SNSなどをやってますと、どうしても「いいね」の数だったりアクセス数だったりが気になり始めてしまうもので、一度そうなるともうどんどんエスカレートしていき、またそんな自分が時折いやになってしまったりもしてしまいます。
ホント、SNSを含むインターネットの世界は本来もっと自由であったはずなのにと、その黎明期から齧り始めた世代としては、ここまでモンスター化してしまったことに脅威すら感じられてなりません。
本作も、そんなSNSの「いいね」に翻弄されていく若者たちの映画です。
なかなか「いいね」してもらえなかった動画が、急にアクセス数が伸びて人気が出ていったとしたら、そりゃもう誰でも有頂天になってしまうでしょう。
しかし本作は、そうやってどんどん昇り詰めていくことの闇の部分にもスポットを当てていきます。
正直ドラマの流れそのものは割かし先読みが出来たりもしてしまい、またラストのオチのつけ方には個人的に異論もあるのですが、さすがに自分がインフルエンサーになることなどはありえないと最初から諦めてはいても、心のどこかに「もしかしたら」という気持ちがよぎってしまうのもまた人情で、その伝では実に見る側のツボを押さえた、他人事ではない映画に仕上がっています。
(邦題も原題通りではありますが、日本だともっとSNSを想起させられるものにしたほうが良かったかなという気がしないでも……)
キャストではカリスマ・ユーチューバーと化していくアンドリュー・ガーフィールド扮する謎の若者像に現代ならではの不気味さを感じるとともに、個人的にユマ・サーマンのファンであった身としては、その娘で本作のヒロインを務めるマヤ・ホークがお母さんそっくりなのに改めてびっくり!
(思わず彼女主演で『バロン』でも『パルプ・フィクション』でも『キル・ビル』でもリメイクしてもらいたくなるほどの衝撃的なまでの美しさ!)
監督はフランシス・フォード・コッポラ監督の孫ジア・コッポラですが、コッポラ一家は本当に映画の神がついているかのようですね。
(文:増當竜也)
–{『メインストリーム』作品情報}–
『メインストリーム』作品情報
【あらすじ】
LAの寂れたコメディバーで働く20代の女性・フランキー(マヤ・ホーク)は、映像作品をYouTubeにアップしながらネット上での成功を夢みている。そんなある日、天才的な話術の持ち主・リンク(アンドリュー・ガーフィールド)と出会った彼女は、そのカリスマ性に魅了され、男友達で作家志望のジェイク(ナット・ウルフ)を巻き込んで、本格的に動画制作をスタートさせる。自らを“ノーワン・スペシャル(ただの一般人)”と名乗り、破天荒でシニカルなリンクの言動を追った動画は、かつてない再生数と「いいね!」を記録。リンクは瞬く間に人気YouTuberとなり、3人はSNS界のスターダムを駆け上がっていく。しかし、そんな刺激的な日々と、誰もが羨む名声を得た喜びも束の間、いつしか「いいね!」の媚薬は、リンクの人格を蝕んでいた。ノーワン・スペシャル自身が猛毒と化し、やがて世界中のネットユーザーから強烈な批判を浴びるとき、野心は狂気に染まり暴走していくのだった……。
【予告編】
【基本情報】
出演:アンドリュー・ガーフィールド/マヤ・ホーク/ナット・ウルフ/ジョニー・ノックスヴィル/ジェイソン・シュワルツマン/アレクサ・デミー/コリーン・キャンプ
原案:ジア・コッポラ
監督:ジア・コッポラ
脚本:ジア・コッポラ/ム・スチュアート
上映時間:94分
製作国:アメリカ