2016年にサム・ライミ監督がプロデュースした新鋭監督のオリジナル・ホラー映画が世界的にスマッシュヒットを飛ばしました。
それが『ドント・ブリーズ』(Don’t Breathe)。
荒廃したデトロイトのゴーストタウンの一角にある独居老人の家に強盗に入った不良が体験する身も凍る、まさにドント・ブリーズ=息もつけない恐怖を描き出した本作は、サム・ライミの審美眼と、新鋭監督のフェデ・アルバレスを名を世界にとどろかせました。
その『ドント・ブリーズ』の続編、『ドント・ブリーズ2』がついに2021年8月13日に公開となります。
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『ドント・ブリーズ』とは?
シリーズ1作目となる『ドント・ブリーズ』。
アメリカ大統領占拠でも話題になったラストベルト(=さびついた工業地帯)の一角のデトロイトのゴーストタウンが舞台。
小さな強盗を繰り返して、生計を立てる(?)不良の若者が、次の標的に選んだのは盲目の独居老人の家。
難なく侵入を果たし金品を物色しているところ、逆に家主の老人に襲い掛かられ、いつの間にか狩られる側に…。
この老人、盲目ではあるものの退役軍人で、超人的な聴覚と怪力、戦闘能力を持っている男だったのです。
予想の斜め上を行く『ドント・ブリーズ2』
リーアム・ニーソンの『96時間』シリーズやデンゼル・ワシントンの『イコライザー』シリーズのように“舐めてた相手が殺人マシーンでした”系の話はアクション映画ではよく見られるもので、今年 2021年も『Mr.ノーバディ』という秀作がありました。
これをホラー映画に持ってきたのが『ドント・ブリーズ』の製作チームの慧眼といえるでしょう。
このジャンルは殺人マシーンが殺人マシーンであることを明らかにして、暴れまわるところが肝なので、そこを活かすとしたら、むしろアクションよりホラーやスリラーの方が良かったのかもしれません。
アイデアを見事に活かし、一発、大きな花火を打ち上げた『ドント・ブリーズ』ですが、その続編にはしばらく時間がかかりました。
というのも、映画『ドント・ブリーズ』はかなり”完結感”の強い1作だったのです。
そんなこともあって、フェデ・アルバレスは今後もホラーやスリラーを撮っていくだろうなとは思えても、『ドント・ブリーズ』の話に”続き”を作るのはないのだろうなと思われていました。
まぁ、過去のホラー映画の歴史を見れば、ちょっと無理!!というようなところから強引に糸口を見つけ出して、続編が作られ、シリーズ化されるホラー映画は山のようにありましたが、『ドント・ブリーズ』はちょっと、その糸口を見つけることがかなり難しいのではと思われました。ましてや、監督作品だけでなく『THE JUON/呪怨』などのプロデュースでも知られるサム・ライミがGOサインを出す企画でなくてはいけないのでそのハードルはかなり高かったのと思われます。
–{どうなった!?『ドント・ブリーズ2』}–
どうなった!?『ドント・ブリーズ2』
サスペンススリラーの色合いが濃くなったことで『ドント・ブリーズ2』の内容については、ネタバレ注意状態で、踏み込んだ話がしにくいのですが、大きく話の軸をずらしてきたということはいっていいでしょう。
『ドント・ブリーズ』の続編が、こういう形で来るとは予想しておらず、素直に唸りました。
サム・ライミも絶賛したというこの続編アイデアは『ドント・ブリーズ』の続編としては意外性に満ち満ちていて、そういう方向になったか!?と思わせるものです。
その一方で、ホラー映画の歴史を見ると実は、こういった“視点と軸足を変える”ことでシリーズ化したホラー映画シリーズは結構多いのではと思います。
具体例を挙げると『ドント・ブリーズ2』のネタバレに繋がってしまうので困るのですが、見終わってみると、過去のシリーズ化されたホラータイトルが浮かぶ人がいるかもしれません。
ただ、普通のホラー映画ではなかった『ドント・ブリーズ』のチームが、満を持して放つ続編なので定石を辿っただけの続編にはなっていません。
一つ大きな特徴を挙げるとすれば、『ドント・ブリーズ2』はそれ一本でかなり独立した映画になっています。
そう意味では前作の予習が要らないので、その点でもお薦めです。1作目もNetflixなどで見られる上に88分という短い映画になっているので、1➡2でも2➡1でも順番は関係なく見ておいて、損はない映画です。
(文:村松健太郎)
–{『ドント・ブリーズ2』作品情報}–
『ドント・ブリーズ2』作品情報
【あらすじ】
人気のない郊外の古びた屋敷に住む、ある盲目の老人。彼はその屋敷で一人の少女を大切に育て、二人だけで静かに暮らしていた--
その男こそ、8年前、強盗に押し入られた被害者として生きているが、実は強盗団を惨殺した過去をもつ、あの盲目の老人だった・・・。
ある日、謎の武装集団が老人の屋敷に静かに忍び込む。その目的は少女--。
暗闇の中、全てを知り尽くした屋敷内で全員の抹殺を試みるも、訓練されていた集団は老人を襲い、火を放つ。
命からがら炎の中から逃げ出したが、そこに少女の姿はない。目覚める狂気の怒り。老人は己の手で大切に育てた少女を取り戻すため、
武装集団の後を追う・・・。
その集団はなぜ少女を狙うのか、少女はいったい何者なのか、老人はなぜ少女に固執するのか。
全ての真実を知ったとき、前作を超える衝撃に息が止まる--。
【予告編】
【基本情報】
出演:スティーヴン・ラング/ブレンダン・セクストン3世/マデリン・グレース
監督:ロド・サヤゲス
製作国:アメリカ