累計200万部以上の中学受験の実態をリアルに描いた人気マンガ「二月の勝者 -絶対合格の教室-」を原作に連続ドラマ化!2021年10月16日より放送スタート。
主人公、最強で最悪なスーパー塾講師・黒木蔵人を柳楽優弥が演じる、中学受験を舞台にした人生攻略ドラマだ。黒木に反発する新任塾講師を井上真央、黒木に執着する名門受験塾のトップ講師・灰谷純を加藤シゲアキが演じている。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
二月・中学受験当日。試験会場の正門前には、日本一の合格実績を誇る「ルトワック」のカリスマ塾講師・黒木蔵人(柳楽優弥)が、雪の降る中傘もささずに立っていた。そこには、桜花ゼミナールで研修中の塾講師・佐倉麻衣(井上真央)をはじめとした塾講師たちが、受験生応援のために続々とやってくる。会場へ向かう受験生を見送っていると、そこに理科の公式を忘れてしまいパニックになっている桜花生が。しかし、算数担当の佐倉はその生徒の質問に答えてあげられない……。
すると焦る佐倉をよそに、隣にいた黒木が淡々と公式を告げる。
生徒は安心した様子で会場へ入り、黒木にお礼を言う佐倉だったが、「研修中の講師を応援に送り込んで受験生をパニックにさせるなんて、桜花のやることは理解できない」と、黒木は辛辣な言葉を残して去っていった─。
その2週間後。新学期を迎えた桜花ゼミナール吉祥寺校に、なんと黒木が新校長としてやってくる。入塾説明会に集まった親たちに、「中学受験は甘くない。覚悟のできない者は、この場を去れ」と受験の厳しさを突き付ける黒木。受験の残酷な現実に多くの親がショックを受ける中、なんと黒木は全員の第一志望合格を約束すると断言。その見事な演説によって、説明会の参加者全員を入塾希望者にしたのだった……。
一方、研修生だった佐倉も正式に桜花の塾講師となるが、黒木は桜花の講師たちに対しても容赦ない言動ばかり。そんな黒木の過激な言動に振り回されつつ、佐倉の塾講師としての日々が始まる。
第1話レビュー
この時期になると、「ドラゴン桜」や「下剋上受験」「初めて恋をした日に読む話」など、なにかしら受験モノのドラマがはじまる傾向にある。
今クールは現在も連載中の「二月の勝者―絶対合格の教室―」がスタートし、注目を集めている。
中学の進学塾を舞台にスーパー塾講師、黒木蔵人(柳楽優弥)が白熱するお受験戦争をバッサリ切っていく。
今春に放送されていた「ドラゴン桜」と、どうしても比べがちだが、第一話を見た印象はまったく別物と感じた。
もちろん、大学受験と中学受験の違いもある。
「ドラゴン桜」はどちらかというとシンデレラストーリーを楽しむドラマだったように思う。
また、劇中で黒木が「我々は教育者ではなく、サービス業だ」というセリフ。
ここも阿部寛が演じた桜木先生との違いをまざまざと感じた。
一方、「二月の勝者―絶対合格の教室―」に関しては、妙にリアルなのだ。
というのも、これは筆者が現役お受験ママだからだろう。
とにかく第1話からセリフが胸にささりまくり。
そのリアルさにやられた。
たとえば……
「合格に必要なのは 父親の『経済力』と母親の『狂気』です」という言葉。
「父親の経済力」にはそこまでしっくりこないものの「母親の狂気」には妙に納得。
次に「凡人こそ中学受験すべきだ」というセリフのときには、思わず我が子をじっと見つめてしまった。
スポーツや芸術、音楽などになんら興味もなく、光るものがない凡人の我が子にとっては救いとなる。
柳楽優弥が演じるシニカルな黒木蔵人にもしびれる。
真っ黒な前髪に、切れ長の目がゾクゾクする。
再現度の高さたるや!
対して、井上真央が演じる新任講師の佐倉麻衣は劣等感のかたまりといった感じだ。
個人的にお久しぶりな井上真央だが、相変わらず初々しさがありそして、かわいい。
今でも制服姿で「道明寺~」と叫んでみても違和感はない。
もともと中学の教諭だった佐倉。
ワケあって塾講師になったようで
「塾ならもっと子どもと距離が置けるものだと思っていて……」とつぶやくところに闇を感じる。
今後、佐倉がどんなふうに変化していくのかも楽しみだ。
黒木は「全員を合格させる」と豪語したが、はたして最終回に公約は守れるのだろうか。
名門中学受験塾のトップ講師で黒木の元部下、灰谷純(加藤シゲアキ)も第2話以降、どんなふうにからんでくるのだろうか。
来週も家族で真剣に観ようと思う。
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
新学期が始まったばかりの桜花ゼミナール吉祥寺校。校長・黒木蔵人(柳楽優弥)の過激な言動に圧倒されながらも、新任塾講師として働き始めた佐倉麻衣(井上真央)だったが、担任を任されたRクラスの新学期のテストは散々な結果…。中でも、授業中いつもボーっと窓外を眺めている加藤匠(山城琉飛)の答案は白紙の0点だった。
休み時間に、Ωクラス担任・橘勇作(池田鉄洋)とAクラス担任・桂歌子(瀧内公美)の元には各クラスの生徒たちが質問に殺到する中、佐倉の元には一人も来ず…。どうにかRクラスのやる気を出させようと意気込む佐倉だったが、黒木から「Rクラスはお客さんですから、一生懸命にならないでください」と言われ言葉を失う。模試の答案と成績表を「顧客の評定リスト」と呼ぶ黒木は、「Rは不良債権だらけ」と厳しい発言をする。
その後、佐倉は匠の母・加藤涼香(堀内敬子)との面談で、「匠が中学受験に向いてないのでは」と相談を受ける。そんな匠にやる気を出して欲しい一心で、佐倉は授業後にマンツーマン指導を行い、匠の苦手部分の克服を試みる。しかし、なんとその翌日に匠は塾を休んでしまい、涼香からは「匠が塾を辞めたがっている」と聞かされる…。
マンツーマン指導の時に、匠がなぜいつも窓の外を見ているのかに気付いた佐倉。その理由を聞いた黒木は、匠の両親との面談に向けて、ある中学校の資料や匠のこれまでの成績を用意させるように講師たちに命じると、佐倉の自転車を借りてどこかへ行ってしまい…。
第2話のレビュー
10月16日にスタートした「二月の勝者 絶対合格の教室」。
初回の視聴率は平均世帯視聴率が9・2%(関東地区/ビデオリサーチ)だった。
2桁発進には届かなかったものの、リアルな中学受験を描いた作品の関心度は高そうだ。
第2話は井上真央が演じる新任塾講師、佐倉麻衣が1人の生徒の成績を上げたいと奮闘するというもの。
いつも窓の外をぼんやり見ている生徒、加藤匠(山城琉飛)。
母親の心配をよそになかなか受験モードにはならない様子だった。そんな加藤の様子を気に掛ける佐倉は、個人的に勉強を教えることに。
ある時、加藤が電車に興味があることに気付いた佐倉が電車について質問をすると、生き生きと鉄道について話しはじめた。意外な一面を見た佐倉はさらに加藤の成績を上げようと彼の不得意なところを研究する。
しかし、そんな佐倉の努力はむなしく、加藤の親から「息子が塾を辞めたがっている」と連絡が入る……。
子どもたちに戸惑いなからも懸命に向き合う佐倉を演じるのは井上真央。
芯がしっかりある女性の演技も上手だか、今回の佐倉麻衣のようなおどおどとした女性の演技は秀逸だ。
常に不安げで自身がない佐倉を完璧に演じている。
一方、自信満々で何を考えているかわからない黒木を演じるのは柳楽優弥。
この二人の対比が同ドラマをいっそう、面白くしている。
第2話も黒木のすぐれた洞察力が炸裂する。
加藤の成績不振の原因から、受験に対する考え方までも変えてしまうのだから驚きだ。
本人と両親に寄り添った黒木の解決策には思わずうなるものがある。
中学受験のリアルな現状に触れたドラマだというのに、観終わったあとに「水戸黄門」のように爽快感があるのも不思議だ。
ドラマのタイトルにあるように生徒全員が「絶対合格」となるのだろうか?
最終話まで目が離せない。
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
ある日、桜花ゼミナール吉祥寺校に、講師の木村(今井隆文)が慌てた様子で出勤して来る。なんと、Ωクラスの前田花恋(田中絆菜)がルトワックへ入っていく姿を目撃したという…。桜花が誇る金の卵の転塾の危機に講師たちが焦る中、校長の黒木蔵人(柳楽優弥)は「放っておきましょう」の一言だけ。以前、自分が他の生徒に行ったマンツーマン指導を妬んでいた花恋の様子を思い出した佐倉麻衣(井上真央)は、自分のせいで花恋が転塾を考えたのではないかと責任を感じる。
一方、ルトワックを見学する花恋は、講師の灰谷純(加藤シゲアキ)から成績トップのSクラスへの編入を約束され、体験授業を申し込む。その後、桜花に来なくなってしまった花恋を心配する佐倉の元に、花恋の母・前田麗子(高岡早紀)が面談に訪れる。医師の麗子は忙しい日々を送りながらも塾の面談や弁当作りまでこなし、花恋の受験を支える完璧な母親。麗子によると、花恋は勉強ができるあまり、学校では教師や同級生たちとうまくいっていないという…。
転塾に関しては花恋の判断を尊重したいという麗子、そして、花恋のような競争心がある子はルトワックの方が向いているのかもと考える桂。そんな大人たちの考えをよそに、体験授業に参加した花恋はルトワックの授業スピードやハイレベルな生徒たちに圧倒され、夜遅くまで勉強するほど自分を追い込んでしまう。
そんなある日、偶然花恋を見かけた佐倉は、花恋の脚に付けられた傷痕に気付く。佐倉から花恋の様子を聞いた黒木は「そろそろなのかもしれない」と意味深な言葉を呟く。その夕方、疲れ切った様子で一人吉祥寺の街を歩く花恋に、怪しい人影が近付いていく…。
第3話のレビュー
桜花ゼミナールの金の卵、Ωクラスの前田花恋(田中絆菜)の転塾問題に揺れた第3話。
慌てる講師陣たちを横目に校長の黒木蔵人(柳楽優弥)は「ほおっておきましょう、何もしなくて結構です」と言うだけ。
新人の塾講師、佐倉麻衣(井上真央)は、「前田さんの転塾は私のせいかもしれない」と自分を責める。
なぜなら、佐倉は担当するRクラスの子に個別に勉強を教えていたところ花恋に「マンツーマンで勉強教えるなんてひいきだよ、絶対。こっちは質問の順番待ちしているのに」と責められたばかりだったからだ。
今回も子役の演技にひきこまれ、あっという間の1時間だった。
主演の柳楽優弥や井上真央も子役出身だが、最近の子役は大人顔負けの演技力で魅せてくれる。
第3話のメインを飾った子役の田中の演技には、目を見張るものがあり、プロ根性が画面からも伝わってきた。
母親役の高岡早紀とのやり取りも、本当の親子かと思うほど自然であった。
筆者も子どもを転塾させた経験があるため、今回のストーリーは興味深かった。
黒木の言葉一つひとつが胸に刺さった。
中学受験をするにあたって進学塾は必須ではないものの、その存在はかなり大きい。
進学塾を最大限に活用できれば合格率も上がるからだ。
このドラマは受験戦争のリアルさをしっかりと追求されており、受験生を抱える親にとって刺激的だ。
ドラマの内容に戻ろう。
桜花ゼミナールよりもレベルの高いルトワックに転塾しようとした花恋だが、レベルの高さとスピードの速さについていけず、自傷行為をするほどまでに。
その変化に気付いた佐倉は黒木に報告をした。
講師たちには「ほうっておきましょう」と話した黒木だったが、花恋の心をしっかりと理解し、寄り添った。
自分の居場所はレベルの高いルトワックではなく、桜花ゼミナールだと気付いた花恋。
「花恋の席、まだ空けて待ってるよ」と優しく声をかけた黒木。
結局、花恋は桜花ゼミナールに笑顔で戻ってきた。
今回も黒木によって事なきを得た桜花ゼミナール。
こんな校長がいる塾なら「うちの子も入れたい」と思った視聴者も多いのではないだろうか。
かくいう、私もその一人。
来週もしっかり同ドラマで学びたいと思う。
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
ールデンウイークの特別講習を控えた桜花ゼミナール吉祥寺校。6年生全員の申し込みがノルマだと言う校長・黒木蔵人(柳楽優弥)だったが、佐倉麻衣(井上真央)が担任のRクラスは申し込みをしていない生徒がまだ数名いる状況…。成績が低迷している生徒がいるRクラスは特にこの特別講習が不可欠だと、佐倉は黒木から圧をかけられる。
そんな中、Rクラスの武田勇人(守永伊吹)は、毎年恒例の家族旅行の予定にすっかり浮かれ、特別講習に参加する気は全くない様子……。
佐倉は勇人の母・香織(星野真里)に電話をかけ、講習の申し込みをお願いする。勇人の受験勉強を応援している香織は、夫・正人(塚本高史)に特別講習の相談をするが、スマホゲームに夢中な正人はろくに香織の話を聞こうとしない。
正人は塾から帰ってきた勇人と旅行やスマホゲームの話で盛り上がり、香織は最後まで相手にされないまま話が終わってしまう…。
特別講習の申し込みが、残すところ勇人のみとなるRクラス。そんな中、塾には香織から「夫との意見が合わず、講習は受けさせない」と連絡が来る。
両親を面談に呼んで説得しろという黒木に対し、佐倉は費用がかかる特別講習の申し込みには家庭の事情が絡んでくるんじゃないかと反論。
すると黒木は、香織との面談をAクラス担任の桂歌子(瀧内公美)に任せる。「武田夫妻の地雷を踏みつけて、爆発させる」という黒木の指令に、桂は何やら目を輝かせ始め…。
第4話のレビュー
4月13日、中学入試まで294日—。
まもなくはじまるゴールデンウイークの特別講習を前に、桜花ゼミナールの新任講師、佐倉麻衣(井上真央)はうかない表情だった。
なぜなら校長の黒木(柳楽優弥)から、「担当する生徒全員が特別講習に申し込みすることはノルマだ」と言われたからだ。
なかなか成績が上がらない上に申し込みをしていない武田勇人(守永伊吹)が気になる佐倉は、母親・香織(星野真里)に連絡をしてみることに。
香織もまた息子の中学受験に頭を抱えていた。
第4話は勇人の両親役、塚本高史と星野のやり取りが非常にリアルで面白かった。
携帯ゲームに夢中で万単位の課金をするも、息子の塾代はケチる父親・正人。
残業を増やしてでも息子の受講代を捻出しようと必死な母親・香織。
まさに黒木の名言、合格のために必要なのは、父親の「経済力」そして母親の「狂気」を物語っていたストーリーだった。
生徒の偏差値の上げ方に苦労する佐倉に、偏差値を一気に上げる方法として「最初から半分、盛大にドブに捨てさせる」と提案した黒木。斬新にも最初から試験は半分しか受けなくていいという。
しかし、佐倉は「そんな方法は子ども達を傷つけるだけ」と反発。
それでも黒木は自分のやり方で生徒たちに「半分の試験」を受けさせることに。
すると、嘘のように全員の偏差値が10点以上も上がるという結果をたたき出した。
黒木は生徒たちの「焦り」を取り除くことで、自信と得点欲を実感させたのだった。
「どうせなら私たちの子どもに課金してよ!」と香織に怒鳴られた正人は、ようやく目が覚めたようで自ら申込用紙を持って桜花ゼミナールへやってきた。
そこで黒木に「中学受験は課金ゲームかもしれませんね」と諭されると、これまでに受験に対して消極的だった正人の表情にも変化が見られた。
少々脱線するが、同ドラマの最初と最後にちょくちょく登場する桜花ゼミナールの社長、白柳を演じる岸部一徳。
現在放送中の「ドクターX」の晶役と同様、お金の話ばかりしているので同一人物なのではないかと放送を見ながらクスっとしてしまう。
第5話以降は名門塾ルトワックのエリート塾講師、灰谷(加藤シゲアキ)との対立が過激化しそうな予感……。
毎週飛び出す黒木の名言と共に、この二人の対決にも注目していきたい。
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
夏を迎えた桜花ゼミナール吉祥寺校では、中学受験の天王山とよばれる夏期講習が始まる。「夏は学力を上げる最後のチャンス。これを逃したらもう二度と挽回できる機会がないと思ってください」という校長・黒木蔵人(柳楽優弥)からの激励。そんな中、桂歌子(瀧内公美)は佐倉麻衣(井上真央)に、暑さや緊張から子供たちに起きるトラブルの対処法を手ほどきする。
一方、夏期講習中にΩクラスの島津順(羽村仁成)とAクラスの上杉海斗(伊藤駿太)の取っ組み合いの喧嘩が発生。自習室で勉強していた海斗に対し、暴言を吐いた順。その言葉にカッとなった海斗が我慢できずに手を出してしまったという。その後も反省の様子のない順を咎める佐倉だったが、黒木はそれを制し、「明日からはΩ専用の自習室を用意します」と、順を優遇するかのような対応…。
そんな順の両親は教育熱心で、特に父・弘(金子貴俊)は日頃から桜花のカリキュラムを否定し、自己流の勉強方法を順に押し付けている。ある日、順に実際の入試問題を解かせた弘は、半分もできていない結果に激昂。いつものように母・優子(遠藤久美子)に怒りを向ける様子を見て、順はすっかり怯えてしまう。
その翌日、順の弁当を届けに桜花を訪れた優子。しかし、朝に家を出たはずの順は塾には来ておらず、その後の行方が分からないという。すぐさま順を捜しに行こうとする佐倉だったが、黒木によると既に順を捜しに出た人物がいるという…。
第5話のレビュー
6月15日
中学入試まで231日—
偏差値57以上はΩクラス、偏差値49~56はAクラス、偏差値48以下はRクラスと3クラス体制を取っている桜花ゼミナール。
5月の連休と夏休みの間の6月に「成績順クラス分け発表」をおこなった。
生徒たちはこのクラス分けに一喜一憂。
塾講師、佐倉麻衣(井上真央)はその様子を不安そうに見つめていた。
夏期講習が始まると自習室も開放され、ほぼ毎日塾に通う生徒が多くなっていった。
そんな中、事件がおこった。
Ωクラスの島津順(羽村仁成)がAクラスの上杉海斗(伊藤駿太)に「偏差値60以下の学校なんて学校じゃねぇよ。そんなとこ目指しているなんてマジゴミだし」と暴言を吐いた。それにカッとなった海斗は、順を掴んで取っ組み合いのけんかに発展してしまった。
校長の黒木蔵人(柳楽優弥)と佐倉は別室に二人を呼び出し、話しを聞くことに。
しかし、明らかに態度の悪い順には注意をせずに、海斗にだけ「今後一切、島津さんとはもめごとを起こさないでください」と釘を刺した。これに反発した佐倉にも黒木は「悪いのがどちらかを裁くのは塾の仕事ではありません。塾では道徳という科目は教えていません」とバッサリ。
さらに、「上杉海斗はあなたが言うほど弱い人間ではありません」と意味深な言葉を残して立ち去った。
一方、自宅では父親、弘の言葉の暴力に怯えている順の姿があった。
この父親がまた強烈キャラで順の母親、優子にも圧をかけ、息子の成績不振は母親の責任だと暴れまくる。いわゆる自己中心的なモラハラ夫の典型であった。
今回、この父親を演じたのは金子貴俊。
映画『ウォーターボーイズ』での少し気弱な少年役や、同局の人気番組での“オーシャンズ金子”のイメージがチラつくけれど、今回は観ていて腹が立つほどの父親役を熱演していた。
また、夫のモラハラに怯え、すでに病みかけているであろう母親役は遠藤久美子が好演。
後半で黒木がこの家族にどんなふうに成敗するのか、筆者は楽しみであった。
次の日、塾に順の姿がないことに気付いた母親と先生陣。慌てる大人を目にした海斗は、順の居場所にあてがあったために塾を飛び出した。順を見つけた海斗は、そっと隣に座って語り合うことに。お互いの悩みを話し合ううちに打ち解けていった。そして順は「黒木先生がお前はいつか俺のライバルになるって言ってた」と告白。2人のやる気に満ちた表情が印象的だった。
桜花ゼミナールにものすごい剣幕でやってきた順の父親。教室に入るなり「お前の監督不行き届きだろ」と母親に殴りかかろうとしていた。
しかし、そこは黒木や佐倉の目があるためか、殴りはせず、矛先を順に向けた。
そして順に「いったい何をしていたんだ!」と暴言を吐き続ける。素直に「友だちと話ししていた」と言う順。廊下に海斗の姿があるにも関わらず父親は「バカの相手をしている場合ではないだろう」とさらになじった。
この言葉に強く反応した順は「僕の友達をバカって言うな」と父親に反発。
この姿には視聴者も反応。
「順君、かっこいい!頑張れ!」
「順が父親に反発するシーン、胸が熱くなった」
教室を出たところで海斗の姿を見つけた順は「待ってるからな、Ωで」と伝え、一家は帰っていった。
パワハラ父親に黒木がどんな言葉で論破するのかと思いきや、あっさり終了。
これには拍子抜けではあったが「塾講師に、他人の家庭の中に踏み込む権限はありません」とまたもやバッサリの黒木だった。
第5話はこれまでの黒木節が観れず、少し残念であった。
しかし、黒木は自分が何かを言ったところで変わりようのない父親と判断したのかもしれない。
それよりも、順にとって塾という居場所を失ってはならないと判断し、「見届ける」という形で終わらせたのかと推測する。
今回も奥の深いストーリー展開にさまざまなことを考えさせられた。
夏期講習はまだ始まったばかり。
本番である2月まではまだまだ波乱が続きそう。
ルトワックのエリート塾講師、灰谷(加藤シゲアキ)の動きも気になる。
彼はなぜ執拗に黒木のことを追っているのだろうか?
波乱の後半戦も家族で楽しみたいと思う。
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
夏期講習期間中の桜花ゼミナール吉祥寺校に、突然、制服姿の大森紗良(住田萌乃)がやってくる。黒木(柳楽優弥)の手伝いで来たという紗良は、Aクラスの不登校児・柴田まるみ(玉野るな)に、自分が通っている二葉女子学院の話を聞かせる。
自由な校風に興味を持ったまるみだったが偏差値の高い二葉女子学院はまるみにとってかなりの難関校。 しかし、まるみは授業前の自習室に姿を見せるようになったり、人生初の外泊となる夏合宿に参加を決意したり少しずつ心境に変化が表れていく。そんな努力の甲斐もあり、Ω選抜テストの結果はAクラスからΩクラスに昇格。
早速、夏合宿からΩの授業に参加することになったまるみだったが、慣れない授業のスピード感についていくのがやっとの状況。そんなまるみに、Ωクラスの直江樹里(野澤しおり)は興味を持ち積極的に話しかける。最初はフレンドリーな樹里に戸惑うまるみだったが、少しずつ二人の距離は縮まっていき、まるみの雰囲気にも変化が見られるようになる。しかし、佐倉(井上真央)にはまるみが少し無理をしているように見え−−−。
そして、怒涛の夏合宿を終えたまるみは、家に着くなり母・美佐子(月船さらら)の前で大号泣。Ωの授業を受けレベルの高さを目の当たりにしたまるみはすっかり自信を失ってしまっていた−−−。
第6話のレビュー
8月2日
中学入試まで183日—。
桜花ゼミナールに紗良(住田萌乃)がやってきた。
黒木(柳楽優弥)からAクラスの柴田まるみ(玉野るな)と話をしてほしいと頼まれたからだ。
まるみは小学校には通っていない不登校児。
そんなまるみに紗良は、自分が通う二葉女子学院の話を聞かせた。それをきっかけにまるみのやる気スイッチがON。自分も二葉女子学院に通いたいという意欲が出てきた。
そして、黒木の助言もあってΩ選抜クラスに挑戦することに。
しかし、新任塾講師の佐倉麻衣(井上真央)は心配そうにその様子を見ていた。
高瀬志帆によって描かれている同作は”リアル“な中学受験が描かれていると話題になっている。
第6話はまるみにスポットをあて、不登校児が中学受験に挑戦するときの苦悩を描いていた。
塾講師と生徒、そしてその保護者の視点が毎話、丁寧に描かれており、中学受験に関係のない視聴者にも楽しめる。
また、どのストーリーも子役の表情が繊細なために毎週、もらい泣きをしてしまうことも。
タイトルの副題にもあるように、2月には生徒全員が第一希望校に合格できるように願ってやまない。
「私はあの2人のかけ合わせによる大きな化学反応に期待している」という黒木。
しかし、ストーリーが進むにつれてまるみの表情はどんどん暗くなっていく。
天才肌の樹里に比べ、なかなか思うように結果を出せない自分。
ある日、樹里も自分と同じ二葉女子学院を目指していることがわかると、その劣等感が爆発してしまう。
樹里とまるみ。
まったく違うタイプの生徒がそれぞれの苦悩をぶつけるシーンは圧巻であった。自分のいたらないところを卑下し、逆に相手をうらやましく思う“本音”を吐き出す2人。言い争いのように見えるシーンではあったが、それぞれが相手を認めた大事な場面であった。まさに、黒木の予想通りの“化学反応”がおこり、2人の仲はさらに深まったのだった。
成長する生徒と同じように、佐倉にも少しずつ変化が見える。
初回ではおどおどした表情が目立っていた佐倉。ここにきて少し余裕がでてきたような表情を見せることも増えてきた。
表情の差が際立つのは、井上が丁寧に演じわけているからだろう。
夏合宿も終わり、受験に向けて佳境にはいる桜花ゼミナール。
懸命に本番に向かっていく生徒と、支える佐倉を最後まで応援したい。
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
9月になり、全国統一合格判定テストを受けた桜花ゼミナール吉祥寺校の受験生たち。夏の頑張りの成果が出るかと思いきや、この時期は全国の受験生の学力も同じように上がっているため、そう簡単に偏差値は上がらず…。黒木(柳楽優弥)は、一番の心配事は「上がらない偏差値を見た親たちをいかに黙らせるか」だという。
いよいよ志望校選びをする保護者面談が始まり、生徒たちも受験を意識し始める。そんな中、佐倉(井上真央)が受け持つRクラス生徒・石田王羅(横山歩)は自習室に来るものの遊んでばかりで、他の生徒に迷惑ばかりかけているありさま。どうすれば王羅が勉強する気になってくれるのかと悩む佐倉だったが、橘(池田鉄洋)は「小学生が毎日塾に来ていること自体がすごい」と言う。その後、佐倉は王羅の母・三枝子(岩崎ひろみ)から、王羅が桜花へ入塾した経緯を聞かされる。
ある日、いつものように自習室で遊んでいる王羅に対し、成績が伸び悩み焦りを感じているRクラスの大内礼央(粟野咲莉)は怒り声を上げる。それを聞いた橘は勘違いして礼央を叱ってしまう。これをきっかけに、礼央の母から「塾を辞めようと思っている」との連絡が…。
そんな中、佐倉は紗良(住田萌乃)から連絡をもらい、スターフィッシュに招かれる。そこには黒木に呼ばれて来たという灰谷(加藤シゲアキ)の姿もあり、二人はそこでいつもとは違う黒木の顔を目にすることに…。
第7話のレビュー
受験生にとっては夏休みの成果が期待できる9月に入った。
プレッシャーに押しつぶされながらも子どもたちは、「統一合格判定模試」にも挑戦。
学力は付いてきているものの偏差値は横ばいか、上がらない生徒ばかり。
模試の結果を見ながら桜花ゼミナールの佐倉麻衣(井上真央)はため息をついていた。
こうした塾側の苦悩も見られる同ドラマは、受験生を抱える家庭にとっては貴重な存在だ。
筆者も我が子が通う塾の講師の顔を浮かべながら、毎週視聴している。
とはいえ校長の黒木(柳楽優弥)の発した
「我々が心を砕かねばならないのは上がらない偏差値見たお客様(保護者)たちをいかに黙らせるか」
「パニっくたお客様を鎮め、いかにこの塾を辞めさせないかです」
「秋はまさに収穫の季節。塾の本気の集金はこれからです」
には思わず苦笑い……。
これが塾の本音かもしれない。
同ドラマは塾の講師、橘(池田鉄洋)、桂(瀧内公美)、木村(今井隆文)たちの掛け合いもとても楽しい。
とくに佐倉の先輩である瀧内公美。
これまで演じてきた影のある女性役とは違って、コミカルさが際立つ。
明るく愛嬌のある女性を演じることもうまいのだ。
(第7話の「う・れ・し・な・き」のシーンは最高!)
井上が演じる佐倉にとっても大きな存在だ。
第7話はなかなか勉強に身が入らず、他の生徒に迷惑ばかりかけている石田王羅(横山歩)の存在に頭を悩ませていた佐倉。
しかし、そんな王羅を見た橘は
「あいつ(王羅)あれでも毎日こうして塾に来ているじゃない?俺たちはいつの間にかそれが当たり前だと思っているけれど、小学生が毎日塾に来て座ってるってすごくない?そこから認めてやらないと……」と発言。
確かに。
この橘のエッジのきいたセリフに中学受験を目指している多くの親は「はっ!」としたのではないだろうか。
橘を演じる池田鉄洋の演技があまりにも自然で「演じている」とは思えない雰囲気で魅了もされた。
筆者もこのセリフで少し子どもに対する見方が変わった。
相変わらずルトワックのエリート講師、灰谷(加藤シゲアキ)の存在は笑ってしまうほど鬱陶しい。
どこまで黒木に執着するのだろうか。
ライバル心を飛び越えて、何か違う感情が芽生えているようにも受け取れる。
塾の子ども達の成長も気になるが、この灰谷と黒木の対峙もしっかり見届けたい。
第8話はまた島津順(羽村仁成)の父(金子貴俊)が大暴れしそう……。
この順の父に黒木はどう対処するのだろうか。
来週も非常に楽しみだ。
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
激しい物音と悲鳴の後、突然切れてしまったΩクラス島津順の母・優子(遠藤久美子)の電話。ただ事じゃない様子に、黒木(柳楽優弥)と佐倉(井上真央)は桜花を飛び出して島津家へ駆けつけると、家の前にはパトカーが数台停まっていた。家の中は家具や調度品が散乱していて、その中にただ一人座り込む父・弘(金子貴俊)の姿があった。
弘が言うには順(羽村仁成)と優子は家を出て行ったと…。その後、順を連れて桜花を訪れた優子。黒木はとにかく優子を落ち着かせようとするが、優子は弘との離婚を口にする。中学受験どころではなくなってしまう島津家。優子は順と一緒にしばらくの間実家で過ごすことを決め、その間順は塾を休むことに。
一方、桜花では生徒の保護者面談が行われ、各家庭の希望や事情に合わせて常に完璧なプランを提案する黒木。それに加えて校長の業務や無料塾・スターフィッシュの運営も抱えている黒木は、連日人知れず夜遅くまで仕事を続ける。そんなある日、校長室で倒れている黒木を発見する佐倉。抱き起そうとする佐倉だったが、黒木はその手を振り払う。そして黒木からある任務を託されるのだった。
黒木を放っておけない佐倉は思わず灰谷純(加藤シゲアキ)を頼って連絡をする。後日、桜花を訪れた順は、受験を辞める決意をしたという。しかし、順の本当の気持ちを見抜いている黒木は、優子と順にある提案をする…。
第8話のレビュー
桜花ゼミナールの塾生、島津順(羽村仁成)の家で家庭内暴力が予測されたため、黒木(柳楽優弥)と佐倉(井上真央)は塾を飛び出し、順の家に駆け付けた。
順の家の前には何台ものパトカーが……。
慌てて家の中に入ると、部屋は大荒れ。
そして、順の父(金子貴俊)の姿しかなかった。
「俺は誰よりもあいつの将来を考えている。なのにあいつは……」と順に対しての不満を黒木らにぶちまける父親。
金子の毒親っぷりと冷静沈着な柳楽、そこへオロオロした表情の井上。
演者たち、それぞれの怪演がみられたシーンであった。
父親からの半端ないプレッシャー、優しすぎる母親に挟まれながらも勉強を続ける順の姿が、本当にいじらしい。
順にはなんとしても、合格を勝ち取ってもらいたいと思う。
第6話で佐倉に対して、「塾講師は生徒の家庭への介入はできない」と発言していた黒木だったが今回、順の家庭問題に踏み込んでしまった。
「すべて私の未熟さ故の行動です」と佐倉に背中を向けながらも謝罪した黒木。
ストーリーが進むにつれて、謎に包まれた塾講師、黒木の人間味も見られるようになってきた。
そんな黒木が過労のために倒れた。
黒木を心配する佐倉はなぜか、ライバル校ルトワックの灰谷(加藤シゲアキ)にヘルプを。
(なぜ桜花ゼミナールの講師に連絡しないのか、少し違和感のあるシーン)
病院に付き添った灰谷は、黒木への複雑な胸中を佐倉にうち明けた。
灰谷にとって、黒木は憧れの存在そのものだった。
しかし、そんな黒木がルトワックを去ったことで疎外感を受け、執拗な行動を続けてしまったという。
ここまでの「謎の行動」の意味が理解できた瞬間だった。
黒木が入院中のため、佐倉は保護者面談に初めて1人で挑むことに。
緊張しながらもここまでの黒木に習って、懸命に保護者に向き合った佐倉。
納得のいく対応ができたため、少し自信をつけた表情に見えた。
第8話では生徒の成長よりも、その生徒に関わる大人たち(順の両親や黒木、佐倉や灰谷などの講師陣)の苦悩や心の変化がよく描写されていた。
このドラマは大人の成長期でもあった。
受験日まであとわずかー。
ドラマだとはわかっているが、懸命に勉強する生徒と彼らを取り巻く大人たちが笑って春を迎えるよう、願ってやまない。
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
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受験本番まであと三ヶ月。黒木(柳楽優弥)は配布した「絶対合格カレンダー」に家族と話し合って決めた志望校を記入し提出するよう生徒たちに指示する。Ωクラスの上杉海斗(伊藤駿太)は、意を決し、開成を受験したいことを母の麻沙子(馬渕英里何)に打ち明け、これまで優秀な双子の弟と比べられ続けてきた海斗の思いを初めて打ち明ける。
その後、講師たち一同が集まり、模擬テストの結果や提出された志望校名を基に、生徒たちの受験校検討会が行われた。一人一人の受験プランを熱心に検討する講師たちだったが、Rクラス・今川理衣沙(渡邉心結)は、本人の偏差値に見合わない学校名を書いて提出していた。
母親・紹子(春日井静奈)が知名度だけで選んだ難関校のようで佐倉(井上真央)は頭を抱える。紹子の根拠は、理衣沙に過去問をやらせた際に合格点が取れたから、というものだった。
紹子が持ち込んだ理衣沙の答案用紙を見た黒木は、試行錯誤の形跡が全く無く、カンニングしたものだと断定する。動揺する佐倉だが、黒木の命題は、「いかに保護者にこの不正を知らせず、理衣沙を受験に向き合わせるか」というものだった。果たして佐倉はどのように理衣沙を導くのか……?
大人相関図
生徒相関図受験本番まであと三ヶ月。黒木(柳楽優弥)は配布した「絶対合格カレンダー」に家族と話し合って決めた志望校を記入し提出するよう生徒たちに指示する。Ωクラスの上杉海斗(伊藤駿太)は、意を決し、開成を受験したいことを母の麻沙子(馬渕英里何)に打ち明け、これまで優秀な双子の弟と比べられ続けてきた海斗の思いを初めて打ち明ける。
その後、講師たち一同が集まり、模擬テストの結果や提出された志望校名を基に、生徒たちの受験校検討会が行われた。一人一人の受験プランを熱心に検討する講師たちだったが、Rクラス・今川理衣沙(渡邉心結)は、本人の偏差値に見合わない学校名を書いて提出していた。
母親・紹子(春日井静奈)が知名度だけで選んだ難関校のようで佐倉(井上真央)は頭を抱える。紹子の根拠は、理衣沙に過去問をやらせた際に合格点が取れたから、というものだった。
紹子が持ち込んだ理衣沙の答案用紙を見た黒木は、試行錯誤の形跡が全く無く、カンニングしたものだと断定する。動揺する佐倉だが、黒木の命題は、「いかに保護者にこの不正を知らせず、理衣沙を受験に向き合わせるか」というものだった。果たして佐倉はどのように理衣沙を導くのか……?
第9話のレビュー
ルトワックの人気講師、灰谷(加藤シゲアキ)が桜花ゼミナールにやってきた。
ここまで黒木(柳楽優弥)のことを執拗に追いまわしてきた灰谷。
「かつてのあなたに憧れていた私は、間違っていたということですか?なにがあなたを変えてしまったのですか?」
ここで正直に黒木に憧れていたことを白状した灰谷。
今や2番手の桜花ゼミナールと、繁華街での無料塾講師と小さくまとまっている黒木に対して、失望といら立ちを隠せない様子。
わざわざそんな嫌味を言いに相手の職場に乗り込んでくるとは……。
灰谷はどうしてそこまで黒木を執拗に追い回すのか。
対して黒木は
「私が変わったと言うならば、私が私の未熟さに気付いたことが、私を変えたのだと思います」
と、早口言葉のようなセリフを投げかけた。
要するに、自分の愚かさに気付いたからルトワックを去ったのだろう。
黒木と灰谷。
分かり合えそうで分かり合えない二人。
この関係性は、最終話まで持ち込みそうだ。
受験本番まであと3か月余り―。
基礎徹底と志望校別特訓がはじまった。
子ども達は受験日まで走り続け、塾講師も最後まで生徒たちに伴走する。
さまざまな家庭に向き合う新任講師、佐倉(井上真央)も正念場を迎えていた。
講師としての悩みを抱える佐倉は、黒木に相談をしたが突き放されてしまった。
伸び悩む生徒にひたすら向き合う佐倉。
桜花ゼミナールの講師になった時は終始おどおどしていたが、ここにきてかなり自信がつき、安定してきた様子だ。
「大人でも悩むことはある、そして努力をすれば変わる」と、いうことがわかるこのドラマ。
視聴している子どもたちにとっても刺激となるだろう。
後半では黒木と佐倉、お互いが過去の悩みを打ち明けた。
佐倉は教諭時代、生徒に寄り添ってきたと思っていたが「あんたのこと一生恨んでやる」と言われた過去を告白した。
黒木もまた、ルトワックで人気講師時代にある生徒とその家族をのちに崩壊させてしまった過去を話した。
教壇に立つことが怖くなったものの、それでも「学びとは何なのか?」を知りたくて現在も模索しているという。
意外にも教壇に立つことが苦しくなったという過去を持つ佐倉と黒木。
共通点があるからこそ、お互いの存在が気になってきたのかもしれない。
大晦日—。
一人塾に残る黒木は、先に帰宅する佐倉の背中に「よいお年を」と声をかけた。
その言葉に一瞬驚いた表情を見せた佐倉だったが、すぐさま「はい」と笑顔を見せた。
この最後のシーンにはほっこり。
いよいよ次週、最終回を迎える。
はたして桜花ゼミナールの生徒は全員、合格となるか?
生徒の結果も気になるが、黒木と佐倉の関係性も気になるところだ……。
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{第10話ストーリー&レビュー}–
第10話ストーリー&レビュー
第10話のストーリー
→「二月の勝者-絶対合格の教室-」画像ギャラリーへ
新年を迎えた桜花ゼミナール。二月の受験本番までいよいよ残り一カ月となり、本命校の受験前に予行演習として「一月受験」をする生徒たち。受験会場前では佐倉(井上真央)や桂(瀧内公美)に見送られ、緊張しながらも次々と会場に入って行く子供たち。
黒木(柳楽優弥)は、島津(羽村仁成)が急遽受験することになった学校へ応援に駆けつける。可能性は五分五分のチャレンジ校ではあったが、黒木はそこで目にした島津の精悍な姿に合格を確信する……。
受験本番の前日、1月31日。各教室では緊張や不安を抱えた生徒たちに、橘(池田鉄洋)、桂、佐倉が、それぞれの言葉で励まし、エールを送った。黒木もまた、この一年の桜花ゼミナールの校長としての責務に、特別な思いを抱くのだった。
そして、決戦の日、生徒たちはそれぞれの想いを胸に受験会場へ向かって行った。果たして、生徒たちは全員合格して「二月の勝者」となれるのか−−。
第10話のレビュー
中学の進学塾を舞台にスーパー塾講師、黒木蔵人(柳楽優弥)が白熱するお受験戦争をバッサリ斬ってていく「二月の勝者ー絶対合格の教室ー」。
「合格に必要なのは 父親の『経済力』と母親の『狂気』」というセンセーショナルな言葉でスタートした1話から早くも最終回を迎えた。
今クールも毎日のようにドラマを楽しんできた筆者だが、実はこのドラマの最終回が一番泣けた。
懸命に演じる子役の姿を観ていると、つい感情移入してしまい最終話まで本気になって応援した。
毎週、ドキュメンタリーを観ているような感覚だったのかもしれない。
子役の中でも島津順役のジャニーズJr.の羽村仁成と、前田花恋役の田中絆菜の演技は秀でており、今後の活躍が期待できそう。
最終回に順の父親役、金子貴俊が出演していなかったのは非常に残念だった。
優しい雰囲気を持つ金子に、なぜ今回番組サイドはスパルタパパ役のオファーをかけたのだろうか。
その辺をいつか聞いてみたい。
しかし、金子にとっては今回の作品で新しい扉を開けることができたのではないだろうか。
黒木役を演じた柳楽優弥にも心から「お疲れ様」といいたい。
長いセリフや、ほぼ無表情の黒木を演じるのは大変だったと筆者でも想像できる。
第10話、後半のあるシーンではライバル塾、ルトワックの灰谷(加藤シゲアキ)とも距離を縮め、男同士の友情も芽生えたようだった。
桜花ゼミナールの新任講師、佐倉麻衣(井上真央)も子どもたちと共に成長し、今ではすっかり自信を取り戻しているようだった。
佐倉を演じた井上の自然体の演技も毎回、惹きつけられた。
筆者が昔、夢中になって観ていた「花より男子」の牧野つくしから、何ら変わらないスタイルと美貌には驚きだ。
親子で楽しめた「二月の勝者―絶対合格の教室―」は、たいへん満足のいくかたちで完走した。
出演した役者さんたちの今後の活躍に注目していきたい。
(文:シネマズ編集部)
※この記事は「二月の勝者-絶対合格の教室-」の各話を1つにまとめたものです。
–{「二月の勝者-絶対合格の教室-」作品情報}–
「二月の勝者-絶対合格の教室-」作品情報
キャスト
黒木蔵人
柳楽優弥
佐倉麻衣
井上真央
灰谷純
加藤シゲアキ
橘勇作
池田鉄洋
桂歌子
瀧内公美
木村大志
今井隆文
大森新平
加治将樹
大森紗良
住田萌乃
白柳徳道
岸部一徳
スタッフ
原作
高瀬志帆
(「二月の勝者-絶対合格の教室-」)
(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
脚本
成瀬活雄
音楽
小西康陽
演出
鈴木勇馬ほか
プロデューサー
次屋 尚
大塚英治(ケイファクトリー)
企画プロデューサー
高 明希
チーフプロデューサー
三上絵里子
制作協力
ケイファクトリー
製作著作
日本テレビ