「私、失敗しないので」でおなじみ、米倉涼子主演の木曜ドラマ「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」シーズン7が、2021年10月14日(木)より放送を開始。
類まれなる技術を持った、フリーランスの天才外科医・大門未知子(米倉涼子)が、無理難題と思える手術を華麗にこなす様が魅力の本作。前シリーズに引き続き、東帝大学病院の外科部長・海老名敬(遠藤憲一)や、外科副部長の加地秀樹(勝村政信)なども登場する。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
ニュージーランドにやって来たフリーランスの天才外科医・大門未知子(米倉涼子)は、執刀医を務める同国副首相のオペが始まる数時間前、AEDも設置されていないのどかな牧場へ。慌てて迎えに来た副首相オペの第一助手・一木蛍(岡田将生)の前で、不意に感電して瀕死の状態に陥った羊飼いの命を救う。
その後、未知子は副首相のオペも成功させ、日本へ帰国。参議院議員・一橋由華(冨永愛)が主催する「次世代のSDGsパーティー」に招かれる。実は由華、主治医の勧めで、胆石症のオペを未知子に頼もうとしていたのだ。その主治医とは…ほかでもない一木だった!
由華は医師とは思えないほど派手な未知子を見て不安を抱くが、ニュージーランドで未知子の見事なオペを目撃していた一木は、その腕前を完全保証。一方、由華のCT画像を見た未知子は、ある一点に目が止まり…!?
その矢先、パーティー会場内で由華が急性胆のう炎を発症して倒れた!
未知子は一木と共に、由華に付き添い、搬送先の「東帝大学病院」へ。一刻を争うと判断し、緊急オペを断行しようとする未知子。そこへ、100年に1度のパンデミックによって院内で発言力を増し、院長代理として内科主導の組織改革を推し進める内科部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)が出現!
未知子が何者か知らない蜂須賀は、その腕前に懐疑心を抱きながらも、由華の意向を汲んでオペを許可するのだが…。
やがて、とんでもない事実が判明する。なんと由華が主催したパーティーでクラスターが発生してしまったのだ――!
第1話レビュー
ニュージーランドにやって来たフリーランスの天才外科医・大門未知子(米倉涼子)は、執刀医を務める同国副首相のオペが始まる数時間前、AEDも設置されていないのどかな牧場へ。慌てて迎えに来た副首相オペの第一助手・一木蛍(岡田将生)の前で、不意に感電して瀕死の状態に陥った羊飼いの命を救う。
その後、未知子は副首相のオペも成功させ、日本へ帰国。参議院議員・一橋由華(冨永愛)が主催する「次世代のSDGsパーティー」に招かれる。実は由華、主治医の勧めで、胆石症のオペを未知子に頼もうとしていたのだ。その主治医とは…ほかでもない一木だった!
由華は医師とは思えないほど派手な未知子を見て不安を抱くが、ニュージーランドで未知子の見事なオペを目撃していた一木は、その腕前を完全保証。一方、由華のCT画像を見た未知子は、ある一点に目が止まり…!?
その矢先、パーティー会場内で由華が急性胆のう炎を発症して倒れた!
未知子は一木と共に、由華に付き添い、搬送先の「東帝大学病院」へ。一刻を争うと判断し、緊急オペを断行しようとする未知子。そこへ、100年に1度のパンデミックによって院内で発言力を増し、院長代理として内科主導の組織改革を推し進める内科部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)が出現!
未知子が何者か知らない蜂須賀は、その腕前に懐疑心を抱きながらも、由華の意向を汲んでオペを許可するのだが…。
やがて、とんでもない事実が判明する。なんと由華が主催したパーティーでクラスターが発生してしまったのだ――!
日本へ帰国し、参議院議員・一橋由華(冨永愛)が主催する次世代のSDGsパーティーに参加する未知子。いや、米倉涼子と冨永愛のツーショット強すぎる……。強気なやり取りもたまらない。どうやら由華の主治医が一木で、胆石の手術をしてほしいという。この依頼のために呼ばれたのだった。ミニスカドレスで肉を食べまくっていた未知子だが、倒れた由華の緊急オペを行い、ここでも命を救う。
搬送先はおなじみ「東帝大学病院」。第6シリーズで解雇されたり左遷されたりしていた蛭間(西田敏行)・海老名(遠藤憲一)・加地(勝村政信)はそれぞれ機会を狙い、東帝大学病院に戻っていた。
だが以前と違うのは、内科部長 兼 院長代理、蜂須賀(野村萬斎)の登場。彼の下にいる医師たちは「御意」と謎の(イタい)ポーズで忠誠を誓う。ちょっとギョッとするこのポーズ、野村萬斎によると、古典狂言の唐人相撲をモチーフにしているらしい。
医者は人の役に立てているだろうかと悩む一木は、未知子と話したことで思い直し、辞表を出す。が、未知子に止められる。一木はなんと、ラッサ熱と呼ばれる、治療薬やワクチンが存在しない感染症にかかっていた。
強力な感染症と知っているため、たった一人でオペを行う未知子。城之内(内田有紀)・海老名・加地・ナースの大間(今田美桜)が手伝わせてくれと志願するが、未知子はこれを拒否。ラッサ熱と聞いた途端に海老名と加地はひるんで逃げた。だが、少し前には暴言を吐いていた海老名と加地が、ここぞというときには未知子の力になろうとするシーン、ちょっと熱くてよかった。
ラッサ熱と知り蜂須賀と取り巻きはオペをやめるよう言いに来るが、「うるさい!」と取り合わずオペを続ける未知子。血の一滴だけでものすごい感染力だというが、顔に血しぶきをあびながらもひるまず患部をにらみ、手術を続ける未知子。なんだかエヴァの戦闘シーンを観ているようだった。
未知子が思い出したのは、少し前にいたNYの惨状。コロナで患者が次々と運び込まれ、患者だけでなく仲間もどんどん死んでいった。あんなに人が死んだのは初めての経験だったという。
そんな中の「私、失敗しないので」は過去一番かと思うくらい重かった。
普段のサラッと言うこのセリフもかっこいいが、今回のはずっしりきた。
最後は血しぶきがついたゴーグルを外してのぞみ、手術を無事成功させた未知子。自主隔離に入る。今回もがっぽり稼いだ晶(岸部一徳)は隔離された未知子の部屋に寄るが、はじめ元気そうだった未知子は突然頭痛を訴え倒れてしまう。
ここから冒頭のシーンにつながり、陽性が判明してしまった未知子。初回からいきなり生命の危機か……? どうなる次回。まだまだ未知子の活躍を観たいので、頼む……!
※この記事は「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
院長代理として内科主導の組織改革を推し進める内科部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)の独断で、「東帝大学病院」に雇われることになったフリーランスの天才外科医・大門未知子(米倉涼子)は、ワクチンも特効薬もない感染症にかかった患者を命がけで救った末、自らも感染。なんとか一命を取り留め、一刻も早く外科医として完全復帰すべく、ハードなリハビリで自分を追い込んでいた。しかし努力もむなしく、一向に手術を担当させてもらえず…。
そんな中、蜂須賀が怪しい動きを見せる。何を思ったか、アメリカ仕込みのスーパー脳外科医・興梠広(要潤)を「東帝大学病院」に招聘したのだ!
一方、今や分院に追いやられ肩身の狭い思いをしている外科分院長・蛭間重勝(西田敏行)は、気晴らしのために、外科医・加地秀樹(勝村政信)と海老名敬(遠藤憲一)を連れて銀座のクラブへ。ところが楽しい時間もつかの間、蛭間は昔馴染みのママ・二木麻也子(夏川結衣)が不意によろけるのを目撃! 長年懇意にしてきた彼女のため、すぐさま「東帝大学病院」の特別室を空けさせ、検査入院の手配を整える。
まもなく入院した麻也子のもとへ、なんとあの蜂須賀がやって来る。実は蜂須賀、まだ外科にいた15年前から麻也子とは顔見知りだったのだ! ほかでもない麻也子のため、蜂須賀は腕の立つ興梠を担当医に任命。興梠の検査結果分析を聞いた未知子は、もっと詳しく検査すべきと主張するが、蜂須賀は耳を貸そうとせず…!?
第2話のレビュー
前回のラストはヒヤヒヤしたが、あっさりラッサ熱から生還した未知子(米倉涼子)。いや、よかったけど!
今回は(今回も?)外科vs内科の戦いが勃発。
どうみてもオペが必要な患者に対し、手術しない方向で進めようとする蜂須賀(野村萬斎)率いる内科。先日、未知子が行ったオペを見て、感染症が流行っているときに手術する危険さを痛感したからだという。
これにはさすがに猛抗議する外科の医師たち。手術しなかったら患者は死んじまうぞと言う。例の気持ち悪い御意ポーズと「蜂須賀は院長に全権を委ねられている」という主張で対抗する内科の医師たち。
内科の気持ち悪い御意ポーズ、手から何か必殺技でも繰り出せそうだ。軍隊みたいで狂気を感じる。「飛沫が飛ぶから静かにして!」と怒鳴る三国(杉田かおる)の矛盾っぷりもやばい。また蜂須賀がいちいち「分院」を強調して話すのがウザくていい。
手術をしないことを「いたしません」と言う蜂須賀に「いたしませんは大門未知子くんの専売特許なんだよ!」と怒鳴る蛭間。専売特許とは。あれだけ対立していた未知子のこと、ちょいちょい持ち上げててかわいい。
まったく関係ないが、蜂須賀と聞くと某刀のオンラインゲームを思い出してしまうのは私だけだろうか?
手術を要する患者の中には、蛭間が長年通っているクラブのママ・二木麻也子(夏川結衣)もいた。アメリカ仕込みのスーパー脳外科医・興梠広(要潤)に執刀させるという。写真を見て興梠が見逃した病気に気づき、もっと詳しく検査すべきだと抗議する未知子だが、興梠は耳を貸さない。
手術させてもらえず悶々とする未知子。このなかなか着こなせなさそうな柄シャツが似合っててステキ。晶(岸部一徳)に、NYで活躍してたなら興梠と会っているのでは? と言われるが、未知子は全く覚えていない。
麻也子を蜂須賀なぞに任せたくない蛭間だったが、彼女は蜂須賀とも付き合いがあったのだ。
蛭間はまったく覚えていないが、たちの悪い感染症が流行っていた15年前、まだ外科にいた蜂須賀を連れてクラブにやってきた蛭間。感染症が流行っているのにこんなところで飲んで「手術前に感染したらどうするんですか」と言う蜂須賀を、「感染症バカ」と笑ったのだった。
全く覚えていないという蛭間、最低。蜂須賀が蛭間に対して必要以上に感じが悪いのもうなずける。去り際に「出世バカ」とつぶやいて去っていく蜂須賀。
主述の日。オンラインで見守る蛭間のもとには、心配した海老名(遠藤憲一)が。「何かあったら私が手術室にかけつけてメスを握る!」といきまく蛭間に「院長戦の根回しばっかやってて十数年メス握ってないじゃないですか、殺しちゃいますよ」と冷静にツッコむ海老名と、「え、私そんなにメス握ってないの? それは殺しちゃうね」と納得するかけあいが面白い。だめだこりゃ。
手術をすごいスピードで進め、慎重にやれと言われるも「アメリカでは1日に10件オペをする」「今日のランチはイタリアンがいいな」などといけすかないことを言いながら続ける興梠。
だが麻也子の血圧は下がり、危険な状態に。興梠はもうひとつ病気があるのを見逃していたのだ。
リスクがあるから手術を続けられないという彼を差し置き、未知子が執刀することに。「また逃げるの?」という未知子の言葉には、どんな経緯があるんだろう?
「失敗したら100%君の責任だ!」と言う蜂須賀に「私、失敗しないので」という未知子。くぅ、かっこい~!
「よく言った大門未知子!」「がんばれ大門」ノリノリで声をかける蛭間と海老名、もはやファンかなにかのようだ。
無事手術を終えた未知子に、なお上から目線に褒めてくる興梠。
NYでコロナの対応に追われていたころ、2人は同じ場所にいた。このままじゃ自分も命の危機にさらされると思った興梠は「急患が待ってる、私しか救えない患者だ」と言って処置から逃げ、現場からも逃げた。「何人も仲間が死んだだろう」「何十人!」と訂正する未知子。
逃げたわけじゃない、起こりうるリスクを想定し回避しないのはただのバカです、という興梠に言い返す。
「バカ上等。卑怯者よりマシだわ」
「患者はね、逃げたくても逃げられないの。一人の外科医に命あずけてんだよ」
「二度と逃げんな、バーカ」
未知子ーーー! かっこいいーーー! 興梠だっさ!
スッとした…!!
名言がまたひとつ生まれてしまった。
未知子がただ切りたいだけじゃなく、患者の状況や思いに寄り添って手術しているのがあらためてわかる、素晴らしいシーンだった。
未知子のもとにやってくる蜂須賀。
「大門未知子先生、率直に感動しました」
「あんなに美しい手術は見たことありません、もっとあなたの手術を見たくなりました」
「オペは見るんじゃなくて、するもんでしょ」という未知子らしい返しがいい。
「思う存分、手術の腕を振るってほしいのです」との言葉に「まじで?いたします」とノリノリの未知子だが、何をたくらんでいるんだ? と勘ぐってしまう。
次回の未知子の活躍も楽しみだ!
※この記事は「作品名」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
「東帝大学病院」の広報室長・三国蝶子(杉田かおる)と厚生労働事務次官・神部八尋(宮川一朗太)がそろって高級レストランから出てきたところを、写真週刊誌が激写。“科研費をめぐる接待疑惑”として報じた!
実はこの会食、内科主導の新治療体制を確立しようとする内科部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)が、科研費の増額を便宜してもらうためにセッティングしたもの。現時点でその事実は漏れていないとはいえ、黒い噂が世間に流れただけでも、厚労省と「東帝大学病院」にとっては大きな痛手だ。蜂須賀はすぐさま蝶子を呼びつけ、事が大きくなる前に迅速かつ美しく収拾するよう命じる。
その矢先、院内で記者に囲まれた蝶子が突然倒れた!
偶然通りかかった大門未知子(米倉涼子)は蝶子を処置室に運ぼうとするが、内科副部長・鍬形忠(小籔千豊)は「治療は内科であたる」と宣言。未知子はなぜかおとなしく蝶子を引き渡すが、その瞬間に蝶子の表情が変わるのを目撃し…!?
まもなく検査の結果、蝶子は“ストレス心筋症”とも呼ばれる「たこつぼ心筋症」を患っていることが判明する。蜂須賀からの絶え間ないプレッシャーが原因だと考えた鍬形は、蝶子にもしばらく休めば大丈夫だと示唆するが、未知子はキッパリとした口調で「ナメない方がいいよ。死ぬかもしれない」と忠告。
しかし、蝶子は蜂須賀から与えられたミッションを遂行するため、すぐに仕事復帰しようとし…!
そんな蝶子に、新たなストレスが舞い込んでくる…!? なんと神部の妻・久美子(川上麻衣子)が、夫と蝶子が不倫しているのではないと疑い、病室に怒鳴り込んできて来たのだ。しかも、いきなり浮上した不倫疑惑はやがて、未知子も顔色を変える“不測の事態”を招き寄せ…!?
第3話のレビュー
今回患者となるのは蜂須賀の懐刀、「東帝大学病院」の広報室長・三国蝶子(杉田かおる)。前回大声で「静かにして!」と叫んでいた人だ。厚生労働事務次官・神部八尋(宮川一朗太)と会食した後に週刊誌に写真を撮られ、接待疑惑が出てしまった。
週刊誌に囲まれた蝶子は倒れ、たまたま近くにいた未知子が診察。「たこつぼ心筋症」だった。他の人たちはあまり重要に捉えていないようだが、未知子は「なめてると死ぬよ」と蝶子を気に掛ける。
ストレスが原因でなるというこの病気、蜂須賀の下で働く重圧のせいでは? と分析する神原名医紹介所の面々だが、晶(岸部一徳)は「彼女は仕事のストレスをパワーに変えられる女よ。そこはそんなにストレスではないのでは」と言う。
では何が彼女のストレスとなっているのだろうか? 蝶子に次の広報室長候補を選ばせようとする蜂須賀、性格悪……! 仕事自体はストレスにならないけど、仕事がなくなるかもしれないストレス? などと邪推した矢先、彼女の病室に神部事務次官の妻・久美子(川上麻衣子)が乗り込んでくる。夫と不倫してるのでは? と殴りかかる久美子。
杉田かおるvs川上麻衣子、迫力ありすぎでは? 久美子を「いいから出てけ!」と追い出した未知子に「ありがとう」とお礼を言う。ちょっと前まで「あなたがストレス」と言ってたのに、どうした?
仕事のストレスをパワーに変えられる蝶子も、恋の前では無力だったということなのだろうか。担当医となった鍬形(小籔千豊)は、病室で神部と蝶子が抱き合っているのを目撃してしまう。「経験値がものを言う」と自らが恋愛マスターであるかのように医師たちの前で話した鍬形だが、クラブのホステス? か何かに電話で一番ショックの少ない別れ方を聞いていた。こいつ、駄目だな……。
だが鍬形は神部に「彼女の病気はあなたのせいだ、一番傷の少ない別れ方で別れてあげてください」と忠告。その後神部はなんと、報道陣の前で妻と別れて蝶子と結婚することを宣言。病室でそれを観ていた蝶子は「結婚……」と喜び、倒れてしまった。
報道を観た未知子は「やばい」と蝶子の病室に駆け付ける。ハッピーハート症候群といって、ストレスや嫌なことだけでなく、興奮するような喜びもまた、この病気には危険となるのだった(ファンシーな名称だな)。
未知子は緊急手術を行うが、かなり危険な状態だ。蜂須賀が出した指示は、その通りにしたら確実に蝶子が助からないものだったが、手術中に死んだことにはならないという。毎回思うが、患者にとって一番いい治療法より自分の得になるほうを選ぼうとするの、医師としてどうかと思う。
そんな蜂須賀を一蹴した未知子の言葉がかっこよかった。
「だったら黙って見てろ。私、100%失敗しないので」
み、未知子、かっこいい~!!
無事、回復した蝶子。「責任の取り方は承知しています」と辞表を出すの、潔すぎてかっこいい。だが蜂須賀は「最初からぜんぶ計画だったんですねぇ」という。会食の日時や不倫をマスコミにリークしたのは蝶子だと。厚労省への太いパイプを手に入れた、と。まさか、はじめからこうなることをわかって行動していたというのか。
白を切る蝶子に「これからは神部事務次官との結婚を有効に使ってください、東帝大と私のために」という蜂須賀。
「そこまでおっしゃていただけるなら、主人にそう言っておきます」と含みのある笑顔で答え、去っていく蝶子。策士同士の攻防たまらんな……!
蝶子にばったり会った未知子と晶。
「おかげで何もかもうまくいったわ、ありがとう」
「あなた言ったわよね、仕事なんかで死んだら意味がないって。私は違う。仕事でなら命を落としてもいい」
そういう蝶子に、こういう晶。
「あのとき心破裂が起きたのは、結婚できたからではなく、厚労省のトップを手のひらに載せることができたからなんですね?」
「もっと上に行ける。あなたはそれがうれしくて、ハッピーハート症候群を引き起こしたんですね?」
そ、そういうことだったの……!? 結局恋じゃなくて仕事だったのね??
晶さんも策士だからわかるのね?
「ねぇ? 私と組んでもっと上を目指さない? あなたとならできそうな気がする」
「上とか下とか興味ないんで」
笑顔で誘う蝶子に、すっぱり断る未知子。二人ともスタンスが明確で気持ちいいわ。断られたら真顔に戻って「そう、残念ね」とスタスタ去るのもまたいい。
「したたかね~!」っていう晶さん、おまいうで面白かった。
「狙った獲物は逃さない、タコつぼのような女ね!」
蛭間のプライドをくすぐってまんまと請求書を受け取らせた晶さんもなかなかだけどね。
杉田かおるさんの強気な女役はたくさん見たけど、蝶子さんは今まで観た中で一番好きかもしれない。仕事第一で引き際は潔い、美学のようなものを感じた。
※この記事は「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
パンデミックの影響で出演舞台がすべてキャンセルになるという苦境の1年を経て、世界的大舞台で主演を務めることになった人気ミュージカル女優・四季唯花(凰稀かなめ)。彼女が待ちに待った公演を目前に、重度の甲状腺がんを患い「東帝大学病院」に極秘入院した!
内科部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)は内科主導の切らない手術=「ケミカルサージェリー」で治療することを決定するが、外科部長・海老名敬(遠藤憲一)は早急に外科手術をすべきだと主張。しかも…外科分院長・蛭間重勝(西田敏行)の命令を受け、何としても“特患”である唯花を外科で囲い込もうと躍起になった海老名は、内科にケンカを売る大失言をうっかり放ってしまう!
静かに激怒した蜂須賀は“ある究極の条件”を海老名に提示した上で、外科に唯花へのアプローチを許可。どの治療法を選ぶか、最終判断は唯花本人に託されるのだが…。
当の唯花は、稽古に復帰できるほど回復するまでに時間がかかることや、人目につきやすい首に傷が残ることを恐れ、外科手術を拒絶。焦った海老名は、大門未知子(米倉涼子)なら完璧な手術ができると進言する。ところが、唯花はどういうわけか、未知子に対して不快感をあらわに! 対する未知子も、何を考えているのか「オペしないので」と言い放ち…!
そんな中、唯花のケミカルサージェリーが始まった。しかも、なぜかそこには未知子の姿があり…!? さらに、不測の事態は続発する。一日も早い復帰を目指す唯花だが、一向に退院の目処が立たないばかりか、ライバル女優・早水楓(鷲見玲奈)を唯花の代役に立てるという話まで持ち上がり…!
第4話のレビュー
冒頭、チケットを取ろうとプレイガイドのサイトにアクセスするもつながらず、イライラしながらリロードを繰り返す海老名。筆者もたまにチケット発売日にアクセスするから、気持ちわかるよ!!
……などという話は置いといて、今回の患者はそんな海老名が推している(でいいのかな?)ミュージカル歌手、四季唯花(凰稀かなめ)。その名前のまま入院してるって本名なのかよ、すごいな。
唯花に偶然エレベーターで会った未知子。いつもの調子で「手術するんなら私に切らせてよ」と言うが、突然のぶしつけな声掛けに、唯花には嫌われた様子。かなり進行した甲状腺がんらしい。
いつも通り内科的治療しか提案しない内科、切らない手術=「ケミカルサージェリー」を推してくる。蛭間(西田敏行)の命令で蜂須賀(野村萬斎)に嚙みついた海老名、失敗したほうが辞めるという大人げない交換条件で、内科と外科の双方から治療法をアプローチすることに。
結局、未知子頼みの外科医師たち。前シリーズまで(何なら今シリーズのはじめも)あんなに対立してたくせに、めちゃくちゃ未知子に頼るじゃん……。情けないけど、もはやそんなところも愛おしい。
だがしかし。頼りの未知子は、
「私、オペしないので」
ど、どうした大門未知子ーーー!!!
いったい何が起こったというのか。
冒頭、チケットを取ろうとプレイガイドのサイトにアクセスするもつながらず、イライラしながらリロードを繰り返す海老名。筆者もたまにチケット発売日にアクセスするから、気持ちわかるよ!!
……などという話は置いといて、今回の患者はそんな海老名が推している(でいいのかな?)ミュージカル歌手、四季唯花(凰稀かなめ)。その名前のまま入院してるって本名なのかよ、すごいな。
唯花に偶然エレベーターで会った未知子。いつもの調子で「手術するんなら私に切らせてよ」と言うが、突然のぶしつけな声掛けに、唯花には嫌われた様子。かなり進行した甲状腺がんらしい。
いつも通り内科的治療しか提案しない内科、切らない手術=「ケミカルサージェリー」を推してくる。蛭間(西田敏行)の命令で蜂須賀(野村萬斎)に嚙みついた海老名、失敗したほうが辞めるという大人げない交換条件で、内科と外科の双方から治療法をアプローチすることに。
結局、未知子頼みの外科医師たち。前シリーズまで(何なら今シリーズのはじめも)あんなに対立してたくせに、めちゃくちゃ未知子に頼るじゃん……。情けないけど、もはやそんなところも愛おしい。
だがしかし。頼りの未知子は、
「私、オペしないので」
ど、どうした大門未知子ーーー!!!
いったい何が起こったというのか。
蛭間は海老名に「(未知子に)うまい肉食わせろ、自腹で」と指示。スーパーで安い肉を大量に買って、神原名医紹介所へ。みみっちい二人だ……。材料を買ってきたのに「缶ビールは230円払え」って言われる海老名、不憫……。かっぽう着姿、よく見るとかわいいな。
それなりに焼肉パーティーを楽しむ晶さん(岸部一徳)たち、かわいい。
オペはしないけど、「ケミカルサージェリー」は積極的に見学しにくる未知子。唯花の腫瘍は小さくなってはいるものの、まだ本調子じゃないようだ。「私のファン?サインしましょうか」「ファンじゃないから」という、未知子と唯花の掛け合いが心地よい。唯花も、はじめこそ未知子に対し怒っていたものの、サバサバした人なのかも。
そこへライバル女優・早水楓(鷲見玲奈)がお見舞いにやってくる。
口では唯花を心配している風を装っているが、無言の戦いがすごい。役から引きずり降ろしてやろうと企んでいる雰囲気をビンビンに感じさせる。さらに、わざわざ「唯花のがんがニュースになっている」とスマホ画面を見せてくる。極秘入院のはずなのに、いったい誰が情報を漏らしたのか……。ショックを受ける唯花。
唯花、「この舞台は死んでもやりたいんです」と言って、蜂須賀にたしなめられていた。実際死んでもやるべき舞台なんてないと思うが、あんないけすかない女に絶対取られたくないよな~(理由はそれだけじゃないだろうけど)。
手術したほうが早く復帰できそうなのに、わざと唯花の入院が長引く治療法を取っているかのように見える蜂須賀。唯花には治療に専念するため降板してもらい、代役は楓に、という話まで出てしまう。
「私、歌うことだけはずっと自信があって。もっと綺麗な女優はいっぱいいるけど、私は歌いますって。大門先生もそうなんですね。私に切らせてって言えるのは、治す自信があるから」
歌い続けるためにいろんなことを犠牲にして、あらぬ誤解を受けても歌があれば平気だった。
「でも生きてるじゃん?」と声をかける未知子。
NYでコロナ治療をしていたとき、駆け付けてくれたオペラ歌手の歌に助けられた。あのとき言えなかったから、代わりに言わせて、ありがとう。と同じくチャリティーで歌っていた唯花にお礼を言い「やっぱり私に切らせて。私、失敗しないので」といつになく静かな名ゼリフ。
未知子は手術を決行。蜂須賀や鍬形は慌てて駆け付ける。
そんな彼らをお構いなしに、手術は手際よく進んでいく。唯花は肺腺がんも併発しており、未知子はそれを見抜いていたのだ。
突然現れた晶さん、自分の推奨する治療をしたいがために、その部分しか見てなかったのでは? と批判。
蜂須賀「私が見ているのは未来の医療です」
晶「大門が見ているのは目の前の患者です」
この返し、かっこよかったしスッとした!
どんな先進医療だとしても、肝心なところを見落としては元も子もない。そう、未知子はいつも目の前の患者を見てきたよなあとあらためて思い返した。
「いつものやつ言ってやれ。例のやつだよ、私で始まるアレだよ! 俺が言ってやるよ! お前は失敗しないので!」と叫んで未知子に「うるさいよ!」と叱られる海老名、声を出して笑ってしまった。
肺腺がんの後、甲状腺がんの手術も始める未知子。首に傷ができない上に回復が早く、舞台上演にも間に合う方法を選んだのだ。
勝負は外科の勝ちなのでは? と蜂須賀にせまる海老名だったが、渡されたのは秋田への辞令だった。海老名は蛭間のために動いたのに、蛭間は蜂須賀に丸め込まれたのだった。
唯花のライバル女優、なんと蜂須賀が会食した男と不倫していた。蜂須賀、そのためにわざと時間がかかる治療をしていたのか。
「不倫なんて最低」「この女優二度と見たくない」というコメントを嬉々として読む蝶子(杉田かおる)。情報を流したのは彼女らしい。自分だってこの間まで不倫してたのに、それとこれとは完全に別なようだ。さすが、強かな女……! 元気そうで何よりだ。
っていうかライバル女優役、鷲見アナだったのか。女優もやるんだ! と調べたらこれが初女優なのね。嫌な女役が結構ハマっていたので、他の演技も観てみたい。
次回、話題になっていた松下奈緒がフリーランスの看護師として登場するようだ。どんな展開になるのか、今から楽しみ!
※この記事は「作品名」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
内科と外科を統一した「メディカルソリューション本部」を立ち上げ、医療体制を一新した「東帝大学病院」。本部長の座に就いた蜂須賀隆太郎(野村萬斎)は内科治療の優先、ならびに外科手術については自らの息がかかった外科医・興梠広(要潤)を中心に行うことを、高らかに宣言する。
そんな中、愛想はすこぶる悪いが、腕は超一流のフリーランス看護師・那須田灯(松下奈緒)が、「東帝大学病院」に雇われることになった。灯はさっそく、興梠が執刀医を務める記者・五木和男(井上肇)の直腸がん手術で、オペ看を担当。興梠の指示を待つことなく、次々と的確な器械を差し出す。ところが、そんな灯に憤慨した興梠はナースステーションに連絡を入れ、今すぐオペ看をチェンジするよう要求。応対した看護師・大間正子(今田美桜)は、慌てて手術室へ向かう。
やがて手術は終了。ところが翌日、五木が激しい腹痛を訴え、再手術が必要な状態に陥った! オペに何か問題があったと考えた大門未知子(米倉涼子)は、急いで原因を突き止めようとする。ところが…存在するはずのオペの録画データは、なぜか消失。未知子は灯を捕まえ、途中でオペ看を外された理由を尋ねるが、灯はただただ無愛想に口をつぐみ…!?
さらに、事態はとんでもない方向へと転ぶ。未知子に問い詰められた興梠が、手術ミスをしたのは正子だと主張し始めたのだ。一方、灯もなぜかこの一件に対して無関心な態度を固持。依然として何も語ろうとせず…!
第5話のレビュー
フリーランスの看護師・那須田(松下奈緒)が登場。なんと、未知子(米倉涼子)よりも感じが悪い。いや、未知子は感じが悪いというよりはっきりしてる(しすぎてる)だけだけど、那須田はシンプルに感じが悪い。
未知子は那須田と、海外の船の上で急患が出たときに会ったことがあるらしい。だが、彼女は知らないという。
あまりの感じの悪さに、普段そんなこと気にしなさそうな未知子が
「看護師としては認めるけど、人間としてちょっとな〜」
「笑わないでしょ、挨拶しないでしょ、態度でかくていっつも怒ってんの、こんな顔して!」
と言い出す始末。口々にそれはあんたでしょ、と言われていてうける。
「メディカルソリューション本部」という、うさんくさい名前(本当にそういう名称が実在したらごめんなさい)で統合された東帝大学病院。内科と外科を統合すると言っていたが、結局は内科治療を優先、外科手術は興梠(要潤)を優先するという。実質変わってないやんけ……!とツッコみたくなる。
そもそも興梠、逃げた過去があるのにまだ頼るのはなぜなのか。今回も興梠が問題を起こす。手術をミスしたのだ。それを隠すため、録画データを消してはじめから録ってなかったことにし、さらに看護師の正子(今田美桜)にミスをなすりつけたのだ。その話を聞き、正子をクビにしようとする蜂須賀(野村萬斎)たち。クソすぎる。「やめさせんの逆だろ」と言い(その通りだ)、蜂須賀の胸倉をつかみ「あんたも医者ならわかるでしょ。患者にとって一番危険なのは、いざとなると逃げだす医者なの」
ペの現場にいた研修医たちに何があったのか聞き出そうとする未知子。壁ドンして「パワハラですよ」と言われるが「パワハラ上等!」とさらに足ドンする。ピンヒールの足ドン、迫力あるぅ……。だが3人とも、よくわからないのに完璧だと言っていただけだった。駄目だろ。
医師が指示するより先に器具を渡せる那須田、興梠に指示するような感じになり、オペ看を交代させられていた。急遽交代したのが正子だったのだ。那須田が何か知っているのではと思い、話を聞こうとする未知子だが、医師に従わないと自分たちのような派遣の看護師は終わりだと言い、何も言わない。
「仲間がクビになってもいいの?」と問う未知子に「大門先生、ずいぶんいい人になっちゃったんですね」と言う那須田。やっぱり覚えてたんじゃん……。最後に「これだけ言っとく。迷惑被るのは患者なんだよ」と言いその場を去る。
那須田は、その患者が温泉などの情報を伝えるライターをしており、この仕事が大好きで続けたいから、人工肛門にはできればしたくない、と言っていたのを思い出す。那須田、患者さんにはとても感じよく、全力で励ます人だった。
結局、オペ看・那須田で興梠による再手術が始まる。またうまくいがず、患者の意思に反して人工肛門で対応しようとする興梠に、那須田はくってかかる。そして
「お前みたいな医者いらない」と言い放つ。「同感」という麻酔科医・博美(内田有紀)。二人ともかっこいい~!
現れたのはもちろん未知子。「邪魔、どけ」と興梠を蹴とばす那須田、最高。
逃げようとする興梠に「また逃げんの?」と言う未知子。こんな手術は失敗すると言われるが「知ってると思うけど、私、失敗しないので」と返す。
一連の流れ、素晴らしかったしスッとした! このタッグ、もしくはトリオでずっとやっていけたら最強なのに。
実は手術の記録、那須田がすべて手書きでつけていたのだ。海外では何かあるとナースが訴えられるため、いざというときのためもありやっていたという。そして行きつけの定食屋に預けていた。なんだかスパイものみたいでかっこいい。
那須田は結局、期間が終了して去っていってしまったが、未知子とのやり取りで感じたものがあった様子。またこの二人で組むところを見たい!
※この記事は「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
中国一のITグループ会長を父に持つ9歳の御曹司・王弥六(吉田隼)が、小児肝腫瘍の手術を受けるため来日し、「東帝大学病院」に入院した。大門未知子(米倉涼子)と同院の外科リーダー・加地秀樹(勝村政信)は、さっそく執刀医に立候補。
ところが、院長代理の蛭間重勝(西田敏行)はあっさり却下し、すでに決まっているという執刀医を紹介する。その人物とは…未知子も加地もよく知る元「東帝大学病院」の外科医・原守(鈴木浩介)!
なんでも、未知子が所属する「神原名医紹介所」の所長・神原晶(岸部一徳)が、弥六と原をセットで「東帝大学病院」に斡旋したのだという。しかも、原はかつて「東帝大学病院」をクビになった後、フリーランスに転向。ここ1年は中国の病院で働いていたが、このたび晶にスカウトされて「名医紹介所」に所属することになったというではないか!
未知子は、師匠である晶が自分に内緒で原をスカウトし、執刀医として売り込んだことに憤慨。原に“名医”と呼べる腕はないと食ってかかる。しかし晶は、名医は腕だけが武器ではないと断言。失敗しない外科医としてまい進する未知子に対し、「いつか失敗しちゃうわよ」と言い放ち……!?
一方、“患者の心に寄り添う医療”を目指しながら、組織にもしっかり寄り添ってきた原も、どういうわけか今では豹変。御意仲間だった加地にも冷たい態度を取り、「これからはフリーランスの時代だ」と豪語し……!
そんな中、原はオペの助手に未知子を指名する。ところが、未知子は「いたしません」とはねのけ、独断で弥六の検査を敢行。その結果、原はもちろん、あの未知子ですらもオペを成功させるのが難しい病状だと判明し……!?
第6話のレビュー
今回の患者は、中国一のITグループ会長を父に持つ9歳の御曹司・王弥六(吉田隼)。小児肝腫瘍の手術のために来日したのだという。蛭間をはじめとした周りの大人たち、媚び売りがひどい。中国語で「私に切らせて」と言う未知子に、弥六は「いいよ」と日本語で返した。
原守(鈴木浩介)が再登場。なんと、晶(岸部一徳)が中国でスカウトし「神原名医紹介所」に所属、患者の王弥六とともに東帝大学病院に持ち込みしたというのだ。手術の執刀は彼にさせるという。
未知子は当然納得いかないが、晶は「未知子も人の気持ちがわかるようにならないと、いつか失敗しちゃうわよ」と言う。晶さん、いつも未知子の絶対的な味方だったのに、なんでそんなことを言うの?
原の様子もおかしい。外科リーダー・加地秀樹(勝村政信)に「どちら様でしたっけ?」と言い、全体的にすごく感じが悪くなっている。フリーランスの医師になったからなのか、「いたしません」と若干、未知子の真似をしている感がある。加地の「お前はいたせよ!」には笑った。
ちなみに9歳の弥六、あんなにまわりの大人にチヤホヤされているのに、天狗にならずまともそうないい子だ。亡くなったお母さんが日本人だったため、日本の病院で手術することにしたらしいが、お母さんは必ず治ると言われていたのに亡くなり、傷ついているようだった。いちばん好きな漫画はブラックジャックで、「お金のために働く、そういう医者のほうが信用できる」と言う。
今回、原と加地の友情がよかった。
中国の病院で何度も手術中に抜けたという原。理由は患者に支払い能力がないとわかったからだという。“患者の心に寄り添う医療”を目指してきた人とは思えない発言に加地は怒る。
だが、原は日本の医療をニュースで知っていた弥六にドクターX(大門未知子)と間違えられ、訂正のタイミングを失いそのふりをしていたのだ。さらに、目が悪くなってしまった原因がわからないという。
加地、適当な人だけど(実際、東帝大に戻れるという話をもらって原に声をかけ忘れていたので、原が怒るのも無理ないけど)、「目が悪くなったのはいつからだ」「その状態で手術するなんて、お前は医師失格だ」と訴えていて、原の話も聞き、二人の間には友情のようなものがあるのだな、と感動した。
素直に弥六に謝る原。弥六はやっぱり何でも直してくれる医者なんていないのか、と肩を落とす。
「大門先生は原先生みたいに優しい嘘もつけないし、寄り添ってもくれない」
「僕は治らないのか?」
という弥六(本当に9歳なのか?)に
「手術で奇跡は起こらないの。でも私なら治せる」
「私嘘つけないんで」
と声をかけ、中国に行って手術することに。ちゃっかりファーストクラス、いいホテル、美味しい中華料理を要求する晶と未知子、相変わらずである。笑顔でいいよという弥六もさすがである。
原に「僕に寄り添ってくれたことに感謝する」とお礼を言い(よくできた子すぎる)、病院を去ろうとする弥六は倒れてしまう。二つのがんが衝突していた彼の病状は、思った以上に悪化していたのだ。その頃未知子は中国に向かう空港にいた。原と加地が手術をすることに。
だが未知子ですら難しいかもしれないと言われた手術内容、この二人には無理がある。案の定危険な状態になってしまい、絶体絶命のとき、入ってきたのは未知子。さっき飛行機乗ろうとしてたのに!! 未知子、ヒーローすぎる。
お前にプレッシャーはないのかと聞かれ「プレッシャーのないオペなんてないから」と答え、意識がない弥六に「私、失敗しないので」と優しく言う姿は印象的だった。無事に成功し、オペ室を出ていく未知子に「大門先生、ありがとうございました!」とお礼を言う原は、我々が知っている原だった。
ちなみに「未知子でもプレッシャー感じるんだ!」というのは驚きだった。普通に考えればそりゃそうなのだが、超人に感じてしまう。プレッシャーを感じつつ毎回失敗しない未知子、あらためてかっこいい。
手術は成功したけど、何だか不穏だ。晶さんは請求書が通ったのにいつもみたいにスキップして帰らない。未知子はそんな晶さんの近くにおらず、距離がある。そしてラスト、晶さんが電話で誰かに「大門未知子はもう不要ですね」と言っていたのだ。
噓でしょ晶さん、どうしちゃったの……?
※この記事は「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
生まれ変わった「東帝大学病院」のブランディングを強化するため、「メディカルソリューション本部」の本部長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)が新たな人材を“サポート役”として呼び寄せた。その人材とは、以前「東帝大学病院」でも働いていた外科医・森本光(田中圭)!
大門未知子(米倉涼子)のような外科医になりたいと憧れるも、腕も自信も到底及ばず、頼りない男だった森本……。だが今では、ある事情から配信し始めた動画がバズり、若手医師たちのカリスマ的存在に!
“医療系インフルエンサー”として多大な影響力を手にした森本は、昔とは打って変わり、威風堂々と「東帝大学病院」に凱旋。尊敬する未知子に対しても、「これからの医者の武器はメスじゃない。影響力だ」と大口を叩く。
そんな中、未知子はたまたま入った定食屋で、店主・七宮安江(根岸季衣)の体調に問題があることを察知する。検査の結果、安江の胃がんがかなり進行していることを知った未知子は、早急なオペが必要だと判断。「東帝大学病院」ではパンデミックの影響で延期していたオペが再開され、手術室は連日埋まっている状況だったが、なんとかピンポイントで空いていた手術室をおさえる。
ところがその矢先、院長代理・蛭間重勝(西田敏行)の手引きで榎本環境大臣(徳重聡)が緊急入院! 手術室を横取りしてしまう。しかも、もともと手術や長期入院に消極的だった安江は、未知子に無断でそそくさと退院してしまい……!
一方、蜂須賀は森本とがっちり手を組み、精力的な広報活動を展開。森本の動画にも登場し、「東帝大学病院」の公式チャンネルを開設することを発表する。自らの影響力の強さに陶酔する森本。ところが…そんな彼の前に、安江の娘・七宮萌香(白石糸)が出現。安江が以前から具合が悪かったにもかかわらず、我慢して病院に行かなかったのは森本の動画のせいだ、と食ってかかり……!?
第7話のレビュー
東帝大学病院にポンコツ外科医・森本(田中圭)が帰ってきた!?
なんと、動画配信で人気が出た彼は“医療系インフルエンサー”として絶大な人気を得ていた。広報活動に力を入れたい蜂須賀(野村萬斎)が呼び寄せたのだった。ちゃっかり森本のチャンネルにも出演してるし、わりとミーハーだな。
もちろん、そんな活動には全く興味のない未知子。昔とは違う自分をアピールしたい森本だったが「えり変だけど」と言うくらいで全く相手にされない。
「この病院を飲みこむほどの影響力を手に入れたんです。大門先生にも思い知らせてあげますよ……いない」
さらに名前も覚えていないようだった。
そんな折、未知子が通う定食屋のおばちゃん(根岸季衣)の体調が悪いと気づき、検査を勧める未知子。ステージIIIのがんだった。すぐに手術をという未知子だが、一度取った手術室が緊急オペが入って使えなくなったと言われる。
蛭間(西田敏行)が緊急入院させた榎本環境大臣(徳重聡)の手術のためだった。そのすきにおばちゃんは、忙しいと言って帰ってしまう。森本の大ファンのおばちゃん。おばちゃんの娘(白石糸)は、森本に「あんたのせいで母は病院に行くのを我慢してしまった」と責める。
ショックを受けた森本は、お店まで出向いて手術を受けてもらおうとするが、おばちゃんは「夫が遺してくれたこの店も経営が苦しい。よくない病気なのはわかっていたが、私の生命保険金が足しになれば娘に店を遺せる」というのだ。おばちゃんは吐血、そのまま病院へ運ばれる。
手術を受けてもらいたく説得しようとした森本だが、結局自分の愚痴を聞いてもらって号泣して終わる。「自分が駄目な医者だという事実から逃げてた」というのだ。「本当は慰めてやりたいんだけど、そうは言ってもこいつめちゃくちゃ稼いでるんだよな〜っていう気持ちが」と正直な加地。でもやたら共感していた原。
おばちゃんを説得でき、問題は大臣の手術より優先させてもらうことだ。大臣、ただの副鼻腔炎で、それも軽いらしい。未知子が直接交渉に行ったときのやり取り、笑ってしまった。
「あんたは何人なの」
「私は大臣」
「バカなの?」
「言ってることはペラペラなんだよ」
「確かに英語はペラペラだ」
顔芸もすごいし、徳重聡、こういう面白い感じができる人なんだ。
軽い症状なのに手術することがマスコミに盛れ、窮地に立たされる。蜂須賀の提案で、おばちゃんの手術を大臣の手術として中継し、納得してもらうことに。だが未知子は大臣の手術を担当し、おばちゃんの手術は森本が担当することに。
だが、開腹してみるとおばちゃんの病状は思ったよりひどく、難しい手術が必要だ。そこへ未知子登場。「予想通り、時間通り」だと言う。すべて予測しており、大臣の手術をさっさと終わらせてきたのだ。さ、さすがすぎる……。
厳しそうな病状に「この手術が失敗したら私はどうなるんだ」と聞く大臣。蝶子(杉田かおる)の「大臣の手術ということになっているのでその場合は亡くなっていただく…」にも笑った。
手術は無事成功。おばちゃんにお礼を言われ、やったのは自分じゃないと告白する森本。根がめちゃくちゃいい人だ。
でも、おばちゃんは見抜いていた。
「やっぱりあんたは私の思った通りの人だ。素直で、正直で、まっすぐで」
「だからその、スーパードクターの力を借りられたんじゃない」
何だか泣きそうになってしまった。森本は自分にいいところがないと思っていたけど、そうではなかったことを知ったのだ。
自分がほしかったのは影響力でもお金でもなかったのに気づき、インフルエンサーとしての活動は辞め、実家の病院でまた頑張ってみようと決めた森本。未知子に
「だってあんたオペ下手なんだし」
「あんたの取り柄って言ったらバカ正直なとこぐらいなんだから」
と言われて喜ぶ。
人懐こいポンコツわんこ系田中圭、とってもよかった。
“医療系インフルエンサー”としての動画、バケツプリンを作ったり、脱いでライ●ップのCMを真似したり、医療系とは……? という配信をしていたのもよかった。
ラスト、蜂須賀と食事し、なんかいい感じになる未知子。BGM、ピアノアレンジになるのやめろ(笑)。この後何か進展あるのかと思っちゃったけど、筆者は学んだ。初回のラッサ熱といい、前回の晶さんといい、ラストでの展開はあんまり次回に影響しないから、そのまま何もないかもしれない。でも、晶さんの件はまだ続きがありそうな気もする。
※この記事は「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
世界中の“未来の命”を救うことができる次世代医療を見据える「東帝大学病院」の「メディカルソリューション本部」長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)は、念願の「感染研究センター」設立プロジェクトを成功させるため、厚生労働事務次官・神部八尋(宮川一朗太)と裏で手を組むことに。科研費の助成継続を含め、全面的バックアップの約束を取り付ける。
そんな中、蜂須賀と内科が主導するケミカルサージェリーを希望する重篤ながん患者・八神さつき(瀬戸朝香)が、「東帝大学病院」に入院する。さつきは何を隠そう、「東帝大学病院」で働くフリーランス麻酔科医・城之内博美(内田有紀)の高校時代の同級生。さつきの重い病状を知った博美はショックを受け、なぜ今まで放っておいたのか…と問い詰める。
すると、さつきはいくつもの病院で手術適応外だと言われ、自らの命をあきらめていたことを告白。しかし、「東帝大学病院」が提供している最先端のケミカルサージェリーを受ければ治るかもしれないーー最後の望みをかけた一人息子・八神祐希(元之介)から、もう一度だけ治療を受けてほしいと懇願され、入院を決意したのだという。
すると、大門未知子(米倉涼子)は外科手術で切除できる可能性はゼロじゃないと断言。だが、息子の思いを汲んでケミカルサージェリーを選択したさつきの気持ちを尊重する博美は、未知子に「オペの可能性はゼロ」と言い放ち……!?
そのころ、外科一派を率いる院長代理・蛭間重勝(西田敏行)は、蜂須賀を潰しにかかろうと暗躍。そんな蛭間に、神部の妻であり、蜂須賀の右腕でもある広報室長・三国蝶子(杉田かおる)が接近!? 何を考えているのか秘密裏に、がんを患っていることが発覚した神部をケミカルサージェリーではなく、外科手術で完治させてほしいと頼み……!
第8話のレビュー
ドクターXでこんなに泣くとは思わなかった……。
今回は八神さつき(瀬戸朝香)が入院してくる。さつきは城之内博美(内田有紀)の高校の同級生だった。彼女はがんを患っており、病状はかなりよくない。未知子(米倉涼子)は私に切らせてというが、さつきは内科が主導するケミカルサージェリーを希望しており、手術は受けないという。これまで数々の病院で手術は無理と言われて諦めており、息子の祐希(元之介)が希望する治療を受けて彼の気が済めばいいと思っていた。
病室に未知子・博美・さつきがいるシーン、米倉涼子・内田有紀・瀬戸朝香が同じ部屋にいる状況、豪華すぎてふるえた。彼女たちが10~20代の頃に出ていたドラマも観ていたのでなんだか感慨深い。3人とも本当に素敵だ。
未知子は「私しつこいから」とめげずに手術を勧める。さつきの治療法をめぐってケンカした未知子と博美。そんな二人を見て、さつきは博美と自分の高校時代を思い出し、語りだす。二人は当時、彼氏を取り合ったらしい。でも最後は博美が譲ってくれたという。
「まじで?あいつめちゃめちゃ負けず嫌いなのに」という未知子。二人の会話の雰囲気がとてもよかった。当時高3で取り合った彼氏との間に子どもができ、出産したのが祐希だった。博美は彼を取られたのに、最後は先生たちと戦ってくれ、さつきは大きいお腹を抱えて卒業できたのだ。
「優しくて頭も良くって。何かひとつでもいいから博美に勝ちたかった」というさつき。彼氏も取っちゃって今もこうして支えられ、ありがとうしかないという。
未知子は頼まれていた別のオペに向かい、さつきと博美は昔話に花を咲かせる。言ってなかったことがある、と先にキスしていたことを告白する博美。かわいいし律儀すぎて笑ってしまった。だが彼が話したため、さつきは知っていたのだ。
口軽、なんであんな男を取り合ったんだろう、若かったと笑いあう二人。この二人の会話もよかった。だが、さつきは突然苦しみだし心停止、博美の必死の蘇生の甲斐もなく、帰らぬ人となってしまう。「博美、もういいわ」という声が聞こえ、もらい泣きしてしまった。
オペを終えて帰ってきた未知子は、さつきの死を知り肩を落とす。こんなに感情が揺れる未知子も珍しい。
この後の屋上のシーンがまたたまらなかったし、役者陣の演技が見事だった。
一人遠くを見る博美に、どう声をかけるか悩む様子を見せたが、普通に横に並ぶ未知子がいい。
「悔しい、救えなかった、何でもできなかった」と言う博美に、未知子は「ありがとう」と言う。
「彼女、言ってたよ。あんたにはありがとうしかないって」
も、もうこんなの泣いてしまうだろ……。
さらにそこへ祐希がやってくる。
「母さんの顔、笑ってるように見えました」
「最期を城之内先生に見送ってもらえて、母さんも幸せだったと思います」
途中泣きそうになりながらも、笑顔で伝えようとするところに泣いた。二人を見て涙目になる未知子にもまた泣けてきてしまった。
手術した患者は必ず救う未知子だけど、手術する前に亡くなってしまうのはどうにもできない。さつきがはじめから手術に合意してくれれば、他の患者の手術が入っていなかったら……いろんなたらればを考えてしまうが、人の命にたらればはない。
当初のさつきの選択は、これまでの経緯を考えれば仕方ないし、友人の選択を尊重した博美も彼女の立場なら当然のことをしただけだ。未知子は外科医である以上、複数の手術予定が入ることはある。
でも、未知子とさつきの会話も、博美とさつきの会話も、とてもいい時間だった。最後に博美に会え、未知子との会話で博美への感謝をあらためて言葉にし、博美との会話でわだかまりも解消できた。あまりに早いが、祐希が言ったとおり、幸せな最期だったのかもしれない。
未知子が頼まれて手術した人とは、蝶子の夫・厚生労働事務次官の神部八尋(宮川一朗太)だった。蜂須賀(野村萬斎)を裏切り蛭間(西田敏行)にすり寄るような動きを見せたのは、彼を未知子に手術してもらうためだったのか。夫を助けるためだったんですね、という鍬形に「私が助けたかったのは、うちの病院にたっぷり予算をつけてくれる、厚労省の事務次官」と言った蝶子。
この女、やはりしたたかだわ~! と思ったが、手術が成功したとき唇を震わせ、声を殺して泣く様子から、やはり夫を救いたかったのかもしれないと思った。今まであまり注目する機会がなかったのだが、杉田かおるの演技、とてもいい……。
ラスト、蜂須賀からの食事の誘いを断るが、止まってる(回ってない)お寿司と聞いて「行かせていただきます」と独特な御意ポーズ。こんなにもセクシーな御意ポーズ、今まであっただろうか。次回はどうなるのだろう。
※この記事は「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
念願だった「感染研究センター」の完成を目前に控えた「東帝大学病院」の「メディカルソリューション本部」長・蜂須賀隆太郎(野村萬斎)は、大門未知子(米倉涼子)を誘い、昔なじみの大将(小堺一機)が営む鮨屋「十兵衛」へ。世界中の“未来の命”を感染症から救うため、医師人生のすべてを捧げてきた蜂須賀は、自らの理想と今後のプランについて熱弁をふるう。ところが未知子を店から見送った直後、ふと蜂須賀の顔色が変わり……!?
そんな中、蜂須賀は“組織の腐敗”をも防ぐため、強硬手段に出る。なんと院長代理・蛭間重勝(西田敏行)から権力を剥奪すべく、アメリカにいる病院長と秘密裏に協議。病院長以外の役員の任期を1期1年に制限すると決定したのだ!
もちろん、今も昔も“権力の権化”である蛭間が、素直に引き下がるわけがない。具合が悪いと言って来院した妻・蛭間華子(藤真利子)のことも「気のせいだろ」とぞんざいに扱い、反撃の策を練ることだけに集中する蛭間。ところが……。
帰宅しようとする華子と出くわした未知子は、即座に異変を察知し、検査を敢行。その結果、華子が重度のがんを患っていることが判明する!
しかもその病状は、医局の誰もが手術適応外だと判断せざるを得ないほどだった……。だが、未知子は「私なら切れる」と断言。これまで先陣を切って内科主導のケミカルサージェリーを推し進めてきた蜂須賀も、どういうわけか未知子による外科手術にすんなりGOサインを出し……!
次から次へと起こる予想外の出来事。そんな中、日本はもちろん世界にも激震が走る!?
やがて「東帝大学病院」内で“あってはならない一大事”が発生してしまう――。
第9話のレビュー
前回の約束通り、未知子(米倉涼子)を回らないお寿司屋に連れてきた蜂須賀(野村萬斎)。大将とは長い付き合いらしい(小堺一機さんだって気づかなかった…)。寿司を食べる未知子をにこやかに見つめているが、蜂須賀はほとんど食べない。会計時に未知子に先に出ていいと伝え、背中を押さえて顔をしかめていた。何かの病気なのだろうか。
蛭間(西田敏行)の妻・華子が病院に訪れる。不調を訴えるが、蛭間も海老名(遠藤憲一)もこの間検査したばかりだろうと真面目に対応しない。帰ろうとする華子を見かけた未知子は「大丈夫? 顔色悪いよ」と心配し、検査を受けさせる。
蛭間が大変そうなのを気遣った華子が「もし病気でもあの人には言わなくていいわ。何か今大変そうみたいだし」と言うのに「妻の病気より大変なことってこの世にある?ないでしょ」と、サラッと返す未知子が素敵だった。
結果、華子は手術の難しいすい臓がんだった。この期におよんで「僕でも難しい」と言える興梠、すごいな。君今のとこ、このドラマで何もなしてないぞ。手を挙げた未知子に、GOを出す蜂須賀。何となく、蜂須賀は華子と同じ病気なのかな? と思った人も多かったのではないだろうか。
予想通り、華子は手術中に危険な状態に。
「引き返せるわけないでしょ」と言う未知子に、手術に臨む決意を感じた。
一時は「こんな手術、するべきではなかったんだ」と言った蜂須賀も
「何としても、何としても患者を救うのです」と呼びかける。
「私、失敗しないので」が重かった。
手術は成功し、屋上で話す未知子と蜂須賀。
未知子は蜂須賀の病気に気づいていた。食欲がないのも、痛みに耐えていたのもお見通しだったのだ。
レントゲン写真を見て難しい顔をする未知子を見て、落胆する蜂須賀。
外科手術を必要としないケミカルサージェリーを推進していたのは、手術に100%はないと知っていたからだった。だが、内科的な治療は蜂須賀には利かなかった。
「今日のオペより厳しいね。でもはっち(蜂須賀)の好きな100%にするよ。私、失敗しないので」
何と頼もしい……。二人の間に友情に近いものを感じた瞬間だった。実は寿司屋に戻って、大将に蜂須賀の話を聞いていた未知子。蜂須賀は出世にもお金にも興味がなく、ずっと海外への支援を続けていた。
今クール始まったときは完全に悪役に見えたのに、見事に印象が逆転して驚いた。周りに興味なさげに見えて、本質を見抜いた未知子。あらためてかっこいい。
なんと新型コロナウイルスより感染力の高い伝染病が発生し、少し前に東帝大学病院を訪れた人が感染していることが発覚。さらに、蜂須賀は彼と濃厚接触してしまっていた。次週、自分のことをそっちのけで、人々を救おうとする蜂須賀。し、死なないでくれ……!
※この記事は「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」の各話を1つにまとめたものです。
–{第10話ストーリー&レビュー}–
第10話ストーリー&レビュー
第10話のストーリー
感染症から“未来の命”を救いたいーー純粋かつ崇高な理念を貫き通し、ついに念願の「感染研究センター」を「東帝大学病院」内に設立することになった蜂須賀隆太郎(野村萬斎)。ところが、これからという時に、なんたる不遇か……。蜂須賀は人知れず、自らが推進していたケミカルサージェリーも功を奏しなかったほど重度のがんを患っていた!
しかもその病状は、天才外科医である大門未知子(米倉涼子)ですら“厳しい手術”になると予感するほど……。だが、すぐにオペをしなければ、命が危ない。「私、失敗しないので」ーー蜂須賀から執刀を頼まれた未知子は、100%の成功を誓う。ところが……!
その矢先、オープンを目前に控えた「感染研究センター」を、蜂須賀自らが緊急封鎖する事態が起こってしまった。あろうことか、同センターを見学した海外の感染症研究所所長が帰国直後、前代未聞の猛威を振るい始めた新型ウィルスに感染していることが判明。「東帝大学病院」内からも、日本国内初の感染者が一人出た可能性が浮上したのだ!
蜂須賀はすぐさま院内の人間に避難を促すと共に、自らは閉鎖した「感染研究センター」の中に残留。ニュース番組のリモート取材にも応じ、国民の不安を煽らないよう落ち着いた態度で患者の容態を報告しながら、「感染拡大は必ず食い止める」と呼びかけ……。
そんな中、第ニのパンデミックも危惧される事態を受け、東京都知事・南勝子(萬田久子)は緊急対策会議を開き、「東帝大学病院」の院長代理・蛭間重勝(西田敏行)を追及。一方、未知子はあらゆる覚悟を決めた上で、蜂須賀のオペを翌日に実施すると宣言! だが、蜂須賀は頑として「感染研究センター」から一歩も出ようとせず……!?
かつてない局面が次々と押し寄せる中、未知子は蜂須賀の命を救うことができるのか!? そして……彼らを含め、新たな危機に晒された日本を待ち受ける未来とは一体ーー。波乱の『ドクターX』第7シリーズ、ついに完結!
第10話のレビュー
コロナより感染力の高いウイルスが発生し、先日「感染研究センター」を視察した海外の感染症研究所所長が感染していたことが判明。彼と腕同士でコミュニケーションをとってしまった蜂須賀(野村萬斎)は、自分が感染している可能性があると判断し、即院内アナウンスで全員退避するよう指示。院内はパニック状態に。
そんな中、人の流れと逆流していこうとする未知子(米倉涼子)に、「大門さん逃げて」と声をかける蝶子(杉田かおる)に感動した。結局いい人じゃん……! 未知子は手術が必要な蜂須賀を一人にするまいと向かったが、蜂須賀はシェルターを閉めてしまう。未知子だけは彼がおそらく感染していることに気づいていた。
表向きは感染者一人を隔離して治療していると伝えた蜂須賀だったが、実際感染しているのは自身。さらに自分の命を諦め、以前から研究していた感染症の抗体を自分のデータを使って完成させようとしていた。前回大手術した蛭間の妻・華子にも内線で電話をかけ、経過は問題ないか、大門先生に助けられたその命を大切にして欲しいと伝える。相手が蜂須賀だとわかった未知子を受話器を奪って手術しようと訴えたが、電話を切ってしまう。
はじめは患者の命より自分の地位が大事な人かと思っていたが、誰より患者のことを考えている人だったんだ。医師としての使命を何よりも優先させる姿勢に、未知子も感じるものがあったのだろう。
何とか一人で手術する方法を考える未知子のもとを、自分たちにも協力させてくれと訪れる海老名・原・加地。彼らもまた蜂須賀の医師としての姿勢に気づき、手術を手伝いたいというのだ。いろいろツッコミどころもある3人組だけど、何だかんだいい奴だな……。未知子がしようとしていることを知った博美(内田有紀)は、第1回でラッサ熱にかかったときのことを挙げて怒って止める。あっさり大丈夫になったかのように見えていたが、未知子は実際2か月入院していたらしい。
何とかシェルターの中に入ったものの、蜂須賀はガラス扉の向こうから出てこない。あまりにしつこい3人に、感染しているのは自分だと告げると、3人は誤って逃げて行った。まあこれは無理もない。
未知子だけは残り手術をしようとするが、「僕が死んでもこの抗体ができればたくさんの人を助けられる」「あなたの手術が受けられないのが残念だ」「あなたと一緒にまたあの寿司屋に行きたかった」と、死を覚悟して未知子に話しかける。せっかく蜂須賀の人となりがわかったのに、未知子がこんなに共感している人も珍しいのに、この状況はあまりにもつらい。
もうこれ以上どうにもならないかと思ったところで、蜂須賀が倒れる。手術室を押さえていた未知子は、蜂須賀の抗体を打ち、一人で手術を決行しようとする。だが博美がやってきて「今度は一人にさせないから」と問答無用で自分の腕に抗体を打つ。今期は別の親友を失った博美、この展開は泣ける。
手術を何とか止めさせようとする蛭間だが、海老名・原・加地はいないと言う。手術着を着て廊下を歩く3人。抗体を打ち、手術に参加するつもりだ。後ろからぴょこぴょこジャンプしながらついていく大間(今田美桜)がかわいい。歩きながら仲間が増え手術室という戦場に向かう感じ、医療版アベンジャーズのようだった。「もう逃げない」と誓う3人、はじめは帰れと言った未知子だが、彼らが本気と知り受け入れる。
みんな感染してしまうと嘆く蛭間、他の医師たちも映像で彼らを見ていた。
手術室の医師たちをバカ呼ばわりし、ニューヨークに逃げようとする興梠(要潤)。インターン生たちに「君たちはこんな風になるなよ」というが、3人のインターン生たちは「僕はこんな先輩たち、かっこいいと思います」と反論する。序盤はこの子たち大丈夫なのだろうか? と思う3人だったのに、ちゃんと成長していたのか……。
なんと結局興梠も手術に参加。「僕のボスはこの人ですから」ど、どうしたんだお前いつも真っ先に逃げてたのに……。蛭間は分院の買い替えに行く予定だったが、華子に一括され(また一瞬かもしれないが)改心。さっきまでやめろと言っていたのに、映像を見て「死ぬなよ、蜂須賀隆太郎」と祈る。外科と内科の対立で始まった東帝大学病院、今は全員が手術の成功を祈っており、見ながら涙する者もいた。蝶子もどんどん増えていく医師を見て嬉しそうだった。
未知子の圧倒的なすごさが印象的なこの作品だが、最後の最後にこんな、みんながヒーローみたいな展開が待っているとは。みんな本当に素晴らしい、尊敬すべき医師・看護師たちだ。手術の成功と彼らの無事を祈るしかない。
予想外の心停止、「戻ってこーい!」という未知子に他局だが「TOKYO MER」を思い出した。
もう駄目かと思ったが、未知子は開胸して直接心臓をマッサージ。なんとそれで心拍が再開、何が起こっているのかわからないが、よかった……。心停止になってしばらく、手術室の上で蜂須賀の魂? が未知子の手術を嬉しそうに見守っているという、不思議な演出だった。
結果手術は成功し、必要あったかわからないメカ未知子も登場。蜂須賀は感染研究センターを閉め、海外の感染症に苦しむ人たちを助けに行くという。蜂須賀は遠回しに未知子にきてほしいと伝えるのだが、照れてうまく話せていない。「今回行く場所の近くにあるモーリタニアという国にはタコがたくさんいるんです」「僕と一緒にタコを食べませんか」と一世一代の告白をするのだが……。
空港で未知子を待つ蜂須賀だが、未知子は現れない(シルエットだけ似てる外国人女性の演出も必要あった……?)。気持ちを立て直し、笑顔で旅立っていく姿が健気だった。
一方未知子は「一緒にタコを食べよう」=寿司屋に行くのだと勘違いし、寿司屋で待っていた。未知子に遠回しは伝わらない……。
とても残念な気がしたが、突然寿司屋の対象が倒れ、心臓マッサージを行うところで物語は終わった。大将がどうなったかはわからないが、未知子が空港に行っていたら間違いなく助からなかった。まだまだ日本に救うべき相手がいるということか。
「よもやよもやだ」「猪突猛進」など、鬼滅の刃ネタでは? と思われるセリフもあり、盛りだくさんな最終回だった。ありがとうドクターX、ありがとう大門未知子!
※この記事は「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」の各話を1つにまとめたものです。
–{「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」作品情報}–
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」作品情報
出演
米倉涼子
西田敏行、遠藤憲一、勝村政信、岸部 一徳、内田 有紀
野村萬斎、今田 美桜、要潤、杉田かおる
脚本
中園 ミホ ほか
主題歌
Ado「阿修羅ちゃん」(ユニバーサルミュージック)
音楽
沢田 完
プロデュース
内山 聖子(テレビ朝日)
大江 達樹(テレビ朝日)
峰島 あゆみ(テレビ朝日)
大垣 一穂(ザ・ワークス)
角田 正子(ザ・ワークス)
多湖 亮太(ザ・ワークス)
演出
田村 直己(テレビ朝日)
山田 勇人
制作著作
テレビ朝日