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2021年7月9日、テレビ東京金曜深夜枠に「孤独のグルメ」が帰ってくる!
輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎を演じるのは、松重豊。食欲をそそる料理と五郎の大胆な食べっぷりに注目だ。
本記事では、第6話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「孤独のグルメ Season9」第6話レビュー
今日は豊島区南長崎にやってきた井之頭五郎(松重豊)。商談では、アジェンダ、アジャスト、KPI、MTG、ASAP……などと横文字を並べて喋るアプリ会社のCEO(日向丈)に辟易とさせられる。うーん、わかるなぁ。こういう言葉をまくしたてられると、ついつい知らないことを恥だと思ってしまいがちだが、これからは五郎さんのように堂々としていたい。だって使わなくても話はできるんだもの。
今でもスマホを持たず、ガラケーを使う五郎さん。スマホは便利かもしれないが、スマホを持たない人が対応しようとすると不便が発生する。「ひとつ便利になると、ひとつ不便が生まれる。便利と不便の総数は一定なのではないか」という五郎さんの哲学にも納得させられる。
脳の疲れと空っぽの胃袋を癒すための「まっとうな店」を探し、たどりついたのが「割烹・定食 さがら」。「KPでもTSでもなく、割烹・定食」という五郎さんの言葉がおかしい。最初、何のことを言っているのかわからなかったよ。
大人気のランチは、ベーコンエッグとカツオのたたきのセット。さらにメニューには無数のセット定食が。餃子とマグロ刺身の組み合わせ定食なんて初めて見た!
五郎さんが選んだのは、肉とナスの醤油炒め定食と鳥唐揚げ単品。セットにはないメニューだが、自分のインスピレーションを押し通す様が気持ちいい。当然のようにガツガツ(でも上品に)食べ進めていく。「『普段使い』という単語の挿絵はこの店で決まりだ」「このしょうゆだれ、日常の奇跡かもしれない」というモノローグがお気に入り。「ソースも良い良い、ヨヨイのヨイ」はオープニングに登場する「なくてけっこう、コケコッコー」の類似パターンと見た。
注文をとる息子(「MIU404」でエトリを演じた水橋研二)の丁寧な対応を見た五郎さんは、心の中で頭を下げる。
「ただでさえ大忙しなのに、このご時世、やることが増えて、本当に飲食店のみなさんの努力には頭が下がる。毎日毎日、ご苦労様です」
2年ぶりの新シリーズとなる「孤独のグルメ Season9」は、コロナ禍で苦しむ個人経営の飲食店へのエールをテーマにしているように見える。今回はそれが強く表れていたエピソードだと感じた。五郎さんは追加注文した冷やし中華をたいらげながら(いつもながら驚きの健啖ぶり!)、こんなことを思う。
「大衆のための、昔ながらの安くて美味い店。いつものみんながいて、笑顔が見える。それ以上の幸せは、ない」
安くて美味くて、みんなの笑顔が見える店。今の非日常のような毎日にあって、それこそが大切な「日常の奇跡」だ。感染対策をしっかりして黙食を心がけつつ、あらためてこのような店を応援していきたい。
(文:大山くまお)
「孤独のグルメ Season9」第6話ストーリー
仕事で落合南長崎にやってきた井之頭五郎(松重豊)。今回の商談相手のアプリ開発会社CEOの森本(日向丈)はカタカナやビジネス用語を混ぜるタイプの人であった。いまだガラケーを使っている五郎からしたら、新しい言葉やシステムにはついていけるわけもなく、話が噛み合わない。商談を終えると五郎は疲労ですっかり空腹になっていた。そこで五郎は新しいシステムや言葉にごまかされないまっとうな食事で空腹を満たすことに。路地で迷っていると、目の前に現れたのはKPでもTSでもなく雰囲気「良」の【割烹・定食】の文字。五郎は探していた真っ当な食事がここにあると、悩むことなく定食屋へ足を踏み入れるのであった…。
–{「孤独のグルメ Season9」作品情報}–
【作品情報】
数々の話題作を生み出しているテレビ東京金曜深夜の代名詞『ドラマ24』。
この度、7月から松重豊主演、人気グルメドキュメンタリードラマの第9弾「孤独のグルメ Season9」が、連続ドラマとしては約2年ぶりに放送スタートすることが決定しました。
「孤独のグルメ」は原作・久住昌之、画・谷口ジローの同名人気コミックをもとにドラマ化。輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎(松重豊)が営業先で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、食べたいと思ったものを自由に食す、至福の時間を描いたグルメドキュメンタリードラマです。2012年1月、深夜にひっそりと放送がスタートするや、食欲をそそる料理と松重豊が演じる五郎の大胆な「食べっぷり」や「心の声」が話題となり、ハマる人が続出!さらに、2017年から2020年と4年連続で大晦日の夜にスペシャルドラマを放送し、本作の続編を待ち望む声が高まる中、ついに最新シーズンが始動!
今回のSeason9では、家族経営などの小さなお店をメインに、コロナ禍で再注目&再評価される【独り飯】をさらに掘り下げ、お腹も心も満たしてくれる飲食店と主人公の物語を構成!選りすぐりのお店と共に、かつて訪れた懐かしのお店も再訪。果たして五郎はどんな街で、どんな絶品グルメと出会うのか!?そして、深夜だからこそ、お腹が空くこと間違いなしの絶品グルメシーンに五郎のたべっぷりと番組9年の歴史、今昔物語にも是非、ご注目ください!
出演:松重豊
原作:『孤独のグルメ』 作/久住昌之・画/谷口ジロー(週刊SPA!)
脚本:田口佳宏、児玉頼子
音楽:久住昌之 ザ・スクリーントーンズ
チーフプロデューサー:阿部真士
プロデューサー:小松幸敏(テレビ東京)、 吉見健士(共同テレビ)、 菊池武博(共同テレビ)
演出:井川尊史、北畑龍一、北尾賢人、佐々木豪
制作協力:共同テレビジョン
製作:テレビ東京