきた。柱を7人殺しているらしい。カラーで観るとあらためてかわいい。怖いけど。
布団にいる善逸と働く女の子3人のシーンはアニメのみだろうか、「こんなに優しい人、善子ちゃんだけよ」と感謝され、うれしそうにするところで後ろから帯に襲われる。どうなってしまったのか。
次週も楽しみだ。
※この記事は鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話「今夜」ストーリー
まきをの部屋に踏み込んだ伊之助は、誰もいない部屋から鬼の気配を察知し追うが、すんでのところで逃してしまう。
そのころ、京極屋に潜入していた善逸は、女の子の泣き声を辿った先で出会った花魁が、鬼であると確信する。
上弦の陸・堕姫——蕨姫花魁として遊郭に潜む鬼だった。
第4話「今夜」レビュー
前回ラストで帯に襲われた善逸、安否不明で心配だ。
定期連絡にも来なかった。
屋根の上での炭治郎と伊之助のやり取りにほのぼのするが、宇髄さんが現れると緊張感が走る。っていうか腕の筋すごすぎない?
音もなく現れ、定期連絡に来ない者は死んだと思う、お前らにはすまないことをしたという宇髄さんに、彼が生きてきた環境の過酷さを感じた。
上弦だとしたらお前らでは太刀打ちできない、ここからは自分一人でやるという宇髄に何か言おうとした炭治郎に「恥じるな、生きてる奴が勝ちなんだ 機会を見誤るんじゃない」と言ったのも印象的だ。宇髄さん、あんなに大きいのに足音がほとんどしなくて身軽! さすが元忍。
二人に戻った炭治郎が「善逸も宇髄さんの奥さんたちも皆生きてると思う、そのつもりで行動する、必ず助け出す」「伊之助もそのつもりで行動してほしい、そして絶対に死なないでほしい」と言ったのに対し、「お前が言ったことは全部な、今俺が言おうとしてたことだぜ!」と返す伊之助。ふ、二人とも好き~! と思った。
でも、一人で上弦に接近するのは無謀すぎて心配だ。蕨姫こと堕姫(だき)、アニメのほうがより魅力的かもしれない。恐ろしいけど色がついてよりかわいいし、声と話し方が独特で魅力的。沢城みゆきさんの演技が素晴らしい。
鯉夏花魁と炭治郎のやり取りも素敵だった。蕨姫との差もあるが、本当に綺麗で優しくて素敵な人だ。帯に閉じ込められてしまい、うまく助けられるといいのだが。
また、宇髄が京極屋の亭主の元に訪れるシーンもいい。はじめはおどすのだが、殺された妻の着物を抱く亭主に「敵は打つ、俺がこの手で殺す」と約束し、亭主が涙するところはよかった。この人、蕨姫の言いなりすぎて大丈夫かと思っていたけど、ただただ怖くて逆らえなかっただけなんだ。
ひとまず、早く炭治郎のところに誰か来て!
※この記事は、鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話「ド派手に行くぜ‼︎」ストーリー
善逸が行方知れずとなり、遊郭から出るよう宇髄から言われる炭治郎と伊之助だったが、二人は善逸たちを助け出すことを決意する。そしてその晩、炭治郎が鬼の匂いを察知し、匂いを辿ると、鯉夏花魁が堕姫の帯に飲み込まれようとしていた。宇髄たちがいないなか、炭治郎は一人、上弦の陸へと立ち向かう。
第5話「ド派手に行くぜ‼︎」レビュー
とにかく宇髄さんがかっこよかった……!
蚯蚓帯がいる地下に現れたところ、シルエットもその後の鮮やかすぎる武器さばきも格が違う感じで素晴らしかった。
色や動きがついた宇髄さんのアクションを観られたのはもちろん、嫁たちとの心のつながりがわかるエピソードもよかった。
忍びの世界で、男より力が劣るくノ一にとって、命をかけるのは最低限の努力だったのに、宇髄さんは嫁たちに任務よりも自分の命を優先しろと言った。自分にとって命の順番はお前たち、堅気の人間たち、その後に自分だと。
宇髄の妻になったことで、死ぬことが平気だったという考えから死にたくないと思うようになった奥さんたち、宇髄にねぎらわれて3人とも涙を浮かべていて、信頼関係が伝わってきた。宇髄さん、見た目だけでも実力だけでもなく、心の底からかっこいい男だな……。まきをと須磨のぎゃーぎゃー言い合うシーンもよかった。
蚯蚓帯の素を突き止めた伊之助もすごかった。関節を外して道をくねくね進むのは気持ち悪かったけど、すごすぎる。自分の身体を自由に操れるの、自分で自分の骨折を直せる新機動戦記ガンダムWのヒイロ以来に見たわ。
炭治郎は自分が水の呼吸と合わないこと、ヒノカミ神楽のほうが合うことを自覚しているが、身体への負担が激しすぎて持たず悩んでいた。でも今回はヒノカミ神楽を連発していて、徐々にできることが増えている様子。
前回も書いたがアニメの堕姫、声もビジュアルもすごく魅力的でかわいい。
その時々で声色が変わるので、この後のエピソードでどう変化するかもすごく楽しみだ。次回の戦闘シーンも期待!!
※この記事は、鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話「重なる記憶」ストーリー
堕姫との熾烈な戦いが続くなか、炭治郎は体への負担が大きい「ヒノカミ神楽」を繰り出し立ち向かう。そのころ、帯の鬼の巣に辿りついた伊之助は、帯に囚われていた人々を助け出す。救出されたまきを、須磨、善逸が加勢するなか、突如、巣の天井が破られ——現れた宇髄がその刃をふるう。
第6話「重なる記憶」レビュー
炭治郎との戦闘中、柱(宇髄)がいることを感知し姿が変わる堕姫。血管が浮き出たような感じになって怖い。元の姿が魅力的だっただけに、ちょっと残念。
と思いきや、町の人たちを殺した堕姫に怒って覚醒した炭治郎はもっと怖かった。原作でも読んでいたのだが、色がつくとよりえぐい。目が真っ赤で血の涙を流し、表情がない。額だけでなく、頬の血もあざのように見えたのは気のせいだろうか。「もういい」という言葉も怖い。
一方で、ヒノカミ神楽の攻撃は夜の遊郭に映えて美しいな、と思った。
妹・花子が現れ「呼吸して」と言い、途端に炭治郎は苦しみだす。怒りのあまり痛みを感じていなかったが、身体は限界を迎えていた。堕姫が炭治郎を殺そうとしたとき、現れたのは禰豆子だった。禰豆子、いつも炭治郎のピンチで現れるタイミングが絶妙でかっこいい……。
堕姫の攻撃や脚や胴を斬られる禰豆子、見た目には痛々しいが堕姫も驚くすごいスピードで再生。身体には葉のような模様のあざ(?)が浮き出る。こちらも覚醒したのだろうか。
炭治郎が呼吸を忘れているところでは花子が出てきて、禰豆子が覚醒したところでは武雄の回想シーンが出てきた。あざの話では父親のことを思い出していたし、竈門家を感じる回だった。亡くなってもなお炭治郎や禰豆子が困ったときに現れる家族たち、本当に絆が強い家族だったんだなと思う。
武雄の言葉が気になった。炭治郎と禰豆子は似てる、優しいけど怒ると怖い。禰豆子は子どものためにガラの悪い大人に「謝ってください」と怒ったことがあるらしい。「人のために怒る人は自分の身を顧みない所があるから、そのせいでいつか大切なものを失くしてしまいそうだから怖いよ」という言葉で締めくくられている。
炭治郎が怒っているとき、堕姫はないはずの記憶を思い出す。無惨の細胞が見せた記憶だったのだ。無惨の血が濃い鬼は、無惨の記憶も見えるのか。
宇髄は蚯蚓帯が捉えていた人を全員救出。伊之助に蚯蚓帯が逃げたことを指摘されると「うるっせええ!! 捕まってた奴ら皆助けたんだからいいだろうが」「まずは俺を崇め讃えろ 話はそれからだ」とキレ、あの伊之助をビビらせる。
善逸と伊之助、2人抱えて地上へ上がり、屋根の上をすごいスピードで「どけどけェ!! 宇髄様のお通りだ!! ワハハハ」と言いながら走っていく。うん、この人ヤバい人だ。
煉獄さんの父・槇寿郎さんからの手紙のシーンで、彼が今は正気を取り戻しており、炭治郎に非礼を詫びたり息子たちのいいところを認めたりしていてよかった。
次回のサブタイトルは「変貌」。今回すでにいろんな変貌があった気もするが、非常に気になる。
※この記事は、鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話「変貌」ストーリー
人の命を蔑ろにする堕姫に炭治郎が激昂した。堕姫をこれまで以上の動きで追い詰めていく炭治郎だったが、身体は既に限界を超えていた。倒れ込み、再びピンチに陥る炭治郎のもとに禰?豆子が駆け付ける。堕姫に立ち向かう禰?豆子だったが、壮絶な戦いのなか、より鬼に近い姿に変わっていき……。
第7話「変貌」レビュー
前回は炭治郎が怖かったが、今回は禰豆子がさらに覚醒し、身体は大きくつのが生え、堕姫をいたぶるように攻撃しながら笑顔すら浮かべていた。怖い。
何より、頸を含めた身体をバラバラに斬られても死なず、よく見ると血が固まってそれぞれのパーツを繋いでいる……というシーンはアニメであらためて見るとなかなかえぐい。怖い。
前回に引き続き、亡くなった家族がピンチを知らせる竈門家、本当に絆が強い。竹雄が「姉ちゃんが姉ちゃんじゃなくなっちゃう!」と炭治郎に呼びかける。狂暴化した禰豆子は、人の血を見て襲い掛かろうとする。間一髪で炭治郎(前回の名残で血の涙を流しているため、顔が怖い)が抑えるが、なかなか眠ってくれず暴れる。さらに禰豆子に焼かれて見た目がひどいことになっている堕姫が近寄ってくる。怖い。
堕姫に攻撃されそう・一般人を守らなければならない・禰豆子を離したら人を襲うかもしれない。身動きが取れない炭治郎、絶体絶命だ。
そこに現れたのは宇髄さんだった。攻撃のスピードが速くて何が起こったのかわからない。鬼化する禰豆子を見て何だこの体たらくは! と炭治郎にキレる。
宇髄さんかっこいい~!! 強い!! そして(この場で唯一)怖くない!!! 最高。
柱ね、手間が省けたという堕姫に
「うるせぇな、お前と話してねーよ、失せろ」
ええ~……。
「お前上弦の鬼じゃねぇだろ、弱すぎなんだよ」
「俺が探ってたのはお前じゃない」
ええーーー!!!??? 噓でしょ!?? 今まで何だったん……!?
珠世さんが手毬鬼と矢印鬼に対して「弱すぎる」と言ったときといい、毎回散々苦戦した後に言われるからびっくりしてしまう。
でも確かに、猗窩座と煉獄の戦いに対してはっきりと何の役にも立たないことを自覚していた炭治郎が、猗窩座より弱いとはいえ、ここまで単身(途中から禰豆子が来たが)で命を取られずある程度は戦えていたことを考えると納得な気もする。
さらに「俺が探ってたのはお前じゃない」と言われた堕姫、「何を馬鹿なことを……」と言いながら首から血が噴き出し、自分の膝の上に落ちる。「へ?」と間抜けな声を出したのは膝の上だった。さっきの速すぎて見えない攻撃の際に頸を斬っていたのだ。宇髄さん、すごすぎ。
宇髄さんに弱いと言われた堕姫は「あたしはまだ負けてないんだからね」「あたし本当に強いのよ」と、おもちゃを買ってもらえなくて駄々をこねている子どものように泣きわめきだす。
同じキャラなのに声が何パターンもあって、沢城みゆきさんのすごさを思い知る。生首状態でわめいてるの、めっちゃ怖い。
堕姫がお兄ちゃん!! と言うと、背中から別の鬼が出てきた。お兄ちゃんこと妓夫太郎(ぎゅうたろう)である。ここまで出てきた蚯蚓帯と堕姫に対して圧倒的な強さを見せた宇髄さんが頭を負傷したことから、堕姫とは強さのレベルが違うことがわかる。妓夫太郎になだめられ、みんながあたしをいじめると泣きわめく堕姫、今までさんざん好き勝手してすごい言い草だな。
それにしても、頭から血が流れてもまったく動揺していない宇髄さん、かっこいい……。血も滴るいい男(?)とは宇髄さんのことだな。堕姫が頸を斬られても死なないのに驚いた以外は、ここまでずっと冷静だ。
妓夫太郎は見た目が醜く妬み・恨みをぶつぶつ言っているイメージだが、アニメでも地を這うような声で宇髄さんへの妬みを口にしていた。でも声がかっこよく聴こえる瞬間もあり、やはり堕姫同様、アニメでさらに魅力的なキャラになった気がする。
気になる声優は逢坂良太さんだった。SNSでも「予想外だった」「エンドロールを見るまでわからなかった」「演技がすごい」という声が多く、今後の演技も楽しみだ。
宇髄さんの外見の良さ・強さ・かっこよさすべてに嫉妬し恨み言を言う妓夫太郎に、「俺は派手で華やかな色男だし当然だろ、女房も3人いるからな」と煽っていく宇髄さんのスタイル、好き。「許せねぇなぁぁ!!」とキレるのだが、この反応善逸とほぼ一緒じゃない……!?
一方宇髄さんに言われ子守歌を歌うことで狂暴化した禰豆子を寝かせることに成功した炭治郎。お母さんを思い出し、小さな子のように泣き出し、実際小さくなって眠る禰豆子が切なかった。禰豆子だって幼かったのに家族があんなことになり、本当ならこんな風に泣きたかっただろう、でも鬼になってしまったし、鬼にならなかったとしてもこんな風に泣くことはできなかったかもしれないと、と思うと胸が痛い。
ラストの大正コソコソ話、炭治郎による禰豆子のエピソードは泣けた。
子どもの頃から聞き分けがよく、わがままを言ったこともない、おばあちゃんが亡くなったときもお父さんが亡くなったときも弟や妹たちを励ましていた……。
劇中の子守唄を聴いて泣きじゃくる禰豆子を思い出してまた切なくなってしまった。炭治郎だって物語スタート当時はまだまだ幼かったのに、2人とも長男長女だからっていい子すぎるよな。
二組の兄妹、片や欲望のままに人を傷つけようとする妹を止めようとし、片やわがまま放題の妹の言うことを聞いて気に入らないやつを皆殺しにしようとする兄。どちらも妹のために何かしようとしているが、方向性が真逆だ。それぞれの兄妹に、どんな結末が待っているのだろうか。
(※竈門禰豆子の「禰」のへんは「ネ」の字です。)
※この記事は、鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
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–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話「集結」ストーリー
鬼化が進み人に襲い掛かろうとする禰?豆子を、炭治郎は子守唄でようやく寝かしつける。一方、宇髄は堕姫の頚を斬り落とすが、堕姫の中から新たな鬼が現れる。妓夫太郎——堕姫の兄であり、もう一体の上弦の陸。堕姫と妓夫太郎、二体の鬼に宇髄は立ち向かう。
第8話「集結」レビュー
上弦の陸は堕姫(だき)だけではなく兄・妓夫太郎(ぎゅうたろう)の兄妹二体であること、後から現れた妓夫太郎の圧倒的な強さだとわかった第7話。
見た目も醜く、僻みっぽい性格の妓夫太郎は「お前違うなぁ。今まで殺した柱たちと違う、お前は生まれた時から特別な奴だったんだろうなぁ。選ばれた才能だなぁ」と言うが、宇髄さんの返しはこうだ。
「才能? ハッ俺に才能なんてもんがあるように見えるか? 俺程度でそう見えるならテメェの人生幸せだな」
「俺が選ばれてる? ふざけんじゃねぇ。俺の手の平から今までどれだけの命が零れたと思ってんだ」
「この国はなぁ 広いんだぜ……」と自分以外の柱たちの自分よりすごいところを思い浮かべ、さらに心の中で(そう 俺は煉獄のようにはできねぇ)と自嘲する。
煉獄のようにはできねぇ、というのは、一人も死なせなかった煉獄さんへの尊敬がこもった言葉だと思う。そして、いつも自信満々で自己肯定感高そうな天上天下唯我独尊男の宇髄さんが、自分が助けられなかった一般の人たちや仲間の人たちのことを思い、仲間たちのことを尊敬しているのがあらためてわかって、ほんと宇髄さん最高にかっこいい人だな……と思った。
そしてそんなことを知れたのも、忍の世界から自分の力で抜け出して外に出たからこそ。そんな宇髄さんが自分たちのいた世界から抜け出せず、自分より恵まれて見える人を妬み恨み言を言う妓夫太郎と堕姫に言っている言葉なのが重い(伝わらないだろうけど)。
しかし鬼の存在が観ている視聴者には二次元なわけだが、鬼である堕姫が「忍なんて江戸時代に絶えてるでしょ! 嘘つくんじゃないわよ!」みたいなことを言ってるのに、若干のシュールさを感じてしまった。
自分たち兄弟に厳しい訓練を強いて、果ては殺し合いをさせた父と、兄弟の中で自分ともう一人だけ生き残った父そっくりな弟。あんな人間にはなりたくない、という思いと、そんな風に生きていこうという自分に礼を言って褒めてくれたお館様への感謝。あらためて今の宇髄さんが出来上がった背景が丁寧に描写されていた。
宇髄さんは元忍で毒への耐性があり、妓夫太郎の武器の毒ですぐに死にはしないものの、確実に毒がまわってきてしまっていた。カラーだと毒が回った部分が青紫になっていて痛々しい。しかし宇髄さんの戦い、速くて美しい。毒が回ってるのに何でこんなスピードで動けるのか。そして
集結した炭治郎・善逸・伊之助を「下っ端が集まったところで幸せな未来は見えない」「頼みの綱の柱も毒にやられてるんじゃなぁ」と嘲笑われるが、宇髄さんが「毒が回るぐらいのハンデがあってトントンなんだよ!」と強気発言し「こいつらはみんな優秀な俺の継子だ……」と褒めるの(今までずっとけなしてたのに)、そして隣に煉獄さんの姿が浮かぶの、ちょっと泣いちゃう。伊之助の空気を読まない感じ、こういうとき助かる。
この鬼は、二人同時に頸を斬らないと死なないらしい。二手に分かれて戦いが再開される。
炭治郎は自分が宇髄さんを助けなきゃと思うけど、そもそもの実力差があるうえにかなりの重傷を負っていて結局助けられてしまう。ド派手にと言いつつ戦況の分析はめちゃくちゃ冷静な宇髄さん、そんなところもかっこいい。
宇髄さんと妓夫太郎の戦い、速すぎてガンダムのモビルスーツ同士の戦いを見ているようなエフェクトだ。その速さに脱帽すると同時に、上弦と柱の格が違う戦い、しかも柱も炭治郎もダメージを負っている……という状況から煉獄さんのときを思い出して、嫌な想像をしてしまう。
堕姫の相手は善逸と伊之助がする。寝ている善逸、やっぱ強い……!久々に霹靂一閃の鮮やかなエフェクトを観られてうれしかった、かっこいい。寝ていながらも「耳を引っ張って怪我をさせた女の子に謝れ」「自分がされて嫌なことは他人にしちゃいけない」と迫る。善逸、孤児だし人に騙されまくっているし結構しんどいことも多かっただろうにそう言い切れるの、いい子だな……。
「人にされて嫌だったこと苦しかったことを人にやって返して取り立てる。自分が不幸だった分は幸せな奴から取立てねぇと取り返せねえ」
「それが俺たちの生き方だからなあ 言いがかりをつけてくる奴は皆殺してきたんだよなあ」
堕姫の額に妓夫太郎の目が現れ、攻撃がパワーアップしている。避けるのに精いっぱいだけど避け続ける善逸と伊之助、結構すごいよなぁ。
宇髄さんの嫁の一人・雛鶴さんが投げたクナイ。斬撃で天蓋を作り、宇髄さんはクナイが自分に刺さるのも気にせず間合いを詰め、クナイが妓夫太郎に刺さったのを見計らってその部分を斬ると再生ができない。クナイには藤の花の毒が仕込まれていたのだ。それを見透かし、さらに自分にせまってくる炭治郎を見て「やるじゃねぇかよぉ、短時間で統制が取れはじめた、おもしれえなああ!」とニヤつく妓夫太郎、余裕あるしめっちゃ褒めてくれるじゃん……。
そして今回、何といっても次回予告がやばかった。
真っ暗な中後ろ姿の宇髄さんが「煉獄、お前ならどう戦う? 俺は、お前のようにできないかもしれない……」とつぶやく。
すると「俺だってお前のようにできはしない」と声が聞こえ、振り返ると煉獄さんが立っている。「煉獄……!」と驚く宇随さん。
「お前の剣技は美しい! 妻はちょっと多すぎるがな、はっはっはっは!」と笑う煉獄さん。煉獄さん……!
「竈門少年を、黄色い少年を、猪頭少年を、頼んだぞ、宇髄」
そういって煉獄さんの姿は消える。
笑った宇髄さんの口元が見え「派手に任せておけや」と言う。
こんなの泣いてしまうやろ……。
宇髄さんと煉獄さんがお互いを尊敬し、信頼し合っていたのが見えていい。
ちなみに漫画に全く同じシーンはないのだが、おそらくファンブック2の柱の他の柱への印象というコーナーを元に作られている。
今回明かされた宇髄さんへはもちろん、煉獄さんが本当に人のいいところを見つけて讃える気持ちの良い人だったことがよくわかるので、未読で気になった方はぜひご一読を。他の柱たちの煉獄さんへの印象もみんなよくて、本当に太陽のような人だったんだなぁとわかる(涙)。
※この記事は、鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話「上弦の鬼を倒したら」ストーリー
宇髄のもとに炭治郎、善逸、伊之助が合流した。善逸と伊之助が堕姫を相手取り、炭治郎と宇髄が妓夫太郎に立ち向かうが、連携の取れた堕姫と妓夫太郎の猛攻に炭治郎たちは苦戦を強いられる。しかし、現れた雛鶴の援護と宇髄の連携により、炭治郎の刃が妓夫太郎の頚に迫る——
第9話「上弦の鬼を倒したら」レビュー
死と隣合わせの戦いの中で、自分以外の人の想いを感じる登場人物たちがよかった。
妓夫太郎(ぎゅうたろう)・堕姫との戦いも佳境。宇髄さんの嫁の一人・雛鶴の機転で妓夫太郎の攻撃する隙ができたものの、再生能力が高い相手にはなかなかダメージを与えられない。そうこうしている間にも、宇髄さんの身体には毒がまわっていく。死に直面した闘いの中、お互い昔のことを思い出す雛鶴さんと宇随さんがよかった。
雛鶴が思い出したのは、兄弟たちのお墓に酒をかけ、嫁3人と食事する宇髄さん。お墓の前でピクニック!? と思ったが(実際にお墓の前で食事をする風習がある地方はあるらしい)、「兄弟たちが生きてたら、みんなで(酒を)飲む日もあったかもな」と言うくだりや、雛鶴の頭についた桜の花びらを取ってあげる描写がいい(まきをさん、こんなキャラだっけ? とは思いつつ)。
雛鶴が妓夫太郎に口を押さえられ、絶体絶命のピンチになったとき、宇髄さんが思い出したのは「上弦の鬼を倒したら普通の人間として生きていきましょう」「そのとき4人が揃っていなくても恨みっこなしです」と言って笑った雛鶴の姿。
雛鶴のピンチを見て、弱いから注目されていない自分が予想外の動きをすれば引き付けられる、と考える炭治郎。だがもうヒノカミ神楽を出す力は残っていない。極限状態でひねり出したのは、ヒノカミ神楽と水の呼吸の合わせ技だった。組み合わせれば水の呼吸より威力が出せるし、ヒノカミ神楽より長く動ける。
炭治郎は歴代の隊士たちがそれぞれ自分に合った呼吸で戦ってきたことに想いをはせる。炭治郎や鬼滅隊の隊士たちが、自分一人ではなく他の人の想いと一緒に戦っているところはこの作品の魅力の一つだと思う。
しかし宇髄さん、毒が回ってるのにあのスピードとパワーで動けるの、とんでもないな……さすが柱。
そして今回、炭治郎・善逸・伊之助の連携がかっこよかった!
伊之助が「お前…いい感じじゃねーか!」と言った通り、寝ている善逸は冷静で指示にもキレがあり、焦る伊之助を落ち着かせた。クールでかっこいい……! でも怖がりで騒がしい善逸も恋しい。
炭治郎と善逸が攻撃を繰り出す間に、防御なしで伊之助が堕姫に接近。2人を信頼しているからこそできることで、初登場時の伊之助を思い出すと胸が熱くなす。3人が連携攻撃を繰り出すシーン、原作でもかなり迫力があったが、音と動きがつくとよりかっこよさが増していた。見事堕姫の頸を斬ることに成功する。
だが伊之助は妓夫太郎の刃に胸を貫かれ、宇髄さんは左腕が千切れてしまっている。それを見て気を取られた炭治郎は、善逸に「危ない!」と押されて助けられる。みんながこうなってしまったのは自分のせいだと心の中で謝る炭治郎。なんという責任感……。炭治郎が悪いわけじゃない。
しかしこの状況、どうなってしまうのか……? 誰にも死んでほしくない。
※この記事は、鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
–{第10話ストーリー&レビュー}–
第10話ストーリー&レビュー
第10話「絶対諦めない」ストーリー
妓夫太郎の血鬼術を受け、炭治郎と宇髄は分断されてしまう。炭治郎は、苦戦していた善逸と伊之助に合流し、三人の連撃によりついに堕姫の頸を斬ることに成功する。しかし、堕姫の頸を持ち去ろうとした伊之助に妓夫太郎の鎌が突き刺さる。宇髄も倒れ、炭治郎たちは絶体絶命の危機に——。
第10話「絶対諦めない」レビュー
炭治郎以外絶体絶命の状況で終わった第9話。全部自分のせいだ、ごめんと謝りながら気を失う炭治郎に、人間だった頃の禰豆子が呼びかける。
「どうしていつも謝るの?」
「人間なんだから誰でも…何でも思い通りにはいかないわ」
「幸せかどうかは自分で決める 大切なのは”今”なんだよ」
昔の夢を見ていたのだった。禰豆子、強い子だったんだなぁ……。
起きた炭治郎に、うれしそうに状況を伝えてくる妓夫太郎。左腕が千切れていた宇髄は心臓が止まり、鎌で心臓を刺された伊之助も絶望的、炭治郎を助けた善逸は瓦礫の下敷きになった。誰も守れず一人だけ生き残ってみっともねえなぁ、と嘲笑う。
炭治郎は無言で走り去り、追ってくる妓夫太郎に落ちていたものを投げる。妹のために鬼になれと迫り(上弦の鬼、めちゃくちゃ勧誘してくるじゃん)「悔しいんだなあ自分の弱さが」と言う妓夫太郎に「俺は準備していたんだ」と告げ頭突きをする。
効かねえぜと思うが、身体が動かせない妓夫太郎。炭治郎は逃げる振りをして雛鶴の毒クナイを取りに行き、頭突きと同時に刺したのだった。一瞬相手と自分を重ね「自分も一歩違えば鬼になっていた側だったかもしれない」と思う炭治郎だったが、もしそうだとしても鬼殺隊が必ず自分の頸を斬ってくれる、と思い直して全力で頸を斬ろうとする。
焦った堕姫が加勢しようとした瞬間、走る稲光。善逸が技を使って瓦礫から抜けたのだ。善逸の技の速さは何度も見て知ってると言う堕姫だが、予想を遥かに上回るスピードにたじろぐ。善逸が繰り出したのは「霹靂一閃神速」だった。だが足に負担がかかるため使えるのは二度まで、一度は瓦礫から出る際に使ってしまったため、ここで斬れなければもうチャンスはない。それでも「炭治郎が作った千載一遇、絶対に斬る」と頑張る善逸。
霹靂一閃神速、演出が大変かっこよかった。寝てるのに(寝てるから?)冷静でガッツがあってすてき。あと生足がずっと見えていてサービスショットだった(血だらけで痛そうだけど)。
妓夫太郎が足からクナイを抜き、万事休すかと思った瞬間助けに入ったのは宇髄さん……! 生きてた!!!!!
「譜面」が完成した!!!勝ちに行くぞォオ!!!」からの演出、怒濤のかっこよさで何度も繰り返し観てしまった。
「譜面」の表現、原作では宇髄さんの能力について説明が入っていたが、アニメでは視覚的なイメージ図と、ピアノの音が強調されたオーケストラ調のBGMで、その迫力と美しさがより伝わってきた。煉獄さんVS猗窩座戦のロックといい、制作陣の音楽への深いこだわりを感じた。
妓夫太郎と宇髄さんの力は互角だが、片腕を失い毒もまわっている宇髄さんのほうに先に限界がくる。そう悟った炭治郎は並走して隙を伺う。鎌を顎に刺されながらも、諦めずに頸を斬ろうとする。善逸の力が限界になりそうな瞬間、伊之助も復活した。身体が異常に柔らかい彼は、とっさに内臓の位置を変えたのだという。
見事2人の頸を同時に斬り、2人の頸は転がって向き合うのだった。
炭治郎・善逸・伊之助・そして宇髄さん。頸を斬れたことに関しては、個々の生命力と力もすごいが、絶望的な局面で瀕死の重傷を負いながらも、お互いを信じてチャンスを待った精神力と絆の勝利でもあったと言えるだろう。
だが、意識が朦朧とする炭治郎の目に映った宇髄さんは、必死に何か叫んでいる。何が起きているのだろうか。エンディングも特別な仕様で、映画を観終わったときのような重厚感だった。
宇髄さんと妓夫太郎の戦い、ガンダムのMS戦のようだと表現したことがあるが、今回の演出はエヴァの使徒との戦いのようでもあった。次回は遊郭編最終回。どのような結末にたどり着くのか。
※この記事は、鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
–{第11話<最終回>ストーリー&レビュー}–
第11話<最終回>ストーリー&レビュー
第11話「何度生まれ変わっても」ストーリー
宇髄が妓夫太郎の血鬼術をすべて弾き、炭治郎が顎を貫かれながらも妓夫太郎の頸を斬り落とす。善逸と伊之助も、満身創痍のなか堕姫の頸を断ち、ついに二体の頸を同時に斬ることに成功する。死闘の果てに上弦の陸を倒したかに思えたその時、妓夫太郎の血鬼術が放たれ……。
第11話「何度生まれ変わっても」レビュー
ついに来てしまった最終回。妓夫太郎と堕姫の頸を同時に斬ったものの、妓夫太郎の身体から最後の血鬼術が放たれ、爆発が起こる。
炭治郎が気づくと、自分は無事で、傍らには禰豆子がいた。善逸も起きたら体中が痛くて足の骨が折れているっぽいと泣いている。だが伊之助が重傷だという。毒で胴体が紫色に腫れあがっており、今からしのぶさんを読んだとしても間に合いそうもない。どうして自分だけ助かったのかと自分を責める炭治郎たが、禰豆子が伊之助の身体に手を当てると炎のようなものが出、毒が消えた。腹減ったという伊之助に、泣きながらよかったと抱きついて気持ち悪がられる炭治郎。よかった。
宇髄さんの傍らでは3人の妻たちが泣いていた。毒がまわり、もう助かりそうもない。最期の言葉を残そうと話し始めるが、大声で泣きわめく須磨にまきをがキレ、大声で喧嘩を始めて宇髄さんが心の中で「嘘だろ? 何も言い残せずに死ぬのか俺」「言い残せる余裕あったのにマジかよ」と心の中で思うシーンは笑う。ものすごいギャグ顔だし。
そこに禰豆子がやってきて伊之助と同様に毒を炎で飛ばすのだが、いきなり宇髄さんに火を付けられたと思った須磨が「いくらなんでも早いです火葬が」 「まだ死んでないのにもう焼くなんて!」と縁起でもないツッコミを入れるのも笑っちゃいけないのに笑ってしまいそう。左目と左腕は戻らないけど、宇髄さんが生きててよかった……。
見届けないと安心できないと、妓夫太郎と堕姫を探しに行く炭治郎と禰豆子。原作だとそこまで気にしていなかったけど、負傷した炭治郎を禰豆子が結構な距離おぶって移動していて、力持ち……! と思った。
言い争う声が聞こえるほうに行くと、妓夫太郎と堕姫が罵り合っていた。ヒートアップして、「アンタみたいに醜い奴がアタシの兄妹なわけないわ!!」という堕姫に「お前さえいなけりゃ俺の人生はもっと違ってた」「お前なんか生まれてこなけりゃ良かっ…」と言いそうになる妓夫太郎の口を、炭治郎がふさぐ。
「嘘だよ」「本当はそんなこと思ってないよ、全部嘘だよ」「仲良くしよう、この世でたった二人の兄妹なんだから」と言う。「君たちのしたことは誰も許してくれない」「殺してきたたくさんの人に恨まれ憎まれて罵倒される、味方してくれる人なんていない」「だからせめて二人だけはお互いを罵り合ったら駄目だ」
2人のしたことにあんなに怒っていたのに、ここで心を割ける炭治郎はすごいと思った。罵り合っているところで「最後の最後に仲間割れなんて愚かだな」とか「心が醜いな」と思ってしまっていたが、炭治郎のこの言葉がなければ、この後の展開もなかった。
悔しいよと泣き出し、最期はお兄ちゃんと叫びながら消えていった堕姫に「梅!」と叫んだ妓夫太郎。堕姫は人間のとき、梅という名前だった。
ここからの回想、漫画でもつらかったが色がつくとよりつらい。遊郭で生まれ、醜く汚かったためにひどい扱いを受けていた妓夫太郎がより不憫だった。美しい梅が生まれてから自分の人生が変わったという妓夫太郎。自分が喧嘩に強いことにも気づき、金の取り立ての仕事をし、二人で身を寄せ合って生きていた。
だが梅は客である侍の目を簪で突いて失明させた報復に、縛られて生きたまま焼かれ、妓夫太郎が仕事から帰ると丸焦げになっていた。原作にはなかった描写で、帰ったら梅と食べようと思っていたであろう食べ物が悲しかった。ぼう然としているところ後ろから切り付けられた。借金取りとして雇っていた女将が侍に頼んだのだった。
2人を殺し、梅を抱いてさまようが、とうとう力尽きて雪が降る中倒れる。「どうしてだ? “禍福は糾える縄の如し”だろ。いいことも悪いこともかわるがわる来いよ」という言葉が切ない。
そこにやってきたのが当時の上弦の陸。で、出た~!! 後にいろいろなことが明かされるこの鬼は、原作を読んでいるファンの間で誰が声優をやるか? という予想が話題になっていた。予想の中でも声が多かった宮野真守さんだった、今後の出番も楽しみ……!
自分が鬼になったことは後悔していない、何度生まれ変わっても鬼になっただろうと思う妓夫太郎。でも梅は、自分が育てたからああいう性格になったが、染まりやすくて素直な性格だから違う人生もあったのではないか、と思っていた。真っ当な店にいたら真っ当な花魁に、普通の親元に生まれていたなら普通に、良家に生まれていたなら上品な娘に……。
「俺の唯一の心残りは お前だったなあ」
この言葉でもう妓夫太郎が梅をどんなに思っていたかがわかって、展開を知っていても涙が止まらなかったる。アニメでより鮮やかに色づいた「もし梅が違う境遇に生まれていたら」がつらい。
鬼滅に時折出てくる「そうなっていたかもしれないが得られなかった未来」の描写はまぶしくて愛おしくて、実際は得られなかったものだから悲しい。
あの世らしきところで梅に声をかけられさっき言ったことなんか本当に思ってない、ごめんなさいと言われるが、もうお前とは兄妹でも何でもない、俺とは違う明るい方へ行けと突き放す妓夫太郎。でも梅は泣きながらおぶさってきた。
「何回生まれ変わっても、アタシはお兄ちゃんの妹になる絶対に!!」「ひどいひどい、約束したの覚えてないの!?」そう言われて思い出したのは、人間だったとき二人で身を寄せ合い交わした約束。
「俺たちは二人なら最強だ」
「約束する、ずっと一緒だ。絶対離れない」
「ほらもう何も怖くないだろ?」
梅(堕姫)、わがままで性格悪いと思ってたけど、お兄ちゃんと約束したことをずっと覚えてたんだ……。梅を背負って地獄の炎の中に進んでいく妓夫太郎。このシーンの炎、アニメだと迫力がすごかった。
2人の回想とあの世でのシーン、原作を改めて読み返していたのにアニメであらめて見てめちゃくちゃ泣いてしまった。炭治郎のおかげで最後に仲直りできたのがせめてもの救いかな。ちなみにアニメでは描かれなかったが、ファンブック(2のほう)によると、梅が侍の目を刺したのは妓夫太郎を侮辱されたからなのだ……。
負傷はすごかったけど、炭治郎たちが抱き合って喜んでいたように、みんな生きていて本当によかった。
鮮やかで華やかで毒々しさもあった遊郭編、とても好きだった。宇髄さんはかっこよかったし、炭治郎たちの成長もすごかった。
そして刀鍛冶の里編TVアニメ化も決定! 続報が待ち遠しい。
※この記事は、鬼滅の刃「遊郭編」の各話を1つにまとめたものです。
【復習したい方へ】鬼滅の刃「遊郭編」を動画配信サービスで視聴する
(文:ぐみ/まとめ:シネマズ編集部)
※11話以降は放送週に追記します。
–{鬼滅の刃「遊郭編」作品情報}–
鬼滅の刃「遊郭編」 作品情報
テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編は、12月5日(日)夜11時15分より全国フジテレビ系列にて放送開始。
12月5日(日)より放送開始となる遊郭編第1話は初回1時間放送される。
基本情報
声の出演:花江夏樹/鬼頭明里/下野 紘/松岡禎丞/小西克幸/沢城みゆき ほか
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸・梶山庸子・菊池美花
3D監督:西脇一樹
編集:神野学
脚本制作:ufotable
プロップデザイン:小山将治
撮影監督:寺尾優一
色彩設計:大前祐子
音楽:梶浦由記・椎名豪
オープニングテーマ:Aimer「残響散歌」(SACRA MUSIC)
エンディングテーマ:Aimer「朝が来る」(SACRA MUSIC)
アニメーション制作:ufotable