「八月は夜のバッティングセンターで。」第5話レビュー:里崎「お前はどう投げたいんや?」日本代表の女房役から学ぶ、家族のチーム論(※ストーリーネタバレあり)

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テレ東が描く新感覚“ベースボール・ヒューマンドラマ”!
関水渚×仲村トオルW主演で、この夏開幕!

わけあって夏休みにアルバイトをすることになった17歳の女子高生・夏葉舞(関水渚)と「バットのスイングだけで、その人の悩みがわかる」と豪語する47歳の謎の元プロ野球選手(仲村トオル)。
二人がバッティングセンターに現れる女性たちの悩みを「野球論」に例えた独自の「人生論」で解決へと導いていく。

本記事では、そんな話題作の第5話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「八月は夜のバッティングセンターで。」第5話レビュー

今回の悩める女性は、息子の優斗(中村羽叶)を連れてバッティングセンターにくる常連客・寺本沙織(佐藤仁美)。「あのお母さんは相当問題を抱えている」という伊藤(仲村トオル)に、「沙織さん幸せいっぱいに見えるけどな」と言う舞(関水渚)。優斗も悩んでいるという伊藤に「優斗くんにまだ悩みなんかないでしょ」と言うが、「小さい頃、そういうことを言う大人を見てどう思った?」「自分はどうだったんだ? 悩みはなかったか?」と聞かれて「あった」とハッとする。

「俺が子どもと接するときのポリシーは、子どもを子ども扱いしないことだ」
伊藤の持論、納得感ある。「そうすると心を開いて、異様になつかれることがある。困ったもんだ」とのことだが、子どものときにそういう大人がいてくれたらうれしいだろうな。

沙織が抱えている悩みは、夫のことだった。会社を辞め、田舎で新しい農業ビジネスをしたいという夫。「もう一度話を聞いてくれ」と言われるが、「聞いても一緒、私は反対」「優斗は私立の学校に行かせる」と聞く耳を持たない。

まあ、成功するかわからないビジネスにのために移住するという話に賛成できない気持ちもわかる。だが「あんたは私の言うこと聞いてりゃいいの」という言葉はちょっと気にかかる。

息子の優斗は苛立っている母親や、夜中夫婦が言い合いをするのを聞いて心を痛めていた。伊藤によると、自分のせいで二人が争っているのではと思っているという。唯一沙織が笑顔を見せるバッティングセンターで自分がホームランを打てれば、スカッとしてもらえるのではと考えていたのだった。いい子すぎる……(涙)。だがイライラしていた沙織はうまく打てない優斗を責めるような言い方をしてしまう。

「いい加減にしなよ。頑張るのはあんただろ」と今回もライフイズベースボールの世界へ。

夫とバッテリーを組むことになった沙織だが、指示に従わない夫に苛立つばかり。伊藤の伝言「ちゃんと向き合うように」と伝えた舞に「無理、あいつが考え方を変えないと」「言うこときかないの」

夫にも「お前ふざけんなよ、バカげてんだろ」「あんたに経営能力なんてないから」「やらなくてもわかることだろバカ」と、自分の意見を曲げない。優斗はベンチで

伊藤はキャッチャーを交代。現れたのは、里崎智也選手だった。
「里崎さんだーーー!!! すげー本物ーー!」
舞のお決まりの叫びが入る。

「お前はどう投げたいんや?」と夫に聞き、

「よっしゃじゃあそれで行こ。その代わり自分の投げる球、しっかり責任もって投げろよ」

と笑顔で声をかける。笑顔がとても頼もしい。希望を聞き入れてもらえた夫はうれしそうだ。

結果、球は打たれてしまった。

「だから言ったじゃない」と言う沙織に、
「いや、あれでいい」と言う伊藤。

「人生は長いシーズンだ。バッテリーの呼吸があってくればシーズンは勝てる。里崎はそれを見越して、自由に投げさせてやったんだよ。女房役として、打たれてもいいと覚悟を決めて」

里崎はロッテ一筋16年、WBCでチームをけん引した日本を代表する女房役だった選手だ(野球では、ピッチャーを夫に例えるのに対してキャッチャーを女房役と呼ぶことがあるそうだ)。男女に例えた呼称については、時勢的に異論を唱える人もいそうだが、個人的には夫婦の問題回に「日本を代表する女房役」をぶち込んできたところにグッときた。

長い目で見て、失敗してもいいから自由にやらせる。夫婦に限らず大事な考え方かもな、と思った。例えば自分自身のことにしても、直近の失敗を恐れて判断したけど、長い目で見たら失敗してもよかったなということはある。

「じゃあ、女房は我慢して、夫を好きにさせろってことですか? そんなの都合よすぎるじゃない」
沙織がそう言いたくなる気持ちもわからなくはない。

伊藤は続ける。
「そうじゃない。バッテリーは協力して、試合に勝つんだ。里崎を見なよ」

夫に駆け寄った里崎は、うなだれる夫の肩を叩き、笑顔で励ます。
「ま、結果をしかり受け止めて、今後どうやったらチームが勝てるか、死ぬほど考えろよ」

「目的は、家族というチームで勝つことだろ。そのためにキャッチャーは、長い目で見てピッチャーと向き合って、勝負に勝たせてやるんだよ」

伊藤にそう言われ、沙織が夫を見るまなざしが変わった。

そしてしばらくした後、沙織の家では夫が荷造りをしていた。家族で長野へ移住することにしたらしい。

自分のチャレンジをさせてくれた沙織に礼と「俺マジで頑張るから」という夫に対し、「付き合うよ、家族だもん。でも、もしダメだったらアルバイトでも何でもして家族守ってよ? あんたの好きにしろっていう話じゃないからね」と言いつつ、穏やかな笑顔の沙織。さっそく長野にあるいい学校を見つけ、家族で盛り上がっていた。

意見の食い違いで一時は険悪になってしまったものの、二人とも子ども想いで頑張り屋でもあるこの夫婦。優斗もいい子だし、家族というチームで頑張っていくと決めた今、もう大丈夫そうだ。

舞の話のその後も気になる。母(藤田朋子)に「また野球やるなら応援するよ」と言われたが断っていた。やはり何かがあって辞め、周りは本当は続けたかったのではないかと思っているようだ。

残り3回、楽しみだ!

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第5話ストーリー

夏葉舞(関水渚)がバッティングセンターに着くと、伊藤智弘(仲村トオル)が困惑していた。常連客・寺本沙織(佐藤仁美)の息子・優斗(中村羽叶)に懐かれてしまったからだ。遅れてやって来た沙織は、到着するなりバッティングエリアへ。打席に立つ優斗を笑顔で応援している。一見幸せそうに見える親子だが、伊藤は問題を抱えていることを見抜く。その読み通り、家では夫婦喧嘩が絶えず、優斗の顔に明るさはなかった――。

(文:ぐみ)

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「八月は夜のバッティングセンターで。」作品情報

イントロダクション

テレ東が描く
新感覚“ベースボール・ヒューマンドラマ”!

「八月は夜のバッティングセンターで。」
関水渚×仲村トオルW主演で、
この夏開幕!
- あの往年の“野球レジェンド”たちも登場!? -

関水渚ドラマ初主演!仲村トオルとW主演!
ドラマの舞台は都内のとあるバッティングセンター。わけあって夏休みにアルバイトをすることになった17歳の女子高生・夏葉舞と、「バットのスイングだけで、その人がどんな悩みを抱えているかわかる」と豪語する47歳の謎の元プロ野球選手の男性が、毎回バッティングセンターに現れる悩める女性たちを、「野球論」で例えた独自の「人生論」で解決へと導いていく本作。
「ライフ・イズ・ベースボール」を合言葉に、「野球」というテーマを通して、人々の背中を少しだけ押していく、テレビ東京が描く、新感覚の“ベースボール・ヒューマンドラマ”です。

女子高生・夏葉舞を演じるのは、1月クール「アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~」でヒロインに抜擢された今最も注目される若手女優・関水渚。関水は本作がドラマ初主演となります。バッティングセンターで悩める女性の相談を次々と解決する謎の人物・伊藤智弘を演じるのは、実力派俳優・仲村トオル。テレビ東京のドラマ出演は昨秋放送『横山秀夫サスペンス「沈黙のアリバイ」「モノクロームの反転」』、連続ドラマは2018年放送の「ラストチャンス 再生請負人」以来。また野球部のマネージャーを務めたことがあるという関水と、中学時代に野球部だった仲村は、今回が初共演となります。

さらに本ドラマは、野球好きであれば誰もが知っているような、往年の“野球レジェンド”たちが登場します。ドラマのストーリーの中で、どんな選手が、どのように登場するかは今後の続報をお待ちください。

“ライフ・イズ・ベースボール”
異色の野球好きコンビが放つ、
これまでにない<“人生×野球”ドラマ>
「八月は夜のバッティングセンターで。」
(通称:ハチナイ)
夏のはじまりと共に開幕する本作に、
どうぞご期待下さい!

スタッフコメント

テレビ東京 寺原洋平(プロデューサー)

この夏、テレ東深夜ドラマに期間限定でバッティングセンターが出現します。
この時期、野球といえば言わずと知れた甲子園ですが、テレビ東京の深夜も覗いてみてください。
そこにはまさに人生の縮図のような野球が展開されています。
野球の適温は熱いだけじゃない、青春は甘酸っぱいだけじゃない、これまで多くの大人達に向けて色々な変化球のヒューマンドラマを送り出したテレビ東京だからこそできる、甘さ控えめ微熱の新感覚ベースボール・ヒューマンドラマ。是非、この夏のお供に!

博報堂ケトル 畑中翔太(企画・プロデュース)

「野球は人生に通ずる」をテーマに、人生における様々な“壁”にぶつかる悩める人々を「野球論」で解決していく、そんな全く新しい“ベースボール・ヒューマンドラマ”が誕生しました。
野球ファンの方であれば誰もが知っている、あの“レジェンド”たちもドラマに登場します!
そしてこのドラマのために、監督、脚本家、プロデューサー、各スタッフに至るまで、実に野球愛に溢れた制作チームが集結しました。この夏、関水さん&仲村さんの新コンビが、夜のバッティングセンターを舞台にして、「ライフ・イズ・ベースボール」を合言葉にちょっぴり大人のベースボールドラマをお届けします。ぜひご期待ください!

アカツキ 後藤ヨシアキ(プロデューサー)

アニメ「八月のシンデレラナイン」の打ち合わせの場で「女性が夜のバッセンで良いスイングをしてる深夜ドラマが観たいんです」とテレビ東京さんの深夜ドラマファンであることを伝えてから約1年。
今、ドラマ化という想像もしていなかった打席に立っています。
私自身、普段はハチナイのアニメやコラボ企画を担当していますがドラマのハチナイでは〝野球というモチーフを通じて人間の成長を描く〟という本質的コンセプトはそのままに、完全オリジナルの物語に挑戦しています。
監督の皆さん、ぜひご視聴ください!
各話、視聴後の余韻はきっと〝ハチナイだ〟と感じていただけるはずです。

原案情報

スマートフォン用アプリゲーム
『八月のシンデレラナイン』(アカツキ)

2021年6月にリリース4周年を迎える「青春×女子高生×高校野球」をテーマにした〝野球型青春体験ゲーム〟です。
プレイヤーは同級生監督として、魅力的な女子キャラクター達を指導・育成しながら、共に〝甲子園〟という夢を追いかけます。
2019年4月にテレビアニメ化され、2021年7月には最新話を加えて再放送がスタートします。

イントロダクション

女子高生の夏葉舞(関水渚)が、夏休みにわけあってアルバイトをすることになったバッティングセンターには、夜になるとなぜか悩める女性たちがやってくる。バッターボックスで球を打つ彼女たちを見つめている謎の男性・伊藤智弘(仲村トオル)は、「スイングを見るだけで、その人がどんな悩みを抱えているのかわかる」といい、その悩みを「野球論」で例えた独自の「人生論」で解決に導いていく。
果たして今宵はどんな悩める女性が訪れるのか?舞と伊藤の不思議な夏が今はじまる!

番組概要

番組名
水ドラ25「八月は夜のバッティングセンターで。」

放送日
7月7日スタート 毎週水曜 深夜1時10分~1時40分放送

放送局
テレビ東京 テレビ北海道 テレビ愛知 テレビ大阪 TVQ九州放送

原案
八月のシンデレラナイン(アカツキ)

出演
関水渚 仲村トオル ほか

ゲスト
第1話:木南晴夏 岡島秀樹
第2話:堀田茜 山﨑武司
第3話:武田玲奈
第4話:深川麻衣
第5話:佐藤仁美
第6話:山下リオ
第7話:板谷由夏
第8話:山﨑夢羽

監督
原廣利(「RISKY」「日本ボロ宿紀行」)
志真健太郎(「LAPSE」「TOKYO CITY GIRL」)
原田健太郎

脚本
山田能龍(「全裸監督」「新聞記者」)
矢島弘一(「毒島ゆり子のせきらら日記」「コウノドリ」)

オープニングテーマ
クリープハイプ「しょうもな」(ユニバーサル シグマ)

エンディングテーマ
クリープハイプ「こんなに悲しいのに腹が鳴る」(ユニバーサル シグマ)

企画・プロデュース
畑中翔太(博報堂ケトル)

プロデューサー
寺原洋平(テレビ東京) 漆間宏一(テレビ東京) 
山田久人(BABEL LABEL) 山口修平(アカツキ) 後藤ヨシアキ(アカツキ)

制作
テレビ東京/BABEL LABEL

製作著作
「八月は夜のバッティングセンターで。」製作委員会