「孤独のグルメ Season9」第12話レビュー:町洋食でやろうぜ! 優しさが胸にしみる最終回(※ストーリーネタバレあり)

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2021年7月9日、テレビ東京金曜深夜枠に「孤独のグルメ」が帰ってくる!
輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎を演じるのは、松重豊。食欲をそそる料理と五郎の大胆な食べっぷりに注目だ。

本記事では、第12話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「孤独のグルメ Season9」第12話レビュー

毎週見ていたいドラマナンバーワン(自分比)、「孤独のグルメ Season9」が最終回を迎えた。“コロナ禍で苦しむ個人営業の飲食店へのエール”というテーマを打ち出していた今シーズンだが、最終回にもそれが鮮明に表れていた。

井之頭五郎(松重豊)が降り立ったのは、横浜の下町、伊勢佐木長者町。商談相手の伊藤(飯尾和樹)は大の釣り好きらしく、釣りの話題になると妻(大浦理美恵)に烈火のごとく怒られるのだが、懐中時計を買う趣味はセーフなのが不思議。釣りにかかるお金より懐中時計のほうが遥かに高そうなのに。店から離れなければいいってことなのかな?

腹をすかせた五郎さんが入ったのは「ファミリーレストラン トルーヴィル」。ここ数年、本格中華料理でもなければラーメン屋でもない、ざっくばらんでオムライスなんかも出す街の中華料理屋のことを「町中華」と呼んでブームになっているが、ここは五郎さん曰く「町洋食」。手作りのおいしいハンバーグやナポリタン、ポークジンジャー(生姜焼き)なんかを
もりもり食べさせてくれるお店だ。フォークやナイフではなく、箸を使って食べる。

五郎さんのオーダーはランチの「ハンバーグステーキチーズのせ」と「牛ヒレの生姜焼き」。ランチには和の「かきたま汁」がついてくるし、ライスにかけるごま塩も置いてある。箸でバクバク食べている五郎さんは、「子どもの頃、家族で行ったデパートの大食堂を思い出す」と物思いにふける。お母さん(市毛良枝)の優しさも嬉しい。

「たまたま見つけた店がこんな風に美味しいと幸せな気持ちになる。平凡な今日という日に鮮やかな色彩が加わっていく」
「なんてことない店の風景が、今の俺にはかけがえのない大切なものに見える」

時代とともに失われつつある街洋食に、突如として新型コロナウイルスが襲いかかってきた。こんな店の風景をいつまでも見ていたい。そう思ったのかどうかわからないが、五郎さんは敢然と追加オーダー「ナポリタン」と「チキンのシャリアピン」をキメる。ナポリタンも途中から箸で食べちゃうのが町洋食の醍醐味だ。

「ファミリーレストラン。その言葉には、お店の家族と客の家族の深いあたたかみが込められていたんだな」

店のお母さんと客の夫婦の交流を見て、そんなことを思う五郎さん。そういえば、筆者の通う町洋食(チーズハンバーグが名物でちゃんとワサビふりかけもテーブルにある)のお母さんも、毎回ウチの子どもに声をかけてくれてるな。なんだか優しいんだよなぁ。

「ゆったり、ゆったり心を穏やかに。こういう時間、大事にしなきゃ。今は、特に」

店のお母さんも優しければ、五郎さんも優しい。最後に登場する原作者の久住昌之さんの言葉も優しい。いろいろ心がすさむ時期ではあるけど、せめてランチタイムぐらいはこういう時間を過ごしたいもの。やっぱり「孤独のグルメ」は毎週見たいドラマだ。

(文:大山くまお)

「孤独のグルメ Season9」第12話ストーリー 

仕事で伊勢佐木長者町にやってきた井之頭五郎(松重豊)。古い街並みを通り、商談相手の伊藤良介(飯尾和樹)が経営するお米屋さんにたどり着く。中に入ると、伊藤の妻の寛子(大浦理美恵)が出て来て、五郎は何故か怒られてしまう。実は、夫の釣り仲間が営業マンのフリをして、夫を釣りに連れ出そうとしに来ていると勘違いされていたのだ。なんとか誤解が解け、商談を始めるがお米屋さんで売っている【おむすび】が気になり商談に集中できない。なんとか商談を終え、お目当ての【にんにくおむすび】を買おうとするが、売り切れてしまっていた。すっかり空腹の五郎は店を探すために歩き出す。すると目の前に「パスタ&ピザ」さらに「ファミリーレストラン」の文字が。一度は迷ったが表のランチメニューに惹かれて中に入る…。

–{「孤独のグルメ Season9」作品情報}–

【作品情報】

数々の話題作を生み出しているテレビ東京金曜深夜の代名詞『ドラマ24』。
この度、7月から松重豊主演、人気グルメドキュメンタリードラマの第9弾「孤独のグルメ Season9」が、連続ドラマとしては約2年ぶりに放送スタートすることが決定しました。
「孤独のグルメ」は原作・久住昌之、画・谷口ジローの同名人気コミックをもとにドラマ化。輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎(松重豊)が営業先で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、食べたいと思ったものを自由に食す、至福の時間を描いたグルメドキュメンタリードラマです。2012年1月、深夜にひっそりと放送がスタートするや、食欲をそそる料理と松重豊が演じる五郎の大胆な「食べっぷり」や「心の声」が話題となり、ハマる人が続出!さらに、2017年から2020年と4年連続で大晦日の夜にスペシャルドラマを放送し、本作の続編を待ち望む声が高まる中、ついに最新シーズンが始動!
今回のSeason9では、家族経営などの小さなお店をメインに、コロナ禍で再注目&再評価される【独り飯】をさらに掘り下げ、お腹も心も満たしてくれる飲食店と主人公の物語を構成!選りすぐりのお店と共に、かつて訪れた懐かしのお店も再訪。果たして五郎はどんな街で、どんな絶品グルメと出会うのか!?そして、深夜だからこそ、お腹が空くこと間違いなしの絶品グルメシーンに五郎のたべっぷりと番組9年の歴史、今昔物語にも是非、ご注目ください!

出演:松重豊

原作:『孤独のグルメ』 作/久住昌之・画/谷口ジロー(週刊SPA!)

脚本:田口佳宏、児玉頼子

音楽:久住昌之 ザ・スクリーントーンズ

チーフプロデューサー:阿部真士

プロデューサー:小松幸敏(テレビ東京)、 吉見健士(共同テレビ)、 菊池武博(共同テレビ)

演出:井川尊史、北畑龍一、北尾賢人、佐々木豪

制作協力:共同テレビジョン

製作:テレビ東京