「ただ離婚してないだけ」第5話レビュー:悪化の一途…じわじわと締め上げられる感覚に苦しくなる(※ストーリーネタバレあり)

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Kis-My-Ft2の北山宏光が主演をつとめるドラマ「ただ離婚してないだけ」が、2021年7月7日に放映スタートした。

本田優貴による人気コミックを原作としたこのドラマは、夫の不倫をきっかけに巻き起こる、いつ自分の身に起こっても不思議ではない戦慄の展開で話題沸騰の、未だかつてない不倫サスペンス作品。

本記事ではその第5話をcinemas PLUSドラマライターが紐解いていく。

「ただ離婚してないだけ」第5話レビュー

八方塞がりの状況に追い込まれて、やっと感情をぶつけ合えた正隆(北山宏光)と雪映(中村ゆり)。
これまで冒頭のナレーションは正隆の声だったが、今回は雪映に。母となる彼女の、強さが見えはじめる合図だろうか。

朝、食卓を囲む雪映は「何もなかったの。この家で悪いことは何も」と口にする。正隆に諭すように、自分に言い聞かせるように。この人は、すべてを背負って、お腹の子どもを守ると決めたのだろう。

それに対して大きな反応は見せない正隆だったが、仕事へ向かう雪映を送りに出てくる。こんな状況になって雪映に依存しているならそれはちょっとずるいぞと思いつつ、1人でイライラしている正隆は見ていられなかったし、こうやってコミュニケーションをとれるようになったことは進歩だ。

仕事終わり、自身の妹の家に立ち寄った雪映は、妹から離婚を勧められる。子どもができたからやり直せる、と反論するが、妹は「子どもがいれば何とかなると思ってる?」と完全に呆れ顔だ。彼女には子どもがいて、実際に子育てをしているからこそ言える言葉だろう。「何かあってからじゃ遅いんだよ」と妹は言ったが、たぶんもう、何もかもが遅い。雪映にどれほど深く突き刺さったことか。

一方で、不穏な動きを見せるのは、ヤクザの仁科(杉本哲太)だ。萌(萩原みのり)が勤めていたガールズバーのオーナー・佐野(深水元基)にお金を貸しているが、店の経営状況は芳しくない。「搾り取れるものは搾り取った方が得する」と唸るように言う杉本哲太が怖すぎる…。

そんな発言がされていることには気づかないまでも、やばい奴から借金をしている自覚はあるはずの佐野も、この状況に苛立っていた。売り上げも悪いし、付き合っていた女も忽然と消えてしまったのだ。この人の素行だってどう考えても褒められたものではないけれど、なかなかツイてない。

そこへ、萌の弟の創甫(北川拓実)が乗り込んでくる。姉ちゃんはどこだと詰め寄る創甫に、当然ながら俺も知らないとキレる佐野。やりとりを見ていたバイトのほのか(大原優乃)は、萌が妻帯者と不倫をしていたことをぺらぺらと喋ってしまう。そんなこと、お金に困っている男の前で言わないで…と、弁護のしようもない正隆を守りたい気持ちが湧いてきてしまった(なぜだ)。

正隆や雪映の存在がバレなければいいのに、と思ったが、そんな虫のいい話があるわけがない。

まず忍び寄ってくる陰に気付いたのは雪映。健診に訪れた産婦人科で、萌を探しにやってきた創甫と鉢合わせてしまった。態度こそ最悪だが、萌を探す必死な様子からお姉ちゃんを大事に思っていたことが伝わってくる。きっと、長い間黙って家を空けるなんてこと、萌はしなかったんだろうな。もちろん向こうは気づいていないが、“夏川萌”という名前を口にする創甫を見、雪映はどんどん顔面蒼白に。生きた心地なんかしなかっただろう。早く逃げて…! と、心の中で叫んでしまった。

同じ頃、自宅で事件にまつわるルポルタージュか何かを執筆していた正隆は、気が動転して110番をしかける。こんな状況で、この人は何を好き好んで犯罪系の記事を書いているんだろう、という気持ちは置いておいて、警察への電話を思いとどまらせたのは雪映と幸せの絶頂にあったあの場面。もう何度ヤラれたか分からない、北山宏光の優しい笑顔がまぶしい「結婚しよう」だ。微笑んで頷く雪映を守りたいのなら、頼むからしっかりしてほしい。過去を思い出し、ちゃんとせねばという思いがあったのだろう。創甫と遭遇して気が動転した雪映「大丈夫、俺がいるよ」と小さい声でいたわる。…うん、自分もかなりメンタルやばいはずなのに、よく言えたもんだ。

雪映から、萌のことを探してる人のことを考えてしまったと聞いた正隆は、思い出したように、萌の所持品を確認する。正直、まだそんなもの持っていたのか…という気もするが、電源を入れたスマートフォンの待ち受けは、萌と正隆の2ショット。うかつに捨てることもできなかったのだろう。そこにはほのかや創甫、もちろん佐野からも大量の連絡がきていた。

そして、何を思ったか変装のようなものをして街に繰り出す正隆。こんな時に、雪映のことを1人にしないでほしいんだけど…。

佐野と創甫の萌探しもまだまだ続く。

萌と創甫が暮らす家にやってきた佐野は、がちゃがちゃと部屋をあさりはじめた。そこで、萌が正隆の家に無言電話をかけていた時に見ていたメモが見つかってしまう。ご丁寧に、名前と電話番号が書いてある。考えうる中でも1、2を争うレベルで最悪な状況だ。

正隆は、なぜか萌が働いていたガールズバーを訪れる。何か考えがあるのかもしれないけど、それにしたって挙動もおかしいし、正隆が何をしたいのか全然分からない。様子を探りたかったのかもしれないが、萌に聞いてこの店に来たと口走ってしまった挙句、ほのかのペースに乗せられてLINEの交換までしてしまう。登録名は、しっかり“柿野正隆”のまま。気が動転してたとはいえ、あまりにもお粗末な行動だ。

その時、もちろん家には雪映だけ。鳴り響く固定電話に、絶対出ないで…! という思いも通じるわけはなく、仕事帰りで落ち着かぬままの雪映はそうとは知らず電話に出てしまう。

相手は案の定佐野だった。いわく、萌が正隆にボロボロにして捨てられたことで迷惑をこうむっているから500万円を慰謝料として支払えと言う。取り乱した雪映は、自分が教師であるかのようなことまでほのめかしてしまう。こちらも気が動転していたとはいえ、夫婦そろってすぐに墓穴を掘りがちでは…。

雪映との通話を終えた佐野は、店に戻って来る。当然そこには挙動不審の正隆がいる。また萌はいないのか、と萌に電話をすると正隆のポケットの中で振動する萌のスマホ。じっとりと舐めるような佐野の目線に、見ているこちらまで息が詰まりそうになる。さらに正隆のもとへ雪映から「脅迫の電話があった。柿野って名前まで知っていた」と連絡が入る。慌てて帰ろうとする正隆の背に向かって、ほのかは「また来てくださいね、柿野さん」と笑顔だ。完全に、万事休す。

自分たちの行動が、より事態を悪化させているようにも見えた第5話。じわじわと、大きな蛇にでも締め上げられているような感覚だった。

それにしてもほのかは、正隆のことをどこまで把握していたんだろうか。1番怖いのはこの子なのではという気がしてしまった(可愛いけど)。

絶体絶命の展開、次回はもっと息ができなくなりそうだ。

「ただ離婚してないだけ」第5話ストーリー

正隆(北山宏光)は不倫相手の萌(萩原みのり)を殺したことを自覚し、涙が止まらなくなる。雪映(中村ゆり)は、そんな正隆を励ますと共に、妊娠したことを告げる。正隆と雪映の夫婦の間には、萌を殺めたことにより異質な絆が芽生える――。そんな折、萌がいなくなったことにより、騒ぎが起きていないか心配になった正隆は、様子を窺おうと客のフリをして萌が働いていたガールズバーを訪れるが――!?

(文:あまのさき)

–{「ただ離婚してないだけ」作品情報}–

「ただ離婚してないだけ」作品情報

一つの不倫が招いた「最悪」の結末・・・
テレ東深夜が放つ、
ドラマ史上最も恐ろしい「不倫サスペンス」

結婚、妊娠、不倫――結婚生活7年目を迎えた、ただ離婚してないだけの冷え切った夫婦を描いた、本田優貴による人気コミック「ただ離婚してないだけ」 (白泉社)。夫の不倫をきっかけに巻き起こる、いつ自分の身に起こっても不思議ではない戦慄の展開で話題沸騰の、未だかつてない不倫サスペンス作品が、テレビ東京にて毎週水曜深夜に放送中のドラマ枠「ドラマホリック!」第7弾として実写ドラマ化!

一体なんでこんなことに…
結婚と不倫の果てに待ち受けていたものとは!?
「不倫」を深く、恐ろしく、切なく描いた、
未だかつてない不倫ドラマ「ただ離婚してないだけ」。
夫婦とは、そして家族とは・・・
史上最も恐ろしい不倫サスペンスをお見逃しなく!

あらすじ

フリーライターの柿野正隆(北山宏光)と、小学校教師の柿野雪映(中村ゆり)は、結婚7年目となる夫婦。お互いへの恋心はなく、関係は「ただ離婚してないだけ」。しかも正隆には萌という不倫相手がいて――。
ちょっとした出来心・遊び心が招いた最悪の事態…いつ自分の身に起こっても不思議ではない、罪が罪を招く、史上最も恐ろしい“衝撃の不倫サスペンス”ここに開幕!!

原作:本田優貴 コメント

長年思い続けていた念願の、、いや、野望でもありましたテレビドラマ化!
とても嬉しいです。
とてもハードな内容ですが、この夫婦の再生物語を主演の北山宏光さんがどんな形で再現してくれるのか今から楽しみです。
僕の描いた原作よりも深く、、濃く、、そんなドラマになることを期待しています。

プロデューサー:松本拓 コメント

約2年前、この原作に出会った時、そのタイトルから素直に面白そうだなと思いました。原作は2時間程で一気読み。このストーリー展開は、連ドラにもってこいだと感じたのを覚えております。
「夫婦」の話をやってみたい。
ずっとそう思ってきましたが、なかなか自分が自信を持って臨めるものに出会えませんでした。しかし、この「ただ離婚してないだけ」という原作に出会い、自分の中で一つ大きな扉が開いた気がします。
真の意味で、「夫婦」を繋ぐものとは一体何なのか。
今まで、テレビドラマでは描いてこなかったレベルまで、それを追求していきたいと思います。
北山さん、中村さんが演じる夫婦が、ある事件をきっかけに「最悪」の方向へ向かいます。しかし、この夫婦にとって、その「最悪」は「希望」でもありました。「不倫」「殺人」「隠ぺい」「絶望」そして「希望」。まさに令和のジェットコースタードラマ。中途半端には描きません。人間の「汚さ」、「脆さ」、そして「暖かさ」を究極なまでに突き詰めていこうと思います。
ご期待ください。

番組概要

番組名
ドラマホリック!「ただ離婚してないだけ」

放送日時
2021年7月7日(水)深夜0時

放送局
テレビ東京ほか 

配信
動画配信サービス 『Paravi』『ひかりTV』にて配信予定

Paravi
https://www.paravi.jp

ひかりTV
https://www.hikaritv.net/

原作
本田優貴「ただ離婚してないだけ」 (白泉社)
 
出演
北山宏光(Kis-My-Ft2)中村ゆり 萩原みのり 深水元基 
北川拓実(少年忍者/ジャニーズJr.) 大原優乃 山口祥行 
西川可奈子/武田航平 団時朗 甲本雅裕 杉本哲太

監督
安里麻里 角田恭弥 松本拓

脚本
田中眞一 清水匡 安里麻里

主題歌
Kis-My-Ft2 「Fear」(avex trax)

チーフプロデューサー
山鹿達也(テレビ東京)

プロデューサー
松本拓(テレビ東京) 矢崎ゆうこ(ジェイ・ストーム) 中野剛  加藤毅

制作
テレビ東京/ジェイ・ストーム/東映ビデオ

製作著作
「ただ離婚してないだけ」製作委員会

公式HP
https://www.tv-tokyo.co.jp/tadarikon/

公式Twitter
@tx_tadarikon
公式ハッシュタグ [#ただ離婚してないだけ][#ただリコ]