「お耳に合いましたら。」第9話レビュー:ピザは世界最強のパーティーグッズ⁉(※ストーリーネタバレあり)

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テレビ東京が音楽ストリーミングサービス「Spotify」と共に、ポッドキャスト番組と連動させたオリジナルドラマ「お耳に合いましたら。」を2021年7月8日より放送する。

伊藤万理華演じる会社員の高村美園が、とあることをきっかけにポッドキャストを始め、人気のパーソナリティ目指して奮闘する物語。

本記事では、第9話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。

「お耳に合いましたら。」第9話レビュー

ポッドキャストとチェンメシをめぐる深夜ドラマ「お耳に合いましたら。」。第9話はちょっとした番外編。主人公・高村美園(伊藤万理華)のポッドキャストを愛聴している引きこもりのお嬢様、西園寺ヒナミ(豊嶋花)の物語だった。

西園寺家は使用人が3人もいる立派な家柄。ヒナミは健康のためにオーガニックな野菜料理しか口にしたことがなかったが、美園のポッドキャストを聴くようになってからチェンメシに憧れをいだくようになる。

「牛めしやハンバーガーに立ち食いそば。もう食べてるのを聴いてるだけで、口から唾液が出て、胃がジャンクを求めて苦しくなるの!」

わかる、わかるよ、ヒナミお嬢様。彼女はポッドキャストでの美園の呼びかけに応え、執事の松岡(嶋田久作)、家政婦の梅垣(小林きな子)、シェフの竹森(山崎樹範)に向かって、7年3ヶ月ぶりにわがままを言う。

「私、明日、ドミノピザが食べたい!」

最初は「不祥事」「背信行為」と渋い顔をしていた松岡も、ヒナミが「私は、この4人でピザを食べたいの」「みんな、家族なんだもん」という言葉に思わず破顔。都合の悪い3人に代わってヒナミが一人でドミノピザを買いに行くことになる。お嬢様の大冒険だ。

ヒナミ役の豊嶋花は、数々のドラマで主要人物の子ども時代を演じてきた名子役。最近では「大豆田とわ子と三人の元夫」の娘・唄役が印象的。徐々に名子役から名女優へと脱皮しつつある感じがする。今回も使用人を演じた芸達者たちとのやりとりが楽しい。

いろいろありつつ(たいしたことではないんだけど)、無事にドミノピザを買ってきたヒナミは、美園のポッドキャストを聴きながら4人でピザにかぶりつく。「ああ、世界の色が変わるほど美味しすぎる!」とヒナミが叫ぶのだが、筆者もピザを一度も食べたことのない状態に戻って初めて食べてみたら、こんなことを叫ぶのかもしれない。

「ピザって無敵ですよね。どんなに悲しくても、どんなに空気が悪くても、ピザが来たら、そこが一気にパーティー会場になってしまって、誰もが笑顔になる。お寿司とピザは、もう世界最強の食べられるパーティーグッズだって私は思うんです」
「一人で食べている人は、ピザが空間を明るくしてくれるし、仲間や家族で食べている人は、何でも明るく話せそうな空気に包まれる。ビバ、ピザ!」

美園のポッドキャストの喋りもキレキレ。ピザを囲んだヒナミと使用人たちは、楽しいパーティーをしている家族のようでもあり、仲間のようでもある。そういえば、昔、会社勤めをしてるときの残業の夜食は上司が取ってくれたピザだったなぁ、と思い出したりした。あれは、陽気に仕事をしようぜ! という上司なりのメッセージだったのかもしれない。

ヒナミの初恋の予感も匂わせつつ、最後は厳格な母親(吉本菜穂子)が「開かずの冷蔵庫」からピザによく合うコーラを出してハッピーエンド。エンディングダンスは、途中から「ご本人登場!」みたいな感じで現れた美園に、驚きと喜びを隠せないヒナミの姿がキュート。

今回はレジェンドパーソナリティが登場しなかったが、シェフ役の山崎樹範は人気ラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」の“初代校長”で、そのとき“初代教頭”だったのが、今回の脚本を担当したマンボウやしろだった。

(文:大山くまお)

「お耳に合いましたら。」第9話ストーリー

あることからひきこもりになってしまったお嬢様・西園寺ヒナミ(豊嶋花)は、最近美園(伊藤万理華)のポッドキャストにはまっていた。今まで家で出されるオーガニックな食事しか食べていなかったため、美園のチェンメシ愛を聞き、どうしてもジャンクフードが食べたくなってしまう。その思いを執事・松岡(嶋田久作)、家政婦・梅垣(小林きな子)、シェフ・竹森(山崎樹範)に訴えると、最初は反対されるも滅多にないヒナミのお願いに母(吉本菜穂子)に内緒で4人でピザ購入計画を実行することに…

–{「お耳に合いましたら。」作品情報}–

「お耳に合いましたら。」作品情報

高村美園(伊藤万理華)は、とある漬物会社に勤める会社員。彼女の楽しみはお気に入りのポッドキャスト番組を聴き、会社帰りに“チェンメシ(チェーン店グルメ)”を買って、ひとり自宅で満喫すること。大勢の前で自らを表現することが苦手な美園であったが、「好きなこと」を語るときだけ熱量が溢れる美園の姿を見ていた同僚・亜里沙(井桁弘恵)に、ポッドキャスト配信をやってみることを勧められる。
そして美園はある夜、大好きなチェンメシを片手に、はじめてのポッドキャスト配信に挑戦することに。トークのルールもわからない美園であったが、その気持ち溢れる、実に“おいしそうな配信”が徐々に反響を呼んでいく。そして、会社の後輩で“音オタク”の佐々木(鈴木仁)もそこに加わり、美園は仲間とともに、番組「お耳に合いましたら。」の人気パーソナリティを目指して、成長していく。

出演:伊藤万理華/井桁弘恵/鈴木仁 ほか 

監督:松本壮史/杉山弘樹/松浦健志

脚本:家城啓之/大歳倫弘/灯敦生/松本壮史

原案・企画・プロデュース:畑中翔太(博報堂ケトル)

キャストコメント

伊藤万理華(高村美園 役)コメント 

主演ドラマ、というのがまったく聞き馴染まなくてドキドキしています。
ラジオレジェンドの大先輩の方々に見守られながら、撮影に奮闘しています。
Spotifyユーザーとして、このドラマを通してポッドキャストデビューできることがすごく嬉しいです!
私が演じる、高村美園の発する拙くも漏れ溢れ出るチェンメシ愛をどうかあたたかく聴き取って、
見守っていてください。木曜日のこの夜が明日のもうひとがんばりに繋がって、
それを終えてから食べるチェンメシはきっと最高に美味しいです。
美園と一緒にそんな楽しい習慣をつくっていきましょう。
お耳チーム一丸となって良い作品にしていきます!どうぞよろしくお願いします。

井桁弘恵(須藤亜里沙 役)コメント 

「音声コンテンツ」と「チェンメシ」どちらも身近で大好きな私にとってこのドラマはワクワクで楽しみでしかありません!
伊藤万理華さんが演じられる美園を亜里沙としてサポートしながら、私自身もこの作品を通して一緒に成長できたらいいなと思っています。
音声コンテンツとチェンメシのコラボはもちろん、美園と亜里沙、そして鈴木仁くん演じる佐々木とのほっこりするやりとりも楽しんでいただけると嬉しいです!

鈴木仁(佐々木涼平 役)コメント 

​佐々木涼平役を演じさせていただくことになりました。鈴木仁です。
後輩やオーディオマニア、他にも涼平の様々なキャラや武器をフル活用して作品の中に入り込んでいければと思います。
特に美園先輩、亜里沙先輩との掛け合いはこのドラマにおいて、重要になってきます。作品の空気感を大切にして、遊びも交えながら真剣に取り組んでいきます。よろしくお願いします。

スタッフコメント

〈原案・企画・プロデュース〉博報堂ケトル 畑中翔太

この企画は、自分自身が小学生の頃、CDコンポを並べてカセットテープに録音していた“自作のラジオ番組”がきっかけで生まれたものです。ポッドキャストなどの音声メディアの浸透とともに、今では「誰もがパーソナリティになれる時代」となりました。主人公の高村美園はごく普通の会社員ですが、ある日ポッドキャストとの出会いから、憧れだった“パーソナリティ”への道を歩んでいきます。それは今の時代、誰しもに起こるようなリアルストーリーだと思います。
そして主人公が配信するテーマ、それは牛丼、ハンバーガー、ラーメン、ピザ、お寿司などなど・・彼女が愛してやまない、魅惑のチェーン店グルメ・通称“チェンメシ”。
これから平日に疲れた木曜の深夜には、伊藤万理華さん演じる美園のほっこりするような「パーソナリティ成長記」と、テレ東ならではの「深夜グルメ」の“異色コラボ”をぜひお楽しみください。

〈プロデューサー〉テレビ東京 寺原洋平

キャンプ、サウナ、車中泊など今までライフスタイル系ドラマを作り出してきたテレビ東京が新しく挑戦するのは、最近まさに注目を浴びている“音声コンテンツ”!そこにテレビ東京が得意とするグルメエッセンスと、20代前半に誰もが経験する「大人の青春」を掛け合せたら、主演の伊藤万理華さん演じる美園がとても個性的でチャーミングなキャラクターに仕上がりました。今後、発表される絶対予想できないSpotifyさんとのメディア連動のパーソナリティ正体も併せて是非ご期待ください!

スポティファイ ジャパン株式会社  音声コンテンツ事業統括  西ちえこ

駆け出しのポッドキャストパーソナリティとして奮闘する女性を主人公にしたドラマというのは、これが初めてではないでしょうか。ポッドキャストはいつでもどこでも無料で楽しめる音声コンテンツで、毎日の生活の中で新しい世界や興味を広げてくれるだけでなく、専用アプリ「Anchor by Spotify」を使えば誰でも自分の考えや物語を簡単に世の中に届けることもできます。音声コンテンツは今かつてない盛り上がりを見せていますが、音声を介した表現方法は様々で、これからもフォーマットに縛られない新しい表現方法が日本のクリエイターによって生み出されていくことに期待しています。ドラマとこれに連動したSpotify上での展開を通じて、音声コンテンツの楽しさをより多くの方に知っていただければと願っています。