映画『ヒロアカ WHM』何度でも楽しめる「7つ」のポイント

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2014年に「週刊少年ジャンプ」で連載開始して以来、コミックスシリーズは世界累計5000万部を超える人気を集め続けている「ヒロアカ」こと「僕のヒーローアカデミア」。テレビアニメや劇場版、さらには原画展まで大盛況で、2021年8月6日に公開された劇場版第3作『ワールドヒーローズミッション』はヒロアカ歴代映画シリーズNo.1の大ヒットを記録しています。

今回はヒロアカならではの魅力&尊さがたっぷり詰め込まれた『ワールドヒーローズミッション』の見どころを紹介したい。

※本記事はネタバレを含むので、未鑑賞の方はご注意ください。

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1:爽快&大迫力なアクションシーン

ヒロアカの劇場版といえば、超絶スケールのアクションシーンが魅力。劇場版の過去2作『2人の英雄』や『ライジング』のアクションも迫力満点だったが、『ワールドヒーローズミッション』のアクションシーンは予想のさらに上をいく大迫力だった。第2作『ライジング』のクオリティがずば抜けていたため、既に最大限を出し切っていると思っていたが超えてきた。

原作者である堀越先生も「アニメのスタッフさんたちとはかなり厚い信頼関係が築けていたので、3作目はアニメの方々にお任せする部分も多かった気がするんです。都合のいい話かもしれませんが、2作目が僕の最大限だったとすれば、3作目はアニメスタッフさんたちの最大限が出ているのではないかと思っています。」とお墨付き。

原作者の言葉通り、ボンズ(アニメ制作会社)のプルスウルトラがひしひしと伝わる映像クオリティとなっている。

デクが“黒鞭”を習得したことで、彼のアクションもさらにキレキレ。大画面の中を縦横無尽に駆け回るド派手なアクションの数々に、思わず呼吸を忘れて画面に釘付けになる。世界規模を感じさせる外国の街並みを背景に、スパイダーマンのように飛び回る姿は大人も子どももワクワクが止まらないこと間違いないだろう。

ヴィランとの戦闘シーンの真剣さはいつものヒロアカだが、本作の前半で躍動するロディとデクの“追いかけっこ”の爽快さのおかげで、映画全体が明るく前向きな雰囲気に仕上がっている。(何度でも観たくなる追いかけっこのドキドキワクワク感はぜひ劇場で…!!)

–{2:オリジナルキャラ「ロディ(CV吉沢亮)」}–

2:オリジナルキャラ「ロディ(CV吉沢亮)」

『ワールドヒーローズミッション』を語るうえで絶対に外せないのが、オリジナルキャラである「ロディ・ソウル」の存在。ロディはオセオンで運び屋として働いている少年で、宝石強盗を追っていたデクと遭遇後にヒューマライズの陰謀に巻き込まれながら、デクたちと行動を共にする。

個性的なヒロアカのキャラクターたちに負けず劣らず魅力的で、鑑賞後にロディの虜になってしまう人が続出するほどだ。(実際にヒロアカ本誌で実施された人気投票では9位に食い込んだ)

ロディを演じたのは大人気俳優の吉沢亮。アニメの劇場版で俳優をゲスト声優として起用することに不安を感じる人も多いが、そんな心配を吹き飛ばすような“声の芝居”に度肝を抜かれた。吉沢亮は軽妙かつ表情豊かなキャラクターに対して、見事な表現力による声の演技で命を吹き込み、ヒロアカにぴったりな“声優”として大活躍していたのだ。

監督の長崎健司氏やヒロアカの声優陣にも演技を絶賛されているあたり、声優・吉沢亮の活躍がどんどん広がりそうな予感がする。他の作品でも声の演技をもっと見てみたいし、ロディの役を吉沢亮が演じてくれて心からよかったと思う。




–{3:ロディ×デクの凸凹バディ}–

3:ロディ×デクの凸凹バディ

ロディは一見すると軽いキャラのように思えるが、弟妹への思いや過去の境遇からわかるように、かなり人間くさいキャラクターだ。緑谷をはじめとする雄英生やオールマイトのようなヒーローを見ていると感覚が狂ってしまうが、ロディの「家族を守るためにデクを裏切る」という行動に、一般人らしさが現れている。

一度はデクを裏切ったロディも、デクのヒーローとして覚悟に触れて、徐々に心を開いた。2人が話をする場面は、ロディの価値観が大きく揺さぶられる重要なシーンであると同時に、デクの「ヒーローとして、ワン・フォー・オールの継承者としての気持ちと覚悟」を再確認できる、これまた重要なシーンでもある。

強烈なまでの“救けたい”という思いを胸にまっすぐ前に進み続けるデクは眩しく、カッコイイ。しかし一方で、執念に近い思いはデクを前に向かせると同時に、徐々に彼にまとわりついて呪いのように苦しめるのではないか、とすら感じさせる。ロディに自らのヒーロー観を語る際、今までの戦闘や訓練で負った傷跡が映され、ヒーローのカッコ良さ以上に“怖さ”を突きつけられる。

物語の軸となる「ロディ×デク」は、価値観がまったく異なるロディとデクが徐々に仲を深める様子が丁寧に描かれているため、セリフのない逃避行シーンも目を離せない。(逃避行シーンで流れるアジカンの挿入歌「フラワーズ」が心に沁みる……)

またロディの個性“魂(ソウル)”を理解したうえで本編を観ると、ロディの細かな本心まで見えるため何度でも楽しめるようになっている。物語のラスト、デクとの別れの描かれ方はきっと何回観ても泣いてしまうだろう。

–{4:緑谷・爆豪・轟が魅せる成長}–

4:緑谷・爆豪・轟が魅せる成長

今作『ワールドヒーローズミッション』では緑谷・爆豪・轟たちの成長を感じられるようになっている。物語の時系列的にエンデヴァーのもとでインターンしている最中なので、心身ともに成長が見られるのだ。

今作ではデクが黒鞭を器用に使いこなして縦横無尽に飛び回る様子が多く描かれており、テレビアニメで黒鞭の暴発で戸惑っていたことが記憶に新しいこともあり(「受け継ぐモノ」)、アクションシーンにワクワクしつつも成長に感動するなど感情が大忙し。

第1作『2人の英雄』ではオールマイトとデクの師弟コンビ、第2作『ライジング』では1年A組オールスター&緑谷と爆豪の“2つのワン・フォー・オール”でヴィランに挑んでいた。一方の今作はヒューマライズの本拠地ではそれぞれが1人でヴィランに挑む。

1人でヴィランと戦い、「なんとしてでも勝つ」という姿は最高にカッコイイ。

戦闘シーンは3人とも超絶カッコイイのだが、なかでも注目&激推ししたいのがショートこと轟焦凍の戦闘。エンデヴァーの息子として生まれ、様々な苦悩や葛藤を経て“なりたいヒーロー”を目指している。そのショートが決め技として放ったのが「赫灼熱拳噴流熾炎(かくしゃくねっけんふんりゅうしえん)」だった。初期はエンデヴァーをひたすら憎み、自身の炎熱の個性も封じていた彼が、決め技として赫灼熱拳を使ったことの感動はもはや言葉にならないのだ。

一発の赫灼熱拳に込められた個性的な成長と、精神的な成長を見て、今後もっともっと強くなることを確信した。(ほとんど泣きながら)

また爆豪勝己の戦闘シーンも外せない。双子ヴィランとの戦闘による負傷で、血が入ってもなお目を見開いて戦う爆豪の姿を「最高にかっちゃんって感じだな……」と思いながら観ていた。彼の「戦って勝つ」という信念を感じられる。

CV岡本信彦の演技とボンズの神作画が合わさって、過去最大級の「榴弾砲着弾(ハウザー インパクト)」が観られるのも大きなポイントだ。

もし余裕があれば、原作やアニメを軽く復習しておくと、彼らの成長をより一層実感できて、それだけで泣けるだろう。
「これ以上は僕が許さゃなへぞ」と震えていた少年が、ヒーロー“デク”としてフレクト・ターン(ヒューマライズの指導者)の個性に立ち向かい続ける姿なんてもう……劇場効果も重なって感極まるのも仕方ない。

–{5:映画ならではのキャラたちの活躍}–

5:映画ならではのキャラたちも活躍

世界中に隠されている個性因子誘発爆弾(イディオトリガーボム)を見つけるために、各地でヒーローが奮闘する。原作にも登場するお馴染みのヒーローのほかに、今作オリジナルのプロヒーローも活躍。シンガポールの「ビッグ・レッド・ドット」やエジプトの「サラーム」など、ヒロアカらしい個性的なヒーローにも注目だ。

今作のオリジナルキャラで、筆者的なお気に入りは“透視(ボヤンス)”の個性を持つクレア・ボヤンス。透視の個性でエンデヴァーチームに貢献する。ヒーローチームで活躍する実力とクールビューティーさがカッコイイ……!

そのほか、ホークスの戦闘シーンが描かれているのもファン的には嬉しいところ。
前作『ライジング』ではあくまでもヴィラン側の動向を探る立ち位置で、九州でのエンデヴァーとの共闘ではサポートメインだったこともあって、ホークスの戦闘シーンはなかなか貴重なのだ。

ただし、「速すぎる男」の名の通り戦闘シーンは一瞬で終わってしまうので、瞬きは禁物だ。(本当に瞬きしている間に終わる)

–{6:世界規模でも変わらない“1年A組”の絆}–

6:世界規模でも変わらない“1年A組”の絆

世界中でバラバラになって戦いながらも、互いに気持ちは同じだと分かっている1年A組の面々からは強い絆を感じ、その中心にいる緑谷たちの存在が心強く思える。

前作『ライジング』ではA組全員が同じ場所で戦っていたからこそ、今作の「戦う場所はバラバラだけど諦めない気持ちは同じ」というシーンに心打たれるのだ。

A組の絆といえば、ヒーロー仮免試験で他校に分断されながらも「アイツならきっと諦めない」という心の繋がりを思い出される。今作はその頃よりも様々な出来事を経て、互いの信頼がパワーアップしたからこその関係性が見えて、感慨深いものがある。

–{7:鑑賞後もヒロアカの世界を楽しませてくれる“エンパシー”}–

7:鑑賞後もヒロアカの世界を楽しませてくれる“エンパシー”

『ワールドヒーローズミッション』の主題歌&挿入歌はアジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONが担当。主題歌の「エンパシー」はヒロアカの様々な個性が溢れる世界にぴったりで、聴くだけで映画の感動が鮮明に浮かび上がるようになっている。

よく耳にする「シンパシー」は他人と感情を共有することを指し、「エンパシー」は“他人と自分を同一視することなく、他人の感情を汲むこと”を指すのだそう。総人口の約8割が個性を持つ超人社会であるヒロアカの世界にぴったりな曲名だ。

エンディングではロディの前向きな生活を描いていたので、今エンパシーを聴くだけで、ロディの表情やデクに出会ってロディの心が揺さぶられる様子が蘇る。

映画のストーリーが個性社会崩壊の危機に立ち向かう話でも、「エンパシー」からは明るい未来への希望が感じられるようになっている。過去の境遇から夢を諦めた少年が“本物のヒーロー”と出会い、夢を追う力を思い出して明るい未来に向けて走り出す……そんなロディの人生と重なるのだ。「エンパシー」を聴いてロディと同時にデクの笑顔を思い出すのは、ロディに大きな影響を与えたのがデクだからなのだろうか。

もちろん筆者の勝手な解釈なので、楽曲の感じ方は人それぞれだが「エンパシー」が聴く人に明るい希望をもたらしてくれることは確かだ。コロナ禍で下を向いてしまう時でも、少しでも前に向かって進んでみようかと思わせてくれるパワーがある。

また「エンパシー」のサビはつい歌いたくなるメロディで、晴れた日に仕事に向かうロディが口ずさんでいる様子がなんとなく目に浮かぶ気がする。ストーリーやキャラの成長だけでなく、主題歌や挿入歌、さらにはサウンドトラックの隅々まで、聴くだけで鑑賞後でもヒロアカの世界を堪能できるようになっている。

最後に:敵<ヴィラン>にも要注目!

今回はヴィランには触れていないが、ヒロアカに登場するヴィランたちはただの“悪”だけでは語れないキャラクターが多い。ヒーローだけではなく、ヴィランに注目して作品を観ると、別の面白さが浮かび上がってくるのだ。

特に原作に登場するヴィランたちは信条やキャラクターがとても丁寧に描かれているため、ヴィランについて知れば知るほど「正義と悪とは」「ヒーローとは」などと考えさせられてしまう。

連載開始以来、テレビアニメ放送開始以来、劇場版第1作公開以来、ずっと“プルスウルトラ”でパワーアップし続けているヒロアカは、今を生きる私たちのエネルギーになってくれるはず。

コロナ禍で先が見えない苦しい日々が続くが、そんな中でもヒロアカは前を照らしてくれる。ヒロアカは心の栄養剤なのだ

今後のヒロアカのプルスウルトラに期待しつつ、これからどのように物語が進んでいくのかを心待ちにしたい。

(文:谷口仁菜)

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–{『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』作品情報}–

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』作品情報

ストーリー
世界中の“個性”保持者の殲滅を目論む謎の組織・ヒューマライズ。彼らが各国に仕掛けた“個性”を暴走させ崩壊に導く爆弾「個性因子誘発爆弾(イディオトリガーボム)」から人々を救うため、世界選抜ヒーローチームが結成される。世界各国のプロヒーローと、ヒーロー事務所でインターン中だった雄英高校ヒーロー科が招集され、各地で爆弾の回収任務にあたっていた。

エンデヴァー事務所でインターン中のデク・爆豪・轟の3人も、日本から遠く離れた国<オセオン>で作戦行動中、ある事件に巻き込まれたデクがなんと全国指名手配…!事件をきっかけに出会った運び屋の少年・ロディとともに、オセオン警察や謎の敵(ヴィラン)からも命を狙われることに……
その影でひっそりと動き出す巨大な陰謀。

そのとき、ヒューマライズの指導者フレクト・ターンからの犯行声明が全世界に届く……

「タイムリミットは今から2時間」

世界中で発生するパニック、刻一刻と迫りくる滅亡の瞬間。ヒーローチームは絶体絶命の状況下で、危険を顧みずに各地の爆弾の回収に向かう……

ヒロアカ史上最大の危機を前に、世界の、そしてヒーロー達の未来が、“彼ら”に託された。

予告編

基本情報
声の出演:山下大輝/岡本信彦/梶裕貴/稲田徹/中村悠一/三宅健太/中井和哉/吉沢亮 ほか

監督:長崎健司

公開日:2021年8月6日(金)

製作国:日本