2021年10月29日より公開されているアニメ映画『アイの歌声を聴かせて』が、ものすごいことになっている。
SNSでの絶賛の声が相次ぎ、ファンアートもたくさん投稿され、「この映画をもっと多くの人に観てもらわなければならない!」と爆発的な熱狂を生んでいるのだ。
『アイの歌声を聴かせて』で、ツイッターを検索すると
「もっと早く観ておけば良かった」
とか
「こんなに良い作品だと思わなかった」
とか
「観ておかないと後悔する」
とかばっかり。
本当に、今すぐ観にいくことをお勧めします。 #アイの歌声を聴かせて #アイうた pic.twitter.com/8OP3oxmiJd— えむえむ (@minamune) November 9, 2021
『#アイの歌声を聴かせて』。知り合いから「超傑作だよ!」という連絡をもらい「どんなもんかな?」と疑ってスイマセンでした。新たな今年のベスト級、というか断トツの作品かも。単純な”AIの反乱”的内容になりかねない話が、予想外の青春SFコメディへと昇華する展開は圧巻。マジで傑作!涙出たわ! pic.twitter.com/NpFjo47elM
— M.Fischer (@M_O_Fischer) November 10, 2021
#アイの歌声を聴かせて
アイの歌声を聴いてくれ!!!! pic.twitter.com/dTzHgj9zP9— にいな涼/新和涼?? (@ninaryo) November 10, 2021
アイの歌声を聴かせて最高でした!#アイの歌声を聴かせて pic.twitter.com/8ycO9LNXI2
— ソノヘンノ高橋 (@sonohenno56) November 8, 2021
Twitterだけでなく、TikTokの絶賛レビュー動画も大きな反響を呼んでいる。反応を受けて吉浦康裕監督もお礼のコメントとイラストを投稿した。レビューサイトでももちろん高評価であり、現在Yahoo!映画で4.26点、映画.comで4.1点、Filmarksでは3.9点、coco映画レビューでは92%の支持率を得た。もはや2021年のベストどころじゃない、「アニメ映画史上に残る名作」「日本のミュージカル映画の最高傑作」と言える評価を得ているのだ。
他にもTwiiterでは「#細かすぎて伝わらないアイの歌声を聴かせてのここが好き選手権 」というハッシュタグが作られ、ファンがこぞって劇中の好きなシーンをたくさんあげている。細かいところまで作り込まれているからこそ語りたくなるし、何度観ても新しい発見がある作品でもあるのだ。
だからこそ、筆者も「今すぐにでも映画館で観てくれ」と何度でも言いたい。子どもから大人まで楽しめる、デートでも家族とで観るチョイスとしても最適な、ここまで万人が感動できる映画はなかなかない(筆者が4歳と5歳の甥っ子を連れて2回目を観たら「もっかい観たい」「ちょー楽しかった!」と大好評だった)。音響が優れた、集中して観られる、同じ空間で観た人と気持ちを共有できる映画館で観てこそ、一生ものの感動があるはずだ。
その他の魅力は、以下の記事でも解説したので参考にしてみてほしい。「ミュージカルが苦手」という方にもおすすめできる理由があることも、わかっていただけると信じている。
『アイの歌声を聴かせて』が大傑作である5つの理由|過去最高の土屋太鳳が爆誕!
今すぐに劇場情報と上映時間を確認してほしい理由
『アイの歌声を聴かせて』にここまで多くのSNSで評判が広がったのは、もちろん作品そのもののクオリティの高さと、号泣ものの感動があったことが大きな理由だ。しかし、それだけではない。
実は、本作の興行成績は、その評価の高さと反比例するように、かなりの苦戦を強いられていた。そもそも、観ている人の数自体が少ないのだ。だからこそ、作品に惚れ込んだ人たちが「これほどの名作がこのまま埋もれてしまうのはあまりにもったいない」「なんとか多くの人に観てほしい」と願ったことも、SNSで多くの発信につながったことは間違いない。Togetterでどうすれば「アイの歌声を聴かせて」を大ヒットさせることが出来るのか会議という題のまとめ記事が作られていることもから、ファンがいかに危機感を持っているかがわかるだろう。
これから観てみたいと思った方に、ぜひ気をつけていただきたいことがある。それは、上映開始からわずか2週間で上映回数が激減してしまい、多くの映画館でもう1日1回のみの上映になっていることだ。そのため、今すぐに劇場情報から最寄りの映画館を探して上映時間を確認し、観に行ける時間があれば予約の上で映画館に駆けつけてほしい。
もちろん、もう1日1回上映になっているということは、ここまでの口コミが広がって「観てみたいな」と思ったとしても、うかうかしていたらすぐに上映が終了してしまうかもしれないということ、映画館という最高の環境で観る機会がほぼ永久に失われてしまうということでもある。だからこそ、今週末に是が非でも観てほしいのだ。
この公開後すぐは興行的には苦戦したものの、SNSでの絶賛の嵐やファンアートが盛り上がっていったのは2018年の『若おかみは小学生!』を思い出す。こちらよりは口コミが広がるのがやや遅くなっているとも言えるので、ここから早急に観客が入らなければならない。何度でも言おう。「今すぐ」に上映時間を確認して、「今週末」に観てほしい。
–{口コミを受けて映画館と公式も動き出した}–
口コミを受けて映画館と公式も動き出した
ほとんどの映画館で上映回数が激減している中、SNSのムーブメントは一部の映画館も突き動かした。神奈川の川崎チネチッタでは岩浪音響監督が監修を務めた特別音響版が復活、イオンシネマ海老名は大スクリーンの「THX」上映を11月18日まで延長 、奈良のイオンシネマ西大和は11月18日まで最大スクリーンに復活など、間違いなく口コミでの評判を反映して特別な措置をしているのだ。
他にも一部のイオンシネマやMOVIXでは、上映回数はわずかでも大きなスクリーンを用意しているところもある。新宿ピカデリーでは、2021年11月12日現在でも1日4回の上映がされている。ぜひ、これらの劇場の近くでお住まいの方は、優先的に観に行ってほしい。
そして、公式の宣伝でも、口コミでの評判、アニメ映画賞の受賞、著名人の絶賛コメントを載せたPVが公開された。このPVが、これだけで涙するほどに素晴らしい!
このPVでは劇中の大見せ場と言えるシーンもあるが、それでもいちばんの核心となるサプライズはネタバレしていない。何より土屋太鳳の歌唱力と楽曲の素晴らしさがはっきりとわかり、また本作がいかに感動で溢れた内容であるもわかるはずだ。
本作を絶賛している方でも苦言を呈していることに、プロモーションが十分ではなかった、もっと観たくなる面白そうな予告や触れ込みを打ち出してほしかった、ということがある。公開前の予告編では本編のいろいろな展開が極力隠されており、(初めに出された特報では転校生がAIであることすら隠されている!)それはそれで最大限に映画を楽しめるよう配慮されていたとも思うのだが、やはり多くの人に訴求できなかったことには、本作のファンとしてやはり悔しい気持ちにはなる。だからこそ、今からでも、このPVを観て感動した方は、大スクリーンでさらなる感動を味わってほしい。
また、このPVを観てわかる通り、本作は楽曲そのものが、世界中で大ヒットするディズニーアニメ映画となんら遜色のないクオリティだ(しかもディズニーアニメ映画に多大なリスペクトを捧げている!)。土屋太鳳だけでなく、劇場公開日と同日に公開された咲妃みゆ歌唱のPVも感涙ものなで、ぜひご覧になってほしい。
–{リピート鑑賞もぜひ!音声ガイドアプリでの鑑賞も検討を!}–
リピート鑑賞もぜひ!音声ガイドアプリでの鑑賞も検討を!
筆者はこの『アイの歌声を聴かせて』をヒットさせる、できるだけ長く上映してもらうにはどうすればいいのか?の案を募るため、先日Twitterのスペース機能で会議をした。(実際はただただ作品の素晴らしさを楽しく語り合う場になったが)SNSのさらなる発信や会った人に薦めるという基本の手段はもちろん、「自分たちファンがリピート鑑賞をしよう」という結論に至った。
ここで断言しておくが、本作は2回目以降の方がさらに感動できる内容だ。何しろ「2回目を観ると初めから泣けてしょうがない」物語の構造があるし、前述したTwitterのハッシュタグが作られていることからもわかる通り細やかな作り込みがされているし、1回目では気づけなかった伏線もたくさんある。キャラクターのちょっとした言動がとても示唆に富むものになっているので、それらを考察することでさらに楽しめるはずだ。
事実、筆者は4回鑑賞したが、4回目がいちばん泣いた。4回観て、4回目でやっと気づいたことがあって涙を流した映画は、本作と『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』しかない。
前述した川崎チネチッタでの特殊音響の上映で観たためでもあるだろうが、それ以上に全ての事象が見事に呼応する脚本、全ての人(特に若者)を鼓舞する作品の精神性、繰り返し観てやっと気づくことができた言葉や歌詞の意味、何より物語と不可分な素晴らしい楽曲と共に大好きなキャラクターの気持ちに寄り添えたことで、もう号泣してしまった。今年ベストどころじゃない、本当にオールタイムベスト級の一本になった。本作を「ミュージカルアニメ映画史上最高の名作」であると、改めて断言しよう。
また、本作はスマホのフリーアプリ「HELLO!MOVIE」(iOS版アプリページ Android版アプリページ)をダウンロードすることで楽しめる、バリアフリー上映の音声ガイドサービスも実施されている。実際に筆者もヘッドホンを持ち込み体験してみたが、ベテラン声優の置鮎龍太郎が声を担当しているので耳が幸せな上に、映画をさらに深く読み解ける、また気づかなかったディテールも話されているので、さらに楽しめるようになっていたのだ。
また、乙野四方字(おとの よもじ)によるノベライズ版も素晴らしいクオリティなのでおすすめだ。映画にはないプロローグがあったり、キャラの心理がさらに繊細に綴られていたり、AIに対しての考えもより詳しく知ることができる。特に、トウマの質問に対してシオンが「その質問、命令ですか?」と返した時、「なるほどトウマとシオンはそれぞれ、そう考えていたんだ」とハッと気付かされた。予告編でも示されている「秘密はね、最後に明かされるんだよ」という言葉の本質的な意味も、さらにわかることだろう。
2回目以降の鑑賞で気付ける、感動できるところは人それぞれで異なるだろう。筆者もまだまだ気づいていないところがあるはずだ。何度でも観たいし、何度でもまた愛すべきキャラクターに会いたい。ここまでの作品はめったにない。だからこそ、まだ観ていない人にも、届けたい。
口コミのために観客がたくさん入れば、これからも上映が続けられるだけじゃない、拡大公開や上映回数が増える可能性もある。この『アイの歌声を聴かせて』の輪をまだまだ広げたいのだ。お願いだ。観てくれ!そして、一度観たという方も、ぜひリピート鑑賞を。あなたの、生涯の一本になることを願っている。
(文・ヒナタカ)
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