「鬼滅の刃」鼓屋敷編<ざっくり解説/じっくり感想/名ゼリフまとめ>

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過去に放送されたアニメ「鬼滅の刃 竈門炭治郎立志編」が特別編集版として放送される。本記事では、「鼓屋敷編」について、解説・感想・名ゼリフをご紹介する。

(※竈門禰豆子の「禰」のへんは「ネ」の字です。)

  1. 「鼓屋敷編」ざっくり解説
    1. 我妻善逸(あがつまぜんいつ)
    2. 嘴平伊之助(はしびらいのすけ)
  2. 「鼓屋敷編」がっつり感想
  3. 「鼓屋敷編」名ゼリフ・名場面(※筆者の独断と偏見です)
    1. 「俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった」
    2. 「頑張れ炭治郎頑張れ! 俺は今までよくやってきた! 俺はできる奴だ! そして今日も!これからも! 折れていても! 俺が挫けることは絶対にない!」
    3. 「響凱! 君の血鬼術はすごかった!」
    4. 「炭治郎……俺、守ったよ。お前がこれ、命より大事なものだって言ってたから」
    5. 「鬼を連れてることはわかってた……でも炭治郎からは泣きたくなるような優しい音がする……そこには必ず、事情があるはずだ」
    6. 「鬼を連れてることはわかってた。鬼の音は人間の音と全く違うから。でも炭治郎からは、泣きたくなるような優しい音がする。今まで聞いたことのないくらい、優しい音だ」「そこには必ず、事情があるはずだ。それは、俺が納得できる事情だって、信じてる」
    7. 「今この刹那の愉悦に勝るもの無し!」
    8. 「君の顔に文句はない!こぢんまりしていて色白でいいんじゃないかと思う!」
    9. 「そうか、傷が痛むからできないんだな?」「いや、いいんだ、痛みを我慢できる度合いは人それぞれだから」
    10. 「そんなんじゃ、もうごはんを一緒に食べてやんないぞ」「ごはんはみんなで一緒に食べたほうが美味しいんだぞ」
    11. 「わかっててかばってくれたんだな。善逸はほんとにいい奴だな、ありがとう」
  4. 次回は「那田蜘蛛山編」

「鼓屋敷編」ざっくり解説

途中で出会った同期の鬼殺隊士・善逸とともに、任務へ向かう炭治郎。ひどくおびえた様子の幼い兄妹がいた。屋敷の中に上の兄が連れていかれたという。

前の戦いの怪我が治らない中、鼓を使った血鬼術を使う響凱に翻弄され苦戦する炭治郎。「俺は長男だから我慢できたけどーー」という名言(?)が生まれた回でもある。

善逸・伊之助という仲間に出会うほか、鬼の過去がかなり具体的に回想され、このエピソードで初めて同情する視聴者も多かったのではと思われる。

また仲間ができたことで、炭治郎が単なるいい奴ではなく、ちょっとズレたおかしな一面もあることが少しずつわかってくる。

我妻善逸(あがつまぜんいつ)

炭治郎が任務に向かう途中出会った、同期の鬼殺隊士。雷の呼吸の使い手。見知らぬ女の子にしつこく求婚し、困らせているところを炭治郎に止められる。自分はすごく弱いと言い任務を怖がり涙や鼻水を流して拒否。炭治郎に自分を守れと言うなど「大丈夫かこいつ」と思う感じで登場。

極度の恐怖などにより気絶し、寝ているような状態になると本来の能力を発揮する。平常時が嘘のように冷静になり、ものすごい速さで居合を繰り出す。だが寝ている間のことは覚えていないため、気づくと足元に鬼の頸が転がっていてびっくり、他の人が倒してくれたと思い感謝する。このため自分が強いことを知らない。

臆病な一方で、人のためとなると逃げずに行動できるいい奴である。

嘴平伊之助(はしびらいのすけ)

鼓屋敷の中で出会った同期の鬼殺隊士。猪の頭をかぶり上半身裸、刃がぎざぎざになった2本の刀を持っている。登場時は女の子を踏んだり、まともに会話が通じなかったり、箱に入った禰豆子を退治しようとしたりとあまり印象は良くない。

何らかの事情で捨てられ、猪に育てられたため、人間離れした身体能力を持つ。身体が柔軟で関節の付け外しを自分でできるほか、殺気や視線を肌で感じ取ることができる。たまたま出会った鬼殺隊士に勝って刀を奪い、腕試しで最終戦別に参加した。我流で呼吸術のようなものを身につけている。身体はムキムキ、素顔は美少女のようである。

炭治郎や善逸との関わりから、少しずつ変わっていく。

–{「鼓屋敷編」がっつり感想}–

「鼓屋敷編」がっつり感想

手毬鬼と矢印鬼との戦いでの傷が癒える間もなく、次の任務へ向かう炭治郎。

道中、嫌がる女の子にしつこく求婚する鬼殺隊同期・善逸に出会い、全力で止める。自分は弱いからこの任務で死ぬと言い出し、涙や鼻水を流して任務を恐れ、炭治郎に俺を守ってくれという善逸。

「大丈夫かこいつ、こんなんで何で最終戦別生き残れたんだろう」と困惑した。あまりの情けなさに炭治郎も困惑し「何でそんなに恥をさらすんだ」と真剣に問い、最終的にはゴミか、かわいそうなものを見るような目になるシーンがあった。基本誰にでも優しい炭治郎の新たな一面が垣間見えた瞬間でもあった。何かと我慢することが多かった炭治郎には理解できなかったのだろう。

目的地付近で、ひどくおびえた幼い兄妹に遭遇する。屋敷の中にいちばん上の兄が連れていかれたという。ほどなくして屋敷からは、彼らの兄とは別の少年が落ちてきて死亡する。

屋敷の中に入ると、入り口が閉ざされる。禰豆子の入った箱とともに外で待っているように伝えた兄弟も、箱からカリカリ音がするのを怖がってついてきたしまった。鼓の音をきっかけに、今いる部屋の周りにあるものや上下左右の向きなどが変わるようだ。炭治郎と善逸は兄妹それぞれ一人ずつと2-2で離れ離れになってしまう。女の子を守りながら戦おうとする炭治郎と、小さい男の子の前でも泣きわめき、何なら守ってもらおうとする善逸。こいつ本当に大丈夫か……?

移動していくと複数の鬼や、鬼に喰われて亡くなった人の遺体があった。身体に鼓をつけた鬼が鼓を叩くと部屋の回転や爪で引き裂くような攻撃が起こるようだった。この鬼は元は無惨のもとで十二鬼月として認められていたが、人肉を少ししか食べられなくなり、その座をはく奪されてしまった。

このため、一人食べるだけで50~100人分の栄養があると言われる「稀血(まれち)」の子どもを狙って食べていた。さきほどの兄妹の上の兄・清は、稀血だったために連れ去られたのだった。

炭治郎は苦戦していた。気を抜いたら相手の攻撃で輪切りになってしまう。頭を使わねばと考えるが、考える余裕がない。そして治っていない骨折がすごく痛い。ここで名言(迷言)として名高く、たびたび引用したり形を変えてSNSに投稿されたりするあのセリフが登場する。

「俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった」

いや、現状のつらさと長男か次男かってそんなに関係なくない……? と思いつつ、それだけ長男だからと我慢することが多かったのだろうなと思った。炭治郎、ひたすらいい人だと思っていたが、ちょっと様子がおかしくておもしろい。

「君! 名前は?」と聞かれて「響凱(きょうがい)」と名乗っちゃう鼓の鬼。素直……。

「響凱! 清……稀血(まれち)は渡さない…! 俺は折れない、諦めない!」

ここで流れてくるのが響凱の過去らしい光景。人間の頃の記憶だろうか。
書き物をしているらしき青年が、編集者らしき男に「あきらめなよ」と言われている。かなり嫌な言い方だ。

より攻撃を激化する響凱。激しい攻撃で、押し入れにしまわれていたたくさんの原稿用紙が飛び散る。

「つまらないんだよ、君の書き物は。すべてにおいて、塵のようだ。美しさも、儚さも、凄みもない」
「もう書くのはよしたらどうだい? 紙と万年筆の無駄遣いだよ」
「最近は昼間全く外に出て来ないし、そんなふうだから君はつまらないのさ」
「趣味の鼓でも叩いていたらいいんだ、それもまあ人に教えるほどの腕前ではないが」

ひどい言葉を並べ、床にばら撒いた原稿をわざと踏みつけた編集者。
響凱は、この男を殺した。

人間の頃と書いたが、このときはすでに鬼になっていたようだ。鬼となってからも物書きを続けていたのだろうか。

「紙を踏まないように避けたおかげで、怪我が痛まない体の動かし方、呼吸の仕方がわかった」という炭治郎。

「響凱! 君の血鬼術はすごかった!」と言い、彼の頸を落とす。

相手の技を純粋にほめる主人公、新しい!

消えゆく中、

「ゴミなどではない、少なくともあの小僧にとっては踏みつけにするようなものではなかったのだ」

うれし涙を流しながら「小生の血鬼術も、鼓も、認められた……」と消えていく響凱。

人間であった頃は書いたものをひどく罵倒され、鬼となっても十二鬼月から外され、ずっと認めてもらえなかった響凱。敵でありながら自分の原稿を踏まないように大切に扱ってくれ、血鬼術をすごかったと言ってくれた炭治郎の言動は、心底うれしかったに違いない。もう認められずに苦しむこともない。鬼は敵で倒されたわけだが、炭治郎に倒されたことで救われたようにも感じた。

個人的に、この作品ではじめて鬼に感情移入したエピソードだった。努力しても認められず苦しいという経験がある人は少なくないだろうし、刺さる人も多かったのではないでそうか。

鬼が元人間で、死ぬ瞬間の回想により100%憎めないという状況がたびたび発生するのは、「鬼滅の刃」の魅力のひとつだなと思う。あと、アニメ「鬼滅の刃」に出てくるぽろぽろこぼれる涙の表現、胸にくるものがある。

炭治郎・善逸・伊之助と同期が3人そろい、療養のために訪れた藤の花の家でのやり取りが微笑ましい。仲間を得たことでの戦い方や心境の変化にも注目したい。

–{「鼓屋敷編」名ゼリフ・名場面(※筆者の独断と偏見です)}–

「鼓屋敷編」名ゼリフ・名場面(※筆者の独断と偏見です)

「俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できなかった」

よくネタにされる名(迷)ゼリフ。怪我を我慢していた炭治郎が突然独白を始める。「長男関係ないのでは?」とも思うけど、実際炭治郎は長男だからと我慢してきたことが山ほどあるのだろうし、もはや長男は炭治郎のアイデンティティーなのでいいか。炭治郎、ちょいちょいおかしな発言が増えてきて、ただいい人なだけじゃなく天然な一面もあって面白い。

「頑張れ炭治郎頑張れ! 俺は今までよくやってきた! 俺はできる奴だ! そして今日も!これからも! 折れていても! 俺が挫けることは絶対にない!」

セルフで自分を勇気づけられる炭治郎。折れているってのは骨がっていうことなのだろうか。さらに「俺はやれる!!絶対やれる!!成し遂げる男だ。骨折していようが何だろうが俺はやれる!!戦える!!折れてる炭治郎も凄いんだというのを見せてやれ!!」と続く。

炭治郎の、戦いの中で冷静に長考できるところをすごいなと思っていたが、このアツい自己暗示もまたすごい。セルフマネジメント法を学びたい。

「響凱! 君の血鬼術はすごかった!」

響凱を倒す際、そう呼びかけた炭治郎。純粋に敵の攻撃ほめる主人公、新しい……書き物も、鬼としても認められないことで苦しんできた響凱は、うれし涙を流しながら消えていった。新しいけど、敵である鬼にこういう言葉をかけられるところもまた炭治郎の魅力だ。

「炭治郎……俺、守ったよ。お前がこれ、命より大事なものだって言ってたから」

あんなに鬼が怖いと泣いていたのに、炭治郎が禰豆子の入った箱を「命より大事なもの」と言ったのを聞いていた善逸。箱を壊して中にいる鬼を殺そうとする伊之助の前に立ちはだかり、蹴られたり殴られたりして顔が腫れ、血が出ても、刀を向けられてもそこを動かなかった。な、なんていい奴なんだ……。

「鬼を連れてることはわかってた……でも炭治郎からは泣きたくなるような優しい音がする……そこには必ず、事情があるはずだ」

伊之助に箱には鬼が入ってるんだぞと言われ、そんなのとっくに知ってた! と答える善逸。匂いで人の心情がわかる炭治郎同様、人の気持ちまで音でわかる彼は、音で箱の中にいるのが鬼だとわかっていた。そのうえで守ったというから驚きだ。

「鬼を連れてることはわかってた。鬼の音は人間の音と全く違うから。でも炭治郎からは、泣きたくなるような優しい音がする。今まで聞いたことのないくらい、優しい音だ」「そこには必ず、事情があるはずだ。それは、俺が納得できる事情だって、信じてる」

おお……パッと見で判断せず自分なりの判断軸を持ってるんだ、好き……! 何だこいつとか思ってごめん。

「今この刹那の愉悦に勝るもの無し!」

善逸と戦った後、静止もきかず炭治郎に襲い掛かる伊之助のセリフ。育ち方が独特なので、こういう考えになるのも無理がないし、この言葉ちょっとかっこいい。

「君の顔に文句はない!こぢんまりしていて色白でいいんじゃないかと思う!」

素顔について言及されるのを嫌ってるっぽい伊之助は、「俺の顔に何か文句あんのか?」と言うのだが、この答えである。相手は余計怒るのだが、たぶん本気で言っている。炭治郎のボケた一面が出てきて面白い。伊之助、美形だよな……。

「そうか、傷が痛むからできないんだな?」「いや、いいんだ、痛みを我慢できる度合いは人それぞれだから」

屋敷での戦いが終わった後、中で亡くなった人たちの埋葬を手伝ってくれと言われ断った伊之助への言葉。山で育った伊之助には、人を埋葬して弔う意味も、関係ない自分たちがそれをやる意味もわからなかった。

怪我が痛いからできないと思い込んだ炭治郎は、善逸とみんなで頑張るから伊之助は休んでてくれと本心で言うのだが、伊之助には煽りのような役割を果たし、結果めちゃくちゃ積極的に手伝ってくれた。炭治郎のセリフを聞いて、年下の清たち兄弟が「ズレてる」「ズレてる」とドン引きしていたほど。

「そんなんじゃ、もうごはんを一緒に食べてやんないぞ」「ごはんはみんなで一緒に食べたほうが美味しいんだぞ」

殴ったことを謝れという善逸、断る伊之助、謝るんだ! とたしなめる炭治郎。3人のやり取りがコントみたくなってきてて楽しいが、このセリフがちょっとお兄ちゃんぽいし子どもっぽくてかわいい。あと善逸がごはんはみんなで食べたほうがおいしいと思っているのもかわいい。

「わかっててかばってくれたんだな。善逸はほんとにいい奴だな、ありがとう」

鬼が入っていると知っててかばってくれたと知り、心からお礼を言う炭治郎。なんだかんだ2人ともいい奴だ……!

次回は「那田蜘蛛山編」

次なる那田蜘蛛山編は、炭治郎・善逸・伊之助が初めて3人で向かった任務。引き続き楽しみだ。

(文:ぐみ)

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