ドラマ「最愛」で重要な役・大輝を演じている松下洸平。吉高由里子演じる主人公・梨央とかつて思いを寄せ合った相手であり、現在は梨央が関わっているかもしれない事件を捜査する刑事という、複雑な立場にある役どころを演じ、注目を集めている。
「人の役に立ちたい」と刑事になり、仕事に真摯に取り組みつつも梨央を気遣う大輝は、まっすぐで一途な人。松下洸平にはこの一途さが似合うなと改めて感じた。
本記事では「最愛」をはじめ、彼の演じた一途な愛を貫いた男たちの魅力・そんな彼らを演じた彼の魅力についてお伝えしたい。
二人きりになったときの言葉や表情がたまらない「最愛」
人の役に立ちたくて刑事になった。真実を明らかにしたい。
好きだった人が、殺人犯かもしれない。でも彼女がそんなことするはずがない。そんな葛藤の中で真実を追い求める大輝を演じている。
真面目に仕事をする彼のこと、昔のことは関係なく愚直に操作を進めるのかと思ったが、梨央が本当のことを言ったり助けを求めたりできない状況なのではと気遣う。二人になったとき「友達として話をしたい」と訴えかける。
彼はきっと相手が親しい人だから庇おうとしているのではなく、そんなことをする人ではないと信じているからそうしたのだろう。結局は「私情を挟む」ことに代わりはないのかもしれないが、そんな風に思ってくれる大輝がいることに、梨央だけでなく視聴者であるこちらも救われながら観ている。
何より、二人きりのときの彼の表情・会話がたまらない。社長のふるまいから昔に戻ったように幼い話し方になる梨央もかわいいし、方言交じりでちょっとぶっきらぼうな話し方になるけど優しい大輝にきゅんとしてしまう。二人の空気感の懐かしさと切なさに泣きそうになる。
第四話の二人のシーンはたまらなかった。
「大ちゃん」「私やっとらんよ。渡辺昭さん、殺しとらん」と打ち明けた梨央に、「信じるよ。お前やないってこと、俺が証明する」「だからそっちも、(梨央が開発中の)薬、あきらめんな」と背を向けたまま返す。胸に飛び込んできた彼女を抱きしめ返せないけれど、表情や背中にまわそうか迷ってまわせない手が、大輝の心境を物語っていた。信号が赤の束の間だけその状態で、青になったら何事もなかったかのように歩き出す二人。
過去だけではなく、現在でも新たに、大輝が梨央の心のよりどころになったことを表すシーンだった。
同じく梨央を深く愛する加瀬(井浦新)との静かなバチバチもいい。
大輝のまっすぐな優しさが、吉と出るのか凶と出るのか今はわからない。いや、現状は凶に傾き気味かもしれない。でもただ、二人が以前のように無邪気に笑い合える時がきてほしい。無理かもしれないが、そう願ってしまう。
–{最愛の女に殺された男。愛の正体が明かされていく「向こうの果て」}–
最愛の女に殺された男。愛の正体が明かされていく「向こうの果て」
「WOWOWオリジナルドラマ 向こうの果て」OFFICIAL BOOK (TVガイドMOOK 71号) ムックより
地上波放送ではないものの、松下洸平が気になる方にはぜひ観ていただきたいのがWOWOWオリジナルドラマ「向こうの果て」だ。
ある男が殺された。殺されたのは小説家の君塚公平(松下洸平)、殺したのは幼なじみの池松律子(松本まりか)、放火殺人だったという。二人の過去に何があったのか。事件の担当検事は律子と関わった男たちに話を聞いていくが、全員が言う律子の印象は、すべてバラバラだった。
松下演じる君塚公平は、物語が始まった時点で殺されているものの、重要な役どころとして劇中にたびたび登場する。奇しくもこのお話でも、松下は主人公が幼い頃に心のよりどころとなっていた存在だった。それがどうして、殺されることになってしまったのか。そもそも犯人は本当に律子なのか。
昭和を舞台にした物語のため、君塚のいでたちも当時の髪型・ファッションだし、部屋のインテリアもそうだ。でもそれが妙に似合っていて、そういった意味でも楽しめそる作品だと思う。夜の店で働く律子を迎えに行き、罵声を浴びせられ殴る蹴るの暴行を受ける君塚は、無言でされるがままだ。どう見ても律子がひどいように見えるが、なぜ二人は一緒にいたのだろう。
ネタバレになってしまうので多くは言えないが、予想のできないラストだった。君塚の愛の形に、驚く人もいるかもしれないし、涙する人もいるかもしれない。行為自体は正しいのかわからないが、君塚の持っていた願いには、心打たれるはずだ。君塚が律子のことを心から愛していたのだということが、確かに伝わった。
ちなみにこちらは東京を舞台にしているものの二人の地元は青森なので、津軽弁を話す彼も堪能できる。
不遇なのにいい人すぎて泣いた「知ってるワイフ」
ドラマ「知ってるワイフ」の津山主任役も記憶に新しい。主人公・元春(大倉忠義)が「結婚生活、こんなはずじゃなかった!あの頃に戻って人生をやり直したい!」と不思議な力で過去を変えてしまう話。松下演じる津山は、もともと既婚・双子の父だったのに、元春によって変えられた現在では独身になった。さらに同じ部署で働く、もともとは元春の妻だったが変えられた現在では独身の澪(みお)を好きになり、まっすぐにアプローチする。
ここからがひどい。元春(別の相手と既婚)が気になる澪は、彼への思いを断ち切るために津山の告白を受け入れ、付き合う。だが、結局澪が気になる元春はそんな権利もないのに二人の仲を邪魔しようとするし、元春が妻と別れたと知った澪にふられてしまう。いや、だったら最初から付き合うなよ……。
それなのに「これで気まずくなるなんて嫌だよ」と優しく澪に伝え、友達の元春(妻と別れて行き場をなくし、居候している)の前では泣くという、健気すぎる人なのだ。どう見ても津山のほうが誠実でいい人なのだが……。ちなみに部屋もおしゃれで素敵である。あといつもセットしてるのに家にいるときサラサラにおろしていたのもよかった。男性は何かと髪をセットしがちだが、おろしてる状態のほうが断然いいと思うのは私だけだろうか。
優しすぎる津山も、さすがに澪と元春がキスしているのを見たときは怒るのだが、その後元春が仕事で窮地に立たされたときは裏で動いてくれたのだ。いい人オブいい人で泣ける。この人には絶対に幸せになってほしいと、心から思った。
もっと一途な松下洸平が観たい。でもこのイメージを裏切る彼もまた観たい
さまざまな作品で、まっすぐな愛を貫く姿が印象的な松下洸平。俳優さんの魅力について触れる際さまざまな役柄を演じることを挙げる場合も多いが、彼の場合はあまりにこのまっすぐな役が似合っているので、このテーマで語らせていただいた。ただ共通点はあるものの、それぞれが別の良さを持っているからこそ彼の演技に惹きつけられるのだと思う。
一途に誰かや何かを愛し、信じる彼がもっと観たい。だが一方で、そんなイメージをはるか遠くに押しやるような、例えば女を平気で騙したり、ザ・悪! みたいな役柄を演じたりする松下洸平も観てみたい気持ちもある(悪役といえば、MIU404第2話では悪役といえば悪役だったのだが、気の毒に感じる部分もあり、すごく悪い感じではなかった)。
いずれにしても、新しい松下洸平を観るたび、もっと好きになってしまう気がする。
(文:ぐみ)
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