「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(C)日本テレビ
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1999年生まれ、2021年8月現在21歳の役者・永野芽郁の芸歴はすでに10年以上。
小学3年生の頃にスカウトされ役者の道に入った彼女は、これまで映画『君は月夜に光り輝く』(19)『地獄の花園』(21)やドラマ「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」「親バカ青春白書」など多数の話題作に出演。
2018年には朝ドラ「半分、青い。」でヒロインに抜擢されるなど、確実にキャリアを積んでいる。2021年水曜ドラマ「ハコヅメ」では戸田恵梨香とともにW主演。日本映画・ドラマ界に欠かせない存在となりつつある。
「ハコヅメ」辞めようか悩む新米警察官を熱演!戸田恵梨香とのW主演
「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(C)日本テレビ
2021年7月より放送中の水曜10時ドラマ「ハコヅメ」。モーニングにて連載中の同名漫画を原作にした本ドラマは、永野芽郁と戸田恵梨香がW主演を務めている。
永野芽郁演じる新米警官・川合と、戸田恵梨香演じる元エース刑事の先輩警官・藤がバディを組む展開からスタート。過酷な交番勤務を、なんとか力を合わせながら乗り越え、成長していくストーリーだ。
永野芽郁と戸田恵梨香は今回が初共演。役柄と同じく、戸田恵梨香の演技を見ながら刺激をもらっている面も多いと永野芽郁が語っている。「戸田さんはお芝居のこと、自分のこと、私やみんなのことをいろんな角度からものすごく考えていて、頭の容量が計り知れないんです。撮影中、戸田さんとはいつも一緒にいて、お話ししたり、笑ったりしています。それがすごく幸せ。どこまでもついていきます! という感じです」。良い関係性を築けているのは、ドラマを見ていれば自然と伝わってくる。
「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(C)日本テレビ
戸田恵梨香とは初共演の永野芽郁。元父親役として共演経験のあるムロツヨシがいるからか(「親バカ青春白書」で親子役として共演)、永野芽郁自身も「ハコヅメ」撮影ではよりリラックスしているようだ。
振り返ってみれば、ムロツヨシは戸田恵梨香とも夫婦役で共演している(「大恋愛〜僕を忘れる君と〜」)。ムロツヨシがある意味、ふたりの間の”接着剤”のような役割を果たしているのかもしれない。
7/7放送「スッキリ!」において、撮影現場での会話はほとんど「眠い」か「お腹すいた」だと語った永野芽郁。ちょっと歩けばお腹が減り、日によっては5食がっつり食べてしまうこともあるのだとか。細身の彼女からは食事風景の想像がつかない。「ハコヅメ」撮影もなかなかハードに見えるので、それくらい食べないとやっていけないのだろう。
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–{新米警官・川合と永野芽郁の共通点「周囲の助けを支えにし着実に成長する」}–
新米警官・川合と永野芽郁の共通点「周囲の助けを支えにし着実に成長する」
「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(C)日本テレビ
永野芽郁演じる新米警官・川合は、交番勤務のあまりのハードさに、退職しようかどうか悩んでいる。もともと、父の勧めで公務員になることを決め、たまたま受かったのが警察官採用試験だった彼女。とくにこの仕事に思い入れもないのに、仕事はひたすらハードなのだ。それは辞めたくもなる。
そんなとき、「パワハラで飛ばされてきた」と噂の元エース刑事・藤聖子がやってきた。戸田恵梨香演じるこの聖子が、なんともかっこいいのだ。1話の冒頭から「辞めたい」を繰り返し、退職届を用意していた川合だが、藤聖子との出会いで「この人にもう少しついていこうと決めた」。新米警官・川合と元エース刑事・藤を中心に「ハコヅメ」の物語は進んでいく。
交番勤務のあまりのハードさに、いつ辞めようかタイミングをはかる川合。もう少しこの仕事を続けてみようと思えるきっかけになったのは、藤との出会いももちろんだが、とある通報者との関係性も鍵になっていた。
「今から自殺する」と虚偽通報を繰り返す男性。何度も同じような通報をしては平気な顔で川合と話すだけになっていたため、川合本人もすっかり油断していたのだろう。再度の通報を受けた際、本当に首吊りを試みていた通報者の男性を見て心が折れる川合ーーだが、ギリギリのところで命を取り留めた男性が「目が覚めた時に川合がいてくれてホッとした」と話していたのを知り、こんな自分でも役割があるのかもしれないと退職を思い直す。
「警察官なんてみんなしょうもない普通の人間だよ、制服を着てる時だけはちゃんとした面構えでいようと思ってるだけ」ーーそんな藤の言葉も支えとなった。周囲の助けを受けながら着実に成長していく川合の後ろ姿は、役者としての力を少しずつ確実に伸ばしている永野芽郁自身とも重なる。
現場や人を大事にする永野芽郁の姿勢が、良い作品作りに繋がる
「ハコヅメ」公式サイトでは、各話ごとのメイキング映像も公開されている。戸田恵梨香やムロツヨシとはもちろん、他の共演者ともリラックスしてやり取りできている様が伝わってくる永野芽郁。夜の校舎をパトロール中、山田裕貴演じる山田武志刑事に追いかけられるシーンでは、カットがかかった後に「怖かった〜」とこぼすシーンも。
また、三浦翔平演じる源誠二刑事とカップルのふりをしながらラブホに潜入捜査するシーンでも、和やかに笑い合っている様がなんとも伸び伸びした現場を感じさせた。警官の制服や装備品も重くて大変だろうに、一切つらさを見せずに笑顔を絶やさない永野芽郁の人柄も一役買っているのだろう。
「人のことを救うのも傷つけるのも人だから。人のことは好きでいたい」とインタビューで語っていた永野芽郁。大事にしているのは現場での「人との会話」だという。
21歳にして順風満帆に役者としてのキャリアを積んでいる彼女。少しくらい調子に乗ってしまいそうなものだが、人としての基本を大事にする姿勢に好感しかない。20代、30代とどんな活躍をされるのか、これほど見守るのが楽しみな役者もそういないだろう。
–{「親バカ青春白書」ムロツヨシとの名コンビは健在}–
「親バカ青春白書」ムロツヨシとの名コンビは健在
「親バカ青春白書」(C)日本テレビ
2021年放送水曜ドラマ「ハコヅメ」にて、戸田恵梨香とのW主演で新米警官・川合を演じる永野芽郁。本作では、2020年放送日曜ドラマ「親バカ青春白書」で親子役として共演したムロツヨシとも再共演している。ムロツヨシ&永野芽郁のほのぼの仲良し親子っぷりに癒されていた身としては、また二人でわちゃわちゃしている様子が見られて嬉しい限り。
「親バカ青春白書」では、父役のムロツヨシが、娘役である永野芽郁とともに大学に進学し、キャンパスライフを満喫する展開に。娘と一緒に大学に入る父親なんて聞いたことがないが、娘が心配なあまりに荒唐無稽な行動をしてしまうのは、なんとなくムロツヨシ本人にも通じるところがある気がする。本職である小説家として話のネタにもなるだろう、との考えからまかり通ってしまったこの展開、娘も戸惑いながらも受け入れているのが面白い。
箱入り天然娘として大切に育てられてきた、永野芽郁演じるさくら。大学に入学するや否や、かわいい友達ができたり(演:今田美桜)、バイトやYouTubeに生きる同級生に出会ったり(演:小野花梨、戸塚純貴)、好きな相手ができたりする(演:中川大志)。そんな様子にいてもたってもいられなくなる父・ガタローという構図。
作中では永野芽郁の「鬼滅の刃」キャラクター・禰?豆子のコスプレが披露され話題となることもあった。娘のことを尊重しつつも、大事にしたいがあまり行きすぎてしまう父ガタローと、そんな父を優しく受け入れながらも時には疲れてしまう娘さくら。そんな二人の関係性が、ドラマ「ハコヅメ」では上司・部下の関係性になっているのだから面白い。
『地獄の花園』で培われたアクションの素地
(C)2021「地獄の花園」製作委員会
「ハコヅメ」も相当な体力勝負の撮影だろうと想像できるが、アクションの素地は2021年に公開された映画『地獄の花園』で培われていた。本作で初アクションを経験した永野芽郁。公式サイトで紹介されているメイキング映像では「(アクションは)難しい、筋肉痛になりそう」と語っている。ワイヤーアクションにも挑戦していて「力の入れどころがわからないから難しい」とも。永野芽郁が啖呵を切ったり「オラオラ!」と敵を一網打尽にしたり拳をふるいまくったり、そんなの見たことない。明らかに彼女の真骨頂と言える。
永野芽郁が演じるのは普通のOL・田中直子。同僚とともに平凡なオフィスライフを過ごしているが、その会社が少し普通とは違っている。
複数の暴走族を束ね、本職からスカウトもあったという開発部のOLがいたり、キレたら手が付けられない「狂犬」とあだ名のつく営業部のトップOLがいたり、刑務所帰りの製造部のOLもいる。それぞれ派閥争いを繰り広げる毎日で、永野芽郁演じる普通(堅気?)のOL・田中直子はさぞ戦々恐々としているだろうと想像するが……。
(C)2021「地獄の花園」製作委員会
ところがどっこい、まるで暴力団のようなOLたちは普通のOLたちには一切手を出さないのだ。「堅気に手を出さないこと」を美学にしているような節もある。そのミスマッチ感、同次元上でパラレルワールドが展開しているような異空間が実現しているのが面白い。
作公開時のインタビューにて「今一番見たい映画ができました。簡単に外に出られる時期ではありませんが、心のもやもやがスカッと晴れる」とコメントした永野芽郁。
ご時世柄、なるべく自宅にいなければならない時期が続く。身体を思いっきり動かす機会が少ないと、自然と気持ちも曇っていくだろう。
そんな時にこそ観てほしい映画だ。バッタバッタと悪者がなぎ倒されていく様はシンプルに爽快。スカッとしたい方、日頃のモヤモヤを解消したい方、とにかくアクション映画が観たいという方、全方位におすすめできる。
–{力説しておきたい、永野芽郁の「声」の魅力}–
力説しておきたい、永野芽郁の「声」の魅力
最後にどうしても力説しておきたいのが、永野芽郁の「声」についてである。
彼女の声は、とても繊細で可愛らしい。細めなのにどこか芯があって、声を聞くだけで永野芽郁だと一発でわかる。楽器ならフルート、音程ならソプラノ、飲み物ならカルピス。彼女がアサヒ飲料のCMに起用されたのは必然としか思えない。キャスティング担当の方がいる方角へ向けて拍手を送りたい。
百聞は一見にしかず、これがアサヒ飲料「カルピス」のCMだ。
最後の「アサヒ飲料」の永野芽郁の声が可愛過ぎて何度でも聞ける。テレビを見ていて同じCMが何度も続くと嫌になってしまう現象があるが、彼女に限ってはそんなことがない。何度でも続けて聞きたくなる。持ち前の演技力あってこその現在の立ち位置だと思うけれど、その声の魅力も確実に一役買っているはずだ。
2021年8月には『キネマの神様』公開、2021年10月には『そして、バトンは渡された』が公開される。すでに主演クラスの役者として揺るがない地位を築いている彼女。さらに役者としてのキャリアを積む方向へ走っていくのか、それとも活動の幅を広げていくのか? 今後も楽しみに見守りたい。
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(文・北村有)